「新卒者体験雇用事業」の拡充について
◆6月7日から改正
平成22年6月7日から、「新卒者体験雇用事業」の内容が拡充されています。
この事業は、就職先が決まっていない新規学卒者を対象として、企業が体験的な雇用の機会を設けることにより、就職先の選択肢を広げるとともに、その後の正規雇用に結び付けることを目的としています
この制度を活用する企業には、「新卒者体験雇用奨励金」が支給されます。今回はこの奨励金の「体験雇用期間」と「支給額」が改正されました。
◆主な要件と改正点
この制度の対象者は、卒業後も就職活動を継続している大学生や高校生等で、ハローワークへ登録していることが条件となります。
対象者を受け入れる企業は、ハローワークへ体験雇用求人を登録する必要があり、体験雇用の開始日は「卒業日の翌日以降」となっています。
制度改正前の体験雇用期間は「1カ月」でしたが、改正後は「最長3カ月」まで可能となり、奨励金の額は「8万円」から「最大16万円」(1カ月目:8万円、2・3カ月目:各4万円)となりました。
◆申請までの流れ
体験雇用の開始にあたっては、企業は対象者との間で有期雇用契約を締結します。体験雇用期間中の労働時間は、通常の労働者の1週間の所定労働時間と同程度(30時間を下回らない)で設定し、契約で定めた賃金を支払います。
そして、体験雇用開始日から2週間以内に「体験雇用実施計画書」を提出し、その後、体験雇用終了日の翌日から起算して1カ月以内に「体験雇用結果報告書兼新卒者体験雇用奨励金支給申請書」を提出することとなります。
◆中小企業にとっての大きなチャンス
世界的な不況、それに伴う企業の業績不振の影響で、就職内定率は低下傾向にありますが、これを逆手にとれば、中小企業にとっては良い人材を採用する大きなチャンスだとも言われています。
このような制度をうまく活用して、人材の採用・定着につなげたいものです。
病院での待ち時間が減少 その要因は?
◆厚生労働省の調査より
今年3月に、厚生労働省から2008年の「受療行動調査」が発表されましたが、これにより、「病院での待ち時間」の状況が改善していることがわかりました。
この調査は、全国の医療施設を利用する方を対象に「医療に対する満足度」を調査しているもので、3年に1回行われています。
◆「待ち時間」に関する調査
この調査項目の中で注目すべきは、外来患者に対して行った「診察前の待ち時間」(予約を行った場合は予約時間からの待ち時間)についてです。「1時間未満」の割合は68.7%となっており、調査開始の1996年と比較すると8.6ポイント増加しており、「1時間以上」の割合は減少しています。
病院の種類別に見ると、特定機能病院、大病院、中病院では「30分以上1時間未満」の割合が最も多く、それぞれ25%前後となっています。小病院、療養病床を有する病院では「15分以上30分未満」の割合が26%前後と最も多くなっています。
◆待ち時間短縮の理由
待ち時間短縮の理由は、「診察時間の予約」や「病院独自の工夫」によるものとみられています。しかし、病院側が一人ひとりの診察に十分な時間を割こうとすると、待ち時間の短縮には限界があり、患者側が望む「30分未満」にはまだまだ課題があるようです。
◆病院側の工夫
そこで最近では、待ち時間の短縮ではなく「時間の有効活用」や「イライラ解消」に重点を置き、患者の満足度を高める工夫をする病院が増えているようです。
例えば、インターネット等で事前に院内の混み具合がわかるようにしたり、診察の順番や待ち人数がわかる発券機表示モニターを設置したりする病院もあるようです。
待ち時間に対するイライラを少なくするような取組みを行う病院は、今後も増えていくことが予想されます。
労災における「障害認定の男女差」見直しへ
◆京都地裁の判断
労災で顔や首に大やけどを負った男性が、「女性よりも労災の障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に反する」として、国の等級認定の取消しを求めていた訴訟で、京都地方裁判所は「合理的な理由なく性別による差別的扱いをしており、憲法14条に違反する」として、国に認定の取消しを命じる判決を下しました。
◆男女間で障害等級の差
報道によれば、男性は勤務先で作業中、溶けた金属が作業服に燃え移って大やけどを負いました。顔や胸、腹などに跡が残ったため、他の症状を併合して労災認定を申請し、労働基準監督署は男性の障害等級を「11級」と認定しました。
労災保険の障害等級表では、「外貌に著しい醜状を残すもの」として、顔などにけがが残った場合、男性の等級を「12級」、女性の等級を「7級」と規定しています。これは、容姿に著しい傷跡が残った場合、女性のほうが男性より精神的苦痛が大きいなどとしているためです。
◆給付金額に大きな差
労働者に後遺症が残った場合に支給される給付について、症状や傷の程度に応じて「1級」から「14級」までの障害等級が定められています。
今回のケースでは、「11級」の認定となるため、223日分を一時金として1回支給されるだけですが、仮に「7級」と認定された場合は、平均賃金の131日分が年金として生涯にわたり支給されることになります。そのため、性別だけで給付金額に大きな格差が生じることは著しく不合理であると判断されたといえます。
◆埋まりつつある男女差
障害補償は本来、障害による「逸失利益」を補償する意味合いが強く、交通事故などの損害補償をめぐる裁判でも広く争われており、かつては顔の傷に関して男性の場合はほとんど認められていませんでした。しかし、最近では憲法14条(法の下の平等)に反するとの司法判断が出始めています。
国は、今回の訴訟について控訴を断念したようであり、これに関連して、厚生労働省は、今年度中に労災保険の障害等級表を見直す方針を示しています。
「協会けんぽ救済」で多くの健保組合が負担増に
◆改正法が可決・成立
全国健康保険協会(協会けんぽ)の大幅な保険料上昇を抑制するための「医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決・成立しました(5月12日)。
◆改正の主な内容
改正の主な内容は次の通りです。
(1)後期高齢者支援金で年収比例の仕組みを一部導入
(2)協会けんぽの国庫補助率を引上げ(13%→16.4%)
(3)会社員に扶養されていた高齢者の保険料負担の軽減措置を継続
(4)保険料の滞納世帯でも高校生以下に短期被保険者証を交付
◆健保と共済が「肩代わり」
新制度は7月から実施となり、財政が悪化する「協会けんぽ」の再建を支援するため、後期高齢者支援金の負担を軽減するとともに、保険給付の国庫補助率を16.4%(現行は13%)に引き上げます。
また、大企業の会社員らが加入する「健康保険組合」と公務員などが加入する「共済組合」に負担増を求めています。これにより、全国平均で9.9%に上がるはずだった「協会けんぽ」の保険料率(2010年度)は9.34%に抑えられることとなります。
◆国庫補助率も引上げへ
国庫補助率の引上げにより、国は協会けんぽへ2010年度に610億円、2011年度に920億円の公費(税金)を投入するとしています。
厚生労働省では、1,478組合ある健保組合のうち、6割強の922組合で負担増になると試算しており、556の組合においては逆に負担が減る見込みとされています。「協会けんぽ」の救済策は2010年度から3年間適用となり、2013年度からは「後期高齢者医療制度」を廃止し、新しい高齢者医療制度に移行する方針です。
改正法による影響は大きく、特に大企業の健保組合においては2010年度に約5億円の負担増となると試算されている組合もあります。2010年度の健保全体の予算は6,600億円の赤字になる見通しで、3期連続赤字となります。
このような厳しい状況の中、高齢化社会に対応した高齢者医療制度を含む医療保険制度の立直しを一刻も早く行う必要がありそうです。
高い日本企業の税負担率
◆海外先進国との比較
新聞報道によれば、国際的に比較した日本企業の税負担の重さが改めて浮き彫りになっているようです。「日経株価指数300」の構成企業(銀行・証券・保険を除く)を対象に、2009年度の連結決算を集計したところ、法人税・事業税・住民税などの企業の税負担額を、税引き前利益で割って会計上の税負担率を計算すると「49.1%」に達するとのことです。
同様の計算方法で先進国の主要企業の比率を求めると、アメリカ「29.9%」、ドイツ「34.4%」、イギリス「36.0%」となっています。
また、国税、地方税を合わせた法定実効税率について、日本は「40.7%」となっていますが、ドイツ「約29%」、イギリス「約28%」で、アメリカの「約40%」を超えて世界最高水準となっています。
◆国際競争率の低下
先進諸国に比べて日本だけが突出して法人税が高いということは、日本企業が国際競争力を失ってしまうということです。先進諸国の企業は税率が低い分、資金を設備投資や研究開発費に投じることができます。
一方、日本企業はたとえ同じ利益を上げたとしても、諸外国企業と同様に設備費や開発費を投入することができず、後れをとってしまうこととなります。このままだと、日本の有望企業が、税負担の低い国に流出してしまうおそれがあると言われています。
◆法人税の引下げの検討
国家財政が悪化をたどる中、法人税の引下げには反対論もあります。しかし、このままでは、日本の企業は競争力を失い、業績の悪化から税収は低下し、さらなる財政悪化という悪循環に陥ることも予想されます。
世界を見渡すと、台湾が法人税率を25%から17%に引き下げるなど、引下げの流れが加速しています。世界情勢に倣い、まずは企業競争力を強化することが必要だと思われます。
◆法人税と消費税
しかし、法人税を引き下げると、企業が活力を取り戻すまでの間、一旦は税収が落ちることとなり、その分をどこかで補填しなければなりません。
そこで考えられるのは、消費税の引上げです。現在、消費税は5%と決して低率ではありませんが、ドイツやイギリスの17%前後と比較すれば引上げの余地はあるのかもしれません。
しかし、消費税引上げは国内の景気に大きく影響することから、十分に慎重な検討が求められます。
「メンタルヘルス対策」をめぐる動き
◆ストレス社会の中で
日本における自殺者数は、近年、3万人を超える数で推移していますが、そのうち約2,500人の原因・動機は「勤務問題」によるものだとされています。また、精神障害等による労災認定件数も増加傾向にあり、仕事や職業生活に強いストレスを感じている労働者は約6割に上るとの調査結果もあるようです。厚生労働省の調査では、うつ病患者を含む「気分障害」の患者は100万人を超えているそうです。
そのような状況の中、厚生労働省に設置された「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」(学者、医師、弁護士などで構成)が、5月下旬に初めての会合を開きました。
◆今後検討される内容
この検討会においては、(1)メンタルヘルス不調者を把握する方法(2)不調者の把握後の作業転換・職場復帰などの対応方法を検討するとしています。
このうち(1)については、具体的には、労働安全衛生法に基づく定期健康診断において、労働者が不利益を被らないように配慮をしつつ、効果的にメンタルヘルス不調者を把握する方法について検討していくとしています。
また、(2)については、メンタルヘルス不調者の把握後、会社による労働時間の短縮、作業の転換、休業、職場復帰等の対応が適切に行われるように、外部機関の活用や医師の確保に関する制度等について検討していくとしています。
◆企業としての対応が急務
労働基準監督署では、平成22年度においては、「メンタルヘルス対策の具体的な取組みについての事業場への指導・助言」を特に強化する方針を示しています。
企業としても、メンタルヘルス不調者が発生しないための取組み、仮に不調者が発生してしまった場合の対応に関してのルール作り(「休職制度」「職場復帰制度」「リハビリ勤務制度」等の規定化)など、対応が急務となっている状況です。
「夫は外で仕事、妻は主婦業」の考え方
◆出産や子育てに関する調査
国立社会保障・人口問題研究所では、このほど、2008年7月に実施した「全国家庭動向調査(第4回)」(調査票配布数:13,045票、有効回収数:10, 192票、有効回収率:約78.1%)の結果を発表しました。
この調査は、5年周期で実施されており、家庭機能の変化の動向や要因を把握するために、出産や子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的とするものです。
◆夫婦の役割に関する妻の意識
この調査の中で、夫婦に関する考え方として、「夫は外で働き、妻は主婦業に専念」という考え方に賛成する既婚女性の割合は45.0%(前回調査時41.1%)で、前回調査時から3.9ポイント上昇しました。この項目について上昇に転じたのは、1993年の初回調査以降初めてのことだそうです。
また、「夫も家事や育児を平等に分担すべき」と考える既婚女性の割合は82.9%(同82.8%)と前回調査時とほぼ同じでした。「夫は会社の仕事を優先すべきだ」と考える既婚女性も66.6%(同66.9%)とあまり変化は見られませんでした。
◆従業員の様々なニーズ
「夫婦の役割」に対する考え方が人それぞれであるのは当然のことであり、企業としては、そのようなことを常に意識しておく必要があるでしょう。
今後、少子化等により労働力が不足していくと予測される中、企業としては、従業員の様々なニーズに対応した労働時間制度・休暇取得制度の導入や、勤務体系の構築を考えなければならないのかもしれません。
「テレワーク(在宅勤務)」導入企業が増加
◆2009年は19%の企業が導入
総務省が4月下旬に「2009年通信利用動向調査」の結果を発表しましたが、それによれば、テレワーク(在宅勤務)を導入している企業は2009年に19.0%となったそうです。2007年は10.8%でしたから、2年でほぼ倍増しているといえます。
増加している要因には、どのようなことがあるのでしょうか。
◆「非常時に備えて」の理由が増加
テレワークを導入している企業の導入目的を見てみると、「勤務者の移動時間の短縮」(51.5%)、「定型的業務の効率性(生産性)の向上」(41.8%)が上位を占めています。
そして、「地震や新型インフルエンザ等の非常時の事業継続に備えて」が、前年の19.2%から20.4ポイントも上昇し、39.6%となっています。
その他の理由としては、「顧客満足度の向上」(18.7%)、「勤務者にゆとりと健康的な生活の実現」(13.3%)、「通勤弱者(身体障害者、高齢者、育児中の女性等)」への対応(13.2%)などが挙げられています。
◆導入企業の多くは大企業
テレワーク導入企業のうち、96.2%が「導入の効果があった」と回答しており、その効果はとても大きいようです。
現在、テレワーク導入企業の中心は大企業となっているようですが、今後は、非常時への対応(危機管理)、従業員への配慮、顧客先への配慮といった理由から、中小企業でも導入が進んでいくかもしれません。
育児・介護休業法に関する新しい援助・調停制度
◆改正育児・介護休業法の施行
改正育児・介護休業法の主要部分の施行が6月30日に迫っています(一部の規定は、「常時100人以下の労働者を雇用する中小企業」について平成24年7月1日から施行されます)。
この改正により、「短時間勤務制度の義務化」「パパママ育休プラス制度の創設」などが図られ、仕事と子育ての両立支援のための取組みが強化されますが、改正前の法律においても、育児休業取得による不利益取扱いなどは禁止されており、それらに関するトラブルは多いようです。
◆相談件数が大幅に増加
厚生労働省の発表によれば、2009年度に全国の労働局に寄せられた「育児・介護休業法に関する相談」は1,657件だったそうです。この件数は、前年度から約3割も増えています。
相談の主な内容は、育児休業取得による解雇、降格、正社員からパートタイマーへの変更の強要などとなっています。
◆苦情処理や紛争解決のために
改正育児・介護休業法においては、「苦情処理・紛争解決の援助及び調停の仕組み」が創設され、すでに実施されています。具体的には、都道府県労働局長による「援助制度」(2009年9月スタート)、社会保険労務士や弁護士などの専門家で構成される「調停制度」(2010年4月スタート)です。
これらの制度は、企業側・従業員側それぞれの言い分を聞き、紛争に関する結論が出るまでに、「援助制度」は1~2カ月程度、「調停制度」は3カ月程度かかると言われています。
改正法の主要部分の施行により、今後、「援助制度」や「調停制度」の利用件数が増えていくものと思われます。企業としては、まずは、育児休業・介護休業などに関して紛争とならないような制度作り、労務管理等が求められます。
「勤務間インターバル規制」とは?
◆IT企業などで導入
最近、長時間労働が恒常化しているIT関連企業などにおいて、「勤務間インターバル規制」を導入する動きが見られるそうです。このインターバル規制は、1日の仕事が終了してから次に仕事を開始するまでに、一定時間の休息を義務付けるものです。
なぜ今、導入する企業が増えているのでしょうか。
◆EU指令では「連続11時間の休息」
上記の規制に関しては、EU(欧州連合)が加盟国の法律に関する基準を定めた「EU労働時間指令」の中で、「最低連続11時間の休息」を規定しています。なぜ、このような規制が定められているかというと、「ワーク・ライフ・バランス」に配慮するためであり、労働者の健康を守るためです。
仮にEUの基準でこの規制を導入した場合、例えば午後11時まで勤務した日の翌日は、午前10時までは勤務が免除されることになります。
日本の情報労連(情報産業労働組合連合会)では、昨年の春闘において、「導入が可能な組合においては、インターバル規制の導入に向けた労使間協議を促進する」という方針を掲げました。
◆ワーク・ライフ・バランスに向けて
厚生労働省から発表されている「労働経済白書」によれば、25~44歳の男性のうち週に60時間以上働いている人の割合は20%以上になっており、週5日勤務した場合、1日に12時間も働いている計算になります。
この「働き盛り」世代の健康を守り、「ワーク・ライフ・バランス社会」を実現させるため、今後、日本でもこのインターバル規制についてさらに議論されていくかもしれません。
畑中社労士事務所では顧問先の企業様を対象に 毎月事務所便りを発行しています。 内容は法改正情報や人事労務に関する時事ニュース等を中心に会社を 経営する上で欠かせない情報をお伝えしています。 このページでは今までに発行した事務所便りの 概要をご紹介させて頂きます。
2010/07/01
2010/06/02
6月の事務所便り
上司と若手社員の考え方のギャップ
◆若手社員のモチベーションが低下
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が、20~50代のサラリーマンを対象に昨夏に「仕事に関する意識調査」を行いました。このアンケートの中に「現在の仕事へのモチベーション」という項目がありましたが、全体的にモチベーションの低下傾向が見られた中、特に20代社員の低下が著しい結果となりました。
「現在の仕事にやる気がある」と答えた社員の割合は、2008年調査と2009年調査を比較すると、20代では57.3%→50.0%(7.3ポイント減)、30代では50.5%→50.3%(0.2ポイント減)、40代では49.2%→54.4%(5.2ポイント増)、50代では55.0%→52.0%(3.0ポイント減)との結果でした。
同社では、20代の若手社員のモチベーションが低下した原因として、「会社の将来性への不安」「人材育成の機会の不十分さ」などを挙げています。40代では会社の将来性への不安を抱きつつも、それがモチベーションの低下には繋がっていない結果となっており、ここに若手社員とのギャップが見られます。
◆上司は若手社員の「困難克服力」に期待
また、JTBモチベーションズ(JTBグループの人事コンサルティング会社)では、今年の2月に若手社員の成長などに関する調査の結果を発表しました。約40%の上司は部下の「困難を克服する力」に大きな期待をかけている一方で、このような「困難克服力」を伸ばしたいと考えている若手社員(入社1年目から3年目まで)は約20%しかいないという結果となりました。
ここでも、「上司の求めるもの」と「若手社員の意識」の大きなギャップが見られる結果となりました。
◆いかに考え方のギャップを小さくするか
「上司と若手社員の考え方のギャップ」、これはいつの時代においても存在する永遠のテーマなのかもしれません。しかし、初めから「ギャップがあるのはしょうがない」言って諦めてはいけません。
この不景気の時代、会社が一丸となって業務を進めていくためには、上司と部下、年配者と若者のギャップをいかに小さくしていくかを考えなければなりません。世代間ギャップを埋めることを社員個人に頼るのではなく、「ギャップを小さくするために会社として何かできることはないか」を考える必要があるのではないでしょうか。
健康診断で「うつ病検査」を義務化へ
◆うつ病などの労災請求・認定件数
2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件(3年で41.3%増)、認定件数は269件(3年で111.8%増)となっており、増加傾向にあります。
そこで、厚生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの精神疾患に関する検査を義務付ける方針を明らかにしました。
2011年度からの実施を目指すとしており、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今後まとめる報告書に盛り込まれる予定で、労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正)により対応していくものと思われます。
◆高い自殺率の背景にうつ病などの精神疾患
日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、人口10万人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、欧米の先進諸国と比較して突出して高い水準にあります。
また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。これらうつ病をはじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の背景にあると言われているため、自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急務とされていました。
◆一体となった取組みが必要
健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少につながることが期待されていますが、政府・厚生労働省の対策に頼るだけでなく、職場・地域・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが期待されるところです。
年金記録の回復がより早く!~新たな回復基準~
◆年金記録確認第三者委員会の役割
世間を騒がせた「消えた年金」や「宙に浮いた年金」を救済するため、昨年6月に総務省に「年金記録確認第三者委員会」(第三者委員会)が設置されました。
この第三者委員会は、年金記録の確認について、国(厚生労働省)に記録が残っていなく、本人も領収書等の物的な証拠を持っていないといったケースについて、国民の立場に立ち、申立てを十分に汲み取り、様々な関連資料を検討したうえで、記録訂正に関し公正な判断を示すことが任務とされています。
◆新たな年金記録救済策
このほど(5月6日)、日本年金機構では、年金記録救済策をさらに手厚くするため、上記の第三者委員会で審議することなしに年金事務所(旧社会保険事務所)の調査だけで年金記録を回復できる基準を示しました。その内容は次の通りです。
(1)厚生年金(標準報酬月額の改ざんの疑い)
・6カ月以上さかのぼって標準報酬月額が大きく引き下げられている記録が事実に反していると疑われるなどの条件を満たす場合
(2)厚生年金(脱退手当金の誤った支給記録)
・昭和49年まで発行されていた厚生年金の被保険者証に、脱退手当金を支給した表示がないなどの条件を満たす場合
・脱退手当金の支給日より前にその計算基礎にされていない厚生年金の期間があるなどの条件を満たす場合
(3)国民年金(2年以下の記録漏れ)
・保険料納付記録が漏れていると思われる期間が2年以下であって、その他の期間は納付済みであるなどの一定の条件を満たす場合
◆その他の年金記録回復の基準
上記以外にも、確定申告書の控えが残っている場合や、勤めていた事業所が廃止された後に厚生年金の加入記録がさかのぼって変更されている場合などの回復基準があります。
起業を目指す若者が減っている!?
◆「1万人アンケート」の結果から
野村総合研究所では、昨年末に「生活者1万人アンケートにみる日本人の価値観・消費行動の変化」を発表しました。これは、15~69歳の約1万人を対象に行ったアンケートをまとめたもので、1997年から3年ごとに実施されています。
このアンケートで、「会社を立ち上げて経営者になる」、つまり「起業家を目指す」人が減っていることが明らかになりました。
◆減少する「起業家志向」
「一流企業に勤めるよりも、自分で事業をおこしたいか」との質問に対して、肯定的な意見(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人)は「35%」で、1997年の「49%」から14ポイントも低下しています。世代別でみると、30代の起業家志向が39%と最も高く、10代では27%と最も低い結果となりました。
◆不景気下でより安定志向へ
景気の低迷により、2009年の新興企業向け市場の東証マザーズの新規上場数は4社でした。ピーク時(2004年)の57社から大幅減少しています。
また、上記のアンケートで、仕事をしている人のうち59%(前回調査から3ポイント増)の人が「転職は考えていない」と答えるなど、不景気の中、より安定的な生活を希望する人が増えている傾向が鮮明に表れる結果となりました。
「ワークルールチェッカー」の診断結果
◆15万アクセス突破
連合は、今年2月に開設した、労働条件簡易診断Webサイトの「ワークルールチェッカー」(http://www.work-check.jp/)のアクセス数が15万件(4月13日時点)に達したと発表しました。診断結果が「ひとまず安心」(チェック項目がゼロ)だったのは全体の約2割で、雇用形態を問わず、法令違反の可能性が示唆される結果が目立っているそうです。
◆寄せられた回答の多くに労働法令違反の可能性
この「ワークルールチェッカー」は、Webサイトにパソコンや携帯電話からアクセスし、9つの設問(派遣労働者は14問)の中から該当する項目にチェックを入れることで、職場の法令遵守度合いを点検できる仕組みです。
9つの設問は次の通りです。
(1)労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない。
(2)給与明細に「厚生年金保険料」「健康保険料」が載っていない。
(3)給与明細に「雇用保険料」が載っていない。
(4)残業したのに、残業代が全部または一部支払われない。
(5)有給休暇がもらえない、あっても取りづらい。
(6)会社で健康診断を受ける機会がないか、自腹で健康診断をしている。
(7)仕事上の病気・ケガをしたら、会社から「自分で治せ」と言われた。
(8)会社の都合で仕事が休みになったのに、賃金補償がない。
(9)仕事中にミスをしたら、罰金をとられる。
◆有給休暇や残業、労働条件の書面明示などに問題が
設問ごとにみると、利用者の約半数が「有給休暇がもらえない、あっても取りづらい」にチェックしており、次いで「残業したのに、残業代が全部または一部支払われない」、「労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない」がともに約35%となっています。
派遣労働者のみの設問では、「『打合せ』、『見学』の名目で派遣先と事前に会ったことがある」をチェックした人の割合が約53%で一番高かったようです。
設問の内容は基本的なものが中心ですが、チェック項目がゼロの「ひとまず安心」が全体の2割ほどしかなかったということを考えると、労使トラブルが発生する可能性がある企業の割合は高く、その対策が急がれます。
残業時間の削減を進めるには?
◆長時間労働の短縮に向けて
過去に「働きバチ」と揶揄されたこともある日本人の残業時間は、以前よりは短くなっているものの、国際的にみるとまだまだ長いと言われています。
1人あたりの平均年間総実労働時間は減少傾向にあるものの、正社員については、今も2,000時間前後で推移しています。働き盛りの30~40代男性では、フルタイム勤務者のうち週60時間以上働く人が全体の2割を超えています
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現させるためにも長時間労働の短縮は必要不可欠ですし、また、この4月からは改正労働基準法が施行され、月60時間を超える残業に支払う賃金割増率が25%から50%以上へと引き上げられており(中小企業は猶予期間あり)、人件費抑制の対策としても労働時間の短縮が急務と言えます。
◆残業時間削減への各社の取組み
残業時間削減に向けて、ある企業では、会議で使用するディスプレー上に、社員1秒あたりの平均賃金と会議時間を基に算出した「会議コスト」を秒刻みで表示しているそうです。一人ひとりにコストを意識させ、会議を効率的に進めることが狙いです。この企業では、全スタッフが1日の予定をパソコンに入力し、共有できる仕組みも導入したことにより、月間の平均残業時間が2年前に比べ半分以下となったそうです。
また、他の企業では、1日の予定を管理職に報告させることに加え、全員の時間の使い方を分析することで、長時間労働の原因を分析し、残業削減に取り組んでいるそうです。
◆個人でもできる残業削減
残業時間を減らすには、社員の協力も必要不可欠です。仕事を効率的に終わらせるスキルを身につけることができれば、個人でも残業の削減は可能です。
まずは、日常業務を徹底的に見直し、始業から就業までの間にどんな仕事をするのか、スケジュールを書き出すことから始めます。このとき、例えば「13時~17時:資料作成」などと大まかに計画しがちですが、資料作成といっても「データ収集」「情報分析」「入力作業」などいくつもの作業に分かれます。業務を細分化し、事前に準備しておく事項や人に任せられる事項を明確にしておけば、時間を効率的に使えるようになります。
残業時間の削減は労使双方にとって大きなメリットがあります。まずは、会議や打合せ、資料作成などの身近なムダを排除することから始める必要がありそうです。
「主婦パート」の仕事に対する考え方
◆平成22年版を発表
株式会社アイデムの「人と仕事研究所」は、平成22年版の「パートタイマー白書」を発表しました。いわゆる「主婦パート」の実態と労働力としての今後の可能性について書かれていますが、とても興味深い内容となっています。
◆「主婦パート」の半数は就労調整せず
主婦パート本人に対して収入について質問したところ、自身の収入に「上限を設けている」と回答した人は約半数(50.5%)で、このうち、いわゆる「103万円の壁」、つまり所得税の非課税限度額や配偶者控除を意識している人は約4割(41.0%)、主婦パート全体の2割に過ぎない結果です。
一方で、一部の企業には「主婦パート=103万円以内で働く人たち」との認識も見受けられ、約半数が収入に上限を設けていないという実態とのギャップが浮き彫りになりました。
◆子育てが主婦パートの働き方に影響
主婦パートの多くが「正社員」になりたがっているかといえばそうでもなく、その就労意向は3割程度にとどまっています。ところが、同じ正社員でも勤務時間の短い「短時間正社員」としての就労意向は約6割となっています。
労働時間の長さがネックとなっている背景には、家庭環境、とりわけ「子育て」がありました。例えば「今後の働き方」について、「(税金・社会保険関連の制度が変わり) 収入を制限する必要がなくなった場合」、「子供が成長した場合」、「親の介護・看護の必要がなくなった場合」についてそれぞれ聞くと、特に「子供が成長した場合」に、労働時間を増やして正社員になりたいとの意欲が、強く表れる結果となりました。
主婦の社会進出を阻む要因の大きな1つに税制や社会保険制度があると言われていますが、子育ても、主婦の働き方を決定付ける大きな要因となっているようです。
◆労働力としての今後の可能性
上記アンケートでは、企業に「今後、主婦パートが正社員の仕事を担っていくことは可能か」について聞いていますが、「どちらかといえば可能だと思う」も含めれば47.4%の企業が肯定的に考えており、主婦パートが正社員の代替労働力になり得る可能性を示しています。
子育ての問題が解決されれば、主婦パートの一層の活躍が期待でき、仕事の範囲も大きくなってくるはずです。企業も主婦パートの置かれている現状を知ることにより、さらなる活用の道が開けるのではないでしょうか。
「雇用」や「賃金」に対する企業の考え方
◆「企業経営と賃金に関する調査」
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、平成20年12月に「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」として、全国の従業員50人以上を有する企業約15,000社(有効回答2,734社)を対象として大規模な調査を行い、その結果をまとめました。
調査内容としては、賃金の構成要素や賃金制度のあり方、制度見直しの方向で、経営環境や雇用に対する考え方についても含まれています。
◆雇用・賃金体系に対する考え方
雇用に対する考え方としては、できるだけ多くの社員について「長期安定雇用」を維持したいと回答した企業は約7割に上り、「従業員の生活を保障するのは企業の務め」と回答した企業は9割近くとなっています。
賃金体系については、過去5年程は年齢・勤続・学歴を重視する「個人属性重視型」が40.5%で最多でしたが、今後は職務遂行能力を重視する「職能重視型」が33.2%と最も多くなっており、成果主義賃金の典型である「短期成果重視型」は8.6%にとどまっています。
賃金制度を見直すにあたって重視する点については、以前・今後のいずれも「個々の職務遂行能力」、「個々の成果」を把握して賃金に反映させることがそれぞれ6割強となっています。
◆「職務遂行能力」を重視へ
ここ数年の不景気下で、非正社員だけでなく、正社員でも「雇用の安定」を求めにくい状況となっていますが、企業サイドとしては、以前同様「長期安定雇用」を目指していることがうかがえます。
しかし、その際に重視するのは、以前は「従業員の年齢や学歴」が中心となっていましたが、今後は「職務遂行にあたっての能力」であるということがこの調査により明確になっています。
今後は、職務遂行能力を向上させるための教育制度やその補助に関する充実がより求められるのではないでしょうか。
職業生活上のピークは何歳?
◆30代前半がピーク?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「成人キャリア発達に関する調査研究」によれば、現在50代の人は、自らの職業生活を「30代前半がピーク、40代後半が底であった」と振り返っているという結果になりました。
この調査は、2009年1月時点で50~59歳の常勤労働者を対象として行われたものです。
◆自分の能力や努力で決まる満足感
「現在の年収」および「勤務先の従業員数」(勤務先全体の従業員数でパート・アルバイトを除くおおよその数)と満足感の関係からみると、年収が高い人ほど、また、勤務先の従業員数が多いほど、これまでの職業生活やキャリアに対する満足感が高い人が多いことがわかりました。
また、「学校での知識が役立っている」と思う人や、「特定の分野で1つの仕事をしてきた」と思う人ほど、仕事への満足感が高くなっています。
◆重要だった出来事は何か?
10代から50代の各年代で一番重要だった出来事を質問したところ、10代では「大学への進学」、「正社員として就職」、「学校卒業」、20代では「正社員として就職」、30代では「昇進・昇格」、「転職」、「仕事内容の変更」、40代では「管理職になる」、「昇進・昇格」、「仕事内容の変更」、50代では「仕事内容の変更」、「管理職になる」、「配属先の変更」という結果になりました。
また、学校卒業から現在に至るまでの「職業生活の浮き沈み」を曲線で描いてもらうと、男性は30代前半をピークに40代後半で底を打ち、50代で再び上昇するS字曲線を描く傾向にありました。これに対し、女性は30代~40代では平板な曲線になりますが、50代からの上昇が著しくなっています。
◆職業生活上の危機はいつだったか?
過去の自分の職業生活上の危機があった時期は40代が中心となっており、危機の内容としては、会社の仕事面が中心ですが、倒産や転職、上司との人間関係なども挙げられました。
これは、調査対象者のキャリアの大部分について、「雇用情勢悪化期が労働市場参入時期に当たること」や、バブル期を経験後、30代前半~40代前半時以降に経済環境の激変の中で雇用・失業情勢の急激な悪化、40代以降の中期キャリアで経済社会の変革を経験し続けているためと推測されています。
新規株式上場に関する意向調査
◆新規株式上場意向に関する調査結果
帝国データバンクでは、「新規株式上場意向に関するアンケート調査」の結果を発表しました。今年で13回目の調査実施となっています。
調査対象は、調査開始時点で未上場であり、前回までの調査等において新規株式上場の意向を示していた企業4,473社です。この中で回答のあった企業は1,621社で、このうち具体的な上場予定・計画のある「予定企業」および具体化はしていないが上場の希望がある「企業希望」を合わせた631社を「株式上場予備軍企業」と位置付け、具体的な上場計画等のデータを集計しています。
◆調査結果の概要
株式上場予備軍企業のうち、上場予定時期は2013年が14.4%(91社)と最も多く、次いで2015年が11.3%(71社)となっています。「未定」と回答した企業は45.5%(287社)で、予備軍企業の約半数を占めています。
上場予定市場としては、複数回答の結果、大証ヘラクレス、JASDAQ、ジャスダックNEOの3市場が今年10月に統合して誕生する予定の「新JASDAQ」が266社と最多で、次いで「東証マザーズ」が245社となっています。
上場に際し希望する株価水準(日経平均)については、「具体的に希望を持たない」あるいは「わからない」と回答した企業が49.6%(313社)でした。具体的な株価水準を回答した企業では「15,000円台」とした企業の12.7%(80社)が最多です。
株式上場を目指す理由(複数回答)としては、「知名度や信用度の向上」が470社、「資金調達力の向上」が365社となっています。
◆短期的な予測
景気は「回復の兆し」と言われていますが、株式市況や企業業績の回復には長い時間を要するとみている企業が多いということがわかります。 また、大半の企業では上場の理由として「資金調達力の向上」を挙げていますが、株価低迷で十分な資金調達が望めないことが予想されます。
以上の状況から、上場の希望がありながらも実際に上場する企業は低い数字にとどまるのではないかと予測されます。株式上場傾向が高まるには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。
国会に提出されている「年金改善法案」の内容
◆年金制度全体の改善に向けて
現在、年金に関するいくつかの法案(総称して「年金改善法案」)が国会に提出されています。
高齢期の所得を確保する観点から、国民年金保険料の納付可能期間の延長や、企業型確定拠出年金の加入資格年齢の引上げ・加入者による掛金拠出の認容などが主な内容です。
◆国民年金法の一部改正
(1)国民年金保険料の納付可能期間を延長(2年→10年)し、本人の希望により保険料を納付することで、その後の年金受給につなげることができるようにする。
(2)第3号被保険者期間に重複する第2号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂正された場合に、それに引き続く第3号被保険者期間を未届期間とする取扱いを改め、保険料納付済期間のままとして取り扱い、年金を支給することとする。
(3)国民年金の任意加入者(加入期間を増やすため60歳~65歳までの間に任意加入した者)について国民年金基金への加入を可能とし、受給額の充実を図る。
◆確定拠出年金法の一部改正
(1)加入資格年齢を引き上げ(60歳→65歳)、企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運営を可能とする。
(2)従業員拠出(マッチング拠出)を可能とし所得控除の対象とすること、事業主による従業員に対する継続的投資教育の実施義務を明文化することにより、老後所得の確保に向けた従業員の自主努力を支援する。
(3)企業年金の未請求者対策を推進するため、住基ネットから加入者の住所情報の取得を可能とすることにより、住所不明者の解消を図る。
◆若手社員のモチベーションが低下
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が、20~50代のサラリーマンを対象に昨夏に「仕事に関する意識調査」を行いました。このアンケートの中に「現在の仕事へのモチベーション」という項目がありましたが、全体的にモチベーションの低下傾向が見られた中、特に20代社員の低下が著しい結果となりました。
「現在の仕事にやる気がある」と答えた社員の割合は、2008年調査と2009年調査を比較すると、20代では57.3%→50.0%(7.3ポイント減)、30代では50.5%→50.3%(0.2ポイント減)、40代では49.2%→54.4%(5.2ポイント増)、50代では55.0%→52.0%(3.0ポイント減)との結果でした。
同社では、20代の若手社員のモチベーションが低下した原因として、「会社の将来性への不安」「人材育成の機会の不十分さ」などを挙げています。40代では会社の将来性への不安を抱きつつも、それがモチベーションの低下には繋がっていない結果となっており、ここに若手社員とのギャップが見られます。
◆上司は若手社員の「困難克服力」に期待
また、JTBモチベーションズ(JTBグループの人事コンサルティング会社)では、今年の2月に若手社員の成長などに関する調査の結果を発表しました。約40%の上司は部下の「困難を克服する力」に大きな期待をかけている一方で、このような「困難克服力」を伸ばしたいと考えている若手社員(入社1年目から3年目まで)は約20%しかいないという結果となりました。
ここでも、「上司の求めるもの」と「若手社員の意識」の大きなギャップが見られる結果となりました。
◆いかに考え方のギャップを小さくするか
「上司と若手社員の考え方のギャップ」、これはいつの時代においても存在する永遠のテーマなのかもしれません。しかし、初めから「ギャップがあるのはしょうがない」言って諦めてはいけません。
この不景気の時代、会社が一丸となって業務を進めていくためには、上司と部下、年配者と若者のギャップをいかに小さくしていくかを考えなければなりません。世代間ギャップを埋めることを社員個人に頼るのではなく、「ギャップを小さくするために会社として何かできることはないか」を考える必要があるのではないでしょうか。
健康診断で「うつ病検査」を義務化へ
◆うつ病などの労災請求・認定件数
2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件(3年で41.3%増)、認定件数は269件(3年で111.8%増)となっており、増加傾向にあります。
そこで、厚生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの精神疾患に関する検査を義務付ける方針を明らかにしました。
2011年度からの実施を目指すとしており、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今後まとめる報告書に盛り込まれる予定で、労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正)により対応していくものと思われます。
◆高い自殺率の背景にうつ病などの精神疾患
日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、人口10万人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、欧米の先進諸国と比較して突出して高い水準にあります。
また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。これらうつ病をはじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の背景にあると言われているため、自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急務とされていました。
◆一体となった取組みが必要
健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少につながることが期待されていますが、政府・厚生労働省の対策に頼るだけでなく、職場・地域・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが期待されるところです。
年金記録の回復がより早く!~新たな回復基準~
◆年金記録確認第三者委員会の役割
世間を騒がせた「消えた年金」や「宙に浮いた年金」を救済するため、昨年6月に総務省に「年金記録確認第三者委員会」(第三者委員会)が設置されました。
この第三者委員会は、年金記録の確認について、国(厚生労働省)に記録が残っていなく、本人も領収書等の物的な証拠を持っていないといったケースについて、国民の立場に立ち、申立てを十分に汲み取り、様々な関連資料を検討したうえで、記録訂正に関し公正な判断を示すことが任務とされています。
◆新たな年金記録救済策
このほど(5月6日)、日本年金機構では、年金記録救済策をさらに手厚くするため、上記の第三者委員会で審議することなしに年金事務所(旧社会保険事務所)の調査だけで年金記録を回復できる基準を示しました。その内容は次の通りです。
(1)厚生年金(標準報酬月額の改ざんの疑い)
・6カ月以上さかのぼって標準報酬月額が大きく引き下げられている記録が事実に反していると疑われるなどの条件を満たす場合
(2)厚生年金(脱退手当金の誤った支給記録)
・昭和49年まで発行されていた厚生年金の被保険者証に、脱退手当金を支給した表示がないなどの条件を満たす場合
・脱退手当金の支給日より前にその計算基礎にされていない厚生年金の期間があるなどの条件を満たす場合
(3)国民年金(2年以下の記録漏れ)
・保険料納付記録が漏れていると思われる期間が2年以下であって、その他の期間は納付済みであるなどの一定の条件を満たす場合
◆その他の年金記録回復の基準
上記以外にも、確定申告書の控えが残っている場合や、勤めていた事業所が廃止された後に厚生年金の加入記録がさかのぼって変更されている場合などの回復基準があります。
起業を目指す若者が減っている!?
◆「1万人アンケート」の結果から
野村総合研究所では、昨年末に「生活者1万人アンケートにみる日本人の価値観・消費行動の変化」を発表しました。これは、15~69歳の約1万人を対象に行ったアンケートをまとめたもので、1997年から3年ごとに実施されています。
このアンケートで、「会社を立ち上げて経営者になる」、つまり「起業家を目指す」人が減っていることが明らかになりました。
◆減少する「起業家志向」
「一流企業に勤めるよりも、自分で事業をおこしたいか」との質問に対して、肯定的な意見(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人)は「35%」で、1997年の「49%」から14ポイントも低下しています。世代別でみると、30代の起業家志向が39%と最も高く、10代では27%と最も低い結果となりました。
◆不景気下でより安定志向へ
景気の低迷により、2009年の新興企業向け市場の東証マザーズの新規上場数は4社でした。ピーク時(2004年)の57社から大幅減少しています。
また、上記のアンケートで、仕事をしている人のうち59%(前回調査から3ポイント増)の人が「転職は考えていない」と答えるなど、不景気の中、より安定的な生活を希望する人が増えている傾向が鮮明に表れる結果となりました。
「ワークルールチェッカー」の診断結果
◆15万アクセス突破
連合は、今年2月に開設した、労働条件簡易診断Webサイトの「ワークルールチェッカー」(http://www.work-check.jp/)のアクセス数が15万件(4月13日時点)に達したと発表しました。診断結果が「ひとまず安心」(チェック項目がゼロ)だったのは全体の約2割で、雇用形態を問わず、法令違反の可能性が示唆される結果が目立っているそうです。
◆寄せられた回答の多くに労働法令違反の可能性
この「ワークルールチェッカー」は、Webサイトにパソコンや携帯電話からアクセスし、9つの設問(派遣労働者は14問)の中から該当する項目にチェックを入れることで、職場の法令遵守度合いを点検できる仕組みです。
9つの設問は次の通りです。
(1)労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない。
(2)給与明細に「厚生年金保険料」「健康保険料」が載っていない。
(3)給与明細に「雇用保険料」が載っていない。
(4)残業したのに、残業代が全部または一部支払われない。
(5)有給休暇がもらえない、あっても取りづらい。
(6)会社で健康診断を受ける機会がないか、自腹で健康診断をしている。
(7)仕事上の病気・ケガをしたら、会社から「自分で治せ」と言われた。
(8)会社の都合で仕事が休みになったのに、賃金補償がない。
(9)仕事中にミスをしたら、罰金をとられる。
◆有給休暇や残業、労働条件の書面明示などに問題が
設問ごとにみると、利用者の約半数が「有給休暇がもらえない、あっても取りづらい」にチェックしており、次いで「残業したのに、残業代が全部または一部支払われない」、「労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない」がともに約35%となっています。
派遣労働者のみの設問では、「『打合せ』、『見学』の名目で派遣先と事前に会ったことがある」をチェックした人の割合が約53%で一番高かったようです。
設問の内容は基本的なものが中心ですが、チェック項目がゼロの「ひとまず安心」が全体の2割ほどしかなかったということを考えると、労使トラブルが発生する可能性がある企業の割合は高く、その対策が急がれます。
残業時間の削減を進めるには?
◆長時間労働の短縮に向けて
過去に「働きバチ」と揶揄されたこともある日本人の残業時間は、以前よりは短くなっているものの、国際的にみるとまだまだ長いと言われています。
1人あたりの平均年間総実労働時間は減少傾向にあるものの、正社員については、今も2,000時間前後で推移しています。働き盛りの30~40代男性では、フルタイム勤務者のうち週60時間以上働く人が全体の2割を超えています
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現させるためにも長時間労働の短縮は必要不可欠ですし、また、この4月からは改正労働基準法が施行され、月60時間を超える残業に支払う賃金割増率が25%から50%以上へと引き上げられており(中小企業は猶予期間あり)、人件費抑制の対策としても労働時間の短縮が急務と言えます。
◆残業時間削減への各社の取組み
残業時間削減に向けて、ある企業では、会議で使用するディスプレー上に、社員1秒あたりの平均賃金と会議時間を基に算出した「会議コスト」を秒刻みで表示しているそうです。一人ひとりにコストを意識させ、会議を効率的に進めることが狙いです。この企業では、全スタッフが1日の予定をパソコンに入力し、共有できる仕組みも導入したことにより、月間の平均残業時間が2年前に比べ半分以下となったそうです。
また、他の企業では、1日の予定を管理職に報告させることに加え、全員の時間の使い方を分析することで、長時間労働の原因を分析し、残業削減に取り組んでいるそうです。
◆個人でもできる残業削減
残業時間を減らすには、社員の協力も必要不可欠です。仕事を効率的に終わらせるスキルを身につけることができれば、個人でも残業の削減は可能です。
まずは、日常業務を徹底的に見直し、始業から就業までの間にどんな仕事をするのか、スケジュールを書き出すことから始めます。このとき、例えば「13時~17時:資料作成」などと大まかに計画しがちですが、資料作成といっても「データ収集」「情報分析」「入力作業」などいくつもの作業に分かれます。業務を細分化し、事前に準備しておく事項や人に任せられる事項を明確にしておけば、時間を効率的に使えるようになります。
残業時間の削減は労使双方にとって大きなメリットがあります。まずは、会議や打合せ、資料作成などの身近なムダを排除することから始める必要がありそうです。
「主婦パート」の仕事に対する考え方
◆平成22年版を発表
株式会社アイデムの「人と仕事研究所」は、平成22年版の「パートタイマー白書」を発表しました。いわゆる「主婦パート」の実態と労働力としての今後の可能性について書かれていますが、とても興味深い内容となっています。
◆「主婦パート」の半数は就労調整せず
主婦パート本人に対して収入について質問したところ、自身の収入に「上限を設けている」と回答した人は約半数(50.5%)で、このうち、いわゆる「103万円の壁」、つまり所得税の非課税限度額や配偶者控除を意識している人は約4割(41.0%)、主婦パート全体の2割に過ぎない結果です。
一方で、一部の企業には「主婦パート=103万円以内で働く人たち」との認識も見受けられ、約半数が収入に上限を設けていないという実態とのギャップが浮き彫りになりました。
◆子育てが主婦パートの働き方に影響
主婦パートの多くが「正社員」になりたがっているかといえばそうでもなく、その就労意向は3割程度にとどまっています。ところが、同じ正社員でも勤務時間の短い「短時間正社員」としての就労意向は約6割となっています。
労働時間の長さがネックとなっている背景には、家庭環境、とりわけ「子育て」がありました。例えば「今後の働き方」について、「(税金・社会保険関連の制度が変わり) 収入を制限する必要がなくなった場合」、「子供が成長した場合」、「親の介護・看護の必要がなくなった場合」についてそれぞれ聞くと、特に「子供が成長した場合」に、労働時間を増やして正社員になりたいとの意欲が、強く表れる結果となりました。
主婦の社会進出を阻む要因の大きな1つに税制や社会保険制度があると言われていますが、子育ても、主婦の働き方を決定付ける大きな要因となっているようです。
◆労働力としての今後の可能性
上記アンケートでは、企業に「今後、主婦パートが正社員の仕事を担っていくことは可能か」について聞いていますが、「どちらかといえば可能だと思う」も含めれば47.4%の企業が肯定的に考えており、主婦パートが正社員の代替労働力になり得る可能性を示しています。
子育ての問題が解決されれば、主婦パートの一層の活躍が期待でき、仕事の範囲も大きくなってくるはずです。企業も主婦パートの置かれている現状を知ることにより、さらなる活用の道が開けるのではないでしょうか。
「雇用」や「賃金」に対する企業の考え方
◆「企業経営と賃金に関する調査」
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、平成20年12月に「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」として、全国の従業員50人以上を有する企業約15,000社(有効回答2,734社)を対象として大規模な調査を行い、その結果をまとめました。
調査内容としては、賃金の構成要素や賃金制度のあり方、制度見直しの方向で、経営環境や雇用に対する考え方についても含まれています。
◆雇用・賃金体系に対する考え方
雇用に対する考え方としては、できるだけ多くの社員について「長期安定雇用」を維持したいと回答した企業は約7割に上り、「従業員の生活を保障するのは企業の務め」と回答した企業は9割近くとなっています。
賃金体系については、過去5年程は年齢・勤続・学歴を重視する「個人属性重視型」が40.5%で最多でしたが、今後は職務遂行能力を重視する「職能重視型」が33.2%と最も多くなっており、成果主義賃金の典型である「短期成果重視型」は8.6%にとどまっています。
賃金制度を見直すにあたって重視する点については、以前・今後のいずれも「個々の職務遂行能力」、「個々の成果」を把握して賃金に反映させることがそれぞれ6割強となっています。
◆「職務遂行能力」を重視へ
ここ数年の不景気下で、非正社員だけでなく、正社員でも「雇用の安定」を求めにくい状況となっていますが、企業サイドとしては、以前同様「長期安定雇用」を目指していることがうかがえます。
しかし、その際に重視するのは、以前は「従業員の年齢や学歴」が中心となっていましたが、今後は「職務遂行にあたっての能力」であるということがこの調査により明確になっています。
今後は、職務遂行能力を向上させるための教育制度やその補助に関する充実がより求められるのではないでしょうか。
職業生活上のピークは何歳?
◆30代前半がピーク?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「成人キャリア発達に関する調査研究」によれば、現在50代の人は、自らの職業生活を「30代前半がピーク、40代後半が底であった」と振り返っているという結果になりました。
この調査は、2009年1月時点で50~59歳の常勤労働者を対象として行われたものです。
◆自分の能力や努力で決まる満足感
「現在の年収」および「勤務先の従業員数」(勤務先全体の従業員数でパート・アルバイトを除くおおよその数)と満足感の関係からみると、年収が高い人ほど、また、勤務先の従業員数が多いほど、これまでの職業生活やキャリアに対する満足感が高い人が多いことがわかりました。
また、「学校での知識が役立っている」と思う人や、「特定の分野で1つの仕事をしてきた」と思う人ほど、仕事への満足感が高くなっています。
◆重要だった出来事は何か?
10代から50代の各年代で一番重要だった出来事を質問したところ、10代では「大学への進学」、「正社員として就職」、「学校卒業」、20代では「正社員として就職」、30代では「昇進・昇格」、「転職」、「仕事内容の変更」、40代では「管理職になる」、「昇進・昇格」、「仕事内容の変更」、50代では「仕事内容の変更」、「管理職になる」、「配属先の変更」という結果になりました。
また、学校卒業から現在に至るまでの「職業生活の浮き沈み」を曲線で描いてもらうと、男性は30代前半をピークに40代後半で底を打ち、50代で再び上昇するS字曲線を描く傾向にありました。これに対し、女性は30代~40代では平板な曲線になりますが、50代からの上昇が著しくなっています。
◆職業生活上の危機はいつだったか?
過去の自分の職業生活上の危機があった時期は40代が中心となっており、危機の内容としては、会社の仕事面が中心ですが、倒産や転職、上司との人間関係なども挙げられました。
これは、調査対象者のキャリアの大部分について、「雇用情勢悪化期が労働市場参入時期に当たること」や、バブル期を経験後、30代前半~40代前半時以降に経済環境の激変の中で雇用・失業情勢の急激な悪化、40代以降の中期キャリアで経済社会の変革を経験し続けているためと推測されています。
新規株式上場に関する意向調査
◆新規株式上場意向に関する調査結果
帝国データバンクでは、「新規株式上場意向に関するアンケート調査」の結果を発表しました。今年で13回目の調査実施となっています。
調査対象は、調査開始時点で未上場であり、前回までの調査等において新規株式上場の意向を示していた企業4,473社です。この中で回答のあった企業は1,621社で、このうち具体的な上場予定・計画のある「予定企業」および具体化はしていないが上場の希望がある「企業希望」を合わせた631社を「株式上場予備軍企業」と位置付け、具体的な上場計画等のデータを集計しています。
◆調査結果の概要
株式上場予備軍企業のうち、上場予定時期は2013年が14.4%(91社)と最も多く、次いで2015年が11.3%(71社)となっています。「未定」と回答した企業は45.5%(287社)で、予備軍企業の約半数を占めています。
上場予定市場としては、複数回答の結果、大証ヘラクレス、JASDAQ、ジャスダックNEOの3市場が今年10月に統合して誕生する予定の「新JASDAQ」が266社と最多で、次いで「東証マザーズ」が245社となっています。
上場に際し希望する株価水準(日経平均)については、「具体的に希望を持たない」あるいは「わからない」と回答した企業が49.6%(313社)でした。具体的な株価水準を回答した企業では「15,000円台」とした企業の12.7%(80社)が最多です。
株式上場を目指す理由(複数回答)としては、「知名度や信用度の向上」が470社、「資金調達力の向上」が365社となっています。
◆短期的な予測
景気は「回復の兆し」と言われていますが、株式市況や企業業績の回復には長い時間を要するとみている企業が多いということがわかります。 また、大半の企業では上場の理由として「資金調達力の向上」を挙げていますが、株価低迷で十分な資金調達が望めないことが予想されます。
以上の状況から、上場の希望がありながらも実際に上場する企業は低い数字にとどまるのではないかと予測されます。株式上場傾向が高まるには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。
国会に提出されている「年金改善法案」の内容
◆年金制度全体の改善に向けて
現在、年金に関するいくつかの法案(総称して「年金改善法案」)が国会に提出されています。
高齢期の所得を確保する観点から、国民年金保険料の納付可能期間の延長や、企業型確定拠出年金の加入資格年齢の引上げ・加入者による掛金拠出の認容などが主な内容です。
◆国民年金法の一部改正
(1)国民年金保険料の納付可能期間を延長(2年→10年)し、本人の希望により保険料を納付することで、その後の年金受給につなげることができるようにする。
(2)第3号被保険者期間に重複する第2号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂正された場合に、それに引き続く第3号被保険者期間を未届期間とする取扱いを改め、保険料納付済期間のままとして取り扱い、年金を支給することとする。
(3)国民年金の任意加入者(加入期間を増やすため60歳~65歳までの間に任意加入した者)について国民年金基金への加入を可能とし、受給額の充実を図る。
◆確定拠出年金法の一部改正
(1)加入資格年齢を引き上げ(60歳→65歳)、企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運営を可能とする。
(2)従業員拠出(マッチング拠出)を可能とし所得控除の対象とすること、事業主による従業員に対する継続的投資教育の実施義務を明文化することにより、老後所得の確保に向けた従業員の自主努力を支援する。
(3)企業年金の未請求者対策を推進するため、住基ネットから加入者の住所情報の取得を可能とすることにより、住所不明者の解消を図る。
2010/04/28
5月の事務所便り
アルバイトの時給が上昇傾向にある原因
◆3カ月連続で前年同月比が増
2010年2月におけるアルバイトの全国平均の時給は989円(前年同月比2.1%増)で、3カ月連続で前年同月比が増加しました。不況の影響で正社員の給料が下がりつつある中、なぜアルバイトの時給は上がっているでしょうか?
一般的に、景気回復の局面においては、「正社員の賃金よりも先にパートやアルバイトの時給が上がる傾向がある」と言われています。景気回復の初期には、企業は景気の先行きに自信が持てないため、正社員の賃金を上げたり採用を増やしたりするまでには至らず、まずは時給を上げてパート・アルバイトの採用を増やそうとするためだそうです。
◆要因の1つに「派遣法の改正」
アルバイトの時給アップの1つの要因に、「労働者派遣法の改正」が挙げられています。「登録型派遣」や「製造業務派遣」を原則として禁止する改正法が今国会で成立する可能性が高くなったことを受け、派遣社員を活用していた多くの企業で、改正を前に、派遣社員ではなくアルバイトなどの採用を優先する動きが出ているようです。
しかし、派遣社員経験者はアルバイトよりも正社員を希望する人が多く、安定した仕事を求めている人をアルバイトとして雇おうとすると、時給を上げる必要があり、その結果、時給を押し上げる要因となっているようです。
◆学生の就活優先も一因
最近では、就職難の中、アルバイトよりも就職活動を優先する学生が増え、時給を上げないとアルバイトを集めにくくなっている状況もあります。
例えば、「コンビニエンスストア」は、アルバイトの採用においては「飲食店」と競合しますが、時給は「居酒屋」などに比べて見劣りすることが多いため、時給を上げる必要に迫られているとの見方もあります。
また、アルバイト経験を就職活動に活かそうと考える学生が増えているため、学生が就職に役立つと考える「オフィスワーク」や「営業職」に人気が集まり、「家庭教師」や「引越し」などの分野を敬遠する傾向にあるようです。
学生の就職活動はますます厳しさを増しているため、企業にとっては学生アルバイトの確保が難しい状況は当面続くようです。
定期健康診断で異常が多い事業所は要注意!
◆多くの検査項目で有所見率が上昇
厚生労働省では、定期健康診断で異常が見られた従業員の割合(有所見率)が全国平均より高い事業所(従業員が50人以上で、主な検査項目で全国平均より有所見率やその増加率が大きい事業所、過去3年間で脳・心臓疾患で労災支給決定があった事業所など)に対し、労働基準監督署が重点的に改善を指導するよう求める通知を3月下旬に出しました。
定期健康診断全体の有所見率は、平成11年の「43%」から平成20年の「51%」へと増加しています。平成20年の有所見率については、脳・心臓疾患関係の検査項目の1つである血中脂質検査の「32%」が最も高く、脳・心臓疾患関係の主な検査項目(血中脂質検査、血圧、血糖検査、尿検査、心電図検査)の有所見率は概ね増加傾向にあります。
また、過重労働による脳・心臓疾患による労災支給決定件数は、平成16年度の「294件」から平成20年度の「377件」へと増加しています。
◆働き方の見直しと保健指導が必要
過重労働による脳・心臓疾患を予防するためには、「時間外・休日労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」等の働き方の見直しに加えて、脂質異常症、高血圧等の脳・心臓疾患の発症と関係が深い健康診断項目が有所見である労働者に対し、労働時間の短縮等の就業上の措置を行うとともに、保健指導、健康教育等を通じて有所見項目の改善を図り、脳・心臓疾患の発症リスクを引き下げることも有効だと言われています。
◆具体的な改善指導内容
今回の通知では、事業者の具体的な取組内容として、「定期健診実施後の措置」、「定期健診結果の労働者への確実な通知」、「有所見者に対する医師等による食生活等の保健指導」、「有所見者を含む労働者に対して栄養改善や運動等に取り組むように健康教育・健康相談の実施」などが挙げられています。
一方、都道府県労働局等による具体的な周知啓発、要請等の方法としては、「事業場に対する重点的な周知啓発、要請」や「事業主への自主点検の要請」等があります。
労働安全衛生法では、健診で従業員に異常が見られた場合、医師からの意見聴取や労働時間の短縮、医師による保健指導や健康教育などの義務を事業者に課していますが、今回の指導内容は、これら義務の実施徹底や、実施計画作成時に労働衛生コンサルタントの助言を受けることなどが中心となるとされています。
今年の新入社員は「ETC型」?
◆「効率重視」で「コミュニケーション苦手」
公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」が毎年決定している新入社員のタイプ名について、平成22年度の新入社員のタイプは「ETC型」だと発表されました。
効率化を重視する一方で、人とのコミュニケーションが苦手な面があることから、高速道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムの「ETC」になぞらえたとのことです。
◆上手に人材を育成するには
同研究会によると、厳しい就職戦線をくぐり抜けてきた今年の新入社員は、携帯電話などのIT活用に長け、情報交換についても積極的と言われており、時間の使い方も効率的で物事をスムーズに進める特徴があるそうです。また、CO2排出量削減など環境問題への関心も高い傾向があります。
しかし、ドライバーと徴収員との対話がなくなったように、効率性を重視するあまり人との直接的なコミュニケーションが不足する面もあります。打ち解けて心を開くまで時間が掛かるため、性急に関係を築こうとすると直前まで「心のバー」が開かないため、上司や先輩は「スピード出し過ぎ」に注意する必要があります。
ただし、理解しようとすれば、仕事のスマートさやIT活用の器用さなどのメリットも徐々に見えてくるため、ゆとりを持って接し、長く活躍できるよううまく育てることが重要になるとのことです。
◆今後の就職環境は?
昨年は、世界金融危機以降の先行き不透明感から採用に慎重な企業が目立ち、特に学生に人気の業種では採用を減らす企業が多く、就職活動が難航した学生が多かったと言われています。
最近は、やや景気が持ち直した感もありますが、まだまだ不透明な部分も多く、学生にとってもしばらく厳しい状況が続きそうです。
厚労省策定の「専門26業務派遣適正化プラン」
◆違法派遣に対する指導監督を強化
労働者派遣法は、ソフトウェア開発や通訳など専門性の高い26業務を除いて、派遣可能期間(原則は1年。最長で3年)の制限を超えて継続して同一就業場所ごとの同一業務に派遣をしてはならないと定めています。
しかし、この派遣可能期間の上限を免れるために、契約上は「専門26業務」と称しつつ、実際には専門性のない業務を行わせている違法派遣が横行している状況があります。そこで厚生労働省は、今年2月に「専門26業務派遣適正化プラン」なるものを策定し、集中的に指導監督を実施すると発表しました。
◆プランの具体的内容は?
具体的には、平成22年3月~4月の2カ月間に集中して次の(1)(2)を行い、さらに(3)を行うとのことです。
(1)大手派遣会社を中心に調査を行い、違法派遣の適正化に向けた厳正な指導監督を行うこと
(2)派遣会社や派遣先になりうる団体に出向いて適正な対応を要請すること
(3)集中期間経過後も引き続き厳正な指導監督を行うこと
なかでも、一般事務とは区分されにくい「事務用機器操作(5号業務)」や「ファイリング(8号業務)」については、その解釈について改めて示されていることからも、特に重点的に指導がなされるようです。
◆今後の労働者派遣についての動向
現在国会で審議中の改正労働者派遣法が成立すれば、さらなる規制強化が行われます。仕事があるときだけ働く「登録型派遣」は専門26業務を除いて禁止され、製造業務への派遣も原則として禁止されます。
このため、派遣社員について、期間従業員として直接雇用契約を結ぶなどの対応策を取り始めている企業もあるようですが、派遣社員に比べて柔軟な採用が難しいため、人数は絞られています。また、直接雇用による人件費負担増を見越して海外へ拠点を移転させる動きも見られます。
なお、今回の「専門26業務派遣適正化プラン」や「改正労働者派遣法案」は、派遣元・派遣先にとって厳しいものであることは間違いありませんが、働き手にとっても働く機会を奪われる可能性が大いにあるのではないかと指摘されています。
けがや病気による「就業不能」への備え
◆恐ろしい「就業不能」のリスク
新聞報道によると、生活保護開始の理由として「働き手の死亡など」が4%であるのに対し、「世帯主の傷病」は40%もあるようです。
日本では、死亡保険をかけている人は多くいますが、けがや病気による長期就業不能に備えて民間の保険に加入している人は少ないのが現状です。「長期就業不能保険」への加入率は米国では29%であるのに対し、日本では約0.1%にとどまっています。
世帯主の傷病は、世帯主本人の収入がなくなってしまうだけでなく、その人を看病する家族の収入まで途絶えてしまうおそれがあるということを頭に入れておかなければなりません。
◆民間の医療保険の活用
もちろん、短期の就業不能に備えた医療保険に加入している人は多くいます。しかし、これはあくまで1~2年程度の短期的なものであり、原則として入院だけしか対象ではありません。自宅療養を含めた長期の就業不能には対応していないのです。
また、前述した「長期就業不能保険」も、すべてのけがや病気をカバーしたものではありません。就業不能の定義は「どんな職業にもまったく従事できない状態」とされており、「うつ病」などの精神疾患や、医学的他覚所見のない「むちうち症」や「腰痛」などは保険給付がおりないとされているケースが多いようです。
◆公的保障制度の理解が大切
そこで、まずは公的保障についての理解を深めることが大切です。会社員であれば健康保険の傷病手当金制度(1日あたりの収入相当額の3分の2が最大1年6カ月間受けられるもの)を利用できます。国民年金や厚生年金からは、傷病が障害年金を受けられる程度の障害に認定されれば、その障害に該当するかぎり生涯にわたって障害年金を受給することができます。これらは「うつ病」などの精神疾患であっても症状によっては受給することができます。
ただし、国民年金や厚生年金については、保険料納付に関する条件を満たしている必要があります。また、自営業者が加入する国民健康保険では、健康保険のような傷病手当金制度がありません。
自分がどんな公的保障を受けられるかを理解したうえで、保障を受けることができないリスクに対する備えをしっかり考えておく必要がありそうです。
雇用調整助成金の不正受給防止対策
◆不正受給が約2億円
雇用調整助成金(中小企業の場合は中小企業緊急雇用安定助成金)については、厚生労働省が昨年来、「支給要件の緩和」や「支給の迅速化」に取り組んでいましたが、一部に不正な受給も見られるようです。
同省では、平成21年4月~平成22年1月の間に52事業所(総額約1億9,350万円)について、架空の休業や教育訓練を実施したなどとして処分しています。処分の内容は、「支給した助成金の返還」と「不正後3年間の助成金の不支給」とされています。
◆具体的な不正受給防止対策
このような状況から、同省では、3月下旬に次のような不正受給防止対策を発表しています。
(1)助成金を受給している事業主に対する実地調査を強化するとともに、休業等を実施した労働者の一部に対して、電話によるヒアリングを行うこと
(2)より的確な実地調査を行うため、事業主の事務負担とならない範囲で、教育訓練に係る「計画届」および「変更届」の内容を見直すこと(教育訓練に係る計画届については労働者別に予定日を記載すること、教育訓練に係る計画届に限り休業等が減少する場合も変更届を提出すること)
(3)教育訓練を実施した場合の確認をより確実に行うため、単に教育訓練を実施したことの証明だけでなく、教育訓練を実施した個々の労働者ごとに受講を証明する書類(事業所内訓練の場合の受講者アンケート、事業所外訓練の場合の受講料の領収書等)の提出を求めること
◆実施時期について
上記の不正受給防止対策は、4月1日から実施されていますが、上記(2)(3)については、6月30日までは、従来の取扱いも可能とされています。
採用担当者の「採用・教育」に対する考え方
◆インターネットによる「1,000人調査」
人材サービス会社の株式会社インテリジェンスでは、昨年12月に企業の採用担当者1,000名を対象に、インターネットによる「採用・教育」に関する意識調査を行いました。
現在の不況下においては、採用を控えたり、採用に慎重になったりしている企業が多いと思いますが、このアンケート結果から、採用・教育現場における生の声をうかがい知ることができます。
◆採用担当者の関心事は何か?
まず「採用・教育に関して、今関心があることは何ですか?」(複数回答)という質問に対しては、上位1~6位は以下の結果となりました。
(1)より良い人材を採る方法(57.4%)
(2)人件費について(49.8%)
(3)従業員全体のモチベーションアップ(46.8%)
(4)従業員全体のスキルアップ(39.4%)
(5)リーダー層の育成(39.1%)
(6)従業員の育成方法(38.7%)
第1位の「より良い人材を採る方法」については、約6割の採用担当者が関心事として挙げており、関心の高さがわかります。
第2位の「人件費について」に関しては、「人件費の関係で、質の良い採用を行い少数精鋭での運用を行わないと厳しい」、「人件費の削減を余儀なくされる中、採用の量を抑制しつつ人材を育成する手腕が問われている」などといったコメントが目立ったそうです。
第3位から第6位まではいずれも「従業員の教育」に関するものでした。
◆教育・育成への対応は?
次に、「従業員への教育・育成に関して、2010年は2009年と比較してどういった対応を検討中ですか?」という質問に対しては、「2009年よりも強化したい」(42.5%)、「特に2009年と変わらない」(37.0%)、「2009年よりも抑制したい」(7.6%)、「わからない、その他」(12.9%)との結果でした。
教育・育成に関しては、「従業員の教育を徹底していきたい」、「従業員の効率アップを図りたい」、「採用後も継続して教育研修を行いながら育成したい」といった積極的な意見、「不況ではあるが人材育成・確保のチャンスである」、「いい人材を採用するチャンスである」といった不況を前向きに捉える意見が見られました。
仕事時間の減少で従業員の満足度はどう変化する?
◆「ワーク・ライフ・バランス」の認知度は?
内閣府では、昨年12月、全国の20歳以上60歳未満の男女2,500名を対象として、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」(以下、「WLB」)に関するアンケート調査を実施しました。
それによると、WLBの認知度(WLBについて言葉も内容も知っている人の割合)は、前回調査より増加したものの18.9%にとどまっています。WLBという言葉を聞いたことがある人の割合は全体の54.3%でした。
◆仕事時間の増減について
1年前と比較して仕事の時間が増えた人の割合は27.7%、減った人の割合は22.8%でした。増えた理由としては「採用減・人員整理等による業務のしわ寄せ」(35.0%)、減った理由としては「経済情勢の悪化による業務量の減少」(57.3%)が最も多くありました。
仕事の時間が減った人は、代わりに「家族団らん等の家庭生活」、「家族のために行う家事、育児、介護・看護等」など、家族との時間を増やした人が多くいました。
◆仕事時間の減少による影響
仕事の時間が減った人のうち約6割は、生活全般の満足度が低下しています。この背景には、仕事時間の減少による収入の減少があると指摘されています。
これに対し、仕事の時間が減った人でも、「組織全体として」「自ら努力して」など、主体的な要因(自らの努力)で労働時間の短縮に取り組んだ人については、経済情勢の影響で仕事の時間が減少した人よりも生活満足度が高くなっています。
◆モチベーションの維持が重要
不況下においては、労働時間の削減、いわゆる「ダラダラ残業」の削減などに取り組む企業が増えているものと思われます。
企業としては、従業員個々人の労働時間を上手に調整・管理しつつ、「仕事の減少・収入の減少」がそのまま「従業員のモチベーション低下」に繋がらないような工夫が必要とされます。
未払い残業代請求をめぐる民事訴訟の状況
◆社員・元社員が未払い残業代を請求!
最近、未払い残業代をめぐる民事訴訟に関する報道が相次いでなされています。いずれも社員や元社員が、未払いの残業代があるとして会社に対して請求を行っているものです。
◆「残業代請求権放棄」に関する文書
不動産会社の社員・元社員5人が、会社に対して未払い残業代などの支払いを岡山地裁に求めていた訴訟の弁論で、「会社が社員に残業代請求権を放棄させるように誘導していた」として、その手順などを示した内部文書を証拠として提出したそうです。
この文書は「未払い賃金確定手順」という名称で、会社が未払い残業代を支払うように是正勧告を受けた際、支払額確定のために作成したものだそうです。残業代が成果給に含まれていることを社員に再認識させるよう上司に求め、成果給が多額の社員には「未払い賃金なし」で合意するように誘導し、そうでない場合は低額に抑えるよう指示をしていました。
社員側の弁護団では、「文書は労働基準監督署の是正勧告を愚ろうするものであり、誘導された確認書は無効である」と主張しているそうです。
◆「変形労働時間制」を理由に残業代未払い
飲食店で働いていた元アルバイト社員が、「1カ月単位の変形労働時間制を理由にして残業代が支払われなかったのは違法である」と主張して、働いていた会社を相手取り、未払い残業代などの支払いを東京地裁に求めていた訴訟の判決がありました。
東京地裁は、この男性の主張を認め、同社に対して時効分を除く約12万円の支払いを命じる判決を下しました。
同社では、変形労働時間制の採用を理由に1日8時間を超えた分の残業代を一部しか支払っていなかったにもかかわらず、勤務シフト表は半月分しか作成していなかったそうで、東京地裁は、労働基準法の要件を満たしていないと判断しました。
◆リスクへの対応が必要
未払い残業代をめぐっては、「企業における終身雇用体制の崩壊」や「残業代請求が認められることの認識の広がり」などから、企業が請求されるリスクは増大しているといえます。
企業としては、このような事態が生じないよう、日頃から十分な対策をとっておくことが必要になります。
労働時間等見直しガイドラインの改正
◆4月1日から施行
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備するため、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)の改正を行いました。
改正されたガイドラインは4月1日から施行されています。以下では、このガイドラインの概要、改正内容のポイントをご紹介します。
◆「労働時間等見直しガイドライン」とは?
このガイドラインは、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)に基づくもので、労働時間や年次有給休暇等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するために、事業主等が取り組むべき事項を定めたものです。
◆「改正ガイドライン」のポイント
改正されたガイドラインでは、年次有給休暇について、企業に対して次のような制度的な改善を促すこととしています。
(1)労使の話合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、取得率向上に向けた具体的な方策を検討すること。
(2)取得率の目標設定を検討すること。
(3)計画的付与制度(年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度)の活用を図る際、連続した休暇の取得促進に配慮すること。
(4)2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るにあたっては、当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討すること。
◆環境整備が求められている
上記ガイドラインに法的な拘束力はなく、これを守らなかったからといって罰せられることはありませんが、企業としては、働きやすい環境を整えることにより、従業員の健康管理、モチベーション維持・アップに努めたいものです。
◆3カ月連続で前年同月比が増
2010年2月におけるアルバイトの全国平均の時給は989円(前年同月比2.1%増)で、3カ月連続で前年同月比が増加しました。不況の影響で正社員の給料が下がりつつある中、なぜアルバイトの時給は上がっているでしょうか?
一般的に、景気回復の局面においては、「正社員の賃金よりも先にパートやアルバイトの時給が上がる傾向がある」と言われています。景気回復の初期には、企業は景気の先行きに自信が持てないため、正社員の賃金を上げたり採用を増やしたりするまでには至らず、まずは時給を上げてパート・アルバイトの採用を増やそうとするためだそうです。
◆要因の1つに「派遣法の改正」
アルバイトの時給アップの1つの要因に、「労働者派遣法の改正」が挙げられています。「登録型派遣」や「製造業務派遣」を原則として禁止する改正法が今国会で成立する可能性が高くなったことを受け、派遣社員を活用していた多くの企業で、改正を前に、派遣社員ではなくアルバイトなどの採用を優先する動きが出ているようです。
しかし、派遣社員経験者はアルバイトよりも正社員を希望する人が多く、安定した仕事を求めている人をアルバイトとして雇おうとすると、時給を上げる必要があり、その結果、時給を押し上げる要因となっているようです。
◆学生の就活優先も一因
最近では、就職難の中、アルバイトよりも就職活動を優先する学生が増え、時給を上げないとアルバイトを集めにくくなっている状況もあります。
例えば、「コンビニエンスストア」は、アルバイトの採用においては「飲食店」と競合しますが、時給は「居酒屋」などに比べて見劣りすることが多いため、時給を上げる必要に迫られているとの見方もあります。
また、アルバイト経験を就職活動に活かそうと考える学生が増えているため、学生が就職に役立つと考える「オフィスワーク」や「営業職」に人気が集まり、「家庭教師」や「引越し」などの分野を敬遠する傾向にあるようです。
学生の就職活動はますます厳しさを増しているため、企業にとっては学生アルバイトの確保が難しい状況は当面続くようです。
定期健康診断で異常が多い事業所は要注意!
◆多くの検査項目で有所見率が上昇
厚生労働省では、定期健康診断で異常が見られた従業員の割合(有所見率)が全国平均より高い事業所(従業員が50人以上で、主な検査項目で全国平均より有所見率やその増加率が大きい事業所、過去3年間で脳・心臓疾患で労災支給決定があった事業所など)に対し、労働基準監督署が重点的に改善を指導するよう求める通知を3月下旬に出しました。
定期健康診断全体の有所見率は、平成11年の「43%」から平成20年の「51%」へと増加しています。平成20年の有所見率については、脳・心臓疾患関係の検査項目の1つである血中脂質検査の「32%」が最も高く、脳・心臓疾患関係の主な検査項目(血中脂質検査、血圧、血糖検査、尿検査、心電図検査)の有所見率は概ね増加傾向にあります。
また、過重労働による脳・心臓疾患による労災支給決定件数は、平成16年度の「294件」から平成20年度の「377件」へと増加しています。
◆働き方の見直しと保健指導が必要
過重労働による脳・心臓疾患を予防するためには、「時間外・休日労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」等の働き方の見直しに加えて、脂質異常症、高血圧等の脳・心臓疾患の発症と関係が深い健康診断項目が有所見である労働者に対し、労働時間の短縮等の就業上の措置を行うとともに、保健指導、健康教育等を通じて有所見項目の改善を図り、脳・心臓疾患の発症リスクを引き下げることも有効だと言われています。
◆具体的な改善指導内容
今回の通知では、事業者の具体的な取組内容として、「定期健診実施後の措置」、「定期健診結果の労働者への確実な通知」、「有所見者に対する医師等による食生活等の保健指導」、「有所見者を含む労働者に対して栄養改善や運動等に取り組むように健康教育・健康相談の実施」などが挙げられています。
一方、都道府県労働局等による具体的な周知啓発、要請等の方法としては、「事業場に対する重点的な周知啓発、要請」や「事業主への自主点検の要請」等があります。
労働安全衛生法では、健診で従業員に異常が見られた場合、医師からの意見聴取や労働時間の短縮、医師による保健指導や健康教育などの義務を事業者に課していますが、今回の指導内容は、これら義務の実施徹底や、実施計画作成時に労働衛生コンサルタントの助言を受けることなどが中心となるとされています。
今年の新入社員は「ETC型」?
◆「効率重視」で「コミュニケーション苦手」
公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」が毎年決定している新入社員のタイプ名について、平成22年度の新入社員のタイプは「ETC型」だと発表されました。
効率化を重視する一方で、人とのコミュニケーションが苦手な面があることから、高速道路を利用する際に料金所で停止することなく通過できるシステムの「ETC」になぞらえたとのことです。
◆上手に人材を育成するには
同研究会によると、厳しい就職戦線をくぐり抜けてきた今年の新入社員は、携帯電話などのIT活用に長け、情報交換についても積極的と言われており、時間の使い方も効率的で物事をスムーズに進める特徴があるそうです。また、CO2排出量削減など環境問題への関心も高い傾向があります。
しかし、ドライバーと徴収員との対話がなくなったように、効率性を重視するあまり人との直接的なコミュニケーションが不足する面もあります。打ち解けて心を開くまで時間が掛かるため、性急に関係を築こうとすると直前まで「心のバー」が開かないため、上司や先輩は「スピード出し過ぎ」に注意する必要があります。
ただし、理解しようとすれば、仕事のスマートさやIT活用の器用さなどのメリットも徐々に見えてくるため、ゆとりを持って接し、長く活躍できるよううまく育てることが重要になるとのことです。
◆今後の就職環境は?
昨年は、世界金融危機以降の先行き不透明感から採用に慎重な企業が目立ち、特に学生に人気の業種では採用を減らす企業が多く、就職活動が難航した学生が多かったと言われています。
最近は、やや景気が持ち直した感もありますが、まだまだ不透明な部分も多く、学生にとってもしばらく厳しい状況が続きそうです。
厚労省策定の「専門26業務派遣適正化プラン」
◆違法派遣に対する指導監督を強化
労働者派遣法は、ソフトウェア開発や通訳など専門性の高い26業務を除いて、派遣可能期間(原則は1年。最長で3年)の制限を超えて継続して同一就業場所ごとの同一業務に派遣をしてはならないと定めています。
しかし、この派遣可能期間の上限を免れるために、契約上は「専門26業務」と称しつつ、実際には専門性のない業務を行わせている違法派遣が横行している状況があります。そこで厚生労働省は、今年2月に「専門26業務派遣適正化プラン」なるものを策定し、集中的に指導監督を実施すると発表しました。
◆プランの具体的内容は?
具体的には、平成22年3月~4月の2カ月間に集中して次の(1)(2)を行い、さらに(3)を行うとのことです。
(1)大手派遣会社を中心に調査を行い、違法派遣の適正化に向けた厳正な指導監督を行うこと
(2)派遣会社や派遣先になりうる団体に出向いて適正な対応を要請すること
(3)集中期間経過後も引き続き厳正な指導監督を行うこと
なかでも、一般事務とは区分されにくい「事務用機器操作(5号業務)」や「ファイリング(8号業務)」については、その解釈について改めて示されていることからも、特に重点的に指導がなされるようです。
◆今後の労働者派遣についての動向
現在国会で審議中の改正労働者派遣法が成立すれば、さらなる規制強化が行われます。仕事があるときだけ働く「登録型派遣」は専門26業務を除いて禁止され、製造業務への派遣も原則として禁止されます。
このため、派遣社員について、期間従業員として直接雇用契約を結ぶなどの対応策を取り始めている企業もあるようですが、派遣社員に比べて柔軟な採用が難しいため、人数は絞られています。また、直接雇用による人件費負担増を見越して海外へ拠点を移転させる動きも見られます。
なお、今回の「専門26業務派遣適正化プラン」や「改正労働者派遣法案」は、派遣元・派遣先にとって厳しいものであることは間違いありませんが、働き手にとっても働く機会を奪われる可能性が大いにあるのではないかと指摘されています。
けがや病気による「就業不能」への備え
◆恐ろしい「就業不能」のリスク
新聞報道によると、生活保護開始の理由として「働き手の死亡など」が4%であるのに対し、「世帯主の傷病」は40%もあるようです。
日本では、死亡保険をかけている人は多くいますが、けがや病気による長期就業不能に備えて民間の保険に加入している人は少ないのが現状です。「長期就業不能保険」への加入率は米国では29%であるのに対し、日本では約0.1%にとどまっています。
世帯主の傷病は、世帯主本人の収入がなくなってしまうだけでなく、その人を看病する家族の収入まで途絶えてしまうおそれがあるということを頭に入れておかなければなりません。
◆民間の医療保険の活用
もちろん、短期の就業不能に備えた医療保険に加入している人は多くいます。しかし、これはあくまで1~2年程度の短期的なものであり、原則として入院だけしか対象ではありません。自宅療養を含めた長期の就業不能には対応していないのです。
また、前述した「長期就業不能保険」も、すべてのけがや病気をカバーしたものではありません。就業不能の定義は「どんな職業にもまったく従事できない状態」とされており、「うつ病」などの精神疾患や、医学的他覚所見のない「むちうち症」や「腰痛」などは保険給付がおりないとされているケースが多いようです。
◆公的保障制度の理解が大切
そこで、まずは公的保障についての理解を深めることが大切です。会社員であれば健康保険の傷病手当金制度(1日あたりの収入相当額の3分の2が最大1年6カ月間受けられるもの)を利用できます。国民年金や厚生年金からは、傷病が障害年金を受けられる程度の障害に認定されれば、その障害に該当するかぎり生涯にわたって障害年金を受給することができます。これらは「うつ病」などの精神疾患であっても症状によっては受給することができます。
ただし、国民年金や厚生年金については、保険料納付に関する条件を満たしている必要があります。また、自営業者が加入する国民健康保険では、健康保険のような傷病手当金制度がありません。
自分がどんな公的保障を受けられるかを理解したうえで、保障を受けることができないリスクに対する備えをしっかり考えておく必要がありそうです。
雇用調整助成金の不正受給防止対策
◆不正受給が約2億円
雇用調整助成金(中小企業の場合は中小企業緊急雇用安定助成金)については、厚生労働省が昨年来、「支給要件の緩和」や「支給の迅速化」に取り組んでいましたが、一部に不正な受給も見られるようです。
同省では、平成21年4月~平成22年1月の間に52事業所(総額約1億9,350万円)について、架空の休業や教育訓練を実施したなどとして処分しています。処分の内容は、「支給した助成金の返還」と「不正後3年間の助成金の不支給」とされています。
◆具体的な不正受給防止対策
このような状況から、同省では、3月下旬に次のような不正受給防止対策を発表しています。
(1)助成金を受給している事業主に対する実地調査を強化するとともに、休業等を実施した労働者の一部に対して、電話によるヒアリングを行うこと
(2)より的確な実地調査を行うため、事業主の事務負担とならない範囲で、教育訓練に係る「計画届」および「変更届」の内容を見直すこと(教育訓練に係る計画届については労働者別に予定日を記載すること、教育訓練に係る計画届に限り休業等が減少する場合も変更届を提出すること)
(3)教育訓練を実施した場合の確認をより確実に行うため、単に教育訓練を実施したことの証明だけでなく、教育訓練を実施した個々の労働者ごとに受講を証明する書類(事業所内訓練の場合の受講者アンケート、事業所外訓練の場合の受講料の領収書等)の提出を求めること
◆実施時期について
上記の不正受給防止対策は、4月1日から実施されていますが、上記(2)(3)については、6月30日までは、従来の取扱いも可能とされています。
採用担当者の「採用・教育」に対する考え方
◆インターネットによる「1,000人調査」
人材サービス会社の株式会社インテリジェンスでは、昨年12月に企業の採用担当者1,000名を対象に、インターネットによる「採用・教育」に関する意識調査を行いました。
現在の不況下においては、採用を控えたり、採用に慎重になったりしている企業が多いと思いますが、このアンケート結果から、採用・教育現場における生の声をうかがい知ることができます。
◆採用担当者の関心事は何か?
まず「採用・教育に関して、今関心があることは何ですか?」(複数回答)という質問に対しては、上位1~6位は以下の結果となりました。
(1)より良い人材を採る方法(57.4%)
(2)人件費について(49.8%)
(3)従業員全体のモチベーションアップ(46.8%)
(4)従業員全体のスキルアップ(39.4%)
(5)リーダー層の育成(39.1%)
(6)従業員の育成方法(38.7%)
第1位の「より良い人材を採る方法」については、約6割の採用担当者が関心事として挙げており、関心の高さがわかります。
第2位の「人件費について」に関しては、「人件費の関係で、質の良い採用を行い少数精鋭での運用を行わないと厳しい」、「人件費の削減を余儀なくされる中、採用の量を抑制しつつ人材を育成する手腕が問われている」などといったコメントが目立ったそうです。
第3位から第6位まではいずれも「従業員の教育」に関するものでした。
◆教育・育成への対応は?
次に、「従業員への教育・育成に関して、2010年は2009年と比較してどういった対応を検討中ですか?」という質問に対しては、「2009年よりも強化したい」(42.5%)、「特に2009年と変わらない」(37.0%)、「2009年よりも抑制したい」(7.6%)、「わからない、その他」(12.9%)との結果でした。
教育・育成に関しては、「従業員の教育を徹底していきたい」、「従業員の効率アップを図りたい」、「採用後も継続して教育研修を行いながら育成したい」といった積極的な意見、「不況ではあるが人材育成・確保のチャンスである」、「いい人材を採用するチャンスである」といった不況を前向きに捉える意見が見られました。
仕事時間の減少で従業員の満足度はどう変化する?
◆「ワーク・ライフ・バランス」の認知度は?
内閣府では、昨年12月、全国の20歳以上60歳未満の男女2,500名を対象として、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」(以下、「WLB」)に関するアンケート調査を実施しました。
それによると、WLBの認知度(WLBについて言葉も内容も知っている人の割合)は、前回調査より増加したものの18.9%にとどまっています。WLBという言葉を聞いたことがある人の割合は全体の54.3%でした。
◆仕事時間の増減について
1年前と比較して仕事の時間が増えた人の割合は27.7%、減った人の割合は22.8%でした。増えた理由としては「採用減・人員整理等による業務のしわ寄せ」(35.0%)、減った理由としては「経済情勢の悪化による業務量の減少」(57.3%)が最も多くありました。
仕事の時間が減った人は、代わりに「家族団らん等の家庭生活」、「家族のために行う家事、育児、介護・看護等」など、家族との時間を増やした人が多くいました。
◆仕事時間の減少による影響
仕事の時間が減った人のうち約6割は、生活全般の満足度が低下しています。この背景には、仕事時間の減少による収入の減少があると指摘されています。
これに対し、仕事の時間が減った人でも、「組織全体として」「自ら努力して」など、主体的な要因(自らの努力)で労働時間の短縮に取り組んだ人については、経済情勢の影響で仕事の時間が減少した人よりも生活満足度が高くなっています。
◆モチベーションの維持が重要
不況下においては、労働時間の削減、いわゆる「ダラダラ残業」の削減などに取り組む企業が増えているものと思われます。
企業としては、従業員個々人の労働時間を上手に調整・管理しつつ、「仕事の減少・収入の減少」がそのまま「従業員のモチベーション低下」に繋がらないような工夫が必要とされます。
未払い残業代請求をめぐる民事訴訟の状況
◆社員・元社員が未払い残業代を請求!
最近、未払い残業代をめぐる民事訴訟に関する報道が相次いでなされています。いずれも社員や元社員が、未払いの残業代があるとして会社に対して請求を行っているものです。
◆「残業代請求権放棄」に関する文書
不動産会社の社員・元社員5人が、会社に対して未払い残業代などの支払いを岡山地裁に求めていた訴訟の弁論で、「会社が社員に残業代請求権を放棄させるように誘導していた」として、その手順などを示した内部文書を証拠として提出したそうです。
この文書は「未払い賃金確定手順」という名称で、会社が未払い残業代を支払うように是正勧告を受けた際、支払額確定のために作成したものだそうです。残業代が成果給に含まれていることを社員に再認識させるよう上司に求め、成果給が多額の社員には「未払い賃金なし」で合意するように誘導し、そうでない場合は低額に抑えるよう指示をしていました。
社員側の弁護団では、「文書は労働基準監督署の是正勧告を愚ろうするものであり、誘導された確認書は無効である」と主張しているそうです。
◆「変形労働時間制」を理由に残業代未払い
飲食店で働いていた元アルバイト社員が、「1カ月単位の変形労働時間制を理由にして残業代が支払われなかったのは違法である」と主張して、働いていた会社を相手取り、未払い残業代などの支払いを東京地裁に求めていた訴訟の判決がありました。
東京地裁は、この男性の主張を認め、同社に対して時効分を除く約12万円の支払いを命じる判決を下しました。
同社では、変形労働時間制の採用を理由に1日8時間を超えた分の残業代を一部しか支払っていなかったにもかかわらず、勤務シフト表は半月分しか作成していなかったそうで、東京地裁は、労働基準法の要件を満たしていないと判断しました。
◆リスクへの対応が必要
未払い残業代をめぐっては、「企業における終身雇用体制の崩壊」や「残業代請求が認められることの認識の広がり」などから、企業が請求されるリスクは増大しているといえます。
企業としては、このような事態が生じないよう、日頃から十分な対策をとっておくことが必要になります。
労働時間等見直しガイドラインの改正
◆4月1日から施行
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備するため、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)の改正を行いました。
改正されたガイドラインは4月1日から施行されています。以下では、このガイドラインの概要、改正内容のポイントをご紹介します。
◆「労働時間等見直しガイドライン」とは?
このガイドラインは、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)に基づくもので、労働時間や年次有給休暇等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するために、事業主等が取り組むべき事項を定めたものです。
◆「改正ガイドライン」のポイント
改正されたガイドラインでは、年次有給休暇について、企業に対して次のような制度的な改善を促すこととしています。
(1)労使の話合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、取得率向上に向けた具体的な方策を検討すること。
(2)取得率の目標設定を検討すること。
(3)計画的付与制度(年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度)の活用を図る際、連続した休暇の取得促進に配慮すること。
(4)2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るにあたっては、当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討すること。
◆環境整備が求められている
上記ガイドラインに法的な拘束力はなく、これを守らなかったからといって罰せられることはありませんが、企業としては、働きやすい環境を整えることにより、従業員の健康管理、モチベーション維持・アップに努めたいものです。
2010/03/31
4月の事務所便り
「中小企業金融円滑化法」施行で資金繰りへの影響は?
◆「返済緩和実績」が初めて公表
大手6銀行は、昨年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」(2011年3月までの時限措置法)に基づく、中小企業向け融資や住宅ローンの返済条件の緩和実績を初めて発表しました。
これによると、昨年12月末時点での申込件数は中小企業で1万5,429件(3,103億円)、住宅ローンで1,878件(316億円)、このうち返済繰延や月々の返済額減額など条件変更に応じたのは中小企業で3,103件(2,677億円)、住宅ローンで110件(17億円)となり、件数・金額とも、法施行前と比べ大幅に増えました。
◆「中小企業金融円滑化法」とは?
中小企業金融円滑化法は、融資や住宅ローンの返済に苦しむ事業主や個人を支援するため、昨年12月に施行された法律であり、金融機関に対し、借り手からの要請があれば返済条件を見直すように努力する義務を課すものです。
金融機関には一定期間ごとに条件変更に応じた件数・金額などの実施状況を開示する義務があり、虚偽の場合は罰金が科されます。
今回、申込件数が大きく膨らんだのは、住宅ローンに関するものです。
銀行側が相談体制を整え、店頭告知などでアピールした影響もあり、法施行前と比べて申込みが4~5倍に増加した大手銀行もあるそうです。
◆中心は借入期間の延長
昨年は、給与や賞与が減って借金返済に悩む個人が増えたとみられ、借入期間を延ばして毎月の返済額を減らすといった対応が中心になっています。
また、中小企業向け融資については、元本部分の返済を一定期間猶予するといったケースが多いということですが、件数自体は法施行前と比べて微増程度となっています。これは、「条件変更を申し込むと追加の融資を断られるのではないか」といった懸念が強く、法施行からしばらくは様子見という傾向があったことが影響しているようです。
金融庁では、法施行と併せて、不良債権の分類基準を緩和しています。経営再建の可能性があれば、返済繰延などを実施しても不良債権として扱わなくて済むため、「財務的な影響は限定的」との見方が強くなっています。
年度末を迎えるにあたって、さらに申込件数の増加が見込まれます。
所得の地域間格差はどのぐらいある?
◆地域間格差は高水準のまま推移
内閣府は、都道府県ごとの所得を示す2007年度の「県民経済計算」を発表しました。各都道府県の1人当たりの所得は平均305万9,000円(前年度比0.7%増)となり、4年連続で前年度を上回りました。47都道府県のうち、29府県で増加、18都道県で減少となっています。
地域別にみると、中国や九州など製造業の拠点が増えた地域では伸びましたが、北海道・東北や四国はマイナスとなりました。
地域間格差を示す指数は前年比ほぼ横ばいでしたが、2000年代前半に差が広がった状態がそのまま続いています。内閣府では、「県民所得のばらつきは高水準にとどまっており、地域間の格差の広がりが統計的に裏付けられた」としています。
◆上位5都県の平均所得360万5,000円
1人当たりの所得は、働く人の賃金や企業の利益、配当や利子の収入の合計を人口で割って計算されます。ここでの所得には個人所得のほか、法人所得も含まれているため、個人の所得水準というよりも、地域全体の経済力を示しています。
1人当たりの所得の実額を都道府県別で比較すると、上位1位~5位は、東京都(454万円)、愛知県(359万円)、静岡県(338万円)、神奈川県(328万円)、三重県(323万円)となっており、上位5都県の平均県民所得は約360万5,000円となっています。
下位1位~5位は、沖縄県(205万円)、高知県(211万円)、宮崎県(215万円)、長崎県(219万円)、鹿児島県(235万円)でした。
東京都と沖縄県の格差は約2.22倍となり、前年の約2.23倍からわずかに縮小しましたが、その差は依然として大きいことがわかります。
◆公共事業への依存の高さが問題
都道府県間の所得のばらつきを示す「変動係数」は15.30%となり、前年度(15.33%)から横ばいです。2002年度に上昇に転じてからは高い水準で推移しています。
また、1人当たりの所得の伸び率は、自動車、電機、一般機械などの輸出産業を多く抱える地域で所得が増えた一方、公共事業への依存度が高い地方でのマイナスが目立つ結果となりました。
佐賀県は、電気機械産業が大きく伸びたほか、化学や一次金属も好調に推移し、前年度比5.0%増と最も高い伸び率を示し、広島県(4.0%増)、茨城県(3.9%増)がこれに続きました。対して、建設業や卸小売業が不調だった北海道(3.4%減)、滋賀県(3.0%減)の順に減少幅が大きくなりました。
「改正労働基準法」施行目前 時短への取組みは?
◆4月から施行
改正労働基準法の施行を来月に控えていますが、法改正に対応する積極的な動きは、大手企業においてもあまり目立っていないようです。業績不振に苦しむ企業にとっては、長時間労働の解消(時短)に取り組む余裕がないのが現状です。
今回の改正の中心は、(1)労使協定を締結すれば従業員が1時間単位で有給休暇を取得できる、(2)月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率を現行の25%から50%に引き上げる、という2点です(中小企業については当分の間、法定割増賃金率の引上げについては猶予されます)。
◆「時間単位有休」「割増賃金率の引上げ」と時短
現在、年次有給休暇は原則として1日単位でしか取得することができませんが、改正後は、労使協定があれば1時間単位で年間最大5日分を取得することが可能となります。
しかし、「生産現場の要員配置やライン稼働に大きな影響が出る」といった理由から、1時間単位の有給休暇制度の導入を見送る企業も少なくないようです。
この制度の導入には労使間の協議が必要ですが、労働者側からの導入の要求自体が出ないケースもあります。
その一方で、時間外労働の割増賃金率の引上げへの対応については、労務コスト削減のために時短を進めることが考えられますが、準備を進めている大手企業はあまり多くはないという調査結果もあるようです。
時短は一般に進んでいるとは言い難く、厚生労働省の調査によると、日本企業の時短は過去10年でほとんど改善していません。1999年と比べ2008年の労働時間は大手・中小企業とも増加しており、有給休暇取得率も下がっていますが、サービス関連企業では法改正を契機に積極的に時短に取り組む傾向がみられます。
◆導入される見通しの国際会計基準
2015年までに上場企業に義務付けられるとみられる国際会計基準(IFRS)では、企業は未消化の有給休暇に相当する費用を引当金として負債に計上しなければならない見通しとなっています。負債の増加を嫌う企業は多く、この制度導入が従業員に有給休暇の取得を促す可能性があります。有給休暇関連の引当金の負債計上に伴い、引当金に対応する費用の計上も必要になります。一般的な事務職員の場合は、損益計算書の中で人件費として計上される見通しとなっています。ただ、製造業に従事する労働者や技術者などの場合、この費用は、実際に製品として売買の対象になるまでは棚卸資産として一時的に計上され、製品として売りに出された場合、一般的に製造原価として損益計算書に反映することになりそうです。
公的年金の運用とポートフォリオ
◆利回りに関する中期目標は示されず
厚生労働省は、公的年金積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)に関する2010年度から5年間の次期中期目標案をまとめました。
今回、利回りに関する数値目標の提示は見送られましたが、これは、「今後、年金制度の抜本的見直しを予定していることなどから、今回の運用目標は暫定的である」ためであると説明しています。
中期目標は、運用法人が資産の配分を決めるうえで前提とするものであり、数値を示さないのは異例のことですが、ポートフォリオ(運用資産の構成割合)に大きな変更はない見通しとなっています。
◆積立金の運用を行うGPIF
GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金(約120兆円)を、国に代わって運用する厚生労働省所管の独立行政法人であり、預かった年金資産を信託銀行や投資顧問会社に委託し、運用を行っています。また、定期的に外部の有識者を集めた委員会を開催し、運用状況の確認を行っています。
◆運用方法の流れ
公的年金の運用は、まずは厚生労働大臣が中期目標を提示し、その目標に沿ってGPIFがポートフォリオを盛り込んだ中期計画を策定して行われます。
3月末に期限を迎える現行の中期目標では、賃金上昇分を除いた実質的な運用利回りが1.1%を上回るように求めており、GPIFは賃金上昇率の見込みを含めて3.2%を上回る運用利回りを達成する計画を策定しています。
これを受け、GPIFは、ポートフォリオを国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%と規定しました。
◆次期の目標は?
次期目標については、昨年2月に厚生労働省が示した年金財政の見通し結果を踏まえ、実質的な運用利回りの達成目標を1.6%とする方向で調整していましたが、厚生労働大臣が次の中期目標について目標数値を明記しない方針を固めたことを受け、同省では、具体的な数値目標の代わりに「安全・効率的かつ確実な資産構成割合を定め、管理すること」を掲げる方針を明らかにしました。
GPIFは、3月上旬までに中期目標を策定する必要がありますが、具体的な数値目標がないため、新しいポートフォリオは現行の内容を基本とすることを想定しているということです。
職場における「受動喫煙」防止への取組み
◆「受動喫煙」防止対策の基本的な方向性
厚生労働省の有識者検討会では、受動喫煙を防止する対策の基本的な方向性をまとめ、発表しました。
多くの人が利用する公共的な空間については原則「全面禁煙」とし、全面禁煙が困難な場合には適切な受動喫煙防止対策を進め、野外については受動喫煙防止のための配慮が必要であるという報告書骨子に合意しました。
この中には、職場での受動喫煙に関する内容も盛り込まれています。
◆受動喫煙とその対策
受動喫煙とは、他人が吸うタバコの煙を吸入することであり、死亡、疾病および障害を引き起こすことが科学的に明らかとなっています。
現在、日本の成人喫煙率は、男女合わせて24.1%となっています。たばこ税の引上げによる喫煙率低下の実現を目指すことで、受動喫煙の被害が軽減されることが考えられますが、たとえ喫煙者が1人であっても、その1人のタバコの煙を多くの非喫煙者が吸入することを考えると、それ以外の対策が必要であると思われます。
◆厚労省のガイドライン
厚生労働省でも、職場における受動喫煙対策のガイドラインとして、喫煙室や喫煙スペースを設置するように勧めています。同省が2007年に実施した調査によれば、受動喫煙している労働者は全体の約65%であり、喫煙対策の改善を望む労働者も約92%となっています。
しかし、「全面禁煙化」や「喫煙室設置」などの対策をとっていない事業所は約54%に上るため、換気施設など新たな設備投資ができない中小企業に対しては、取組みを促進させるための資金援助や相談体制の整備の必要性も考えられています。
◆快適な職場づくりに向けての事業者の義務
現在、労働安全衛生法では、受動喫煙の防止対策については「快適な職場づくり」の一環という位置付けがなされているだけであり、特に法律上の義務ではありません。しかし、今後は法改正も考えられており、事業者の義務となることも予想されます。
分煙でない職場への就職を避ける求職者も多いことを考えると、早期の対策が求められます。
「営業秘密」の管理体制は万全ですか?
◆不正競争防止法改正による「営業秘密管理指針」の改定
企業活動において、その競争力の維持・強化のための無形資産である技術・ノウハウ・アイデア等の「営業秘密」が、退職者や業務委託先企業によって侵害・漏洩される事件が増加しており、企業も対応に苦慮しています。
このような企業内外の者による不正侵害を防止するために「不正競争防止法」がありますが、昨年の通常国会において同法が改正され、営業秘密の侵害に対する刑事罰の対象範囲が拡大されました。
なお、同法による保護を受けるためには、適切な営業秘密管理が必要です。経済産業省では、秘密管理体制を支援するための「営業秘密管理指針」を策定していますが、法改正を受け、指針の改定案をまとめました。
◆指針改定のポイント
改定案の視点は、(1)処罰対象行為の明文化、(2)企業実態を踏まえた合理性のある秘密管理方法の提示、(3)中小企業等における管理体制の導入手順例や参照ツールの提示の3点です。
具体的には、(1)の処罰対象行為として、競争関係の有無にかかわらず、不当な利益を得る目的や、単に保有者に損害を与える目的等で営業秘密を開示した場合について、刑事罰を科すこととしています。
また、(2)の合理性のある秘密管理方法として、企業規模や組織形態、情報の性質等に応じた合理性のある管理手法が実施されていれば、高水準の管理体制でなくても法的保護が受けられるということを明確化しています。
そして(3)では、主に管理体制を整備していない中小企業等を対象として、契約書のひな型や実例集、管理体制を整備するまでの具体的な手順や、どのような情報を営業秘密として管理すべきかの判断ポイントなどを示しています。
◆管理体制の再チェックが必要
指針の改定内容については、管理体制を自己評価できるように点数表も作成されています。「秘密保持の対象となる情報を書面などで具体的に示しているか」「情報を扱える人を役職や部署で線引きしているか」などを判断基準としており、今後、一般から意見を募集し、「合格点」の基準を定めるとしています。
今回の改定を契機に、自社における営業秘密の管理体制の再チェックを行ってみてはいかがでしょうか。
中小企業の経営相談を受ける「ワンストップ・サービス・デイ」
◆1つの窓口でまとめて相談が可能
経済産業省では、厚生労働省や金融庁、特許庁などとタッグを組んで、中小企業が「資金繰り」や「新たな販路づくり」、「雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)の受給申請」など経営に関することについて1つの窓口で相談を受けることのできる「ワンストップ・サービス・デイ」を、年度末に開催すると発表しています。
業績回復がままならない中小企業が多い中、果たして、この取組みが景気回復の打開策となるのでしょうか?
◆全国68都市で開催
この「ワンストップ・サービス・デイ」は、2月の第4週(22~26日)にも開催されましたが、3月の第4週(23~26)にも再び開催されます。開催地は全47都道府県(計68都市)となっており、開催場所は、主に各地の商工会議所、産業支援センター、事業支援センターなどとなっています。
なお、このサービスの開催地と開催予定日、開催場所等については、中小企業庁のホームページ(http://www.chusho.meti.go.jp/soudan/2010/100210OSSD.htm)で確認することができます。
◆中小企業の悩みに応えることができるか?
経済産業省では、このサービスを通じて、「運転資金を借りたいのだが融資条件の変更はできないか?」「新商品を開発するための支援制度を教えてくれないか?」「インターネットを活用して販路を拡大したいが何か良いアイディアはないか?」「知的財産を上手に活用したいがどうすれば良いか?」「雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)について詳しく知りたい」といった、中小企業の声(お悩み)に可能な限り応えていきたいとしています。
新卒者を体験雇用した場合に支給される奨励金
◆2月にスタートした「新卒者体験雇用事業」
厚生労働省は、今年2月1日に「新卒者体験雇用事業」をスタートさせました。
この取組みは、就職先が決まっていない新規学卒者を対象として、体験的な雇用の機会を設けることで就職先の選択肢を広げるとともに、企業と求職者間の相互の理解を深め、その後の正規雇用への移行を促進することを目的としています。
以下では、この事業の中心となる「新卒者体験雇用奨励金」の概略についてご紹介します。
◆体験雇用の対象となる新規学卒者
この「新卒者体験雇用奨励金」は、就職先未決定の新規学卒者を31日間の体験雇用(有期雇用)として受け入れた企業に対して、対象者1名につき「月額8万円」を支給するものです。
体験雇用(有期雇用)の対象となる新規学卒者は、以下の(1)(2)のいずれにも該当する者のうち、「正規雇用の実現」または「雇用機会の確保」のために、体験雇用を経ることが適当であると公共職業安定所長が認める者です。
(1)平成21年10月から平成22年9月末までに卒業した者で、雇入れ開始日現在の満
年齢が40歳未満の者
(2)ハローワークに求職登録を行い、就職先が未決定の者
◆奨励金受給のための要件
この奨励金を受給するための要件は、以下の通りです。
(1)ハローワークに「体験雇用求人」を登録すること
(2)体験雇用は31日間の有期雇用であること
(3)体験雇用開始の日から10日以内に「体験雇用実施計画書」を提出すること(提出にあたっては対象者の同意を得る必要がある)
(4)体験雇用終了日の翌日から起算して1カ月以内に「体験雇用結果報告書兼新卒者体験雇用奨励金支給申請書」を提出すること(提出にあたっては対象者の同意を得る必要がある)
◆1人当たり8万円を支給
ハローワークによる審査終了後に、対象者1人当たり8万円の奨励金が支給されることとなっています。
なお、平成23年3月末までに体験雇用を開始した対象者が奨励金の支給対象となりますが、体験雇用終了後の正規雇用への移行に関しては、他の「雇入れ助成金」の支給対象とはなりませんので、注意が必要です。
新年金制度(最低保障年金・所得比例年金)をめぐる動き
◆検討会が初会合
政府は「新年金制度に関する検討会」を立ち上げ、3月8日に初めての会合を開きました。今後、新しい年金制度に関する議論が活発化するものと思われますが、民主党が衆議院選挙のマニフェストで掲げていた「最低保障年金」「所得比例年金」は果たして実現するのでしょうか?
◆鳩山首相の決意
鳩山首相は、初会合において、「新制度は新政権にとっての最大の課題の1つ。制度設計に全身全霊を傾けてもらいたい」と述べ、また、長妻厚生労働大臣も「まずは原則をきちんと示して国民の合意を得ることが必要」と述べたそうです。
民主党は、昨夏の衆議院選挙で「最低保障年金」「所得比例年金」を2本柱とした年金改革を打ち出しており、国民からの期待も大きいものと思われます。
◆「最低保障年金」と「所得比例年金」
2本柱の1つである「最低保障年金」は、消費税を財源として、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする制度です。もう1つの柱の「所得比例年金」は、すべての人が、所得が同じであれば、同じ保険料を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算するという制度です。
なお、「所得比例年金」を一定額以上受給できる人は「最低保障年金」が減額されるとなっています。
◆裏付けとなる「財源」が問題
民主党のマニフェストでは、この他にも「年金記録問題の2011年度までの解決」「公的年金の一元化」なども掲げています。
政府では、今年5月までに新しい年金制度の大原則を打ち出し、2013年度までに関連法案の成立を目指すとしていますが、課題となる「財源」などの問題にどのように取り組み、国民的な合意の得られるような制度が出来上がっていくのか、注目したいところです。
「ツイッター」の利用拡大と採用活動への活用
◆鳩山首相も活用
インターネット上で、140文字以内でメッセージをやり取りするコミュニケーション・サービスの「ツイッター」がブームとなっています。
鳩山首相を初めとする政治家やカリスマ経営者など、有名人のユーザー登録・利用も増えるなどの影響により、利用者はますます増えていきそうです。
◆140字以内の投稿
この「ツイッター」は、「ミニブログサービス」とも言われており、日常の出来事や自分の身の周りで起きたこと、感想などを、140文字までの短文でインターネットに投稿するものです。投稿のことは「ツイート(つぶやき)」と呼ばれ、「ツイッター」の語源となっています。
特定の人のアドレスを登録することにより継続的な読者となることができるため、「ブログ」と比較すると、より短時間で情報が広まりやすいという特徴を持っています。
◆社長によるメッセージ発信
採用活動にこの「ツイッター」を活用する中小企業も出てきているようです。社長が「ツイッター」を活用して直々にメッセージを流したベンチャー企業の就職イベントには、2日間で約40名の参加者が集まったそうです。
別の会社の社長は、「企業のトップと就職活動中の学生とが直接的につながることができ、新しい試みとして非常に有効である」といった感想を述べています。また、「人材を募集しようとお金をかけて広告を出したがなかなか人が集まらず困っていたところ、ツイッターを活用したら30人ほど反応があった」という人事担当者もいるようです。
◆新しい募集・採用手段として
また、「ツイッター」を「就職活動中の情報収集手段」として捉える学生も増えているようです。
これからの時代、新しい募集・採用手段として「ツイッター」を活用する企業も増えてくるのではないでしょうか。
◆「返済緩和実績」が初めて公表
大手6銀行は、昨年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」(2011年3月までの時限措置法)に基づく、中小企業向け融資や住宅ローンの返済条件の緩和実績を初めて発表しました。
これによると、昨年12月末時点での申込件数は中小企業で1万5,429件(3,103億円)、住宅ローンで1,878件(316億円)、このうち返済繰延や月々の返済額減額など条件変更に応じたのは中小企業で3,103件(2,677億円)、住宅ローンで110件(17億円)となり、件数・金額とも、法施行前と比べ大幅に増えました。
◆「中小企業金融円滑化法」とは?
中小企業金融円滑化法は、融資や住宅ローンの返済に苦しむ事業主や個人を支援するため、昨年12月に施行された法律であり、金融機関に対し、借り手からの要請があれば返済条件を見直すように努力する義務を課すものです。
金融機関には一定期間ごとに条件変更に応じた件数・金額などの実施状況を開示する義務があり、虚偽の場合は罰金が科されます。
今回、申込件数が大きく膨らんだのは、住宅ローンに関するものです。
銀行側が相談体制を整え、店頭告知などでアピールした影響もあり、法施行前と比べて申込みが4~5倍に増加した大手銀行もあるそうです。
◆中心は借入期間の延長
昨年は、給与や賞与が減って借金返済に悩む個人が増えたとみられ、借入期間を延ばして毎月の返済額を減らすといった対応が中心になっています。
また、中小企業向け融資については、元本部分の返済を一定期間猶予するといったケースが多いということですが、件数自体は法施行前と比べて微増程度となっています。これは、「条件変更を申し込むと追加の融資を断られるのではないか」といった懸念が強く、法施行からしばらくは様子見という傾向があったことが影響しているようです。
金融庁では、法施行と併せて、不良債権の分類基準を緩和しています。経営再建の可能性があれば、返済繰延などを実施しても不良債権として扱わなくて済むため、「財務的な影響は限定的」との見方が強くなっています。
年度末を迎えるにあたって、さらに申込件数の増加が見込まれます。
所得の地域間格差はどのぐらいある?
◆地域間格差は高水準のまま推移
内閣府は、都道府県ごとの所得を示す2007年度の「県民経済計算」を発表しました。各都道府県の1人当たりの所得は平均305万9,000円(前年度比0.7%増)となり、4年連続で前年度を上回りました。47都道府県のうち、29府県で増加、18都道県で減少となっています。
地域別にみると、中国や九州など製造業の拠点が増えた地域では伸びましたが、北海道・東北や四国はマイナスとなりました。
地域間格差を示す指数は前年比ほぼ横ばいでしたが、2000年代前半に差が広がった状態がそのまま続いています。内閣府では、「県民所得のばらつきは高水準にとどまっており、地域間の格差の広がりが統計的に裏付けられた」としています。
◆上位5都県の平均所得360万5,000円
1人当たりの所得は、働く人の賃金や企業の利益、配当や利子の収入の合計を人口で割って計算されます。ここでの所得には個人所得のほか、法人所得も含まれているため、個人の所得水準というよりも、地域全体の経済力を示しています。
1人当たりの所得の実額を都道府県別で比較すると、上位1位~5位は、東京都(454万円)、愛知県(359万円)、静岡県(338万円)、神奈川県(328万円)、三重県(323万円)となっており、上位5都県の平均県民所得は約360万5,000円となっています。
下位1位~5位は、沖縄県(205万円)、高知県(211万円)、宮崎県(215万円)、長崎県(219万円)、鹿児島県(235万円)でした。
東京都と沖縄県の格差は約2.22倍となり、前年の約2.23倍からわずかに縮小しましたが、その差は依然として大きいことがわかります。
◆公共事業への依存の高さが問題
都道府県間の所得のばらつきを示す「変動係数」は15.30%となり、前年度(15.33%)から横ばいです。2002年度に上昇に転じてからは高い水準で推移しています。
また、1人当たりの所得の伸び率は、自動車、電機、一般機械などの輸出産業を多く抱える地域で所得が増えた一方、公共事業への依存度が高い地方でのマイナスが目立つ結果となりました。
佐賀県は、電気機械産業が大きく伸びたほか、化学や一次金属も好調に推移し、前年度比5.0%増と最も高い伸び率を示し、広島県(4.0%増)、茨城県(3.9%増)がこれに続きました。対して、建設業や卸小売業が不調だった北海道(3.4%減)、滋賀県(3.0%減)の順に減少幅が大きくなりました。
「改正労働基準法」施行目前 時短への取組みは?
◆4月から施行
改正労働基準法の施行を来月に控えていますが、法改正に対応する積極的な動きは、大手企業においてもあまり目立っていないようです。業績不振に苦しむ企業にとっては、長時間労働の解消(時短)に取り組む余裕がないのが現状です。
今回の改正の中心は、(1)労使協定を締結すれば従業員が1時間単位で有給休暇を取得できる、(2)月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金率を現行の25%から50%に引き上げる、という2点です(中小企業については当分の間、法定割増賃金率の引上げについては猶予されます)。
◆「時間単位有休」「割増賃金率の引上げ」と時短
現在、年次有給休暇は原則として1日単位でしか取得することができませんが、改正後は、労使協定があれば1時間単位で年間最大5日分を取得することが可能となります。
しかし、「生産現場の要員配置やライン稼働に大きな影響が出る」といった理由から、1時間単位の有給休暇制度の導入を見送る企業も少なくないようです。
この制度の導入には労使間の協議が必要ですが、労働者側からの導入の要求自体が出ないケースもあります。
その一方で、時間外労働の割増賃金率の引上げへの対応については、労務コスト削減のために時短を進めることが考えられますが、準備を進めている大手企業はあまり多くはないという調査結果もあるようです。
時短は一般に進んでいるとは言い難く、厚生労働省の調査によると、日本企業の時短は過去10年でほとんど改善していません。1999年と比べ2008年の労働時間は大手・中小企業とも増加しており、有給休暇取得率も下がっていますが、サービス関連企業では法改正を契機に積極的に時短に取り組む傾向がみられます。
◆導入される見通しの国際会計基準
2015年までに上場企業に義務付けられるとみられる国際会計基準(IFRS)では、企業は未消化の有給休暇に相当する費用を引当金として負債に計上しなければならない見通しとなっています。負債の増加を嫌う企業は多く、この制度導入が従業員に有給休暇の取得を促す可能性があります。有給休暇関連の引当金の負債計上に伴い、引当金に対応する費用の計上も必要になります。一般的な事務職員の場合は、損益計算書の中で人件費として計上される見通しとなっています。ただ、製造業に従事する労働者や技術者などの場合、この費用は、実際に製品として売買の対象になるまでは棚卸資産として一時的に計上され、製品として売りに出された場合、一般的に製造原価として損益計算書に反映することになりそうです。
公的年金の運用とポートフォリオ
◆利回りに関する中期目標は示されず
厚生労働省は、公的年金積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)に関する2010年度から5年間の次期中期目標案をまとめました。
今回、利回りに関する数値目標の提示は見送られましたが、これは、「今後、年金制度の抜本的見直しを予定していることなどから、今回の運用目標は暫定的である」ためであると説明しています。
中期目標は、運用法人が資産の配分を決めるうえで前提とするものであり、数値を示さないのは異例のことですが、ポートフォリオ(運用資産の構成割合)に大きな変更はない見通しとなっています。
◆積立金の運用を行うGPIF
GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金(約120兆円)を、国に代わって運用する厚生労働省所管の独立行政法人であり、預かった年金資産を信託銀行や投資顧問会社に委託し、運用を行っています。また、定期的に外部の有識者を集めた委員会を開催し、運用状況の確認を行っています。
◆運用方法の流れ
公的年金の運用は、まずは厚生労働大臣が中期目標を提示し、その目標に沿ってGPIFがポートフォリオを盛り込んだ中期計画を策定して行われます。
3月末に期限を迎える現行の中期目標では、賃金上昇分を除いた実質的な運用利回りが1.1%を上回るように求めており、GPIFは賃金上昇率の見込みを含めて3.2%を上回る運用利回りを達成する計画を策定しています。
これを受け、GPIFは、ポートフォリオを国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%と規定しました。
◆次期の目標は?
次期目標については、昨年2月に厚生労働省が示した年金財政の見通し結果を踏まえ、実質的な運用利回りの達成目標を1.6%とする方向で調整していましたが、厚生労働大臣が次の中期目標について目標数値を明記しない方針を固めたことを受け、同省では、具体的な数値目標の代わりに「安全・効率的かつ確実な資産構成割合を定め、管理すること」を掲げる方針を明らかにしました。
GPIFは、3月上旬までに中期目標を策定する必要がありますが、具体的な数値目標がないため、新しいポートフォリオは現行の内容を基本とすることを想定しているということです。
職場における「受動喫煙」防止への取組み
◆「受動喫煙」防止対策の基本的な方向性
厚生労働省の有識者検討会では、受動喫煙を防止する対策の基本的な方向性をまとめ、発表しました。
多くの人が利用する公共的な空間については原則「全面禁煙」とし、全面禁煙が困難な場合には適切な受動喫煙防止対策を進め、野外については受動喫煙防止のための配慮が必要であるという報告書骨子に合意しました。
この中には、職場での受動喫煙に関する内容も盛り込まれています。
◆受動喫煙とその対策
受動喫煙とは、他人が吸うタバコの煙を吸入することであり、死亡、疾病および障害を引き起こすことが科学的に明らかとなっています。
現在、日本の成人喫煙率は、男女合わせて24.1%となっています。たばこ税の引上げによる喫煙率低下の実現を目指すことで、受動喫煙の被害が軽減されることが考えられますが、たとえ喫煙者が1人であっても、その1人のタバコの煙を多くの非喫煙者が吸入することを考えると、それ以外の対策が必要であると思われます。
◆厚労省のガイドライン
厚生労働省でも、職場における受動喫煙対策のガイドラインとして、喫煙室や喫煙スペースを設置するように勧めています。同省が2007年に実施した調査によれば、受動喫煙している労働者は全体の約65%であり、喫煙対策の改善を望む労働者も約92%となっています。
しかし、「全面禁煙化」や「喫煙室設置」などの対策をとっていない事業所は約54%に上るため、換気施設など新たな設備投資ができない中小企業に対しては、取組みを促進させるための資金援助や相談体制の整備の必要性も考えられています。
◆快適な職場づくりに向けての事業者の義務
現在、労働安全衛生法では、受動喫煙の防止対策については「快適な職場づくり」の一環という位置付けがなされているだけであり、特に法律上の義務ではありません。しかし、今後は法改正も考えられており、事業者の義務となることも予想されます。
分煙でない職場への就職を避ける求職者も多いことを考えると、早期の対策が求められます。
「営業秘密」の管理体制は万全ですか?
◆不正競争防止法改正による「営業秘密管理指針」の改定
企業活動において、その競争力の維持・強化のための無形資産である技術・ノウハウ・アイデア等の「営業秘密」が、退職者や業務委託先企業によって侵害・漏洩される事件が増加しており、企業も対応に苦慮しています。
このような企業内外の者による不正侵害を防止するために「不正競争防止法」がありますが、昨年の通常国会において同法が改正され、営業秘密の侵害に対する刑事罰の対象範囲が拡大されました。
なお、同法による保護を受けるためには、適切な営業秘密管理が必要です。経済産業省では、秘密管理体制を支援するための「営業秘密管理指針」を策定していますが、法改正を受け、指針の改定案をまとめました。
◆指針改定のポイント
改定案の視点は、(1)処罰対象行為の明文化、(2)企業実態を踏まえた合理性のある秘密管理方法の提示、(3)中小企業等における管理体制の導入手順例や参照ツールの提示の3点です。
具体的には、(1)の処罰対象行為として、競争関係の有無にかかわらず、不当な利益を得る目的や、単に保有者に損害を与える目的等で営業秘密を開示した場合について、刑事罰を科すこととしています。
また、(2)の合理性のある秘密管理方法として、企業規模や組織形態、情報の性質等に応じた合理性のある管理手法が実施されていれば、高水準の管理体制でなくても法的保護が受けられるということを明確化しています。
そして(3)では、主に管理体制を整備していない中小企業等を対象として、契約書のひな型や実例集、管理体制を整備するまでの具体的な手順や、どのような情報を営業秘密として管理すべきかの判断ポイントなどを示しています。
◆管理体制の再チェックが必要
指針の改定内容については、管理体制を自己評価できるように点数表も作成されています。「秘密保持の対象となる情報を書面などで具体的に示しているか」「情報を扱える人を役職や部署で線引きしているか」などを判断基準としており、今後、一般から意見を募集し、「合格点」の基準を定めるとしています。
今回の改定を契機に、自社における営業秘密の管理体制の再チェックを行ってみてはいかがでしょうか。
中小企業の経営相談を受ける「ワンストップ・サービス・デイ」
◆1つの窓口でまとめて相談が可能
経済産業省では、厚生労働省や金融庁、特許庁などとタッグを組んで、中小企業が「資金繰り」や「新たな販路づくり」、「雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)の受給申請」など経営に関することについて1つの窓口で相談を受けることのできる「ワンストップ・サービス・デイ」を、年度末に開催すると発表しています。
業績回復がままならない中小企業が多い中、果たして、この取組みが景気回復の打開策となるのでしょうか?
◆全国68都市で開催
この「ワンストップ・サービス・デイ」は、2月の第4週(22~26日)にも開催されましたが、3月の第4週(23~26)にも再び開催されます。開催地は全47都道府県(計68都市)となっており、開催場所は、主に各地の商工会議所、産業支援センター、事業支援センターなどとなっています。
なお、このサービスの開催地と開催予定日、開催場所等については、中小企業庁のホームページ(http://www.chusho.meti.go.jp/soudan/2010/100210OSSD.htm)で確認することができます。
◆中小企業の悩みに応えることができるか?
経済産業省では、このサービスを通じて、「運転資金を借りたいのだが融資条件の変更はできないか?」「新商品を開発するための支援制度を教えてくれないか?」「インターネットを活用して販路を拡大したいが何か良いアイディアはないか?」「知的財産を上手に活用したいがどうすれば良いか?」「雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)について詳しく知りたい」といった、中小企業の声(お悩み)に可能な限り応えていきたいとしています。
新卒者を体験雇用した場合に支給される奨励金
◆2月にスタートした「新卒者体験雇用事業」
厚生労働省は、今年2月1日に「新卒者体験雇用事業」をスタートさせました。
この取組みは、就職先が決まっていない新規学卒者を対象として、体験的な雇用の機会を設けることで就職先の選択肢を広げるとともに、企業と求職者間の相互の理解を深め、その後の正規雇用への移行を促進することを目的としています。
以下では、この事業の中心となる「新卒者体験雇用奨励金」の概略についてご紹介します。
◆体験雇用の対象となる新規学卒者
この「新卒者体験雇用奨励金」は、就職先未決定の新規学卒者を31日間の体験雇用(有期雇用)として受け入れた企業に対して、対象者1名につき「月額8万円」を支給するものです。
体験雇用(有期雇用)の対象となる新規学卒者は、以下の(1)(2)のいずれにも該当する者のうち、「正規雇用の実現」または「雇用機会の確保」のために、体験雇用を経ることが適当であると公共職業安定所長が認める者です。
(1)平成21年10月から平成22年9月末までに卒業した者で、雇入れ開始日現在の満
年齢が40歳未満の者
(2)ハローワークに求職登録を行い、就職先が未決定の者
◆奨励金受給のための要件
この奨励金を受給するための要件は、以下の通りです。
(1)ハローワークに「体験雇用求人」を登録すること
(2)体験雇用は31日間の有期雇用であること
(3)体験雇用開始の日から10日以内に「体験雇用実施計画書」を提出すること(提出にあたっては対象者の同意を得る必要がある)
(4)体験雇用終了日の翌日から起算して1カ月以内に「体験雇用結果報告書兼新卒者体験雇用奨励金支給申請書」を提出すること(提出にあたっては対象者の同意を得る必要がある)
◆1人当たり8万円を支給
ハローワークによる審査終了後に、対象者1人当たり8万円の奨励金が支給されることとなっています。
なお、平成23年3月末までに体験雇用を開始した対象者が奨励金の支給対象となりますが、体験雇用終了後の正規雇用への移行に関しては、他の「雇入れ助成金」の支給対象とはなりませんので、注意が必要です。
新年金制度(最低保障年金・所得比例年金)をめぐる動き
◆検討会が初会合
政府は「新年金制度に関する検討会」を立ち上げ、3月8日に初めての会合を開きました。今後、新しい年金制度に関する議論が活発化するものと思われますが、民主党が衆議院選挙のマニフェストで掲げていた「最低保障年金」「所得比例年金」は果たして実現するのでしょうか?
◆鳩山首相の決意
鳩山首相は、初会合において、「新制度は新政権にとっての最大の課題の1つ。制度設計に全身全霊を傾けてもらいたい」と述べ、また、長妻厚生労働大臣も「まずは原則をきちんと示して国民の合意を得ることが必要」と述べたそうです。
民主党は、昨夏の衆議院選挙で「最低保障年金」「所得比例年金」を2本柱とした年金改革を打ち出しており、国民からの期待も大きいものと思われます。
◆「最低保障年金」と「所得比例年金」
2本柱の1つである「最低保障年金」は、消費税を財源として、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする制度です。もう1つの柱の「所得比例年金」は、すべての人が、所得が同じであれば、同じ保険料を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算するという制度です。
なお、「所得比例年金」を一定額以上受給できる人は「最低保障年金」が減額されるとなっています。
◆裏付けとなる「財源」が問題
民主党のマニフェストでは、この他にも「年金記録問題の2011年度までの解決」「公的年金の一元化」なども掲げています。
政府では、今年5月までに新しい年金制度の大原則を打ち出し、2013年度までに関連法案の成立を目指すとしていますが、課題となる「財源」などの問題にどのように取り組み、国民的な合意の得られるような制度が出来上がっていくのか、注目したいところです。
「ツイッター」の利用拡大と採用活動への活用
◆鳩山首相も活用
インターネット上で、140文字以内でメッセージをやり取りするコミュニケーション・サービスの「ツイッター」がブームとなっています。
鳩山首相を初めとする政治家やカリスマ経営者など、有名人のユーザー登録・利用も増えるなどの影響により、利用者はますます増えていきそうです。
◆140字以内の投稿
この「ツイッター」は、「ミニブログサービス」とも言われており、日常の出来事や自分の身の周りで起きたこと、感想などを、140文字までの短文でインターネットに投稿するものです。投稿のことは「ツイート(つぶやき)」と呼ばれ、「ツイッター」の語源となっています。
特定の人のアドレスを登録することにより継続的な読者となることができるため、「ブログ」と比較すると、より短時間で情報が広まりやすいという特徴を持っています。
◆社長によるメッセージ発信
採用活動にこの「ツイッター」を活用する中小企業も出てきているようです。社長が「ツイッター」を活用して直々にメッセージを流したベンチャー企業の就職イベントには、2日間で約40名の参加者が集まったそうです。
別の会社の社長は、「企業のトップと就職活動中の学生とが直接的につながることができ、新しい試みとして非常に有効である」といった感想を述べています。また、「人材を募集しようとお金をかけて広告を出したがなかなか人が集まらず困っていたところ、ツイッターを活用したら30人ほど反応があった」という人事担当者もいるようです。
◆新しい募集・採用手段として
また、「ツイッター」を「就職活動中の情報収集手段」として捉える学生も増えているようです。
これからの時代、新しい募集・採用手段として「ツイッター」を活用する企業も増えてくるのではないでしょうか。
2010/02/25
3月の事務所便り
外国人研修生の受入れ数が減少
◆不況を契機に減少傾向
「外国人研修・技能実習制度」を利用した研修生の新規受入れが、2008年秋以降の世界同時不況から1年以上経過してもなお減少傾向にあることが、財団法人国際研修協力機構(JITCO)の調査で明らかになりました。
この調査結果によれば、企業がJITCOを通じて申請を行った昨年1~11月の新規の研修生は4万7,772人であり、前年同期比で27.5%も減少しています。
◆「外国人研修・技能実習制度」とは
この制度は、技術の移転により、開発途上国における人材育成に貢献することを目的として、幅広い分野における研修生の受入れを行う制度です。制度が現在の形になる前は、大企業が現地法人や取引先企業の社員を日本に呼び寄せ、企業ごとに独自に研修を行うというものでしかありませんでした。
1990年に研修制度が改正され、中小企業であっても中小企業団体等を通じて研修生の受入れが可能となり、その結果、現在では主要な受入れ先は中小企業となっています。
しかし、その主要な受入れ先である中小製造業の業績不振が長引いていることにより、受入れ減少傾向に歯止めがかからない状況が続いているようです。
◆受入れの減少は続く見通し
一部の大企業では景気好転の兆しが出てきたとの観測もあるようですが、中小企業の回復力はまだまだ弱いとの指摘もあり、研修生の受入れ減少は当分続く見通しです。
研修生の受入れ制度は、「安い労働力の活用」というだけでなく、外国との接点が生まれ、中小企業にとっては事業の活性化につながる非常に重要な制度です。今後、以前のような活発な受入れが復活することが望まれます。
平成22年度における年金額は?
◆来年度も据置き
厚生労働省は、1月下旬に平成22年度の年金額を発表しました。年金額は平成22年度も据置きとなり、老齢基礎年金は、満額の場合は1人月額6万6,008円、厚生年金は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として月額23万2,592円となっています。
なお、厚生年金については、夫が平均的収入(平均標準報酬が36万円)で40年間就業し、妻がその期間すべてにおいて専業主婦であった世帯の給付水準です。
◆「本来水準」と「特例水準」
法律上、本来想定している年金額(本来水準)は、物価や賃金の上昇・下落に応じて増額・減額がなされるというルールです。しかし現在、実際に支給されている年金は、物価下落時に年金額を据え置いた(物価スライド特例措置)経緯から、特例的に、本来よりも高い水準(特例水準)で支払われています。
特例水準の年金額は、物価が上昇しても据え置かれる一方、物価が直近の年金額改定のベースとなる物価水準を下回った場合に、その分だけ引き下げるというルールです。
◆物価スライド特例措置
平成22年度の年金額の場合、平成21年の物価水準は対前年比では下落したものの、法律により、これを下回らなければ引き下げない基準としている「平成17年の物価水準」と比較すると、依然として0.3%上回っている状況にあるため、法律の規定に基づいて、平成22年度の年金額は据置きとなったのです。
雇用保険法等の一部を改正する法律案
◆施行は4月1日の予定
改正雇用保険法案(雇用保険法等の一部を改正する法律案)が今国会で成立の見込みとなっています。主な改正点は、「雇用保険の適用範囲の拡大」と「雇用保険二事業の財政基盤の強化」の2つであり、施行日は4月1日の予定です。
◆「雇用保険の適用範囲の拡大」
(1)非正規労働者に対する適用範囲の拡大
雇用保険の適用基準である「6カ月以上の雇用見込み」が「31日以上の雇用見込み」に緩和されます。
(2)雇用保険に未加入とされた者に対する遡及適用期間の改善
事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったために未加入とされていた者のうち、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された者については、現行の「2年」を超えて遡及適用されます。
この場合において、事業所全体として保険料を納付していないことが確認されたケースについては、保険料の徴収時効である2年経過後も、保険料を納付可能とし、その納付を勧奨します。
◆「雇用保険二事業の財政基盤の強化」
(1)失業等給付の積立金からの借入れ
雇用保険二事業(事業主からの保険料負担のみ)の財源不足を補うために、失業等給付の積立金から借り入れる仕組みが暫定的に措置されます。
(2)雇用保険二事業の保険料率に係る弾力条項の発動停止
現行規定では、平成22年度の保険料率は21年度と同じく3.0/1000となりますが、弾力条項の発動を停止することにより、22年度の保険料率は原則通りの3.5/1000となります。
◆企業にとっては厳しい改正
改正法の施行日は平成22年4月1日の予定です(「遡及適用期間の改善」ついては公布の日から9月以内)。
雇用保険は、失業者の生活や雇用の安定を図るためのものであるため、今回の改正は当然の措置であるかもしれません。しかし、現下の不況の中、「適用範囲の拡大」等は、企業にとっては厳しい改正といえるでしょう。
積立不足でも厚生年金基金の解散が可能に
◆不足分の穴埋めが条件
厚生労働省は、財政難の厚生年金基金(いわゆる「特定基金」)を対象として、年金資金が積立不足のままであっても解散することができる特例措置を、2011年から導入する方針を明らかにしました。
同省では、厚生年金保険法などの改正案を通常国会に提出する模様ですが、成立すれば、運用低迷などで存続を望まない基金は解散がしやすくなります。
◆「特定基金」と「最低責任準備金」
特定基金とは、解散しようとする日において保有資産(純資産額)が最低責任準備金を下回っていると見込まれる厚生年金基金のことをいいます。
また、最低責任準備金とは、厚生年金基金が解散した場合に、代行部分の給付の原資として企業年金連合会に返還する責任準備金(将来の給付に備えて現時点で保有しておかなければならない金額のこと)に相当する額のことをいいます。
この特定基金が解散する場合、平成17年4月1日から起算して3年以内に限り、①厚生労働大臣に対して責任準備金相当額の減額を申し出ること、②最低責任準備金の納付に関する計画(納付計画)を作成し、これを厚生労働大臣に申請してその納付計画が適当である旨の承認を受けることで責任準備金相当額の納付の猶予(不足額の分割納付)を受けること、が認められています。
◆積立不足の基金は78.2%
厚生年金基金は約465万人が加入している代表的な企業年金であり、公的年金の「2階部分」である厚生年金の一部の運用を代行しています。ただ、運用環境の悪化に伴って代行部分の年金資産が目減りしているため、積立不足に陥る基金が急増しており、格付け投資情報センター(R&I)の調査によれば、2009年3月末時点で78.2%の基金が積立不足となっているそうです。
現在、代行部分の積立不足を一括払いで解消しなければ基金の解散は認められず、穴埋めの資金がないために解散できず、年を追うごとに資産の劣化が進む悪循環に陥る基金が後を絶ちません。
◆基金の解散が増えるか
今回の特例では、基金解散後に、基金の資産を預かる企業年金連合会に、母体企業が積立不足分を分割払いで返済することを認めるものとなっています。返済期間は原則5年とされていますが、10年まで可能となっています。これにより、早期に解散したほうが加入者の利益につながる場合もあり、各基金の選択肢が増えることとなります。
過去には2005年度から2007年度にも同様の特例措置が導入されたことがあります。株価の回復などを受けて2008年度以降は廃止されていましたが、財政が悪化している基金が急増しているため、この措置を復活させる考えです。財政難にあえぐ基金の解散が今後増えることが予想されます。
新しい「高齢者医療制度」の素案
◆65歳以上は原則として国保に加入
厚生労働省は、「65~74歳」と「75歳以上」とを区分している現行制度に代わる、新しい高齢者医療制度の素案をまとめました。
今回の素案については、年末までには最終結論を出し、2013年度から新制度に移行する予定のようですが、今後の制度設計の具体化は難航が予想されています。
◆現行制度と新制度
現行制度では、高齢者を65~74歳の「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」とに分けており、74歳までは市町村単位で運営する国民健康保険(国保)や企業の健康保険組合などに加入しています。75歳以上は別枠の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に加入し、医療給付費の1割を負担する仕組みとなっています。
新制度の素案では、「65~74歳」、「75歳以上」といった区分をなくし、65歳以上の高齢者は原則として国保に加入する仕組みとしていますが、現役世代とは別勘定とし、医療の実態に合わせた応分の負担を求めることとしています。
◆現役世代とは別勘定
また素案では、年齢による差別への批判に対応し、健康保険証の発行や健康診断など、健保事業は現役世代と同じ各市町村の国保が担当することとしています。ただし、財政運営は、65歳以上を現役世代とは別勘定とし、現役と高齢者の負担の線引きをします。これは、病気やケガが多い高齢者が増えると、医療費の増加により国保の財政が悪化し、現役世代の保険料引上げなどを招きかねないためです。
高齢者医療制度の財政運営が市町村単位であると、高齢者が多い自治体の保険料率が過度に上昇して地域差が大きくなる可能性があるので、65歳以上の部分は都道府県単位で一体管理をすることにより、保険料の水準は同じ都道府県であれば同一になるとしています。
65歳以上の勘定には、国保や大企業の健保組合、協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)など、すべての現役世代の保険が支援金を出し、高齢者の保険料負担を緩和する動きがありますが、65歳以上でも企業で働いている人については、例外として企業の健保組合などへの加入を認める方向です。
ただ、公平できめ細かい制度設計ができなければ、支援金を負担する企業や現役世代からの反発も予想されるため、保険料算定の仕組みによっては、65~74歳の世代の負担が増える可能性もあります。
経営が厳しい老人福祉事業者・医療機関の状況
◆いずれも倒産件数が過去最高
民間調査機関の帝国データバンクによる「老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査」で、2009年の老人福祉事業者・医療機関の倒産件数が過去最高となったことがわかりました(老人福祉事業者が32件、医療機関が52件)。
この調査は、「老人福祉事業者」(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、ケアハウスを含む軽費老人ホーム、老人デイサービスセンター、在宅介護サービスを運営する事業者等)、「医療機関」(病院・診療所・歯科医院)を対象に行っているものです。
◆老人福祉事業者の倒産が急増
老人福祉事業者の倒産については、2005年は4件、2006年は7件、2007年は23件、2008年は26件、2009年は32件と推移し、2006年の7件から3年で約4.6倍にも増加しています。医療機関では毎年ある程度の増減があるのに対し、老人福祉事業者は完全に右肩上がりで、特に2007年からの増加が顕著です。
高齢化社会の進行により拡大する老人福祉市場へ新規参入をした、業歴が浅く規模も小さい事業所の倒産が多く、再建型の民事再生法を選択できる条件に適った企業は少ないようです。
一方、医療機関をみると、2005年は28件、2006年は30件、2007年は48件、2008年は35件、2009年は52件と推移しています。
◆値下げ競争や介護報酬引下げなどが要因
2001年から2009年における倒産企業の業歴別を見てみると、老人福祉事業者の倒産102件のうち、実に77件(約75.5%)が「10年未満」となっています。
2000年の介護保険法の施行に伴い、多くの企業が老人福祉事業に参入したものの、老人ホームの入居料金等の値下げ合戦が起き、法改正による介護報酬の引下げに加えて施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されたことなどが要因となり、10年を経ずに倒産している企業が多発しているのが現状です。
高齢化のさらなる進展が予想されるなか、最も優先すべき問題の1つとなっている医療・老人福祉問題に対し、早急な対応が望まれます。
会社の経費節減と社員のモチベーションとの関係
◆インターネットによる調査
NTTレゾナント株式会社は、昨年12月に、インターネットを利用した「コスト削減と働くモチベーションに関する意識調査」を実施し、先頃、その結果を発表しました。
調査の対象は、従業員数10名~299名の中小企業に勤めている20代・30代の社員であり、524件の有効回答があったそうです。ここでは、この調査結果について見ていきましょう。
◆どんなコスト削減が行われているか?
2008年秋の世界同時不況以降、様々なコスト削減の取組みが各社で行われていると思いますが、「あなたの会社でどのようなコスト削減が実施されましたか」という問いに対する回答(複数回答)は、次の通りでした。
(1)コピー費の削減(カラーコピーの禁止、出力自体の抑制等)…58.8%
(2)残業禁止による残業代削減…41.8%
(3)交通費の削減(出張の抑制、タクシー代削減等)…41.2%
(4)交際費の削減(お客様の接待抑制、禁止等)…34.2%
(5)通信費の削減(会社携帯電話の取りやめ、携帯代金の自己負担等)…27.1%
(6)オフィス家賃の削減(オフィス移転、オフィス縮小等)…18.9%
◆6割以上がモチベーション低下
また、「コスト削減によって業務が非効率になったと感じたことがありますか」という質問に対して「ある」と答えた人は52.1%、「ない」と答えた人は47.9%でした。
そして、「コスト削減によって働くモチベーションは下がると思いますか」という問いに対しては、「大変思う」が22.1%、「思う」が39.1%、「思わない」が31.1%、「全く思わない」が7.6%という結果となり、「大変思う」「思う」を合わせると、6割以上の人が「コスト削減によりモチベーションが下がる」と感じているということになります。
◆重要なのは「お金の使い方」
業績が悪いときに「コスト削減・経費節減」を考えるのは会社として当然のことでしょう。しかし、業務を担っている社員のモチベーションが下がり、働く環境が悪くなってしまっては何にもなりません。
コストのかけ方や経費の使い方だけが社員のモチベーションに繋がるものではありませんが、今の厳しい時代、「切り詰めるべきもの」と「お金をかけるべきもの」をきちんと見極め、社員のやる気をアップさせるような「お金の使い方」が求められるのではないでしょうか。
「若年者の失業率」と「学生の内定取消」の状況
◆世界的にも高い若年層の失業率
国際労働機関(ILO)の調査結果によれば、2009年における若年層(25歳未満)の失業率は17.7%(前年比4.6ポイント悪化)となったそうです。全世代平均の失業率は8.4%ですので、これを大幅に上回っています。特にユーロ圏では21.0%、米国では15.6%と非常に高くなっています(日本では8.4%)。
日本でも、企業から内定を受けていない今春卒業予定の大学生が10万人以上いるとも言われ、大きな社会問題となっています。
◆内定取消企業名の公表基準
昨年1月、厚生労働省は、会社の都合で一方的に学生の内定を取り消した場合、ハローワークと学校に通知するようにとの規則を定めました。
また、「新卒者の内定取消企業名の公表」の基準について、以下の5項目を示しました。
(1)2年度以上連続で内定取消を行った。
(2)同一年度に10人以上の内定取消を行った。
(3)事業活動の縮小が余儀なくされているものと明らかには認められない。
(4)学生に内定取消の理由を十分に説明していない。
(5)内定を取り消した学生の就職先確保の支援を行わなかった。
上記のいずれかに該当するような悪質なケースでは、企業名が公表されることになっています。昨年度の内定取消者の数は2,143人(447事業所)で、企業名が公表されたのは15社でした。
◆「内定取消」と「内定辞退」
最近は、「企業による内定取消」なのか「学生による(自主的な)内定辞退」なのかがあいまいで、トラブルになるケースも多いようです。例えば、企業が学生に多額の補償金などを手渡して、なかば強引に「内定辞退」を迫るといったケースです。
内定取消については、解雇に比べると「合理性」や「相当性」が緩やかに認められるといえますが、判例(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決)では、内定取消が認められるのは、「内定当時知ることができず、また知ることを期待できないような事実があり、それを理由に内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できる場合」に限られるとしていますので、内定取消を行う場合にはこの点に注意しなければなりません。
失業者向け生活貸付制度の利用者が急増中
◆失業者数が14カ月連続で増加
昨年12月時点の完全失業者数は約317万人となり、1年前と比較して約47万人も増加しました。完全失業者数は14カ月連続で増加しています。
そんな中、厚生労働省による生活貸付制度(総合支援資金貸付制度)の利用者が大幅に増えているそうです。
◆「総合支援資金貸付制度」とは?
この貸付制度は、失業等により日常生活全般に困難を抱えている人に対して、必要な資金の貸付けと、社会福祉協議会やハローワーク等による継続的な相談支援をセットで行うことにより、生活の立て直しや経済的自立を図ることを目的とした制度です。
原則として、住居のある人が対象となっていますが、住居がない人の場合は、自治体で実施している住宅手当の申請を行い、今後、住居の確保が確実に見込まれていることが条件となります。
制度の実施主体は「都道府県社会福祉協議会」となっていますが、申込みの相談は地域の「市町村社会福祉協議会」で行っています。
◆連帯保証人が不要
この制度の大きな特徴は、連帯保証人が不要であり、年利が1.5%の低利だということです。このような手軽さからか、昨年10月の受付開始以来、3カ月で7,324人が利用し、貸付総額は62億円にも上っています。
連帯保証人が必要だった旧制度時代の2008年度の実績と比較すると、利用人数は約4.5倍にもなっているそうです。
◆返済がスムーズに進むかが課題
制度の利用者は、貸付から遅くとも1年半後までには返済を開始しなければなりませんが、貸付期間中に就職先を見つけるなどしなければ、実際には返済は難しくなり、貸付金が焦げ付く可能性も指摘されています。
今のような景気の状況が続けば、焦げ付きの可能性は高いものと言わざるを得ません。政府の政策、企業の努力等により、景気が上向くことを期待するばかりです。
厚生労働省から発表された緊急助成金
◆建設業に関連した緊急助成金
厚生労働省は、「建設労働者緊急雇用確保助成金」の創設を2月8日に発表しました。
この助成金には「建設業新分野教育訓練助成金」と「建設業離職者雇用開発助成金」の2種類がありますが、前者は「建設事業主」を対象としたもの、後者は「建設業以外の事業主」を対象としたものとなっています。
◆建設事業主を対象とした「建設業新分野教育訓練助成金」
この助成金は、建設労働者の雇用を維持しながら、建設業以外の事業に従事するために必要な教育訓練を実施した中小建設事業主に対して助成金を支給するものであり、支給額は次の通りです。
(1)教育訓練の実施経費の3分の2(1日当たり20万円。60日分を限度)
(2)教育訓練を受講した労働者の賃金に対し、1人につき1日7,000円(上限。60日分を限度)
なお、教育訓練を開始する日の2週間前までに、労働局等に訓練計画を届け出る必要があり、支給申請は、教育訓練が終了した日(賃金締切日が定められている場合は直後の賃金締切日)の翌日から1カ月以内に行う必要があります。
◆建設業以外の事業主を対象とした「建設業離職者雇用開発助成金」
この助成金は、建設業以外の事業主で、45歳以上60歳未満の建設業離職者を公共職業安定所等の紹介により、継続して雇用する者として雇い入れた事業主に対して助成金を支給するものです。
支給額は次の通りであり、雇入れから6カ月経過後および1年経過後に半額ずつ支給されます。
(1)中小企業事業主…90万円
(2)中小企業事業主以外の事業主…50万円
なお、支給申請は、雇入れの日から6カ月経過日の翌日から1カ月以内に行う必要があります。
◆支給要件等の詳細
支給要件等の詳細は、下記の厚生労働省ホームページで確認することができます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000045nx-att/2r985200000045po.pdf
◆不況を契機に減少傾向
「外国人研修・技能実習制度」を利用した研修生の新規受入れが、2008年秋以降の世界同時不況から1年以上経過してもなお減少傾向にあることが、財団法人国際研修協力機構(JITCO)の調査で明らかになりました。
この調査結果によれば、企業がJITCOを通じて申請を行った昨年1~11月の新規の研修生は4万7,772人であり、前年同期比で27.5%も減少しています。
◆「外国人研修・技能実習制度」とは
この制度は、技術の移転により、開発途上国における人材育成に貢献することを目的として、幅広い分野における研修生の受入れを行う制度です。制度が現在の形になる前は、大企業が現地法人や取引先企業の社員を日本に呼び寄せ、企業ごとに独自に研修を行うというものでしかありませんでした。
1990年に研修制度が改正され、中小企業であっても中小企業団体等を通じて研修生の受入れが可能となり、その結果、現在では主要な受入れ先は中小企業となっています。
しかし、その主要な受入れ先である中小製造業の業績不振が長引いていることにより、受入れ減少傾向に歯止めがかからない状況が続いているようです。
◆受入れの減少は続く見通し
一部の大企業では景気好転の兆しが出てきたとの観測もあるようですが、中小企業の回復力はまだまだ弱いとの指摘もあり、研修生の受入れ減少は当分続く見通しです。
研修生の受入れ制度は、「安い労働力の活用」というだけでなく、外国との接点が生まれ、中小企業にとっては事業の活性化につながる非常に重要な制度です。今後、以前のような活発な受入れが復活することが望まれます。
平成22年度における年金額は?
◆来年度も据置き
厚生労働省は、1月下旬に平成22年度の年金額を発表しました。年金額は平成22年度も据置きとなり、老齢基礎年金は、満額の場合は1人月額6万6,008円、厚生年金は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として月額23万2,592円となっています。
なお、厚生年金については、夫が平均的収入(平均標準報酬が36万円)で40年間就業し、妻がその期間すべてにおいて専業主婦であった世帯の給付水準です。
◆「本来水準」と「特例水準」
法律上、本来想定している年金額(本来水準)は、物価や賃金の上昇・下落に応じて増額・減額がなされるというルールです。しかし現在、実際に支給されている年金は、物価下落時に年金額を据え置いた(物価スライド特例措置)経緯から、特例的に、本来よりも高い水準(特例水準)で支払われています。
特例水準の年金額は、物価が上昇しても据え置かれる一方、物価が直近の年金額改定のベースとなる物価水準を下回った場合に、その分だけ引き下げるというルールです。
◆物価スライド特例措置
平成22年度の年金額の場合、平成21年の物価水準は対前年比では下落したものの、法律により、これを下回らなければ引き下げない基準としている「平成17年の物価水準」と比較すると、依然として0.3%上回っている状況にあるため、法律の規定に基づいて、平成22年度の年金額は据置きとなったのです。
雇用保険法等の一部を改正する法律案
◆施行は4月1日の予定
改正雇用保険法案(雇用保険法等の一部を改正する法律案)が今国会で成立の見込みとなっています。主な改正点は、「雇用保険の適用範囲の拡大」と「雇用保険二事業の財政基盤の強化」の2つであり、施行日は4月1日の予定です。
◆「雇用保険の適用範囲の拡大」
(1)非正規労働者に対する適用範囲の拡大
雇用保険の適用基準である「6カ月以上の雇用見込み」が「31日以上の雇用見込み」に緩和されます。
(2)雇用保険に未加入とされた者に対する遡及適用期間の改善
事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったために未加入とされていた者のうち、事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細等の書類により確認された者については、現行の「2年」を超えて遡及適用されます。
この場合において、事業所全体として保険料を納付していないことが確認されたケースについては、保険料の徴収時効である2年経過後も、保険料を納付可能とし、その納付を勧奨します。
◆「雇用保険二事業の財政基盤の強化」
(1)失業等給付の積立金からの借入れ
雇用保険二事業(事業主からの保険料負担のみ)の財源不足を補うために、失業等給付の積立金から借り入れる仕組みが暫定的に措置されます。
(2)雇用保険二事業の保険料率に係る弾力条項の発動停止
現行規定では、平成22年度の保険料率は21年度と同じく3.0/1000となりますが、弾力条項の発動を停止することにより、22年度の保険料率は原則通りの3.5/1000となります。
◆企業にとっては厳しい改正
改正法の施行日は平成22年4月1日の予定です(「遡及適用期間の改善」ついては公布の日から9月以内)。
雇用保険は、失業者の生活や雇用の安定を図るためのものであるため、今回の改正は当然の措置であるかもしれません。しかし、現下の不況の中、「適用範囲の拡大」等は、企業にとっては厳しい改正といえるでしょう。
積立不足でも厚生年金基金の解散が可能に
◆不足分の穴埋めが条件
厚生労働省は、財政難の厚生年金基金(いわゆる「特定基金」)を対象として、年金資金が積立不足のままであっても解散することができる特例措置を、2011年から導入する方針を明らかにしました。
同省では、厚生年金保険法などの改正案を通常国会に提出する模様ですが、成立すれば、運用低迷などで存続を望まない基金は解散がしやすくなります。
◆「特定基金」と「最低責任準備金」
特定基金とは、解散しようとする日において保有資産(純資産額)が最低責任準備金を下回っていると見込まれる厚生年金基金のことをいいます。
また、最低責任準備金とは、厚生年金基金が解散した場合に、代行部分の給付の原資として企業年金連合会に返還する責任準備金(将来の給付に備えて現時点で保有しておかなければならない金額のこと)に相当する額のことをいいます。
この特定基金が解散する場合、平成17年4月1日から起算して3年以内に限り、①厚生労働大臣に対して責任準備金相当額の減額を申し出ること、②最低責任準備金の納付に関する計画(納付計画)を作成し、これを厚生労働大臣に申請してその納付計画が適当である旨の承認を受けることで責任準備金相当額の納付の猶予(不足額の分割納付)を受けること、が認められています。
◆積立不足の基金は78.2%
厚生年金基金は約465万人が加入している代表的な企業年金であり、公的年金の「2階部分」である厚生年金の一部の運用を代行しています。ただ、運用環境の悪化に伴って代行部分の年金資産が目減りしているため、積立不足に陥る基金が急増しており、格付け投資情報センター(R&I)の調査によれば、2009年3月末時点で78.2%の基金が積立不足となっているそうです。
現在、代行部分の積立不足を一括払いで解消しなければ基金の解散は認められず、穴埋めの資金がないために解散できず、年を追うごとに資産の劣化が進む悪循環に陥る基金が後を絶ちません。
◆基金の解散が増えるか
今回の特例では、基金解散後に、基金の資産を預かる企業年金連合会に、母体企業が積立不足分を分割払いで返済することを認めるものとなっています。返済期間は原則5年とされていますが、10年まで可能となっています。これにより、早期に解散したほうが加入者の利益につながる場合もあり、各基金の選択肢が増えることとなります。
過去には2005年度から2007年度にも同様の特例措置が導入されたことがあります。株価の回復などを受けて2008年度以降は廃止されていましたが、財政が悪化している基金が急増しているため、この措置を復活させる考えです。財政難にあえぐ基金の解散が今後増えることが予想されます。
新しい「高齢者医療制度」の素案
◆65歳以上は原則として国保に加入
厚生労働省は、「65~74歳」と「75歳以上」とを区分している現行制度に代わる、新しい高齢者医療制度の素案をまとめました。
今回の素案については、年末までには最終結論を出し、2013年度から新制度に移行する予定のようですが、今後の制度設計の具体化は難航が予想されています。
◆現行制度と新制度
現行制度では、高齢者を65~74歳の「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」とに分けており、74歳までは市町村単位で運営する国民健康保険(国保)や企業の健康保険組合などに加入しています。75歳以上は別枠の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に加入し、医療給付費の1割を負担する仕組みとなっています。
新制度の素案では、「65~74歳」、「75歳以上」といった区分をなくし、65歳以上の高齢者は原則として国保に加入する仕組みとしていますが、現役世代とは別勘定とし、医療の実態に合わせた応分の負担を求めることとしています。
◆現役世代とは別勘定
また素案では、年齢による差別への批判に対応し、健康保険証の発行や健康診断など、健保事業は現役世代と同じ各市町村の国保が担当することとしています。ただし、財政運営は、65歳以上を現役世代とは別勘定とし、現役と高齢者の負担の線引きをします。これは、病気やケガが多い高齢者が増えると、医療費の増加により国保の財政が悪化し、現役世代の保険料引上げなどを招きかねないためです。
高齢者医療制度の財政運営が市町村単位であると、高齢者が多い自治体の保険料率が過度に上昇して地域差が大きくなる可能性があるので、65歳以上の部分は都道府県単位で一体管理をすることにより、保険料の水準は同じ都道府県であれば同一になるとしています。
65歳以上の勘定には、国保や大企業の健保組合、協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)など、すべての現役世代の保険が支援金を出し、高齢者の保険料負担を緩和する動きがありますが、65歳以上でも企業で働いている人については、例外として企業の健保組合などへの加入を認める方向です。
ただ、公平できめ細かい制度設計ができなければ、支援金を負担する企業や現役世代からの反発も予想されるため、保険料算定の仕組みによっては、65~74歳の世代の負担が増える可能性もあります。
経営が厳しい老人福祉事業者・医療機関の状況
◆いずれも倒産件数が過去最高
民間調査機関の帝国データバンクによる「老人福祉事業者・医療機関の倒産動向調査」で、2009年の老人福祉事業者・医療機関の倒産件数が過去最高となったことがわかりました(老人福祉事業者が32件、医療機関が52件)。
この調査は、「老人福祉事業者」(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、ケアハウスを含む軽費老人ホーム、老人デイサービスセンター、在宅介護サービスを運営する事業者等)、「医療機関」(病院・診療所・歯科医院)を対象に行っているものです。
◆老人福祉事業者の倒産が急増
老人福祉事業者の倒産については、2005年は4件、2006年は7件、2007年は23件、2008年は26件、2009年は32件と推移し、2006年の7件から3年で約4.6倍にも増加しています。医療機関では毎年ある程度の増減があるのに対し、老人福祉事業者は完全に右肩上がりで、特に2007年からの増加が顕著です。
高齢化社会の進行により拡大する老人福祉市場へ新規参入をした、業歴が浅く規模も小さい事業所の倒産が多く、再建型の民事再生法を選択できる条件に適った企業は少ないようです。
一方、医療機関をみると、2005年は28件、2006年は30件、2007年は48件、2008年は35件、2009年は52件と推移しています。
◆値下げ競争や介護報酬引下げなどが要因
2001年から2009年における倒産企業の業歴別を見てみると、老人福祉事業者の倒産102件のうち、実に77件(約75.5%)が「10年未満」となっています。
2000年の介護保険法の施行に伴い、多くの企業が老人福祉事業に参入したものの、老人ホームの入居料金等の値下げ合戦が起き、法改正による介護報酬の引下げに加えて施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されたことなどが要因となり、10年を経ずに倒産している企業が多発しているのが現状です。
高齢化のさらなる進展が予想されるなか、最も優先すべき問題の1つとなっている医療・老人福祉問題に対し、早急な対応が望まれます。
会社の経費節減と社員のモチベーションとの関係
◆インターネットによる調査
NTTレゾナント株式会社は、昨年12月に、インターネットを利用した「コスト削減と働くモチベーションに関する意識調査」を実施し、先頃、その結果を発表しました。
調査の対象は、従業員数10名~299名の中小企業に勤めている20代・30代の社員であり、524件の有効回答があったそうです。ここでは、この調査結果について見ていきましょう。
◆どんなコスト削減が行われているか?
2008年秋の世界同時不況以降、様々なコスト削減の取組みが各社で行われていると思いますが、「あなたの会社でどのようなコスト削減が実施されましたか」という問いに対する回答(複数回答)は、次の通りでした。
(1)コピー費の削減(カラーコピーの禁止、出力自体の抑制等)…58.8%
(2)残業禁止による残業代削減…41.8%
(3)交通費の削減(出張の抑制、タクシー代削減等)…41.2%
(4)交際費の削減(お客様の接待抑制、禁止等)…34.2%
(5)通信費の削減(会社携帯電話の取りやめ、携帯代金の自己負担等)…27.1%
(6)オフィス家賃の削減(オフィス移転、オフィス縮小等)…18.9%
◆6割以上がモチベーション低下
また、「コスト削減によって業務が非効率になったと感じたことがありますか」という質問に対して「ある」と答えた人は52.1%、「ない」と答えた人は47.9%でした。
そして、「コスト削減によって働くモチベーションは下がると思いますか」という問いに対しては、「大変思う」が22.1%、「思う」が39.1%、「思わない」が31.1%、「全く思わない」が7.6%という結果となり、「大変思う」「思う」を合わせると、6割以上の人が「コスト削減によりモチベーションが下がる」と感じているということになります。
◆重要なのは「お金の使い方」
業績が悪いときに「コスト削減・経費節減」を考えるのは会社として当然のことでしょう。しかし、業務を担っている社員のモチベーションが下がり、働く環境が悪くなってしまっては何にもなりません。
コストのかけ方や経費の使い方だけが社員のモチベーションに繋がるものではありませんが、今の厳しい時代、「切り詰めるべきもの」と「お金をかけるべきもの」をきちんと見極め、社員のやる気をアップさせるような「お金の使い方」が求められるのではないでしょうか。
「若年者の失業率」と「学生の内定取消」の状況
◆世界的にも高い若年層の失業率
国際労働機関(ILO)の調査結果によれば、2009年における若年層(25歳未満)の失業率は17.7%(前年比4.6ポイント悪化)となったそうです。全世代平均の失業率は8.4%ですので、これを大幅に上回っています。特にユーロ圏では21.0%、米国では15.6%と非常に高くなっています(日本では8.4%)。
日本でも、企業から内定を受けていない今春卒業予定の大学生が10万人以上いるとも言われ、大きな社会問題となっています。
◆内定取消企業名の公表基準
昨年1月、厚生労働省は、会社の都合で一方的に学生の内定を取り消した場合、ハローワークと学校に通知するようにとの規則を定めました。
また、「新卒者の内定取消企業名の公表」の基準について、以下の5項目を示しました。
(1)2年度以上連続で内定取消を行った。
(2)同一年度に10人以上の内定取消を行った。
(3)事業活動の縮小が余儀なくされているものと明らかには認められない。
(4)学生に内定取消の理由を十分に説明していない。
(5)内定を取り消した学生の就職先確保の支援を行わなかった。
上記のいずれかに該当するような悪質なケースでは、企業名が公表されることになっています。昨年度の内定取消者の数は2,143人(447事業所)で、企業名が公表されたのは15社でした。
◆「内定取消」と「内定辞退」
最近は、「企業による内定取消」なのか「学生による(自主的な)内定辞退」なのかがあいまいで、トラブルになるケースも多いようです。例えば、企業が学生に多額の補償金などを手渡して、なかば強引に「内定辞退」を迫るといったケースです。
内定取消については、解雇に比べると「合理性」や「相当性」が緩やかに認められるといえますが、判例(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日判決)では、内定取消が認められるのは、「内定当時知ることができず、また知ることを期待できないような事実があり、それを理由に内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できる場合」に限られるとしていますので、内定取消を行う場合にはこの点に注意しなければなりません。
失業者向け生活貸付制度の利用者が急増中
◆失業者数が14カ月連続で増加
昨年12月時点の完全失業者数は約317万人となり、1年前と比較して約47万人も増加しました。完全失業者数は14カ月連続で増加しています。
そんな中、厚生労働省による生活貸付制度(総合支援資金貸付制度)の利用者が大幅に増えているそうです。
◆「総合支援資金貸付制度」とは?
この貸付制度は、失業等により日常生活全般に困難を抱えている人に対して、必要な資金の貸付けと、社会福祉協議会やハローワーク等による継続的な相談支援をセットで行うことにより、生活の立て直しや経済的自立を図ることを目的とした制度です。
原則として、住居のある人が対象となっていますが、住居がない人の場合は、自治体で実施している住宅手当の申請を行い、今後、住居の確保が確実に見込まれていることが条件となります。
制度の実施主体は「都道府県社会福祉協議会」となっていますが、申込みの相談は地域の「市町村社会福祉協議会」で行っています。
◆連帯保証人が不要
この制度の大きな特徴は、連帯保証人が不要であり、年利が1.5%の低利だということです。このような手軽さからか、昨年10月の受付開始以来、3カ月で7,324人が利用し、貸付総額は62億円にも上っています。
連帯保証人が必要だった旧制度時代の2008年度の実績と比較すると、利用人数は約4.5倍にもなっているそうです。
◆返済がスムーズに進むかが課題
制度の利用者は、貸付から遅くとも1年半後までには返済を開始しなければなりませんが、貸付期間中に就職先を見つけるなどしなければ、実際には返済は難しくなり、貸付金が焦げ付く可能性も指摘されています。
今のような景気の状況が続けば、焦げ付きの可能性は高いものと言わざるを得ません。政府の政策、企業の努力等により、景気が上向くことを期待するばかりです。
厚生労働省から発表された緊急助成金
◆建設業に関連した緊急助成金
厚生労働省は、「建設労働者緊急雇用確保助成金」の創設を2月8日に発表しました。
この助成金には「建設業新分野教育訓練助成金」と「建設業離職者雇用開発助成金」の2種類がありますが、前者は「建設事業主」を対象としたもの、後者は「建設業以外の事業主」を対象としたものとなっています。
◆建設事業主を対象とした「建設業新分野教育訓練助成金」
この助成金は、建設労働者の雇用を維持しながら、建設業以外の事業に従事するために必要な教育訓練を実施した中小建設事業主に対して助成金を支給するものであり、支給額は次の通りです。
(1)教育訓練の実施経費の3分の2(1日当たり20万円。60日分を限度)
(2)教育訓練を受講した労働者の賃金に対し、1人につき1日7,000円(上限。60日分を限度)
なお、教育訓練を開始する日の2週間前までに、労働局等に訓練計画を届け出る必要があり、支給申請は、教育訓練が終了した日(賃金締切日が定められている場合は直後の賃金締切日)の翌日から1カ月以内に行う必要があります。
◆建設業以外の事業主を対象とした「建設業離職者雇用開発助成金」
この助成金は、建設業以外の事業主で、45歳以上60歳未満の建設業離職者を公共職業安定所等の紹介により、継続して雇用する者として雇い入れた事業主に対して助成金を支給するものです。
支給額は次の通りであり、雇入れから6カ月経過後および1年経過後に半額ずつ支給されます。
(1)中小企業事業主…90万円
(2)中小企業事業主以外の事業主…50万円
なお、支給申請は、雇入れの日から6カ月経過日の翌日から1カ月以内に行う必要があります。
◆支給要件等の詳細
支給要件等の詳細は、下記の厚生労働省ホームページで確認することができます。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000045nx-att/2r985200000045po.pdf
2010/01/27
2月の事務所便り
取引先倒産による連鎖倒産防止のための共済制度
◆中小企業の連鎖倒産を回避できるか?
新聞によれば、中小企業庁では、取引先倒産による中小企業の連鎖倒産を防ぐため、共済制度の拡充に関する改正案を国会に提出する予定とのことです。
拡充されるのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「中小企業倒産防止共済」(通称:経営セーフティ共済)制度です。
◆「経営セーフティ共済」とは?
同制度は、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった加入者に対し、共済金を無利子・無担保・無保証人で貸し付ける制度であり、全国の中小企業の約7パーセントに相当する約29万3,000社が加入しています。
現在の制度では、貸付限度額は「回収困難な売掛金債権等の額」と「掛金総額の10倍の額」のうちいずれか少ない額で、最高で3,200万円となっており、返済期間は5年間、返済方法は54カ月で均等分割による毎月返済となっています。
掛金月額は、5,000円から8万円までの範囲(5,000円刻み)で自由に選ぶことができ、掛金総額が320万円になるまで積み立てられ、払い込んだ掛金は、税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入することができます。
◆今回の改正案の内容
同制度の中で、貸付限度額である「3,200万円」を「8,000万円」まで引き上げるのが、今回の改正案です。
これは、企業の倒産件数が増加し、1件当たりの負債総額も高額になり、回収できなくなった売掛金債権の満額を借りることができなかった企業が、2006年度で加入企業の約13%に達したためです。限度額の引上げにより、この13%という数値が5%程度に抑えることができると試算されています。
2008年には同制度の新規加入者が急増したものの、ここ数年では減少傾向が続き、制度の運営が不安定になると指摘されています。中小企業庁では、さらに加入者を増やして不況の長期化による倒産増に備えたい考えのようです。
日本年金機構の方針および取組みについて
◆今年1月に発足
不祥事が相次ぎ、「年金不信」の代名詞となっていた社会保険庁は解体され、その後継組織として日本年金機構が今年1月に発足しました。同機構は約1,000人の民間採用を含む正職員約1万880人と、有期雇用契約職員約6,950人からなる非公務員型の特殊法人です。
長妻厚生労働大臣は、職員のうち社会保険庁出身者の月給を一律3%減額する方針を示しました。これは、年金記録問題を起こした同庁の責任を明確にするためのもので、問題解決に一定のめどがつくまで継続するようです。役員についても、ポストに応じて報酬を8~16%減額し、これも当面継続させるとのことです。
◆方針や目標は?
社会保険事務所から改称した全国312の「年金事務所」では、「お客様へのお約束10カ条」を掲示し、国民目線のサービスの徹底を目指す方針です。
その内容は「その場でお答えできない場合は2日以内に確認状況をご連絡」、「お客様にプラスとなるもう一言を心がける」、「お待たせ時間を30分以内にすることを目指す」などの具体的な指標です。
さらに、2013年度末までの中期目標として、2002年度から60%程度と低迷している国民年金保険料の納付率の低下傾向に歯止めをかけ、回復させるように努めること、厚生年金保険料については「未適用事業所の適用を進めつつ、収納の確保を図る」とし、徴収体制を強化することを掲げています。しかし、いずれも具体的な数値目標は盛り込まれませんでした。
◆今後の新体制に期待
年金記録問題の発覚により、旧社会保険事務所の窓口対応が相当変わったことは確かです。日本年金機構による新体制・新方針の中で、国民の信頼回復がどこまで図られるかが気になるところです。
なかなか年金事務所等を訪れる機会がない方は、一度、年金事務所等を訪ねられ、ご自身の年金記録などの相談をしつつ新体制を実感されるのも良いのではないのでしょうか。
介護職員の能力・経験等を給与に反映
◆厚労省による新たな対策
厚生労働省は、人手不足が続いている介護職場の魅力を高めるための対策として、現在実施中の月給引上げ策と平行して、能力・経験に応じて職員の給与が増える仕組みを導入するよう、介護事業所に促進していく方針を打ち出したそうです。
介護分野における有効求人倍率は全産業の「0.44倍」を大きく上回る「1.3倍」程度で推移しており、人手不足感が強いにもかかわらず、介護事業所の給与・人事制度は、職員の能力・経験などを評価する仕組みが不十分な場合が多く、労働者が就職・転職に二の足を踏む一因となっています。
このため、厚生労働省では、介護職員の月給を引き上げる事業所向けの交付金制度(介護職員処遇改善交付金)を活用することを考えています。
◆職員のキャリア等を評価
介護職員処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して平成21年10月から平成23年度末までの間、計約4,000億円程度を交付するもので、平成24年度以降も引き続き取組みを進めることから、同省では、この交付金を積極的に活用するよう求めています。
今後は、能力・資格・経験年数などに応じて職員の給与を引き上げる仕組みを設けることを交付金支給の条件に加えることも検討されており、職員のキャリアを評価する仕組みを介護業界にも普及させることで、「長く働き続けても賃金が増えない」といった不満の解消を目指しています。
◆ミスマッチ解消も課題
他にも、条件を満たさない事業所については、同交付金を減額する方針と言われており、現在の予定では、2009年度内に具体的な要件を詰め、2010年中に適用するということです。
また、介護分野の雇用のミスマッチ解消も急がれています。平成19年における介護関係職種の離職率は全体(正社員と非正社員)で21.6%、正社員においては20.0%と全産業の12.2%よりも高くなっています。
厚生労働省は、全国約400のハローワークや同省の講堂で「介護職専門の就職面接会」を順次開催し、就職・転職希望者と介護事業者の橋渡しを強力に進めていく方針を取っています。介護資格などに関する相談を受け付け、介護の仕事がわかるビデオ視聴コーナーや体験セミナーも開き、介護職への理解をより一層深めてもらうのがねらいです。
今回の厚労省による制度が人材定着に有効となるのか、非常に注目されるところです。
失業者等による公的な貸付制度・給付制度の利用が増加
◆失業者等を救う様々な貸付・給付制度
失業などにより収入が激減したり、年金だけでは生活が立ち行かなくなったりした人の暮らしを保障するための公的な貸付制度・給付制度の利用が増えているそうです。
主な公的支援制度としては、「雇用保険の失業給付」、「就職安定資金融資」、「訓練・生活支援給付」、「住宅手当緊急特別措置」、「生活福祉資金貸付制度」、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」などがあります。
失業給付の基本手当はよく知られていますが、非正規労働者のうち雇用保険に加入していない人が多いことや長期失業者が増えていることから、基本手当を受給しているのは失業者数全体の3割に満たないと言われています。
◆各制度の特徴
「就職安定資金融資」は、解雇や雇止めにあった人に対し「敷金・礼金」、「転居費・家具費」などとして50万円、家賃補助費として36万円を低利で貸し付ける制度です。また、「住宅手当緊急特別措置」は、2年以内に離職し、就職意欲があり、かつ住宅を失いそうな人に対し、最長6カ月間分の家賃を支給するものです。
一方、住む場所はあるが、仕事がなかなか見つからない人には「生活福祉資金貸付制度」が利用しやすくなっています。貸付金の用途が多岐にわたり、対象者も低所得者、障害者、高齢者と幅広く、主に民間の貸付制度を利用できない世帯に、生活費や学費などを無利子または低利で貸し付ける制度です。
◆「生活福祉資金貸付制度」へのニーズ
今後、需要が高まると予想されるのは、この「生活福祉資金貸付制度」です。2009年10月に改正が行われ、従来は連帯保証人が必要とされたものでも、連帯保証人なしで貸付が受けられるようになりました。
連帯保証人がいれば無利子で、いない場合は年1.5%の低利で借りることができます。また、10種類ある融資資金が4つのカテゴリーに整理されたことで、利用者にもわかりやすくなりました。
この改正に伴って利用が増えるとみられるのが「総合支援資金」であり、失業で生計を維持することが難しくなった世帯や、多重債務を抱えて弁護士などに相談するにも費用がないなどの人が利用できます。「敷金・礼金」など、賃貸住宅に入居するための住宅入居費の融資も受けられるほか、次の仕事を見つけて生活を立て直すまでに月15万円(単身の場合)を最長12カ月貸してもらえるなどのメニューもあります。
「労働者派遣法」改正をめぐる最近の動き
◆労政審が厚労相に答申
昨年の政権交代後、労働者派遣法の改正をめぐる動きが活発化しています。
昨年末(12月28日)、厚生労働省の労働政策審議会(労働力需給制度部会)は、「労働者派遣法」(正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」)の改正に向けた報告書を長妻厚生労働大臣に答申しました。
これを受け、今後、厚生労働省が改正法案の作成に着手していくものとみられ、今年の通常国会に法案が提出される見込みです。
◆予定されている改正内容
今回予定されている主要な改正項目は、(1)専門26業務や高齢者派遣などを除く「登録型派遣」の禁止、(2)常用型以外の「製造業派遣」の禁止、(3)2カ月以内の期間を定める「日雇い派遣」の原則禁止などです。いずれも企業にとっては大きな影響を与える内容といえるでしょう。
改正法案が今年の通常国会で順調に成立した場合、(1)(2)の施行日は「公布の日から3年以内」の予定とされており、(1)のうち「問題が少なく労働者のニーズもある業務」についてはさらに2年の適用猶予期間が設けられることとなっています。
◆企業側・労働者側の反応
世界同時不況・経済危機以後、派遣労働をめぐっては、「規制緩和」から「労働者保護」への方向に傾きつつあります。
しかし、今回の改正内容については、企業側から「登録型派遣や製造業派遣の原則禁止は企業にとって極めて甚大な影響がある」「急な発注や季節の変動に対応できない中小企業などは大きなダメージを受けてしまう」などといった反発の声が上がっています。
そして、今回の改正内容について反対があるのは企業側だけではありません。労働者側からも「施行日までの期間が長く、生活が不安定な非正規雇用の労働者を救済する内容になっていない」「登録型派遣や製造業派遣の禁止により職を失う人が増える可能性がある」などといった懸念の声も聞かれます。
今後、このような労使双方の声が改正にどのような影響を与えていくのか、注目しておきたいものです。
仕事・上司・年収に対する正社員の「満足度」
◆民間会社によるインターネット調査
株式会社NTTデータ経営研究所が、インターネットを利用して12月上旬に実施した「ビジネスパーソンの就業意識調査」(企業で正社員として働く1,038人が回答)の結果を発表しました。
ここでは、このアンケート結果のうち、正社員にとっての仕事・上司・年収に対する「満足度」などの項目について見ていきたいと思います。御社の社員の方の「満足度」は以下の結果と比べていかがでしょうか?
◆「現在の仕事にどの程度満足しているか?」
「大いに満足している」(8.3%)、「どちらかといえば満足している」(53.4%)と回答した人を合わせると、約6割(61.7%)の人が、現在の自分の仕事に満足していることがわかりました。
◆「現在の上司にどの程度満足しているか?」
「大いに満足している」(9.7%)、「どちらかといえば満足している」(45.7%)と回答した人を合わせると、5割以上(55.4%)の人が、職場における自分の上司に満足していることがわかりました。なお、「大いに不満がある」と回答した人は15.8%でした。
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◆「現在の収入にどの程度満足しているか?
「大いに満足している」(2.6%)、「どちらかといえば満足している」(33.8%)と回答した人を合わせると4割以下(36.4%)でした。収入面に関しては満足していない人が多いことがわかります。なお、「大いに不満がある」(20.6%)と「どちらかといえば不満がある」(43.0%)と回答した人を合わせると6割以上(63.6%)に上りました。
◆「年収があと最低どのくらいアップして欲しいか?」
全体で最も多かった回答は「50~100万円未満」(32.1%)で、次に「100~200万円未満」(29.7%)が多く、両者を合わせると「50~200万円未満」のアップを希望する人の割合が6割以上(61.8%)を占めました。さらに「50万円未満」、「50~100万円未満」、「100~200万円未満」を合計すると、76.2%の人が「年収の不足額は200万円未満」と感じていることになります。
◆中小企業の連鎖倒産を回避できるか?
新聞によれば、中小企業庁では、取引先倒産による中小企業の連鎖倒産を防ぐため、共済制度の拡充に関する改正案を国会に提出する予定とのことです。
拡充されるのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「中小企業倒産防止共済」(通称:経営セーフティ共済)制度です。
◆「経営セーフティ共済」とは?
同制度は、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった加入者に対し、共済金を無利子・無担保・無保証人で貸し付ける制度であり、全国の中小企業の約7パーセントに相当する約29万3,000社が加入しています。
現在の制度では、貸付限度額は「回収困難な売掛金債権等の額」と「掛金総額の10倍の額」のうちいずれか少ない額で、最高で3,200万円となっており、返済期間は5年間、返済方法は54カ月で均等分割による毎月返済となっています。
掛金月額は、5,000円から8万円までの範囲(5,000円刻み)で自由に選ぶことができ、掛金総額が320万円になるまで積み立てられ、払い込んだ掛金は、税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入することができます。
◆今回の改正案の内容
同制度の中で、貸付限度額である「3,200万円」を「8,000万円」まで引き上げるのが、今回の改正案です。
これは、企業の倒産件数が増加し、1件当たりの負債総額も高額になり、回収できなくなった売掛金債権の満額を借りることができなかった企業が、2006年度で加入企業の約13%に達したためです。限度額の引上げにより、この13%という数値が5%程度に抑えることができると試算されています。
2008年には同制度の新規加入者が急増したものの、ここ数年では減少傾向が続き、制度の運営が不安定になると指摘されています。中小企業庁では、さらに加入者を増やして不況の長期化による倒産増に備えたい考えのようです。
日本年金機構の方針および取組みについて
◆今年1月に発足
不祥事が相次ぎ、「年金不信」の代名詞となっていた社会保険庁は解体され、その後継組織として日本年金機構が今年1月に発足しました。同機構は約1,000人の民間採用を含む正職員約1万880人と、有期雇用契約職員約6,950人からなる非公務員型の特殊法人です。
長妻厚生労働大臣は、職員のうち社会保険庁出身者の月給を一律3%減額する方針を示しました。これは、年金記録問題を起こした同庁の責任を明確にするためのもので、問題解決に一定のめどがつくまで継続するようです。役員についても、ポストに応じて報酬を8~16%減額し、これも当面継続させるとのことです。
◆方針や目標は?
社会保険事務所から改称した全国312の「年金事務所」では、「お客様へのお約束10カ条」を掲示し、国民目線のサービスの徹底を目指す方針です。
その内容は「その場でお答えできない場合は2日以内に確認状況をご連絡」、「お客様にプラスとなるもう一言を心がける」、「お待たせ時間を30分以内にすることを目指す」などの具体的な指標です。
さらに、2013年度末までの中期目標として、2002年度から60%程度と低迷している国民年金保険料の納付率の低下傾向に歯止めをかけ、回復させるように努めること、厚生年金保険料については「未適用事業所の適用を進めつつ、収納の確保を図る」とし、徴収体制を強化することを掲げています。しかし、いずれも具体的な数値目標は盛り込まれませんでした。
◆今後の新体制に期待
年金記録問題の発覚により、旧社会保険事務所の窓口対応が相当変わったことは確かです。日本年金機構による新体制・新方針の中で、国民の信頼回復がどこまで図られるかが気になるところです。
なかなか年金事務所等を訪れる機会がない方は、一度、年金事務所等を訪ねられ、ご自身の年金記録などの相談をしつつ新体制を実感されるのも良いのではないのでしょうか。
介護職員の能力・経験等を給与に反映
◆厚労省による新たな対策
厚生労働省は、人手不足が続いている介護職場の魅力を高めるための対策として、現在実施中の月給引上げ策と平行して、能力・経験に応じて職員の給与が増える仕組みを導入するよう、介護事業所に促進していく方針を打ち出したそうです。
介護分野における有効求人倍率は全産業の「0.44倍」を大きく上回る「1.3倍」程度で推移しており、人手不足感が強いにもかかわらず、介護事業所の給与・人事制度は、職員の能力・経験などを評価する仕組みが不十分な場合が多く、労働者が就職・転職に二の足を踏む一因となっています。
このため、厚生労働省では、介護職員の月給を引き上げる事業所向けの交付金制度(介護職員処遇改善交付金)を活用することを考えています。
◆職員のキャリア等を評価
介護職員処遇改善交付金は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して平成21年10月から平成23年度末までの間、計約4,000億円程度を交付するもので、平成24年度以降も引き続き取組みを進めることから、同省では、この交付金を積極的に活用するよう求めています。
今後は、能力・資格・経験年数などに応じて職員の給与を引き上げる仕組みを設けることを交付金支給の条件に加えることも検討されており、職員のキャリアを評価する仕組みを介護業界にも普及させることで、「長く働き続けても賃金が増えない」といった不満の解消を目指しています。
◆ミスマッチ解消も課題
他にも、条件を満たさない事業所については、同交付金を減額する方針と言われており、現在の予定では、2009年度内に具体的な要件を詰め、2010年中に適用するということです。
また、介護分野の雇用のミスマッチ解消も急がれています。平成19年における介護関係職種の離職率は全体(正社員と非正社員)で21.6%、正社員においては20.0%と全産業の12.2%よりも高くなっています。
厚生労働省は、全国約400のハローワークや同省の講堂で「介護職専門の就職面接会」を順次開催し、就職・転職希望者と介護事業者の橋渡しを強力に進めていく方針を取っています。介護資格などに関する相談を受け付け、介護の仕事がわかるビデオ視聴コーナーや体験セミナーも開き、介護職への理解をより一層深めてもらうのがねらいです。
今回の厚労省による制度が人材定着に有効となるのか、非常に注目されるところです。
失業者等による公的な貸付制度・給付制度の利用が増加
◆失業者等を救う様々な貸付・給付制度
失業などにより収入が激減したり、年金だけでは生活が立ち行かなくなったりした人の暮らしを保障するための公的な貸付制度・給付制度の利用が増えているそうです。
主な公的支援制度としては、「雇用保険の失業給付」、「就職安定資金融資」、「訓練・生活支援給付」、「住宅手当緊急特別措置」、「生活福祉資金貸付制度」、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」などがあります。
失業給付の基本手当はよく知られていますが、非正規労働者のうち雇用保険に加入していない人が多いことや長期失業者が増えていることから、基本手当を受給しているのは失業者数全体の3割に満たないと言われています。
◆各制度の特徴
「就職安定資金融資」は、解雇や雇止めにあった人に対し「敷金・礼金」、「転居費・家具費」などとして50万円、家賃補助費として36万円を低利で貸し付ける制度です。また、「住宅手当緊急特別措置」は、2年以内に離職し、就職意欲があり、かつ住宅を失いそうな人に対し、最長6カ月間分の家賃を支給するものです。
一方、住む場所はあるが、仕事がなかなか見つからない人には「生活福祉資金貸付制度」が利用しやすくなっています。貸付金の用途が多岐にわたり、対象者も低所得者、障害者、高齢者と幅広く、主に民間の貸付制度を利用できない世帯に、生活費や学費などを無利子または低利で貸し付ける制度です。
◆「生活福祉資金貸付制度」へのニーズ
今後、需要が高まると予想されるのは、この「生活福祉資金貸付制度」です。2009年10月に改正が行われ、従来は連帯保証人が必要とされたものでも、連帯保証人なしで貸付が受けられるようになりました。
連帯保証人がいれば無利子で、いない場合は年1.5%の低利で借りることができます。また、10種類ある融資資金が4つのカテゴリーに整理されたことで、利用者にもわかりやすくなりました。
この改正に伴って利用が増えるとみられるのが「総合支援資金」であり、失業で生計を維持することが難しくなった世帯や、多重債務を抱えて弁護士などに相談するにも費用がないなどの人が利用できます。「敷金・礼金」など、賃貸住宅に入居するための住宅入居費の融資も受けられるほか、次の仕事を見つけて生活を立て直すまでに月15万円(単身の場合)を最長12カ月貸してもらえるなどのメニューもあります。
「労働者派遣法」改正をめぐる最近の動き
◆労政審が厚労相に答申
昨年の政権交代後、労働者派遣法の改正をめぐる動きが活発化しています。
昨年末(12月28日)、厚生労働省の労働政策審議会(労働力需給制度部会)は、「労働者派遣法」(正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」)の改正に向けた報告書を長妻厚生労働大臣に答申しました。
これを受け、今後、厚生労働省が改正法案の作成に着手していくものとみられ、今年の通常国会に法案が提出される見込みです。
◆予定されている改正内容
今回予定されている主要な改正項目は、(1)専門26業務や高齢者派遣などを除く「登録型派遣」の禁止、(2)常用型以外の「製造業派遣」の禁止、(3)2カ月以内の期間を定める「日雇い派遣」の原則禁止などです。いずれも企業にとっては大きな影響を与える内容といえるでしょう。
改正法案が今年の通常国会で順調に成立した場合、(1)(2)の施行日は「公布の日から3年以内」の予定とされており、(1)のうち「問題が少なく労働者のニーズもある業務」についてはさらに2年の適用猶予期間が設けられることとなっています。
◆企業側・労働者側の反応
世界同時不況・経済危機以後、派遣労働をめぐっては、「規制緩和」から「労働者保護」への方向に傾きつつあります。
しかし、今回の改正内容については、企業側から「登録型派遣や製造業派遣の原則禁止は企業にとって極めて甚大な影響がある」「急な発注や季節の変動に対応できない中小企業などは大きなダメージを受けてしまう」などといった反発の声が上がっています。
そして、今回の改正内容について反対があるのは企業側だけではありません。労働者側からも「施行日までの期間が長く、生活が不安定な非正規雇用の労働者を救済する内容になっていない」「登録型派遣や製造業派遣の禁止により職を失う人が増える可能性がある」などといった懸念の声も聞かれます。
今後、このような労使双方の声が改正にどのような影響を与えていくのか、注目しておきたいものです。
仕事・上司・年収に対する正社員の「満足度」
◆民間会社によるインターネット調査
株式会社NTTデータ経営研究所が、インターネットを利用して12月上旬に実施した「ビジネスパーソンの就業意識調査」(企業で正社員として働く1,038人が回答)の結果を発表しました。
ここでは、このアンケート結果のうち、正社員にとっての仕事・上司・年収に対する「満足度」などの項目について見ていきたいと思います。御社の社員の方の「満足度」は以下の結果と比べていかがでしょうか?
◆「現在の仕事にどの程度満足しているか?」
「大いに満足している」(8.3%)、「どちらかといえば満足している」(53.4%)と回答した人を合わせると、約6割(61.7%)の人が、現在の自分の仕事に満足していることがわかりました。
◆「現在の上司にどの程度満足しているか?」
「大いに満足している」(9.7%)、「どちらかといえば満足している」(45.7%)と回答した人を合わせると、5割以上(55.4%)の人が、職場における自分の上司に満足していることがわかりました。なお、「大いに不満がある」と回答した人は15.8%でした。
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◆「現在の収入にどの程度満足しているか?
「大いに満足している」(2.6%)、「どちらかといえば満足している」(33.8%)と回答した人を合わせると4割以下(36.4%)でした。収入面に関しては満足していない人が多いことがわかります。なお、「大いに不満がある」(20.6%)と「どちらかといえば不満がある」(43.0%)と回答した人を合わせると6割以上(63.6%)に上りました。
◆「年収があと最低どのくらいアップして欲しいか?」
全体で最も多かった回答は「50~100万円未満」(32.1%)で、次に「100~200万円未満」(29.7%)が多く、両者を合わせると「50~200万円未満」のアップを希望する人の割合が6割以上(61.8%)を占めました。さらに「50万円未満」、「50~100万円未満」、「100~200万円未満」を合計すると、76.2%の人が「年収の不足額は200万円未満」と感じていることになります。
2009/12/25
2010年 1月の事務所便り
「現代の名工」(卓越した技能者)の表彰制度
◆「現代の名工」とは?
現代の名工とは、厚生労働大臣によって表彰された「卓越した技能者」の通称です。この制度は昭和42年度に設けられたものであり、その道で第一人者と目されている技能者を表彰することで、技能者の地位や技能水準の向上を図るとともに、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を目指す若者に目標を示し、夢や希望を与えることを目的としています。
毎年約150名(平成7年度までは毎年100名)が表彰されており、表彰者の総数は平成20年度の第42回の表彰までで4,838名となっています。
著名な受賞者としては、これまで、四川料理家の陳建民さん、服飾評論家の市田ひろみさん、和食料理家の道場六三郎さんなどがいます。
◆表彰の要件とは?
推薦人は都道府県知事や事業団体、また、20歳以上で二親等以内の親族でなければ一般の人でもなることができます。表彰の対象となるのは、大工、植木職人や料理家、衣服の仕立人など、全20の職業部門の技能者です。
技能者として推薦される人は、その道において第一人者と目され、現役の就業者でかつ後進に技能指導を行う人であり、他の技能者の模範的存在と認められる人です。平成16年度までは「35歳以上で15年以上の経験」という条件がありましたが、平成17年度からは経験と年齢は問わないということになったため、門戸が広がりました。
推薦された人の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いたうえで、厚生労働大臣によって決定されます。表彰された人は、表彰状、卓越技能章(楯と徽章)および褒賞金(10万円)が授与されます。
◆技能継承につながることを期待
昨今、特に製造業における技術者の高齢化が進み、後継者不足に悩む状況です。また、団塊の世代が順次退職していき、ものづくりの技能継承が危ぶまれている中で、この制度により、1人でも多くの若者が「技能工」という存在に関心を持ち、その世界で活躍したいという想いにつながっていくことが期待されます。
職場で食事をとる人が増加傾向に
◆オフィス内での飲食が増えている
最近1年間で、出勤する日の昼食を「オフィス内の自分の席でとる」と答えた人が41%に上ることが、民間企業の調査でわかりました。
この調査は9月下旬にインターネットで実施され、首都圏・中部・近畿圏在住の企業の正社員らのうち20~59歳の男女1,000人を対象としています。
◆「職場で間食や昼食」が増加
この調査では、職場で食事をとる機会が増えたかどうか尋ねたところ、「間食や昼食で増えた」という人が目立ちました。まず、朝食、昼食、夕食、間食、夜食のそれぞれについて、出勤する日の摂取状況を尋ねたうえで、それぞれについて「ほとんど食べない」と答えた人を除き、最近1年間に職場でとる機会が増えたかどうかを尋ねていいます。
この結果、「増えた」が最も多かったのは「間食」の19%で、この割合は「減った」(13%、他の選択肢は「変わらない」「職場ではとらない」)より5ポイント以上高い結果になりました。次いで多かったのは「昼食」の17%で、「減った」(5%)を10ポイント以上も上回りました。
◆昼食は自席で
3食の食事については、出勤する日にどこで食べているかという質問(複数回答)には、朝食や夕食はいずれも「自宅」が最多でしたが、昼食は「オフィス内の自分の席」が最多で、次いで「街中の飲食店」(ファーストフードや喫茶店などを含む)、「社員食堂」、「社員食堂以外の職場のリフレッシュ空間」と続いています。
また、出勤する日の昼食で最も利用が多い場所についての質問については、「オフィス内の自分の席」が31%とトップで、最近1年間で昼食を職場でとる機会が「増えた」人に限ると、「オフィス内の自分の席」と回答した人の割合は複数回答の場合で49%、最も利用が多い場所でも37%といずれも高い割合となっています。
◆不況の影響で「節約志向・効率重視」に
職場で昼食をとる最大の理由で最も多かったのは「外に食べに行くより食事代を節約できるから」(35%)で、「時間を効率的に使えるから」(22%)が続いています。
節約ニーズと効率重視である職場での食事は、昨今の不況が少なからず影響していることから、今後も増加傾向にあると考えられます。
「がん検診」自治体や企業における取組み
◆発見率の向上が大きな課題
国立がんセンターの調査によれば、2007年に全国のがん診療連携拠点病院でがんと診断された患者のうち、「健康診断・がん検診・人間ドック」などで発見された人の割合は16.7%であるという結果が出ました。また、がん検診単独で見ると、その発見率は岩手県の17.7%から奈良県の3.6%と、各都道府県で開きがあることもわかりました。
健常者が受ける検診体制が充実すれば、がんの早期発見・死亡率低下につながることから、検診での発見率向上は大きな課題となっています。
国のがん対策推進基本計画では、がん検診の受診率数値目標として「2012年までに50%」と掲げられましたが、2008年にスタートした特定健診・保健指導(メタボ健診)の事務に忙殺されるなどの理由から、到達は困難な状況です。
◆自治体・企業における取組み
しかし、自治体や企業も単に手をこまねいていたわけではなく、様々な工夫を凝らしています。
自治体の動きとしては、職場検診の普及啓発に補助金を交付したり、休日・夜間検診を実施するなどがん検診に熱心に取り組む市区町村には交付金額を増額したり、一定年齢の女性には無料で乳がん検診が受けられるように整備したりしている所もあるようです。
また、金融機関や保険会社と連携して、受診呼びかけのパンフレットを配布したり、代理店窓口で受診者に記念品を渡したりという活動も広まっているようです。
受診率向上のため、企業においても受診制度の整備が広まってきています。これは、従業員の健康増進は企業にとっても大きな課題の1つであるからです。
検診費用を全額負担したり、事業所に検診車を呼んで勤務の合間に検診できるようにしたりしている企業もあります。また、全額とはいかないまでも検診費の一部を負担する企業も増加しています。
◆早期発見が何より大切
さらに、国立がんセンターでは、がん検診の有効性が示されれば受診率が上がることが予想されるため、がんの種類別の詳細分析やがん患者の生存率調査、がん診療連携拠点病院別のデータ整備などが鍵を握るとして、そのデータ公開も検討しています。
「がん大国」と言われる日本では、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。がんは早期発見でればかなりの確率で助かるということを考えると、我々はがん検診にもっと関心を持つ必要がありそうです。
医療・介護、理美容…職探しで重視する点と辞める理由
◆医療・介護、理美容従事者の実態
求人情報サービス会社が、医療・介護系、理美容系の有資格者を対象とした、就業に関する意識調査を行い、その結果を発表しました。
調査対象は、医療・介護系、理美容系の対象となる資格を持っている、関東(1都3県)、関西(2府2県)に住む20~50歳の男女1,500人で、インターネットにより調査が行われました。
◆職探しの際に重視する点
調査結果によると、仕事を探す際に重視する点について聞いた質問では、3職すべてで「やりがいのある仕事であること」が最多となりました。「やりがい」を重視した人は、全職種の平均で4.0%であるのに対し、医療系16.1%、介護系15.7%、理美容系21.5%といずれも高い割合となっています。
また、医療・介護系では、「正社員または正社員に近い雇用形態であること」が介護系13.0%、医療系8.7%と全職種平均(5.2%)を上回っており、正社員志向が強いことがわかりました。
理美容系では、「資格や技術が身に付く仕事であること」が12.8%(全職種平均1.9%)となるなど、スキルアップできるかどうかを重視している一方、医療系・介護系で多かった「正社員または正社員に近い雇用形態であること」はわずか1.3%にとどまっていることが明らかになりました。
◆辞める際の理由
仕事を辞める理由についての質問では、3職種ともに給与や勤務時間といった条件面が上位に入りました。
介護系と理美容系では「業務内容の割に給与が低いから」(介護系30.5%、理美容系23.2%)が最も多く、医療系でも20.8%と高く、「職場や社員の雰囲気が悪いから」(29.0%)に次ぐ多数回答となっています。
また「1日に働く時間が長いから」(医療系18.1%、介護系16.0%)と「もっとよい条件の仕事が見つかったから」(医療系17.0%、介護系17.2%)のいずれもが全職種平均を上回る数値となっていました。
一方、理美容系では、「自分に向いていない仕事だと感じたから」が20.7%と、他の職種に比べ高い特長的な結果となりました。こ強いやりがいを抱いて仕事を始める人が多い職種だけに、壁に当たってしまうとイメージとのギャップが大きいためと考えられます。
◆早期退職予防にはフォロー体制の整備を
これらの職種で起こる早期退職を予防するには、条件面の改善を行うことが有効ですが、職場での密なコミュニケーションなど、日頃からのフォロー体制整備も効果的ではないでしょうか。
相次ぐ里子虐待と里親制度の課題
◆突きつけられた重い課題
最近、新聞などでも取り上げられていますが、「里親による里子への虐待」が後を絶たないようです。恵まれない子どもを自らの意思で引き取って育てる、善意で成り立つはずの里親制度に、重い課題が突きつけられています。
◆里親には何が要求されるか?
そもそも里親制度とは、保護者がいなかったり、児童虐待などを受けたりした子どもの養育を、児童相談所を通じて一般の夫婦に委託する制度です。里親の希望者は、書類審査と面接、研修を経て里親登録を行います。
しかし、深い愛情を持って里子を受け入れたとしても、実際にはその養育は並大抵のものではありません。実の親からの虐待、ネグレクト、施設での長期集団生活などにより十分な愛情を受けてこなかった子どもたちは、愛情不足でうまく対人関係を築けない「愛着障害」のケースが多く、このため、里親の関心を引こうとあらゆる手段を使って困らせようとする傾向があるそうです。
家庭内での暴力行為や万引きといった行動が特に多いのも、そういった理由からです。また、あいさつや食事、歯磨きなどの基本的な習慣も身に付いていないケースが多いようです。
これらのことに腹を立てず、じっくり根気よく教えていくことが里親には要求されますが、躾のために大声で叱ることが、近所からは「虐待しているのでは?」と思われるのではないかと、周囲の目を気にして悩む里親の方もいるようです。
◆里親委託率の向上に向けて
このような難しい問題を抱え、「悩んでいる里親を支援する制度が十分ではない」という指摘がなされています。この背景には、里親同士の交流が進まず、経験者が悩みを共有する場が乏しいことなどがあるようです。
こうした状況の中、厚生労働省は、平成21年度末までに里親の委託率を8.1%から15.0%に上げる数値目標を立てました。それに伴い、今年4月からは「改正児童福祉法」が施行され、「里親認定登録制度の見直し」「里親支援の強化」「養育里親の研修の義務化」「里親手当の増額」など、里親制度の内容が拡充されています。
家庭内で深い愛情をもって養育されることが子どもたちにとって大切ですので、里親支援についてのより充実した対応が望まれます。
「労働審判」の申立件数が増加しています!
◆2年間で約2.3倍に増加
2008年における「労働審判」の申立件数が2,052件となり、制度がスタートした2006年(877件)と比較すると約2.3倍に増えたそうです。今年については9月末時点で2,553件となり、すでに昨年の件数を大幅に上回っています。
◆労働審判の目的・手続き
労働審判は、解雇や賃金の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブル(個別労働紛争)について、その実情に即して「迅速」、「適正」、「実効的」に解決することを目的としています。
労働審判の手続きは、労働審判官(裁判官)1名と、労働に関する専門知識・経験を有する労働審判員2名で組織された労働審判委員会(計3名)が、原則として3回以内の期日で審理を行い、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行う手続きです。
この労働審判に対して当事者から異議の申立てがあった場合には、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は通常の訴訟に移行することになります。
◆労働審判のメリット
労働審判のメリットとしては、原則として3回以内の審理で解決が図られるため、通常の訴訟よりも迅速な紛争解決を図ることができる点が挙げられます。制度スタート以降、申立てから審判終了までの平均日数は「約74日」となっています。
また、申立ての際に必要となる印紙代も通常の民事訴訟の半額となっており、費用的なメリットも大きいため、労働者側からの申立てが多いようです。
◆今後も増加傾向か?
昨年来の不況により、解雇、雇止め、派遣切りなどをめぐる労使間のトラブルが増加していることが、労働審判の申立件数の増加につながっていると考えられます。また、不況下において、今年1~6月にサービス残業が急増していたとする民間企業の調査結果などもあり、申立件数の増加傾向はしばらく続くものと考えられます。
企業側としては、労使間のトラブルを生じさせないような取組み(適正な労務管理、就業規則・社内規程の見直しなど)が、今後、より重要になってくるでしょう。
「確定拠出年金」の使い勝手が良くなる?
◆「適年」の受け皿として
厚生労働省は、「確定拠出年金制度」(日本版401k)を拡充するため、関連法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を明らかにしています。
同省では、今でも多くの中小企業が採用している「適格退職年金制度」(2012年3月末に廃止予定)の受け皿として、この確定拠出年金が大いに活用されることを期待しているようです。
◆確定拠出年金の特徴と導入の背景
確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をベースに年金給付額が決定される年金制度です。
厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金制度は、給付額が約束されるという特徴がありますが、離転職時の年金資産の持ち運びが十分確保されておらず労働移動への対応が困難であることなどが指摘されていました。
そこで、公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として、2001年10月に確定拠出年金制度が導入されました。
◆予定されている主な改正内容
確定拠出年金には、企業のみが掛金を拠出する「企業型」と、個人のみが掛金を拠出する「個人型」がありますが、来年予定されている改正はこのうち「企業型」に関するものであり、主な内容は次のとおりです。
(1)個人による掛金拠出を認める(ただし個人の掛金は企業の拠出額以下とする)
(2)加入年齢を引き上げる(積立期間の上限を「60歳」から「65歳」に変更する)
なお、「企業型」の確定拠出年金の導入件数は、2008年3月末時点で3,043件(加入者数311万人)です。
◆果たして加入件数は増えるか?
確定拠出年金は、運用が悪化すれば個人の年金受給額は当然減ってしまうものの、企業にとっては、追加負担を求められることが基本的にはないというメリットがあります。
上記の改正により、厚生労働省のねらい通りに加入件数が増えていくのか、注目しておきたいところです。
「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更点、「雇用保険法」の改正案
◆民主政権で何が変わった?
民主政権に変わり、雇用関係に関しても様々な動きがあります。ここでは、中小企業にとって影響の大きい「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更点と「雇用保険法」の改正案を取り上げます。
◆「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更内容
「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件が次のように緩和されています。
(1)助成金対象の拡大
これまで、出向労働者を出向元に復帰させた後、6カ月を経ずに再度出向させた場合には助成金の対象外であったものが、対象とされました。これは、平成22年11月29日までの時限措置とされています。
(2)生産量要件の緩和
生産量要件(従来は「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値がその直前3カ月または前年同期に比べ5%以上減少していること」)に、「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値が前々年同期に比べ10%以上減少し、直近の決算等の経常損益が赤字であること」が加えられました。この要件は、対象期間の初日が平成21年12月2日~平成22年12月1日の間にあるものに限られます。
◆「雇用保険法」の改正案
厚生労働省は「雇用保険法」の改正原案をまとめ、その内容を明らかにしました。来年の通常国会に改正案を提出し、来年4月からの施行を目指すとしていますので、今後の動向に要注目です。
(1)加入に必要な雇用見込み期間の短縮
雇用保険への加入の際に必要とされる雇用見込み期間について、現行の「6カ月以上」から「31日以上」に短縮するとしています。この適用拡大により、新たに255万人が雇用保険の加入対象になると試算されています。
(2)雇用保険料率の引上げ
労使折半とされている雇用保険料率について、現行の「0.8%」から「1.2%」に引き上げるとしています。
(3)未加入扱いの遡及期間の延長
保険料を納付したにもかかわらず手続上の問題により未加入扱いとなった人の遡及期間について、現行の「2年まで」から「2年超」とするとしています。
「雇用支援ワンストップサービス」が試行実施
◆77のハローワークで実施
新聞報道やテレビ等でも話題となっていた「雇用支援ワンストップサービス」が、11月30日に17都道府県、77のハローワークにおいて試行実施されました。
当初は15都道府県43地域で実施されると報道されていましたが、最終的には実施箇所が増えたようです。東京都、愛知県、大阪府では、すべてのハローワークにおいて実施されたそうです。
◆実施された「ワンストップサービス」とは?
このワンストップサービスは、政府の緊急雇用対策本部が打ち出したものであり、国・自治体・保健所などが連携してハローワークに総合受付を設け、失業者に対して「職業紹介」「生活費の貸付け」、「住宅手当の支給」「就業支援」「生活保護」「こころの健康」などの情報をハローワークで一元的に提供して、解決してもらおうとするものです。
実施当日の利用者は全国で2,399人だったと発表され、大阪府が511人、東京都が482人などとなっています。
◆今後の動きは?
そもそもこのワンストップサービスの目的は、昨年末に話題となった「派遣村」がなくても失業者に対応できる態勢を作ることにあります。
政府や民主党などは、定期的な開催や年末年始の開催など、このサービスを本格的に実施したいと考えているようです。
しかし、自治体が生活保護の申請急増を警戒するなど、難色を示している向きもあるようで、今後このサービスがどのようになって行われていくのか、気になるところです。
◆「現代の名工」とは?
現代の名工とは、厚生労働大臣によって表彰された「卓越した技能者」の通称です。この制度は昭和42年度に設けられたものであり、その道で第一人者と目されている技能者を表彰することで、技能者の地位や技能水準の向上を図るとともに、技能の世界で活躍する職人や技能の世界を目指す若者に目標を示し、夢や希望を与えることを目的としています。
毎年約150名(平成7年度までは毎年100名)が表彰されており、表彰者の総数は平成20年度の第42回の表彰までで4,838名となっています。
著名な受賞者としては、これまで、四川料理家の陳建民さん、服飾評論家の市田ひろみさん、和食料理家の道場六三郎さんなどがいます。
◆表彰の要件とは?
推薦人は都道府県知事や事業団体、また、20歳以上で二親等以内の親族でなければ一般の人でもなることができます。表彰の対象となるのは、大工、植木職人や料理家、衣服の仕立人など、全20の職業部門の技能者です。
技能者として推薦される人は、その道において第一人者と目され、現役の就業者でかつ後進に技能指導を行う人であり、他の技能者の模範的存在と認められる人です。平成16年度までは「35歳以上で15年以上の経験」という条件がありましたが、平成17年度からは経験と年齢は問わないということになったため、門戸が広がりました。
推薦された人の中から、技能者表彰審査委員の意見を聴いたうえで、厚生労働大臣によって決定されます。表彰された人は、表彰状、卓越技能章(楯と徽章)および褒賞金(10万円)が授与されます。
◆技能継承につながることを期待
昨今、特に製造業における技術者の高齢化が進み、後継者不足に悩む状況です。また、団塊の世代が順次退職していき、ものづくりの技能継承が危ぶまれている中で、この制度により、1人でも多くの若者が「技能工」という存在に関心を持ち、その世界で活躍したいという想いにつながっていくことが期待されます。
職場で食事をとる人が増加傾向に
◆オフィス内での飲食が増えている
最近1年間で、出勤する日の昼食を「オフィス内の自分の席でとる」と答えた人が41%に上ることが、民間企業の調査でわかりました。
この調査は9月下旬にインターネットで実施され、首都圏・中部・近畿圏在住の企業の正社員らのうち20~59歳の男女1,000人を対象としています。
◆「職場で間食や昼食」が増加
この調査では、職場で食事をとる機会が増えたかどうか尋ねたところ、「間食や昼食で増えた」という人が目立ちました。まず、朝食、昼食、夕食、間食、夜食のそれぞれについて、出勤する日の摂取状況を尋ねたうえで、それぞれについて「ほとんど食べない」と答えた人を除き、最近1年間に職場でとる機会が増えたかどうかを尋ねていいます。
この結果、「増えた」が最も多かったのは「間食」の19%で、この割合は「減った」(13%、他の選択肢は「変わらない」「職場ではとらない」)より5ポイント以上高い結果になりました。次いで多かったのは「昼食」の17%で、「減った」(5%)を10ポイント以上も上回りました。
◆昼食は自席で
3食の食事については、出勤する日にどこで食べているかという質問(複数回答)には、朝食や夕食はいずれも「自宅」が最多でしたが、昼食は「オフィス内の自分の席」が最多で、次いで「街中の飲食店」(ファーストフードや喫茶店などを含む)、「社員食堂」、「社員食堂以外の職場のリフレッシュ空間」と続いています。
また、出勤する日の昼食で最も利用が多い場所についての質問については、「オフィス内の自分の席」が31%とトップで、最近1年間で昼食を職場でとる機会が「増えた」人に限ると、「オフィス内の自分の席」と回答した人の割合は複数回答の場合で49%、最も利用が多い場所でも37%といずれも高い割合となっています。
◆不況の影響で「節約志向・効率重視」に
職場で昼食をとる最大の理由で最も多かったのは「外に食べに行くより食事代を節約できるから」(35%)で、「時間を効率的に使えるから」(22%)が続いています。
節約ニーズと効率重視である職場での食事は、昨今の不況が少なからず影響していることから、今後も増加傾向にあると考えられます。
「がん検診」自治体や企業における取組み
◆発見率の向上が大きな課題
国立がんセンターの調査によれば、2007年に全国のがん診療連携拠点病院でがんと診断された患者のうち、「健康診断・がん検診・人間ドック」などで発見された人の割合は16.7%であるという結果が出ました。また、がん検診単独で見ると、その発見率は岩手県の17.7%から奈良県の3.6%と、各都道府県で開きがあることもわかりました。
健常者が受ける検診体制が充実すれば、がんの早期発見・死亡率低下につながることから、検診での発見率向上は大きな課題となっています。
国のがん対策推進基本計画では、がん検診の受診率数値目標として「2012年までに50%」と掲げられましたが、2008年にスタートした特定健診・保健指導(メタボ健診)の事務に忙殺されるなどの理由から、到達は困難な状況です。
◆自治体・企業における取組み
しかし、自治体や企業も単に手をこまねいていたわけではなく、様々な工夫を凝らしています。
自治体の動きとしては、職場検診の普及啓発に補助金を交付したり、休日・夜間検診を実施するなどがん検診に熱心に取り組む市区町村には交付金額を増額したり、一定年齢の女性には無料で乳がん検診が受けられるように整備したりしている所もあるようです。
また、金融機関や保険会社と連携して、受診呼びかけのパンフレットを配布したり、代理店窓口で受診者に記念品を渡したりという活動も広まっているようです。
受診率向上のため、企業においても受診制度の整備が広まってきています。これは、従業員の健康増進は企業にとっても大きな課題の1つであるからです。
検診費用を全額負担したり、事業所に検診車を呼んで勤務の合間に検診できるようにしたりしている企業もあります。また、全額とはいかないまでも検診費の一部を負担する企業も増加しています。
◆早期発見が何より大切
さらに、国立がんセンターでは、がん検診の有効性が示されれば受診率が上がることが予想されるため、がんの種類別の詳細分析やがん患者の生存率調査、がん診療連携拠点病院別のデータ整備などが鍵を握るとして、そのデータ公開も検討しています。
「がん大国」と言われる日本では、2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています。がんは早期発見でればかなりの確率で助かるということを考えると、我々はがん検診にもっと関心を持つ必要がありそうです。
医療・介護、理美容…職探しで重視する点と辞める理由
◆医療・介護、理美容従事者の実態
求人情報サービス会社が、医療・介護系、理美容系の有資格者を対象とした、就業に関する意識調査を行い、その結果を発表しました。
調査対象は、医療・介護系、理美容系の対象となる資格を持っている、関東(1都3県)、関西(2府2県)に住む20~50歳の男女1,500人で、インターネットにより調査が行われました。
◆職探しの際に重視する点
調査結果によると、仕事を探す際に重視する点について聞いた質問では、3職すべてで「やりがいのある仕事であること」が最多となりました。「やりがい」を重視した人は、全職種の平均で4.0%であるのに対し、医療系16.1%、介護系15.7%、理美容系21.5%といずれも高い割合となっています。
また、医療・介護系では、「正社員または正社員に近い雇用形態であること」が介護系13.0%、医療系8.7%と全職種平均(5.2%)を上回っており、正社員志向が強いことがわかりました。
理美容系では、「資格や技術が身に付く仕事であること」が12.8%(全職種平均1.9%)となるなど、スキルアップできるかどうかを重視している一方、医療系・介護系で多かった「正社員または正社員に近い雇用形態であること」はわずか1.3%にとどまっていることが明らかになりました。
◆辞める際の理由
仕事を辞める理由についての質問では、3職種ともに給与や勤務時間といった条件面が上位に入りました。
介護系と理美容系では「業務内容の割に給与が低いから」(介護系30.5%、理美容系23.2%)が最も多く、医療系でも20.8%と高く、「職場や社員の雰囲気が悪いから」(29.0%)に次ぐ多数回答となっています。
また「1日に働く時間が長いから」(医療系18.1%、介護系16.0%)と「もっとよい条件の仕事が見つかったから」(医療系17.0%、介護系17.2%)のいずれもが全職種平均を上回る数値となっていました。
一方、理美容系では、「自分に向いていない仕事だと感じたから」が20.7%と、他の職種に比べ高い特長的な結果となりました。こ強いやりがいを抱いて仕事を始める人が多い職種だけに、壁に当たってしまうとイメージとのギャップが大きいためと考えられます。
◆早期退職予防にはフォロー体制の整備を
これらの職種で起こる早期退職を予防するには、条件面の改善を行うことが有効ですが、職場での密なコミュニケーションなど、日頃からのフォロー体制整備も効果的ではないでしょうか。
相次ぐ里子虐待と里親制度の課題
◆突きつけられた重い課題
最近、新聞などでも取り上げられていますが、「里親による里子への虐待」が後を絶たないようです。恵まれない子どもを自らの意思で引き取って育てる、善意で成り立つはずの里親制度に、重い課題が突きつけられています。
◆里親には何が要求されるか?
そもそも里親制度とは、保護者がいなかったり、児童虐待などを受けたりした子どもの養育を、児童相談所を通じて一般の夫婦に委託する制度です。里親の希望者は、書類審査と面接、研修を経て里親登録を行います。
しかし、深い愛情を持って里子を受け入れたとしても、実際にはその養育は並大抵のものではありません。実の親からの虐待、ネグレクト、施設での長期集団生活などにより十分な愛情を受けてこなかった子どもたちは、愛情不足でうまく対人関係を築けない「愛着障害」のケースが多く、このため、里親の関心を引こうとあらゆる手段を使って困らせようとする傾向があるそうです。
家庭内での暴力行為や万引きといった行動が特に多いのも、そういった理由からです。また、あいさつや食事、歯磨きなどの基本的な習慣も身に付いていないケースが多いようです。
これらのことに腹を立てず、じっくり根気よく教えていくことが里親には要求されますが、躾のために大声で叱ることが、近所からは「虐待しているのでは?」と思われるのではないかと、周囲の目を気にして悩む里親の方もいるようです。
◆里親委託率の向上に向けて
このような難しい問題を抱え、「悩んでいる里親を支援する制度が十分ではない」という指摘がなされています。この背景には、里親同士の交流が進まず、経験者が悩みを共有する場が乏しいことなどがあるようです。
こうした状況の中、厚生労働省は、平成21年度末までに里親の委託率を8.1%から15.0%に上げる数値目標を立てました。それに伴い、今年4月からは「改正児童福祉法」が施行され、「里親認定登録制度の見直し」「里親支援の強化」「養育里親の研修の義務化」「里親手当の増額」など、里親制度の内容が拡充されています。
家庭内で深い愛情をもって養育されることが子どもたちにとって大切ですので、里親支援についてのより充実した対応が望まれます。
「労働審判」の申立件数が増加しています!
◆2年間で約2.3倍に増加
2008年における「労働審判」の申立件数が2,052件となり、制度がスタートした2006年(877件)と比較すると約2.3倍に増えたそうです。今年については9月末時点で2,553件となり、すでに昨年の件数を大幅に上回っています。
◆労働審判の目的・手続き
労働審判は、解雇や賃金の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブル(個別労働紛争)について、その実情に即して「迅速」、「適正」、「実効的」に解決することを目的としています。
労働審判の手続きは、労働審判官(裁判官)1名と、労働に関する専門知識・経験を有する労働審判員2名で組織された労働審判委員会(計3名)が、原則として3回以内の期日で審理を行い、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行う手続きです。
この労働審判に対して当事者から異議の申立てがあった場合には、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は通常の訴訟に移行することになります。
◆労働審判のメリット
労働審判のメリットとしては、原則として3回以内の審理で解決が図られるため、通常の訴訟よりも迅速な紛争解決を図ることができる点が挙げられます。制度スタート以降、申立てから審判終了までの平均日数は「約74日」となっています。
また、申立ての際に必要となる印紙代も通常の民事訴訟の半額となっており、費用的なメリットも大きいため、労働者側からの申立てが多いようです。
◆今後も増加傾向か?
昨年来の不況により、解雇、雇止め、派遣切りなどをめぐる労使間のトラブルが増加していることが、労働審判の申立件数の増加につながっていると考えられます。また、不況下において、今年1~6月にサービス残業が急増していたとする民間企業の調査結果などもあり、申立件数の増加傾向はしばらく続くものと考えられます。
企業側としては、労使間のトラブルを生じさせないような取組み(適正な労務管理、就業規則・社内規程の見直しなど)が、今後、より重要になってくるでしょう。
「確定拠出年金」の使い勝手が良くなる?
◆「適年」の受け皿として
厚生労働省は、「確定拠出年金制度」(日本版401k)を拡充するため、関連法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を明らかにしています。
同省では、今でも多くの中小企業が採用している「適格退職年金制度」(2012年3月末に廃止予定)の受け皿として、この確定拠出年金が大いに活用されることを期待しているようです。
◆確定拠出年金の特徴と導入の背景
確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をベースに年金給付額が決定される年金制度です。
厚生年金基金や適格退職年金などの企業年金制度は、給付額が約束されるという特徴がありますが、離転職時の年金資産の持ち運びが十分確保されておらず労働移動への対応が困難であることなどが指摘されていました。
そこで、公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として、2001年10月に確定拠出年金制度が導入されました。
◆予定されている主な改正内容
確定拠出年金には、企業のみが掛金を拠出する「企業型」と、個人のみが掛金を拠出する「個人型」がありますが、来年予定されている改正はこのうち「企業型」に関するものであり、主な内容は次のとおりです。
(1)個人による掛金拠出を認める(ただし個人の掛金は企業の拠出額以下とする)
(2)加入年齢を引き上げる(積立期間の上限を「60歳」から「65歳」に変更する)
なお、「企業型」の確定拠出年金の導入件数は、2008年3月末時点で3,043件(加入者数311万人)です。
◆果たして加入件数は増えるか?
確定拠出年金は、運用が悪化すれば個人の年金受給額は当然減ってしまうものの、企業にとっては、追加負担を求められることが基本的にはないというメリットがあります。
上記の改正により、厚生労働省のねらい通りに加入件数が増えていくのか、注目しておきたいところです。
「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更点、「雇用保険法」の改正案
◆民主政権で何が変わった?
民主政権に変わり、雇用関係に関しても様々な動きがあります。ここでは、中小企業にとって影響の大きい「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更点と「雇用保険法」の改正案を取り上げます。
◆「中小企業緊急雇用安定助成金」の変更内容
「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件が次のように緩和されています。
(1)助成金対象の拡大
これまで、出向労働者を出向元に復帰させた後、6カ月を経ずに再度出向させた場合には助成金の対象外であったものが、対象とされました。これは、平成22年11月29日までの時限措置とされています。
(2)生産量要件の緩和
生産量要件(従来は「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値がその直前3カ月または前年同期に比べ5%以上減少していること」)に、「売上高・生産量の最近3カ月間の月平均値が前々年同期に比べ10%以上減少し、直近の決算等の経常損益が赤字であること」が加えられました。この要件は、対象期間の初日が平成21年12月2日~平成22年12月1日の間にあるものに限られます。
◆「雇用保険法」の改正案
厚生労働省は「雇用保険法」の改正原案をまとめ、その内容を明らかにしました。来年の通常国会に改正案を提出し、来年4月からの施行を目指すとしていますので、今後の動向に要注目です。
(1)加入に必要な雇用見込み期間の短縮
雇用保険への加入の際に必要とされる雇用見込み期間について、現行の「6カ月以上」から「31日以上」に短縮するとしています。この適用拡大により、新たに255万人が雇用保険の加入対象になると試算されています。
(2)雇用保険料率の引上げ
労使折半とされている雇用保険料率について、現行の「0.8%」から「1.2%」に引き上げるとしています。
(3)未加入扱いの遡及期間の延長
保険料を納付したにもかかわらず手続上の問題により未加入扱いとなった人の遡及期間について、現行の「2年まで」から「2年超」とするとしています。
「雇用支援ワンストップサービス」が試行実施
◆77のハローワークで実施
新聞報道やテレビ等でも話題となっていた「雇用支援ワンストップサービス」が、11月30日に17都道府県、77のハローワークにおいて試行実施されました。
当初は15都道府県43地域で実施されると報道されていましたが、最終的には実施箇所が増えたようです。東京都、愛知県、大阪府では、すべてのハローワークにおいて実施されたそうです。
◆実施された「ワンストップサービス」とは?
このワンストップサービスは、政府の緊急雇用対策本部が打ち出したものであり、国・自治体・保健所などが連携してハローワークに総合受付を設け、失業者に対して「職業紹介」「生活費の貸付け」、「住宅手当の支給」「就業支援」「生活保護」「こころの健康」などの情報をハローワークで一元的に提供して、解決してもらおうとするものです。
実施当日の利用者は全国で2,399人だったと発表され、大阪府が511人、東京都が482人などとなっています。
◆今後の動きは?
そもそもこのワンストップサービスの目的は、昨年末に話題となった「派遣村」がなくても失業者に対応できる態勢を作ることにあります。
政府や民主党などは、定期的な開催や年末年始の開催など、このサービスを本格的に実施したいと考えているようです。
しかし、自治体が生活保護の申請急増を警戒するなど、難色を示している向きもあるようで、今後このサービスがどのようになって行われていくのか、気になるところです。
2009/12/02
12月の事務所便り
「改正入管法」成立で企業への影響は?
◆不法滞在者の減少なるか?
今年7月8日、現在、国内に約13万人いるとみられる不法滞在者の減少等を目的とした「出入国管理及び難民認定法」の改正案が可決・成立し、7月15日に公布されました。
外国人を雇用している企業、これから雇用しようと考えている企業に影響のある改正項目もありますので、ぜひとも押さえておきたいところです。
◆新たな在留管理制度の導入
現在、3カ月以上日本に在留する外国人は、外国人登録を行ったうえで「外国人登録証明書」(2008年末時点で約222万人が所有)を携帯しなければなりませんが、改正により、これに代わって「在留カード」が導入されることになりました。日本に中長期間にわたって在留する外国人には、このカードの携帯義務が課されます。
「在留カード」には、氏名、国籍、居住地などのほか、「外国人登録証」には記載の必要がなかった「就労制限の有無」や「資格外活動許可を受けているときはその旨」も記載が必要となります。一般企業にとっては、就労が可能な在留外国人であるか否かを判断しやすくなるというメリットがあります。
また、住居地情報を市区町村に届け出なければならなくなります。さらに、一定の在留資格を有している外国人は、勤務先企業等の情報を入国管理局へ届け出る必要もあります。そして、企業にも、受け入れた外国人情報を国に提供する努力義務が課されます。
公布から3年以内に施行の予定です。
◆新たな在留資格(技能実習)の創設
これまで批判の多かった「研修・技能実習生」の見直しも行われ、原則として、座学実習のみの場合は「研修」という在留資格となりますが、実務研修(OJT)を伴うものについては「技能実習」という在留資格が新たに新設されました。 この「技能実習」の中には、(a)「講習による知識習得活動」・「雇用契約に基づく技能等習得活動」と、(b)(a)の活動に従事し、技能等を修得した者が雇用契約に基づき習得した技能等を要する業務に従事する為の活動が含まれます。
上記(a)のうちの「雇用契約に基づく技能等習得活動」と、(b)の活動には、労働基準法や最低賃金法等の労働関係諸法令が1年目から適用されることとなりますので、注意が必要です。
公布から1年以内に施行の予定です。
◆その他の改正項目
その他、「適法な滞在者の在留期間の上限延長(3年から5年)」、「1年以内の再入国に関して原則として許可不要」などについても定められました。
ハローワークにおける「雇用支援ワンストップサービス」
◆「緊急雇用対策」の目玉
政府が10月23日に公表した「緊急雇用対策」の中の1つに、「雇用支援ワンストップサービス」というものがあります。新聞報道によれば11月下旬からサービスがスタートするとのことです。
ハローワークに確認しても、「詳しい手続き等はまだ明らかになっていない」とのことでしたが、一体どのようなサービスなのでしょうか?
◆どのようなサービスか?
この「雇用支援ワンストップサービス」は、ハローワークにおいて「職業の紹介」や「生活資金の貸付け」、「住宅手当の支給」「就業の支援」(働きながら介護資格を取得できるようにする)などの複数の手続きについて、失業者が一括して行うことのできるサービスです。
これまでは、これらの複数の手続きを別々のところに申請しなければなりませんでしたが、ハローワークの職員、自治体(福祉関係)の職員、社会福祉協議会の職員などが一体となって、失業者等に対して雇用を支援するためのサービスを行います。
◆今後の状況
まずは都市部(東京都、愛知県、大阪府など)のハローワークにおいて試験的に実施され、年内は12月29日・30日も開庁するとのことです。そして、利用状況をみながら、年末年始にかけて実施都市、実施日を増やしていくことが検討されています。
最近は完全失業率に若干の改善がみられますが、9月に厚生労働省から発表された「非正規労働者の雇い止め等の状況」によれば、2008年10月~2009年12月までに実施済み(または実施予定)の非正規労働者の雇い止め等は、全国4,127事業所で計23万8,752人となるなど、まだまだ厳しい雇用環境が続いています。
このワンストップサービスの実施により、昨年末に大きく報道された「年越し派遣村」の再来を防ぐことが期待されています。
「仕事」と「家庭」の優先度合いはどちらが高い?
◆厚労省が調査結果を発表
近年、「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれていますが、「人口減少社会」が到来する中、労働者が仕事と家庭を両立して安心して働き続けることができる環境を整備することは、国にとっても企業にとってもますます重要な課題となっています。
先日、厚生労働省が民間企業に委託して実施した調査の結果により、仕事と家庭の両立支援(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる現状等が明らかになりました。
◆現実は「仕事優先」が多数
この調査は「子育て期の男女への仕事と子育ての両立に関するアンケート調査」というもので、未就学の子を持つ男女(男性正社員、女性正社員、女性非正社員、専業主婦)を対象に実施され、4,110件の有効回答がありました。
仕事と家事・子育ての優先度の希望と現実をみると、正社員男性の58.4%、正社員女性の52.3%が「仕事と家事・子育てを両立」させたいと考えていますが、現実としては、男女ともに「仕事優先」(男性74.0%、女性31.2%)の割合が高くなっています。
◆帰宅時間の状況、女性の退職理由
また、帰宅時間をみると、関東圏の男性で夜9時以降に帰宅する割合が30.4%となるなど、男性の帰宅が遅い状況が明らかになりました。
妊娠・出産前後に女性正社員が仕事を辞めた理由としては、「家事、育児に専念するため自発的に辞めた」の割合(39.0%)が最も高く、一方で、「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めた」(26.1%)と「解雇された、退職勧奨された」(9.0%)の合計が35.1%となっています。
◆制度の利用しやすさ、勤務形態、短時間勤務
職場の両立支援制度の利用しやすさでは、育児休業制度や子の看護休暇等について、女性のほうが男性より「利用しやすい」と答えた割合が高く、男性の方が「利用しにくい」と答えた割合が高くなっています。
夫の就労時間別に妻が希望する勤務形態をみると、夫の就労時間が長いほど妻の「短時間勤務・短日勤務」を希望する割合が高くなっています(夫の就労時間が「35時間以上40時間未満」の場合25.1%、「70時間以上」の場合43.7%)。
そして、短時間勤務で働いた場合の評価については、「どのように評価されるか知らない」との回答割合が、男性38.6%、女性31.8%と高くなっています。
厚労省が「労働時間適正化キャンペーン」実施
◆11月はキャンペーン期間
厚生労働省は、11月1日から30日までを、昨年同様に「労働時間適正化キャンペーン」期間として定め、長時間労働やこれに伴うサービス残業等の問題解消を図るため、電話相談や啓発等の取組みを実施しています。
キャンペーンの重点事項としては、①時間外労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減、②長時間労働者への医師による面接指導等の健康管理に対する体制の整備、③労働時間の適正な把握の徹底(来年4月1日から施行される改正労働基準法に対応した体制整備も含む)です。
◆取組みの背景
この取組みの背景には、平成20年度に行われた各調査において明らかになっている次のことなどあります。
(1)週労働時間60時間以上の労働者の割合が10.0%となっており、子育て世代に当たる30歳代男性では約20%と依然として長時間労働の実態がみられる。
(2)過労死等の事案である脳血管疾患および虚血性心疾患等で労災認定された件数が377件と、過重労働による健康障害が多発している。
(3)全国の労働基準監督署の指導により、不払いであった割増賃金が支払われた事案のうち、1企業当たり100万円以上の支払いがなされた企業数は1,553企業、対象労働者は18万730人、支払われた割増賃金の合計は196億1,351万円となっており、是正指導事案が多くみられた。
◆電話による相談も受付け
また、平成20年度の「労働時間適正化キャンペーン」として実施した電話相談に寄せられた相談件数879件のうち、長時間労働に関するものは320件、賃金不払残業に関するものは400件となっており、この問題が非常に大きいことがうかがえます。
キャンペーンの実施事項としては、事業主へのリーフレットの配布、「労働時間相談ダイヤル」による長時間労働抑制等のための電話相談(11月22日実施。フリーダイヤル:0120-897-713)、使用者団体・労働組合への周知・啓発の協力要請などです。
税制改正で家計への影響は?
◆「扶養控除」の廃止・縮小と「給与所得控除」の上限設定
政府税制調査会では、現政権の目玉施策である「子ども手当」や「公立高校の授業料無償化」などの家計支援の実施とバランスをとるため、所得課税の見直しによる増税を模索し始めています。
来年度税制改正の見直し案として浮上しているのが「一般の扶養控除の廃止」、「特定扶養控除の縮小」と「給与所得控除の上限設定」です。
◆具体的には?
来年度から支給が始まる予定の「子ども手当」(中学校卒業までの子ども1人あたり月2万6,000円[初年度は半額]の手当)との見合いで、所得金額から扶養親族1人あたり38万円を差し引く「一般の扶養控除」の廃止はすでに固まっています。
また、16歳から22歳の高校生や大学生等の特定扶養親族がいる場合に1人あたり63万円を差し引く「特定扶養控除」は、公立高校の授業料の無償化案に連動して、縮小が検討されています。
さらに、給与収入から一定額を差し引く「給与所得控除」に上限を設けることで、所得税の重要な機能である所得の再分配の効果を高めるとしています。
◆増税の負担が重くなる家庭も
これらのことを考えると、成年の扶養家族や大学生・浪人生を抱える家庭では、「子ども手当」や「公立高校の授業料無償化」の恩恵は受けられず、一般扶養控除・特定扶養控除だけが廃止・縮小となり増税は免れないことになります。
特定扶養控除の額を仮に38万円に縮小した場合、高校生の子ども2人がいる課税所得700万円の家庭では、所得税で年間約11万5,000円の負担増に、全廃した場合には約29万円の負担増になるとされています。また、給与所得控除に上限を設ければ、高額所得者はさらに負担が増えるということになります。
雇用や景気に不安が続く中、サラリーマン家庭の増税を急げば、これらの控除見直しに対する反発は免れないでしょう。「子どもを社会全体で育てていく」という考えは必要でしょうが、それに伴う財源の確保については慎重な検討が求められます。
産業医の選任に対する助成金
◆他の事業者と共同での契約も可
常時50人以上の労働者を使用する労働者のいる事業場では、産業医の選任が義務付けられていますが、義務のない小規模の事業場において、産業医を選任して労働者の健康に関する活動を行おうとする事業者を支援する助成金として、「小規模事業場産業保健活動支援促進助成金」があります。
この助成金は、常用労働者数が50人未満の事業場の事業者が、他の事業者と共同または単独で産業医と契約を結び、その産業医に保健指導・健康相談等の保健活動をさせた場合に、その費用の一部を最大3年間補助する制度です。
◆「産業医」とは?
産業医とは、医師のうち、日本医師会から産業医の認定を受けた人や、労働衛生コンサルタント試験の保健衛生区分に合格した人等で、労働者の健康管理等を行う人のことです。
産業医の活動としては、「職場の見回りによる作業改善のアドバイス」、「健康診断結果に基づくアドバイスによる労働者の健康管理」、「長時間労働者への面接指導による健康防止対策」などがあります。
その結果、健康に対する労働者の意識が向上したり、生活習慣病の防止が図れたりするなど、快適な職場づくりにつながるといえます。
◆快適な職場づくりに役立てる
助成金の額は、労働者の人数に関係なく一定の額です。産業医による保健活動にかかった額(上限21,500円)×活動回数(年4回まで)=年間上限86,000円を3年間受けることができます。
長時間労働による精神疾患や過労死の問題が大きく取り上げられている中、「快適な職場づくり」は社員の定着率を向上させる効果があります。産業医の選任義務のない小規模の事業場において、助成金をうまく活用しながら快適な職場づくりにつなげてもらいたいものです。
注目浴びる「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野
◆「緊急雇用対策」の柱
政府の緊急雇用対策本部が、2010年度3月末までに10万人程度の雇用の下支えと創造を目指す「緊急雇用対策」を正式に決定したとの報道がありました。
この対策では、困窮者や新卒者などへの「緊急的な支援措置」と、将来的な成長が見込まれる「介護」「グリーン」「地域社会」の3つの重点分野における「緊急雇用創造プログラム」が2本柱となっています。
この「緊急雇用創造プログラム」では、「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野で働きながら職業能力を高める雇用プログラムの推進などに取り組むとしています。
◆「介護分野」での雇用創造
介護分野では「『働きながら資格を取る』介護雇用プログラム」が創設されています。具体的には、地方自治体が介護施設に緊急雇用創出事業を委託し、介護施設側は求職者と有期雇用契約を締結、求職者は介護補助の業務を行いながら資格取得のための講座を無料で受講することができるというものです。
契約期間は、ヘルパー2級を目指す場合は1年間、介護福祉士は2年間で、雇入れ期間中の賃金と講座受講料には、委託事業費を充てるということです。
この他、「介護職員処遇改善交付金」の周知を通じた介護職員の処遇改善、ハローワークでの介護求人の開拓の重点実施などからなる「介護人材確保施策の推進」や「介護サービス整備の加速化」も行うとしています。
◆「グリーン分野」「地域社会分野」での政策
もう1つの「グリーン分野」とは、農林、環境・エネルギー、観光などを指します。直売所や農産品の地域ブランドの立上げ支援、太陽光発電の施工技術者の育成などが柱となっています。
また、「地域社会分野」では、NPO法人や社会企業家に保育事業を任せるなどの「社会的企業」の活用などが盛り込まれています。
この「緊急雇用対策」を契機として、これらの3分野が注目を浴びていきそうです。厳しい雇用情勢の中、一刻も早い雇用の安定が望まれるところです。
「父親のワーク・ライフ・バランス応援サイト」開設
◆仕事と子育てを両立させるための情報を紹介
厚生労働省は、主に子育て期の男性労働者を対象とした「父親のWLB(ワーク・ライフ・バランス)応援サイト」(http://www.papa-wlb.jp/index.html)を開設しました。
このサイトは、父親も子育てができる働き方の実現に向けて、子育て期における父親の役割、育児休業取得の際の留意点のほか、両立支援に関する制度の概要、子育てにかかる経済的支援制度や各種相談窓口等の紹介など、仕事と子育てを両立させ、相乗効果を生み出すためのヒントがまとめてあります。
◆男性のWLBは少子化・労働力減少の改善に
現在、わが国では勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっており、女性だけでなく、男性も子育てができる環境作りが求められています。男性の約3割が育児休業の取得を希望している一方、実際の育児休業取得率は1.23%に過ぎず、男性が子育てや家事に費やす時間については極めて低い水準となっています。
男性が子育てに関わることができないことは、男性の希望が叶えられないというだけでなく、女性に家事や子育ての負荷がかかることにより、女性の継続就業を困難にするとともに、第二子以降の出産意欲にも影響を及ぼし、少子化の原因ともなっていると指摘されています。
子育て世帯の「仕事と子育てを両立したい!」という希望に応えるとともに、女性が安心して働き続けるためには、男性の働き方の見直しや子育てへの積極的な関わりを促進させることが必要となっています。
◆育児・介護休業法の改正
このような流れを受け、本年6月に「改正育児・介護休業法」が成立しました。改正法では、父親の育児休業の取得促進を目的とした「パパママ育休プラス」や、出産後8週間以内の期間に育児休業を取得した父親に限って育児休業を再取得できる制度の新設、配偶者が専業主婦(夫)であっても育児休業を取得できる制度など、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができる環境作りを目指した内容となっています。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が実現した社会とは、老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自らが希望するバランスで展開できる状態であると言われています。
男性の子育てへの積極的な参加と、ワーク・ライフ・バランスに対する企業のより一層の支援が期待されます。
今話題の「介護職員処遇改善交付金」とは?
◆支給対象は?
厚生労働省は、「介護職員処遇改善交付金」を積極的に活用するよう求める事務連絡を、介護保険関係団体などに出しました。
この「介護職員処遇交付金」は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、平成21年10月から平成23年度末までの間、計約4,000億円を交付するものですが、平成24年度以降も介護職員の処遇改善に取り組んでいく旨の方針を示しており、引き続き取組みを進めていくとしています。
交付金により賃金改善できる職種は、原則として指定基準上の介護職員、介護従業者、訪問介護員等として勤務している職員が対象ですが、他の職務に従事していても、介護職員として勤務していれば対象となります。ただし、訪問看護など、人員配置基準上、介護職員のいないサービスは対象外となります。
◆支給方法は?
この交付金は、介護サービス提供に関わる介護報酬に一定の率を乗じて得た額を、毎月の介護報酬と併せて交付し、事業年度ごとに事業者が提出する実績報告に基づき、余剰金が発生した場合には、その額を返還するものです。
また、交付金事業の年度区分は、当該年の4月から翌年の3月支払い分まで(12カ月間)とし、その交付金の額の根拠となる介護サービスは、原則として、当該年の2月から翌年1月までに提供された介護サービスとなります。
ただし、平成21年度および平成24年度については、交付金支給の始期および終期が異なります。
◆申請手続、その他の要件
申請手続は、交付金見込額を上回る賃金改善計画を策定し、職員に対して周知を行ったうえで都道府県に申請を行い、承認が得られれば、介護職員の賃金改善に充当するための資金が介護報酬とは別に毎月自動的に交付されます。
なお、交付金は、原則として申請があった月のサービス提供分から対象になりますが、当初については、平成21年12月中に申請した事業者に限り、10月サービス提供分からさかのぼって交付となります。
このほかにも、労働保険に加入していることや、交付金の対象事業者としての申請日の属する月の初日から起算して過去1年間に、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法等の違反により罰金刑以上の刑に処せられていないことが支給要件となっています。
◆不法滞在者の減少なるか?
今年7月8日、現在、国内に約13万人いるとみられる不法滞在者の減少等を目的とした「出入国管理及び難民認定法」の改正案が可決・成立し、7月15日に公布されました。
外国人を雇用している企業、これから雇用しようと考えている企業に影響のある改正項目もありますので、ぜひとも押さえておきたいところです。
◆新たな在留管理制度の導入
現在、3カ月以上日本に在留する外国人は、外国人登録を行ったうえで「外国人登録証明書」(2008年末時点で約222万人が所有)を携帯しなければなりませんが、改正により、これに代わって「在留カード」が導入されることになりました。日本に中長期間にわたって在留する外国人には、このカードの携帯義務が課されます。
「在留カード」には、氏名、国籍、居住地などのほか、「外国人登録証」には記載の必要がなかった「就労制限の有無」や「資格外活動許可を受けているときはその旨」も記載が必要となります。一般企業にとっては、就労が可能な在留外国人であるか否かを判断しやすくなるというメリットがあります。
また、住居地情報を市区町村に届け出なければならなくなります。さらに、一定の在留資格を有している外国人は、勤務先企業等の情報を入国管理局へ届け出る必要もあります。そして、企業にも、受け入れた外国人情報を国に提供する努力義務が課されます。
公布から3年以内に施行の予定です。
◆新たな在留資格(技能実習)の創設
これまで批判の多かった「研修・技能実習生」の見直しも行われ、原則として、座学実習のみの場合は「研修」という在留資格となりますが、実務研修(OJT)を伴うものについては「技能実習」という在留資格が新たに新設されました。 この「技能実習」の中には、(a)「講習による知識習得活動」・「雇用契約に基づく技能等習得活動」と、(b)(a)の活動に従事し、技能等を修得した者が雇用契約に基づき習得した技能等を要する業務に従事する為の活動が含まれます。
上記(a)のうちの「雇用契約に基づく技能等習得活動」と、(b)の活動には、労働基準法や最低賃金法等の労働関係諸法令が1年目から適用されることとなりますので、注意が必要です。
公布から1年以内に施行の予定です。
◆その他の改正項目
その他、「適法な滞在者の在留期間の上限延長(3年から5年)」、「1年以内の再入国に関して原則として許可不要」などについても定められました。
ハローワークにおける「雇用支援ワンストップサービス」
◆「緊急雇用対策」の目玉
政府が10月23日に公表した「緊急雇用対策」の中の1つに、「雇用支援ワンストップサービス」というものがあります。新聞報道によれば11月下旬からサービスがスタートするとのことです。
ハローワークに確認しても、「詳しい手続き等はまだ明らかになっていない」とのことでしたが、一体どのようなサービスなのでしょうか?
◆どのようなサービスか?
この「雇用支援ワンストップサービス」は、ハローワークにおいて「職業の紹介」や「生活資金の貸付け」、「住宅手当の支給」「就業の支援」(働きながら介護資格を取得できるようにする)などの複数の手続きについて、失業者が一括して行うことのできるサービスです。
これまでは、これらの複数の手続きを別々のところに申請しなければなりませんでしたが、ハローワークの職員、自治体(福祉関係)の職員、社会福祉協議会の職員などが一体となって、失業者等に対して雇用を支援するためのサービスを行います。
◆今後の状況
まずは都市部(東京都、愛知県、大阪府など)のハローワークにおいて試験的に実施され、年内は12月29日・30日も開庁するとのことです。そして、利用状況をみながら、年末年始にかけて実施都市、実施日を増やしていくことが検討されています。
最近は完全失業率に若干の改善がみられますが、9月に厚生労働省から発表された「非正規労働者の雇い止め等の状況」によれば、2008年10月~2009年12月までに実施済み(または実施予定)の非正規労働者の雇い止め等は、全国4,127事業所で計23万8,752人となるなど、まだまだ厳しい雇用環境が続いています。
このワンストップサービスの実施により、昨年末に大きく報道された「年越し派遣村」の再来を防ぐことが期待されています。
「仕事」と「家庭」の優先度合いはどちらが高い?
◆厚労省が調査結果を発表
近年、「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれていますが、「人口減少社会」が到来する中、労働者が仕事と家庭を両立して安心して働き続けることができる環境を整備することは、国にとっても企業にとってもますます重要な課題となっています。
先日、厚生労働省が民間企業に委託して実施した調査の結果により、仕事と家庭の両立支援(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる現状等が明らかになりました。
◆現実は「仕事優先」が多数
この調査は「子育て期の男女への仕事と子育ての両立に関するアンケート調査」というもので、未就学の子を持つ男女(男性正社員、女性正社員、女性非正社員、専業主婦)を対象に実施され、4,110件の有効回答がありました。
仕事と家事・子育ての優先度の希望と現実をみると、正社員男性の58.4%、正社員女性の52.3%が「仕事と家事・子育てを両立」させたいと考えていますが、現実としては、男女ともに「仕事優先」(男性74.0%、女性31.2%)の割合が高くなっています。
◆帰宅時間の状況、女性の退職理由
また、帰宅時間をみると、関東圏の男性で夜9時以降に帰宅する割合が30.4%となるなど、男性の帰宅が遅い状況が明らかになりました。
妊娠・出産前後に女性正社員が仕事を辞めた理由としては、「家事、育児に専念するため自発的に辞めた」の割合(39.0%)が最も高く、一方で、「仕事を続けたかったが仕事と育児の両立の難しさで辞めた」(26.1%)と「解雇された、退職勧奨された」(9.0%)の合計が35.1%となっています。
◆制度の利用しやすさ、勤務形態、短時間勤務
職場の両立支援制度の利用しやすさでは、育児休業制度や子の看護休暇等について、女性のほうが男性より「利用しやすい」と答えた割合が高く、男性の方が「利用しにくい」と答えた割合が高くなっています。
夫の就労時間別に妻が希望する勤務形態をみると、夫の就労時間が長いほど妻の「短時間勤務・短日勤務」を希望する割合が高くなっています(夫の就労時間が「35時間以上40時間未満」の場合25.1%、「70時間以上」の場合43.7%)。
そして、短時間勤務で働いた場合の評価については、「どのように評価されるか知らない」との回答割合が、男性38.6%、女性31.8%と高くなっています。
厚労省が「労働時間適正化キャンペーン」実施
◆11月はキャンペーン期間
厚生労働省は、11月1日から30日までを、昨年同様に「労働時間適正化キャンペーン」期間として定め、長時間労働やこれに伴うサービス残業等の問題解消を図るため、電話相談や啓発等の取組みを実施しています。
キャンペーンの重点事項としては、①時間外労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減、②長時間労働者への医師による面接指導等の健康管理に対する体制の整備、③労働時間の適正な把握の徹底(来年4月1日から施行される改正労働基準法に対応した体制整備も含む)です。
◆取組みの背景
この取組みの背景には、平成20年度に行われた各調査において明らかになっている次のことなどあります。
(1)週労働時間60時間以上の労働者の割合が10.0%となっており、子育て世代に当たる30歳代男性では約20%と依然として長時間労働の実態がみられる。
(2)過労死等の事案である脳血管疾患および虚血性心疾患等で労災認定された件数が377件と、過重労働による健康障害が多発している。
(3)全国の労働基準監督署の指導により、不払いであった割増賃金が支払われた事案のうち、1企業当たり100万円以上の支払いがなされた企業数は1,553企業、対象労働者は18万730人、支払われた割増賃金の合計は196億1,351万円となっており、是正指導事案が多くみられた。
◆電話による相談も受付け
また、平成20年度の「労働時間適正化キャンペーン」として実施した電話相談に寄せられた相談件数879件のうち、長時間労働に関するものは320件、賃金不払残業に関するものは400件となっており、この問題が非常に大きいことがうかがえます。
キャンペーンの実施事項としては、事業主へのリーフレットの配布、「労働時間相談ダイヤル」による長時間労働抑制等のための電話相談(11月22日実施。フリーダイヤル:0120-897-713)、使用者団体・労働組合への周知・啓発の協力要請などです。
税制改正で家計への影響は?
◆「扶養控除」の廃止・縮小と「給与所得控除」の上限設定
政府税制調査会では、現政権の目玉施策である「子ども手当」や「公立高校の授業料無償化」などの家計支援の実施とバランスをとるため、所得課税の見直しによる増税を模索し始めています。
来年度税制改正の見直し案として浮上しているのが「一般の扶養控除の廃止」、「特定扶養控除の縮小」と「給与所得控除の上限設定」です。
◆具体的には?
来年度から支給が始まる予定の「子ども手当」(中学校卒業までの子ども1人あたり月2万6,000円[初年度は半額]の手当)との見合いで、所得金額から扶養親族1人あたり38万円を差し引く「一般の扶養控除」の廃止はすでに固まっています。
また、16歳から22歳の高校生や大学生等の特定扶養親族がいる場合に1人あたり63万円を差し引く「特定扶養控除」は、公立高校の授業料の無償化案に連動して、縮小が検討されています。
さらに、給与収入から一定額を差し引く「給与所得控除」に上限を設けることで、所得税の重要な機能である所得の再分配の効果を高めるとしています。
◆増税の負担が重くなる家庭も
これらのことを考えると、成年の扶養家族や大学生・浪人生を抱える家庭では、「子ども手当」や「公立高校の授業料無償化」の恩恵は受けられず、一般扶養控除・特定扶養控除だけが廃止・縮小となり増税は免れないことになります。
特定扶養控除の額を仮に38万円に縮小した場合、高校生の子ども2人がいる課税所得700万円の家庭では、所得税で年間約11万5,000円の負担増に、全廃した場合には約29万円の負担増になるとされています。また、給与所得控除に上限を設ければ、高額所得者はさらに負担が増えるということになります。
雇用や景気に不安が続く中、サラリーマン家庭の増税を急げば、これらの控除見直しに対する反発は免れないでしょう。「子どもを社会全体で育てていく」という考えは必要でしょうが、それに伴う財源の確保については慎重な検討が求められます。
産業医の選任に対する助成金
◆他の事業者と共同での契約も可
常時50人以上の労働者を使用する労働者のいる事業場では、産業医の選任が義務付けられていますが、義務のない小規模の事業場において、産業医を選任して労働者の健康に関する活動を行おうとする事業者を支援する助成金として、「小規模事業場産業保健活動支援促進助成金」があります。
この助成金は、常用労働者数が50人未満の事業場の事業者が、他の事業者と共同または単独で産業医と契約を結び、その産業医に保健指導・健康相談等の保健活動をさせた場合に、その費用の一部を最大3年間補助する制度です。
◆「産業医」とは?
産業医とは、医師のうち、日本医師会から産業医の認定を受けた人や、労働衛生コンサルタント試験の保健衛生区分に合格した人等で、労働者の健康管理等を行う人のことです。
産業医の活動としては、「職場の見回りによる作業改善のアドバイス」、「健康診断結果に基づくアドバイスによる労働者の健康管理」、「長時間労働者への面接指導による健康防止対策」などがあります。
その結果、健康に対する労働者の意識が向上したり、生活習慣病の防止が図れたりするなど、快適な職場づくりにつながるといえます。
◆快適な職場づくりに役立てる
助成金の額は、労働者の人数に関係なく一定の額です。産業医による保健活動にかかった額(上限21,500円)×活動回数(年4回まで)=年間上限86,000円を3年間受けることができます。
長時間労働による精神疾患や過労死の問題が大きく取り上げられている中、「快適な職場づくり」は社員の定着率を向上させる効果があります。産業医の選任義務のない小規模の事業場において、助成金をうまく活用しながら快適な職場づくりにつなげてもらいたいものです。
注目浴びる「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野
◆「緊急雇用対策」の柱
政府の緊急雇用対策本部が、2010年度3月末までに10万人程度の雇用の下支えと創造を目指す「緊急雇用対策」を正式に決定したとの報道がありました。
この対策では、困窮者や新卒者などへの「緊急的な支援措置」と、将来的な成長が見込まれる「介護」「グリーン」「地域社会」の3つの重点分野における「緊急雇用創造プログラム」が2本柱となっています。
この「緊急雇用創造プログラム」では、「介護」「グリーン」「地域社会」の3分野で働きながら職業能力を高める雇用プログラムの推進などに取り組むとしています。
◆「介護分野」での雇用創造
介護分野では「『働きながら資格を取る』介護雇用プログラム」が創設されています。具体的には、地方自治体が介護施設に緊急雇用創出事業を委託し、介護施設側は求職者と有期雇用契約を締結、求職者は介護補助の業務を行いながら資格取得のための講座を無料で受講することができるというものです。
契約期間は、ヘルパー2級を目指す場合は1年間、介護福祉士は2年間で、雇入れ期間中の賃金と講座受講料には、委託事業費を充てるということです。
この他、「介護職員処遇改善交付金」の周知を通じた介護職員の処遇改善、ハローワークでの介護求人の開拓の重点実施などからなる「介護人材確保施策の推進」や「介護サービス整備の加速化」も行うとしています。
◆「グリーン分野」「地域社会分野」での政策
もう1つの「グリーン分野」とは、農林、環境・エネルギー、観光などを指します。直売所や農産品の地域ブランドの立上げ支援、太陽光発電の施工技術者の育成などが柱となっています。
また、「地域社会分野」では、NPO法人や社会企業家に保育事業を任せるなどの「社会的企業」の活用などが盛り込まれています。
この「緊急雇用対策」を契機として、これらの3分野が注目を浴びていきそうです。厳しい雇用情勢の中、一刻も早い雇用の安定が望まれるところです。
「父親のワーク・ライフ・バランス応援サイト」開設
◆仕事と子育てを両立させるための情報を紹介
厚生労働省は、主に子育て期の男性労働者を対象とした「父親のWLB(ワーク・ライフ・バランス)応援サイト」(http://www.papa-wlb.jp/index.html)を開設しました。
このサイトは、父親も子育てができる働き方の実現に向けて、子育て期における父親の役割、育児休業取得の際の留意点のほか、両立支援に関する制度の概要、子育てにかかる経済的支援制度や各種相談窓口等の紹介など、仕事と子育てを両立させ、相乗効果を生み出すためのヒントがまとめてあります。
◆男性のWLBは少子化・労働力減少の改善に
現在、わが国では勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっており、女性だけでなく、男性も子育てができる環境作りが求められています。男性の約3割が育児休業の取得を希望している一方、実際の育児休業取得率は1.23%に過ぎず、男性が子育てや家事に費やす時間については極めて低い水準となっています。
男性が子育てに関わることができないことは、男性の希望が叶えられないというだけでなく、女性に家事や子育ての負荷がかかることにより、女性の継続就業を困難にするとともに、第二子以降の出産意欲にも影響を及ぼし、少子化の原因ともなっていると指摘されています。
子育て世帯の「仕事と子育てを両立したい!」という希望に応えるとともに、女性が安心して働き続けるためには、男性の働き方の見直しや子育てへの積極的な関わりを促進させることが必要となっています。
◆育児・介護休業法の改正
このような流れを受け、本年6月に「改正育児・介護休業法」が成立しました。改正法では、父親の育児休業の取得促進を目的とした「パパママ育休プラス」や、出産後8週間以内の期間に育児休業を取得した父親に限って育児休業を再取得できる制度の新設、配偶者が専業主婦(夫)であっても育児休業を取得できる制度など、男女ともに子育てや介護をしながら働き続けることができる環境作りを目指した内容となっています。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が実現した社会とは、老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自らが希望するバランスで展開できる状態であると言われています。
男性の子育てへの積極的な参加と、ワーク・ライフ・バランスに対する企業のより一層の支援が期待されます。
今話題の「介護職員処遇改善交付金」とは?
◆支給対象は?
厚生労働省は、「介護職員処遇改善交付金」を積極的に活用するよう求める事務連絡を、介護保険関係団体などに出しました。
この「介護職員処遇交付金」は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、平成21年10月から平成23年度末までの間、計約4,000億円を交付するものですが、平成24年度以降も介護職員の処遇改善に取り組んでいく旨の方針を示しており、引き続き取組みを進めていくとしています。
交付金により賃金改善できる職種は、原則として指定基準上の介護職員、介護従業者、訪問介護員等として勤務している職員が対象ですが、他の職務に従事していても、介護職員として勤務していれば対象となります。ただし、訪問看護など、人員配置基準上、介護職員のいないサービスは対象外となります。
◆支給方法は?
この交付金は、介護サービス提供に関わる介護報酬に一定の率を乗じて得た額を、毎月の介護報酬と併せて交付し、事業年度ごとに事業者が提出する実績報告に基づき、余剰金が発生した場合には、その額を返還するものです。
また、交付金事業の年度区分は、当該年の4月から翌年の3月支払い分まで(12カ月間)とし、その交付金の額の根拠となる介護サービスは、原則として、当該年の2月から翌年1月までに提供された介護サービスとなります。
ただし、平成21年度および平成24年度については、交付金支給の始期および終期が異なります。
◆申請手続、その他の要件
申請手続は、交付金見込額を上回る賃金改善計画を策定し、職員に対して周知を行ったうえで都道府県に申請を行い、承認が得られれば、介護職員の賃金改善に充当するための資金が介護報酬とは別に毎月自動的に交付されます。
なお、交付金は、原則として申請があった月のサービス提供分から対象になりますが、当初については、平成21年12月中に申請した事業者に限り、10月サービス提供分からさかのぼって交付となります。
このほかにも、労働保険に加入していることや、交付金の対象事業者としての申請日の属する月の初日から起算して過去1年間に、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働者災害補償保険法、雇用保険法等の違反により罰金刑以上の刑に処せられていないことが支給要件となっています。
2009/11/02
11月の事務所便り
政府の雇用対策と雇用調整助成金等の状況
◆対象者・事業所数がともに減少
厚生労働省が10月初めに、「休業等実施計画届」(雇用調整助成金等の申請時に事業所が提出する書類)の受理状況を発表しました。
それによれば、8月の対象者数は211万841人となり、7月の243万2,565人と比較して13.2%も減少しました。また、8月の対象事業所数は7万9,922カ所となり、7月の8万3,031カ所から3.7%減少しました。「雇用調整助成金」(中小企業の場合は「中小企業緊急雇用安定助成金」)の利用も、いくらか落ち着いてきたようです。
また、8月における「大量雇用変動届」(会社都合等により30人以上が離職した場合に提出する書類)の届出事業所数は284事業所(7月は251事業所)、離職者数は1万4,550人(7月は1万891人)となっており、こちらのほうは増加しています。
◆新政権による雇用対策
民主党を中心とする政権に変わり、政府は、鳩山首相を本部長とする「緊急雇用対策本部」を設置する方針を発表し、新たな雇用対策も明らかになっています。
政府は、今後、当面の雇用対策を盛り込んだ「緊急雇用創造プログラム」をまとめる方針を示しており、主な対策としては、「介護分野における雇用者数の拡充」、「公共事業削減に伴う建設・土木労働者の転職支援」、「生活保護の受給促進等の貧困層対策」などが挙げられています。
◆さらなる雇調金要件の緩和
また、助成金に関しては、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件を緩和する方針も示されています。支給の要件とされている「直近3カ月間の売上高の減少幅」について、現行よりも少ない幅で支給を認める考えです。
企業にとっては従来よりも使い勝手が良くなる改正だといえます。
◆今後の政策に注目
8月の完全失業率は「5.5%」と過去最悪の水準となりました。企業にとっても労働者にとっても、まだまだ景気は上向いてきたとはいえない状況です。今後、「6%に達するのでは」といった懸念もあります。
そのような状況にならないためにも、企業を支援する助成金の拡充を含め、どのような対策を政府が打ち出し、実行していくのか、注目したいところです。
政権交代で再び動き出した「派遣法改正」
◆抜本的な改正に向けて
労働者派遣法(以下、「派遣法」)の改正については、自民党政権時から様々な議論がなされてきました。
派遣法に基づく指針が改正され、「派遣切り」を行った企業に対して、残りの契約期間中の休業手当相当額の支払いを求める制度が創設されるなどしましたが、結局は労使の意見がまとまらず、抜本的な派遣法改正には至りませんでした。しかし、このたび民主党が政権を獲得したことにより、再び改正に向けた議論が始まりました。
◆民主党マニフェストの実現なるか
厚生労働省はこのほど、「労働政策審議会」(厚生労働大臣の諮問機関)の分科会を開催し、派遣法の改正に向けた政・労・使による議論をスタートさせました。
民主党・社民党・国民新党は、不安定な雇用をなくすことなどを目的として、「製造業派遣」「登録型派遣」「日雇い派遣」の原則禁止などを主張していますので、それらを実現しようという考えです。また、法律名を「労働者派遣法」から「派遣労働者保護法」に変更することも検討されています。
政府は、年内にも派遣法の改正案をまとめるとしていますが、経営側や派遣業界の反発は必至であり、すんなりと改正が行われるかは微妙な状況といえるでしょう。
◆「間接雇用」から「直接雇用」への動き
雇用形態に関して、最近、派遣労働者などの「間接雇用」を正社員・パート社員・アルバイト社員などの「直接雇用」にシフトする企業が増加傾向にあるようです。
求人広告の企画・発行を行っている企業のアンケート調査(999社が回答)によれば、派遣労働者を雇用している企業(147社)のうち約45%が、「1年前に比べて派遣労働者が減った」と回答しており、約3分の1の企業が「今後さらに派遣社員の比率を下げる予定」と回答しています。
今後の派遣法改正の動向にも注目しつつ、自社において「どのような雇用形態を中心として企業を運営していくべきか」を考えていかなければならない時期に来ていると言えるでしょう。
「新型インフルエンザ」と休業手当・有休等の関係
◆予断を許さない状況
新型インフルエンザについては、「これからピークを迎える」との見方もあり、まったく予断を許さない状況にあります。そんな中、厚生労働省が「新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合の労働基準法上の問題に関するQ&A」というものを、ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/20.html)で発表しました。
これは、新型インフルエンザに伴って労働者を休業させる場合における賃金の支払いの必要性の有無等について、同省の見解を示したものであり、大変参考になります。なお、この見解は平成21年9月時点の状況を基にしているいため、今後の状況に応じて変更される可能性があるとのことです。
◆5つの「Q&A」
上記ホームページでは、以下の5つの質問に対する見解が掲載されています。いずれのケースについても、場合分けをして「休業手当の支払いが必要なケース」「休業手当の支払いが不要なケース」等が示されています。上記ホームページをご確認ください。
(1)労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要があるか?
(2)労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(3)労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(4)労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(5)新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はないか? 病気休暇を取得したこととする場合はどうか?
◆万全の準備を!
「新型インフルエンザ」の流行は、企業の経営にとっては死活問題ともなり得ます。実際に多くの社員が感染してしまったような場合に備え、万全の準備を整えておくことが必要でしょう。
健康保険の財政悪化が深刻な状況
◆協会けんぽ、健康保険組合ともに赤字
健康保険を運営する各機関の財政状況が深刻化しているようです。「協会けんぽ」(旧政府管掌健康保険)では、2010年3月末決算で3,100億円の赤字になる見通しを発表しています。この赤字幅は、前年度に比べ約810億円も増える見込みで、3年連続で単年度赤字となります。
また、全国の健康保険組合(1,497組合)でも、2008年度の経常収支は合計3,060億円の赤字となっており、黒字を確保した組合は3割にとどまっています。このような状況は、2009年度には一段と悪化すると予測されています。
◆「景気後退」と「高齢化」が大きく影響
これらの状況は、景気の悪化により従業員の給与・賞与が減って保険料収入が減る一方、高齢化により保険給付費が膨らんでいることが要因となっています。
健康保険組合では、保険料を引き上げる組合が今後相次ぐと予想されますが、「協会けんぽ」の保険料を上回ると加入者にとっては加入しているメリットが薄れるため、解散する組合が増えていく可能性も指摘されています。
◆新政権と健康保険財政
一方、「協会けんぽ」では、現状で保険料引上げによる加入者の負担増を求めることは厳しいと判断し、協会けんぽを運営する全国健康保険協会は、長妻厚生労働大臣に国費の投入の増額を正式に要請したそうです。厚生労働大臣では、「協会けんぽ」の収入全体に占める国庫補助率を、2009年度の13%(約1兆円)から最大20%程度まで引き上げる方針であり、働き手の負担増の軽減を目指しています。
しかし、民主党は政権公約で病院の診療報酬引上げを掲げており、必要な医療費はさらに膨らむ可能性があるため、財政の厳しさは増すことが予想されます。保険料が引き上げられること、医療費が高くなることに不満をもつ前に、我々ができること、つまり、いかに健康を維持するかを考え、これ以上の負担増がないようにしたいものです。
非正規雇用者の約4割が「正社員並み」の仕事
◆年収「300万円以下」が約8割
厚生労働省が「非正規雇用者」と「事業所」を対象に、今年の7月に初めて実施したインターネットによる実態調査によると、派遣労働者・契約社員・パート社員など、いわゆる非正規雇用者の約4割が「正社員並みの仕事をしている」ことが明らかになりました。
その一方で、非正規雇用者の約8割は「年収300万円以下」と回答しており、企業が正社員の代替として、低賃金でこれらの労働者を利用していることがわかります。
事業所への調査では、非正規雇用者を雇う理由として、37.7%が「人件費を低く抑えるため」、38.9%が「業務量の変化に対応するため」と回答しています。
◆非正規雇用者の待遇の今後
民主党はマニフェストに、正規・非正規を問わず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得るべきとする「同一労働・同一賃金」の実現を掲げ、ワーキングプアや賃金格差の問題解消に取り組む構えです。
同党の政策に影響力をもつ日本労働組合総連合会(連合)でも、職務の違い(職務の難易度、仕事に対する負担、要求される知識や技能)、職務遂行能力の違い、業績の違いなど、合理的な理由がない限り、勤務時間や契約期間が短いことを理由として正規雇用者と非正規雇用者とで労働条件に差をつけることを禁じた「パート・有期契約労働法」(仮称)の早期制定を目指しています。
◆企業の負担増に直結
こうした状況から、非正規雇用者の待遇を引き上げる施策が講じられることは必至ですが、いまだ経済情勢が混沌としている中、労働条件の底上げは企業の負担増に直結するため、使用者側としては容易には受け入れられないものと思われます。今後いかなる施策が実施されていくのか、要注目です。
生活を楽しむ人は循環器病にかかりにくい
◆アクティブでポジティブな男性は良い結果
厚生労働省の研究班は、「自分は生活を楽しんでいる」と考える男性ほど、心筋梗塞などの循環器病になったり、循環器病が原因で死亡したりするリスクが低くなるとする調査結果を発表しました。この調査結果によると、こうした人はスポーツなどを行って健康的な生活を送っていることに加え、困難な出来事にも前向きに対処できるためにストレスを感じにくいなど、心理的な作用も影響していると考えられるそうです。
研究班によると、循環器疾患や癌疾患の既往歴のない全国の40~69歳の男女8万8,175人を対象として、約12年間の追跡調査を行ったところ、3,523人に循環器疾患の発症が確認されたそうです。
◆循環器病との関係は?
調査開始時点で「自分の生活を楽しんでいるか?」という問いに、高・中・低の3段階で答えてもらい、3グループに分けて循環器病リスクとの関連を調べたところ、男性では、生活を楽しんでいる意識が高いグループに比べ、中程度のグループの発症リスクは1.2倍、低いグループでは1.23倍でした。病気の種類別にみると、脳卒中では1.22倍、虚血性心疾患では1.28倍でした。
次に、循環器疾患による死亡との関係を調べたところ、追跡期間中に全体で1,860人の死亡が確認され、男性で楽しんでいる意識が高いグループと比べて低いグループのリスクは1.61倍も高く、脳卒中については1.75倍、虚血性心疾患については1.91倍高いという結果となりました。
◆男性と女性では異なる結果
生活を楽しんでいる意識の高いグループでは、運動習慣のある人の割合が高く、喫煙者の割合が低いなど、健康的な生活習慣を維持している人が多い傾向が見られました。心理的にポジティブな状態にある人は、困難な出来事に出会っても「なんとかできる」と前向きな考え方ができ、ストレスとなってしまった出来事にうまく対処できるため、心身への悪影響につながらないのではないか、と考えられているようです。
ただし、今回の調査では、女性についてはこうした意識とリスクの関連はみられないようです。これは、もともと男性よりもストレスに強いことなどが関係している可能性があると考えられています。「ストレスに対する対処法」や「自覚されたストレスが心身に与える影響」が男女間で異なることもわかっており、男女差に関するメカニズムの解明が待たれます。
年内にも「母子加算」復活へ
◆生活保護の概要
新聞報道によると、政府は今年3月末に廃止された「生活保護」の母子加算を、年内にも復活させる方針を固めたそうです。
生活保護は、「生活扶助」、「教育扶助」、「住宅扶助」、「医療扶助」、「介護扶助」、「出産扶助」、「生業扶助」および「葬祭扶助」の8つで構成されており、世帯の状況に応じて必要な種類の扶助を組み合わせて支給することにより、健康で文化的な生活水準を維持するとしています。
保護の要否の判断は、厚生労働大臣が定める基準による最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用され、最低生活費から収入を差し引いた差額を保護費として支給するとされています。
◆生活保護の現状は?
2008年度の生活保護受給世帯は、1カ月平均114万8,766世帯で、前年度(110万5,275世帯)に比べ約3.9%増え、過去最多を更新したことが厚生労働省の社会福祉行政業務報告でわかりました。受給者数も159万2,620人と、前年度(154万3,321人)比で約3.2%増となっています。
◆母子加算復活の対象は全国で約10万世帯
母子加算は、18歳以下の子がいる生活保護受給世帯かつ一人親世帯に対して、保護費に最大約2万3,000円を上乗せする形で支給される仕組みでしたが、2005年から段階的に削減され、今年の3月で廃止されました。これに対して民主党などは「格差の固定化を招く」と批判してきました。
母子加算復活については法改正は必要なく、厚生労働大臣の告示により見直し可能となっています。母子加算復活の対象となるのは全国で約10万世帯にも上り、必要経費は年間180億円と試算されています。
2009年度中に必要な金額は60億円前後となる見込みで、財源としては2009年度予算の予備費などを充当する方向で、厚生労働省と財務省が調整を続けており、近々合意に達する見通しということです。
企業で導入が広がる「知的資産経営」
◆「知的資産経営」とは?
経営理念や人材、技能、ブランド、ノウハウといった、数字に表わしにくい無形資産を評価して経営に活かす「知的資産経営」を導入する企業が、中小企業を含め広がってきているようです。
「知的資産」とは、特許やノウハウなどの知的財産だけではなく、さらには組織力、人材、技術、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない、目に見えにくい経営資源の総称です。また、そのような会社の本当の価値や強み(知的資産)をしっかり把握し、活用することで、業績向上や会社の価値向上に結び付けることを「知的資産経営」と呼んでいます。
厳しい時代に企業が勝ち残っていくためには、差別化を図っていくことが必要です。差別化の手段は様々ありますが、「知的資産」を活用することにより、他社との差別化を図ることができるだけでなく、企業価値を高めることが可能となるのです。
◆「知的資産経営報告書」で自社価値をアピール
財務諸表を中心とした評価のみでは、企業の持つ価値がきちんと伝わっていないことがあります。企業の有する人材や技術、ノウハウなどの知的資産や、企業の優位性、取組みなどを「知的資産経営報告書」にまとめ、ステークホルダー(顧客、取引先、金融機関、従業員等)に開示することにより、企業の優れた部分や価値を知らせることができます。
また、報告書を作成することにより自社の内容・価値を正確に伝えることができ、経営方針や行動理念など、会社の向かう方向性を社員に示すことができるため、顧客や金融機関に配付するほか、人材募集や社員教育にも活用されるケースが増えているようです。
◆自治体なども支援
最近では、自治体を中心に報告書作成を支援する動きが広がりつつあります。例えば、近畿地方では、近畿経済産業局や大阪商工会議所、ひょうご産業活性化センターなどが中心となり、ホームページ上での報告書のモデル紹介、報告書を開示している企業一覧表の掲載、質問に答えることにより自社の知的資産経営を評価できるツールの公開、専門家の派遣やセミナーの開催を行っています。
京都府では、2008年度に「知恵の経営」と題して、知的資産経営の推進を全国の都道府県で初めて打ち出しました。推進役となる「知恵の経営」のナビゲーター育成を開始したり、報告書を作成した企業に年利1.9%の低利融資が受けられる制度を用意したりするなど、導入支援策を打ち出しています。
これまで見えない魅力であった無形資産を評価して経営に活かすことのできる「知的資産経営」の積極的な導入は、企業業績向上の一助となることでしょう。
◆対象者・事業所数がともに減少
厚生労働省が10月初めに、「休業等実施計画届」(雇用調整助成金等の申請時に事業所が提出する書類)の受理状況を発表しました。
それによれば、8月の対象者数は211万841人となり、7月の243万2,565人と比較して13.2%も減少しました。また、8月の対象事業所数は7万9,922カ所となり、7月の8万3,031カ所から3.7%減少しました。「雇用調整助成金」(中小企業の場合は「中小企業緊急雇用安定助成金」)の利用も、いくらか落ち着いてきたようです。
また、8月における「大量雇用変動届」(会社都合等により30人以上が離職した場合に提出する書類)の届出事業所数は284事業所(7月は251事業所)、離職者数は1万4,550人(7月は1万891人)となっており、こちらのほうは増加しています。
◆新政権による雇用対策
民主党を中心とする政権に変わり、政府は、鳩山首相を本部長とする「緊急雇用対策本部」を設置する方針を発表し、新たな雇用対策も明らかになっています。
政府は、今後、当面の雇用対策を盛り込んだ「緊急雇用創造プログラム」をまとめる方針を示しており、主な対策としては、「介護分野における雇用者数の拡充」、「公共事業削減に伴う建設・土木労働者の転職支援」、「生活保護の受給促進等の貧困層対策」などが挙げられています。
◆さらなる雇調金要件の緩和
また、助成金に関しては、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の支給要件を緩和する方針も示されています。支給の要件とされている「直近3カ月間の売上高の減少幅」について、現行よりも少ない幅で支給を認める考えです。
企業にとっては従来よりも使い勝手が良くなる改正だといえます。
◆今後の政策に注目
8月の完全失業率は「5.5%」と過去最悪の水準となりました。企業にとっても労働者にとっても、まだまだ景気は上向いてきたとはいえない状況です。今後、「6%に達するのでは」といった懸念もあります。
そのような状況にならないためにも、企業を支援する助成金の拡充を含め、どのような対策を政府が打ち出し、実行していくのか、注目したいところです。
政権交代で再び動き出した「派遣法改正」
◆抜本的な改正に向けて
労働者派遣法(以下、「派遣法」)の改正については、自民党政権時から様々な議論がなされてきました。
派遣法に基づく指針が改正され、「派遣切り」を行った企業に対して、残りの契約期間中の休業手当相当額の支払いを求める制度が創設されるなどしましたが、結局は労使の意見がまとまらず、抜本的な派遣法改正には至りませんでした。しかし、このたび民主党が政権を獲得したことにより、再び改正に向けた議論が始まりました。
◆民主党マニフェストの実現なるか
厚生労働省はこのほど、「労働政策審議会」(厚生労働大臣の諮問機関)の分科会を開催し、派遣法の改正に向けた政・労・使による議論をスタートさせました。
民主党・社民党・国民新党は、不安定な雇用をなくすことなどを目的として、「製造業派遣」「登録型派遣」「日雇い派遣」の原則禁止などを主張していますので、それらを実現しようという考えです。また、法律名を「労働者派遣法」から「派遣労働者保護法」に変更することも検討されています。
政府は、年内にも派遣法の改正案をまとめるとしていますが、経営側や派遣業界の反発は必至であり、すんなりと改正が行われるかは微妙な状況といえるでしょう。
◆「間接雇用」から「直接雇用」への動き
雇用形態に関して、最近、派遣労働者などの「間接雇用」を正社員・パート社員・アルバイト社員などの「直接雇用」にシフトする企業が増加傾向にあるようです。
求人広告の企画・発行を行っている企業のアンケート調査(999社が回答)によれば、派遣労働者を雇用している企業(147社)のうち約45%が、「1年前に比べて派遣労働者が減った」と回答しており、約3分の1の企業が「今後さらに派遣社員の比率を下げる予定」と回答しています。
今後の派遣法改正の動向にも注目しつつ、自社において「どのような雇用形態を中心として企業を運営していくべきか」を考えていかなければならない時期に来ていると言えるでしょう。
「新型インフルエンザ」と休業手当・有休等の関係
◆予断を許さない状況
新型インフルエンザについては、「これからピークを迎える」との見方もあり、まったく予断を許さない状況にあります。そんな中、厚生労働省が「新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合の労働基準法上の問題に関するQ&A」というものを、ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/20.html)で発表しました。
これは、新型インフルエンザに伴って労働者を休業させる場合における賃金の支払いの必要性の有無等について、同省の見解を示したものであり、大変参考になります。なお、この見解は平成21年9月時点の状況を基にしているいため、今後の状況に応じて変更される可能性があるとのことです。
◆5つの「Q&A」
上記ホームページでは、以下の5つの質問に対する見解が掲載されています。いずれのケースについても、場合分けをして「休業手当の支払いが必要なケース」「休業手当の支払いが不要なケース」等が示されています。上記ホームページをご確認ください。
(1)労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合は、会社は労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要があるか?
(2)労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(3)労働者が感染者と近くで仕事をしていたため休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(4)労働者の家族が感染したためその労働者を休業させる場合は、会社は休業手当を支払う必要があるか?
(5)新型インフルエンザに感染している疑いのある労働者について、一律に年次有給休暇を取得したこととする取扱いは、労働基準法上問題はないか? 病気休暇を取得したこととする場合はどうか?
◆万全の準備を!
「新型インフルエンザ」の流行は、企業の経営にとっては死活問題ともなり得ます。実際に多くの社員が感染してしまったような場合に備え、万全の準備を整えておくことが必要でしょう。
健康保険の財政悪化が深刻な状況
◆協会けんぽ、健康保険組合ともに赤字
健康保険を運営する各機関の財政状況が深刻化しているようです。「協会けんぽ」(旧政府管掌健康保険)では、2010年3月末決算で3,100億円の赤字になる見通しを発表しています。この赤字幅は、前年度に比べ約810億円も増える見込みで、3年連続で単年度赤字となります。
また、全国の健康保険組合(1,497組合)でも、2008年度の経常収支は合計3,060億円の赤字となっており、黒字を確保した組合は3割にとどまっています。このような状況は、2009年度には一段と悪化すると予測されています。
◆「景気後退」と「高齢化」が大きく影響
これらの状況は、景気の悪化により従業員の給与・賞与が減って保険料収入が減る一方、高齢化により保険給付費が膨らんでいることが要因となっています。
健康保険組合では、保険料を引き上げる組合が今後相次ぐと予想されますが、「協会けんぽ」の保険料を上回ると加入者にとっては加入しているメリットが薄れるため、解散する組合が増えていく可能性も指摘されています。
◆新政権と健康保険財政
一方、「協会けんぽ」では、現状で保険料引上げによる加入者の負担増を求めることは厳しいと判断し、協会けんぽを運営する全国健康保険協会は、長妻厚生労働大臣に国費の投入の増額を正式に要請したそうです。厚生労働大臣では、「協会けんぽ」の収入全体に占める国庫補助率を、2009年度の13%(約1兆円)から最大20%程度まで引き上げる方針であり、働き手の負担増の軽減を目指しています。
しかし、民主党は政権公約で病院の診療報酬引上げを掲げており、必要な医療費はさらに膨らむ可能性があるため、財政の厳しさは増すことが予想されます。保険料が引き上げられること、医療費が高くなることに不満をもつ前に、我々ができること、つまり、いかに健康を維持するかを考え、これ以上の負担増がないようにしたいものです。
非正規雇用者の約4割が「正社員並み」の仕事
◆年収「300万円以下」が約8割
厚生労働省が「非正規雇用者」と「事業所」を対象に、今年の7月に初めて実施したインターネットによる実態調査によると、派遣労働者・契約社員・パート社員など、いわゆる非正規雇用者の約4割が「正社員並みの仕事をしている」ことが明らかになりました。
その一方で、非正規雇用者の約8割は「年収300万円以下」と回答しており、企業が正社員の代替として、低賃金でこれらの労働者を利用していることがわかります。
事業所への調査では、非正規雇用者を雇う理由として、37.7%が「人件費を低く抑えるため」、38.9%が「業務量の変化に対応するため」と回答しています。
◆非正規雇用者の待遇の今後
民主党はマニフェストに、正規・非正規を問わず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得るべきとする「同一労働・同一賃金」の実現を掲げ、ワーキングプアや賃金格差の問題解消に取り組む構えです。
同党の政策に影響力をもつ日本労働組合総連合会(連合)でも、職務の違い(職務の難易度、仕事に対する負担、要求される知識や技能)、職務遂行能力の違い、業績の違いなど、合理的な理由がない限り、勤務時間や契約期間が短いことを理由として正規雇用者と非正規雇用者とで労働条件に差をつけることを禁じた「パート・有期契約労働法」(仮称)の早期制定を目指しています。
◆企業の負担増に直結
こうした状況から、非正規雇用者の待遇を引き上げる施策が講じられることは必至ですが、いまだ経済情勢が混沌としている中、労働条件の底上げは企業の負担増に直結するため、使用者側としては容易には受け入れられないものと思われます。今後いかなる施策が実施されていくのか、要注目です。
生活を楽しむ人は循環器病にかかりにくい
◆アクティブでポジティブな男性は良い結果
厚生労働省の研究班は、「自分は生活を楽しんでいる」と考える男性ほど、心筋梗塞などの循環器病になったり、循環器病が原因で死亡したりするリスクが低くなるとする調査結果を発表しました。この調査結果によると、こうした人はスポーツなどを行って健康的な生活を送っていることに加え、困難な出来事にも前向きに対処できるためにストレスを感じにくいなど、心理的な作用も影響していると考えられるそうです。
研究班によると、循環器疾患や癌疾患の既往歴のない全国の40~69歳の男女8万8,175人を対象として、約12年間の追跡調査を行ったところ、3,523人に循環器疾患の発症が確認されたそうです。
◆循環器病との関係は?
調査開始時点で「自分の生活を楽しんでいるか?」という問いに、高・中・低の3段階で答えてもらい、3グループに分けて循環器病リスクとの関連を調べたところ、男性では、生活を楽しんでいる意識が高いグループに比べ、中程度のグループの発症リスクは1.2倍、低いグループでは1.23倍でした。病気の種類別にみると、脳卒中では1.22倍、虚血性心疾患では1.28倍でした。
次に、循環器疾患による死亡との関係を調べたところ、追跡期間中に全体で1,860人の死亡が確認され、男性で楽しんでいる意識が高いグループと比べて低いグループのリスクは1.61倍も高く、脳卒中については1.75倍、虚血性心疾患については1.91倍高いという結果となりました。
◆男性と女性では異なる結果
生活を楽しんでいる意識の高いグループでは、運動習慣のある人の割合が高く、喫煙者の割合が低いなど、健康的な生活習慣を維持している人が多い傾向が見られました。心理的にポジティブな状態にある人は、困難な出来事に出会っても「なんとかできる」と前向きな考え方ができ、ストレスとなってしまった出来事にうまく対処できるため、心身への悪影響につながらないのではないか、と考えられているようです。
ただし、今回の調査では、女性についてはこうした意識とリスクの関連はみられないようです。これは、もともと男性よりもストレスに強いことなどが関係している可能性があると考えられています。「ストレスに対する対処法」や「自覚されたストレスが心身に与える影響」が男女間で異なることもわかっており、男女差に関するメカニズムの解明が待たれます。
年内にも「母子加算」復活へ
◆生活保護の概要
新聞報道によると、政府は今年3月末に廃止された「生活保護」の母子加算を、年内にも復活させる方針を固めたそうです。
生活保護は、「生活扶助」、「教育扶助」、「住宅扶助」、「医療扶助」、「介護扶助」、「出産扶助」、「生業扶助」および「葬祭扶助」の8つで構成されており、世帯の状況に応じて必要な種類の扶助を組み合わせて支給することにより、健康で文化的な生活水準を維持するとしています。
保護の要否の判断は、厚生労働大臣が定める基準による最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用され、最低生活費から収入を差し引いた差額を保護費として支給するとされています。
◆生活保護の現状は?
2008年度の生活保護受給世帯は、1カ月平均114万8,766世帯で、前年度(110万5,275世帯)に比べ約3.9%増え、過去最多を更新したことが厚生労働省の社会福祉行政業務報告でわかりました。受給者数も159万2,620人と、前年度(154万3,321人)比で約3.2%増となっています。
◆母子加算復活の対象は全国で約10万世帯
母子加算は、18歳以下の子がいる生活保護受給世帯かつ一人親世帯に対して、保護費に最大約2万3,000円を上乗せする形で支給される仕組みでしたが、2005年から段階的に削減され、今年の3月で廃止されました。これに対して民主党などは「格差の固定化を招く」と批判してきました。
母子加算復活については法改正は必要なく、厚生労働大臣の告示により見直し可能となっています。母子加算復活の対象となるのは全国で約10万世帯にも上り、必要経費は年間180億円と試算されています。
2009年度中に必要な金額は60億円前後となる見込みで、財源としては2009年度予算の予備費などを充当する方向で、厚生労働省と財務省が調整を続けており、近々合意に達する見通しということです。
企業で導入が広がる「知的資産経営」
◆「知的資産経営」とは?
経営理念や人材、技能、ブランド、ノウハウといった、数字に表わしにくい無形資産を評価して経営に活かす「知的資産経営」を導入する企業が、中小企業を含め広がってきているようです。
「知的資産」とは、特許やノウハウなどの知的財産だけではなく、さらには組織力、人材、技術、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない、目に見えにくい経営資源の総称です。また、そのような会社の本当の価値や強み(知的資産)をしっかり把握し、活用することで、業績向上や会社の価値向上に結び付けることを「知的資産経営」と呼んでいます。
厳しい時代に企業が勝ち残っていくためには、差別化を図っていくことが必要です。差別化の手段は様々ありますが、「知的資産」を活用することにより、他社との差別化を図ることができるだけでなく、企業価値を高めることが可能となるのです。
◆「知的資産経営報告書」で自社価値をアピール
財務諸表を中心とした評価のみでは、企業の持つ価値がきちんと伝わっていないことがあります。企業の有する人材や技術、ノウハウなどの知的資産や、企業の優位性、取組みなどを「知的資産経営報告書」にまとめ、ステークホルダー(顧客、取引先、金融機関、従業員等)に開示することにより、企業の優れた部分や価値を知らせることができます。
また、報告書を作成することにより自社の内容・価値を正確に伝えることができ、経営方針や行動理念など、会社の向かう方向性を社員に示すことができるため、顧客や金融機関に配付するほか、人材募集や社員教育にも活用されるケースが増えているようです。
◆自治体なども支援
最近では、自治体を中心に報告書作成を支援する動きが広がりつつあります。例えば、近畿地方では、近畿経済産業局や大阪商工会議所、ひょうご産業活性化センターなどが中心となり、ホームページ上での報告書のモデル紹介、報告書を開示している企業一覧表の掲載、質問に答えることにより自社の知的資産経営を評価できるツールの公開、専門家の派遣やセミナーの開催を行っています。
京都府では、2008年度に「知恵の経営」と題して、知的資産経営の推進を全国の都道府県で初めて打ち出しました。推進役となる「知恵の経営」のナビゲーター育成を開始したり、報告書を作成した企業に年利1.9%の低利融資が受けられる制度を用意したりするなど、導入支援策を打ち出しています。
これまで見えない魅力であった無形資産を評価して経営に活かすことのできる「知的資産経営」の積極的な導入は、企業業績向上の一助となることでしょう。
2009/09/30
10月の事務所便り
アルバイト・パート社員の「働く理由」「辞める理由」
◆どんな理由が多いのか?
大手人材総合サービス企業が、アルバイト・パートとして就業中の労働者(約3,000名)を対象に、「働く理由」・「辞める理由」に関する意識調査を実施し、その結果が発表されました。
◆働く理由…「趣味」「貯金」の減少が目立つ
「働く理由」については、「生活費を補いたかったので」(42.9%)が最も多く挙げられ、次いで「趣味に使うお金が欲しかったので」(36.1%)、「時間を有効に使いたかったので」(33.3%)と続いています。
昨年の結果と比較すると、主な理由が軒並みポイントを下げている中で、「生活費を補いたかったので」が0.7ポイントとわずかながら増加しています。また、昨年に比べて減少した項目の中では、「趣味に使うお金が欲しかったので」(9.1ポイント減)、「貯金を増やしたかったので」(4.8ポイント減)の減少が目立っています。
遊びのためや生活の余裕を得るためではなく、生活費を稼ぐ必要に迫られてアルバイト・パートを始めた人が増加していると考えられますが、アルバイト・パートであっても、よりはっきりとした目的意識をもって仕事に向き合う層が増えている結果とも考えられます。
◆辞める理由…「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が増加
一方、「辞める理由」については、「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が24.2%で最も多く挙げられており、次いで「給与が低いから」(16.2%)、「楽でない・疲れる仕事だから」(15.0%)と続きました。
昨年の結果と比較すると、最も多かった理由は「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」で変化はないものの、今年は5.8ポイントの大幅な増加となっています。
また、「給与が低いから」は昨年から4.1ポイント、「もっとよい条件の仕事が見つかったから」は3.9ポイント伸びています。
◆仕事の選択基準はよりシビアに
これらの結果から、パート・アルバイトの方が、生活費を補う傾向がより強くなっていると同時に、人間関係に加え、給与や条件面でよりシビアに仕事を選んでいる様子が見て取れます。
高年齢者を雇用する事業所の割合が増加
◆高年齢者雇用の実態は?
昨年9月に厚生労働省が実施した「高年齢者雇用実態調査」の結果が発表されました。この調査の目的は、高年齢者の雇用状況や、平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」の施行後の実態を把握することです。
◆全体的に増加している高年齢労働者の割合
まず、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は59.4%(平成16年の前回調査では50.5%)で、前回調査時に比べて8.9ポイント上昇し、企業規模が大きいほど割合が高くなっています。
事業所の全常用労働者に占める高年齢労働者の割合でも、60歳以上の労働者の割合は10.0%(同7.6%)で前回調査時に比べ2.4ポイント上昇しています。
産業別では、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は、製造業が81.1%と最も高く、次いで建設業が71.1%、運輸業が69.6%となっています。
◆定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇
定年制がある事業所の割合は73.5%(平成16年の前回調査では74.4%)、逆に定年制がない事業所の割合は26.5%(同25.6%)となっています。
事業所の規模別に定年制がある事業所の割合を見てみると、1,000人以上規模が99.8%と最も高く、5~29人規模が69.6%と最も低くなっています。また、前回調査時に比べ、定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇しています。
◆9割近くの企業が「継続雇用制度」を導入
一律に定年制を定めている事業所で定年年齢が60~64歳の事業所では、「継続雇用制度」がある割合は89.1%で、このうち「勤務延長制度」があるのは27.3%、「再雇用制度」があるのは83.5%となっています。
また、「勤務延長制度」がある事業所のうち、「勤務延長制度」のみがある事業所の割合は16.5%、「再雇用制度」がある事業所のうち、「再雇用制度」のみがある事業所割合は72.7%となっています。
平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」による段階的な65歳までの定年年齢の引上げや、継続雇用制度の導入義務付けが浸透し、ベテラン社員の経験・能力を有効活用する企業が増えている実態がうかがえます。
「育児休業制度」「短時間勤務制度」の運用状況
◆厚生労働省の調査結果から
厚生労働省から、2008年度の「雇用均等基本調査」の結果が発表されました。
この調査は、男女の雇用均等問題に関する雇用管理の実態を把握することを目的に毎年実施されていますが、2008年度は、育児・介護休業制度や子の看護休暇制度の運用状況等についての調査でした。
◆事業所規模・男女による差が大きい制度導入割合
この調査によれば、「育児休業制度」に関する規定がある事業所の割合は66.4%で、2005年度の調査に比べて4.8ポイント上昇しています。規定がある事業所の割合については、企業規模による差が大きく、事業所規模が5人以上の場合は66.4%であるのに対して、30人以上の場合では88.8%となっています。
2008年3月末までの1年間に本人または配偶者が出産した人のうち、同年10月1日までに育児休業を開始した人の割合は、女性では昨年より0.9ポイント上昇して90.6%になり、初めて9割を超えたのに対し、男性は昨年より0.33ポイント低下して1.23%となり、0~1%台で低迷が続いています。
女性の取得が広がっている中、仕事への影響や復帰後の不安などから、男性の取得が進んでいない現状が浮かび上がっています。
◆女性「10~12カ月未満」、男性「1カ月未満」が最多
育児休業の取得期間については、女性では「10~12カ月未満」(32.0%)が最も多く、次いで「12~18カ月未満」(16.9%)となっており、5割近くが10カ月以上となっています。
一方、男性では「1カ月未満」(54.1%)が最も多く、5割超が短期間で復職している状況です。
育児休業取得者があった際の雇用管理としては、「代替要員の補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」(45.9%)が最も多く、次いで「派遣労働者やアルバイトなどを代替要員として雇用した」(35.7%)、「事業内の他の部門または他の事業所から人員を異動させた」(21.7%)と続いています。
◆「短時間勤務制度」の活用も広がる
その他、育児のための「短時間勤務制度」を導入している事業所の割合は38.9%と、2005年度に比べて7.5ポイント上昇しました。
利用可能期間についても、小学校就学時以降まで「短時間勤務制度」を活用できる事業所は15.0%となり、6ポイント上昇しています。
若年層に対する重点雇用対策の最終案
◆政府プロジェクトチームによる最終案
政府が7月に立ち上げた「若年雇用対策プロジェクトチーム」による重点雇用対策の最終案が明らかになりました。この対策には、企業の採用抑制により学校を卒業しても未就職である若者を雇った事業主に対して助成する新制度の創設など、約20項目が挙げられています。
その主なものは以下の通りです。
◆重点雇用対策の主な内容
(1)若年雇用対策の総合的推進(内閣府)
…国・地域において「若者雇用推進会議(仮称)」を開催するとともに、若年雇用に関し、「将来雇用見通し・若者雇用推進アクションプラン」の策定等を行うための基礎調査(採用側の企業や学生等へのアンケート調査等)等を実施する。
(2)民間機関のノウハウ活用、専門人材育成等によるキャリア教育プログラムの効果的推進による若者の職業への円滑な移行支援(厚生労働省)
…中学、高校生等を対象に、キャリア・コンサルティング等の専門性を活かし、キャリア教育の企画・運用を担う専門人材の養成や、キャリア教育を推進する民間サポート機関の育成・活用等に、関係行政機関等が連携して取り組む。
(3)未就職卒業者早期就職プロジェクト(厚生労働省)
…若者の応募機会の拡大に向けた企業の取組みを促進するとともに、未就職卒業者が応募可能な求人の開拓、事業主への助成措置等を行う「未就職卒業者早期就職プロジェクト」を新たに実施する。
(4)ジョブ・カード制度の一層の展開(厚生労働省)
…ジョブ・カード制度の一環として、新たに、キャリア形成の過程をモデル化したキャリアマップの作成、各種検定の整備、モデル評価シートの多様化等の産業分野ごとの展開に向けた基盤整備を行い、職業訓練に活用する。
◆実施については不透明な部分も
これらの対策は、各省庁が2010年度の概算要求に盛り込み、予算要求の規模は合計で約374億円です。
ただ、先の総選挙により政権が交代し、一部予算の見直しも検討されていることから、実施にはまだまだ不透明な部分もありそうです。
「ジョブ・カード」取得者が10万人を突破
◆「職業能力」「職業意識」が整理できるジョブ・カード
職業経験が少ない人の就職を支援するため、厚生労働省が2008年4月から始めた「ジョブ・カード制度」ですが、カードの取得者が今年6月末で累計10万人を超えたことがわかりました。
◆「ジョブ・カード」のねらい
ジョブ・カード制度は、企業現場でのOJT(実習)、教育訓練機関等でのOFF-JT(座学等)による職業訓練を通じて、フリーターや子育て終了後の女性など、職業経験の少ない人の能力を高め、就職を支援することをねらいとしてスタートしました。
ジョブ・カードの発行希望者は、企業現場・教育訓練機関等で実践的な職業訓練を受け、その評価結果である評価シート等を取得し、これを自らの職歴・教育訓練歴、取得資格などの情報とともに「ジョブ・カード」としてとりまとめます。
ジョブ・カードを作成することにより、自分の職業能力・意識を整理することができるだけでなく、作成したジョブ・カードは、常用雇用を目指した就職活動や職業キャリア形成に幅広く活用することができるとされています。
◆制度自体の認知度は依然低い
ただ、制度の導入からまもなく1年半が経過しますが、制度自体の認知度がまだまだ低く、そのメリットが広く知られていないため、当初の目標である「5年間で100万人」のジョブ・カード取得者数には現状では厳しい状況です。
そこで、ジョブ・カード制度を広く普及させるための具体策として、国・産業界・労働界・教育界等で構成される「ジョブ・カード推進協議会」において、「全国推進基本計画」が定められています。
内容は、「ジョブ・カード制度」の周知および広報、職業能力形成プログラムおよび実践型教育プログラムの普及、受講者等の就職促進、ジョブ・カード様式の普及、キャリア・コンサルタントの養成です。
ジョブ・カード制度の趣旨や目的が一般にわかりやすい形で周知され、この制度の対象者となる求職者および受入れ企業が円滑に利用できるようになるには、さらなる対策が必要でしょう。
出産育児一時金が38万円から42万円に増額
◆平成22年3月までの暫定措置
緊急の少子化対策として、出産育児一時金が見直されます(平成21年10月から平成22年3月までの暫定措置)。
具体的には、平成21年10月1日以降に出産される方から、出産育児一時金の支給額および支給方法が以下のように変わります。
◆支給額と支給方法
支給額は、原則38万円を4万円引き上げ、42万円となります(産科医療補償制度に加入する病院などにおいて出産した場合に限る。それ以外の場合は35万円から4万円引き上げた39万円)。
支給方法は、これまで直接支払制度が実施されなかった出産費用に出産育児一時金を充てることができるよう、原則として医療保険者から出産育児一時金が病院などに直接支払われる仕組みです。したがって、今後は原則42万円の範囲内で、まとまった出産費用を事前に用意しなくても良くなります。
ただし、出産育児一時金が42万円を超えて支給される場合であっても、42万円までが直接支払制度の対象ですので、42万円を超える部分は加入の医療保険者に直接請求することになります。
出産育児一時金が医療保険者から病院などに直接支払われることを望まない場合は、出産後に医療保険者から受け取る従来の方法を利用することも可能です(ただし、出産費用を退院時に病院などにいったん自分で支払う必要がある)。
◆医療機関への対策
一方、医療機関にとっては、制度の見直しにより分娩費用としての一時金が支払われるのが、今までの場合に比べて1~2カ月遅れることになります。そこで、一時的な資金不足対策として、独立行政法人福祉医療機構から運転資金の融資を受ける制度が設けられました。
経済的な不安を解消し、安心して出産できる今回の制度改正は、暫定措置としてではなく、恒久的な制度としての実施が望まれます。
どうなる?「街角の年金相談センター」構想
◆構想が大きく揺らいでいる!
平成22年1月から予定されている「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行に伴って、社会保険庁の「年金相談センター」の業務は「街角の年金相談センター」に引き継がれることとなっていました。しかし、今この構想が大きく揺らいでいます。
◆「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」へ?
「年金相談センター」は、社会保険事務所の年金相談窓口の混雑を緩和するために、全国の都市(27都道府県51カ所)に置かれているものであり、来訪相談についての相談を承る窓口です。開庁日は月曜日から金曜日(国民の休日・年末年始の休日を除く)、開庁時間は午前8時30分から午後5時15分です。
この「年金相談センター」が運営している業務については、「日本年金機構」の設立に伴い、全国社会保険労務士会連合会が受託することになりました。これにより「年金相談センター」の配置換えを行い、すべての都道府県に「街角の年金相談センター」を開設し、社会保険労務士による年金の「対面相談」を実施する予定となっていました。
しかし、先の衆議院議員総選挙の結果により「街角の年金相談センター」構想にも「待った」がかかってしまったのです。
◆総選挙の結果が大きく影響
ご承知の通り、総選挙の結果、民主党による政権交代が実現しましたが、同党はその公約で、社会保険庁と国税庁を統合して新たに「歳入庁」をつくることを掲げています。
この公約実現の一歩として、「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行が凍結される公算が大きいようであり、「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」への移行についてもストップがかかるのでは、という報道がなされています。
先行きは不透明であり、今後の動向に注目しなければなりませんが、いずれにしましても、国民にとっては「年金記録問題の全面的な解決」、「新たな年金相談体制の整備」が望まれるところです。
9月分から始まった都道府県別の健康保険料率
◆9月分の保険料から
「政府管掌健康保険」が「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)に移行されてからまもなく1年が経ちます。協会けんぽ設立に伴い決定されていたのが「都道府県別の健康保険料率の設定」です。
今年3月末にこの料率が決定され、9月分の保険料から実施(一般被保険者については10月納付分から、任意継続被保険者については9月納付分から)されていますので、給与計算の担当者などは特に注意が必要です。
◆「都道府県別の健康保険料率」実施の目的
なぜ「都道府県別の健康保険料率」が実施されたのか,協会けんぽのホームページには以下のように記されています。
「従来の全国一律の保険料率のもとでは疾病の予防等の地域の取組により医療費が低くなっても、その地域の保険料率に反映されないという問題点が指摘されていました。こうした中で、先般の医療制度改革においては、政府管掌健康保険について、国保や長寿医療制度と同様に、都道府県単位の財政運営を基本とする改革が行われており、都道府県毎の保険料率は、こうした改革の一環として導入されたものです。」
◆都道府県別の保険料率
全国47都道府県別の保険料率は次の通りですので、ご確認ください。
・8.26%(北海道)
・8.25%(佐賀県)
・8.24%(徳島県、福岡県)
・8.23%(香川県、熊本県、大分県)
・8.22%(大阪府、岡山県、広島県、山口県、長崎県、鹿児島県)
・8.21%(青森県、秋田県、石川県、奈良県、和歌山県、島根県、高知県)
・8.20%(福島県、福井県、兵庫県、鳥取県、宮崎県、沖縄県)
・8.19%(宮城県、神奈川県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、愛媛県)
・8.18%(岩手県、山形県、茨城県、栃木県、東京都、新潟県、滋賀県)
・8.17%(群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県、静岡県)
・8.15%(長野県)
「債権法改定」で契約ルールが大きく変わる?
◆「契約」に関するルールの大幅な見直し
法務省は、現在、市民生活・企業活動における様々な「契約」に関すルールを改めるため、「債権法」(民法の債権に関する規定)を全面的に見直す方針を示しています。
「債権法」の全面改正が行われるのは、1898年(明治31年)の施行以来始めてのこととなります。
◆「民法」の歴史
民法は、1890年に公布されたものの施行されることなく終わった「旧民法」の修正法として、「財産法」(総則、物権、債権)に関する部分は1896年に、「家族法」(親族、相続)に関する部分は1898年に公布され、いずれも1898年に施行されたという長い歴史を持っています。
「家族法」に関する部分については1947年(昭和22年)に一度全面的な見直しが行われましたが、「財産法」に関する部分については、これまでに数々の重要な改正が行われてきたものの、全面的な見直しが行われることはありませんでした。
◆なぜ今見直しなのか?
今回、「債権法」の見直しが検討されている背景には、1世紀以上も前の社会経済活動を前提とした契約ルールを点検し直し、今の時代に合ったように、企業活動や商取引、消費者に関わるルールを見直す必要が出てきているということがあります。
現在の民法が制定された当時には想定されていなかった契約の形式が出てきたため、法律の条文解釈だけでは解決しきれないトラブルが生じてきているとうことも挙げられます。
例えば、語学学校の授業などを中途で解約した場合の初めに払い込んだ費用返還に関するトラブル、企業の合併・買収交渉の途中での交渉破棄をめぐるトラブルなどです。
◆今後の行方
現在、学者などが参加している「民法(債権法)改正検討委員会」による「改正試案」が発表され、これらが法改正のベースとなっていくものと思われます。
法務省は、早ければ2012年の通常国会に改正案を提出したいとしており、実際に改正が行われるのはまだ先の話でしょうが、「契約」が業務のベースとなっている企業にとっても注目しておくべき法改正だと言えるでしょう。
新型インフルエンザに対する企業の取組み
◆再び猛威をふるう新型インフル
新型インフルエンザの猛威はとどまることを知らず、世界保健機関(WHO)の発表によれば、9月6日時点における新型インフルエンザの影響とされる死亡者数は世界で3,200名を突破したそうです。日本でも8月中旬に新型インフルエンザの影響による初の死亡者が確認されました。
薬局の店頭からマスクがなくなってしまうなどの現象も再び起きつつあるようです。
◆企業における取組みは?
東京経営者協会では、8月下旬に「新型インフルエンザ対策の取組み状況に関するアンケート調査結果」(東京都内の会員企業が対象。1,210社のうち237社が回答)を発表しました。企業が事前にとった対策としては、「備蓄品の調達」(72.3%)、「社員の意識啓発」(64.5%)、「対応体制・意思決定プロセスの構築」(50.0%)、「対応マニュアル・行動計画の策定」(47.7%)が上位を占めました(複数回答)。
また、三井住友海上火災保険が行ったアンケート調査(上場企業が対象。3,807社のうち722社が回答)によれば、社内で新型インフルエンザ感染が拡大したときに対応するための「事業継続計画」を策定している上場企業は38.1%であり、新型インフルエンザ対策について「実行中」「対応を策定中」「策定予定」のいずれかと回答した企業はあわせて90.6%でした。
◆企業としては何をすべきか?
その他、企業としては、感染した社員や感染の疑いのある社員にどのタイミングで「自宅待機命令」を出すのか、社員の家族の感染が発覚した場合はどうするのか、社員を自宅待機させた場合の「賃金」や「休業手当」はどうするのかについても考えておかなければなりません。
企業のリスクマネジメントとして、規程の策定なども含め、いざという時に備えて対策を考えておくべきでしょう。
◆どんな理由が多いのか?
大手人材総合サービス企業が、アルバイト・パートとして就業中の労働者(約3,000名)を対象に、「働く理由」・「辞める理由」に関する意識調査を実施し、その結果が発表されました。
◆働く理由…「趣味」「貯金」の減少が目立つ
「働く理由」については、「生活費を補いたかったので」(42.9%)が最も多く挙げられ、次いで「趣味に使うお金が欲しかったので」(36.1%)、「時間を有効に使いたかったので」(33.3%)と続いています。
昨年の結果と比較すると、主な理由が軒並みポイントを下げている中で、「生活費を補いたかったので」が0.7ポイントとわずかながら増加しています。また、昨年に比べて減少した項目の中では、「趣味に使うお金が欲しかったので」(9.1ポイント減)、「貯金を増やしたかったので」(4.8ポイント減)の減少が目立っています。
遊びのためや生活の余裕を得るためではなく、生活費を稼ぐ必要に迫られてアルバイト・パートを始めた人が増加していると考えられますが、アルバイト・パートであっても、よりはっきりとした目的意識をもって仕事に向き合う層が増えている結果とも考えられます。
◆辞める理由…「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が増加
一方、「辞める理由」については、「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が24.2%で最も多く挙げられており、次いで「給与が低いから」(16.2%)、「楽でない・疲れる仕事だから」(15.0%)と続きました。
昨年の結果と比較すると、最も多かった理由は「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」で変化はないものの、今年は5.8ポイントの大幅な増加となっています。
また、「給与が低いから」は昨年から4.1ポイント、「もっとよい条件の仕事が見つかったから」は3.9ポイント伸びています。
◆仕事の選択基準はよりシビアに
これらの結果から、パート・アルバイトの方が、生活費を補う傾向がより強くなっていると同時に、人間関係に加え、給与や条件面でよりシビアに仕事を選んでいる様子が見て取れます。
高年齢者を雇用する事業所の割合が増加
◆高年齢者雇用の実態は?
昨年9月に厚生労働省が実施した「高年齢者雇用実態調査」の結果が発表されました。この調査の目的は、高年齢者の雇用状況や、平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」の施行後の実態を把握することです。
◆全体的に増加している高年齢労働者の割合
まず、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は59.4%(平成16年の前回調査では50.5%)で、前回調査時に比べて8.9ポイント上昇し、企業規模が大きいほど割合が高くなっています。
事業所の全常用労働者に占める高年齢労働者の割合でも、60歳以上の労働者の割合は10.0%(同7.6%)で前回調査時に比べ2.4ポイント上昇しています。
産業別では、60歳以上の労働者を雇用している事業所の割合は、製造業が81.1%と最も高く、次いで建設業が71.1%、運輸業が69.6%となっています。
◆定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇
定年制がある事業所の割合は73.5%(平成16年の前回調査では74.4%)、逆に定年制がない事業所の割合は26.5%(同25.6%)となっています。
事業所の規模別に定年制がある事業所の割合を見てみると、1,000人以上規模が99.8%と最も高く、5~29人規模が69.6%と最も低くなっています。また、前回調査時に比べ、定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇しています。
◆9割近くの企業が「継続雇用制度」を導入
一律に定年制を定めている事業所で定年年齢が60~64歳の事業所では、「継続雇用制度」がある割合は89.1%で、このうち「勤務延長制度」があるのは27.3%、「再雇用制度」があるのは83.5%となっています。
また、「勤務延長制度」がある事業所のうち、「勤務延長制度」のみがある事業所の割合は16.5%、「再雇用制度」がある事業所のうち、「再雇用制度」のみがある事業所割合は72.7%となっています。
平成18年に改正された「高年齢者雇用安定法」による段階的な65歳までの定年年齢の引上げや、継続雇用制度の導入義務付けが浸透し、ベテラン社員の経験・能力を有効活用する企業が増えている実態がうかがえます。
「育児休業制度」「短時間勤務制度」の運用状況
◆厚生労働省の調査結果から
厚生労働省から、2008年度の「雇用均等基本調査」の結果が発表されました。
この調査は、男女の雇用均等問題に関する雇用管理の実態を把握することを目的に毎年実施されていますが、2008年度は、育児・介護休業制度や子の看護休暇制度の運用状況等についての調査でした。
◆事業所規模・男女による差が大きい制度導入割合
この調査によれば、「育児休業制度」に関する規定がある事業所の割合は66.4%で、2005年度の調査に比べて4.8ポイント上昇しています。規定がある事業所の割合については、企業規模による差が大きく、事業所規模が5人以上の場合は66.4%であるのに対して、30人以上の場合では88.8%となっています。
2008年3月末までの1年間に本人または配偶者が出産した人のうち、同年10月1日までに育児休業を開始した人の割合は、女性では昨年より0.9ポイント上昇して90.6%になり、初めて9割を超えたのに対し、男性は昨年より0.33ポイント低下して1.23%となり、0~1%台で低迷が続いています。
女性の取得が広がっている中、仕事への影響や復帰後の不安などから、男性の取得が進んでいない現状が浮かび上がっています。
◆女性「10~12カ月未満」、男性「1カ月未満」が最多
育児休業の取得期間については、女性では「10~12カ月未満」(32.0%)が最も多く、次いで「12~18カ月未満」(16.9%)となっており、5割近くが10カ月以上となっています。
一方、男性では「1カ月未満」(54.1%)が最も多く、5割超が短期間で復職している状況です。
育児休業取得者があった際の雇用管理としては、「代替要員の補充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」(45.9%)が最も多く、次いで「派遣労働者やアルバイトなどを代替要員として雇用した」(35.7%)、「事業内の他の部門または他の事業所から人員を異動させた」(21.7%)と続いています。
◆「短時間勤務制度」の活用も広がる
その他、育児のための「短時間勤務制度」を導入している事業所の割合は38.9%と、2005年度に比べて7.5ポイント上昇しました。
利用可能期間についても、小学校就学時以降まで「短時間勤務制度」を活用できる事業所は15.0%となり、6ポイント上昇しています。
若年層に対する重点雇用対策の最終案
◆政府プロジェクトチームによる最終案
政府が7月に立ち上げた「若年雇用対策プロジェクトチーム」による重点雇用対策の最終案が明らかになりました。この対策には、企業の採用抑制により学校を卒業しても未就職である若者を雇った事業主に対して助成する新制度の創設など、約20項目が挙げられています。
その主なものは以下の通りです。
◆重点雇用対策の主な内容
(1)若年雇用対策の総合的推進(内閣府)
…国・地域において「若者雇用推進会議(仮称)」を開催するとともに、若年雇用に関し、「将来雇用見通し・若者雇用推進アクションプラン」の策定等を行うための基礎調査(採用側の企業や学生等へのアンケート調査等)等を実施する。
(2)民間機関のノウハウ活用、専門人材育成等によるキャリア教育プログラムの効果的推進による若者の職業への円滑な移行支援(厚生労働省)
…中学、高校生等を対象に、キャリア・コンサルティング等の専門性を活かし、キャリア教育の企画・運用を担う専門人材の養成や、キャリア教育を推進する民間サポート機関の育成・活用等に、関係行政機関等が連携して取り組む。
(3)未就職卒業者早期就職プロジェクト(厚生労働省)
…若者の応募機会の拡大に向けた企業の取組みを促進するとともに、未就職卒業者が応募可能な求人の開拓、事業主への助成措置等を行う「未就職卒業者早期就職プロジェクト」を新たに実施する。
(4)ジョブ・カード制度の一層の展開(厚生労働省)
…ジョブ・カード制度の一環として、新たに、キャリア形成の過程をモデル化したキャリアマップの作成、各種検定の整備、モデル評価シートの多様化等の産業分野ごとの展開に向けた基盤整備を行い、職業訓練に活用する。
◆実施については不透明な部分も
これらの対策は、各省庁が2010年度の概算要求に盛り込み、予算要求の規模は合計で約374億円です。
ただ、先の総選挙により政権が交代し、一部予算の見直しも検討されていることから、実施にはまだまだ不透明な部分もありそうです。
「ジョブ・カード」取得者が10万人を突破
◆「職業能力」「職業意識」が整理できるジョブ・カード
職業経験が少ない人の就職を支援するため、厚生労働省が2008年4月から始めた「ジョブ・カード制度」ですが、カードの取得者が今年6月末で累計10万人を超えたことがわかりました。
◆「ジョブ・カード」のねらい
ジョブ・カード制度は、企業現場でのOJT(実習)、教育訓練機関等でのOFF-JT(座学等)による職業訓練を通じて、フリーターや子育て終了後の女性など、職業経験の少ない人の能力を高め、就職を支援することをねらいとしてスタートしました。
ジョブ・カードの発行希望者は、企業現場・教育訓練機関等で実践的な職業訓練を受け、その評価結果である評価シート等を取得し、これを自らの職歴・教育訓練歴、取得資格などの情報とともに「ジョブ・カード」としてとりまとめます。
ジョブ・カードを作成することにより、自分の職業能力・意識を整理することができるだけでなく、作成したジョブ・カードは、常用雇用を目指した就職活動や職業キャリア形成に幅広く活用することができるとされています。
◆制度自体の認知度は依然低い
ただ、制度の導入からまもなく1年半が経過しますが、制度自体の認知度がまだまだ低く、そのメリットが広く知られていないため、当初の目標である「5年間で100万人」のジョブ・カード取得者数には現状では厳しい状況です。
そこで、ジョブ・カード制度を広く普及させるための具体策として、国・産業界・労働界・教育界等で構成される「ジョブ・カード推進協議会」において、「全国推進基本計画」が定められています。
内容は、「ジョブ・カード制度」の周知および広報、職業能力形成プログラムおよび実践型教育プログラムの普及、受講者等の就職促進、ジョブ・カード様式の普及、キャリア・コンサルタントの養成です。
ジョブ・カード制度の趣旨や目的が一般にわかりやすい形で周知され、この制度の対象者となる求職者および受入れ企業が円滑に利用できるようになるには、さらなる対策が必要でしょう。
出産育児一時金が38万円から42万円に増額
◆平成22年3月までの暫定措置
緊急の少子化対策として、出産育児一時金が見直されます(平成21年10月から平成22年3月までの暫定措置)。
具体的には、平成21年10月1日以降に出産される方から、出産育児一時金の支給額および支給方法が以下のように変わります。
◆支給額と支給方法
支給額は、原則38万円を4万円引き上げ、42万円となります(産科医療補償制度に加入する病院などにおいて出産した場合に限る。それ以外の場合は35万円から4万円引き上げた39万円)。
支給方法は、これまで直接支払制度が実施されなかった出産費用に出産育児一時金を充てることができるよう、原則として医療保険者から出産育児一時金が病院などに直接支払われる仕組みです。したがって、今後は原則42万円の範囲内で、まとまった出産費用を事前に用意しなくても良くなります。
ただし、出産育児一時金が42万円を超えて支給される場合であっても、42万円までが直接支払制度の対象ですので、42万円を超える部分は加入の医療保険者に直接請求することになります。
出産育児一時金が医療保険者から病院などに直接支払われることを望まない場合は、出産後に医療保険者から受け取る従来の方法を利用することも可能です(ただし、出産費用を退院時に病院などにいったん自分で支払う必要がある)。
◆医療機関への対策
一方、医療機関にとっては、制度の見直しにより分娩費用としての一時金が支払われるのが、今までの場合に比べて1~2カ月遅れることになります。そこで、一時的な資金不足対策として、独立行政法人福祉医療機構から運転資金の融資を受ける制度が設けられました。
経済的な不安を解消し、安心して出産できる今回の制度改正は、暫定措置としてではなく、恒久的な制度としての実施が望まれます。
どうなる?「街角の年金相談センター」構想
◆構想が大きく揺らいでいる!
平成22年1月から予定されている「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行に伴って、社会保険庁の「年金相談センター」の業務は「街角の年金相談センター」に引き継がれることとなっていました。しかし、今この構想が大きく揺らいでいます。
◆「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」へ?
「年金相談センター」は、社会保険事務所の年金相談窓口の混雑を緩和するために、全国の都市(27都道府県51カ所)に置かれているものであり、来訪相談についての相談を承る窓口です。開庁日は月曜日から金曜日(国民の休日・年末年始の休日を除く)、開庁時間は午前8時30分から午後5時15分です。
この「年金相談センター」が運営している業務については、「日本年金機構」の設立に伴い、全国社会保険労務士会連合会が受託することになりました。これにより「年金相談センター」の配置換えを行い、すべての都道府県に「街角の年金相談センター」を開設し、社会保険労務士による年金の「対面相談」を実施する予定となっていました。
しかし、先の衆議院議員総選挙の結果により「街角の年金相談センター」構想にも「待った」がかかってしまったのです。
◆総選挙の結果が大きく影響
ご承知の通り、総選挙の結果、民主党による政権交代が実現しましたが、同党はその公約で、社会保険庁と国税庁を統合して新たに「歳入庁」をつくることを掲げています。
この公約実現の一歩として、「社会保険庁」から「日本年金機構」への移行が凍結される公算が大きいようであり、「年金相談センター」から「街角の年金相談センター」への移行についてもストップがかかるのでは、という報道がなされています。
先行きは不透明であり、今後の動向に注目しなければなりませんが、いずれにしましても、国民にとっては「年金記録問題の全面的な解決」、「新たな年金相談体制の整備」が望まれるところです。
9月分から始まった都道府県別の健康保険料率
◆9月分の保険料から
「政府管掌健康保険」が「全国健康保険協会」(通称:協会けんぽ)に移行されてからまもなく1年が経ちます。協会けんぽ設立に伴い決定されていたのが「都道府県別の健康保険料率の設定」です。
今年3月末にこの料率が決定され、9月分の保険料から実施(一般被保険者については10月納付分から、任意継続被保険者については9月納付分から)されていますので、給与計算の担当者などは特に注意が必要です。
◆「都道府県別の健康保険料率」実施の目的
なぜ「都道府県別の健康保険料率」が実施されたのか,協会けんぽのホームページには以下のように記されています。
「従来の全国一律の保険料率のもとでは疾病の予防等の地域の取組により医療費が低くなっても、その地域の保険料率に反映されないという問題点が指摘されていました。こうした中で、先般の医療制度改革においては、政府管掌健康保険について、国保や長寿医療制度と同様に、都道府県単位の財政運営を基本とする改革が行われており、都道府県毎の保険料率は、こうした改革の一環として導入されたものです。」
◆都道府県別の保険料率
全国47都道府県別の保険料率は次の通りですので、ご確認ください。
・8.26%(北海道)
・8.25%(佐賀県)
・8.24%(徳島県、福岡県)
・8.23%(香川県、熊本県、大分県)
・8.22%(大阪府、岡山県、広島県、山口県、長崎県、鹿児島県)
・8.21%(青森県、秋田県、石川県、奈良県、和歌山県、島根県、高知県)
・8.20%(福島県、福井県、兵庫県、鳥取県、宮崎県、沖縄県)
・8.19%(宮城県、神奈川県、富山県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、愛媛県)
・8.18%(岩手県、山形県、茨城県、栃木県、東京都、新潟県、滋賀県)
・8.17%(群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県、静岡県)
・8.15%(長野県)
「債権法改定」で契約ルールが大きく変わる?
◆「契約」に関するルールの大幅な見直し
法務省は、現在、市民生活・企業活動における様々な「契約」に関すルールを改めるため、「債権法」(民法の債権に関する規定)を全面的に見直す方針を示しています。
「債権法」の全面改正が行われるのは、1898年(明治31年)の施行以来始めてのこととなります。
◆「民法」の歴史
民法は、1890年に公布されたものの施行されることなく終わった「旧民法」の修正法として、「財産法」(総則、物権、債権)に関する部分は1896年に、「家族法」(親族、相続)に関する部分は1898年に公布され、いずれも1898年に施行されたという長い歴史を持っています。
「家族法」に関する部分については1947年(昭和22年)に一度全面的な見直しが行われましたが、「財産法」に関する部分については、これまでに数々の重要な改正が行われてきたものの、全面的な見直しが行われることはありませんでした。
◆なぜ今見直しなのか?
今回、「債権法」の見直しが検討されている背景には、1世紀以上も前の社会経済活動を前提とした契約ルールを点検し直し、今の時代に合ったように、企業活動や商取引、消費者に関わるルールを見直す必要が出てきているということがあります。
現在の民法が制定された当時には想定されていなかった契約の形式が出てきたため、法律の条文解釈だけでは解決しきれないトラブルが生じてきているとうことも挙げられます。
例えば、語学学校の授業などを中途で解約した場合の初めに払い込んだ費用返還に関するトラブル、企業の合併・買収交渉の途中での交渉破棄をめぐるトラブルなどです。
◆今後の行方
現在、学者などが参加している「民法(債権法)改正検討委員会」による「改正試案」が発表され、これらが法改正のベースとなっていくものと思われます。
法務省は、早ければ2012年の通常国会に改正案を提出したいとしており、実際に改正が行われるのはまだ先の話でしょうが、「契約」が業務のベースとなっている企業にとっても注目しておくべき法改正だと言えるでしょう。
新型インフルエンザに対する企業の取組み
◆再び猛威をふるう新型インフル
新型インフルエンザの猛威はとどまることを知らず、世界保健機関(WHO)の発表によれば、9月6日時点における新型インフルエンザの影響とされる死亡者数は世界で3,200名を突破したそうです。日本でも8月中旬に新型インフルエンザの影響による初の死亡者が確認されました。
薬局の店頭からマスクがなくなってしまうなどの現象も再び起きつつあるようです。
◆企業における取組みは?
東京経営者協会では、8月下旬に「新型インフルエンザ対策の取組み状況に関するアンケート調査結果」(東京都内の会員企業が対象。1,210社のうち237社が回答)を発表しました。企業が事前にとった対策としては、「備蓄品の調達」(72.3%)、「社員の意識啓発」(64.5%)、「対応体制・意思決定プロセスの構築」(50.0%)、「対応マニュアル・行動計画の策定」(47.7%)が上位を占めました(複数回答)。
また、三井住友海上火災保険が行ったアンケート調査(上場企業が対象。3,807社のうち722社が回答)によれば、社内で新型インフルエンザ感染が拡大したときに対応するための「事業継続計画」を策定している上場企業は38.1%であり、新型インフルエンザ対策について「実行中」「対応を策定中」「策定予定」のいずれかと回答した企業はあわせて90.6%でした。
◆企業としては何をすべきか?
その他、企業としては、感染した社員や感染の疑いのある社員にどのタイミングで「自宅待機命令」を出すのか、社員の家族の感染が発覚した場合はどうするのか、社員を自宅待機させた場合の「賃金」や「休業手当」はどうするのかについても考えておかなければなりません。
企業のリスクマネジメントとして、規程の策定なども含め、いざという時に備えて対策を考えておくべきでしょう。
2009/08/31
9月の事務所便り
年金・医療制度とも赤字続き
◆過去最大の赤字幅
厚生労働省は、自営業者などが加入する国民年金とサラリーマンが加入する厚生年金、また、主に中小企業のサラリーマンが加入する「協会けんぽ」の2008年度の決算を発表しました。
国民年金・厚生年金とも運用損が響き過去最大の赤字幅となっており、赤字額は、国民年金が1兆1,216億円、厚生年金が10兆1,795億円となっています。国民年金が3年連続の赤字、厚生年金が2年連続の赤字です。
この主な原因は、リーマンショック等により内外の株式市場が大幅に下落したことに加え、為替市場で急速に円高に進んだ影響により、積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用損失が膨らんだためです。
厚生年金においては、前年度に比べ被保険者数の増加や保険料率の引上げ等により歳入が増加し、歳出について受給者数の増加はあったものの、全体では3,136億円歳入が歳出を上回りました。一方、国民年金では歳入が被保険者数の減少により減ったことにより、歳出が歳入を4,199億円上回っています。
◆年金給付と制度の見直し
これらの結果が、すぐに年金給付に影響を与えることはないと思われますが、このまま低迷が続くようであれば、現行制度の見直しも迫られそうです。
また、協会けんぽ(旧政管健保)では収支が2,538億円の赤字となり、単年度赤字は2年連続で、赤字幅も拡大しました。失業が増えたことによる加入者の減少だけでなく、保険料計算のベースとなる給与や所得の水準も下がりました。支出については、高齢化に伴う医療費増が影響しています。
◆協会けんぽでは9月から個別の保険料率
協会けんぽでは、今年9月から、保険料率が全国一律のものから都道府県ごとに個別に決められることになり、収支の結果がますます影響を及ぼすことになりそうです。
介護労働者の就業実態と雇用環境改善への取組み
◆平均勤続年数は4.4年
厚生労働省所管の財団法人介護労働安定センターが、昨年10月に実施した「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の結果を発表しました。
訪問介護員、介護職員の1年間(平成19年10月1日~平成20年9月30日)の採用率は22.6%、離職率は18.7%でした。採用に関しての募集ルートは「ハローワーク・人材銀行」が78.0%で最も多く、次いで「職員や知人を通じて」が64.0%、「折込みチラシ、新聞・雑誌の広告」が46.7%の順でした。また、全体では「中途採用」が84.6%と圧倒的に多く、「新卒採用」はわずか9.6%でした。
職種別の離職率は、訪問介護員は13.9%、介護職員は21.9%で、就業形態別では正社員が18.5%、非正社員は18.9%でした。離職者のうち、勤務した年数が「1年未満の者」は39.0%、「1年以上3年未満の者」は36.5%で、離職者の75.5%が3年未満で離職しています。
勤続年数をみると、全体の平均で4.4年、職種別では訪問介護員が4.3年、介護職員が3.8年という結果になっています。
◆雇用環境改善への取組み
早期離職防止や定着促進のための方策というテーマのアンケートでは、「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている」が63.4%で最も多く、次いで「労働時間の希望を聞く」が60.3%、「賃金・労働時間等の労働時間を改善する」が52.6%でした。
また、訪問介護員、介護職員に対する人材育成のための取組みのテーマでは、「教育・研修計画を立てている」が51.7%で最も多く、次いで「自治体や業界団体が主催する教育・研修には積極的に参加させている」が50.0%、「採用時の教育・研修を充実させている」が39.0%となっています。
一方、人材育成の取組みにあたっての問題点については、「人材育成のための時間がない」が47.7%で最も多く、次いで「採用時期が別々で効率的な育成ができない」が28.3%、「人材育成のための費用に余裕がない」が25.8%の順でした。
◆業界・個別事業所での対策が必要
今後、介護サービスを運営するうえでの問題点として、「今の介護報酬では十分な賃金を支払えない」や「良質な人材の確保が難しい」といった声も多いようです。
介護報酬アップや現状の雇用情勢は、介護業界にとって「追い風」とも言われていますが、業界全体や個別の事業所ごとに取り組むべき課題への対策が急がれます。
日本人の平均寿命が過去最高を更新
◆女性86.05歳、男性79.29歳
厚生労働省が2008年「簡易生命表」を公表し、日本人の平均寿命が女性86.05歳、男性79.29歳となり、ともに過去最高を更新したことがわかりました。前年に比べて女性は0.06歳、男性は0.1歳延びていますが、インフルエンザの流行などにより、平均寿命が短くなった2005年以降、3年連続の延びです。
「簡易生命表」は、その年の死亡状況が変わらないと仮定して、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるのかの期待値を示す「平均余命」の指標です。また「平均寿命」とは、0歳時の平均余命のことです。
◆女性は24年連続世界一、男性は4位へ後退
日本人女性の平均寿命は24年連続世界一で、男性は2007年の3位から4位に後退しました。女性の2位は香港の85.5歳、3位はフランスの84.3歳、4位はスイスの84.2歳の順です。
一方、男性の1位はアイスランドの79.6歳、2位は香港とスイスの79.4歳となっています。
◆医療・年金制度の充実が求められている
2008年に生まれた赤ちゃんのうち、65歳以上まで生きる人の割合は女性で93.4%、男性で86.6%となっており、さらに90歳以上まで生きる人の割合は女性が44.8%、男性が21.1%となりました。
平均寿命が延びた理由については、医療水準の向上などにより、三大死因とされる「がん」、「心臓病」、「脳卒中」の死亡率が下がったことが大きな要因とされており、交通事故による死亡者数が減ったことも影響しているようです。
平均寿命が延びることに伴って高齢者等が安心して暮らせる社会にするためにも、医療や年金といった制度の充実がますます求められます。
「児童相談所」の通報番号が全国共通に
◆通報・相談しやすい体制づくり
厚生労働省は、各地の児童相談所に全国共通の電話番号を導入する方針を決めました。地域によってバラバラだった番号を統一することにより、児童虐待や育児に関する相談などを受け付けやすくすることが狙いです。
児童相談所では、児童虐待の通報のほか、様々な相談に応じています。これまで全国統一の電話番号はなく、各自治体が広報誌などで周知していました。今回の取組みは、すでに導入済みの小児救急相談ダイヤル「#8000」のように、全国共通番号の導入で周知を進め、通報や相談を受け付けやすくするものです。
新しく決まる共通番号に電話をすれば、所管の児童相談所に自動的に転送される仕組みです。固定電話からかけると市内局番などから所管の相談所を割り出し、市内局番と相談所の所轄が一致しない場合や、携帯電話からの通話の場合は郵便番号などをプッシュしてもらい振り分ける流れです。ただし、PHSやIP電話には対応せず、通話料は有料の見込みです。
◆通報は国民の義務でもある
「児童虐待の防止等に関する法律」では、児童虐待が疑われる場合の通告を国民の義務としています。しかし現状においては、児童相談所は、都道府県、政令市など別々の母体が設置しており、ある都市では県と市の相談所が2つあったりするように、所管地域が複雑なため、従来は電話の転送が困難とされていました。
厚生労働省が今年の5月に全国201カ所の児童相談所を調査したところ、約9割の相談所は上記の転送が可能で、技術的な理由で加入できない自治体が11カ所残りますが、今回、導入に踏み切るようです。
◆今年11月までには詳細が決定
電話番号は「0570」から始まる見通しで、厚生労働省は今年11月の「児童虐待防止推進月間」までに詳細を決めるとしています。
現実に通報されるケースは氷山の一角とも言われていますが、この仕組みの導入により、児童に対する虐待を少しでも防ぐことが期待されます。
最低賃金、今年は据置きが大勢か?
◆引上げ額の目安は全国平均7~9円
厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会(小委員会)は、2009年度の最低賃金の改定額の目安を決定しました。35県については現状維持とし、最低賃金額が生活保護支給額を下回る12都道府県に限って引上げの方針を打ち出しています。その結果、引上げ額は全国平均で7~9円となり、昨年度実績(16円)を下回る見込みです。
最低賃金は、企業が従業員に支払う義務のある最低限の賃金で、都道府県ごとに決まっています。現在は、最も高いのが東京都、神奈川県などの「766円」、最も低いのが宮崎県、鹿児島県、沖縄県などの「627円」となっており、全国平均は「703円」(いずれも時給換算)です。
今回の目安を反映すると、2009年度には最低賃金額は710~712円となる見通しです。
◆景気後退の影響は
今回の審議においては、生活保護の支給額が最低賃金の額を上回る地域の解消と、昨秋以降の景気後退の影響をどうみるかが焦点です。昨年は47都道府県すべてで引上げが示されましたが、昨秋以降の急速な景気後退に配慮し、今回は35県を現状維持としました。
引上げを示したのは12都道府県にとどまりました。それも、最低賃金の額が生活保護の支給額を下回る状況を解消するのが狙いで、最も引上げ額が大きいのは東京の20~30円、最も低いのは秋田の2円でした。
◆賃金の底上げは小幅となる見通し
2007年度・2008年度は賃金底上げを狙い、10円を上回る大幅な引上げ額の目安が示され、2009年度で引上げ実績は7年連続ですが、賃金の底上げは小幅になりそうです。
前述の小委員会は中央最低賃金審議会に結果を報告し、これを受け、審議会が厚生労働大臣へ答申する見通しです。その後、都道府県ごとの最低賃金審議会で議論され、各地域の引上げ額が決められます。今秋には新しい最低賃金が適用される見込みです。
「実習型雇用支援事業」がスタート
◆人材確保を考えている企業を支援
昨今の厳しい雇用情勢において、休業を実施することにより雇用を維持しようとする事業主を支援する助成金(雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金)が広く利用されていることから、助成金への関心が高まっていますが、7月から、人材確保を考えている中小企業等を支援する新たな制度である「実習型雇用支援事業」がスタートしました。
企業が、十分な技能や経験を有しない求職者を「実習型雇用」により受け入れることにより、求職者の円滑な再就職と中小企業等の人材確保を促進するものです。
具体的には、ハローワークから職業紹介を受けた求職者と企業が、原則6カ月間の有期雇用契約を結び、「実習計画書」に基づいて、技能および経験を有する指導者の下で指導を受けながら実習や座学などを通じて必要な技能や知識を身に付けることで、企業のニーズにあった人材を育成し、その後の正規雇用へとつなげることを目的とします
◆助成額と要件
実習型雇用により求職者を受け入れた事業主に対しては、「緊急人材育成・就職支援基金」より、以下の通り助成金が支給されます。
(1)実習型雇用期間(6カ月)……1人あたり月額10万円
(2)実習型雇用終了後の正規雇入れ……1人あたり100万円(ただし、正規雇用6カ月後に50万円、その後6カ月後に50万円と2回に分けて支給)
(3)正規雇入れ後の教育訓練……1人あたり上限50万円
対象となる事業主は、ハローワークにおいて実習型雇用として受け入れるための求人登録をしていること、実習型雇用終了後に正規雇用として雇い入れることを前提としていることであり、企業規模や業種などの要件は定められていません。
◆求職者・企業双方にメリット
技能や経験が不足していることが理由でうまく採用に結び付かないケースは数多くあると思われますが、当初の6カ月間で必要な技能や知識を身につけることができ、正規雇用への道が開かれるのであれば、求職者・企業双方にとってメリットがある制度ではないでしょうか。
活用が広がる「動産担保融資制度」とは?
◆融資件数が1年で2.7倍に増加
金融庁の発表によれば、2008年度における「動産担保融資制度」による融資件数が1,387件(前年度比2.7倍)に増加したそうです。金額ベースでは585億円(同63%増)となっています。
絶対額としては、まだまだ少ない融資制度の1つだとはいえますが、どのような仕組みで、企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
◆「動産担保融資」とは
動産担保融資制度は、企業が抱えている在庫商品、工場設備・機械、農家が飼っている家畜などの流動性の高い資産を担保として、金融機関が成長の見込める企業などに資金を貸し付ける仕組みであり、アメリカなどでは一般的なものとなっています。
これまでに担保として認められたものの例としては、昆布、りんご、牛、豚、冷蔵設備、建材、鋼材、工作機械、プレス装置などがあります。
融資の金額は、在庫商品の市場価値や取引先の支払能力などが総合的に判断されたうえで、決定されます。
◆動産担保融資制度のメリット
通常の融資制度においては、企業は、金融機関に担保として不動産を求められる場合が多く、土地・建物等の不動産を持っていない中小企業は、融資を受けづらいというのが現状です。しかし、この動産担保融資制度を活用することによって、資金繰りが楽になる中小企業は少なくないでしょう。
◆いくつかの課題も
動産担保融資制度の課題としては、「動産担保の価値を正確に評価することができるのか」ということが挙げられます。これに関しては、金融機関が、担保に設定する動産に関する専門家(いわゆる“目利き”)などと連携するケースが増えているようです。
また、企業にとっては、「在庫を担保にしないと融資を受けられない企業」とみられてしまう点がデメリットとなっているようです。
これらの点がクリアできれば、さらに活用が広がるものと思われます。
「高額介護・高額介護合算療養費制度」の申請受付開始
◆申請受付がスタート
平成20年4月から、「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)とともに、「高額医療・高額介護合算療養費制度」(以下、「合算制度」という)が施行されました。
このうち、「合算制度」については、この8月(加入している医療保険や介護保険により受付開始日が異なる)から順次申請受付が始まりました。
◆「合算制度」の内容
「合算制度」は、公的医療保険・介護保険の両方を利用している世帯の自己負担額が重くなり過ぎないように、自己負担額の合計が一定の上限額(年額56万円をベースとして、世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されている)を超えた場合に、超過分が還付される制度です。
費用の負担については、医療保険者・介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて負担し合うことになっています。
◆具体的なケース
想定されるのは、高齢の妻の介護により出費が大きくなっていたところ、夫が病気で倒れてしまいさらに高額な医療費がかかってしまうというようなケースです。このようなケースにおいて、できるだけ世帯の負担を少なくしてあげようというのが、本制度創設の趣旨です。
例えば夫婦2人の世帯(ともに75歳で市町村民税非課税)が、1年間(8月1日~7月31日の間)で、夫が医療保険で30万円、妻が介護保険で30万円を支払った場合、世帯としての年間の負担は合計60万円となりますが、支給申請を行うことにより、この場合の上限額(31万円)を超えた金額である29万円が還付されます。
なお、この「合算制度」の詳細については、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/za/0724/a10/a10.html)にも掲載されていますので、ご参照ください。
「多重派遣」をめぐる労働局による命令事例
◆「二重派遣」で業務停止命令
7月16日、福島労働局は、人材派遣会社から派遣された労働者を別の会社に派遣していたなどとして、福島県の製造業「アルファ電子」に対し、同社の派遣業について1カ月間業務を停止するよう命令を出しました。また、二重派遣となることを知っていながら同社に労働者を派遣していた同県の人材派遣会社(4社)に対しても、事業改善命令を出しました。
◆なんと「三重派遣」の事例も!
また、7月23日、東京労働局などは、東京都の派遣会社「辰星技研」が無届けの派遣会社などから派遣されてきた労働者を二重・三重の派遣状態で日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県)に派遣していたとして、事業停止命令を出しました。
厚生労働省の発表によれば、三重派遣による事業停止命令は初めてのことだそうです。
◆禁止されている「多重派遣」
法律上、労働者供給事業のうち、労働者派遣に該当するものだけが例外的に許されていますが、それ以外のものは職業安定法44条により禁止されています。
「二重派遣」は、A社がその雇用する労働者をB社に派遣し、B社が当該労働者をさらにC社に派遣するケースをいいます。この場合において、B社は、自社が雇用していない労働者を他社(C社)のために労働に従事させていることから、労働者派遣の定義には当てはまらず、こうした行為は職業安定法44条により禁止されます。
二重派遣と判断された場合には、指導や検査等の行政処分がなされるほか、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を受ける可能性もあります。
利用が増える「遺言信託」のメリット
◆伸びる利用件数
社団法人信託協会(http://www.shintaku-kyokai.or.jp/)のまとめによれば、今年3月末時点における「遺言信託」の利用件数が、6万5,612件(前年同月末比6.4%増)となったそうです。
この遺言信託については、大手の信託銀行だけでなく地方銀行なども取扱いを行っており、サービスを拡充していることから、利用件数はこの5年間で約1.5倍となっているそうです。
◆「遺言信託」とはどんなものか?
「遺言信託」は、信託銀行などが、遺言書作成の助言・保管・執行などを一括して顧客から請け負うものです。顧客に対して、法的に有効な遺言書の作成方法を助言し、作成した遺言書を保管し、死亡後に執行(遺言書に従った遺産の処理、口座の名義書換など)を行うサービスを提供します。
この遺言信託には、一般的に、遺言書の保管だけを行う契約形態と、執行までをまとめて行う契約形態があるそうです。
◆「遺言信託」利用増加の背景
遺言書は、公証役場の公証人に作成を依頼したり、弁護士に執行を依頼したりすることもできますが、(1)作成のアドバイスをもらえること、(2)遺言内容の定期的な見直しなどのアフターフォローがあること、(3)執行の際の手際が良いことなどから、主に富裕層や企業オーナーなどが信託銀行に依頼するケースが増えているようです。
また、相続に関しての権利意識が高まっていることなども、この「遺言信託」の利用件数拡大に繋がっているようです。
霞が関(中央省庁)に「認証保育所」開設へ
◆国土交通省に保育所を開設へ
国土交通省は、同省内に今年10月に保育所を開設し、役所だけでなく周辺の一般企業に勤める人の子どもも受け入れる方針を明らかにしました。最近では、大企業を中心に企業内に託児所などを設置するケースも増えつつありますが、こうした取組みは霞が関を中心とした中央省庁では初めてで、注目を浴びそうです。
この保育所の名称は「かすみがせき保育所」で、定員は30名、0~5歳児の子どもを受け入れる予定とのことです。東京都が独自に認めている「認証保育所」として設置されます。
◆「認可保育所」とは?
保育所といった場合、まずは「認可保育所」があります。「認可保育所」は、児童福祉法に基づく児童福祉施設のことであり、施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理などの国が定めた設置基準をクリアして、都道府県知事に認可された施設のことです。
保護者が仕事や病気などの理由で、0歳~小学校就学前の子どもの保育ができない場合に子どもを預かり保育します。市区町村が運営する「公立保育所」と社会福祉法人などが運営する私立の「民間保育所」がありますが、認可保育所は公費により運営されます。
◆「認証保育所」とは?
これに対して「認証保育所」は、広い敷地を確保できないなど、「認可保育所」の基準を満たしていなくても、自治体が独自の基準を定めて「認証」した保育所のことです。自治体が民間企業などの事業者に対して運営費を補助することにより成り立っています。利用者は、保育所と直接契約する必要があります。
なお、東京都では、2001年にこの「認証保育所」の仕組みを導入し、8月1日現在、都内に457カ所あるそうです。
◆待機児童の問題
ここ最近「待機児童」が大きな社会問題となっています。保育所入所資格を有して入所を希望していても、保育所の施設定員を超過するなどの理由から入所できない状態にある児童のことです。
前述の「かすみがせき保育所」の設置も待機児童対策の一環だと言われていますが、待機児童対策がさらに進んでいくことが期待されます。
◆過去最大の赤字幅
厚生労働省は、自営業者などが加入する国民年金とサラリーマンが加入する厚生年金、また、主に中小企業のサラリーマンが加入する「協会けんぽ」の2008年度の決算を発表しました。
国民年金・厚生年金とも運用損が響き過去最大の赤字幅となっており、赤字額は、国民年金が1兆1,216億円、厚生年金が10兆1,795億円となっています。国民年金が3年連続の赤字、厚生年金が2年連続の赤字です。
この主な原因は、リーマンショック等により内外の株式市場が大幅に下落したことに加え、為替市場で急速に円高に進んだ影響により、積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用損失が膨らんだためです。
厚生年金においては、前年度に比べ被保険者数の増加や保険料率の引上げ等により歳入が増加し、歳出について受給者数の増加はあったものの、全体では3,136億円歳入が歳出を上回りました。一方、国民年金では歳入が被保険者数の減少により減ったことにより、歳出が歳入を4,199億円上回っています。
◆年金給付と制度の見直し
これらの結果が、すぐに年金給付に影響を与えることはないと思われますが、このまま低迷が続くようであれば、現行制度の見直しも迫られそうです。
また、協会けんぽ(旧政管健保)では収支が2,538億円の赤字となり、単年度赤字は2年連続で、赤字幅も拡大しました。失業が増えたことによる加入者の減少だけでなく、保険料計算のベースとなる給与や所得の水準も下がりました。支出については、高齢化に伴う医療費増が影響しています。
◆協会けんぽでは9月から個別の保険料率
協会けんぽでは、今年9月から、保険料率が全国一律のものから都道府県ごとに個別に決められることになり、収支の結果がますます影響を及ぼすことになりそうです。
介護労働者の就業実態と雇用環境改善への取組み
◆平均勤続年数は4.4年
厚生労働省所管の財団法人介護労働安定センターが、昨年10月に実施した「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の結果を発表しました。
訪問介護員、介護職員の1年間(平成19年10月1日~平成20年9月30日)の採用率は22.6%、離職率は18.7%でした。採用に関しての募集ルートは「ハローワーク・人材銀行」が78.0%で最も多く、次いで「職員や知人を通じて」が64.0%、「折込みチラシ、新聞・雑誌の広告」が46.7%の順でした。また、全体では「中途採用」が84.6%と圧倒的に多く、「新卒採用」はわずか9.6%でした。
職種別の離職率は、訪問介護員は13.9%、介護職員は21.9%で、就業形態別では正社員が18.5%、非正社員は18.9%でした。離職者のうち、勤務した年数が「1年未満の者」は39.0%、「1年以上3年未満の者」は36.5%で、離職者の75.5%が3年未満で離職しています。
勤続年数をみると、全体の平均で4.4年、職種別では訪問介護員が4.3年、介護職員が3.8年という結果になっています。
◆雇用環境改善への取組み
早期離職防止や定着促進のための方策というテーマのアンケートでは、「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている」が63.4%で最も多く、次いで「労働時間の希望を聞く」が60.3%、「賃金・労働時間等の労働時間を改善する」が52.6%でした。
また、訪問介護員、介護職員に対する人材育成のための取組みのテーマでは、「教育・研修計画を立てている」が51.7%で最も多く、次いで「自治体や業界団体が主催する教育・研修には積極的に参加させている」が50.0%、「採用時の教育・研修を充実させている」が39.0%となっています。
一方、人材育成の取組みにあたっての問題点については、「人材育成のための時間がない」が47.7%で最も多く、次いで「採用時期が別々で効率的な育成ができない」が28.3%、「人材育成のための費用に余裕がない」が25.8%の順でした。
◆業界・個別事業所での対策が必要
今後、介護サービスを運営するうえでの問題点として、「今の介護報酬では十分な賃金を支払えない」や「良質な人材の確保が難しい」といった声も多いようです。
介護報酬アップや現状の雇用情勢は、介護業界にとって「追い風」とも言われていますが、業界全体や個別の事業所ごとに取り組むべき課題への対策が急がれます。
日本人の平均寿命が過去最高を更新
◆女性86.05歳、男性79.29歳
厚生労働省が2008年「簡易生命表」を公表し、日本人の平均寿命が女性86.05歳、男性79.29歳となり、ともに過去最高を更新したことがわかりました。前年に比べて女性は0.06歳、男性は0.1歳延びていますが、インフルエンザの流行などにより、平均寿命が短くなった2005年以降、3年連続の延びです。
「簡易生命表」は、その年の死亡状況が変わらないと仮定して、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や、平均してあと何年生きられるのかの期待値を示す「平均余命」の指標です。また「平均寿命」とは、0歳時の平均余命のことです。
◆女性は24年連続世界一、男性は4位へ後退
日本人女性の平均寿命は24年連続世界一で、男性は2007年の3位から4位に後退しました。女性の2位は香港の85.5歳、3位はフランスの84.3歳、4位はスイスの84.2歳の順です。
一方、男性の1位はアイスランドの79.6歳、2位は香港とスイスの79.4歳となっています。
◆医療・年金制度の充実が求められている
2008年に生まれた赤ちゃんのうち、65歳以上まで生きる人の割合は女性で93.4%、男性で86.6%となっており、さらに90歳以上まで生きる人の割合は女性が44.8%、男性が21.1%となりました。
平均寿命が延びた理由については、医療水準の向上などにより、三大死因とされる「がん」、「心臓病」、「脳卒中」の死亡率が下がったことが大きな要因とされており、交通事故による死亡者数が減ったことも影響しているようです。
平均寿命が延びることに伴って高齢者等が安心して暮らせる社会にするためにも、医療や年金といった制度の充実がますます求められます。
「児童相談所」の通報番号が全国共通に
◆通報・相談しやすい体制づくり
厚生労働省は、各地の児童相談所に全国共通の電話番号を導入する方針を決めました。地域によってバラバラだった番号を統一することにより、児童虐待や育児に関する相談などを受け付けやすくすることが狙いです。
児童相談所では、児童虐待の通報のほか、様々な相談に応じています。これまで全国統一の電話番号はなく、各自治体が広報誌などで周知していました。今回の取組みは、すでに導入済みの小児救急相談ダイヤル「#8000」のように、全国共通番号の導入で周知を進め、通報や相談を受け付けやすくするものです。
新しく決まる共通番号に電話をすれば、所管の児童相談所に自動的に転送される仕組みです。固定電話からかけると市内局番などから所管の相談所を割り出し、市内局番と相談所の所轄が一致しない場合や、携帯電話からの通話の場合は郵便番号などをプッシュしてもらい振り分ける流れです。ただし、PHSやIP電話には対応せず、通話料は有料の見込みです。
◆通報は国民の義務でもある
「児童虐待の防止等に関する法律」では、児童虐待が疑われる場合の通告を国民の義務としています。しかし現状においては、児童相談所は、都道府県、政令市など別々の母体が設置しており、ある都市では県と市の相談所が2つあったりするように、所管地域が複雑なため、従来は電話の転送が困難とされていました。
厚生労働省が今年の5月に全国201カ所の児童相談所を調査したところ、約9割の相談所は上記の転送が可能で、技術的な理由で加入できない自治体が11カ所残りますが、今回、導入に踏み切るようです。
◆今年11月までには詳細が決定
電話番号は「0570」から始まる見通しで、厚生労働省は今年11月の「児童虐待防止推進月間」までに詳細を決めるとしています。
現実に通報されるケースは氷山の一角とも言われていますが、この仕組みの導入により、児童に対する虐待を少しでも防ぐことが期待されます。
最低賃金、今年は据置きが大勢か?
◆引上げ額の目安は全国平均7~9円
厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会(小委員会)は、2009年度の最低賃金の改定額の目安を決定しました。35県については現状維持とし、最低賃金額が生活保護支給額を下回る12都道府県に限って引上げの方針を打ち出しています。その結果、引上げ額は全国平均で7~9円となり、昨年度実績(16円)を下回る見込みです。
最低賃金は、企業が従業員に支払う義務のある最低限の賃金で、都道府県ごとに決まっています。現在は、最も高いのが東京都、神奈川県などの「766円」、最も低いのが宮崎県、鹿児島県、沖縄県などの「627円」となっており、全国平均は「703円」(いずれも時給換算)です。
今回の目安を反映すると、2009年度には最低賃金額は710~712円となる見通しです。
◆景気後退の影響は
今回の審議においては、生活保護の支給額が最低賃金の額を上回る地域の解消と、昨秋以降の景気後退の影響をどうみるかが焦点です。昨年は47都道府県すべてで引上げが示されましたが、昨秋以降の急速な景気後退に配慮し、今回は35県を現状維持としました。
引上げを示したのは12都道府県にとどまりました。それも、最低賃金の額が生活保護の支給額を下回る状況を解消するのが狙いで、最も引上げ額が大きいのは東京の20~30円、最も低いのは秋田の2円でした。
◆賃金の底上げは小幅となる見通し
2007年度・2008年度は賃金底上げを狙い、10円を上回る大幅な引上げ額の目安が示され、2009年度で引上げ実績は7年連続ですが、賃金の底上げは小幅になりそうです。
前述の小委員会は中央最低賃金審議会に結果を報告し、これを受け、審議会が厚生労働大臣へ答申する見通しです。その後、都道府県ごとの最低賃金審議会で議論され、各地域の引上げ額が決められます。今秋には新しい最低賃金が適用される見込みです。
「実習型雇用支援事業」がスタート
◆人材確保を考えている企業を支援
昨今の厳しい雇用情勢において、休業を実施することにより雇用を維持しようとする事業主を支援する助成金(雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金)が広く利用されていることから、助成金への関心が高まっていますが、7月から、人材確保を考えている中小企業等を支援する新たな制度である「実習型雇用支援事業」がスタートしました。
企業が、十分な技能や経験を有しない求職者を「実習型雇用」により受け入れることにより、求職者の円滑な再就職と中小企業等の人材確保を促進するものです。
具体的には、ハローワークから職業紹介を受けた求職者と企業が、原則6カ月間の有期雇用契約を結び、「実習計画書」に基づいて、技能および経験を有する指導者の下で指導を受けながら実習や座学などを通じて必要な技能や知識を身に付けることで、企業のニーズにあった人材を育成し、その後の正規雇用へとつなげることを目的とします
◆助成額と要件
実習型雇用により求職者を受け入れた事業主に対しては、「緊急人材育成・就職支援基金」より、以下の通り助成金が支給されます。
(1)実習型雇用期間(6カ月)……1人あたり月額10万円
(2)実習型雇用終了後の正規雇入れ……1人あたり100万円(ただし、正規雇用6カ月後に50万円、その後6カ月後に50万円と2回に分けて支給)
(3)正規雇入れ後の教育訓練……1人あたり上限50万円
対象となる事業主は、ハローワークにおいて実習型雇用として受け入れるための求人登録をしていること、実習型雇用終了後に正規雇用として雇い入れることを前提としていることであり、企業規模や業種などの要件は定められていません。
◆求職者・企業双方にメリット
技能や経験が不足していることが理由でうまく採用に結び付かないケースは数多くあると思われますが、当初の6カ月間で必要な技能や知識を身につけることができ、正規雇用への道が開かれるのであれば、求職者・企業双方にとってメリットがある制度ではないでしょうか。
活用が広がる「動産担保融資制度」とは?
◆融資件数が1年で2.7倍に増加
金融庁の発表によれば、2008年度における「動産担保融資制度」による融資件数が1,387件(前年度比2.7倍)に増加したそうです。金額ベースでは585億円(同63%増)となっています。
絶対額としては、まだまだ少ない融資制度の1つだとはいえますが、どのような仕組みで、企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
◆「動産担保融資」とは
動産担保融資制度は、企業が抱えている在庫商品、工場設備・機械、農家が飼っている家畜などの流動性の高い資産を担保として、金融機関が成長の見込める企業などに資金を貸し付ける仕組みであり、アメリカなどでは一般的なものとなっています。
これまでに担保として認められたものの例としては、昆布、りんご、牛、豚、冷蔵設備、建材、鋼材、工作機械、プレス装置などがあります。
融資の金額は、在庫商品の市場価値や取引先の支払能力などが総合的に判断されたうえで、決定されます。
◆動産担保融資制度のメリット
通常の融資制度においては、企業は、金融機関に担保として不動産を求められる場合が多く、土地・建物等の不動産を持っていない中小企業は、融資を受けづらいというのが現状です。しかし、この動産担保融資制度を活用することによって、資金繰りが楽になる中小企業は少なくないでしょう。
◆いくつかの課題も
動産担保融資制度の課題としては、「動産担保の価値を正確に評価することができるのか」ということが挙げられます。これに関しては、金融機関が、担保に設定する動産に関する専門家(いわゆる“目利き”)などと連携するケースが増えているようです。
また、企業にとっては、「在庫を担保にしないと融資を受けられない企業」とみられてしまう点がデメリットとなっているようです。
これらの点がクリアできれば、さらに活用が広がるものと思われます。
「高額介護・高額介護合算療養費制度」の申請受付開始
◆申請受付がスタート
平成20年4月から、「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)とともに、「高額医療・高額介護合算療養費制度」(以下、「合算制度」という)が施行されました。
このうち、「合算制度」については、この8月(加入している医療保険や介護保険により受付開始日が異なる)から順次申請受付が始まりました。
◆「合算制度」の内容
「合算制度」は、公的医療保険・介護保険の両方を利用している世帯の自己負担額が重くなり過ぎないように、自己負担額の合計が一定の上限額(年額56万円をベースとして、世帯員の年齢構成や所得区分に応じて設定されている)を超えた場合に、超過分が還付される制度です。
費用の負担については、医療保険者・介護保険者の双方が、自己負担額の比率に応じて負担し合うことになっています。
◆具体的なケース
想定されるのは、高齢の妻の介護により出費が大きくなっていたところ、夫が病気で倒れてしまいさらに高額な医療費がかかってしまうというようなケースです。このようなケースにおいて、できるだけ世帯の負担を少なくしてあげようというのが、本制度創設の趣旨です。
例えば夫婦2人の世帯(ともに75歳で市町村民税非課税)が、1年間(8月1日~7月31日の間)で、夫が医療保険で30万円、妻が介護保険で30万円を支払った場合、世帯としての年間の負担は合計60万円となりますが、支給申請を行うことにより、この場合の上限額(31万円)を超えた金額である29万円が還付されます。
なお、この「合算制度」の詳細については、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/za/0724/a10/a10.html)にも掲載されていますので、ご参照ください。
「多重派遣」をめぐる労働局による命令事例
◆「二重派遣」で業務停止命令
7月16日、福島労働局は、人材派遣会社から派遣された労働者を別の会社に派遣していたなどとして、福島県の製造業「アルファ電子」に対し、同社の派遣業について1カ月間業務を停止するよう命令を出しました。また、二重派遣となることを知っていながら同社に労働者を派遣していた同県の人材派遣会社(4社)に対しても、事業改善命令を出しました。
◆なんと「三重派遣」の事例も!
また、7月23日、東京労働局などは、東京都の派遣会社「辰星技研」が無届けの派遣会社などから派遣されてきた労働者を二重・三重の派遣状態で日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県)に派遣していたとして、事業停止命令を出しました。
厚生労働省の発表によれば、三重派遣による事業停止命令は初めてのことだそうです。
◆禁止されている「多重派遣」
法律上、労働者供給事業のうち、労働者派遣に該当するものだけが例外的に許されていますが、それ以外のものは職業安定法44条により禁止されています。
「二重派遣」は、A社がその雇用する労働者をB社に派遣し、B社が当該労働者をさらにC社に派遣するケースをいいます。この場合において、B社は、自社が雇用していない労働者を他社(C社)のために労働に従事させていることから、労働者派遣の定義には当てはまらず、こうした行為は職業安定法44条により禁止されます。
二重派遣と判断された場合には、指導や検査等の行政処分がなされるほか、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を受ける可能性もあります。
利用が増える「遺言信託」のメリット
◆伸びる利用件数
社団法人信託協会(http://www.shintaku-kyokai.or.jp/)のまとめによれば、今年3月末時点における「遺言信託」の利用件数が、6万5,612件(前年同月末比6.4%増)となったそうです。
この遺言信託については、大手の信託銀行だけでなく地方銀行なども取扱いを行っており、サービスを拡充していることから、利用件数はこの5年間で約1.5倍となっているそうです。
◆「遺言信託」とはどんなものか?
「遺言信託」は、信託銀行などが、遺言書作成の助言・保管・執行などを一括して顧客から請け負うものです。顧客に対して、法的に有効な遺言書の作成方法を助言し、作成した遺言書を保管し、死亡後に執行(遺言書に従った遺産の処理、口座の名義書換など)を行うサービスを提供します。
この遺言信託には、一般的に、遺言書の保管だけを行う契約形態と、執行までをまとめて行う契約形態があるそうです。
◆「遺言信託」利用増加の背景
遺言書は、公証役場の公証人に作成を依頼したり、弁護士に執行を依頼したりすることもできますが、(1)作成のアドバイスをもらえること、(2)遺言内容の定期的な見直しなどのアフターフォローがあること、(3)執行の際の手際が良いことなどから、主に富裕層や企業オーナーなどが信託銀行に依頼するケースが増えているようです。
また、相続に関しての権利意識が高まっていることなども、この「遺言信託」の利用件数拡大に繋がっているようです。
霞が関(中央省庁)に「認証保育所」開設へ
◆国土交通省に保育所を開設へ
国土交通省は、同省内に今年10月に保育所を開設し、役所だけでなく周辺の一般企業に勤める人の子どもも受け入れる方針を明らかにしました。最近では、大企業を中心に企業内に託児所などを設置するケースも増えつつありますが、こうした取組みは霞が関を中心とした中央省庁では初めてで、注目を浴びそうです。
この保育所の名称は「かすみがせき保育所」で、定員は30名、0~5歳児の子どもを受け入れる予定とのことです。東京都が独自に認めている「認証保育所」として設置されます。
◆「認可保育所」とは?
保育所といった場合、まずは「認可保育所」があります。「認可保育所」は、児童福祉法に基づく児童福祉施設のことであり、施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理などの国が定めた設置基準をクリアして、都道府県知事に認可された施設のことです。
保護者が仕事や病気などの理由で、0歳~小学校就学前の子どもの保育ができない場合に子どもを預かり保育します。市区町村が運営する「公立保育所」と社会福祉法人などが運営する私立の「民間保育所」がありますが、認可保育所は公費により運営されます。
◆「認証保育所」とは?
これに対して「認証保育所」は、広い敷地を確保できないなど、「認可保育所」の基準を満たしていなくても、自治体が独自の基準を定めて「認証」した保育所のことです。自治体が民間企業などの事業者に対して運営費を補助することにより成り立っています。利用者は、保育所と直接契約する必要があります。
なお、東京都では、2001年にこの「認証保育所」の仕組みを導入し、8月1日現在、都内に457カ所あるそうです。
◆待機児童の問題
ここ最近「待機児童」が大きな社会問題となっています。保育所入所資格を有して入所を希望していても、保育所の施設定員を超過するなどの理由から入所できない状態にある児童のことです。
前述の「かすみがせき保育所」の設置も待機児童対策の一環だと言われていますが、待機児童対策がさらに進んでいくことが期待されます。