2012/03/01

3月の事務所便り

最近の労働関係の裁判例から

 ◆「期間満了を理由とする雇止め」をめぐる裁判例
 京都市にある大学が、期間満了を理由として雇用契約を更新しなかったのは不当であるとして、元助手の女性が雇用の継続などを求めていた訴訟は、大学がこの女性を今年4月から新たに1年間雇用する(契約更新なし)との内容で、京都地裁で和解が行われました。(2011年12月22日)
 この女性は、2007年4月から「契約期間3年」で勤務していましたが、2010年3月末に雇止めされました。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新される」との説明を受けていたことから、提訴していたものです。
 女性は「教員の使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが多くの教員は泣き寝入りしている」と話しており、大学側は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」と話しているそうです。

 ◆「過労死」をめぐる裁判例
 新聞社の記者だった男性が糖尿病の悪化により死亡したのは過労が原因だったとして、この男性の父親が労災と認定しなかった国の処分の取消しを求めていた訴訟(控訴審)で、東京高裁は、一審の東京地裁判決(請求棄却)を支持し、控訴を棄却しました。(2012年1月25日)
 裁判長は、業務内容を「精神的・身体的に著しく負担が大きかった」と認定しましたが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」とし、業務と死亡との因果関係を否定しました。
 この男性は1984年に入社し、1997年6月に糖尿病の合併症が原因で死亡しました。直前の同年5月までの半年間の時間外労働は、月平均約134時間だったそうです。

 ◆「育休に伴う解雇」をめぐる裁判例
 育児休業の取得を理由に解雇されたのは違法であるとして、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が解雇無効の確認などを求めていた訴訟で、さいたま地裁は、同会が請求を認める「認諾」を表明して審理が終結しました。職場復帰と同会および同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったそうです。(2012年2月2日)
 原告側の代理人弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話しているそうです。
 この女性は2005年8月に事務職として入社し、2009年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休みましたが、同年11月以降、同会役員らに退職を勧められました。2010年4月から産休と育休を取得し、2011年5月18日に復帰すると、そのまま解雇されていました。


「企業の採用基準」と「学生のアピールポイント」

 ◆求人企業と学生を対象に調査
 求人情報サイトを運営しているエン・ジャパン株式会社では、求人企業(635社が回答)と2013年3月に卒業予定の学生(2,221人が回答)を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しました。
 企業側が考えている採用基準と学生側のアピールポイントには、わずかにギャップが見られるようです。

 ◆企業はどのように考えているか?
 企業による「自社の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(71.0%)
(2)他者と協調することができる(36.7%)
(3)チャレンジ精神がある(30.1%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(26.3%)
(5)ストレス耐性が高い(17.6%)

 ◆学生はどのように考えているか?
 学生が想像する「企業の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(37.7%)
(2)チャレンジ精神がある(10.9%)
(3)他者と協調することができる(10.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(7.3%)
(5)礼儀やマナーがしっかりしている(6.6%)

 ◆学生のアピールポイント
 そして、学生が考えている「選考で最もアピールしたいポイント」ベスト5は次の通りでした。
(1)他者と協調することができる(20.5%)
(2)継続性がある(14.6%)
(3)主体的・積極的に行動できる(11.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(10.1%)
(5)目標達成への意識が高い(9.0%)


中小企業の「後継者不在」の状況は?

 ◆約3分の2が「後継者不在」
 株式会社帝国データバンクでは、後継者の実態について分析可能な信用調査報告書(2008年以降)のある約41万社を対象に国内の後継者不在企業の実態を分析し、その結果が発表されました。
 国内企業の約3分の2に相当する企業(65.9%)が「後継者不在」となっているそうです。

 ◆地域別に見るとどうか?
 この調査によれば、調査対象企業(40万8,954社)のうち、後継者不在企業は26万9,488社です。
 地域別に見てみると、「後継者不在率」の高い地域は、上位から「北海道」(71.8%)、「中国」(71.3%)、「近畿」(68.6%)、「関東」(67.9%)、「中部」(65.6%)となっています。
 なお、沖縄県では実に81.4%となっており、都道府県別で唯一、8割を超える結果となっています。

 ◆業種別に見るとどうか?
 また、別に見てみると、「後継者不在率」の高い業種の上位5つは、「サービス業」(72.1%)、「建設業」(69.6%)、「林業・狩猟業」(69.1%)、「不動産業」(68.0%)、「卸売・小売業、飲食店」(64.8%)となっています。

 ◆後継者不在の原因は?
 中小企業における「後継者不在」の原因としては、主に次のことが挙げられます。
(1)「後を継ぐ子がいない」
   …少子化により、多くの企業には後継する子自体がいないことが原因にあります。
(2)「子が後を継がない」
   …子が「厳しい経営環境にあえて飛び込む必要はない」と考えていることが原因にあります。
(3)「子が後を継げない」
   …子が会社を継ごうとしても「経営能力」が備わっていないことが原因にあります。


「『競業他社への転職禁止』の契約は無効」との判決

 ◆非常に大きなインパクト
 今年1月上旬、外資系の大手生命保険会社が同社の執行役員と交わした契約条項(退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない)の有効性が争われた訴訟の判決がありました。
 この判決内容は非常にインパクトのあるものであり、新聞紙上等でも大きく報道されました。

 ◆退職金3,000万円の支払いを命じる
 東京地裁は、次のように判断し、元執行役員男性の請求通りに、会社に対して退職金(約3,000万)の支払いを命じました。
(1)「情報の流出を防ぐ目的で競合他社へ転職を禁じるのは過大」
(2)「職業選択の自由を不当に害している」
(3)「契約条項は公序良俗に反して無効」
 原告側弁護士によれば、外資系企業では上記のような条項を交わすケースが多く、「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断」としています。

 ◆判断のポイントは?
 一般的に、上記のような「競業他社への転職禁止」の契約は、優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に締結されます。
 過去にも、競合他社への転職について争われた裁判例があります。それらの判断のポイントは、次の通りとされています。
 (1)競業他社への転職を希望する者の会社内での地位が高ければ高いほど、転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
 (2)転職先の競業会社の内容・場所も考慮されており、それらが近ければ近いほど転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
 競業他社への転職禁止に関する契約を従業員と締結する場合、上記のことを考慮すべきだと言えるでしょう。


新入社員の意識を探る調査の結果

 ◆入社後半年の意識は?
 日本生産性本部は、2011年度の新入社員に対し、入社半年後の意識をたずねた調査の結果を発表しました(今年1月11日)。

 ◆7割以上の男性が「育休を取得したい」
 今回の調査から新設された「子どもが生まれたときには、育児休業を取得したい」とする質問に「そう思う」と回答した割合は、男性で72.8%、女性で95.8%、全体で79.9%でした。

 ◆「若いうちはフリーターでも良い」が増加
 「若いうちならフリーアルバイターの生活を送るのも悪くない」とする設問に「そう思う」との回答は、2004 年以来ほぼ減少傾向にありましたが、前年比11.3 ポイント増加して35.9%になりました。

 ◆転職に関する意識は?
 「条件の良い会社があれば、さっさと移るほうが得だ」に対し、「そう思う」とする回答が前年の秋の調査より12.4 ポイント増加して40.7%となりました。
 また、転職に関して自身の考えを選択する4者択一の設問では、「転職しないにこしたことはない」と回答する割合は28.5%で、同調査より2.7 ポイント増加しました。

 ◆震災の影響は?
 自身の気持ちについて近いものを選択する設問で、「3 月11 日の東日本大震災が起きたことによって、あなたのキャリアプランに影響はありましたか」に対し、「そう思う」とする回答が12.6%で、「そう思わない」とする回答が87.4%でした。


「職場におけるパワハラ行為」の定義を明確化

 ◆初めて「パワハラ」の定義を明確化
 厚生労働省のワーキンググループは、職場におけるパワー・ハラスメント(パワハラ)に該当する可能性のある行為を6つに類型化した報告書をまとめました。
 この報告書では、パワハラの定義が初めて明確化されるとともに、企業が取り組むべき対策についても紹介しています。

 ◆パワハラとはどのような行為か?
 パワハラは、一般的に「職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を悪化させたりする行為」とされています。
 上司から部下への「いじめ」や「嫌がらせ」を指して使われる場合が多いのですが、人間関係や専門知識などで優位な立場にある同僚や部下から受ける嫌がらせなども含まれるとされています。

 ◆パワハラに該当しうる行為(6分類)
 今回の報告書では、職場のパワハラに該当しうる行為について、次の6つに分類しています。
(1)暴行・傷害などの「身体的な攻撃」
(2)侮辱や暴言などの「精神的な攻撃」
(3)無視などの「人間関係からの切り離し」
(4)遂行不可能なことへの強制や仕事の妨害などの「過大な要求」
(5)能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることなどの「過小な要求」
(6)私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」
 ただ、職場におけるパワハラは「業務上の指導との線引きが難しい」との意見もあり、報告書では(4)~(6)については「業務の適正な範囲内」であれば本人が不満に感じたとしてもパワハラには該当しないとしています。

 ◆予防と解決のために積極的な取組みを
 企業におけるパワハラの予防と解決には、組織トップによるメッセージや、就業規則での規定化、予防・解決のためのガイドラインの作成、教育研修の実施、企業内外における相談窓口の設置等が効果的です。
 パワハラ被害を受けた従業員が、人格を傷つけられたこと等により心の健康を悪化させ、休職・退職に至るケースや、周囲の人たちの意欲が低下し、職場全体の生産性に悪影響を及ぼすケースもあり、パワハラが企業にもたらす損失は非常に大きいと言えます。
 そのため、パワハラ問題への取組みを企業が積極的に進めることが求められます。


病気なのに無理して出勤するとどんな影響があるか?

 ◆風邪をひいても休まない?休めない?
 ある気象情報会社の調査によれば、平均的な日本人は1年に2回以上風邪をひくものの、熱が38度以上まで上がらないと会社や学校を休まないとのことです。
 風邪で休まない人の割合は年齢が上がるとともに高くなり、40歳代では35.9%にも達するそうです。

 ◆出勤は「美徳」なのか?
 上記のことについて、人事管理に詳しい専門家は「結果重視の成果主義が主流になってきたとはいえ、日本人が持つ“多少のことがあっても出勤することが美徳だ”という考えの影響が大きく残っている」と言います。
 多くの企業において、「プロセスにおける貢献度」や「チーム全体での成果」を重視する人事評価制度が導入されているため、突発的な休みが言い出しにくい環境になっていることも影響しているようです。

 ◆マイナス面に注目する動き
 最近では、新型インフルエンザの流行などをきっかけに、無理をして病気の社員を働かせるマイナス面にも注目される動きが出てきました。
 社員だけではなく、扶養家族にも無料でインフルエンザの予防接種を実施したり、短時間だけ会社を抜けて病院に行くことのできる制度を導入したりする企業もあるようです。

 ◆「プレゼンティズム」の導入
 出社したとしても体調が悪くて普段と同様の成果が上げられず、企業に損害を与えてしまうという考え方は、経営学で「プレゼンティズム」と呼ばれているそうです。
 例えば、花粉症であれば4.1%、風邪であれば4.7%も仕事の効率が落ちるそうです。企業では、組織全体の損害をいかに抑えるかが課題となります。

 ◆生産性を維持しつつリスクヘッジも
 約8割の家庭が常備しているといわれる総合感冒薬(風邪薬)の売上は年々縮小していますが、これは、頭痛や発熱など風邪の初期症状が表れると、すぐに病院に駆け込む人が増えたことが影響しているそうです。
 日本のビジネスパーソンには、「初期症状で病院に行く」という考え方が浸透しており、今後は、生産性を維持しながらリスクヘッジにも役立つ「プレゼンティズム」を検討する企業も増えていきそうです。


「フリーアドレス制」導入目的の変化

 ◆オフィスの省スペース化の手段として
 オフィスに個人用の席を設けず、仕事に応じて座る席を決める「フリーアドレス制」は、オフィスの省スペース化の手段として広がってきました。
 しかし、最近では、社員間のコミュニケーションを活発化させる仕組みとしても注目され始めているようです。
 
 ◆コミュニケーション活発化を目指して
 これまで、「フリーアドレス制」導入の主目的は、オフィス賃料の削減にあり、外出が多い営業部門などで席数を減らしていました。しかし、昨今は事情が異なってきており、社員間のコミュニケーションを促すために導入する企業が増えているようです。
 ある大学が、20~50歳代の社会人に対して職場の雰囲気について聞いたところ、「社員同士で情報を共有し合う雰囲気がある」(約12%)、「人を育てようとする雰囲気がある」(約9%)などの回答がいずれも低水準にとどまっていました。
 そこで、このような状況を改善する手段の1つとして、改めて「フリーアドレス制」が注目されているのです。

 ◆社員の管理に難しさも
 この「フリーアドレス制」導入成功の鍵は、「中間管理職」にあると言われています。
 ある企業の部長職の男性は「数多くいる部下と毎日顔を合わせないので、正直把握しきれない」と言います。また、別の企業では20~30歳代の社員が固まって座ってしまうため、若手社員の指導ができないことが問題になっているそうです。
 こういった企業では、日常的なコミュニケーションに支障が出ないよう、部署ごとに範囲を決め、その中で席を自由にする「半」フリーアドレス制を導入したり、最低1日1回は朝礼の時に顔を揃えて仕事を確認し合ったりするなど、対面コミュニケーションを取れる工夫を行っています。

 ◆残業削減にも大きな効果
 フリーアドレス制には、コスト削減やコミュニケーション活発化の他にも、自分で管理する書類などの削減につながる、仕事環境を変えることにより生産性が向上するといったメリットもあります。
 また、席を選ぶ際にその日の仕事の内容が明確になるため、仕事の効率が上がって残業が減ったなどのケースもあるようです。


7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行

 ◆100人以下の事業主にも適用
 男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方の実現を目指し、2009年に「育児・介護休業法」が改正されました。
 これまで、従業員100人以下の事業主には、下記の制度の適用が猶予されていましたが、7月1日よりすべての事業主に適用されますので、注意が必要です。

 ◆短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
 (1)事業主は、3歳に満たない子を養育する社員について、本人が希望すれば利用することのできる「短時間勤務制度」を設けなければなりません。
 (2)「短時間勤務制度」は、就業規則に規定しているなど制度化されている必要があり、運用されているだけでは不十分です。
 (3)「短時間勤務制度」は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含めなければなりません。なお、1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務を選択することができる制度を設けたうえで、その他、例えば1日の所定労働時間を7時間や5時間とする措置や、隔日勤務で所定労働日数を短縮する措置などを併せて設けることも可能です。

 ◆所定外労働の制限
 (1)3歳に満たない子を養育する社員が申し出た場合、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は従業員の請求を拒むことができます。
 (2)所定外労働の制限の申出は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日までの1カ月前までに事業主に申し出る必要があります。また、この申出は何回でもすることができます。

 ◆介護休暇について
 要介護状態(負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態)にある家族の介護や世話を行う社員は、事業主に申し出ることによって、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。

 ◆近づく全面施行を前に
 いずれの制度についても、新たに対象となる事業主はあらかじめ制度を導入したうえで、就業規則などに記載し、従業員に周知する必要があります。
 また、適用除外とできる社員の要件などにも注意が必要です。全面施行が近づいていますので、早急に導入に向けた準備が必要です。


派遣社員による育児休業取得の実態

 ◆大手派遣会社などによる支援
 派遣社員が育児休業(育休)を取得する動きが少しずつ広がっているようです。大手派遣会社などが、優秀な人材を確保するために様々な支援を始めたことが背景にあります。
 しかしながら、育休明けに派遣先が決まらないことが多いなど、課題も多くあります。派遣社員の出産・育児を後押しする環境づくりが、少子化対策の観点からも求められています。

 ◆支援の具体的内容
 派遣社員などの有期雇用者は、2005年の育児・介護休業法の改正により、一定の条件を満たせば、育休を取得できるようになりました。
 当初は、派遣会社の対応が遅れて利用は進んでいませんでしたが、ここ数年で徐々に増加し、利用者が大幅に増えた大手派遣会社もあるようです。
 中小の派遣会社では対応にばらつきがありますが、大手では、専門担当者を配置し、育休期間中も含めて相談に応じる体制を整えたり、復帰前に支援セミナーを開いたりするなど、積極的な支援を行うようになってきています。

 ◆派遣先での理解も必要
 しかし、派遣会社が支援に力を入れたとしても、復帰後の派遣先が決まらなければ意味がありません。厚生労働省の調査によると、2010年度において育児休業給付金を受給した人(約20万6,000人)のうち、有期雇用者は7,375人に過ぎませんでした。
 また、同省が2009年にまとめた調査で、派遣先約500社の管理職のうち、派遣社員でも育休を取得できることを知っていた人は約半数しかいないことからも、「派遣社員の育休取得」への理解は低いことがわかります。

 ◆課題の解決に向けて
 また、保育園の入園選考で、派遣先未定の派遣社員を「仕事をしている」とみなすか、「仕事がなくて求職中」とみなすかの明確な基準がなく、後者とみなして優先順位を下げる自治体もあるようです。
 派遣社員は、雇用主である派遣会社の他に、派遣先や行政の支援や理解が欠かせず、大きな課題となっており、今後の施策が期待されます。

2012/02/01

2月の事務所便り

「労働時間削減」に関する各企業の取組事例

 ◆ワークライフバランスの実現に向けて
 近年、企業にとって「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の実現が大きな課題となっていますが、厚生労働省では、昨年12月に「仕事と生活の調和の実現に向けた取組事例」と題する、「所定外労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」などに関する企業(主に中小企業)の取組事例を公表しました。

 ここでは、この取組事例の中から、所定外労働時間の削減に関する事例をご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?

 ◆所定外労働時間の削減の事例
 (1)所定の曜日を「ノー残業デー」とし、所定終業時刻の30分後に強制的に施錠するなど、取組を徹底した。(建設業)
 (2)管理者・従業員双方による業務計画等の見直しを行い、時間外労働の必要性の有無の確認、事前の時間外労働申請の徹底を周知した。(建設業)
 (3)業務改善に伴う超過勤務時間の減少による賃金の低下に対処するため、賃金の改定を行うとともに、一定の限度時間を超えた超過勤務があった従業員に対して、上司とともに「超過原因」を分析し、「改善方法」を考えさせるようにした。(製造業)
 (4)業務に必要な知識を電子掲示板で可視化することで、業務に関する情報の共有化を図り、業務分担による情報の偏りをなくし、所定外労働の削減に努めた。(情報通信業)
 (5)終業時刻の前後にまたがって開催していた定例の会議の所要時間を2時間から1時間半に短縮し、開始時刻も繰り上げ、終業時刻内に会議が終了するよう改善したほか、子育て中の従業員に時間外労働をさせないために午後4時から勤務する短時間勤務者を採用した。(卸売・小売業)
 (6)所定外労働時間の状況と削減目標について、社長以下管理職のミーティングや朝礼にて報告を行い、部署ごとに上長から従業員に伝えるようにした。(卸売・小売業)
 (7)各従業員の業務量を平準化させるため、業務量の多い従業員に対して、他の従業員を応援に向かわせるなどして、業務分担や人員配置の両面から所定外労働を必要としない業務体制になるように改善し、残業時間削減に結びつけた。(医療・福祉)
 (8)残業を行う場合、所属長の承認をもらう申請書提出制度を導入したところ、時間外労働の集中部署、職種等が明確になり、業務配分や要員の見直しを的確に行うことができ、時間外労働の削減へとつながった。(医療・福祉)


「うつ病」をめぐる最近の裁判例

 ◆建設会社社員の躁うつ病発症(11月9日広島地裁判決)
 建設会社勤務の男性は、1995年10月に、勤務する会社が他の建設会社と共同で受注した発電所の桟橋工事の工事事務所長に就任しましたが、仕事のストレスから、1997年に2度にわたり自殺(未遂)を図りました。その後、躁うつ病と診断されました。
 この男性は、労働基準監督署が休業補償給付を支給しなかったのは不当であるとして、不支給処分の取消しを広島地裁に求めていました。
 判決で裁判長は「それまでに精神科への受診歴もないことを考えると、病気と業務との因果関係を肯定できる」とし、男性の主張を認め、国に処分の取消しを命じました。

 ◆通信会社社員のうつ病による自殺(12月14日名古屋地裁判決)
 音響機器メーカーから出向して通信会社の業務に従事していた男性社員は、1994年11月頃にうつ病を発症しました。そして、2001年4月に関連会社に移籍して物流部門に異動した直後(2002年12月)に自殺しました。
 この男性の妻は、夫が自殺したのは過労が原因で労災であるとして、遺族補償年金の不支給処分取消しを名古屋地裁に求めていました。
 判決で裁判長は、専門知識のない携帯電話の基地局開局業務で月100時間以上の時間外労働をしたとして「質的にも量的にも大きな負担で、うつ病を発症させる危険性を十分有していた」とし、業務上のストレスが続き、約8年間うつ病は一度も治癒することなく、症状の悪化を繰り返し次第に慢性化したと判断して、男性の妻の主張を全面的に認め、国の処分を取り消しました。

 ◆小学校教諭のうつ病による自殺(12月15日静岡地裁判決)
 静岡県内にある市立小学校教諭だった女性は、2004年に教員として採用され担任を受け持っていましたが、児童の問題行動(授業中に暴れる等)に悩み、約2カ月でうつ病を発症しました。そして、同年の9月下旬に自殺しました。
 この女性の両親は、娘が自殺したのは仕事上のストレスによるうつ病が原因であると主張し、「公務災害ではない」との判断を下した地方公務員災害補償基金(静岡支部)の認定を取り消すよう静岡地裁に求めていました。
 判決で裁判長は、「採用直後に担任したクラスで児童の問題行動が相次ぎ、強い心理的負荷を受けた」と指摘し、同僚からの適切な支援も得られず精神状態を悪化させたのが自殺の原因であると判断し、両親の訴えを認めて基金の認定を取り消しました。


若手社会人の「節約」に関する意識は?

 ◆「節約」をどのように考えているか?
 株式会社マイナビでは、昨年11月に「若手社会人の消費活動調査」を初めて実施し、その結果を発表しました。最近の若手の社会人が「節約」についてどのように考えているのか、興味深い内容となっています。
 なお、調査対象は、同社のポータルサイト(マイナビニュース)の会員となっている入社1~5年目の社会人548人(男性:230人、女性:318人)です。

 ◆給料をどのように使う?
 まず、給料の使い方に関して、「計画的にお金を使う方」であるか「思いつきでお金を使う方」であるか、自分がどちらに当てはまるかを尋ねたところ、65.5%の人が「計画的にお金を使う」と回答しました。
 そして、「普段から心がけて節約をしていますか?」との質問に対しては、69.5%の人が「節約している」と回答し、比較的堅実な若手社会人が多いことがわかりました。

 ◆どのようにして出費を抑えている?
 どのように出費を抑えているかという質問(複数回答)に対しては、次の通りの結果となっています。
 男性では、「食費」(79.5%)がトップで、「飲み会などの交際費」(38.4%)、「洋服や小物などのオシャレ費」(32.2%)、「水道・光熱費」(32.2%)と続き、女性では、同じく「食費」(76.6%)がトップで、「洋服や小物などのオシャレ費」(51.9%)、「飲み会などの交際費」(33.6%)の順となっています。

 ◆毎月いくら貯金している?
 毎月の貯金額については「5~6万円未満」(12.2%)という回答が最も多く、以下、「2~3万円未満」(10.8%)、「4~5万円未満」(10.6%)、「1~2万円未満」(10.6%)と続いています。
 なお、「毎月貯金はしていない」という回答は5.7%ありました。


「希望者全員の65歳までの雇用」義務化に向けた動き

 ◆非常に注目すべき内容
 年明けの1月6日に、厚生労働省の労働政策審議会から、「今後の高年齢者雇用対策について」と題する、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等を求める内容の文書が発表されました。
 今後、わが国の高齢者雇用対策はどのように動いていくのか、非常に注目すべき内容が含まれています。

 ◆高年齢者雇用の状況
 厚生労働省が昨年10月に発表した「平成 23 年 高年齢者の雇用状況集計結果」によれば、現在の法律で定めている、高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置(「定年の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれか)を「実施済み」の企業の割合は95.7%(前年比0.9ポイント減)となっています。
 また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%(同1.7ポイント増)、同じく70歳まで働ける企業の割合は17.6%(同0.5ポイント増)となっています。
 
 ◆「無年金・無収入」となる者の防止
 現行の年金制度に基づき、平成25年以降は、公的年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることが決まっていることから、現状の高年齢者雇用確保措置のままでは、「無年金・無収入」となる者が生じる可能性があります。
 そこで、昨年9月から、厚生労働省内に設置された専門部会において、「雇用」と「年金」が確実に接続するよう、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等について検討がなされており、今回の文書発表となりました。

 ◆2013年度から施行となるか?
 この文書中に含まれる「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」が実施されるとなると、企業にとっては非常に大きな負担となります。
 早ければ、今年の通常国会に改正法案が提出され、2013年度から施行されるとも報道されています。中小企業には猶予期間が設けられるとも言われていますが、いずれにしても、今後の動きに注目しておく必要があるでしょう。


元本割れが急増する「確定拠出年金」の問題点

 ◆2年半ぶりの高水準
 確定拠出年金の加入者のうち、元本割れとなっている人の割合が約6割(2011年9月末時点)に上ることが明らかになりました。
 半年前の約4割から急増しており、半期ベースでは2年半ぶりの高水準となっています。

 ◆確定拠出年金の仕組みは?
 確定拠出年金は、毎月一定金額を個人ごとの口座に積み立て、その元本と運用益が老後の年金原資となる制度であり、「企業型」と「個人型」とがあります。
 企業型の場合は、企業が毎月決まった拠出額を従業員の口座に振り込み、従業員自らがその運用方法を決定します。なお、2012年1月からは「マッチング拠出」の導入により、従業員による拠出も可能となっています。
 個人型の場合は、自営業者や勤務先に企業年金制度がない会社員が個人で加入して掛金を拠出し、運用を行います。

 ◆世界的な株安が大きく影響
 元本割れに陥る人が急増している背景には、世界的な株安の問題があります。
 格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を手掛ける金融機関3社の協力を得て、加入期間半年以上の加入者(3社合計で約140万人。国内の加入者数全体の3割強)の運用実態を調べたところ、通算利回り(年率換算)がマイナスとなり元本割れの人は全体の57.8%となりました。

 ◆将来の受給額減少につながる
 確定拠出年金は、確定給付年金とは異なり、企業が不足分の補填を行わないため、運用低迷が加入者の将来の受給額減少に直結します。
 確定拠出年金を導入している企業では、運用利回り平均2.2%を目標として掲げていますが、マイナス1.9%(昨年9月末時点)にとどまっています。
 とは言っても、税制優遇などの点でメリットが大きいこともあり、確定拠出年金に代わる有効な手段がないのも現実です。
 今後についても運用低迷が予想されるため、新興国株を運用商品に追加したり、年金運用研修を強化したりするなどの対策が必要だと言われています。


うつ病などの精神障害に関する労災認定の新基準

 ◆迅速な審査の必要性
 近年、精神障害による労災請求件数が増加し、各事案の審査に平均約8.6カ月を要していたことから、迅速な審査を行う必要性が指摘されていました。
 厚生労働省では、平成22年10月から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、昨年12月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を発表しました。

 ◆新しい認定基準のポイントは?
 この新しい認定基準のポイントは、次の通りです。
 (1)わかりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
 (2)いじめやセクハラのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
 (3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
 厚生労働省では、今後はこの新しい基準に基づいて審査の迅速化を図り、精神障害の労災請求事案については「6カ月以内」の決定を目指すとしています。
 また、わかりやすくなった新基準を周知することにより、業務によって精神障害を発病した人の認定の促進も図るとしています。

 ◆セクハラ事案について
 なお、セクハラが原因で精神障害を発病したとして労災請求がなされた場合の心理的負荷の評価については、次の事項に留意するとしています。
 (1)セクハラ被害者は、「勤務を継続したい」とか、「セクハラ行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたい」との心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にはならない。
 (2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
 (3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申し立てていないことが、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
 (4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。


通勤手当の非課税限度額の見直し

 ◆特例の廃止
 給与所得者で、通勤距離が片道15キロメートル以上の人が自動車などを使用して通勤している場合に受ける通勤手当について、距離比例額にかかわらず運賃相当額(最高限度:月額10万円)まで非課税扱いとする特例が、廃止されました。

 ◆非課税限度額
 自動車などで通勤している人の1カ月当たりの非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて次のように定められています。
 2キロメートル未満は「全額課税」、2キロメートル以上10キロメートル未満は「4,100円」、10キロメートル以上15キロメートル未満は「6,500円」、15キロメートル以上25キロメートル未満は「11,300円」、25キロメートル以上35キロメートル未満は「16,100円」、35キロメートル以上45キロメートル未満は「20,900円」、45キロメートル以上は「24,500円」です。

 ◆見直しの内容
 これまで、通勤距離が片道15キロメートル以上で自動車などを使用している人の距離比例額よりも、交通機関を利用した場合の1カ月当たりの合理的な運賃等の額に相当する金額(運賃相当額)が高額の場合には、特例により運賃相当額を非課税扱いとされてきました。
 しかし、バランス等の観点から、平成24年1月1日以後に支払われた給与については、距離比例額までが非課税扱いとなり、運賃相当額と距離比例額の差額については給与所得として源泉所得税の課税対象となりました。

 ◆適用は平成24年1月支給の給与分から
 今回の改正は、平成24年1月1日以降に支給する給与分から適用されますので、マイカー通勤をしているにもかかわらず運賃相当額の支給を続けた場合には、年末に不足分を徴収しなくてはならなくなる可能性があります。
 給与計算事務を行う方は、対象者の通勤方法や手当がどのようになっているのかを再度確認し、間違いのないように気を付ける必要があります。


再就職氷河期! 転職活動で苦戦する40代の現状

 ◆「バブル入社組」の40代の現実
 不景気が続く中、リストラを余儀なくされた方々は、再就職活動で苦戦を強いられているようです。特に「バブル入社組」と言われる40代は、「再就職氷河期」に戸惑っているようです。

 ◆広がるリストラの対象年齢
 総務省発表の「2010年労働力調査」によれば、「会社倒産・事業所閉鎖」「人員整理・勧奨退職」により離職した人の数は、30代で約16万人、40代で約18万人、50代で約18万人となっています。
 2000年頃までは、リストラ対象の中心は50代でしたが、最近は、20~30代にまで対象年齢が広がっているため、特に40代の方々は苦戦しているようです。
 40代が転職市場で特に苦戦する理由として、次のことが挙げられています。
 (1)ポスト不足により管理職への昇格が遅れがちであった。
 (2)「バブル入社」でキャリアが十分に身に付いていない場合がある。
 (3)体力面や環境適応能力面で20~30代の若手に負けてしまう。

 ◆どのぐらいで再就職が決まっているか
 40代は、子供の教育費などがかさむことが多いため、「とにかく早く再就職先を決めたい」という思いが強いようです。
 しかし、離職後「半年以内」に再就職先が決まる人はわずか3割程度で、「1年以内」に決まる人が9割程度といった状況のようです。

 ◆再就職活動中に必要な心構え
 就職活動が長期化すると、家庭内・夫婦仲が険悪になるケースが多く、厚生労働省の機関である人材銀行の専門員は、「家族も心配しているのですから、求職活動の状況を隠さずに話すなど、コミュニケーションを大切にしたほうがよいでしょう。平日はいつでも面接に応じられるように準備を行い、週末はすべてを忘れて過ごすなどのリズムも大切です」と助言しています。
 また、別の専門家は、「グローバル化などの環境変化にもアンテナを張りめぐらしつつ、自分のキャリアを微調整し、必要な能力を高めていくような仕事習慣や生活習慣を維持していけば、リストラに強くなれます」と話しています。


「人材への投資」を「企業の収益」に

 ◆好業績企業の秘訣は?
 長引く不況や円高など、企業を取り巻く環境が非常に厳しい中、好業績を維持している企業の秘訣は「人材の育成」や「人材の上手な活用」にあるようです。
 新聞報道によれば、2012年3月期まで5期連続(5期以上も含む)で経常増益を予想する3月期決算の上場企業を調査したところ、小売業やネット関連事業など、内需型企業を中心に32社が並んだそうです。
 事業が国内中心であるため海外景気の影響を受けにくいメリットもありますが、それだけではなく、これら好業績企業の多くが、「待遇」や「人づくり」の面で独自の手法を確立し、人材活性化を果たしているようです。

 ◆パート社員の戦力化を果たしたスーパー
 関東を中心に営業展開する食品スーパーでは、1万人以上いるパート社員の戦力化を図ったことが、企業成長の原動力となったそうです。
 例えば、従来は正社員が行っていた業務(価格設定、商品発注など)をパート社員に移管し、また、地域トップ水準の給料を確保してパート社員の士気を高めたそうです。これにより、店舗に常駐する正社員を削減することができたとのことです。
 なお、上記の連続増益が見込まれる32社の過去5年の人件費をみると、毎年平均で2.9%増加しており、全上場企業の平均で0.8%減っているのとは対照的に、人材投資・待遇確保に意欲的であることがわかりました。

 ◆企業にとっての課題は?
 人材への投資を企業の収益に繋げる仕組みは企業によって様々ですが、ある専門家は「仕事を通じて自らが成長できる道筋を企業が示すことが人材活性化には不可欠である」と語っています。
 不景気による市場の縮小を乗り切るため、人件費削減で利益を確保するケースもありますが、収入増を伴わなければ持続的な成長を望むことはできません。
 限られた経営資源をもとに人材に投資し、次の収益拡大に繋げられるかが、これからの企業にとっての課題となっているようです。

2012/01/01

平成24年1月の事務所便り

「過労死」をめぐる労災認定事例・裁判例

 ◆過労死の理学療法士について労災認定
昨年10月に急性心不全で亡くなった私立病院勤務の理学療法士の男性(当時23歳)について、横浜西労働基準監督署が過労死の労災認定の決定を行いました(10月4日付)。
遺族側代理人の弁護士によれば、この男性は2010年4月から病院で働き始め、患者の治療計画作成・治療・リハビリなどの業務を担当していましたが、担当患者が増えたことに加えて、研究発表の準備等も行っていたことから、同年9月以降は非常に多忙となっていました。
男性は、早朝・深夜の時間帯に自宅等で研究発表のための準備を行っていましたが、病院側は「勤務ではなく自己研鑽」であるとして、その時間分の残業代は支払っていなかったそうです。
労基署では、研究発表の準備を労働時間として算定はしませんでしたが、これらの時間が男性の重い負担になったと判断し、労災認定を行いました。

 ◆過労死で労災認定を受けた従業員の企業名公表
大阪地裁は、過労死などにより従業員が労災認定を受けた企業の名称を公開しないとした大阪労働局の決定の適否が争われた行政訴訟において、労働局の決定を取り消す判決を下しました(1110日)。
同地裁は、「企業名を公開したとしても、社員のプライバシーや企業の信用を失うおそれはなく、不開示は違法である」と判断したものです。
原告側代理人の弁護団によれば、企業名の情報開示を認めた判決は初めてであり、「企業側が社会的監視にさらされることにより、過労死をなくす努力をより強く求められることになる。健康管理態勢の改善につながる画期的な判決である」として、高く評価しているようです。
敗訴した労働局側では、「労災を発生させたことを広く知られるのを恐れた企業側が、就労実態調査に協力的でなくなる」としていましたが、その主張は退けられました。


未払い残業代をめぐる裁判例と未払い残業の現状

 ◆裁量労働制と未払い残業代
コンピューター会社でSEとして働いていた男性が、裁量労働制を適用されていたものの、実際には裁量外の労働を行っていたとして、勤務していた会社に対して未払い残業代など(約1,600万円)を求め、京都地裁に提訴していましたが、同地裁は、会社側に約1,140万円の支払いを命じる判決を下しました(1031日)。
判決理由で裁判官は、裁量労働制が適用されるSEであったが、ほとんど裁量が認められないプログラミングや営業活動等に従事していたと判断して、「裁量労働制の要件を満たしているとは認められない」としました。
なお、この男性は2002年にこのコンピューター会社に就職し、2009年3月に退職しましたが、退職前の5カ月間は、月に約80140時間の残業をしていたそうです。

 ◆双方代理人弁護士のコメント
男性側の代理人弁護士は「裁量労働制を採用していたのに適用せず、残業が認められたのは珍しいケース」とし、会社側の代理人弁護士は「システムエンジニアの職務の実態を裁判所が理解していない。主張が受け入れられず残念」としています。

 ◆割増賃金の不払い状況
厚生労働省から、全国の労働基準監督署が取りまとめた割増賃金の不払いに関する状況が発表されました。
平成22年4月から平成23年3月までの1年間の間に、残業に対する割増賃金が不払いになっているとして労働基準法違反で是正指導を行った事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案をまとめたものです。

 ◆1社で3億円超の支払いも
この取りまとめによれば、是正企業数は1,386企業(前年度比 165企業増)、支払われた割増賃金合計額は1232,358万円(同7億2,060万円増)、対象労働者数は115,231人(同3,342人増)と、いずれも増加しています。
なお、支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円(労働者1人当たり11万円)で、1企業での支払額については、上位から、3億9,409万円(旅館業)、3億8,546万円(卸売業)、3億5,700万円(電気通信工事業)となっています。


2011年の仕事観を表す漢字は「耐」に決定

 ◆1,000人の会社員が回答
株式会社インテリジェンスから、「2011年の仕事観を表す漢字」に関する調査(2539歳のビジネスパーソン1,000人が回答)の結果が発表されました。
以下の結果をご覧になって、皆さんも同じように感じられるでしょうか?

 ◆「学」「変」「考」が新たにランクイン
上記アンケートによるベスト10は、次の通りの結果となりました。なお、カッコ内の順位は前年のものです。
 1位「耐」(4位)
 2位「楽」(1位)
 3位「忍」(2位)
 4位「苦」(3位)
 5位「忙」(7位)
 6位「生」(5位)
 7位「学」(圏外)
 8位「変」(圏外)
 9位「努」(10位)
 10位「考」(圏外)
どちらかと言えばマイナスイメージである「耐」が前年の4位から1位に、「忙」が前年の7位から5位に上昇しました。また、「学」「変」「考」が圏外から新たにランクインしています。

 ◆メーカーは「忙」、建設・不動産は「楽」
業種別に見てみると、メーカーでの1位は「忙」であり、「震災、節電、円高、タイ洪水など、情勢の変化に合わせて自身の仕事も変化したため、忙しい1年だった」といった声が多かったそうです。
建設・不動産での1位は「楽」であり、「不況で仕事が少なく楽だった」という意見が目立ったそうです。しかし、「今後は被災地復興のために、建設業では仕事が増えそう」といった声も見られたようです。


会社員の「転職意識」はどうなっている?

 ◆意識調査の結果から
株式会社日経HR(日本経済新聞社の子会社)では、10月に「転職意識」に関するアンケート調査(1,442 人が回答)を実施し、先日、その結果が発表されました。
転職したい理由、転職で重視することなどが明らかになっており、企業にとっても興味深い結果となっています。

 ◆転職を考えた理由
まず、「なぜ転職したいと思ったのですか?」との質問に対しての回答では、「年収を上げたい」(39%)がトップとなりました。
別の調査(株式会社インテリジェンス)によれば、転職希望者の年収は、前年比で5万円減(平均449万円)となったとのデータもあります。減少は4年連続とのことです。
なお、以下、「会社の先行きが厳しく不安なため」(37%)、「会社の体質が自分に合わない」(32%)、「上司、同僚など人間関係の問題」(14%)、「職種を変えたい」(13%)、「業種を変えたい」(12%)が続いています。

 ◆転職時の最優先項目
「転職先を選ぶ際の最優先項目はどれですか?」との質問に対しては、「仕事内容」(55%)がダントツの1位となり、以下、「年収」(13%)、「勤務地」(9%)、「自身の成長」(7%)と続いています。

 ◆転職時の不安・転職時に知りたいこと
「転職するにあたり、不安なこと・知りたいことはありますか?」との質問に対しては、「自分の年齢に合った求人があるか」(66%)、「自分の経験が生かせる求人があるか」(63%)との回答が多く寄せられました。
以下では、「自分の経験が一般と比較して十分なものか」(33%)、「自分の年齢に合った年収がいくらか」(33%)、「キャリアアップが可能か」(29%)が続いています。


国民年金制度に関する変更点

 ◆第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合の取扱い
最近、世間を騒がせている「専業主婦の年金」の問題ですが、今年8月10日から、第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合の取扱いが変更されています。
この取扱い変更の対象者は、「第3号被保険者として記録されている期間について別の年金記録が判明した方」です。
これまで、第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合に、その後の第3号被保険者期間は、改めて届けが必要とされ、届出が遅れると、届出日以降に第3号被保険者期間とされ、年金が受取れない場合や減額される場合がありました。
この8月10日からの変更では、これらの方について、改めて新たに届けを行うことにより、本来の年金を受け取ることができるようになりました。

 ◆国民年金の後納保険料の納付
平成24年の秋頃から、「国民年金の後納保険料の納付」がスタートする予定です。
これまで、納め忘れた国民年金保険料を遡って支払うことのできる期間(納付可能期間)は過去「2年間」でしたが、後納保険料の納付では過去「10年間」に延長されます。
なお、後納保険料の納付ができる期間は、後納保険料の納付ができるようになってから3年間の予定とされています。
後納保険料の納付には、事前の申込みが必要となります。後納保険料の納付がスタートしたら、お近くの年金事務所に申し込む必要があります。
なお、申出日の属する年度から起算して3年度を越える期間の保険料を納付する際には、保険料額に「加算金」がかかりますので、ご注意ください。


二国間で締結する「社会保障協定」とは?

 ◆日本とブラジルが協定締結
先日、日本政府とブラジル政府が、「社会保障協定」を締結し、来年3月1日に発効させることで合意(公文を交換)したとの報道がありました。
ブラジルの在留邦人数(平成22101日現在)は5万8,374名であり、多くの人に影響を与えると言われていますが、この「社会保障協定」とは、どのようなものなのでしょうか。

 ◆社会保障協定の目的は?
この社会保障協定の目的は、「二重加入の防止」と「保険料掛捨ての防止(年金加入期間の通算)」です。
近年、日本の事業所から海外にある支店や駐在員事務所などに派遣される日本人が増加していますが、このような海外に派遣される人については、年金制度をはじめとする日本の社会保険制度と就労地である外国の社会保険制度にそれぞれ加入し、両国の制度の保険料を負担しなければならないことがあります。これが「二重加入」の問題です。
また、派遣期間が比較的短い場合、外国の年金制度の加入期間が短いことから、年金が受けられないなど、外国で納めた保険料が結果的に掛け捨てになってしまうこともあります。これが「保険料掛捨ての問題」です。
上記のような問題を解決するため、二国間で社会保障協定を締結することにより、年金制度等の二重加入を防止するとともに、外国の年金制度の加入期間を取り入れ、年金が受けられるようにするものです。

 ◆ブラジルで13カ国目
現在、日本と社会保障協定を締結し、すでに発効済みの国は、ドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、豪州、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランドの12カ国で、ブラジルが13カ国目になります。
なお、多くの日本人が駐在している中国とは、現時点で協定を締結しておらず、今後は保険料の二重払いの状態が生じることになりそうです。
日本政府は、協定締結に向けて10月中旬に中国政府と交渉を開始したそうです。


社員の「世代間ギャップ」をどう埋める?

 ◆世代間コミュニケーション調査
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、今年1月に「世代間コミュニケーション」についての企業調査を行い、先頃その結果が発表されました。
対象を3世代に分類し、それぞれ世代の入社時点での印象を企業に尋ねたところ、キャリア意識などの面で違いが見られました。

 ◆世代間ギャップの要因は?
バブル期までに採用された世代は、企業から、「組織が求める役割を果たそうとする意識が強い」「失敗や困難があってもやり遂げようとする意思が強い」などと見られているようです。
逆に、19902000年代に採用された世代では、それらの印象が弱くなり、「自分の取り組みたい仕事へのこだわりが強い」「失敗したり困難な仕事に直面したりすると自信を失う」などと見られています。
入社時の資質がそのまま残るとは限りませんが、上の世代は自分が若かった時と比べがちであり、それが世代間ギャップの一因ともなっているようです。

 ◆働く目的は何か?
高度経済成長で豊かになった時代に生まれ育った団塊ジュニア世代以降は、「食べるために働く」意識が希薄だと言われます。働く目的は「自分の能力や個性を生かすため」であり、「給料をもらうために辛抱しろ」といった考えは通用しません。
しかし、下の世代からみれば、会社への依存体質が強くありがちな今の40代に対して不満があるようです。

 ◆部下・後輩に歩み寄ることも必要
若手社員は「自己成長」には強い関心があるため、先輩・上司はその特質を知り、どのように接すれば良いパフォーマンスを引き出せるかを考える必要があるようです。
職場環境は常に変化し、不景気で人員も少ない中で効率を上げることが求められており、コミュニケーションに割ける時間は確実に減少しています。管理職には、自分から部下・後輩に歩み寄り、彼らに合わせる役割も求められています。


女性管理職を育成する「メンター制度」の活用

 ◆今注目される「メンター制度」
相談できる目上の人がいるかどうかは、長い会社員人生にとって大きな影響を与えます。
この相談役のことを「メンター」と呼びますが、このメンターを活用した制度が、女性管理職育成のために改めて注目されているようです。

 ◆どのような制度なのか?
メンターとは、相談者に対して自分の人生経験をもとにキャリア形成の助言を行い、精神的な支柱となる人を指します。人事評価を行う直接の上司とは異なり、「斜め上」の立場から支援を行います。
一般的に、相談者の希望を聞きながら会社の人事部等がメンターの紹介を行い、面談は月11時間ほど、半年から1年で区切るといったケースが多いようです。
メンター制度は1990年代後半から米国系企業を中心に広まりましたが、ここ数年においては、女性社員の育成に力を入れる日本の企業が注目しているようです。

 ◆いかに相談相手を見つけるか
日本の企業では、経営幹部の中心が男性であることが多く、女性管理職が社内で心を許せる相談相手を見つけることは難しいという事情があります。
ある大手企業では、男性役員から女性管理職、女性管理職から女性総合職といったような「メンターチェーン制」というものを採用しているそうです。
男性役員からは、取引先との接し方などを教えられ、「目標が高まり今後のキャリアプランが見えてきた」と話す女性管理職もいるとのことです。

 ◆運用には難しさも
一方、「メンター制度」の運用には難しさもあります。
「女性の課題を理解する男性メンターは限られる」「相談側の問題意識が明確でないと続かない」といった声が人事担当者から挙がっています。また、「単なる悩み相談で終わらないように、キャリア相談か昇進支援かといった目的を明確にする必要がある」という指摘もあります
上記のような点が、今後の課題と言えるでしょう。


「受動喫煙防止対策助成金」の創設

 ◆喫煙室の設置等に対する助成金
今年101日から、旅館や飲食店等の中小企業事業主が実施する受動喫煙対策の取組み(喫煙室の設置等)に対しての助成金が創設されています。
この助成金は、一般の事業場と同様に、旅館や飲食店等においても換気等の措置だけでなく受動喫煙防止対策としてより効果的と考えられる喫煙室の設置による空間分煙の促進を図るため創設されたものです。

 ◆支給対象となる事業主は?
以下のすべての要件を満たす事業主が対象となります。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。
(2)旅館、料理店または飲食店を営む以下の中小企業事業主であること。
・旅館業:常時雇用する労働者100人以下または資本金の規模が5,000万円以下
・料理店または飲食店:常時雇用する労働者が50人以下または資本金の規模が5,000万円以下
(3)(4)に規定する措置を記載した計画を作成し、当該計画を都道府県労働局長に届け出ていること。
(4)室内またはこれに準ずる環境において、客が喫煙できることを含めたサービスの提供をする場合、(3)の計画に基づき、一定の基準を満たす喫煙室を設置するなどの措置を講じたこと。
(5)(4)に規定する措置の実施の状況を明らかにする書類を整備していること。

 ◆助成内容は?
助成額は、工事、設備費、備品費および機械設置費等、喫煙室の設置等に係る費用の4分の1(上限200万円)で、支給単位は事業場単位、1事業場当たり1回のみです。
助成金を受けようとする中小企業事業主は、「受動喫煙防止対策助成金関係工事計画」を策定し、これを事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出し、あらかじめ認定を受ける必要があります。
受動喫煙による健康への悪影響から非喫煙者を守るルールは、今後より一層強化されることが予想されます。対象となる企業では、この機会に助成金を活用し、分煙体制の整備を検討してみてはいかがでしょうか。


中国における外国企業・外国人からの社会保険料徴収

 ◆二重払いとなる日本企業
中国で新たな社会保険法が施行され、中国で働く外国企業・外国人を対象とした社会保険料の強制加入手続が一部で始まっているようです。
駐在員1人当たりの負担は年間約80万円と試算されており、日本国内でも社会保険料を支払っている日本企業は二重払いを余儀なくされます。

 ◆中国の社会保険の種類
中国の社会保険制度は「5険」と言われ、「養老保険」「医療保険」「失業保険」「労災保険」「出産保険」があり、毎月の収入をベースに保険料が算定されます。
日本からの駐在員が多い北京市の場合、40%台前半(会社・個人負担の合計)の保険料率になるようです。

 ◆徴収の対象と上限
ビザを所有する外国人で、営業をしていない駐在員事務所も含まれます。収入に対する負担率で徴収額が決まりますが、基準となる収入の定義は「日本での支給分を含めた給与の合計」とされます。

   ◆対応にバラつきも
中国では、徴収主体が地方政府にあるため、市によって負担が異なります。日系企業が多く集まる上海市、広州市、重慶市などが静観するなか、企業優遇策を撤廃する方向の大連市などでは、負担が重くなるようです。
このように地域によって対応にバラつきがあることから、今後は、負担の軽い地域を駐在先として選択することも考えられます。

  ◆望まれる社会保障協定の早期締結
日本政府は、保険料の二重払いを回避するため、中国政府との社会保障協定締結交渉を始めています。
協定が締結されれば、駐在期間が短い場合には駐在国における社会保険料を負担しなくても済むなど、負担減となります。
しかし、交渉妥結には数年かかるとも言われており、この間は二重払いの状態となります。

2011/12/01

12月の事務所便り

年次有給休暇の取得日数・取得率は?

 ◆労働者30人以上の企業が回答
 厚生労働省は、平成23 年「就労条件総合調査」の結果を10月下旬に公表しました。 この調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的としています。
 調査対象は常用労働者30 人以上の企業であり、平成23 年1月1日現在の労働時間制度、賃金制度などの状況について4,296 企業が有効な回答を行いました。

 ◆年次有給休暇の取得状況
 1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均17.9日(前年17.9日)であり、そのうち労働者が取得した日数は8.6日(同8.5日)となっています。取得率は48.1%(同47.1%)です。
 企業規模別に取得率をみると次のようになっており、規模別では取得日数・取得率ともに前年をわずかに上回ったケースが多いですが、まだまだ低水準だと言えます。
 ・1,000人以上…55.3%(前年53.5%)
 ・300~999人…46.0%(前年44.9%)
 ・100~299 人…44.7%(前年45.0%)
 ・30~99人が…41.8%(前年41.0%)

 ◆「仕事優先」か「プライベート優先か」
 株式会社毎日コミュニケーションズが2011年4月入社の新入社員を対象に実施した意識調査の中で、「仕事とプライベートどちらを優先した生活を送りたいか」をたずねたところ、4月実施調査の同設問と比較して、「仕事優先」が21.7ポイント減少、「プライベート優先」が22.5ポイント増加したそうです。
 企業規模や業種業態などにより年次有給休暇を取得できる環境は様々でしょうが、社員のプライベートも大切にしながら、効率よく仕事を行い、積極的に休暇を取らせる仕組みづくりも大切だと言えるでしょう。


外国人留学生の日本企業に対する評価は?

 ◆60カ国・地域の留学生が回答
 東京大学国際センター(国際センター相談室)では、今年3月に実施した「留学生の就職・進路に関するアンケート調査」の結果を発表しました。調査対象者は東京大学の学部・大学院の留学生(2,872人)で、そのうち60カ国・地域の467人が回答しています。
 日本の企業は外国人留学生からどのように見られているのでしょうか。

 ◆日本企業のイメージは?
 留学生が回答した日本企業の主なイメージ(複数回答)は、次の通りでした。
 ・「残業が多い」…60%
 ・「集団主義的」…46%
 ・「男女差別がある」…28%
 ・「若いうちから仕事を任せてもらえる」…14%
 ・「業績評価が透明」…11%

 ◆日本での就職を希望するか?
 外国人留学生のうち、日本企業に就職を希望する人は50%でした。日本で働きたい年数は「2~5年」が57%で最も多く、「6年以上」(18%)、「10年以上」(11%)、「定年まで」(11%)が続いています。

 ◆外国人留学生の活用を視野に
 日本における外国人留学生の数は、次の通り推移しています。
 ・平成17年…121,812人
 ・平成19年…118,498人
 ・平成20年…123,829人
 ・平成21年…132,720人
 日本における労働力人口が減少していくことが予想される中、中小企業でも外国人留学生の活用を視野に入れるべき必要があるのかもしれません。


雇用・労働をめぐる最近の裁判例

 ◆「雇止め」をめぐる裁判例
 地方自治体の非常勤職員だった女性(55歳)が、長年勤務していたにもかかわらず、一方的に雇止めをされたのは不当であるとして、自治体を相手取り地位確認や慰謝料(900万円)の支払いなどを東京地裁に求めていました。
 同地裁は、「任用を突然打ち切り、女性の期待を裏切ったものである」として慰謝料(150万円)の支払いを認めましたが、地位確認については認めませんでした。
 この女性は、主にレセプトの点検業務を行っており、1年ごとの再任用の繰り返しにより約21年間勤務していたそうです。(11月9日判決)

 ◆「過労死」をめぐる裁判例
 外資系携帯電話端末会社の日本法人に勤務し、地方の事務所長を務めていた男性(当時56歳)が、接待の最中にくも膜下出血で倒れて死亡した事案で、男性の妻が「夫が死亡したのは過労が原因である」として、労災と認めず遺族補償年金を支給しなかった労働基準監督署の処分を取り消すよう大阪地裁に求めていました。
 同地裁は、会社での会議後に行われた取引先の接待について「技術的な議論が交わされており業務の延長であった」と判断し、男性の過労死を認めました。
 この男性は、お酒が飲めなかったにもかかわらず、週5回程度の接待(会社が費用を負担)に参加していたそうです。(10月26日判決)

 ◆「震災口実の解雇」をめぐる労働審判申立て
 仙台市の複合娯楽施設2店舗で働いていたアルバイトの男女(11人)が、「東日本大震災」を口実とした解雇は無効であるとして、施設の運営会社を相手に地位確認などを求めて労働審判を申し立てました。
 同社から解雇されたのは今回申立てを行った計11人を含め568人もおり、約100人が同様の申立てを検討しているとのことです。
 アルバイト側の代理人弁護士は「震災を口実とした便乗解雇であり、許されない」とコメントしており、今後の審判の行方が注目されます。(10月25日申立て)


応募者のアルバイト経験を企業はどう判断するか

 ◆アルバイトに関する調査結果
 株式会社インテリジェンスが運営する「an」(求人情報サービス)は、20~40代の男女を対象として、「就活でアピールできそうなアルバイト」について調査を実施し、その結果を発表しました。この調査では13,418人が回答しています。


 ◆就活で何をアピールするか?
 「就職活動の際にアピールできそうなアルバイト」との質問に対する回答ベスト3は次の通りでした。
 (1)事務・オフィスワーク系…19.5%
 (2)営業系…18.4%
 (3)販売系…14.3%
 理由としては、1位の「事務・オフィスワーク系」では、PCスキルや書類作成スキルなど仕事での実務に直結した能力を身に付けられるという、就活での経験談が数多くみられました。
 2位の「営業系」では、社会人としてのビジネスマナーを学生のうちから身に付けられることにメリットを感じる意見が多くみられました。

 ◆明確な「採用方針」が重要
 採用企業側としては、アルバイト経験なども含め、筆記試験・面接などを通じて応募者の様々な側面を見ていく必要があります。
 しかし、採用活動を始める前に重要なことは、「自社がどのような会社なのか?」「自社はどのような方針の下に経営を行っているのか?」を改めて確認し、そして「自社にとってふさわしい人材」「自社の戦力になる人材」「自社が求めている人材」がどのような人なのかを明確にしておくことです。
 そのような方針もなしに闇雲に採用活動を続けてもうまくいかないでしょう。


「高額療養費制度」の見直し案

 ◆厚労省が見直し案を示す
 新聞報道によると、厚生労働省は、所得などに応じて医療費の患者負担分に上限を定める「高額療養費制度」の見直し案を社会保障審議会に示したそうです。
 これまでの月額上限に加え、年額上限の設定も検討されているようです。

 ◆「高額療養費制度」とは?
 医療費は患者の「3割負担」が原則ですが、医療費が月100万円を超えるようなこともあるため、一定額以上は保険給付でまかなう「高額療養費制度」があります。
 医療費の自己負担が一定額を超えた場合に超過分を払い戻す仕組みです。

 ◆課税世帯を3分割
 厚生労働省の見直し案では、800万円以下の課税世帯を3分割し、所得に対して医療費が重いとされる世帯の負担を軽減します。
 月8万100円の上限を、「年収300万円以下」の世帯で4万4,000円に、「年収300万円超~600万円未満」の世帯で6万2,000円に、「年収600万円以上」の世帯で8万円とします。
 また、月額上限とは別に、年額上限を設ける案も示しています。

 ◆年額上限の内容は?
 年額上限は、最も負担が重い上位所得者の場合が99万6,000円、一般所得者で「年収300万円超」の場合が50万1,000円、「年収300万円以下」の場合が37万8,000円、住民税非課税世帯の場合が25万9,000円となっています。
 これらの見直しを実施すると、医療給付費が2015年度時点で約3,600億円増えると試算されているため、厚生労働省は、外来患者から1回100円(低所得者は1回50円)とする窓口での追加負担を新たに徴収することで、財源を生み出す考えです。
 しかし、日本医師会などが強く反発しており、見直し案の実現には曲折も予想されます。また、高額療養費が増え続けた場合、保険料の引上げにもつながりかねません。
 今後も増加が予想される医療費をどのように見直していくのか、政府の対応に注目が集まっています。


地域での子育て支援に積極的な高齢男性が増加

 ◆定年後の活動として
 近頃、「イクメン」と呼ばれる育児に熱心な父親が注目される中、地域の子育て支援に積極的な高齢男性も増えているようです。
 定年後、「地域活動に貢献したい」と考えている男性にとって、彼らの取組みは参考になりそうです。

 ◆育児支援の会員組織が増加
 これらの高齢男性は「イクジイ」などとも呼ばれ、子育て中の親の支援や孫世代の育成に力を注いでおり、保育園の迎えや子どもの一時預かりなどを頼みたい親と、これらを支援したい人を結ぶ会員組織も増えています。
 会員は、会員組織から依頼があれば、時間の許す限り育児支援に関わっていきます。残業などで帰りが遅くなる親に代わって、保育園や学童保育施設に子どもを迎えに行き、親が引取りに来るまで自宅で預かったり、塾や習い事の場所まで送り届けたりしているそうです。

 ◆講座や講演会も実施
 上記のような事業を支援する東京の財団法人によると、2010年度の男性会員は3,535人で、2005年度に比べ約1,900人増えているそうです。提供会員に占める男性の比率は3.0%から4.2%に上がっています。
 あるNPO法人が開いた、孫との接し方や良い絵本の選び方・読み方などを専門家が指導する講座・講演会には200人以上の中高年男性が参加したそうです。

 ◆シニア世代の87%が「支援に意欲」
 調査会社が実施した「子育てをめぐる世代間関係調査」の中で、地域の子育て支援への参加意向を50~70代の男女780人に尋ねたところ、87%は何らかの支援意思があると回答したそうです。
 ただし、希望する誰もが「イクジイ」になれるわけではありません。活動には根気が必要であり、子どもが好きでないと務まりません。自分が向いているのかを確かめたうえで、除々に活動範囲を広げていくことが必要なようです。


「個人賠償責任保険」に加入していますか?

 ◆日常生活で思わぬことが…
 日々の暮らしの中で、思わぬ形で人にケガをさせたり、物を壊してしまったりした場合に、「個人賠償責任保険」に加入していれば、保険金により相手方に与えた損害を賠償することができます。
 以下では、主な補償の例や加入時の注意点をまとめました。

 ◆補償の対象となるケースは?
 この保険の補償の対象となる主なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
 ・自転車で人をはねケガをさせた
 ・子どもが友達と喧嘩をしてケガをさせた
 ・飼い犬が通行人に噛みついた
 ・マンションで階下に水漏れを起こした
 ・買物中の店で高価な商品を壊した
 上記のような過失による事故は補償の対象となりますが、同居の親族に対する損害賠償や他人から借りた物を壊した場合の損害賠償、故意に起こした事故などは対象外です。
 また、通勤途中の事故はカバーされますが、仕事中の事故はカバーされません。

 ◆「個人賠償責任保険」の特徴
 この「個人賠償責任保険」は、契約者本人だけでなく、配偶者や同居の親族、1人暮らしの学生など生計を同じくする別居の未婚の子もカバーできるのが特徴です。
 加入方法は、損害保険会社の販売する「自動車保険」「火災保険」「傷害保険」のいずれかに加入したうえで、特約として上乗せを行うのが一般的なようです。

 ◆加入時のチェックポイント
 チェックポイントとして、以下のことが挙げられます。
 (1)示談交渉代行サービスが付いているか
 (2)重複契約になっていないか
 (3)自動車の売却や引越しなどで保険が途切れていないか
 (4)海外で賠償責任を負った場合でも補償されるか
 特約の保険料は、最大保険金額1億円(または無制限)であっても、年額1,000円~2,000円程度で済むようです。


企業も苦慮する「待機児童対策」

 ◆厚生労働省の調査
 認可保育園への入園を希望しながら、定員がいっぱいで入れない待機児童が全国で2万5,566人(2011年4月1日時点)に上ることが、厚生労働省の調査で明らかになりました。
 預け先が決まらなければ職場への復帰もままならず、待機児童対策に企業も苦慮しているようです。

 ◆事業所内に託児所を設置
 待機児童数は4年ぶりに減少したとはいえ、相変わらず高い水準となっており、企業は対策に追われています。
 某大手企業では、本社に隣接する事業所内託児所を開設したそうです。朝7時半から夜8時まで、0歳から小学校入学までの乳幼児を最大で19人預かることができます。
 この企業では、育児休業取得者に調査を行ったところ、約23%の社員が保育園に入れないなどの理由で育児休業期間を延長しており、復帰してくるはずの社員が復帰できず、職場全体の人員異動計画を練り直さざるを得ないケースもあったようです。

 ◆入園のコツを社員に助言
 某都市銀行が育児休業中の女性社員を対象に開講した復帰サポート講座は、育児休業取得者が円滑に職場復帰できるよう、会社の状況などを伝える目的で始まりましたが、最近では、保育園への入園指導も重要な役割となっているそうです。
 状況を個別に聞き取り、入園へのコツを助言しているそうです。

 ◆子育てをしやすい社会の実現へ
 待機児童の状況は毎年変わり、年度内や翌年4月に新設される認可保育園もあるため、自治体の保育窓口で地域の実情を知ることが対策の第一歩です。
 また、希望する認可保育園に入れなかったとき、他にどのような保育サービスを利用できるかを事前に調べておけば慌てずに済みます。
 仕事と子育てを両立できる環境を作ることは企業の責任ですが、「待機児童対策」は本来、企業の役割ではありません。しかし、行政に任せるだけでなく、企業もその役割を果たしていかなければ、子育てをしやすい社会は実現しないのではないでしょうか。


どうなる?「専業主婦」の年金制度見直し

 ◆2012年にも見直しを実施
 厚生労働省は、2012年にも専業主婦の年金制度を見直す方針を示しています。
 具体的には、会社員の厚生年金と公務員の共済年金に関して、夫の保険料の半額を妻が負担したとみなし、夫と妻で年金を2等分して給付します。
 ただ、夫婦合算の保険料負担や年金受取額は変わらないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担することは変わらないようです。

 ◆「不公平」との批判に対応
 会社員や公務員を夫に持つ専業主婦は「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取ることができます。このため、保険料を支払っている自営業者の妻などから「不公平だ」との批判を受けています。
 今回の見直し案は、婚姻期間中に夫が支払った保険料は夫婦が一緒に支払ったとみなし、主婦も保険料を納付したと位置付けることで不公平感を和らげるのがねらいで、他にも主婦に別途の保険料負担を求める、夫が追加で保険料を支払うなどの案も出ています。

 ◆加入者全体で専業主婦の分を負担
 専業主婦が基礎年金を受け取ることができるのは、夫の他に、働く女性や単身者など厚生年金加入者全体で専業主婦の分を負担しているためです。
 今回の見直し案では、負担と給付の総額を変えないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担する実態は変わらないようです。

 ◆遺族年金はどうなるか
 現行制度においては、妻は夫が死亡した場合に「遺族年金」を受け取ることができますが、見直し案の導入後は自分の分だけしか受け取れなくなり、給付額は夫が生きていた場合の50%になってしまうそうです。
 夫は妻の分の保険料を支払っていますが、妻が先に死亡した場合、給付額は自分の分だけになり、実質的に減ってしまう可能性があります。


いま流行の「朝活」って何?

 ◆出勤前に勉強会などへ参加
 会社への出勤前に勉強会などに参加する「朝活」が若い世代を中心に広がっているようです。
 インターネット交流サイト(SNS)などを利用して業種や世代を超えた参加者と出会って人脈を作る「朝活」は、一種の自己投資として注目されています。

 ◆「SNS」が出会いの場
 インターネット交流サイト(SNS)は2000年代の中頃から普及し、人脈を広げたいビジネスパーソンなどに活用されています。
 大手交流サイトには、「朝活」で検索できるコミュニティが約150もあり、呼びかけ人が場所・時間・活動内容などを掲示し、希望者が参加意思を書き込む仕組みで、最も大きいコミュニティには2,000人以上が参加しているとのことです。

 ◆人脈作りやスキルアップに効果的
 ある人材コンサルタントは「時間の投資計画に敏感になることがキャリアアップの秘訣」と話しています。
 バブル期までは、接待や社内飲み会が全盛で、ビジネスパーソンの多くは「夜型」でしたが、バブル崩壊後は宴席が減り、どちらかというと「朝方」に変化していきました。
 また、不況で人員削減が進み、ビジネスパーソンの間で自己を守るための「自己投資」が本格化してきました。
 さらに、「SNS」の普及により、同じ志を持つ人々が「朝活」に集う環境が整いつつあるようです。

 ◆幅広い「朝活」のテーマ
 この「朝活」の効能は「気持ちがいい、楽しい、ためになる」の3つだと言われており、交流系、学習系、健康系、趣味系、仕事系、情報収集系、奉仕系に分類されます。
 現在、自分の定年まで会社が存続するのかどうかも不透明な時代です。常に必要とされる人材であり続け、何かあったときには助け合える人間関係を作るため、この「朝活」を始める人も多いようです。

2011/11/04

11月の事務所便り

社員が行う「副業」をどう考える?

 ◆問題点の多い「副業」
 リーマンショック以降の景気低迷によって残業時間が少なくなり、給与の手取りが減少した分を補うために、数年前から「副業」を行う人が増えていました。
 しかし、社員が本業の仕事とは別に副業を行う場合には、「通算して長時間労働になり本業に支障をきたす可能性がある」、「副業先で労災が起こった場合にどう対処するか」など、様々なリスクがあります。

 ◆会社として認めるか否かを適切に判断
 合理的な理由がある場合には、会社として社員の副業を認めない(副業禁止)とすることも可能ですが、認める場合の選択肢としては、(1)許可制とする、(2)届出制とする、(3)完全解禁とする、ことなどが考えられます。
 上記のいずれを選択するにしても、就業規則などを整備して、副業を認める場合の基準(ルール)を明確にしておく必要があるでしょう。

 ◆副業を認める場合に注意すべきこと
 仮に社員の副業を認める場合には、リスク管理の観点から、「本業に支障が生じてしまうほど長時間労働となるような副業は認めない」ことや、「自社の業務内容と競合するライバル会社での副業は認めない」ことなどが必要です。

 ◆増加傾向に歯止め
 近年は増加傾向にあった副業ですが、この傾向にも歯止めがかかっているようです。
 株式会社インテリジェンスが今年の3月に実施した「副業に関するアンケート調査」の結果によれば、25~39歳の正社員で副業をしている人は20.1%で、2009年(30.8%)の約3分の2に減少しています。
 同社では、副業が減少した原因として、「景気の回復により残業が解禁され、副業をする時間がなくなった」ことなどが挙げられると指摘しています。
 なお、副業による収入は「平均4.3万円」との結果でした。


中小企業にも大きな影響を与えている「円高」の進行

 ◆経済産業省の調査結果から
 現在、企業の想定レートを上回るほどの円高が続いており、日本経済に大きな影響を与えていますが、経済産業省では、今年8月に実施した「現下の円高が産業に与える影響に関する調査」の結果を発表しました。
 この調査には、大企業製造業61社、中小企業製造業83社、非製造業10社が回答していますが、以下では主に中小企業への影響について見ていきます。

 ◆「円高」の中小企業への影響
 上記の調査結果から、円高の中小企業への影響は次のように分析されています。
 ・現在の円高水準では、減益となる企業が7割強に上り、半年間継続した場合には減益を予想す     る企業が8割を超える。
 ・主な減益の原因として、「値下げ要請」、「他国企業との競争激化」等が挙げられている。
 ・現在の円高水準での対応策としては、「経営努力等によるコスト削減」や「取引の円建て化」で対応を考える企業が多いが、為替水準が継続した場合は「海外生産比率の増加」を検討する企業が増える。
 ・外国から海外進出の誘致を受けている企業もある。国別では中国が多く、アジアを中心に日本企業への働きかけがある。

 ◆助成金の支給要件緩和
 厚生労働省では、円高の進行に対応するため、今月上旬に「雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)」の支給要件緩和を発表しました。
 10月7日から、円高に応じて雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)を利用する場合、「最近3カ月の事業活動が縮小していること」としている支給要件について、確認期間を「3カ月」から「1カ月」に短縮するとともに、「最近1カ月の事業活動が縮小する見込み」であっても、利用手続の開始を可能としました。


休日数の多い業種・少ない業種は?
 
 ◆25~39歳の800人が調査に回答
 株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」では、「休日に関するアンケート調査」(25~39歳のビジネスパーソン800人が回答)を行い、その結果が発表されました。
 
 ◆業種による休日数の違い
 この調査では、はじめに「有給休暇を除いた年間休日数」を尋ねましたが、全体平均は「115日」でした。
 業種別では次の通りとなっています。
 ・休日数が多い業種…(1)「金融」122日、(2)「メーカー」121日(3)「IT・通信・インターネット」121日
 ・休日数が少ない業種…(1)「小売・外食」104日、(2)「建設・不動産」107日、(3)「メディカル」110日
 この調査では、「BtoB」ビジネスを展開する業種、土日・祝日休業が多い業種では休日数が多く、「BtoC」ビジネスを展開し、顧客ニーズに合わせて年中無休や土日・祝日に営業している業種では休日数が少ないと分析しています。

 ◆厚生労働省の調査では
 なお、厚生労働省の調査(平成22年就労条件総合調査)では年間休日総数の1企業平均は「106.4日」(前年105.6日)、労働者1人平均は「113.4日」(同112.6日)となっています。
 企業規模別では1,000人以上が116.4日(同116.1日)、300~999人が113.4日(同112.4日)、100~299人が109.9日(同109.8日)、30~99人が104.5日(同103.5日)となっています。
 産業別では、「情報通信業」が123.5日(同121.2日)で最多、「宿泊業・飲食サービス業」が91.0日(同91.9日)で最少でした。


「確定拠出年金」導入企業が増加傾向

 ◆株価低迷、積立不足への対策として
 企業型確定拠出年金(日本版401k)の加入者数が400万人を突破したそうです。この数字は、会社員の約8分の1に相当します。
 加入者増加の背景には、長期的な株価の低迷、企業年金への資金拠出負担を抑えて積立不足を解消したい企業の考えがあるようです。
 2012年3月に控えた「税制適格退職年金」の廃止を前に確定拠出年金への移行を実施する企業も多く、加入事業者数は1万5,117社(今年7月末時点)と増加傾向にあります。今後導入する企業も増加する見込みだと言われています。

 ◆導入から10年が経過
 確定拠出年金は2001年10月に日本に導入されました。加入者自身が運用手段を選択して、運用実績に応じて年金の受給額が変わる仕組みとなっており、「企業型」(約400万人が加入)と「個人型」(約13万人が加入)があります。
 上記の「企業型」の場合、掛金を拠出できるのはこれまでは企業だけでしたが、2012年からは個人による上乗せ拠出も可能となります。

 ◆導入企業に求められる「投資教育」
 確定拠出年金では加入者自身が運用の責任を負うため、企業には加入者(従業員)に「投資教育」を行うことが求められます。しかし、企業年金連合会の調査によると、継続的な投資教育を実施している確定拠出年金の導入企業は約6割に過ぎません。
 運用難による積立不足が発生しがちな「確定給付企業年金」からの移行も多く、「運用リスクを企業が従業員に押し付けている」などと批判されることも多い企業型確定拠出年金ですが、導入企業には加入者(従業員)への十分なフォローが求められます。


厚生年金の適用拡大でどうなる?

 ◆「一体改革」を具体化へ
 厚生労働省は、政府の「社会保障と税の一体改革」の具体化に向けた作業を進めています。非正社員を厚生年金に加入させるために、労働時間や収入の条件を見直す方針です。

 ◆年収基準を引下げへ
 「第3号被保険者」(夫が会社員や公務員である専業主婦)と認定する年収の基準を、現行(130万円)から引き下げる考えです。厚生年金保険料の算定に使う標準報酬の下限(月額9万8,000円)を下げることも検討しているようです。
 現在、労働者の4割をも非正社員が占めるようになり、年金制度に歪みが生じています。非正社員が加入する国民年金の加入対象者としては、主に定年がない自営業者などが想定されており、厚生年金に比べて手取りが少額です。

 ◆厚生労働省による試算結果
 しかし、厚生年金の適用拡大に伴い、企業の負担は増えます。
 厚生労働省が2007年に実施した試算結果によれば、加入条件(労働時間)を「週30時間以上」から「週20時間以上」に拡大すると新たに約310万人が厚生年金の加入対象となり、企業の負担が年間約3,400億円も増えるそうです。

 ◆負担増となる主婦から反発も
 厚生労働省が過去に実施した短時間労働者を対象とするアンケート調査によれば、年収130万円を超えると保険料の支払義務が発生するために「労働時間を減らしている」と回答した人が25%にも上ったそうです。
 現行の年金制度が働き方を制限していると言えますが、差し引きで負担増となる主婦層などから反発が出ることも予想されています。


「サービス付き高齢者向け住宅」の特徴は?

 ◆法改正により新サービススタート
 「高齢者住まい法」の改正を受けて、「サービス付き高齢者向け住宅」(高齢者向けの賃貸住宅制度)の登録が10月から始まりました。
 安否確認や生活相談などのサービス提供を義務付けたのが特徴であり、契約者保護の規定も充実させる内容となっています。

 ◆どのようなサービスを受けられるのか?
 「サービス付き高齢者向け住宅」には、次のような特徴があります。
 まず設備面では、部屋の床面積を原則25平方メートル以上のバリアフリー構造とし、キッチン・水洗トイレ・収納・洗面台・浴室を備えることが必要です。サービス面では、日中はヘルパー2級以上の資格を持った職員が常駐し、入居者の安否確認と生活相談にあたることを義務付けています。
 また、費用面については、入居者が事業者に支払うのは敷金・家賃・サービスの対価に限定しています。
 この他、前払金・返還金額の算定方法の明示、契約日から90日以内の解約の場合の前払金の一部返還、事業者の一方的都合(入居者の長期入院など)による変更や解約禁止も義務付けています。

 ◆サービス内容に注意が必要
 しかし、提供されるサービスの中身については注意が必要です。法律で義務付けられているのは「安否確認」と「生活相談」のみであり、訪問介護や訪問診療などは原則として外部サービスを利用することになるため、この点については通常の在宅介護と変わりありません。
 また、生活相談については、「行政や地域の情報提供やテレビのリモコンの使い方などこまごまとした内容」に留まることが多くあり、どのような上乗せサービスが提供されているのか、相談費用は居住費などに含まれるのかなど、事前に確認する必要があります。

 ◆慎重な選択が求められる「高齢期の住まい」
 高齢期の住まいは、所管官庁や根拠となる法律の違いにより、種類が多くてわかりにくくなっています。名称のみにこだわらず、サービスの実態・費用・立地・入居者の生活スタイルなどを目安に、複数の住宅や施設を見学して比較するなどして慎重に選ぶことが必要です。


社員の「うつ病」に備えるには?

 ◆職場として必要な知識は?
 職場でメンタル面の不調を訴える人が増えていますが、中でも「うつ病」の患者数は特に増えており、非常に身近な病気となりつつあります。
 うつ病は、身体の病気とは異なる性質があるため、職場としても知識を備えておくことが重要です。

 ◆うつ病の基準とかかりやすい人の特徴
 うつ病は、医学的に広く使われる基準では、「抑うつ気分(気分の落込み)」か「意欲の低下」のどちらか、または両方が2週間以上続き、さらに同時期に睡眠や食欲の乱れ、思考力の減退などがある場合に、その可能性が高いとされています。
 うつ病(いわゆる「新型うつ病」は除く)になりやすい人は、一般的には責任感が強く、無理をして頑張りがちだと言われています。また、職場の同僚や上司から見ると、仕事でミスが増える、外見を気にしなくなるといった兆候が表れることが多いようです。

 ◆公的支援策の活用も
 うつ病と診断された場合、一般的には薬の服用と休養を中心とした治療を受けることになります。治療期間は病気の程度にもよりますが、数カ月から1年以上に及ぶことも多くあります。
 治療には時間がかかり医療費など経済的な負担が大きくなりがちですので、公的な支援策(自立支援医療制度、高額療養費等)の活用が有効です。

 ◆復職について「焦り」は禁物
 うつ病による休職者にとって気になるのが「職場復帰」の問題です。多くの人は早期復職を希望しますが、復職をきっかけに再発するケースも目立ちます。企業側でも、休職者を受け入れるためのルール(規定)や復職支援制度を整備する例は増えつつあります。
 復職について明確なルールを定めることで、再発を防止し、受け入れる職場での対応もスムーズになります。また、慣れた職場で短時間就労する「慣らし期間」から始め、体調や仕事ぶりについて産業医・上司・人事担当者らが相談しながら、徐々に元の仕事に戻すやり方もあります。
 うつ病は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら回復することが多いため、主治医が復職を認めた場合であっても、完全には回復しないことも多くあります。患者にも職場にも、復職に焦りは禁物と言えます。


財政が苦しい健康保険組合の現状

 ◆8割弱の健保組合は赤字
 主に大企業の社員やその家族が加入する健康保険組合(健保組合)の財政難が厳しさを増しているようです。
 健保組合全体の赤字額は、過去最悪だった2009年度の5,200億円に続き2010年度も4,100億円に高止まりしています。約3割の健保組合が保険料を引き上げたにもかかわらず、8割弱が赤字となっています。

 ◆ピーク時には1,800組合突破
 企業が独自に健保組合を設立し始めたのは高度成長期であり、当時は「政府管掌健康保険」(現在は「協会けんぽ」)に加入するよりも保険料率が低く、社員に独自給付を提供できるメリットがありました。
 ピーク時(1992年)には1,800組合を突破しましたが、その後、高齢化と景気低迷などにより財政が悪化し、約400組合は解散などで消滅しています。

 ◆引上げ傾向にある保険料率
 しかし最近、企業が健保組合を持つメリットは少なくなりつつあります。平均保険料率は標準報酬月額の7%台であり、協会けんぽの保険料率(約9.5%)よりは低くなっていますが、2割強以上は9%以上となっています。
 2011年度に日本航空(JAL)健保組合が保険料率を6.7%から9.6%に大幅に引き上げるなど、料率が協会けんぽを超えているところもあります。

 ◆抜本的改革が必要な時期に
 なお、健保組合が他制度に払う支援金が保険料に占める割合は、1999年度に初めて3割を超え、現在は約4割にまで拡大しています。政府の「社会保障と税の一体改革」においても、健保組合については現行制度を前提としており、高齢者の医療費が増加して財源が足りなくなれば機械的に健保組合からの支援金を増やして賄う仕組みは変わらないようです。
 負担に耐えられずに健保組合を解散する企業が増えていくことが予想される中、現役世代の負担増を抑えるためには、現行制度を抜本的に改革する必要があるのではないでしょうか。


40代…育児と介護が重なってしまったら

 ◆会社内で責任が増す世代
 一般的に「40代」は職場での仕事に責任が増す世代ですが、子供がまだ小さく育児に時間をとられ、さらに親の介護が必要となったようなケースでは、一気に不安定な状況に陥りがちです。
 共働きの世帯も多い中、社員にとってはどのようにやりくりするかが大きな問題ですが、会社による支援も重要です。

 ◆重くのしかかる介護の負担
 厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によれば、全国の65歳以上の「要介護・要支援認定者」は約462万人(暫定値。2011年4月末時点)です。
 また、2010年の「国民生活基礎調査」によれば、要介護・要支援者と同居している主な介護者の年齢層は50~60代が多く、40代は8.3%と割合としては多くありません。しかしながら上の年代と比べると子供が小さいケースも多いだけに、いざ介護を行わなければならなくなったときの負担は決して軽くありません。
 また、「人口動態統計」によれば、35~44歳の母親から生まれた子供の数は2010年に25万4,710人で、1985年時点と比べると約2.5倍となっています。10歳以下の子供を持つ40代女性は急増しているのです。

 ◆介護保険料の支払いも始まる
 40歳からは介護保険料の支払いも始まりますので、40代は自分も当事者であると考え、介護の不安を不安のままにとどめず、一歩踏み出さなければならない時期です。
 両親に「在宅」か「施設入所」かの希望を聞いたり、親族と介護の分担などについて話し合ったり、将来に備えて会社に相談もし、介護で使える制度や支援の確認をすることも必要です。

 ◆社員が相談しやすい環境整備を
 共働きの家庭において育児・介護が重なった場合、やむなく離職や転職を選択する人もいます。しかし、40代における収入減は人生設計に大きな影響を及ぼすため、会社を辞める判断をする前に会社に相談するのが良策です。
 会社にとっても有能な人材の流出は大きな損失であるため、社員からの相談に応じられるよう環境を整備することも必要と言えるでしょう。


異業種から「デイサービス」事業への参入

 ◆本業でのノウハウを活用
 高齢者に食事や入浴を日帰りで提供する「デイサービス」に、異業種の中小企業が相次いで参入しているようです。有料老人ホームなどの介護施設と比較して初期投資が少なく、人員配置の基準も比較的緩いというのが、その理由のようです。
 本業で培ったノウハウをデイサービスでも活用することで独自色を出し、大手業者に対抗しようとしています。

 ◆非常に高い伸び率
 厚生労働省の発表によれば、2011年度に介護サービス市場は約8.3兆円に達する見通しで、この数字は介護保険制度が始まった2000年度の2.3倍に相当します。
 サービス内容は「老人ホーム」や「訪問介護」など多岐にわたりますが、自宅暮らしの高齢者向けでは「デイサービス」の伸び率が高く、「訪問介護」の2009年度における市場規模は2006年度に比べ2.6%増にとどまったのに対し、「デイサービス」は33%増となっています。

 ◆中小企業が続々参入
 市場拡大要因の1つが「中小企業の参入」です。老人ホームは開設までに数億円かかると言われていますが、デイサービスの場合は初期投資が1,000万円程度で済み、また、1カ所でまとめてサービスを提供するため、訪問介護に比べて収益性が高くなっています。
 食事・入浴・レクリエーションなどを提供するといったデイサービスの一般的なサービス内容や開設までのプロセスを標準化することで、出店コストや運営費を抑制し、フランチャイズチェーン展開する事業者も出てきているようです。

 ◆独自のサービス提供も
 しかし、供給過多となった都市部では、参入はしたものの閉鎖するケースも出始めています。このため、独自サービスにより利用者を増やそうとする動きも広がっています。
 独自サービスとして今注目されているのが、食品の宅配や家事代行などです。介護報酬の引上げが見込まれにくい中、低価格で受けられるサービスを利用者に提供することで、収益の安定や新規顧客の獲得につなげたいと考えているようです。

2011/10/01

10月の事務所便り

「節電期間」の終了で企業の対応は?


 ◆9月9日に制限令が解除
 政府が東北電力と東京電力の管内で適用していた「電力使用制限令」が、9月9日に解除されました。制限令が発出されたのは実に37年ぶりのことであり、期間中、企業には原則として15%の節電義務が課され、大きな影響を受けた企業も少なくないでしょう。
 この制限令の解除を受け、各企業はどのように対応しているのでしょうか?

 ◆3パターンの対応
 制限令の解除を受けた企業の対応としては、主に下記の3パターンがあるようです。
(1)通常の状態に復帰する例
 ・工場における夜間操業を通常操業に復帰(製造業)
 ・電気を落としていた売場の照明を震災前と同様に(百貨店)
(2)節電対策を継続する例
 ・作業スペース削減などによる節電対策を継続(製造業)
 ・自宅や外出先でのテレワークを継続(機器メーカー)
(3)節電対策を強化させる例
 ・節電型の自動販売機の設置を拡大(飲料メーカー)
 ・店舗内に太陽光発電や蓄電池を導入(薬局)

 ◆サマータイム制のメリットは?
 上記からもわかる通り、「省エネ」や「経費節減」のため、節電対策を継続する企業は意外に多いようです。
 また、始業時間と終業時間を早める「サマータイム制」を導入した企業のうち、今秋以降も継続を検討するところがあるようです。
 その理由として、「仕事の密度が高まることにより、残業の削減ができた」ことを挙げる企業の担当者がいました。また、社員にとっても「帰宅後に家族と過ごす時間が増えた」「自分の時間が確保でき、自己研鑽の時間を多く持つことができた」といった大きなメリットがあるようです。


トラブルが増加している「定年後の再雇用」

 ◆多岐にわたるトラブル内容
 定年後の再雇用(継続雇用)をめぐるトラブルが増えているようです。
 トラブルの内容は「再雇用基準の有効性」「再雇用の有無」「再雇用の更新基準」「再雇用後の雇止め」など、多岐にわたります。

 ◆65歳までの雇用確保措置
 2006年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、従業員の65歳までの雇用確保措置について
(1)定年制の廃止
(2)定年年齢の引上げ
(3)継続雇用制度の導入
のいずれかを義務化(ただし暫定措置等あり)しました。
 そして多くの企業では、(3)の継続雇用制度のうち「再雇用制度」の導入を選択しているのが実状です。

 ◆裁判例は「労働者有利」の傾向に
 前記の通り、「再雇用基準の有効性」「再雇用の有無」「再雇用の更新基準」「再雇用後の雇止め」をめぐるトラブルが増えていますが、近年、労働者側に有利な裁判所の判決が相次いで出されています。
 昨年2月、再雇用制度の導入に必要な労使協定が存在しなかったことなどから、「制度導入を定める就業規則は手続要件を欠いており無効」と判断され、労働者としての地位が確認され、賃金の支払いが会社側に命じられたケースがありました(横浜地裁川崎支部)。
 昨年3月には、会社側の一方的な再雇用の拒否が違法であると判断され、会社側に550万円の支払いが命じられています(札幌地裁)。

 ◆気持ちよく働いてもらうために
 再雇用制度を導入する場合、法律に違反するものと判断されないよう十分な注意を払うことは当然ですが、それとともに、高年齢者の方に気持ち良く働いてもらいための制度設計・賃金設計や環境づくりも必要となります。


若手社員が感じている「仕事の厳しさ」

 ◆入社1~2年目の社会人を対象にアンケート調査
 レジェンダ・コーポレーション株式会社では、今年7月に「若手社員の意識/実態調査」を実施し、その結果が発表されました。
 2010年4月に新卒で入社した「2年目の社会人」と2011年4月に新卒で入社した「1年目の社会人」を対象に調査を行い、699名が回答しています。
 
 ◆3人に2人が「仕事が厳しい」
 まず、「仕事が厳しいと感じるか」との質問には、65.1%が「感じる」(「毎日感じる」「時々感じる」のいずれか)と回答しており、約3 人に2人が仕事の厳しさを感じているようです。
 入社年数で比較してみると、入社1年目の社員よりも入社2年目の社員のほうが、「仕事が厳しい」と感じる割合が3.8ポイント高い結果となりました。

 ◆多くの若手社員が「知識不足」「能力不足」を自覚
 次に「仕事が厳しいと感じることはどんなことか」(複数回答)との質問に対しては、上位5つは次の通りの結果となりました。
 (1)「自分の知識不足」(63.8%)
 (2)「自分の能力不足」(55.1%)
 (3)「仕事の質の追求」(30.2%)
 (4)「仕事の多さ」(29.3%)
 (5)「仕事の進め方の細かさ」(27.9%)
 以下、「対人関係」(27.6%)、「決まりごと・ルール」(27.6%)、「勤務時間の長さ」(19.0%)などと続いていますが、自己の知識・能力不足を自覚している人が多いようです。

 ◆厳しい環境が若手社員の成長に
 厳しい仕事環境に置かれ、そして試行錯誤しながら様々な経験を積んでいくことで、若手社員は伸びていきます。
 時には厳しく接し、時にはフォローをしてあげながら、若手社員の成長を見守っていきましょう。


違法と判断される不当な「異動・配転」はどのようなものか?

 ◆事件の概要
 先日、上司の行為(取引先の社員を引き抜こうとしていた行為)を社内にある「コンプライアンス窓口」に内部通報したことにより不当な異動(まったく経験のない部署への配置転換)を命じられたとして、現役社員(原告)が勤務先(被告)に異動の無効確認と損害賠償(1,000万円)を求めていた訴訟の控訴審判決がありました。
 東京高裁は「業務とは無関係に異動を命じており、人事権の濫用に該当する」として、原告敗訴とした1審判決を破棄し、異動は無効であるとし、会社と上司に220万円の賠償を命じました。

 ◆不当・違法と判断されるケース
 人事権は広く会社に認められていますが、上記のケースの他、どのような人事異動・配置転換が不当・違法であると判断されるのでしょうか。
 過去の裁判例では、
(1)業務上の必要性が存在しない場合
(2)仮に必要性が存在したとしても他の不当な動機・目的による場合
(3)労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合
 等、特段の事情の存する場合においては、人事権の濫用に該当するとしています。
 なお、(2)でいう「不当な動機・目的」とは、社員を退職に追い込む目的,上司による嫌がらせ目的等が考えられます。

 ◆業務の系統を異にする職種への異動
 この他、業務の系統を異にする職種への異動については、業務上の特段の必要性、当該従業員を異動させるべき特段の合理性があり、これらの点につき説明が十分になされた場合か、本人が特に同意した場合を除いては、会社は一方的に異動を命ずることはできないとした裁判例もあります。
 個々の裁判例は背景にそれぞれ特殊な事情があり、他の同様のケースにもすべて当てはまるわけではありませんが、会社としては、人事異動・配置転換が不当・違法なものと判断されないよう注意する必要があるでしょう。


これからどう変わる?「子ども手当」

 ◆支給額の変更
 現行の子ども手当は、中学生までの子ども1人当たり一律月額1万3,000円ですが、10月以降、3歳未満は15,000円、3歳から小学校卒業までは1万円(第3子以降は15,000円)、中学生は1万円となります。
 
 ◆支給要件を厳格化
 また、子どもの国内居住など支給要件を厳格化することに伴い、すべての対象世帯に市町村への申請を求めるとしています。これまで、新規の受給者は申請を行う必要がありましたが、2009年度まで児童手当を受給していた人は免除されていました。
 申請は10月以降、保護者と子どもの氏名、年齢、養育状況などを記した書面を市町村窓口に提出することになります。未申請の人には支給されませんが、経過措置として来年3月までに手続きを行えば遡って支給されます。
 この他、保護者の同意を条件に給食費を差し引いたうえで手当を支給する仕組み、滞納が問題になっている保育料を手当から天引きできる仕組みの導入も検討されています。

 ◆高所得者は負担増へ
 来年6月分からは新児童手当に所得制限が課され、年収960万円程度を超す世帯への支給は打ち切られます。「児童手当」から「子ども手当」に制度変更した際に見直した扶養控除の縮小はそのままで、0歳から15歳までの年少扶養親族にかかる扶養控除が、今後は所得税・住民税ともに廃止となるため、実質増税となります。

 ◆控除縮小による影響
 働く夫、専業主婦の妻、子ども2人の家庭を想定して、旧制度である児童手当との増減を試算したところ、新制度で恩恵を受けるのは年収500万円程度の世帯だそうです。
 年収500万円以上1,000万円未満程度の家庭では、子どもの年齢や数によっては負担が増えることもあります。年収1000万円の世帯では、新児童手当が受け取れないうえ、控除縮小に伴う所得税と住民税の増額が重くのしかかることになります。


「在宅勤務制度」導入とワーク・ライフ・バランス

 ◆「節電対策」で導入が増加
 節電対策の一環として「在宅勤務制度」を導入した企業が増えましたが、制度導入を契機に「ワーク・ライフ・バランス実現」や「危機管理対策」に繋げようとする企業も多いようです。

 ◆導入事例とメリット
 大手損害保険会社では、本社の社員約3,000人のうち裁量労働制で働く社員約1,500人を対象に、夏季限定で導入しました。また、人事部や経営企画部などでも、1人あたり月1~2回限定で順番に在宅勤務を行ったそうです。この他、システム系の部署ではこの夏ほとんどが在宅勤務という人もいたようです。
 制度導入の大きなメリットの1つに、通勤時間分を家族との時間に充てられることが挙げられます。子供を初めて幼稚園に送った男性は「妻の苦労がわかった」と言います。

 ◆労務管理の難しさ
 民間調査会社が夏季電力の使用削減量15%以上を目指す企業(約4,000社)を対象に実施した調査によれば、節電対策として在宅勤務制度を導入した企業は約60社だったそうです。
 労働時間管理などの労務管理の難しさもあり、二の足を踏む企業が多かったのですが、導入した企業では「仕事に集中できる」「通勤ストレスから解放される」など、前向きな意見が多く聞かれました。

 ◆効果的な制度活用
 企業の在宅勤務制度導入に関する指導を行う会社では「震災をきっかけにワーク・ライフ・バランスを進める企業がより増える」と見ているようです。震災や計画停電に直面し、どこでも仕事ができる環境の強みを企業が痛感したためです。
 これまで在宅勤務制度は、主に育児等の理由で出社できない社員に対する福利厚生制度として位置付けられることが多かったようです。今後は育児だけでなく介護に直面する社員も増加するため、ワーク・ライフ・バランスを実現する手段として在宅勤務制度は有効なものとなるでしょう。


介護事業所における人手不足と安全衛生面の課題

 ◆「就業意識実態調査」から
 ヘルパーなどの介護従事者でつくる「日本介護クラフトユニオン」が発表した「2011年度 就業意識実態調査」の結果によると、介護職場においては、人手不足に加え、職員の安全衛生面(ケガや健康)なども大きな課題となっているようです。

 ◆職種で異なる人手不足感
 この調査によると、職種別の人手の不足感(「大いに不足している」「やや不足している」の合計)が高いのは、上から順に「訪問介護員」(月給制組合員で78.3%、時給制組合員で58.8%)や「施設系介護員(入所型)」(同71.7%、62.0%)、「施設系介護員(通所型)」(同61.5.%、57.3%)、「看護師」(同68.2%、55.4%)となっています。
 一方、「ケアマネージャー」(同54.8%、45.5%)や「生活相談員」(同49.6%、43.6%)、「事務職」(同54.9%、52.7%)、「サービス提供責任者」(同42.6%、39.4%)などでは「妥当である」との回答が多く、職種により大きな違いがあることがわかりました。

 ◆人手不足が長時間労働に繋がる
 人手不足が、職場での様々な問題の原因になっています。
 例えば、今年3月の労働日数および時間数を尋ねたところ、訪問系管理者で25日以上働いた人は27.5%で、労働時間数は平均199.42時間に上っています。
 人手不足が管理職員の長時間労働問題に繋がっている様子がわかります。

 ◆安全衛生面にも大きな課題
 仕事が原因の健康問題について、約40%の人が「ある」と回答をしています。症状別にみると、「腰痛」「肩こり」のほか、「イライラする」「頭痛」「よく眠れない」など、メンタル面の問題を抱えている人も多いようです。また、「感染症胃腸炎」や「疥癬」などの感染症を訴える人もいました。
 このように様々な問題を抱える介護事業所ですが、人手不足の抜本的な解決策が必要となっているようです。


出産後の女性社員に対する企業独自の支援策

 ◆法律上の支援だけでは不十分
 育児休業制度が定着し、女性にとって出産は仕事を続けるうえでの障害ではなくなりつつあります。
 しかし、仕事にも子育てにもやりがいを持って働き続けるには法律上の支援策だけでは十分とは言えません。企業にとって、出産後の女性社員の活用は重要な課題となっています。

 ◆休業期間が長期化の傾向
 厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると、2010年度の女性の育休取得率(出産者に占める育休取得者の割合)は83.7%であり、出産をきっかけに退職する女性は減っているようです。
 休業期間は長期化の傾向にあり、63.1%の人は10カ月以上取得しており、産前産後休業を含めると1年以上は職場を離れてしまうため、企業では、キャリアの中断が復職後の働き方に影響しないよう工夫する必要があります。

 ◆懇親会で先輩からアドバイス
 育休取得者が増加し、5年前と比較して倍増した企業では、育休を気兼ねなく取れるようになった一方、復職後の働き方に悩むケースが出ています。そこで、無理なく仕事に復帰できるよう、育休中の社員のために、すでに職場復帰しているワーキングマザーを交えた懇親会を開いているそうです。
 
 ◆モチベーション維持のために
 その他、産前産後休業や育休で空白期間が生じたとしても、「ゼロ査定」とはせずに休業直前の評価を据え置くことで、昇給・昇格が遅れることを防止し、職場復帰後もモチベーションを維持して仕事に取り組んでもらえる仕組みをつくる企業もあるようです。


海外での公的な社会保障制度の活用

 ◆海外での制度活用
 仕事や旅行で海外に滞在しているときであっても、公的な社会保障制度を活用できます。病気やけがをした際に医療費の一部が払い戻される仕組みや、年金保険料を日本と外国で二重払いしなくてもよい仕組みがあるなど、使える制度は幅広くなっています。

 ◆海外滞在中の医療費をどうするか
 海外での病気やけがへの備えとしては、損害保険会社が取り扱う任意加入の「海外旅行保険」がありますが、公的保険にも「海外療養費支給制度」というものがあります。  
 これは、滞在先の医療機関において治療を受けた際の医療費を全額自己負担した後、加入する健康保険に所定の書類を提出申請し、支給が決定すれば申請者が指定する日本の金融口座に医療費の7~9割が振り込まれ、一部払い戻しされる制度です。
 ただし、この制度は実際に負担した医療費の大半を賄えるとは限らないため、医療費が高額になりがちな海外に渡航する際は、実際に支払った費用に基づいて補償する民間の海外旅行保険に加入し、一方で海外療養費の申請書類も事前に準備して、海外旅行保険の適用外の医療行為については同制度を活用することが有効です。

 ◆12カ国と「社会保障協定」締結
 転勤等で海外に赴任する際は、日本だけでなく現地の社会保障制度への加入が義務付けられており、両方に年金保険料を支払う必要があります。
 しかし、外国では加入期間が短く年金の受給資格を満たせないケースが多く、現地の保険料は掛捨てになってしまうことが多くなっています。
 そこで政府は、海外赴任者が日本と外国で二重に年金保険料を支払う問題などを解消するため、諸外国と「社会保障協定」を締結する動きを強めており、2011年1月現在、12カ国と締結済みです。

 ◆締結先によって内容は異なる
 社会保障協定が発効すると、日本か協定締結国のどちらか一方に年金保険料を支払うこととなります。働く予定の期間が5年以内の場合は原則として日本に保険料を納付し、逆に5年超の場合は日本での支払いが免除されます。
 ただし、社会保障協定の内容は協定締結国ごとに異なりますので、注意が必要です。


メンタルヘルス対策 強化の動き

 ◆増加する職場でのストレス
 厳しい労働環境で仕事のストレスが増え、精神疾患を抱える社員の対策が急務になっています。
 昨年、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が企業にメンタルヘルスに問題がある社員を抱えているかを調べたところ、57%が「いる」と答え、業種別では「医療・福祉」(77%)と「情報通信業」(73%)が全体の平均を大きく上回りました。

 ◆企業の様々な取組み
 通信大手の企業では、産業カウンセラーなどの資格を有する一般社員が悩みを聞く独自の「サポーター制度」を導入しました。
 社員からすれば産業医や専門カウンセラーは敷居が高く、気軽に相談しづらいこともありますが、このサポーターであれば敷居も低く、いわば“第二の上司”として社員のメンタル面での面倒をみます。結果として、社員数は増えても休職者数はほぼ横ばいにとどまっているそうです。
 最もストレス度が高いとされる医療・福祉業界のある大手企業でも、今年から外部委託のメンタルヘルスサービスの内容を切り替え、約9,000人の社員は無制限で電話でカウンセラーに相談できるようにしたそうです。

 ◆法改正の動向
 厚生労働省は現在、ストレスを抱える社員に対する面接指導などを義務付けるように法制化を準備しているようです。
 定期健康診断の際に「ひどく疲れた」「憂鬱だ」といった簡易なストレス症状の判断テストを全社員に実施し、かなりのストレスを抱えている状態であれば健康診断を行った医師が社員に知らせ、社員は事業者に医師の面接指導を希望します。
 これは従来、長時間労働者のみがストレス診断の対象だったものを、すべての労働者に広げるもので、早ければ今秋の国会に関連法案を提出するようです。

 ◆職場前提の課題を取り除く必要
 こういった面接指導などの取組みと合わせ、企業がメンタルヘルスの問題を未然に防ぐためには「働き過ぎ」「コミュニケーション不足」など、職場全体の課題を取り除く必要があるのではないでしょうか。