65歳までの雇用確保義務付け
昨年6月に高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに合わせて、雇用と年金の間に収入の空白期間が生じないよう、定年の引き上げや継続雇用制度の導入により、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられることになりました。この改正法は平成18年4月1日より施行されるため、現在50歳代の社員を雇用している企業は、早急に対策をとる必要があります。
◆改正高年齢者雇用安定法の概要
(1)高齢者の雇用確保については、以下の1~3のいずれかの措置をとる義務があります。
1 65歳までの定年の引き上げ
2 継続雇用制度の導入
3 定年制の廃止
(2)高年齢者等の再就職の促進
1 募集および採用についての理由の提示
2 求職活動支援書の作成
3 シルバー人材センター等の業務の特例
◆定年の段階的引き上げ
概要の(1)の1定年の引き上げ、2継続雇用制度の導入にかかる年齢については、企業の負担を抑える意味で、以下のように段階的に引き上げられます。
期 間
定年年齢
平成18年4月?平成19年3月 62歳以上
平成19年4月?平成22年3月 63歳以上
平成22年4月?平成25年3月 64歳以上
平成25年4月? 65歳以上
◆65歳までの雇用確保の検討
概要の(1)の1?3のうち、どの措置をとればいいのかについては、各企業や社員の規模、雇用している高年齢の社員の人数によっても変わってきます。1や3については就業規則で定めることができますが、それまでの雇用契約が継続することになるため、賃金などの労働条件の変更が難しくなります。
また、2については60歳定年を残すことが可能で、対象者の基準を労使協定で合意するため、臨機応変に労働条件を見直すことができます。
育児・介護休業法が改正
育児・介護休業法の改正案が昨年12月1日に成立し、平成17年4月1日より施行となります。
主な改正点として、現行1年までの育児休業期間を最長1年半までに延長することや、子供の看護休暇が社員の権利として盛り込まれました。
また、現行では対象外となっているアルバイトや契約社員などの有期の社員に対しても、一定の要件を満たした場合には育児休業および介護休業を取得できるようになりました。
子を持ち、働く女性にとっては朗報ですが、その一方、働きたくても子供を預ける保育所が不足しているという現状があります。育児休業を半年間延長することだけでは十分とは言えず、本改正においてもなお多くの課題が残されています。
◆育児休業期間の延長
子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合にあっては、子が1歳6カ月に達するまでの休業が可能となりました。
現行の育児休業を取得し、子が1歳の時点で、「保育所に入れない」等の特別な事情がある場合に改めて1歳6カ月を限度として育児休業を取得することができるもので、1歳を超えての育児休業については再度、2週間前までに休業申出の手続きを行う必要があります。
◆子の看護休暇の義務化
現行では努力義務でしかなかった“子の看護休暇”が社員の権利として認められることとなり、要件を充たした社員からの請求があれば、経営者は拒むことができません(アルバイトや契約社員などの有期雇用者も対象となります)。
・対象となる子→小学校就学の始期に達するまでの子
・取得日数→一年度につき5日まで
◆有期雇用者への育児・介護休業の適用
アルバイトやパート、契約社員などの有期雇用者でも、以下のいずれかの要件を充たす場合には育児休業、介護休業の適用対象に加えられることとなりました。
・申出の時点で、1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること(ただし、子が1歳に達する日からさらに1年を経過する日までに雇用関係が終了することが、申出の時点で明らかである者を除く)
畑中社労士事務所では顧問先の企業様を対象に 毎月事務所便りを発行しています。 内容は法改正情報や人事労務に関する時事ニュース等を中心に会社を 経営する上で欠かせない情報をお伝えしています。 このページでは今までに発行した事務所便りの 概要をご紹介させて頂きます。
2005/02/01
2005/01/01
平成17年1月号
保険料の節約法
年金改正で2004年10月より会社員の厚生年金保険料が年収の13.934%に上がりました。保険料率は毎年上がり続け、2017年には18.3%になります。
日本経団連の試算では、保険料が15%になると資本金500万円以上1,000万円未満の中小企業の最終利益は全体で赤字になるとのことです。
このように、負担増ははっきりしているのに、年金の将来像は明確ではないのです。なんとかならないのか、防衛策に走る企業も出てきました。
そのひとつが、確定拠出年金(日本版401K)の活用です。
確定拠出年金の非課税限度額が1万円増えて、月4万6,000円になりました。掛金を増やして給与を減らせば、給与に比例して上がる厚生年金の保険料は抑えられます。
ある会社では、月給から確定拠出年金の掛金にいくら回すかを自分で決められる制度にしたところ、若手社員のほとんどが上限いっぱいまで増額して、同社の担当者を驚かせました。
ところで、従来の確定拠出金の限度額を前払い一時金として給与に上乗せして支払ってきた会社では、「前払い退職金は給与とみなす」という厚生労働省の通知によって、保険料節約の意味がなくなってしまいました。
このため、同社も、支出を抑えるために、前払い退職金分を確定拠出年金の掛金に切り替えたのです。
また、事業協同組合を活用した保険料の節約策もあります。これは、システムエンジニアなどの技術者が共同で仕事を受注するための事業協同組合です。組合に派遣社員として働いていた技術者を移し、身分を会社員から個人事業主に変えることで、本来ならば派遣社員の厚生年金保険料の半分は雇い主である派遣会社の負担となるところが、国民年金に移ることになり、派遣会社は保険料を負担しなくてよいことになります。国民年金の方が、会社負担も個人負担も軽いのです。
企業や従業員が、覚悟を決めて負担を受け入れようとする年金制度になればいいのですが、当分この動きは止まりそうにありません。
生命保険の手数料
私たちが普段意識しない手数料として、生命保険の付加保険料があります。
生命保険料は、大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」の2つがあります。
純保険料は、万一の際の保障や満期の満期保険料に充てられるもので、純保険料は、予定死亡率等により厳密に計算されているものです。たとえば、不幸が起きて、それが契約の直後であっても、高額の保険金を遺族は受け取ることができます。貯蓄だと毎月積み立てても、当初受け取れるのは少額です。この点が保険と貯蓄との大きな違いです。
一方、手数料である付加保険料は、保険会社の社員の給料や資料代・運営費などの経費に用いられます。もちろん、付加保険料の一部は保険会社の利益になります。
では、この手数料である付加保険料は、実際どれくらいの額なのでしょうか?
保険会社には、手数料を公表する義務はなく、むしろ、安い商品を開発して宣伝したくても、他社の保険料をパンフレットに掲載するなどの比較行為が法律で禁止されています。公表はしたくてもできないというのが実状なのです。
元外資系保険会社の社長で保険数理の専門家である野上憲一氏によると、手数料は保険料総額の50%から60%になるといいます。つまりこれは、自分の支払っている保険料の半分が、実は保険会社の運営費に消えているということです。
逆に言えば、それだけコストをかけないと保険事業は成り立たないということなのかもしれません。
しかし、公的年金運営であれだけ社会保険庁および厚生労働省を批判した人たちが、保険料の半分しか純保険料として活用されていないという事実に無関心なのは不思議です。
私たちは、保険料の使われ方にも注目するべきでしょう。
年金改正で2004年10月より会社員の厚生年金保険料が年収の13.934%に上がりました。保険料率は毎年上がり続け、2017年には18.3%になります。
日本経団連の試算では、保険料が15%になると資本金500万円以上1,000万円未満の中小企業の最終利益は全体で赤字になるとのことです。
このように、負担増ははっきりしているのに、年金の将来像は明確ではないのです。なんとかならないのか、防衛策に走る企業も出てきました。
そのひとつが、確定拠出年金(日本版401K)の活用です。
確定拠出年金の非課税限度額が1万円増えて、月4万6,000円になりました。掛金を増やして給与を減らせば、給与に比例して上がる厚生年金の保険料は抑えられます。
ある会社では、月給から確定拠出年金の掛金にいくら回すかを自分で決められる制度にしたところ、若手社員のほとんどが上限いっぱいまで増額して、同社の担当者を驚かせました。
ところで、従来の確定拠出金の限度額を前払い一時金として給与に上乗せして支払ってきた会社では、「前払い退職金は給与とみなす」という厚生労働省の通知によって、保険料節約の意味がなくなってしまいました。
このため、同社も、支出を抑えるために、前払い退職金分を確定拠出年金の掛金に切り替えたのです。
また、事業協同組合を活用した保険料の節約策もあります。これは、システムエンジニアなどの技術者が共同で仕事を受注するための事業協同組合です。組合に派遣社員として働いていた技術者を移し、身分を会社員から個人事業主に変えることで、本来ならば派遣社員の厚生年金保険料の半分は雇い主である派遣会社の負担となるところが、国民年金に移ることになり、派遣会社は保険料を負担しなくてよいことになります。国民年金の方が、会社負担も個人負担も軽いのです。
企業や従業員が、覚悟を決めて負担を受け入れようとする年金制度になればいいのですが、当分この動きは止まりそうにありません。
生命保険の手数料
私たちが普段意識しない手数料として、生命保険の付加保険料があります。
生命保険料は、大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」の2つがあります。
純保険料は、万一の際の保障や満期の満期保険料に充てられるもので、純保険料は、予定死亡率等により厳密に計算されているものです。たとえば、不幸が起きて、それが契約の直後であっても、高額の保険金を遺族は受け取ることができます。貯蓄だと毎月積み立てても、当初受け取れるのは少額です。この点が保険と貯蓄との大きな違いです。
一方、手数料である付加保険料は、保険会社の社員の給料や資料代・運営費などの経費に用いられます。もちろん、付加保険料の一部は保険会社の利益になります。
では、この手数料である付加保険料は、実際どれくらいの額なのでしょうか?
保険会社には、手数料を公表する義務はなく、むしろ、安い商品を開発して宣伝したくても、他社の保険料をパンフレットに掲載するなどの比較行為が法律で禁止されています。公表はしたくてもできないというのが実状なのです。
元外資系保険会社の社長で保険数理の専門家である野上憲一氏によると、手数料は保険料総額の50%から60%になるといいます。つまりこれは、自分の支払っている保険料の半分が、実は保険会社の運営費に消えているということです。
逆に言えば、それだけコストをかけないと保険事業は成り立たないということなのかもしれません。
しかし、公的年金運営であれだけ社会保険庁および厚生労働省を批判した人たちが、保険料の半分しか純保険料として活用されていないという事実に無関心なのは不思議です。
私たちは、保険料の使われ方にも注目するべきでしょう。