労働保険の強制加入の強化
厚生労働省は2005年度から、労働保険(雇用保険と労災保険の総称)に加入していない事業所を強制的に加入させる「職権適用」の強化を決めました。
労働保険は、パート、アルバイトを含む労働者を1人でも雇っていれば、その事業主は加入手続きを行い、労働保険料を納付しなければならないことになっています。
保険料の負担は、労災保険料が全額事業主負担で、雇用保険料は労使折半での負担ですが、コスト負担を嫌うことや事業主の認識不足から、労働保険の加入手続きをしていない中小・零細企業が少なくないという現状があります。
◆事業主が労働保険の加入手続きを怠っていた場合
事業主が労働保険の加入手続きを怠っていた場合であっても、社員が失業や事故にあった際には一定の給付を受けることが可能です。
ただし、故意または重大な過失により加入を怠っていた事業主に対しては、2年間さかのぼった保険料の徴収に加え、罰則として10%の追徴や労災保険給付に要した実際の費用の一部を請求されることになります。
◆未加入事業所の洗い出し
厚生労働省では、現在約2,000人が労働保険の加入促進や徴収業務にあたっていますが、新たに100人の非常勤職員を各地の労働局に配置して、未加入事業所の洗い出しを強化する方針です。
新たに配置される100人には、制度に詳しい社会保険労務士などを「適用指導員」として採用し、地域の業界団体などと協力して未加入事業所の把握や加入指導にあたることになります。
◆それでも加入を拒み続けた場合
度重なる指導や立入検査にもかかわらず、加入を拒み続けた場合には、従業員20人以上の事業所を中心に「職権適用」を発動し、職権で加入手続きをさせて保険料を徴収する方針です。
さらに、2005年10月からは労災保険の未加入に対する事実上の罰則も強化されます。加入指導に応じない悪質な事業所で労災事故が発生した場合には、現状では労災保険給付額の4割を徴収していますが、これを全額負担に改めるということです。
例えば、死亡事故の場合の遺族補償一時金は、賃金の1000日分が支給されますが、この全額負担となると、賃金が10,000円の労働者の場合で1,000万円を負担することになってしまうのです。
※ この「職権適用」の流れは労働保険だけでなく、厚生年金保険の未加入問題についても検討されています。社員にとって老後の生活がかかっている年金問題だけに、より厳しい処置が予想されます。
次世代法の行動計画は策定されましたか?
平成17年4月1日から、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定届の受付が、各都道府県労働局で開始されました。
平成15年7月に成立した「次世代育成支援対策推進法」は平成17年から10年間の時限立法のため、1つの行動計画が終了した後も、平成27年3月31日までは次の行動計画を策定する必要があります。
子育てと仕事の両立に必要な環境を整備することで、労働者のモラール上昇による生産力の向上や、出産・育児を理由とする退職者の減少による優秀な人材の確保、定着にもつながります。
◆「一般事業主行動計画」届出の義務
「次世代法」では、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境整備を行う「次世代育成支援対策」を進めるため、事業主に「一般事業主行動計画」を策定し、届け出ることを義務づけています。301人以上の労働者を雇用する事業主は、「行動計画」を策定し、平成17年4月1日以降、速やかに届け出なければなりません。なお、300人以下の事業主に対しては、努力義務となっています。
◆「一般事業主行動計画」とは
労働者が仕事と子育てを両立させ、現在の少子化の流れを変えるために「次世代法」に基づいて事業主が策定する行動計画のことです。1計画期間、2目標、3目標を達成するための対策とその実施時期の3つを定める必要があり、それぞれ下の?)??)の要件があります。
?)一定の目標が達成されるための期間としては2?5年が望ましい
?)アンケート調査等により、労働者のニーズを踏まえた目標で、その達成状況を客観的に判断できるようなもの
?)目標を達成するための対策としていつ、どのようなことに取り組むのか
具体的な内容については、厚生労働省のHPから「行動計画策定指針」が公表されていますので、確認してください。
また、行動計画を策定し届け出た後、一定の認定基準を満たした場合は、都道府県労働局長に申請を行い、認定を受けると、表示(マーク)を広告・商品等につけることができ、企業のイメージUPにつながります。
◆企業の取り組み
「次世代法」の4月施行にあわせて、N社やF社などの大手情報企業が社員の子育て支援策の拡充に乗り出しています。N社は社員が育児のために親の近くに転居する費用などの補助制度を導入し、F社は育児休暇の期間を1年半に延長しています。これらは、子育てと仕事の両立を支援する目的だけではなく、少子化が進むなかで女性戦力を有効に活用するための制度充実を目指しているといえます。
畑中社労士事務所では顧問先の企業様を対象に 毎月事務所便りを発行しています。 内容は法改正情報や人事労務に関する時事ニュース等を中心に会社を 経営する上で欠かせない情報をお伝えしています。 このページでは今までに発行した事務所便りの 概要をご紹介させて頂きます。
2005/05/01
2005/04/01
平成17年4月号
平成17年4月からの年金制度
国民年金未納者数が、平成15年度末で445万人に達し、平成13年からの2年間で120万人近くの増加となったことが発表されました。自営業者の人達が加入する国民年金は、保険料を自分で納めなければならず、給料から天引きされるサラリーマンや公務員などに比べて未納が起こりやすい状況にあります。社会保険庁では、これまで3年ごとに未納者数を公表してきましたが、今後は毎年公表する方針を固めました。
このような未納問題および少子高齢化が急速に進行する中で、将来にわたり「維持可能」で「安心」な年金制度とするための改正が進められています。
◆国民年金保険料の引き上げ
現在の国民年金保険料1万3,300円が、毎年280円ずつ引き上げられ、平成29年度以降には月額1万6,900円で固定されることになります。
国民年金保険料は口座振替にすることができます。また、1年分を前納すると、現金払いよりも530円の割引があります。
◆第3号被保険者の救済
第2号被保険者との結婚により被扶養配偶者となった場合、第3号被保険者となります。平成15年3月までは、本人が市区町村の国民年金課で手続きをする必要がありましたが、手続きを忘れていた場合は未納扱いとなり、遅れて手続きをした場合でも、過去2年分までしかさかのぼることができませんでした。
しかし、今回の改正により、住所地の社会保険事務所に届出を行えば、過去2年以前の期間についても第3号被保険者期間として取り扱うことができるようになりました。
◆在職老齢厚生年金の一律2割カットの廃止
今までの制度では、60歳を超えて年金を受給しながら就労している場合、60歳台前半の方は、年金額の2割が自動的にカットされていました。高齢者の就労意欲を阻害する要因として議論されてきましたが、今回の改正により、一律2割カットが廃止され、年金額と賃金の額に応じた支給停止のみとする仕組みに変更されることになりました。
◆納付猶予制度の新設
現行の免除制度では、低所得者の若者が所得の高い親と同居している場合等は、保険料免除の対象にはなりませんでしたが、今回の改正により、本人および配偶者の前年の所得が一定以下であれば、申請を行うことで保険料の納付を猶予することができるようになり、10年以内であれば猶予した保険料を追納することができるようになりました。ただし、あくまで猶予であるため、年金の受給資格期間には算入されますが、年金額の計算には反映されません。
残業代未払い問題
“人材派遣会社S社が2年間の未払い残業代など計約2億8,000万円を支払った”、“家電量販店大手のB社が社員を管理職扱いし、残業代1億2,700万円の不払いで社長ら書類送検”など、最近の新聞等でも多くの残業代未払い問題が取り上げられています。
◆労働基準監督署の調査
労働基準法や労働安全衛生法などの法令違反の発見と、その違反事項の是正を目的に、労働基準監督署の労働基準監督官が事業場へ立ち入り調査を行っています。
この調査で特にチェックされる項目として、時間外・休日労働協定の提出、割増賃金の適正な支払い、就業規則の作成・届出、労働条件の書面による明示、定期健康診断の実施、18歳未満労働者の年齢証明の備えつけ等があります。
労働基準監督官には、事業場への立ち入り権限や帳簿書類の提出を求める権限、使用者および労働者に対して尋問を行う権限があります。
労働基準法等については、法令違反をしたからといってすぐに罰則を科されるということはほとんどありません。法令違反が、深刻で重大な問題を引き起こさないうちに、労働基準監督署が監督を行い、調査、是正を求めるという監督制度となっています。
◆適正な残業代の支払い
労働基準監督署の調査で残業代の未払い等が発覚すると、過去2年間さかのぼって支払うことはもちろん、予想外の出費で会社の経営にも悪影響を及ぼしかねません。また、会社が大きくなればなるほど、新聞等に取り上げられ、会社の社会的信用が失墜し、その回復には多大な労力が必要となってしまいます。
出勤簿やタイムカードが実態どおりに記録されているか、割増賃金の計算であれば、時間外労働が1.25倍、休日労働が1.35倍、深夜労働が0.25倍の法定以上で計算され、給与締めごとに適正に支払われているか、36協定(時間外・休日労働に関する協定書)は毎年提出されているか等を再度確認し、いつ調査が入っても証明できるよう、日頃から整備しておくことが重要です。
労働基準監督署の調査は、無作為・定期的に対象になる場合もありますが、社員からの「情報提供・申告」による場合も多くあります。労働の対価としての給与は、社員から見ても、わかりやすい給与体系にしておくことが大切なポイントです。
国民年金未納者数が、平成15年度末で445万人に達し、平成13年からの2年間で120万人近くの増加となったことが発表されました。自営業者の人達が加入する国民年金は、保険料を自分で納めなければならず、給料から天引きされるサラリーマンや公務員などに比べて未納が起こりやすい状況にあります。社会保険庁では、これまで3年ごとに未納者数を公表してきましたが、今後は毎年公表する方針を固めました。
このような未納問題および少子高齢化が急速に進行する中で、将来にわたり「維持可能」で「安心」な年金制度とするための改正が進められています。
◆国民年金保険料の引き上げ
現在の国民年金保険料1万3,300円が、毎年280円ずつ引き上げられ、平成29年度以降には月額1万6,900円で固定されることになります。
国民年金保険料は口座振替にすることができます。また、1年分を前納すると、現金払いよりも530円の割引があります。
◆第3号被保険者の救済
第2号被保険者との結婚により被扶養配偶者となった場合、第3号被保険者となります。平成15年3月までは、本人が市区町村の国民年金課で手続きをする必要がありましたが、手続きを忘れていた場合は未納扱いとなり、遅れて手続きをした場合でも、過去2年分までしかさかのぼることができませんでした。
しかし、今回の改正により、住所地の社会保険事務所に届出を行えば、過去2年以前の期間についても第3号被保険者期間として取り扱うことができるようになりました。
◆在職老齢厚生年金の一律2割カットの廃止
今までの制度では、60歳を超えて年金を受給しながら就労している場合、60歳台前半の方は、年金額の2割が自動的にカットされていました。高齢者の就労意欲を阻害する要因として議論されてきましたが、今回の改正により、一律2割カットが廃止され、年金額と賃金の額に応じた支給停止のみとする仕組みに変更されることになりました。
◆納付猶予制度の新設
現行の免除制度では、低所得者の若者が所得の高い親と同居している場合等は、保険料免除の対象にはなりませんでしたが、今回の改正により、本人および配偶者の前年の所得が一定以下であれば、申請を行うことで保険料の納付を猶予することができるようになり、10年以内であれば猶予した保険料を追納することができるようになりました。ただし、あくまで猶予であるため、年金の受給資格期間には算入されますが、年金額の計算には反映されません。
残業代未払い問題
“人材派遣会社S社が2年間の未払い残業代など計約2億8,000万円を支払った”、“家電量販店大手のB社が社員を管理職扱いし、残業代1億2,700万円の不払いで社長ら書類送検”など、最近の新聞等でも多くの残業代未払い問題が取り上げられています。
◆労働基準監督署の調査
労働基準法や労働安全衛生法などの法令違反の発見と、その違反事項の是正を目的に、労働基準監督署の労働基準監督官が事業場へ立ち入り調査を行っています。
この調査で特にチェックされる項目として、時間外・休日労働協定の提出、割増賃金の適正な支払い、就業規則の作成・届出、労働条件の書面による明示、定期健康診断の実施、18歳未満労働者の年齢証明の備えつけ等があります。
労働基準監督官には、事業場への立ち入り権限や帳簿書類の提出を求める権限、使用者および労働者に対して尋問を行う権限があります。
労働基準法等については、法令違反をしたからといってすぐに罰則を科されるということはほとんどありません。法令違反が、深刻で重大な問題を引き起こさないうちに、労働基準監督署が監督を行い、調査、是正を求めるという監督制度となっています。
◆適正な残業代の支払い
労働基準監督署の調査で残業代の未払い等が発覚すると、過去2年間さかのぼって支払うことはもちろん、予想外の出費で会社の経営にも悪影響を及ぼしかねません。また、会社が大きくなればなるほど、新聞等に取り上げられ、会社の社会的信用が失墜し、その回復には多大な労力が必要となってしまいます。
出勤簿やタイムカードが実態どおりに記録されているか、割増賃金の計算であれば、時間外労働が1.25倍、休日労働が1.35倍、深夜労働が0.25倍の法定以上で計算され、給与締めごとに適正に支払われているか、36協定(時間外・休日労働に関する協定書)は毎年提出されているか等を再度確認し、いつ調査が入っても証明できるよう、日頃から整備しておくことが重要です。
労働基準監督署の調査は、無作為・定期的に対象になる場合もありますが、社員からの「情報提供・申告」による場合も多くあります。労働の対価としての給与は、社員から見ても、わかりやすい給与体系にしておくことが大切なポイントです。
2005/03/01
平成17年3月号
平成17年4月より雇用保険率が変わります
雇用保険率が平成17年4月1日より「1000分の2」引き上げられます。同時に、今まで使用されていた「一般保険料額表」が廃止されることになります。毎月の給与計算等で「一般保険料額表」を使用されていた事業場は、平成17年4月以降は、それぞれ被保険者の方の賃金総額に雇用保険の被保険者負担率を乗じて計算した額を控除することになりますので、ご注意ください。
【平成17年4月以降の雇用保険率】
事業区分 雇用保険料率 事業主負担 被保険者負担
一般事業 19.5/1000 11.5/1000 8.0/1000
建設の事業 22.5/1000 13.5/1000 9.0/1000
農林水産清
酒製造の事業 21.5/1000 12.5/1000 9.0/1000
◆雇用保険料の納付方法
雇用保険の保険料は、労災保険と合わせて労働保険料として年に一度年度更新を行い、毎年4月1日から5月20日までに1年分を納付することになります。労働保険事務組合に委託している場合や、一定の額を超えた場合には分割して納付することもできます。
◆原則として、代表者や取締役は加入できません
法人の代表者や取締役は原則として雇用保険に加入できません。ただし、取締役であっても、同時に部長や工場長など労働者としての役割が強く、雇用関係が認められる場合に加入できることもあります。
また、労災保険についても中小企業の事業主等は特別加入できる場合があります。
◆高年齢者保険料免除とは
4月1日において満64歳以上の労働者については、一般保険料のうち雇用保険に相当する保険料が事業主負担、被保険者負担ともに免除されます。4月1日には社員の年齢を確認し、対象者が在籍している場合には、雇用保険分は控除しないようにしなければなりません。
3月より介護保険料率が変わります
政府管掌健康保険の介護保険料率は、平成17年3月分保険料(平成17年5月2日納付期限分)から、1.25%(現在は1.11%)となります。【労使折半となります。】
給与計算等におきましては、通常4月分より変更になります。尚、同月控除をされている事業所様は注意してください。
これにより、40歳から64歳までの政府管掌健康保険料率は、健康保険の保険料率(8.2%)と合わせて、9.45%(現在は9.31%)となります。
なお、厚生年金保険にかかる保険料率には変更はありません。
2007年問題
「2007年問題」とは、日本の経済成長を支えてきた団塊世代が定年退職を迎えることで、人材・オフィス・税収・退職金支払・消費など日本経済に様々な形で大きな影響を与えるとされている問題のことです。その中でも特に、近年の不況で新規採用を抑えるなどして行ってきた雇用調整により、技術やノウハウを継承すべき人材が育っていないという点について、経済産業省も対策を検討しています。
◆団塊世代とは
厳密には1947年から1949年の3年間に生まれた人たちのことを指します。国勢調査では、この3年間に生まれた人たちだけで600万人を超え、全人口の5.4%を占めています。
財務省の報告によると、団塊世代を含む1945年から1950年生まれが定年により順次退職した場合、2010年に最大110万人の労働力人口が失われ、実質GDP(国内総生産)で最大16兆円のマイナスになるとしています。
◆「人材投資促進税制」が導入
団塊世代の定年退職による人材の激減は、雇用の需給バランスを一転させます。それに今後一段と進む少子化も含めて、社員の確保そのものに加え、いかに優秀な人材に育て上げるかが2007年以降の重要な課題となります。
そこで、人材の確保・育成を図り、人材の国際競争力をつけるための対策として、2005年度より「人材投資促進税制」が導入されることになりました。
◆「人材投資促進税制」とは
2005年度から3年間の時限措置として導入されるもので、企業が社員の研修に要した費用の一部を法人税から控除するというものです。
具体的には、05年度の教育訓練費が過去2年間の平均教育訓練費を超えた場合に、その25%(法人税の10%が上限)が法人税額より控除されることになるもので、中小企業には別途、特例制度が設けられています。
教育訓練費として対象となるものは、講師・指導員等の経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費、研修委託費などです。社員の教育・育成を行いながら、法人税が控除されることにより、結果的には増加した教育訓練費より控除額の方が上回ることも可能となります。
企業としては、2007年問題を視野に入れ、人材投資促進税制を有効に活用して、若手社員の育成、熟練従業員による技術・知識のマニュアル化、中途社員の即戦力化に向けた取り組み等をこの機会に行い、各人材に対して各々の仕事の効率を高めさせる必要があると思われます。
雇用保険率が平成17年4月1日より「1000分の2」引き上げられます。同時に、今まで使用されていた「一般保険料額表」が廃止されることになります。毎月の給与計算等で「一般保険料額表」を使用されていた事業場は、平成17年4月以降は、それぞれ被保険者の方の賃金総額に雇用保険の被保険者負担率を乗じて計算した額を控除することになりますので、ご注意ください。
【平成17年4月以降の雇用保険率】
事業区分 雇用保険料率 事業主負担 被保険者負担
一般事業 19.5/1000 11.5/1000 8.0/1000
建設の事業 22.5/1000 13.5/1000 9.0/1000
農林水産清
酒製造の事業 21.5/1000 12.5/1000 9.0/1000
◆雇用保険料の納付方法
雇用保険の保険料は、労災保険と合わせて労働保険料として年に一度年度更新を行い、毎年4月1日から5月20日までに1年分を納付することになります。労働保険事務組合に委託している場合や、一定の額を超えた場合には分割して納付することもできます。
◆原則として、代表者や取締役は加入できません
法人の代表者や取締役は原則として雇用保険に加入できません。ただし、取締役であっても、同時に部長や工場長など労働者としての役割が強く、雇用関係が認められる場合に加入できることもあります。
また、労災保険についても中小企業の事業主等は特別加入できる場合があります。
◆高年齢者保険料免除とは
4月1日において満64歳以上の労働者については、一般保険料のうち雇用保険に相当する保険料が事業主負担、被保険者負担ともに免除されます。4月1日には社員の年齢を確認し、対象者が在籍している場合には、雇用保険分は控除しないようにしなければなりません。
3月より介護保険料率が変わります
政府管掌健康保険の介護保険料率は、平成17年3月分保険料(平成17年5月2日納付期限分)から、1.25%(現在は1.11%)となります。【労使折半となります。】
給与計算等におきましては、通常4月分より変更になります。尚、同月控除をされている事業所様は注意してください。
これにより、40歳から64歳までの政府管掌健康保険料率は、健康保険の保険料率(8.2%)と合わせて、9.45%(現在は9.31%)となります。
なお、厚生年金保険にかかる保険料率には変更はありません。
2007年問題
「2007年問題」とは、日本の経済成長を支えてきた団塊世代が定年退職を迎えることで、人材・オフィス・税収・退職金支払・消費など日本経済に様々な形で大きな影響を与えるとされている問題のことです。その中でも特に、近年の不況で新規採用を抑えるなどして行ってきた雇用調整により、技術やノウハウを継承すべき人材が育っていないという点について、経済産業省も対策を検討しています。
◆団塊世代とは
厳密には1947年から1949年の3年間に生まれた人たちのことを指します。国勢調査では、この3年間に生まれた人たちだけで600万人を超え、全人口の5.4%を占めています。
財務省の報告によると、団塊世代を含む1945年から1950年生まれが定年により順次退職した場合、2010年に最大110万人の労働力人口が失われ、実質GDP(国内総生産)で最大16兆円のマイナスになるとしています。
◆「人材投資促進税制」が導入
団塊世代の定年退職による人材の激減は、雇用の需給バランスを一転させます。それに今後一段と進む少子化も含めて、社員の確保そのものに加え、いかに優秀な人材に育て上げるかが2007年以降の重要な課題となります。
そこで、人材の確保・育成を図り、人材の国際競争力をつけるための対策として、2005年度より「人材投資促進税制」が導入されることになりました。
◆「人材投資促進税制」とは
2005年度から3年間の時限措置として導入されるもので、企業が社員の研修に要した費用の一部を法人税から控除するというものです。
具体的には、05年度の教育訓練費が過去2年間の平均教育訓練費を超えた場合に、その25%(法人税の10%が上限)が法人税額より控除されることになるもので、中小企業には別途、特例制度が設けられています。
教育訓練費として対象となるものは、講師・指導員等の経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費、研修委託費などです。社員の教育・育成を行いながら、法人税が控除されることにより、結果的には増加した教育訓練費より控除額の方が上回ることも可能となります。
企業としては、2007年問題を視野に入れ、人材投資促進税制を有効に活用して、若手社員の育成、熟練従業員による技術・知識のマニュアル化、中途社員の即戦力化に向けた取り組み等をこの機会に行い、各人材に対して各々の仕事の効率を高めさせる必要があると思われます。
2005/02/01
平成17年2月号
65歳までの雇用確保義務付け
昨年6月に高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに合わせて、雇用と年金の間に収入の空白期間が生じないよう、定年の引き上げや継続雇用制度の導入により、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられることになりました。この改正法は平成18年4月1日より施行されるため、現在50歳代の社員を雇用している企業は、早急に対策をとる必要があります。
◆改正高年齢者雇用安定法の概要
(1)高齢者の雇用確保については、以下の1~3のいずれかの措置をとる義務があります。
1 65歳までの定年の引き上げ
2 継続雇用制度の導入
3 定年制の廃止
(2)高年齢者等の再就職の促進
1 募集および採用についての理由の提示
2 求職活動支援書の作成
3 シルバー人材センター等の業務の特例
◆定年の段階的引き上げ
概要の(1)の1定年の引き上げ、2継続雇用制度の導入にかかる年齢については、企業の負担を抑える意味で、以下のように段階的に引き上げられます。
期 間
定年年齢
平成18年4月?平成19年3月 62歳以上
平成19年4月?平成22年3月 63歳以上
平成22年4月?平成25年3月 64歳以上
平成25年4月? 65歳以上
◆65歳までの雇用確保の検討
概要の(1)の1?3のうち、どの措置をとればいいのかについては、各企業や社員の規模、雇用している高年齢の社員の人数によっても変わってきます。1や3については就業規則で定めることができますが、それまでの雇用契約が継続することになるため、賃金などの労働条件の変更が難しくなります。
また、2については60歳定年を残すことが可能で、対象者の基準を労使協定で合意するため、臨機応変に労働条件を見直すことができます。
育児・介護休業法が改正
育児・介護休業法の改正案が昨年12月1日に成立し、平成17年4月1日より施行となります。
主な改正点として、現行1年までの育児休業期間を最長1年半までに延長することや、子供の看護休暇が社員の権利として盛り込まれました。
また、現行では対象外となっているアルバイトや契約社員などの有期の社員に対しても、一定の要件を満たした場合には育児休業および介護休業を取得できるようになりました。
子を持ち、働く女性にとっては朗報ですが、その一方、働きたくても子供を預ける保育所が不足しているという現状があります。育児休業を半年間延長することだけでは十分とは言えず、本改正においてもなお多くの課題が残されています。
◆育児休業期間の延長
子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合にあっては、子が1歳6カ月に達するまでの休業が可能となりました。
現行の育児休業を取得し、子が1歳の時点で、「保育所に入れない」等の特別な事情がある場合に改めて1歳6カ月を限度として育児休業を取得することができるもので、1歳を超えての育児休業については再度、2週間前までに休業申出の手続きを行う必要があります。
◆子の看護休暇の義務化
現行では努力義務でしかなかった“子の看護休暇”が社員の権利として認められることとなり、要件を充たした社員からの請求があれば、経営者は拒むことができません(アルバイトや契約社員などの有期雇用者も対象となります)。
・対象となる子→小学校就学の始期に達するまでの子
・取得日数→一年度につき5日まで
◆有期雇用者への育児・介護休業の適用
アルバイトやパート、契約社員などの有期雇用者でも、以下のいずれかの要件を充たす場合には育児休業、介護休業の適用対象に加えられることとなりました。
・申出の時点で、1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること(ただし、子が1歳に達する日からさらに1年を経過する日までに雇用関係が終了することが、申出の時点で明らかである者を除く)
昨年6月に高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに合わせて、雇用と年金の間に収入の空白期間が生じないよう、定年の引き上げや継続雇用制度の導入により、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられることになりました。この改正法は平成18年4月1日より施行されるため、現在50歳代の社員を雇用している企業は、早急に対策をとる必要があります。
◆改正高年齢者雇用安定法の概要
(1)高齢者の雇用確保については、以下の1~3のいずれかの措置をとる義務があります。
1 65歳までの定年の引き上げ
2 継続雇用制度の導入
3 定年制の廃止
(2)高年齢者等の再就職の促進
1 募集および採用についての理由の提示
2 求職活動支援書の作成
3 シルバー人材センター等の業務の特例
◆定年の段階的引き上げ
概要の(1)の1定年の引き上げ、2継続雇用制度の導入にかかる年齢については、企業の負担を抑える意味で、以下のように段階的に引き上げられます。
期 間
定年年齢
平成18年4月?平成19年3月 62歳以上
平成19年4月?平成22年3月 63歳以上
平成22年4月?平成25年3月 64歳以上
平成25年4月? 65歳以上
◆65歳までの雇用確保の検討
概要の(1)の1?3のうち、どの措置をとればいいのかについては、各企業や社員の規模、雇用している高年齢の社員の人数によっても変わってきます。1や3については就業規則で定めることができますが、それまでの雇用契約が継続することになるため、賃金などの労働条件の変更が難しくなります。
また、2については60歳定年を残すことが可能で、対象者の基準を労使協定で合意するため、臨機応変に労働条件を見直すことができます。
育児・介護休業法が改正
育児・介護休業法の改正案が昨年12月1日に成立し、平成17年4月1日より施行となります。
主な改正点として、現行1年までの育児休業期間を最長1年半までに延長することや、子供の看護休暇が社員の権利として盛り込まれました。
また、現行では対象外となっているアルバイトや契約社員などの有期の社員に対しても、一定の要件を満たした場合には育児休業および介護休業を取得できるようになりました。
子を持ち、働く女性にとっては朗報ですが、その一方、働きたくても子供を預ける保育所が不足しているという現状があります。育児休業を半年間延長することだけでは十分とは言えず、本改正においてもなお多くの課題が残されています。
◆育児休業期間の延長
子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合にあっては、子が1歳6カ月に達するまでの休業が可能となりました。
現行の育児休業を取得し、子が1歳の時点で、「保育所に入れない」等の特別な事情がある場合に改めて1歳6カ月を限度として育児休業を取得することができるもので、1歳を超えての育児休業については再度、2週間前までに休業申出の手続きを行う必要があります。
◆子の看護休暇の義務化
現行では努力義務でしかなかった“子の看護休暇”が社員の権利として認められることとなり、要件を充たした社員からの請求があれば、経営者は拒むことができません(アルバイトや契約社員などの有期雇用者も対象となります)。
・対象となる子→小学校就学の始期に達するまでの子
・取得日数→一年度につき5日まで
◆有期雇用者への育児・介護休業の適用
アルバイトやパート、契約社員などの有期雇用者でも、以下のいずれかの要件を充たす場合には育児休業、介護休業の適用対象に加えられることとなりました。
・申出の時点で、1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること(ただし、子が1歳に達する日からさらに1年を経過する日までに雇用関係が終了することが、申出の時点で明らかである者を除く)
2005/01/01
平成17年1月号
保険料の節約法
年金改正で2004年10月より会社員の厚生年金保険料が年収の13.934%に上がりました。保険料率は毎年上がり続け、2017年には18.3%になります。
日本経団連の試算では、保険料が15%になると資本金500万円以上1,000万円未満の中小企業の最終利益は全体で赤字になるとのことです。
このように、負担増ははっきりしているのに、年金の将来像は明確ではないのです。なんとかならないのか、防衛策に走る企業も出てきました。
そのひとつが、確定拠出年金(日本版401K)の活用です。
確定拠出年金の非課税限度額が1万円増えて、月4万6,000円になりました。掛金を増やして給与を減らせば、給与に比例して上がる厚生年金の保険料は抑えられます。
ある会社では、月給から確定拠出年金の掛金にいくら回すかを自分で決められる制度にしたところ、若手社員のほとんどが上限いっぱいまで増額して、同社の担当者を驚かせました。
ところで、従来の確定拠出金の限度額を前払い一時金として給与に上乗せして支払ってきた会社では、「前払い退職金は給与とみなす」という厚生労働省の通知によって、保険料節約の意味がなくなってしまいました。
このため、同社も、支出を抑えるために、前払い退職金分を確定拠出年金の掛金に切り替えたのです。
また、事業協同組合を活用した保険料の節約策もあります。これは、システムエンジニアなどの技術者が共同で仕事を受注するための事業協同組合です。組合に派遣社員として働いていた技術者を移し、身分を会社員から個人事業主に変えることで、本来ならば派遣社員の厚生年金保険料の半分は雇い主である派遣会社の負担となるところが、国民年金に移ることになり、派遣会社は保険料を負担しなくてよいことになります。国民年金の方が、会社負担も個人負担も軽いのです。
企業や従業員が、覚悟を決めて負担を受け入れようとする年金制度になればいいのですが、当分この動きは止まりそうにありません。
生命保険の手数料
私たちが普段意識しない手数料として、生命保険の付加保険料があります。
生命保険料は、大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」の2つがあります。
純保険料は、万一の際の保障や満期の満期保険料に充てられるもので、純保険料は、予定死亡率等により厳密に計算されているものです。たとえば、不幸が起きて、それが契約の直後であっても、高額の保険金を遺族は受け取ることができます。貯蓄だと毎月積み立てても、当初受け取れるのは少額です。この点が保険と貯蓄との大きな違いです。
一方、手数料である付加保険料は、保険会社の社員の給料や資料代・運営費などの経費に用いられます。もちろん、付加保険料の一部は保険会社の利益になります。
では、この手数料である付加保険料は、実際どれくらいの額なのでしょうか?
保険会社には、手数料を公表する義務はなく、むしろ、安い商品を開発して宣伝したくても、他社の保険料をパンフレットに掲載するなどの比較行為が法律で禁止されています。公表はしたくてもできないというのが実状なのです。
元外資系保険会社の社長で保険数理の専門家である野上憲一氏によると、手数料は保険料総額の50%から60%になるといいます。つまりこれは、自分の支払っている保険料の半分が、実は保険会社の運営費に消えているということです。
逆に言えば、それだけコストをかけないと保険事業は成り立たないということなのかもしれません。
しかし、公的年金運営であれだけ社会保険庁および厚生労働省を批判した人たちが、保険料の半分しか純保険料として活用されていないという事実に無関心なのは不思議です。
私たちは、保険料の使われ方にも注目するべきでしょう。
年金改正で2004年10月より会社員の厚生年金保険料が年収の13.934%に上がりました。保険料率は毎年上がり続け、2017年には18.3%になります。
日本経団連の試算では、保険料が15%になると資本金500万円以上1,000万円未満の中小企業の最終利益は全体で赤字になるとのことです。
このように、負担増ははっきりしているのに、年金の将来像は明確ではないのです。なんとかならないのか、防衛策に走る企業も出てきました。
そのひとつが、確定拠出年金(日本版401K)の活用です。
確定拠出年金の非課税限度額が1万円増えて、月4万6,000円になりました。掛金を増やして給与を減らせば、給与に比例して上がる厚生年金の保険料は抑えられます。
ある会社では、月給から確定拠出年金の掛金にいくら回すかを自分で決められる制度にしたところ、若手社員のほとんどが上限いっぱいまで増額して、同社の担当者を驚かせました。
ところで、従来の確定拠出金の限度額を前払い一時金として給与に上乗せして支払ってきた会社では、「前払い退職金は給与とみなす」という厚生労働省の通知によって、保険料節約の意味がなくなってしまいました。
このため、同社も、支出を抑えるために、前払い退職金分を確定拠出年金の掛金に切り替えたのです。
また、事業協同組合を活用した保険料の節約策もあります。これは、システムエンジニアなどの技術者が共同で仕事を受注するための事業協同組合です。組合に派遣社員として働いていた技術者を移し、身分を会社員から個人事業主に変えることで、本来ならば派遣社員の厚生年金保険料の半分は雇い主である派遣会社の負担となるところが、国民年金に移ることになり、派遣会社は保険料を負担しなくてよいことになります。国民年金の方が、会社負担も個人負担も軽いのです。
企業や従業員が、覚悟を決めて負担を受け入れようとする年金制度になればいいのですが、当分この動きは止まりそうにありません。
生命保険の手数料
私たちが普段意識しない手数料として、生命保険の付加保険料があります。
生命保険料は、大きく分けて「純保険料」と「付加保険料」の2つがあります。
純保険料は、万一の際の保障や満期の満期保険料に充てられるもので、純保険料は、予定死亡率等により厳密に計算されているものです。たとえば、不幸が起きて、それが契約の直後であっても、高額の保険金を遺族は受け取ることができます。貯蓄だと毎月積み立てても、当初受け取れるのは少額です。この点が保険と貯蓄との大きな違いです。
一方、手数料である付加保険料は、保険会社の社員の給料や資料代・運営費などの経費に用いられます。もちろん、付加保険料の一部は保険会社の利益になります。
では、この手数料である付加保険料は、実際どれくらいの額なのでしょうか?
保険会社には、手数料を公表する義務はなく、むしろ、安い商品を開発して宣伝したくても、他社の保険料をパンフレットに掲載するなどの比較行為が法律で禁止されています。公表はしたくてもできないというのが実状なのです。
元外資系保険会社の社長で保険数理の専門家である野上憲一氏によると、手数料は保険料総額の50%から60%になるといいます。つまりこれは、自分の支払っている保険料の半分が、実は保険会社の運営費に消えているということです。
逆に言えば、それだけコストをかけないと保険事業は成り立たないということなのかもしれません。
しかし、公的年金運営であれだけ社会保険庁および厚生労働省を批判した人たちが、保険料の半分しか純保険料として活用されていないという事実に無関心なのは不思議です。
私たちは、保険料の使われ方にも注目するべきでしょう。