厚労省の発表にみる「国民年金」の気になる数字
◆国民年金保険料納付率が最低を更新
厚生労働省が7月5日に発表した調査結果によると、2011年度の国民年金保険料納付率は58.8%と、2010年度の59.3%に引き続き60%を下回る結果となりました。
納付率は、20歳以上の学生の強制加入が導入された1991年と翌1992年の85.7%をピークに下がり始め、1997年に制度維持に必要とされる80%を下回り、その後2005年の若年者納付猶予制度導入時にいったん回復しましたが、翌2006年以降下がり続けています。
◆若年層ほど納付率が低い
年齢層別では、「20~24歳」50.05%、「25~29歳」46.13%、「30~34歳」49.63%、「35~39歳」55.57%、「40~44歳」57.06%、「45~49歳」59.42%と、20~40歳台前半のいずれも「50~54歳」65.16%、「55~59歳」71.83%に比べて低くなっています。
若年層ほど納付率が低くなる原因として、非正規労働者の増加により、年収が低くて保険料を納めたくても納められない人がいることが指摘されています。
◆加入者の収入の低さは別の調査結果からも明らか
同じく厚生労働省が9日に発表した公的年金加入者の所得状況の調査結果によると、国民年金第1号被保険者の平均年収は159万円と、第2号被保険者である厚生年金保険加入者、共済年金加入者の平均年収が426万円であることに比べると半分以下であることが明らかとなりました。
年金受給者の189万円と比べても下回る結果となっており、これは、従来自営業者を中心に構成されていた被保険者が、現在では約6割を無職・非正規労働者で占めるまでになっていることの影響と指摘されています。
◆今後の納付率アップに向けた取組み
同省では、納付率が低くとどまっている原因として、低収入の人の一部に保険料免除等の申請をしていない人がいることを挙げ、2013年夏までにその半数を免除・納付のいずれかに結び付けたいとしています。
その他、現在国会に提出中のマイナンバー法案の動向も見ながら、公的年金制度の普及・啓発に取り組み、納付率の改善を図りたいとしています。
中小企業にとっての「BCP(事業継続計画)」の必要性
◆大企業を中心に進むBCPの策定
先ごろ公表された2012年版「防災白書」によると、東日本大震災後に「BCP(事業継続計画)」を策定する企業が増えていることが明らかになりました。
また、これまでの「早期復旧」のための対策に加えて、代替施設・代替手段、非常用電源設備、代替調達先の確保などを追加・改善項目として考える企業も多いということです。
◆中小企業ではどうか
では、中小企業はどうでしょうか。BCPなどと聞くと「大企業がするもの。ウチには関係ない」と思われるかもしれません。
白書の中では中小企業としての策定割合は明らかにされていません。しかし、大企業のサプライチェーンの中に位置することが多い中小企業にとっても、代替インフラの整備やデータのバックアップ、従業員の安否確認、復旧までの手順の確認等は他人事ではありません。
いざ事が起きてからでは十分な対応を行うことは難しいでしょう。最悪を想定し最善の準備をする、複数の代替案を準備することは、古今東西、戦略立案上の常識なのです。
さらに、BCPは単に災害対策としてではなく、うまく活用することで会社のイメージアップ・受注増につなげることも可能です。
◆「企業価値向上策」としてのBCPを
緊急事態の中で連絡が取れなかったり、ホームページが更新されていなかったりする会社は、他社から見てどうでしょう。
仮に自社が被災を免れたとしても、被災地域にある、あるいは被災地域に近ければ、県外や遠方の顧客にとっては「被害を受けて連絡も取れないのだ。もう仕事は頼めないな」という判断をされかねません。実際に、今回の東日本大震災後に「仕事が戻ってこない」という中小企業は多いようです。
一方、BCPの体制を構築し、自社の状況や周辺地域のインフラ状況等を積極的にホームページ等で公開していくことで顧客は安心し、その後の受注増にもつながるでしょう。
自社の従業員の安否確認等が重要なことは当然ですが、会社としては「企業価値向上の手段」としてBCPを考えてみるのも有効なのではないでしょうか。
応募者・社員の「メンタル特性」は見抜けるか?
◆精神疾患による労災請求件数が過去最高に
平成23年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」(厚生労働省、平成24年6月15日公表)により、仕事のストレスによる精神障害だとして労災保険の請求が行われた件数が、3年連続で過去最高を更新したことが明らかになりました。
職場になじめなかったり、働かせすぎだったりとその要因は様々であり、また複合的なものだと思われますが、会社としては「我が社に合う人材を採用したい」という思いは常にお持ちのことでしょう。
◆メンタル特性を見分ける検査方法がある
企業のそうしたニーズを背景に、応募者や社員の「精神特性・心の健康状態・行動特性」を分析するサービスを提供する会社が増えてきています。従来のペーパー上で行うものの他に、ネット上で簡単にできるものも登場しています。
検査費用は、検査単体で数千円からという低額なものから、従業員研修会・相談窓口の提供とセットのものまで、さまざまのようです。
採用や配属前に、「仕事上のストレス」「社会適応力」「ストレス耐性」「うつ傾向」等の分析ができれば、ミスマッチを防ぐことができ、会社にとっても社員にとっても有益となるでしょう。
◆社員の“ストレスチェック”が企業の義務に
現在、労働安全衛生法の改正案が議論されています。これは、新たに「精神的健康の状況を把握するための検査」(ストレスチェック)を企業に義務付ける内容です。
さらに、会社は、検査の結果を受けた社員からの申出により、医師等による面接指導を実施する必要が出てくるとともに、医師の意見を聴き、必要な場合には作業の転換、労働時間の短縮など、適切な就業上の措置をしなければならないことになります。
なお、この検査は、医師などが通常の健康診断に併せて行うことが想定され、検査結果は社員に直接通知されます。この検査結果は、医師が社員から同意を得ないかぎり、会社に提供することができません。
具体的なチェック項目や実施方法は、法案成立後に策定され、具体的な指針等も公表されるようです。改正案の成立時期は国会での審議状況にもよりますが、改正の動向について注目しておきましょう。
障害者雇用率の引上げと精神障害者への対象拡大
◆企業の障害者雇用率が2.0%に引上げ
2013年4月1日より、民間企業に義務付けられている障害者雇用率が15年ぶりに引き上げられ、現行の1.8%から2.0%となります。また、国や地方公共団体の障害者雇用率は現行の2.1%から2.3%に、都道府県等の教育委員会は同じく2.0%から2.2%に引き上げられます。
厚生労働省のまとめによると、2011年度にハローワークを通じて就職した障害者は5万9,367人で1970年度の調査開始以降、過去最多となっており、企業の障害者雇用は全体として増加傾向にあるようです。
◆従業員50人以上56人未満の事業主は要注意
今回の法定雇用率の引上げと同時に、障害者の雇用を義務付けられる企業の規模も従業員56人以上から50人以上に広げられます。
対象となる事業主には以下の義務があります。
(1)毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければならない
(2)障害者雇用推進者を選任するよう努めなければならない
◆未達成の場合は…
雇用率が未達成の場合、「障害者雇用納付金制度」において、従業員数が201人以上の企業は、法定雇用障害者数に不足する1人につき月5万円を国に納めなければなりません。
一方で、雇用率を上回っている企業へは、上回る1人につき月2万1,000円~2万7,000円の報奨金などが支給される仕組みとなっています。
なお、今回これらの金額に変更はありません。
◆精神障害者も雇用義務の対象に
厚生労働省は、障害者雇用促進法に基づく雇用義務の対象に、新たに「精神障害者」を追加すべきとの報告書案をまとめました。報告書によると、精神障害者の定義は「精神障害者保険福祉手帳を持つ人」とする案が有力となっています。
この改正で精神障害者を含めた障害者の雇用が義務化された際には、雇用率が新たに算定され、最終的な雇用率は少なくとも2.2%になるようです。今秋より審議が始まり、法案の国会提出は来年となる見通しですが、今後の様子に注目したいところです。
会社・事業を成功させるための10のポイント
◆16社からヒアリング
日本経済団体連合会(経団連)は、2011 年9月に「事業創造検討部会」を設置し、独自のビジネスモデルにより事業を成長させ、市場において高いシェアを確保する企業等(16 社)からヒアリングを行いました。
このヒアリング結果をとりまとめ、今年6月に「各社の事業成功の10の要因」として発表していますが、貴社では、以下のうちいくつ当てはまりますか?
◆「事業成功の10の要因」の内容
(1)優れた経営者の存在、独自の経営理念の徹底
多岐にわたる能力を備えた創業者・経営者が適切な経営判断により会社を牽引し、独自の経営理念を社内に徹底し、組織としての一体感を醸成している。
(2)時代の変化への対応
ニーズを先読みする嗅覚、製品・サービスに落とし込む発想力、事業を遂行する実行力を有している。
(3)自社の製品・技術・サービスへのこだわり
製品・技術・サービスの質の維持と向上に取り組み、顧客の獲得・定着につなげている。
(4)既存の技術・製品・サービスとの差別化・独自化
従来からの発想を転換することができ、顧客や現場視点での発想を有し、研究開発等により差別化・独自化を図れている。
(5)中核事業を基にした事業の多角展開
中核事業で培った技術やノウハウを基に、関連する多分野へと事業を展開している。
(6)事業形態や市場環境に応じた海外展開の推進
研究開発・生産・販売など様々な形での海外展開を行っている。
(7)優秀な人材の確保・育成・活用
経験者や高齢者を積極的に採用し、海外を含めた教育研修を実施し、社員のやりがいを高める工夫を行っている。
(8)独自の会社組織、社内制度、企業文化
従業員が働きやすい環境をつくり、組織運営を効率化し、社員の結束の強化を図り、人材を有効活用している。
(9)外部との連携・外部の力の活用
異業種や海外を含む企業・大学・研究機関との連携・協力を通じて事業を拡大している。
(10)ブランドイメージ・知名度の向上
メディア媒体・ポスターなど多様な広告宣伝活動を行い、認知度やイメージを向上させている。
労使間の「労働協約」の締結状況は?
◆5年ごとに調査を実施
厚生労働省は、平成 23 年の「労働協約等実態調査」(5年ごとに実施)の結果を発表しました。この調査は、会社と労働組合との間で締結される労働協約等の締結状況、締結内容、運用の実態等を明らかにすることを目的としています。
調査対象は、民間企業における労働組合員数規模 30 人以上の単位労働組合(下部組織がない労働組合)で、4,086 のうち 2,597から有効回答を得ています。
◆労働協約の締結・周知状況
会社と労働組合との間で「労働協約を締結している」と回答した組合は 91.4%でした。前回調査時(89.0%)よりも2.4ポイント増加しています。
労働協約を締結している組合について、その周知の状況をみると、「周知徹底を図るための措置を講じている」が86.4%(前回調査時92.3%)と減少し、「周知のための措置を何も講じてない」が9.9%(同7.5%)と増加しました。
◆労働協約等の運営状況
人事に関する事項について、労働組合の関与状況をみると、何らかの方法(同意、協議、意見聴取、事前通知、事後通知、その他の関与を合わせたもの)で「関与している」事項は、上位から「解雇」(73.0%)、「懲戒処分」(71.0%)、「配置転換」(65.1%)となっています。
また、労働組合の関与の程度が大きい項目(同意、協議、意見聴取を合わせたもの)の割合は、「解雇」(45.7%)、「懲戒処分」(43.4%)、「出向」(23.4%)の順となっています。
◆非正社員への適用状況
労働協約があり、その全部または一部がパートタイム労働者にも適用されると回答した組合は41.9%(前回調査33.5%)、有期契約労働者にも適用されると回答した組合は45.0%(同42.7%)でした。
なお、パートタイム労働者、有期契約労働者に適用される事項(複数回答)は、いずれも上位から「労働時間・休日・休暇に関する事項」(90.4%、93.6%)、「賃金に関する事項」(78.6%、79.0%)となっています。
日本の企業が海外進出する際の決め手
◆1万社以上が回答
株式会社帝国データバンクでは、「海外進出」に対する企業の意識について調査を実施し、その結果を発表しました。
調査対象企業は全国22,955社で、有効回答企業数は10,467社(回答率45.6%)となっています。
◆約1割の企業が海外進出
2011 年度における海外への進出(海外現地法人の設立、海外企業との業務提携、海外企業への資本参加・増資、活動拠点の新設・拡大など)の有無を尋ねたところ、「あった」(進出した)と回答した企業は1,028 社(9.8%)で、約1割の企業が過去1年間に海外に進出していることがわかりました。
また、今後2~3年における海外進出について、「ある(予定・検討含む)」(進出意向あり)と回答した企業は 1,430 社(13.7%)でした。2011年度に海外進出を果たした企業の約1.4倍になっています。
◆海外進出の決め手は?
海外進出を決定した(決定する)際のポイント(複数回答で3つまで)について、上位ベスト10は次の通りとなっています。
(1)良質で安価な労働力が確保できる(35.0%)
(2)現地の製品・サービス需要が拡大(19.9%)
(3)納入先を含む他の日系企業の進出実績がある(18.8%)
(4)品質・価格面で、日本への逆輸入が可能(17.8%)
(5)現地政府の産業育成、保護政策(17.7%)
(6)税制や融資などの優遇措置がある(14.1%)
(7)進出先の近隣国で製品・サービス需要が拡大(13.0%)
(8)社会資本整備が必要水準を満たしている(12.7%)
(9)部品などの現地調達が容易(11.0%)
(10)土地などの現地資本が安価(11.0%)
主婦に聞いた「夏のボーナス」の使い道
◆「主婦目線」による回答
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社では、全国の20~50代のサラリーマン世帯の主婦500 名(各年代毎125 名)を対象に、「2012 年夏のボーナスと家計の実態」に関するアンケート調査を実施しました。
夏季賞与の使い道などに関して、「主婦目線」での考え方がわかります。
◆調査開始以来、最低の手取額
今年の夏季賞与額について尋ねたところ、「25~50 万円未満」(31.0%)が最も多く、「50~75 万円未満」(27.0%)が続いています。
平均手取額は 61万1,000円で、昨夏よりも 6万5,000万円減少しており、本調査開始以来、最低の額となっています。
今後の夏季賞与の見通しに関しては、全体の約3割の人が「減る」「なくなると思う」と回答しており、家計の現状に関しては約6割の主婦が「苦しい」と回答しています。
昨今の不景気を反映し、家計に対して悲観ムードが広がっているようです。
◆賞与の使い道は?
次に、「ボーナスの使い道」に関して尋ねたところ、例年通り「預貯金」がダントツトップとなっており、「堅実派」「安定志向」の主婦が多いことがわかります。
ベスト10(複数回答)は次の通りです。
(1)預貯金(72.8%)
(2)生活費の補填(38.2%)
(3)ローンの支払い(32.6%)
(4)国内旅行(26.6%)
(5)家電製品の購入(19.0%)
(6)プチ贅沢(18.6%)
(7)子供の教育関連(18.2%)
(8)衣料品・服飾費(16.4%)
(9)クレジットの支払い(13.2%)
(10)住宅関連資金(6.8%)
なお、夏季賞与の中から夫に小遣いを渡す主婦は51.2%と約半数で、渡した人の平均金額は10.8 万円だったそうです。
「仕事」と「介護」を両立する社員が増加する時代へ
◆労使双方にとって非常に重大な問題
「仕事と介護を両立する社員が増加する時代」が近々到来すると言われています。これは、企業にとっても社員にとっても、非常に重大な問題です。
東京大学社会科学研究所「ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクト」では、「従業員の介護ニーズに関する調査」を実施し、報告書をまとめました。
◆社員の介護の状況
この調査では、主に40歳以上の社員を対象に、仕事と介護の両立に関する不安などについて調査しています(下記は、大企業に勤務している人が対象の調査結果です)。
現在の介護の状況ですが、「現在、介護をしている」という人は全体の13.9%(男性12.3%・女性16.7%)でした。
そして、「将来の介護に対する不安の内容」(複数回答)については、次の通りとなっています。
(1)介護がいつまで続くかわからず、将来の見通しを立てにくい(50.0%)
(2)適切な介護サービスが受けられるかどうかわからない(43.5%)
(3)公的介護保険制度の仕組みがわからない(39.1%)
(4)仕事を辞めずに介護と仕事を両立するための仕組みがわからない(29.9%)
(5)介護休業などを職場で取得している人がいない(27.3%)
◆勤務先の支援制度に不満!
また、株式会社第一生命経済研究所が、20 歳から69 歳までの正社員として働いている人で、現在または過去に親(配偶者の親を含む)の介護経験がある人(953 名)を対象に行ったアンケート調査では、「介護で仕事を辞めたい」と思うことがある人のうち69.0%が、「勤務先の両立支援制度に不満がある」と回答しています。
社員の「育児支援」のみならず、「介護支援」にまで配慮することのできる余裕のある企業は多くないかもしれませんが、そのような配慮が必要となる時代が近い将来やってくるかもしれません。
「パワハラ」が発生する背景・原因を探る
◆企業・労働組合にヒアリング調査を実施
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「職場のいじめ・嫌がらせ」、「パワー・ハラスメント」対策の参考となるよう、企業や労働組合が行っている取組み等についてヒアリング調査を実施しました。
各社・各組合による取組事例が紹介されていますが、企業と労働組合は「パワー・ハラスメントが発生する背景・原因」についても推測しています。
◆パワハラが発生する背景・原因はこれだ!
企業と労働組合は、パワハラが発生する背景・原因として次の項目を挙げています。
・人員削減・人材不足による過重労働とストレス
・職場のコミュニケーション不足
・会社からの業績向上圧力、成果主義
・管理職の多忙、余裕のなさ
・就労形態の多様化
・業界特有の徒弟制度的関係
・事業構造の変化(に伴う人事異動)、職場環境の変化
・業界の低賃金構造
・上司部下間あるいは同僚間の人間関係の希薄化と信頼関係の欠如
・行為者の資質やハラスメント意識の欠如
・管理職に対する教育不足
・人権意識や個人の尊重の希薄化
・職場内に相談に乗ったり仲裁したりする人材がいなくなったこと
・コミュニケーション能力の低下
・管理職のマネジメント能力の低下
・お金を払っているという権利意識(ハラスメント行為者が顧客の場合)
◆パワハラによる企業リスク削減を
上記の項目は、それぞれが単独でハラスメントの原因となるのではなく、相互に密接に関連してパワハラ発生の可能性を高めていることが推察されています。
これらの要因が存在する職場においては、パワハラにより訴えられる等の企業リスクを削減するために、一つひとつを無くしていく努力が必要でしょう。
畑中社労士事務所では顧問先の企業様を対象に 毎月事務所便りを発行しています。 内容は法改正情報や人事労務に関する時事ニュース等を中心に会社を 経営する上で欠かせない情報をお伝えしています。 このページでは今までに発行した事務所便りの 概要をご紹介させて頂きます。
2012/08/01
2012/07/01
7月の事務所便り
不正受給問題が指摘される生活保護制度を見直しへ
◆生活保護の受給者数が過去最多
厚生労働省によると、2012年2月時点の生活保護受給者数が約209万人に上り、現行制度下において最大となり、また、2012年度予算案では3兆7,000億円が計上され、国の税収の約1割を占めるまでに費用が増大しています。
そのため、制度運用や審査基準が抱える問題点を指摘されるに至り、以下の対策の他、見直しに向け検討が進められています。
◆受給者の資産を金融機関の本店で一括照会へ
生活保護受給申請者の資産調査について、これまで各福祉事務所が本人申告をもとに各地域の金融機関の支店に行っていましたが、効率が悪く正確でない等の問題点が指摘されていました。
厚生労働省発表によると、今年12月より全国銀行協会の協力を受けて、銀行など金融機関の本店に預貯金残額を一括照会する仕組みへと改めるそうです。
◆ソフトの改良により「医療扶助」の不正受給を監視
生活保護受給者の約8割に当たる169万人が受給する「医療扶助」は、窓口負担なしに医療機関で診療・投薬を受けられるため、医療過誤等の温床になっているとの指摘がありました。
厚生労働省発表によると、不正受給の事例を識別するのに手間がかかっていたソフトを改良し、電子化されたレセプト(診療報酬明細書)をもとに瞬時に見分けられるようにし、今秋から全自治体に導入するそうです。
◆その他見直し案に挙げられた項目
政府は、今秋策定する「生活支援戦略」で生活保護制度見直しの方針を打ち出す予定ですが、6月4日に行われた国家戦略会議でその原案が示されました。
厚生労働省が作成した原案には、当面の対応として、(1)生活保護給付の適正化、(2)就労・自立支援の強化、今後検討を進めるものとして、(3)生活保護基準の検証・見直し、(4)自治体等の調査・指導権限等の強化、(5)「脱却インセンティブ」の強化(就労収入積立制度等)、(6)自治体とハローワークが一体となった就労支援の抜本強化等が挙げられています。
「熱中症」のリスクと効果的な対策
◆熱中症のリスク
例年よりも早めにクールビズを始める企業もあり、今夏も例年程度の暑さとなるようです。新入社員も現場に配属されて初めての夏を迎えるケースもあるかもしれません。職場・作業場での熱中症対策はお済みでしょうか?
熱中症と聞くと、軽いように思われがちですが、軽度の症状から短時間のうちに重症化して、死に至ることもあります。実際に記録的猛暑となった平成22年には、47人の方が職場での熱中症で亡くなっています。その他の年でも毎年20人前後の方が亡くなっています。
また、亡くならないまでも重篤な症状となれば、その従業員が休んでいる間、ただでさえ人員不足の職場で他の従業員にしわ寄せがいきます。
◆梅雨明け直後が危ない
熱中症発生のリスクが高いのは、梅雨明け直後の体がまだ暑さに慣れていない時期です。時間帯別では、午後2時から4時に最も多く発生しています。
また、建設業、製造業などでは、作業環境によってはこの時期以外でも急に暑くなった日などは要注意です。午前中からのこまめな休憩や水分補給が重要です。また、午前中から12時頃までにも意外と注意が必要だそうです。
◆「めまい」「頭痛」「吐き気」を感じたら要注意
熱中症の初期的症状としては、「体がだるい」「頭痛や吐き気がする」「めまいがする」といった状態が挙げられます。
これらの症状を感じたら涼しいところで水分と塩分を摂り、症状が軽いと思われる場合でも、医師の診断を受けるようにしたほうが安全です。
◆従業員の健康状態の確認を
従業員の健康管理という面からも、作業環境の見直し、その日の体調の確認や前日の深酒・寝不足等への指導、厚生労働省が示している基準に沿った作業計画の見直しが重要です。
日頃の労働衛生教育について、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
従業員の長期就業不能リスクに備える“GLTD”とは?
◆従業員の長期就業不能によるリスク
近年、うつ病等のメンタルヘルス不全により休職される従業員が増えています。
特に精神疾患によるものは改善までに長期間休職となることが多く、「会社を休む→有休を使い果たす→疾病休暇も使い果たす→労災保険や健康保険からの手当も終わる→無給の休業となる→従業員はローンや養育費の支払いに困る」という状態に陥ることが懸念されます。
また、仮に会社が、労働基準法上問題がないと思われる解雇を行った場合でも、様々な労使間のトラブルから企業が訴えられるというリスクも発生します。
◆「GLTD」とは?
こうした問題に対応できる、「GLTD」(団体長期障害所得補償保険:傷病による休職時に減少する給与所得を長期間補償できる唯一の保険制度)というものが、各損保会社から発売され、保険料も非常に安価なものからあるため利用する企業が増えているそうです。
この制度の発祥はアメリカで、現在100名以上の企業で80~90%、100人未満の企業でも60%程度が導入し、広く普及しているのだそうです。
日本では1994年に保険として認可されました。
◆採用時の検査や人事給与制度の改定とセットで
この「GLTD」とセットで、採用時の検査(多くはウェブ上で質問に回答していく形式となっており、短時間・低価格となっている)と企業へのアドバイスを提供する会社も増えているようです。
また、人事給与制度の簡素化を行うために、会社の休業補償制度を廃止するのに併せて「GLTD」を導入するという事例もあるようです。
こうした保険を利用することで、従業員の会社に対する満足度もアップしそうですね。
2013年度新卒採用でFacebookを活用する企業
◆47%が「効果あり」
企業が採用活動においてFacebookなどのソーシャルメディアを活用する場面が増えてきています。
株式会社ギブリーが実施した2013年度新卒採用における人事担当者の意識調査(2013年度新卒採用においてFacebookを活用している143社が回答)の結果によると、新卒採用ツールとして「効果あり」と回答した企業が約47%に及ぶことがわかりました。
◆Facebook を利用したことによる効果
上記調査において、「Facebookページを運用することで、どのような効果があったか」という質問に対しては、以下の項目が挙げられています。
(1)社内のことや社員のことがわかってもらえた(41.3%)
(2)求人広告ではできないプロモーションができた(28.7%)
(3)採用ブランディングになった(18.2%)
(4)母集団が形成された(13.3%)
(5)会社の認知度が上がった(11.9%)
(6)求人広告では集まらない層の学生が来た(7.0%)
求人広告ではできないような双方向のコミュニケーションにより、学生に自社の“生きた情報”を発信し、理解してもらうことに一定の効果が得られたようです。
◆ページ制作に関しては自社制作と外注が約半数
また、Facebookページの制作についての質問に対しては、半数以上が外注としており、自社での作成は47.5%という結果となっています。
外注先としては、「ソーシャル採用に特化した会社」が、求人広告・人材紹介などの新卒採用支援会社やWeb制作会社、広告代理店より多いようです。
◆今後も増加することが予想される
2013年度新卒採用においては、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアの活用が企業側、学生側ともに注目されました。「この波に乗り遅れまい」と試行錯誤しながら利用を始めた人事担当者も多かったのではないでしょうか。
利用者数が増加している中で、今後も採用活動における活用は増加していくことが予想されます。より効果的なツールにしていくためには、さらに企業独自の工夫が必要になっていくことでしょう。
「少子化」に対する政府の取組み
◆2011年の出生率が「1.39」で頭打ち
先日、厚生労働省が2011年の「人口動態統計」を公表しましたが、これによると、合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと想定される子どもの数)は「1.39」で前年と同じだったそうです。
また、出生数は105万698人(前年比2万606人減)で過去最低を記録しており、人口の自然減は初めて2万人を超えました。
このままだと日本は長期的な人口減少傾向となるのは確実で、少子化対策の練り直しが急務となっています。このことは、今後の子育て支援や職場の環境改善などの政策議論にも影響を与えると思われます。
◆「雇用」と「育児環境」に不安
2011年における若年層(15~24歳)の完全失業率は8.2%で、非正規社員の割合は5割に達しました。厚生労働省の見解によると、「若年層の雇用や賃金が不安定なため、結婚や出産をためらう若者が多い」とのことです。
以上のことから、共働き世帯が増加している一方で、保育所の不足も問題となっています。保育所は2011年4月の時点で2万3,385カ所(前年度比1.4%増)となっているものの、全国の待機児童数は2万5,556人(同719人減)でほぼ変わらず高止まりとなっています。
また、待機児童数は最初から預けることをあきらめる人も含めると100万人に上るとも言われています。
◆政府による取組み
今年7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行となり、従業員100人以下の事業主にも適用されます。また、「社会保障・税一体改革」関連法案では、待機児童の解消を目的とした「総合こども園」の創設は見送られる動きがありますが、「認定こども園」を拡充・存続させ、財政支援などを強化することを検討しています。
女性が安心して働き続けることができるように子育ての環境を整えることは、1つの少子化対策につながると言えるでしょう。子供を安心して育てられる社会の実現に向けて力を合わせ、国や企業、ひいては地域で少子化対策に取り組んでいきたいものです。
子どもを持つ女性の就労の“理想”と“現実”
◆1万組以上の夫婦が回答
内閣府が「都市と地方における子育て環境に関する調査」を実施し、今年3月にその報告書が発表されています。
この調査は、(1)子どもを持っている、(2)妻の年齢が「20歳~49歳」である、(3)第1子の年齢が「0歳~18歳」である夫婦を対象に行われ、1万2,289組の夫婦が回答しています。
◆妻の「就労意欲」と「就労理由」
この調査で、妻に「就労意欲」について尋ねたところ、パートや正社員など就業形態は異なるものの、「今後何らかの形で働きたいと」いう人は86.0%で、「今後は(今後も)働かない予定」という人は11.6%でした。
現在は就労していないが今後の就労を希望している妻の「就労理由」については、次の通りとなっていますが、上位4位まではお金に関する理由です。
(1)「家計を補助するため」(71.8%)
(2)「将来に備えて貯蓄をするため」(61.3%)
(3)「生計を維持するため」(42.7%)
(4)「自分の自由になるお金を得るため」(41.0%)
(5)「いろいろな人や社会とのつながりを持ちたいから」(25.3%)
◆妊娠による働き方の転換
また、株式会社アイデムの人と仕事研究所から、「働き方に関するアンケート調査」の結果を分析した2012年版「パートタイマー白書」が刊行されています。
この調査で、妊娠がわかった時に正社員として働いていた人に、「妊娠・出産・育児をきっかけに正社員以外の働き方に変えたことがあるか」を尋ねたところ、「正社員を継続した」人は53.8%、「正社員以外の働き方に変えた」人は46.2%でした。
そして、「正社員以外の働き方に変えた」人が具体的にどのような働き方に変えたのかを見ると、「退職して無職(専業主婦)になった」という回答が79.2%に上っています。
ただ、一度離職してしまうと、職場復帰することや新しい仕事に就くことは難しいのが実情であり、働きたくても働けない女性が多いようです。
アルバイト・パート社員は仕事に何を求めている?
◆“仕事探し”に関する意識調査
株式会社インテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」は、アルバイト・パート社員の“仕事探し”に関する意識調査を昨年末に実施し、その結果が発表されています。
この調査結果から、アルバイト・パート社員が仕事に対して一体何を求めているのかを探っていきます。
◆仕事探しを始めた理由
まず、アルバイト・パートで求職活動中の男女に、「仕事探しを始めた理由」を尋ねたところ、トップは「貯金を増やしたかった」(33.5%)で、「趣味に使うお金が欲しかった」(31.9%)、「生活費を補いたかった」(30.0%)などが続いています。
当然と言えば当然ですが、お金に関する理由が上位を占めています。
◆仕事を探す際に重視する点
次に、仕事を探す際に重視する点をそれぞれ「重視する」「やや重視する」「どちらでもない」「あまり重視しない」「重視しない」の5段階で評価してもらい「重視する」と回答した割合を属性別に見てみると、次の通りとなっています。
【高校生】
・「勤務地が自宅から近い」(58.7%)
・「勤務地が学校や習い事の場所から近い」(34.7%)
【大学生】
・「店長や社員の人の雰囲気が良い」(58.7%)
・「時間の融通が利く」(56.9%)
【主婦】
・「長い期間働ける仕事である」(34.4%)
・「やりがいのある仕事である」(42.4%)
高校生は、勤務地から自宅や学校などの距離を重視しており、大学生は、働く人やシフトの柔軟性など働きやすい職場を求めており、主婦は、じっくりと腰を据えて働き続けられることや遣り甲斐を得られる職場を求めているようです。
7月1日より「改正育児・介護休業法」が全面施行!
◆未対応の場合は早急な対応を!
厚生労働省は、“男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方”の実現を目的として、2009年に「育児・介護休業法」を改正しました。
これまで従業員数100人以下の中小零細企業については、短時間勤務制度などの適用が猶予されていましたが、7月1日からはすべての企業が対象となります。全面施行まで1カ月を切りましたので、未対応の企業は早急に対応しなければなりません。
◆7月1日から全面適用となる主な制度
全面適用となる主な制度は、次の通りです。
(1)「短時間勤務制度」
3歳までの子を養育する従業員に対しては、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度を設けなければなりません。
(2)「所定外労働の制限」
3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。
(3)「介護休暇」
家族の介護や世話を行う従業員が申し出た場合には、1日単位での休暇取得を許可しなければなりません。日数は、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日となります。
◆就業規則等の見直しが必要
7月1日から新たに対象となる企業については、あらかじめ就業規則等に上記の制度を定め、従業員に周知しなければなりません。
対応が済んでいない場合は施行日までに対応が必要ですので、ご注意ください。
パート労働者の労働条件見直しの動き
◆来年の国会に改正案を提出へ
厚生労働省は「パート労働法」の一部を改正し、今後は有期雇用で働くパート労働者の待遇を正社員並みとする方針を示しています。
先日示された「今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)」の内容をベースとして、来年の通常国会へ改正案提出を予定しているようです。
◆パート労働者の現状
現在、雇用者の4人に1人以上がパート労働者であり、厚生労働省では、「パート労働という働き方の環境整備が必要であり、パート労働者の均衡待遇の確保を促進していくとともに、均等待遇を目指していくことが求められる」としています。
また、「短時間であることから働き方が多様となるパート労働者の待遇について、納得性を向上させ、あわせてパート労働者に対する継続的な能力形成も進めていく必要がある」としています。
◆報告書案の内容
なお、現在示されている「今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)」の主な内容は、次の通りです。
(1)パート労働者の均等・均衡待遇の確保
・職務内容が通常の労働者と同一で、人材活用の仕組みが通常の労働者と少なくとも一定期間同一であるパート労働者について、当該一定期間は、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとされている規定を削除することが適当。
・通勤手当は、パート労働法の均衡確保の努力義務の対象外として例示されているが、多様な性格を有していることから、一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当ではない旨を明らかにすることが適当。
(2)パートタイム労働者の雇用管理の改善
・パート労働者の「賃金に関する均衡」、「教育訓練の実施」、「福利厚生施設の利用」、「通常の労働者への転換」等に関し、パート労働者の雇入れ時等に、事業所で講じている措置の内容について、パート労働者に説明することが適当。
・パート労働者からの苦情への対応のために担当者等を定めるとともに、パート労働者の雇入れ時等に周知を図ることが適当。
「テレワーク」導入で企業にも従業員にもメリット
◆「テレワーク」の定義
震災を契機に改めて見直された「テレワーク」ですが、導入する企業、導入を検討している企業が徐々に増えているようです
「テレワーク」は、「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されており、「テレ(Tele)」=「遠い、遠距離の」と、「ワーク(Work)」=「働く」という言葉を組み合わせてできた言葉です。
◆「テレワーク」導入のメリット
導入のメリットとして、一般的には以下のことが挙げられます。
【企業にとってのメリット】
(1)業務が効率化できる
(2)優秀な人材を確保できる
(3)災害発生時の事業継続対策となる
(4)節電対策となる
【従業員にとってのメリット】
(1)ワークライフバランスを向上できる
(2)通勤による負担を軽減できる
(3)地域参加の機会を増加できる
◆メリットの大きい制度
テレワーク導入時においては、「導入する際の就業規則の規定方法がわからない」「労働時間の管理方法が難しい」「情報セキュリティの面で心配」といった労務管理上の悩みや疑問がある場合が多いようです。
しかし、これらの問題をクリアすることができれば、企業にとっても従業員にとってもメリットの大きい制度だと言えるでしょう。
◆生活保護の受給者数が過去最多
厚生労働省によると、2012年2月時点の生活保護受給者数が約209万人に上り、現行制度下において最大となり、また、2012年度予算案では3兆7,000億円が計上され、国の税収の約1割を占めるまでに費用が増大しています。
そのため、制度運用や審査基準が抱える問題点を指摘されるに至り、以下の対策の他、見直しに向け検討が進められています。
◆受給者の資産を金融機関の本店で一括照会へ
生活保護受給申請者の資産調査について、これまで各福祉事務所が本人申告をもとに各地域の金融機関の支店に行っていましたが、効率が悪く正確でない等の問題点が指摘されていました。
厚生労働省発表によると、今年12月より全国銀行協会の協力を受けて、銀行など金融機関の本店に預貯金残額を一括照会する仕組みへと改めるそうです。
◆ソフトの改良により「医療扶助」の不正受給を監視
生活保護受給者の約8割に当たる169万人が受給する「医療扶助」は、窓口負担なしに医療機関で診療・投薬を受けられるため、医療過誤等の温床になっているとの指摘がありました。
厚生労働省発表によると、不正受給の事例を識別するのに手間がかかっていたソフトを改良し、電子化されたレセプト(診療報酬明細書)をもとに瞬時に見分けられるようにし、今秋から全自治体に導入するそうです。
◆その他見直し案に挙げられた項目
政府は、今秋策定する「生活支援戦略」で生活保護制度見直しの方針を打ち出す予定ですが、6月4日に行われた国家戦略会議でその原案が示されました。
厚生労働省が作成した原案には、当面の対応として、(1)生活保護給付の適正化、(2)就労・自立支援の強化、今後検討を進めるものとして、(3)生活保護基準の検証・見直し、(4)自治体等の調査・指導権限等の強化、(5)「脱却インセンティブ」の強化(就労収入積立制度等)、(6)自治体とハローワークが一体となった就労支援の抜本強化等が挙げられています。
「熱中症」のリスクと効果的な対策
◆熱中症のリスク
例年よりも早めにクールビズを始める企業もあり、今夏も例年程度の暑さとなるようです。新入社員も現場に配属されて初めての夏を迎えるケースもあるかもしれません。職場・作業場での熱中症対策はお済みでしょうか?
熱中症と聞くと、軽いように思われがちですが、軽度の症状から短時間のうちに重症化して、死に至ることもあります。実際に記録的猛暑となった平成22年には、47人の方が職場での熱中症で亡くなっています。その他の年でも毎年20人前後の方が亡くなっています。
また、亡くならないまでも重篤な症状となれば、その従業員が休んでいる間、ただでさえ人員不足の職場で他の従業員にしわ寄せがいきます。
◆梅雨明け直後が危ない
熱中症発生のリスクが高いのは、梅雨明け直後の体がまだ暑さに慣れていない時期です。時間帯別では、午後2時から4時に最も多く発生しています。
また、建設業、製造業などでは、作業環境によってはこの時期以外でも急に暑くなった日などは要注意です。午前中からのこまめな休憩や水分補給が重要です。また、午前中から12時頃までにも意外と注意が必要だそうです。
◆「めまい」「頭痛」「吐き気」を感じたら要注意
熱中症の初期的症状としては、「体がだるい」「頭痛や吐き気がする」「めまいがする」といった状態が挙げられます。
これらの症状を感じたら涼しいところで水分と塩分を摂り、症状が軽いと思われる場合でも、医師の診断を受けるようにしたほうが安全です。
◆従業員の健康状態の確認を
従業員の健康管理という面からも、作業環境の見直し、その日の体調の確認や前日の深酒・寝不足等への指導、厚生労働省が示している基準に沿った作業計画の見直しが重要です。
日頃の労働衛生教育について、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
従業員の長期就業不能リスクに備える“GLTD”とは?
◆従業員の長期就業不能によるリスク
近年、うつ病等のメンタルヘルス不全により休職される従業員が増えています。
特に精神疾患によるものは改善までに長期間休職となることが多く、「会社を休む→有休を使い果たす→疾病休暇も使い果たす→労災保険や健康保険からの手当も終わる→無給の休業となる→従業員はローンや養育費の支払いに困る」という状態に陥ることが懸念されます。
また、仮に会社が、労働基準法上問題がないと思われる解雇を行った場合でも、様々な労使間のトラブルから企業が訴えられるというリスクも発生します。
◆「GLTD」とは?
こうした問題に対応できる、「GLTD」(団体長期障害所得補償保険:傷病による休職時に減少する給与所得を長期間補償できる唯一の保険制度)というものが、各損保会社から発売され、保険料も非常に安価なものからあるため利用する企業が増えているそうです。
この制度の発祥はアメリカで、現在100名以上の企業で80~90%、100人未満の企業でも60%程度が導入し、広く普及しているのだそうです。
日本では1994年に保険として認可されました。
◆採用時の検査や人事給与制度の改定とセットで
この「GLTD」とセットで、採用時の検査(多くはウェブ上で質問に回答していく形式となっており、短時間・低価格となっている)と企業へのアドバイスを提供する会社も増えているようです。
また、人事給与制度の簡素化を行うために、会社の休業補償制度を廃止するのに併せて「GLTD」を導入するという事例もあるようです。
こうした保険を利用することで、従業員の会社に対する満足度もアップしそうですね。
2013年度新卒採用でFacebookを活用する企業
◆47%が「効果あり」
企業が採用活動においてFacebookなどのソーシャルメディアを活用する場面が増えてきています。
株式会社ギブリーが実施した2013年度新卒採用における人事担当者の意識調査(2013年度新卒採用においてFacebookを活用している143社が回答)の結果によると、新卒採用ツールとして「効果あり」と回答した企業が約47%に及ぶことがわかりました。
◆Facebook を利用したことによる効果
上記調査において、「Facebookページを運用することで、どのような効果があったか」という質問に対しては、以下の項目が挙げられています。
(1)社内のことや社員のことがわかってもらえた(41.3%)
(2)求人広告ではできないプロモーションができた(28.7%)
(3)採用ブランディングになった(18.2%)
(4)母集団が形成された(13.3%)
(5)会社の認知度が上がった(11.9%)
(6)求人広告では集まらない層の学生が来た(7.0%)
求人広告ではできないような双方向のコミュニケーションにより、学生に自社の“生きた情報”を発信し、理解してもらうことに一定の効果が得られたようです。
◆ページ制作に関しては自社制作と外注が約半数
また、Facebookページの制作についての質問に対しては、半数以上が外注としており、自社での作成は47.5%という結果となっています。
外注先としては、「ソーシャル採用に特化した会社」が、求人広告・人材紹介などの新卒採用支援会社やWeb制作会社、広告代理店より多いようです。
◆今後も増加することが予想される
2013年度新卒採用においては、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアの活用が企業側、学生側ともに注目されました。「この波に乗り遅れまい」と試行錯誤しながら利用を始めた人事担当者も多かったのではないでしょうか。
利用者数が増加している中で、今後も採用活動における活用は増加していくことが予想されます。より効果的なツールにしていくためには、さらに企業独自の工夫が必要になっていくことでしょう。
「少子化」に対する政府の取組み
◆2011年の出生率が「1.39」で頭打ち
先日、厚生労働省が2011年の「人口動態統計」を公表しましたが、これによると、合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと想定される子どもの数)は「1.39」で前年と同じだったそうです。
また、出生数は105万698人(前年比2万606人減)で過去最低を記録しており、人口の自然減は初めて2万人を超えました。
このままだと日本は長期的な人口減少傾向となるのは確実で、少子化対策の練り直しが急務となっています。このことは、今後の子育て支援や職場の環境改善などの政策議論にも影響を与えると思われます。
◆「雇用」と「育児環境」に不安
2011年における若年層(15~24歳)の完全失業率は8.2%で、非正規社員の割合は5割に達しました。厚生労働省の見解によると、「若年層の雇用や賃金が不安定なため、結婚や出産をためらう若者が多い」とのことです。
以上のことから、共働き世帯が増加している一方で、保育所の不足も問題となっています。保育所は2011年4月の時点で2万3,385カ所(前年度比1.4%増)となっているものの、全国の待機児童数は2万5,556人(同719人減)でほぼ変わらず高止まりとなっています。
また、待機児童数は最初から預けることをあきらめる人も含めると100万人に上るとも言われています。
◆政府による取組み
今年7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行となり、従業員100人以下の事業主にも適用されます。また、「社会保障・税一体改革」関連法案では、待機児童の解消を目的とした「総合こども園」の創設は見送られる動きがありますが、「認定こども園」を拡充・存続させ、財政支援などを強化することを検討しています。
女性が安心して働き続けることができるように子育ての環境を整えることは、1つの少子化対策につながると言えるでしょう。子供を安心して育てられる社会の実現に向けて力を合わせ、国や企業、ひいては地域で少子化対策に取り組んでいきたいものです。
子どもを持つ女性の就労の“理想”と“現実”
◆1万組以上の夫婦が回答
内閣府が「都市と地方における子育て環境に関する調査」を実施し、今年3月にその報告書が発表されています。
この調査は、(1)子どもを持っている、(2)妻の年齢が「20歳~49歳」である、(3)第1子の年齢が「0歳~18歳」である夫婦を対象に行われ、1万2,289組の夫婦が回答しています。
◆妻の「就労意欲」と「就労理由」
この調査で、妻に「就労意欲」について尋ねたところ、パートや正社員など就業形態は異なるものの、「今後何らかの形で働きたいと」いう人は86.0%で、「今後は(今後も)働かない予定」という人は11.6%でした。
現在は就労していないが今後の就労を希望している妻の「就労理由」については、次の通りとなっていますが、上位4位まではお金に関する理由です。
(1)「家計を補助するため」(71.8%)
(2)「将来に備えて貯蓄をするため」(61.3%)
(3)「生計を維持するため」(42.7%)
(4)「自分の自由になるお金を得るため」(41.0%)
(5)「いろいろな人や社会とのつながりを持ちたいから」(25.3%)
◆妊娠による働き方の転換
また、株式会社アイデムの人と仕事研究所から、「働き方に関するアンケート調査」の結果を分析した2012年版「パートタイマー白書」が刊行されています。
この調査で、妊娠がわかった時に正社員として働いていた人に、「妊娠・出産・育児をきっかけに正社員以外の働き方に変えたことがあるか」を尋ねたところ、「正社員を継続した」人は53.8%、「正社員以外の働き方に変えた」人は46.2%でした。
そして、「正社員以外の働き方に変えた」人が具体的にどのような働き方に変えたのかを見ると、「退職して無職(専業主婦)になった」という回答が79.2%に上っています。
ただ、一度離職してしまうと、職場復帰することや新しい仕事に就くことは難しいのが実情であり、働きたくても働けない女性が多いようです。
アルバイト・パート社員は仕事に何を求めている?
◆“仕事探し”に関する意識調査
株式会社インテリジェンスが運営する求人情報サービス「an」は、アルバイト・パート社員の“仕事探し”に関する意識調査を昨年末に実施し、その結果が発表されています。
この調査結果から、アルバイト・パート社員が仕事に対して一体何を求めているのかを探っていきます。
◆仕事探しを始めた理由
まず、アルバイト・パートで求職活動中の男女に、「仕事探しを始めた理由」を尋ねたところ、トップは「貯金を増やしたかった」(33.5%)で、「趣味に使うお金が欲しかった」(31.9%)、「生活費を補いたかった」(30.0%)などが続いています。
当然と言えば当然ですが、お金に関する理由が上位を占めています。
◆仕事を探す際に重視する点
次に、仕事を探す際に重視する点をそれぞれ「重視する」「やや重視する」「どちらでもない」「あまり重視しない」「重視しない」の5段階で評価してもらい「重視する」と回答した割合を属性別に見てみると、次の通りとなっています。
【高校生】
・「勤務地が自宅から近い」(58.7%)
・「勤務地が学校や習い事の場所から近い」(34.7%)
【大学生】
・「店長や社員の人の雰囲気が良い」(58.7%)
・「時間の融通が利く」(56.9%)
【主婦】
・「長い期間働ける仕事である」(34.4%)
・「やりがいのある仕事である」(42.4%)
高校生は、勤務地から自宅や学校などの距離を重視しており、大学生は、働く人やシフトの柔軟性など働きやすい職場を求めており、主婦は、じっくりと腰を据えて働き続けられることや遣り甲斐を得られる職場を求めているようです。
7月1日より「改正育児・介護休業法」が全面施行!
◆未対応の場合は早急な対応を!
厚生労働省は、“男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方”の実現を目的として、2009年に「育児・介護休業法」を改正しました。
これまで従業員数100人以下の中小零細企業については、短時間勤務制度などの適用が猶予されていましたが、7月1日からはすべての企業が対象となります。全面施行まで1カ月を切りましたので、未対応の企業は早急に対応しなければなりません。
◆7月1日から全面適用となる主な制度
全面適用となる主な制度は、次の通りです。
(1)「短時間勤務制度」
3歳までの子を養育する従業員に対しては、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度を設けなければなりません。
(2)「所定外労働の制限」
3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。
(3)「介護休暇」
家族の介護や世話を行う従業員が申し出た場合には、1日単位での休暇取得を許可しなければなりません。日数は、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日となります。
◆就業規則等の見直しが必要
7月1日から新たに対象となる企業については、あらかじめ就業規則等に上記の制度を定め、従業員に周知しなければなりません。
対応が済んでいない場合は施行日までに対応が必要ですので、ご注意ください。
パート労働者の労働条件見直しの動き
◆来年の国会に改正案を提出へ
厚生労働省は「パート労働法」の一部を改正し、今後は有期雇用で働くパート労働者の待遇を正社員並みとする方針を示しています。
先日示された「今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)」の内容をベースとして、来年の通常国会へ改正案提出を予定しているようです。
◆パート労働者の現状
現在、雇用者の4人に1人以上がパート労働者であり、厚生労働省では、「パート労働という働き方の環境整備が必要であり、パート労働者の均衡待遇の確保を促進していくとともに、均等待遇を目指していくことが求められる」としています。
また、「短時間であることから働き方が多様となるパート労働者の待遇について、納得性を向上させ、あわせてパート労働者に対する継続的な能力形成も進めていく必要がある」としています。
◆報告書案の内容
なお、現在示されている「今後のパートタイム労働対策について(報告)(案)」の主な内容は、次の通りです。
(1)パート労働者の均等・均衡待遇の確保
・職務内容が通常の労働者と同一で、人材活用の仕組みが通常の労働者と少なくとも一定期間同一であるパート労働者について、当該一定期間は、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとされている規定を削除することが適当。
・通勤手当は、パート労働法の均衡確保の努力義務の対象外として例示されているが、多様な性格を有していることから、一律に均衡確保の努力義務の対象外とすることは適当ではない旨を明らかにすることが適当。
(2)パートタイム労働者の雇用管理の改善
・パート労働者の「賃金に関する均衡」、「教育訓練の実施」、「福利厚生施設の利用」、「通常の労働者への転換」等に関し、パート労働者の雇入れ時等に、事業所で講じている措置の内容について、パート労働者に説明することが適当。
・パート労働者からの苦情への対応のために担当者等を定めるとともに、パート労働者の雇入れ時等に周知を図ることが適当。
「テレワーク」導入で企業にも従業員にもメリット
◆「テレワーク」の定義
震災を契機に改めて見直された「テレワーク」ですが、導入する企業、導入を検討している企業が徐々に増えているようです
「テレワーク」は、「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されており、「テレ(Tele)」=「遠い、遠距離の」と、「ワーク(Work)」=「働く」という言葉を組み合わせてできた言葉です。
◆「テレワーク」導入のメリット
導入のメリットとして、一般的には以下のことが挙げられます。
【企業にとってのメリット】
(1)業務が効率化できる
(2)優秀な人材を確保できる
(3)災害発生時の事業継続対策となる
(4)節電対策となる
【従業員にとってのメリット】
(1)ワークライフバランスを向上できる
(2)通勤による負担を軽減できる
(3)地域参加の機会を増加できる
◆メリットの大きい制度
テレワーク導入時においては、「導入する際の就業規則の規定方法がわからない」「労働時間の管理方法が難しい」「情報セキュリティの面で心配」といった労務管理上の悩みや疑問がある場合が多いようです。
しかし、これらの問題をクリアすることができれば、企業にとっても従業員にとってもメリットの大きい制度だと言えるでしょう。
2012/06/01
6月の事務所便り
今後の災害対策の見直しと「帰宅困難者」への対応
◆企業による災害対策の見直し
経済同友会では、東日本大震災から1年を経過したのを機に、危機対応の現状などについて企業に対してアンケート調査を行い、その結果を公表しました。
その中で、「災害時の緊急対応策について、今回の災害を教訓として見直した点を挙げてください」との質問に対する回答(複数回答)は次の通りでした。
(1)緊急体制の再検討(75%)
(2)マニュアルの整備(70%)
(3)非常用通信手段の導入(57%)
(4)平時からの訓練の計画(56%)
(5)現場とのコミュニケーション強化(36%)
その他には、「BCP の整備」「災害時備蓄品の見直し」「津波を想定した訓練」「帰宅困難者対応」などが挙げられました。
◆「帰宅困難者対策条例」への対応
震災発生時において首都圏を中心に多くの「帰宅困難者」が発生したことから、今年3月29日に「東京都帰宅困難者対策条例」が制定され、来年4月1日に施行されることとなっています。
この条例では東京都内の企業に対し、主に次のことを義務付けています。
(1)大規模災害発生時に従業員の一斉帰宅を抑制すること
(2)水や食糧等を3日分備蓄すること
(3)従業員との連絡手段を確保すること
(4)大規模集客施設では利用者保護に努めること
条例の施行により、企業にとっては様々な労務管理上の問題が発生するとともに、多くの経済的負担も生じることから、施行日までに何らかの対応が必要となります。
また、東京都以外の自治体にも同様の条例が制定される可能性もありますので、注意が必要です。
「年金制度」抜本改正に関する動向
◆「最低保障機能」の強化
現在開会中の国会に「年金機能強化法案」(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案)が提出され、これから審議されていきます。
ここでは、この法案の内容を簡単にご紹介します。
◆主な内容
同法案の主な内容は次の通りです。
(1)年金制度の最低保障機能の強化を図り、併せて、年金給付の重点化・効率化を図る観点から、「受給資格期間の短縮」、「低所得者等への年金額の加算」、「高所得者の年金額の調整」を行う。(平成27年10月から施行)
(2)「基礎年金国庫負担2分の1」が恒久化される特定年度(現在は「別に法律で定める年度」と規定)を平成26年度と定める。(平成26年4月から施行)
(3)平成24年度に発行する交付国債の償還に関する事項(今国会に提出済みの国民年金法等改正法案で「別に法律で定める」と規定)を定める。(公布日から施行)
(4)短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う。(平成28年4月から施行)
(5)厚生年金・健康保険等について、次世代育成支援のため、産休期間中の保険料免除を行う。(2年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行)
(6)遺族基礎年金の父子家庭への支給を行う。(平成26年4月から施行)
法案が可決・成立した場合でも施行日はまだまだ先ですが、年金受給者等に大きな影響を与える内容もあり、注意が必要です。
なお、(1)~(3)、(6)については、税制抜本改革により得られる税収(消費税収)を充てるとされています。
◆年金制度の「一元化」実現なるか?
また、サラリーマンと公務員等の年金を統合する「被用者年金一元化法案」(被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案)も国会に提出されており、今後の動向が注目されます。
電子版「ねんきん定期便」がスタート
◆4月からスタート
すべての年金加入者(約6,600万人)を対象とした電子版の「ねんきん定期便」(通称:ねんきんネット)が4月2日にスタートしました。
これにより、毎年の誕生月に郵送している「ねんきん定期便」の内容を、インターネットで確認できるようになりました。
◆電子版「ねんきん定期便」のメリット
電子版の一番のメリットは、「自分の年金記録を24時間いつでも確認することができること」ですが、それ以外にも次のようなメリットがあります。
(1)年金記録の内容は毎月更新される。
…郵送版は年1回のみ
(2)すべての期間の年金記録が確認することができる。
…郵送版は「35歳」「45歳」「58歳」の節目年齢以外は直近1年分のみ
(3)確認した内容を残しておきたい場合はダウンロードして手元に保存することができる。
◆「年金記録の確認経験」20歳以上で約7割
厚生労働省が発表した「公的年金加入状況等調査」(2010年時点)の結果によれば、「過去3年程度の間に自分の年金記録を確認したことがある」という人(20歳以上)は67.4%で、確認の手段としては約8割の人が「ねんきん定期便」を活用していました。
この「ねんきんネット」により、自分の年金記録を確認する人が今後は増えていくものと思われます。
※「ねんきんネット」http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=5214
最近の労働関係の地裁裁判例から
◆自動車メーカーによる雇止め等(4月16日判決)
自動車メーカーが行った雇止めや派遣切りは無効であるとして、工場で働いていた元期間従業員(4人)と元派遣社員(3人)が雇用継続の確認を求めていましたが、東京地裁はこれらの請求を棄却しました。ただし、元期間従業員がカットされた未払い賃金(1人約58万~63万円)の支払いは命じました。
自動車メーカーでは、契約打切りに応じなかった期間従業員に「契約期間終了までの休業」と「約4割の賃金カット」を2008年12月に言い渡して翌年4月で雇止めとし、派遣社員は派遣元から2008年12月に解雇されていました。
裁判長は「不況に伴う雇止め・派遣切りは合理的である」と判断しました。
◆銀行におけるパワハラ(4月19日判決)
パワハラ被害により退職せざるを得なくなったとして、50代の社員が銀行と上司に対して損害賠償(約4,900万円)を求めていましたが、岡山地裁は社員の精神的苦痛を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じました。
2007年3月頃、仕事上でミスをした社員に対して「辞めてしまえ!」などと当時の上司が強い言動で叱責するなどし、この社員は2009年に辞表を提出して退職しました。
裁判官は「上司の叱責は病気療養から復帰直後の社員にとって精神的に厳しく、パワハラに該当する」と認定しました。
◆過労による高校教諭の死亡(4月23日判決)
高校教諭の男性が修学旅行の引率からの帰宅途中に急性心筋梗塞を発症して死亡したのは過労が原因であるにもかかわらず、公務災害と認定されなかったとして、遺族である妻が「地方公務員災害補償基金」に対して不認定処分の取消しを求めていましたが、東京地裁は公務と死亡との因果関係を認め、上記処分を取り消しました。
裁判長は、死亡するまでの1週間の間の労働時間が法定の2.5倍以上に及んでいたと認定し、「日常の勤務と比べて質・量ともに特に過重だった」と判断しました。
がん患者となった労働者に対する就労支援
◆支援策が続々と登場
がん患者の5年生存率の平均が50%を超え、治療を続けながら働くがん患者が増えているそうです。
就労支援に乗り出す企業、夜間診療など支援する病院も現れ、また、厚生労働省も今年度からの「がん対策推進基本計画」で取組みを後押ししています。
◆依願退職・解雇の状況
がん患者の5年生存率は伸びているものの、厚生労働省研究班の調査(2004年)によると、がんになった労働者のうち約30%が依願退職をし、4%が解雇されたそうです。
そこで、同省は、2012年度から5年間の目標を掲げた「がん対策推進基本計画」を発表し、就労支援に取り組むことを掲げています。
◆病院による支援策
がん患者の就労を支援する病院では、放射線治療の診療時間を午後10時まで延長したそうです。
また、他の病院では、患者の悩み相談に応じたり、希望者には精神科医や臨床心理士が復職に伴う心理サポートを実施したりしています。
◆企業による支援策
大手の人材派遣会社では、2012年度末をめどに、がんと診断された社員や派遣スタッフの休暇制度などを導入するようです。
しかしながら、このような企業はまだまだ少ないようであり、中小零細企業では従業員数が少ないため、1人でも長期の休暇を取ると周りの社員の負担が増加してしまいます。
これらの企業では、他の企業で実施されている育児や介護との仕事の両立、うつ病で休職した人の復職などを参考にしながら、がん患者となった労働者への支援を進めていくことも必要なのではないでしょうか。
うつ病の診断を客観的に行う方法
◆発症率は6~7%
日本人が「うつ病」を患う確率は6~7%と言われており、欧米諸国と比較すると多くはないようですが、一般内科において「気分が滅入る」「眠れない」と訴えて、うつ病と診断されるケースは増えているようです。
うつ病は診断が難しく、精神科でも確定的な診断を行うまでに時間がかかりますが、客観的にうつ病を診断できるように「光トポグラフィー検査」というものが開発されています。
◆「光トポグラフィー検査」の内容
この検査は、近赤外光(身体には無害)を使用して脳の活動状況を調べるもので、頭に近赤外光を当て、反射してくる光から脳血流の変化を読み取り、脳の活動状態を数値化します。
患者は頭に光源と光検出機を内蔵したヘッドセットを着け、最初の10秒は「あ、い、う、え、お」を繰り返し、次の10~70秒間では、同じ頭文字で始まる言葉を声に出して言い続けます。
このときに「あ、で始める言葉は…」と脳を使う際の血流の変化がポイントであり、血流量がどう変化するのかをグラフ化するそうです。
◆「先進医療」に指定
この検査は2011年5月に厚生労働省の「先進医療」に指定され、大学病院などでは保険診療と組み合わせて検査を行う「混合診療」が可能となりました。
問合せが殺到して予約すらできない状況が続いているそうですが、病院・クリニックでの診断名に疑問をお持ちの方は、一度検査を受けてみるのも良いかもしれません。
身近になった「在宅医療」「在宅介護」
◆4月からの制度改定
この4月から、医療保険制度と介護保険制度が一部改定されました。
できるだけ病院や介護施設に入らず、自宅において医師・看護師・ヘルパーに世話をしてもらいながら療養する人を増やそうという狙いがあるようです。
◆「報酬改定」による影響
診療報酬や介護報酬は、2~3年に一度、物価動向などを踏まえて政府が見直しを行い、医療や介護行為にかかる報酬を改定するものです。
今回は在宅医療にまつわる報酬が上がったこともあり、訪問診療などを手掛ける医療機関が増える可能性が指摘されているようです。
◆診療報酬改定のポイント
医療保険分野では、診療報酬改定率はほぼ横ばいの0.004%(本体プラス1.379%/薬価・材料等マイナス1.375%)の増加で、2010年度の改定で10年ぶりに増加(0.19%)したのに続き、2年連続で増えました。
また、早期退院から在宅医療への円滑な移行、訪問介護の充実、精神疾患・認知症対策の推進などにも、重点的に配分がなされました。
◆介護報酬改定のポイント
介護保険分野では、介護報酬改定率は1.2%増加で、2009年度に引き続きプラス改定となりました。
ただし、「介護職員処遇改善交付金」が2011年度末で終了したため、マイナス0.8%の改定ととらえることもできます。
この交付金は終了しますが、「介護サービス提供の効率化・重点化を図る観点から在宅医療への移行を図る」「介護職員の処遇改善を確実に図る」などの要件を満たした場合には、事業者が人件費に充当するための報酬加算が行れています。
「多様な形態による正社員」の今後
◆厚生労働省の研究会報告書
厚生労働省の「多様な形態による正社員に関する研究会」が報告書をとりまとめ、このたび公表されました。
これによれば、正社員と同じ無期労働契約でありながら、職種・勤務地・労働時間などが限定的な正社員(多様な形態による正社員)の導入は、非正社員にとって正社員転換の機会を拡大する可能性があると指摘しています。
◆「多様な形態による正社員」の導入状況
「多様な形態による正社員」については企業の約5割が導入し、そのうち職種限定は約9割、勤務地限定は約4割、労働時間限定は約1~2割となっているようです。
導入の目的は、「人材確保・人材定着の必要性」、「ワーク・ライフ・バランス支援」が多くなっており、「賃金は通常の正社員の8~9割程度」、「昇進・昇格には上限あり」、「事業所閉鎖時等の人事上の取扱いは通常の正社員と同様」とする企業が多いようです。
◆企業側・従業員側のメリット
「多様な形態による正社員」について、企業側のメリットとしては、人材の確保、多様な人材の活用、人材の定着、業務の効率化などが挙げられ、従業員側のメリットとしては、雇用が安定すること、遠方への転勤の心配がないことが挙げられます。
◆活用にあたっての注意点
非正社員から正社員への登用(ステップアップ)のために活用する場合は、「安定した雇用の下、職業能力の向上を図り、希望に応じた働き方を実現できる形態として活用することが望ましい」とされています。
この「多様な形態による正社員」の導入は、非正社員にとっては正社員転換の機会が拡大する可能性があり、正社員にとってもワーク・ライフ・バランス実現の1つの手段となり得るため、今後も注目されていくものと思われます。
「職場のパワーハラスメント」の予防・解決
◆厚労省ワーキング・グループが取りまとめ
厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」においては、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」(パワハラ)について昨年7月から議論されてきましたが、このたび、問題の予防・解決に向けた提言を取りまとめ、発表されました。
◆企業の積極的な取組みが必要
職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワハラ」は、労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な課題です。
企業は、これらの発生による「職場の生産性の低下」や「人材の流出」といった損失を防ぐとともに、労働者の仕事に対する意欲を向上させ、職場の活力を増すために、この問題に積極的に取り組むことが求められます。
◆職場のパワハラをなくすために必要なこと
(1)企業や労働組合、そして一人ひとりの取組み
企業や労働組合は、職場のパワハラの概念・行為類型やワーキング・グループ報告が示した取組例を参考に取り組んでいくとともに、組織の取組みが形だけのものにならないよう、職場の一人ひとりにも、それぞれの立場から取り組むことを求めることが必要です。
(2)トップマネジメントへの期待
職場のパワハラは組織の活力を削ぐものであることを意識し、こうした問題が生じない組織文化を育てていくことを求めることが必要です。そのためには自らが模範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの取組みを行う必要があります。
(3)上司の立場にある方への期待
自らがパワハラをしないことはもちろん、部下にもさせないように職場を管理し、職場で起こってしまった場合はその解決に取り組む必要があります。
(4)職場の一人ひとりへの期待
互いの価値観などの違いを認め、互いを受け止め、人格を尊重し合い、互いに理解し協力し合うため、適切にコミュニケーションを行うように努力することが必要で。また、パワハラを受けた人を孤立させず声を掛け合うなど、互いに支え合うことを求めることも必要です。
2012年度新入社員の意識調査の結果から
◆新入社員教育プログラム参加者を対象に調査を実施
公益財団法人日本生産性本部が、2012年4月入社の新入社員を対象として「2012年度新入社員 春の意識調査」を実施し、その結果が4月23日に発表されました。
この調査は、同本部主催の新入社員教育プログラム等への参加者を対象に実施し、2,089人から回答が得られています。
◆「安定思考」が顕著に
この中で、「今の会社に一生勤めようと思っている」とする回答が過去最高の60.1%となりました。過去最低だった2000年(20.5%)と比較すると、なんと約40ポイントも上昇しています。非常に厳しい就職活動を行った世代であるためか、いわゆる「安定志向」の社員が増えているようです。
そして、「将来への自分のキャリアプランを考える上では、社内で出世するより自分で起業して独立したい」とする回答は、過去最低の12.5%となりました。これは、過去最高だった2003年(30.5%)と比較すると約20ポイント低下しています。
◆新入社員研修参加者を対象に調査を実施
また、株式会社マイナビでも、2012年4月入社の新入社員を対象に「2012年マイナビ新入社員意識調査」を実施し、その結果を4月26日に発表しています。
この調査は、同社主催の新入社員研修に参加した企業の新入社員(1,390名)を対象に実施したものです。
◆「自信」のあるスキル
まず、「あなたが今、会社で発揮できる力はどんな力だと思うか」(複数回答)を聞いたところ、上位3つは次の通りの結果となっています。
(1)「相手の意見を丁寧に聞く力」(56.4%)
(2)「物事に進んで取り組む力」(53.2%)
(3)「社会のルールや人との約束を守る力」(39.9%)
次に、「これから自分に必要だと思うスキルはどんなスキルだと思うか」(複数回答)を聞いたところ、上位3つは次の通りの結果となっています。
(1)「自分の意見をわかりやすく伝える力」(49.1%)
(2)「他人に働きかけ巻き込む力」(33.5%)
(3)「目的を設定し確実に行動する力」(32.2%)
◆企業による災害対策の見直し
経済同友会では、東日本大震災から1年を経過したのを機に、危機対応の現状などについて企業に対してアンケート調査を行い、その結果を公表しました。
その中で、「災害時の緊急対応策について、今回の災害を教訓として見直した点を挙げてください」との質問に対する回答(複数回答)は次の通りでした。
(1)緊急体制の再検討(75%)
(2)マニュアルの整備(70%)
(3)非常用通信手段の導入(57%)
(4)平時からの訓練の計画(56%)
(5)現場とのコミュニケーション強化(36%)
その他には、「BCP の整備」「災害時備蓄品の見直し」「津波を想定した訓練」「帰宅困難者対応」などが挙げられました。
◆「帰宅困難者対策条例」への対応
震災発生時において首都圏を中心に多くの「帰宅困難者」が発生したことから、今年3月29日に「東京都帰宅困難者対策条例」が制定され、来年4月1日に施行されることとなっています。
この条例では東京都内の企業に対し、主に次のことを義務付けています。
(1)大規模災害発生時に従業員の一斉帰宅を抑制すること
(2)水や食糧等を3日分備蓄すること
(3)従業員との連絡手段を確保すること
(4)大規模集客施設では利用者保護に努めること
条例の施行により、企業にとっては様々な労務管理上の問題が発生するとともに、多くの経済的負担も生じることから、施行日までに何らかの対応が必要となります。
また、東京都以外の自治体にも同様の条例が制定される可能性もありますので、注意が必要です。
「年金制度」抜本改正に関する動向
◆「最低保障機能」の強化
現在開会中の国会に「年金機能強化法案」(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案)が提出され、これから審議されていきます。
ここでは、この法案の内容を簡単にご紹介します。
◆主な内容
同法案の主な内容は次の通りです。
(1)年金制度の最低保障機能の強化を図り、併せて、年金給付の重点化・効率化を図る観点から、「受給資格期間の短縮」、「低所得者等への年金額の加算」、「高所得者の年金額の調整」を行う。(平成27年10月から施行)
(2)「基礎年金国庫負担2分の1」が恒久化される特定年度(現在は「別に法律で定める年度」と規定)を平成26年度と定める。(平成26年4月から施行)
(3)平成24年度に発行する交付国債の償還に関する事項(今国会に提出済みの国民年金法等改正法案で「別に法律で定める」と規定)を定める。(公布日から施行)
(4)短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大を行う。(平成28年4月から施行)
(5)厚生年金・健康保険等について、次世代育成支援のため、産休期間中の保険料免除を行う。(2年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行)
(6)遺族基礎年金の父子家庭への支給を行う。(平成26年4月から施行)
法案が可決・成立した場合でも施行日はまだまだ先ですが、年金受給者等に大きな影響を与える内容もあり、注意が必要です。
なお、(1)~(3)、(6)については、税制抜本改革により得られる税収(消費税収)を充てるとされています。
◆年金制度の「一元化」実現なるか?
また、サラリーマンと公務員等の年金を統合する「被用者年金一元化法案」(被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案)も国会に提出されており、今後の動向が注目されます。
電子版「ねんきん定期便」がスタート
◆4月からスタート
すべての年金加入者(約6,600万人)を対象とした電子版の「ねんきん定期便」(通称:ねんきんネット)が4月2日にスタートしました。
これにより、毎年の誕生月に郵送している「ねんきん定期便」の内容を、インターネットで確認できるようになりました。
◆電子版「ねんきん定期便」のメリット
電子版の一番のメリットは、「自分の年金記録を24時間いつでも確認することができること」ですが、それ以外にも次のようなメリットがあります。
(1)年金記録の内容は毎月更新される。
…郵送版は年1回のみ
(2)すべての期間の年金記録が確認することができる。
…郵送版は「35歳」「45歳」「58歳」の節目年齢以外は直近1年分のみ
(3)確認した内容を残しておきたい場合はダウンロードして手元に保存することができる。
◆「年金記録の確認経験」20歳以上で約7割
厚生労働省が発表した「公的年金加入状況等調査」(2010年時点)の結果によれば、「過去3年程度の間に自分の年金記録を確認したことがある」という人(20歳以上)は67.4%で、確認の手段としては約8割の人が「ねんきん定期便」を活用していました。
この「ねんきんネット」により、自分の年金記録を確認する人が今後は増えていくものと思われます。
※「ねんきんネット」http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=5214
最近の労働関係の地裁裁判例から
◆自動車メーカーによる雇止め等(4月16日判決)
自動車メーカーが行った雇止めや派遣切りは無効であるとして、工場で働いていた元期間従業員(4人)と元派遣社員(3人)が雇用継続の確認を求めていましたが、東京地裁はこれらの請求を棄却しました。ただし、元期間従業員がカットされた未払い賃金(1人約58万~63万円)の支払いは命じました。
自動車メーカーでは、契約打切りに応じなかった期間従業員に「契約期間終了までの休業」と「約4割の賃金カット」を2008年12月に言い渡して翌年4月で雇止めとし、派遣社員は派遣元から2008年12月に解雇されていました。
裁判長は「不況に伴う雇止め・派遣切りは合理的である」と判断しました。
◆銀行におけるパワハラ(4月19日判決)
パワハラ被害により退職せざるを得なくなったとして、50代の社員が銀行と上司に対して損害賠償(約4,900万円)を求めていましたが、岡山地裁は社員の精神的苦痛を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じました。
2007年3月頃、仕事上でミスをした社員に対して「辞めてしまえ!」などと当時の上司が強い言動で叱責するなどし、この社員は2009年に辞表を提出して退職しました。
裁判官は「上司の叱責は病気療養から復帰直後の社員にとって精神的に厳しく、パワハラに該当する」と認定しました。
◆過労による高校教諭の死亡(4月23日判決)
高校教諭の男性が修学旅行の引率からの帰宅途中に急性心筋梗塞を発症して死亡したのは過労が原因であるにもかかわらず、公務災害と認定されなかったとして、遺族である妻が「地方公務員災害補償基金」に対して不認定処分の取消しを求めていましたが、東京地裁は公務と死亡との因果関係を認め、上記処分を取り消しました。
裁判長は、死亡するまでの1週間の間の労働時間が法定の2.5倍以上に及んでいたと認定し、「日常の勤務と比べて質・量ともに特に過重だった」と判断しました。
がん患者となった労働者に対する就労支援
◆支援策が続々と登場
がん患者の5年生存率の平均が50%を超え、治療を続けながら働くがん患者が増えているそうです。
就労支援に乗り出す企業、夜間診療など支援する病院も現れ、また、厚生労働省も今年度からの「がん対策推進基本計画」で取組みを後押ししています。
◆依願退職・解雇の状況
がん患者の5年生存率は伸びているものの、厚生労働省研究班の調査(2004年)によると、がんになった労働者のうち約30%が依願退職をし、4%が解雇されたそうです。
そこで、同省は、2012年度から5年間の目標を掲げた「がん対策推進基本計画」を発表し、就労支援に取り組むことを掲げています。
◆病院による支援策
がん患者の就労を支援する病院では、放射線治療の診療時間を午後10時まで延長したそうです。
また、他の病院では、患者の悩み相談に応じたり、希望者には精神科医や臨床心理士が復職に伴う心理サポートを実施したりしています。
◆企業による支援策
大手の人材派遣会社では、2012年度末をめどに、がんと診断された社員や派遣スタッフの休暇制度などを導入するようです。
しかしながら、このような企業はまだまだ少ないようであり、中小零細企業では従業員数が少ないため、1人でも長期の休暇を取ると周りの社員の負担が増加してしまいます。
これらの企業では、他の企業で実施されている育児や介護との仕事の両立、うつ病で休職した人の復職などを参考にしながら、がん患者となった労働者への支援を進めていくことも必要なのではないでしょうか。
うつ病の診断を客観的に行う方法
◆発症率は6~7%
日本人が「うつ病」を患う確率は6~7%と言われており、欧米諸国と比較すると多くはないようですが、一般内科において「気分が滅入る」「眠れない」と訴えて、うつ病と診断されるケースは増えているようです。
うつ病は診断が難しく、精神科でも確定的な診断を行うまでに時間がかかりますが、客観的にうつ病を診断できるように「光トポグラフィー検査」というものが開発されています。
◆「光トポグラフィー検査」の内容
この検査は、近赤外光(身体には無害)を使用して脳の活動状況を調べるもので、頭に近赤外光を当て、反射してくる光から脳血流の変化を読み取り、脳の活動状態を数値化します。
患者は頭に光源と光検出機を内蔵したヘッドセットを着け、最初の10秒は「あ、い、う、え、お」を繰り返し、次の10~70秒間では、同じ頭文字で始まる言葉を声に出して言い続けます。
このときに「あ、で始める言葉は…」と脳を使う際の血流の変化がポイントであり、血流量がどう変化するのかをグラフ化するそうです。
◆「先進医療」に指定
この検査は2011年5月に厚生労働省の「先進医療」に指定され、大学病院などでは保険診療と組み合わせて検査を行う「混合診療」が可能となりました。
問合せが殺到して予約すらできない状況が続いているそうですが、病院・クリニックでの診断名に疑問をお持ちの方は、一度検査を受けてみるのも良いかもしれません。
身近になった「在宅医療」「在宅介護」
◆4月からの制度改定
この4月から、医療保険制度と介護保険制度が一部改定されました。
できるだけ病院や介護施設に入らず、自宅において医師・看護師・ヘルパーに世話をしてもらいながら療養する人を増やそうという狙いがあるようです。
◆「報酬改定」による影響
診療報酬や介護報酬は、2~3年に一度、物価動向などを踏まえて政府が見直しを行い、医療や介護行為にかかる報酬を改定するものです。
今回は在宅医療にまつわる報酬が上がったこともあり、訪問診療などを手掛ける医療機関が増える可能性が指摘されているようです。
◆診療報酬改定のポイント
医療保険分野では、診療報酬改定率はほぼ横ばいの0.004%(本体プラス1.379%/薬価・材料等マイナス1.375%)の増加で、2010年度の改定で10年ぶりに増加(0.19%)したのに続き、2年連続で増えました。
また、早期退院から在宅医療への円滑な移行、訪問介護の充実、精神疾患・認知症対策の推進などにも、重点的に配分がなされました。
◆介護報酬改定のポイント
介護保険分野では、介護報酬改定率は1.2%増加で、2009年度に引き続きプラス改定となりました。
ただし、「介護職員処遇改善交付金」が2011年度末で終了したため、マイナス0.8%の改定ととらえることもできます。
この交付金は終了しますが、「介護サービス提供の効率化・重点化を図る観点から在宅医療への移行を図る」「介護職員の処遇改善を確実に図る」などの要件を満たした場合には、事業者が人件費に充当するための報酬加算が行れています。
「多様な形態による正社員」の今後
◆厚生労働省の研究会報告書
厚生労働省の「多様な形態による正社員に関する研究会」が報告書をとりまとめ、このたび公表されました。
これによれば、正社員と同じ無期労働契約でありながら、職種・勤務地・労働時間などが限定的な正社員(多様な形態による正社員)の導入は、非正社員にとって正社員転換の機会を拡大する可能性があると指摘しています。
◆「多様な形態による正社員」の導入状況
「多様な形態による正社員」については企業の約5割が導入し、そのうち職種限定は約9割、勤務地限定は約4割、労働時間限定は約1~2割となっているようです。
導入の目的は、「人材確保・人材定着の必要性」、「ワーク・ライフ・バランス支援」が多くなっており、「賃金は通常の正社員の8~9割程度」、「昇進・昇格には上限あり」、「事業所閉鎖時等の人事上の取扱いは通常の正社員と同様」とする企業が多いようです。
◆企業側・従業員側のメリット
「多様な形態による正社員」について、企業側のメリットとしては、人材の確保、多様な人材の活用、人材の定着、業務の効率化などが挙げられ、従業員側のメリットとしては、雇用が安定すること、遠方への転勤の心配がないことが挙げられます。
◆活用にあたっての注意点
非正社員から正社員への登用(ステップアップ)のために活用する場合は、「安定した雇用の下、職業能力の向上を図り、希望に応じた働き方を実現できる形態として活用することが望ましい」とされています。
この「多様な形態による正社員」の導入は、非正社員にとっては正社員転換の機会が拡大する可能性があり、正社員にとってもワーク・ライフ・バランス実現の1つの手段となり得るため、今後も注目されていくものと思われます。
「職場のパワーハラスメント」の予防・解決
◆厚労省ワーキング・グループが取りまとめ
厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」においては、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」(パワハラ)について昨年7月から議論されてきましたが、このたび、問題の予防・解決に向けた提言を取りまとめ、発表されました。
◆企業の積極的な取組みが必要
職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワハラ」は、労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な課題です。
企業は、これらの発生による「職場の生産性の低下」や「人材の流出」といった損失を防ぐとともに、労働者の仕事に対する意欲を向上させ、職場の活力を増すために、この問題に積極的に取り組むことが求められます。
◆職場のパワハラをなくすために必要なこと
(1)企業や労働組合、そして一人ひとりの取組み
企業や労働組合は、職場のパワハラの概念・行為類型やワーキング・グループ報告が示した取組例を参考に取り組んでいくとともに、組織の取組みが形だけのものにならないよう、職場の一人ひとりにも、それぞれの立場から取り組むことを求めることが必要です。
(2)トップマネジメントへの期待
職場のパワハラは組織の活力を削ぐものであることを意識し、こうした問題が生じない組織文化を育てていくことを求めることが必要です。そのためには自らが模範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの取組みを行う必要があります。
(3)上司の立場にある方への期待
自らがパワハラをしないことはもちろん、部下にもさせないように職場を管理し、職場で起こってしまった場合はその解決に取り組む必要があります。
(4)職場の一人ひとりへの期待
互いの価値観などの違いを認め、互いを受け止め、人格を尊重し合い、互いに理解し協力し合うため、適切にコミュニケーションを行うように努力することが必要で。また、パワハラを受けた人を孤立させず声を掛け合うなど、互いに支え合うことを求めることも必要です。
2012年度新入社員の意識調査の結果から
◆新入社員教育プログラム参加者を対象に調査を実施
公益財団法人日本生産性本部が、2012年4月入社の新入社員を対象として「2012年度新入社員 春の意識調査」を実施し、その結果が4月23日に発表されました。
この調査は、同本部主催の新入社員教育プログラム等への参加者を対象に実施し、2,089人から回答が得られています。
◆「安定思考」が顕著に
この中で、「今の会社に一生勤めようと思っている」とする回答が過去最高の60.1%となりました。過去最低だった2000年(20.5%)と比較すると、なんと約40ポイントも上昇しています。非常に厳しい就職活動を行った世代であるためか、いわゆる「安定志向」の社員が増えているようです。
そして、「将来への自分のキャリアプランを考える上では、社内で出世するより自分で起業して独立したい」とする回答は、過去最低の12.5%となりました。これは、過去最高だった2003年(30.5%)と比較すると約20ポイント低下しています。
◆新入社員研修参加者を対象に調査を実施
また、株式会社マイナビでも、2012年4月入社の新入社員を対象に「2012年マイナビ新入社員意識調査」を実施し、その結果を4月26日に発表しています。
この調査は、同社主催の新入社員研修に参加した企業の新入社員(1,390名)を対象に実施したものです。
◆「自信」のあるスキル
まず、「あなたが今、会社で発揮できる力はどんな力だと思うか」(複数回答)を聞いたところ、上位3つは次の通りの結果となっています。
(1)「相手の意見を丁寧に聞く力」(56.4%)
(2)「物事に進んで取り組む力」(53.2%)
(3)「社会のルールや人との約束を守る力」(39.9%)
次に、「これから自分に必要だと思うスキルはどんなスキルだと思うか」(複数回答)を聞いたところ、上位3つは次の通りの結果となっています。
(1)「自分の意見をわかりやすく伝える力」(49.1%)
(2)「他人に働きかけ巻き込む力」(33.5%)
(3)「目的を設定し確実に行動する力」(32.2%)
2012/04/27
5月の事務所便り
改正された「労働者派遣法」の概要
◆法律名変更で「労働者の保護」を明確に
派遣労働者の保護を目的とする「改正労働者派遣法」がついに成立しました。施行期日は「公布の日から6カ月以内」とされています。
法律の正式名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更されました。
改正法の主な内容は次の通りです。
◆事業規制の強化
(1)日雇派遣(日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止(適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外)
(2)グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止
◆派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
(1)派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化
(2)派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮
(3)派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化
(4)雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示
(5)労働者派遣契約の解除に際して、派遣元および派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化
◆違法派遣に対する迅速・適格な対処
(1)違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす
(2)処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備
厚生労働省から発表された今年度の「労働基準行政の運営方針」
◆労務管理で注意すべき事項は?
厚生労働省が「平成24年度 地方労働行政運営方針について」を発表しました。
各都道府県の労働局では、この運営方針を踏まえつつ行政運営を図ることとしていますので、企業の労務担当者が気にしておくべき内容が盛り込まれています。
◆運営方針の内容
発表された運営方針の項目は下記の通りです。なお、地方労働行政の展開にあたっての基本的対応は、「地方公共団体、労使団体等との連携を図るとともに、地域の実態把握、コスト削減等を通じた計画的かつ効率的な行政運営を推進する」とされています。
(1)東日本大震災からの復旧・復興支援および円高への対応
(2)総合労働行政機関として推進する重点施策
(3)労働基準行政の重点施策
(4)職業安定行政の重点施策
(5)職業能力開発行政の重点施策
(6)雇用均等行政の重点施策
(7)労働保険適用徴収業務の重点施策
(8)個別労働関係紛争の解決の促進
◆労働基準行政としての重点施策
企業の労務担当者が最も気になるところである「(3)労働基準行政の重点施策」の項目には、次のことが挙げられています。
・「労働条件の確保・改善対策」…長時間労働の抑制や賃金不払残業の防止のための監督指導等の法定労働条件の確保、外国人労働者等の特定労働分野における労働条件の確保対策等を推進する。
・「最低賃金制度の適切な運営」…最低賃金の周知徹底を図るとともに、最低賃金引上げに向けた中小企業への支援を行う。
・「適正な労働条件の整備」…長時間労働の抑制および年次有給休暇の取得促進等を推進する。
・「労働者の安全と健康確保対策の推進」…労働災害防止対策を安全衛生対策の最重点課題とし、労働災害多発分野における対策、メンタルヘルス対策および過重労働による健康障害防止対策、石綿健康障害防止対策を推進する。
・「労災補償対策の推進」…労災保険の迅速・適正な処理、精神障害等事案および脳・心臓疾患事案に係る適正な処理を行う。
今年の新入社員はどんなタイプ?
◆平成24年4月入社の新入社員
公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」では、平成24年4月入社の新入社員の特徴をまとめました。
この研究会は学識経験者などで構成されており、就職・採用環境の動向等についての調査研究を行い、その年の新入社員の特徴をネーミングすることが恒例となっています。
◆今年は『奇跡の一本松型』
発表された今年の新入社員のタイプは、『奇跡の一本松型』とのことです。『奇跡の一本松』(岩手県陸前高田市)とは、東日本大震災で発生した巨大津波にも耐えて生き残った松のことであり、復興に向けて多くの人に勇気を与えていると話題になりました。
研究会では、「大卒予定者の就職内定率が過去3番目に低い(80.5%)という厳しい状況の中、就職戦線を乗り越えてきた若者たちの頑張りを賞賛したい」と、ネーミングの理由を説明しています。
◆過去のネーミングは?
なお、平成18年~23年のネーミングは以下の通りです。
・平成18年『ブログ型』…ネット上での交流で、他者に自己認知や共感を求めたがる一方で、他人の評価で萎縮しやすい傾向もあり、暖かい眼差しと共感が育成のカギ。
・平成19年『デイトレーダー型』…景気回復での大量採用は売り手市場を形成し、就職しても細かい損得勘定でネットを活用して銘柄(会社)を物色し続け、売買を繰り返す(転職)おそれあり。
・平成20年『カーリング型』…働きやすい環境作りとばかりにブラシでこすり続けねば、止まったり方向違いとなったりのおそれあり。楽勝就職の一方で先行き不安の試合展開は本人の意志(石)次第。
・平成21年『エコバック型』…環境問題(エコ)に関心が強く、節約志向(エコ)で無駄を嫌う傾向があり、折り目正しい。小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある。
・平成22年『ETC型』…性急に関係を築こうとすると直前まで心のバーが開かないので、スピードの出し過ぎに注意。IT 活用には長けているが、人との直接的な対話がなくなるのが心配。
・平成23年『はやぶさ型』…東日本大震災の発生により発表は見送り。
課長と一般社員の考えのギャップをどう埋める!?
◆意識の違いはどこから生じる?
公益財団法人日本生産性本部では、管理職層と一般社員層(2011年6月以降における同法人主催の公開セミナー等の受講者)を対象にアンケートを実施し、先日その結果が発表されました。
管理職層の回答の中から「課長職」のみの回答(478件)を、一般社員層の回答の中から「入社2年目社員から係長・主任・職場リーダークラスまで」の回答(381件)を抽出し、比較分析が行われています。
多くの項目で、両者の意識にギャップが生じていることがわかりました。
◆コミュニケーションが取れているか?
まず、「部下または後輩とのコミュニケーション」について、「取れていると思う」と回答した課長は79.9%でした。逆に、「上司とのコミュニケーション」について、「取れていると思う」と回答した一般社員は68.8%でした
課長自身が「部下・後輩とはコミュニケーションが取れている!」と勘違い(?)されているケースがあるようです。
◆職場での情報共有がされているか?
次に、「職場での有益な情報共有」について、課長のうち68.0%の人が「共有されていると思う」と回答したのに対し、一般社員のうち53.8%の人が「共有されていない」と回答しました。
情報共有ができていると思っている割合は課長のほうが高くなっており、ここにもまたギャップが生じています。
◆部下の話をじっくり聴いているか?
また、課長のうち85.6%の人が「部下の話をじっくり聴いている」と思っていますが、一般社員の30.4%は「自分の上司は話をあまり聴かない」と感じているようです。
上司の側は部下の話を聞いているつもりであっても、部下の側はそのように感じていないことも多いようです。
学生は「大企業」「中堅中小企業」どちらを選ぶ?
◆インターネット調査の結果から
株式会社ディスコから、2013年3月卒業予定の大学生(主に現大学3年生)を対象に行った就職活動に関するインターネット調査(回答者数1,290人)の結果が発表されました。
これによると、大手企業を中心に就職活動をしている学生は「40.2%」、中堅中小企業を中心に活動している学生は「14.0%」でした。
しかし、3年前のアンケートでは、活動の中心が大手企業の学生は「51.9%」、中堅中小企業が中心の学生は「5.9%」であり、ここ数年で、中堅中小企業も志望する学生は着実に増えています。
◆中堅中小でやりがいのある仕事を
また、株式会社マイナビが実施した「2013年卒マイナビ大学生就職意識調査」でも、『中堅・中小企業志向』(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」「中堅・中小企業がよい」との回答割合)が2001年卒以降で最高の59.2%となっており、『大手企業志向』(「絶対に大手企業がよい」「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」との回答割合)の減少傾向が続いています。
不透明な経済情勢が続くなか、大企業よりも、比較的若いうちから中心的な仕事を任される可能性が高い中堅中小企業の志望者が増えているようです。
◆転職理由のベスト3
大手企業・中堅中小企業のどちらへの就職であっても、企業側が気になるのは、採用した社員の転職です。
株式会社インテリジェンスが発表した「転職理由調査2012年版」の結果によれば、転職理由のベスト3は次の通りとなっています。
(1)「会社の将来性が不安」(14.2%)
(2)「他にやりたい仕事がある」(13.2%)
(3)「給与に不満がある」(8.5%)と続きました。
時間とお金をかけて採用・育成した社員をいかに定着させるかが、企業には問われるところです。
「有期労働契約」が変わる? 労働契約法改正の動向
◆改正案が閣議決定
先日、「労働契約法改正案」が閣議決定されました。
国会の状況により流動的ではありますが、厚生労働省は来春施行を目指すとしており、成立した場合は企業への影響も大きいと思われますので、今から注目しておきましょう。
◆改正案のポイント
この改正案のポイントは、次の通りです。
(1)5年を超えて反復更新された有期労働契約について、労働者からの申込みがあれば期間の定めのない労働契約へ転換させる仕組みの導入
(2)「雇止め法理」の法制化
(3)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
◆具体的な内容
まず(1)については、反復更新により有機の労働契約が5年を超える場合が対象ですが、原則6カ月以上の空白期間(クーリング期間)がある場合には、前の契約期間と通算されないため、該当しないこととなります。
次に(2)の「雇止め法理」は、有期労働契約を繰り返し更新することにより期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている(あるいは有期労働契約の期間満了後にも雇用が継続されている)等により、有期雇用労働者の雇用関係継続への合理的な期待が認められるときに、雇止めを行う際には合理的な理由が必要となることです。また、雇止めが無効と判断された場合には、従前の労働契約が更新されたものとみなされることになります。
また、(3)は、期間の定めがあることによって、有期契約労働者の労働条件が無期契約労働者の労働条件と相違する場合に、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮し、不合理と認められるものであってはならないというものです。
パート労働者へ社会保険適用を拡大へ
◆重要度を増すパート労働者
企業内におけるパート労働者の役割は年々重要度を増しており、正社員並みの中核業務を任せる企業も多くなっています。
正社員並みの中核業務を担当させるような企業においては、仕事が同じ正社員とパート労働者の賃金水準を同等にしたり、就業環境の整備を行ったりしています。
◆セーフティネットの強化
このような状況下において、国は、被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられないパート労働者などの非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における格差を是正したいと考えました。
そこで、政府は、パート労働者への社会保険の適用拡大を検討しています。2016年4月から、「週勤務時間20時間以上」「年収94万円(月収7万8,000円)以上」「勤務期間1年以上」で「従業員501人以上の企業で勤務」の人を社会保険適用の対象にするとし、さらに3年以内に対象の拡大を行うというものです。
加入が進めばパートの将来への安心感は増しますが、企業の負担は大きくなるため(約800億円と推計)、反発の声があがっています。
◆負担軽減措置も検討
今回の適用拡大をめぐり、厚生労働省では、高齢者医療費の拠出金などについて負担を軽減する特例措置の導入を検討しています。
パート労働者が多い業界(外食、流通業など)を対象に、負担増の部分について健康保険組合の加入者が肩代わりするというものです。
企業にとっては、今後の動きから目が離せません。
若年層雇用の問題点と対策
◆課題が山積!
大学や専門学校を卒業して就職してもすぐに会社を辞めたり、就職できずにアルバイトや無職となってしまったりという人が多くなっています。
それ以外にも、若年層の雇用対策については課題が山積しています。
◆新卒者等の就職内定率
文部科学省・厚生労働省の集計によれば、今春卒業した大学生の就職内定率(2月1日時点)は過去3番目に低い80.5%でした。
現時点でもまだ多くの学生が就職できずに就職活動を続けており、新卒者の就職環境は依然として厳しいようです。
◆「高年齢フリーター」の存在
さらに、バブル崩壊後の就職氷河期(1993年以降)に卒業し、アルバイトなどを続けてきた人は現在40歳前後になっています。
その影響で、いわゆる「高年齢フリーター」(35~44歳のフリーター)は過去最高の約50万人に上っています。なお、この世代に占めるフリーターの割合は2002年時点で1.6%でしたが、2011年には2.8%となっています。
今後も、学卒で就職することができずに、フリーターとなる人の割合は高まっていくことが予想されます。
◆政府の雇用対策
政府は、「トライアル雇用制度」や、「ジョブカフェ」など、若年層向けの雇用対策を進めていますが、「高年齢フリーター」等に対する支援は十分ではありません。
新卒で就職後、3年以内に離職する人の割合は3割を超えているようです。「高年齢フリーター」を含めた若年層の雇用についてはさらなる対策が求められます。
厚生年金基金の現状と問題点
◆半数以上の基金が赤字!
世間を騒がせているAIJ投資顧問による「年金消失問題」を受け、厚生労働省が行った厚生年金基金(以下、「基金」)に関する調査によると、全578基金のうち314基金において、年間の給付額が掛金(保険料)を上回ったということです(2011年3月期)。
また、将来の年金支給に必要な積立金が10年未満になくなってしまうおそれのある基金が16もあり、今後、積立不足による企業の倒産なども出かねない状況です。
◆積立不足の要因は?
積立不足の背景には、団塊世代の大量退職による年金受給者の増加があります。
また、現役社員が年々減少傾向にあり、支給総額から掛金総額を引いた差額は約1,300億円(2010年度)にも上っており、今後はさらに拡大することが考えられます。
◆運用利回り設定の問題点
将来の年金給付原資を確保するために必要な運用利回りについて、大企業においては一般的に「2~3%程度」となっているようですが、中小企業が中心の基金では、約9割が「5.5%」といった高水準に設定されているようです。
こうした基金の中には、業績低迷により掛金を増やせない状態にあるケースが多くなっています。
◆運用難をどう乗り切るか
約4割の基金では、積立金について企業年金分がまったくないうえに、公的年金分(代行部分)も不足しているとのことです。
財政悪化に対処するために退職者が受給している企業年金の減額を行うことも考えられますが、受給者の「3分の2以上の同意」が必要となるなど手続き難しくなっています。
そこで、厚生労働省では、企業年金の減額を認める要件を「過半数の同意」に下げる案を検討しており、現役世代への過度の負担を防止することを考えています。
厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の結果から
◆継続調査の9回目
厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」は、同省が2002年10月末時点において20~34歳の男女を対象に毎年継続して実施しているもので、今回で9回目です。
以下では、主な調査結果を見ていきます。
◆第2子の生まれた割合
子のいる夫婦について、今回調査までの8年間に新たな子供が生まれた割合をみると、夫の休日における家事・育児時間が「6時間以上」の家庭では、「なし」の場合の6.8倍(67.4%)にも達しています。
同省では、「子供とのふれいあいが楽しいと感じると、新たに子供が欲しくなるのでは」と分析しています。
◆正規雇用・非正規雇用の結婚への影響
また、初めての就職が非正規雇用の場合、男女ともに正規雇用と比べて結婚する割合が低いこともわかりました。
初職が非正規雇用だったの男性のうち、今回調査までに結婚経験がある人は40.5%で、正規雇用の場合(66.7%)よりもかなり低くなっています。
女性についても、非正規雇用者の結婚経験は59.4%で、正規雇用者(74.7%)より低くなっています。
◆女性の仕事の継続
次に、女性の結婚後の就業状況ですが、結婚前に仕事に就いていて、当時の仕事を「結婚後も続ける」と考えていた人のうち72%が、同じ仕事を継続しています。
この傾向は出産後も同様であり、出産した後も現在の仕事を続けると考えていた場合、正規では85.6%が同じ仕事を継続しています。
◆法律名変更で「労働者の保護」を明確に
派遣労働者の保護を目的とする「改正労働者派遣法」がついに成立しました。施行期日は「公布の日から6カ月以内」とされています。
法律の正式名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更されました。
改正法の主な内容は次の通りです。
◆事業規制の強化
(1)日雇派遣(日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)の原則禁止(適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会の確保が特に困難な場合等は例外)
(2)グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止
◆派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
(1)派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化
(2)派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮
(3)派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化
(4)雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示
(5)労働者派遣契約の解除に際して、派遣元および派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化
◆違法派遣に対する迅速・適格な対処
(1)違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす
(2)処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備
厚生労働省から発表された今年度の「労働基準行政の運営方針」
◆労務管理で注意すべき事項は?
厚生労働省が「平成24年度 地方労働行政運営方針について」を発表しました。
各都道府県の労働局では、この運営方針を踏まえつつ行政運営を図ることとしていますので、企業の労務担当者が気にしておくべき内容が盛り込まれています。
◆運営方針の内容
発表された運営方針の項目は下記の通りです。なお、地方労働行政の展開にあたっての基本的対応は、「地方公共団体、労使団体等との連携を図るとともに、地域の実態把握、コスト削減等を通じた計画的かつ効率的な行政運営を推進する」とされています。
(1)東日本大震災からの復旧・復興支援および円高への対応
(2)総合労働行政機関として推進する重点施策
(3)労働基準行政の重点施策
(4)職業安定行政の重点施策
(5)職業能力開発行政の重点施策
(6)雇用均等行政の重点施策
(7)労働保険適用徴収業務の重点施策
(8)個別労働関係紛争の解決の促進
◆労働基準行政としての重点施策
企業の労務担当者が最も気になるところである「(3)労働基準行政の重点施策」の項目には、次のことが挙げられています。
・「労働条件の確保・改善対策」…長時間労働の抑制や賃金不払残業の防止のための監督指導等の法定労働条件の確保、外国人労働者等の特定労働分野における労働条件の確保対策等を推進する。
・「最低賃金制度の適切な運営」…最低賃金の周知徹底を図るとともに、最低賃金引上げに向けた中小企業への支援を行う。
・「適正な労働条件の整備」…長時間労働の抑制および年次有給休暇の取得促進等を推進する。
・「労働者の安全と健康確保対策の推進」…労働災害防止対策を安全衛生対策の最重点課題とし、労働災害多発分野における対策、メンタルヘルス対策および過重労働による健康障害防止対策、石綿健康障害防止対策を推進する。
・「労災補償対策の推進」…労災保険の迅速・適正な処理、精神障害等事案および脳・心臓疾患事案に係る適正な処理を行う。
今年の新入社員はどんなタイプ?
◆平成24年4月入社の新入社員
公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」では、平成24年4月入社の新入社員の特徴をまとめました。
この研究会は学識経験者などで構成されており、就職・採用環境の動向等についての調査研究を行い、その年の新入社員の特徴をネーミングすることが恒例となっています。
◆今年は『奇跡の一本松型』
発表された今年の新入社員のタイプは、『奇跡の一本松型』とのことです。『奇跡の一本松』(岩手県陸前高田市)とは、東日本大震災で発生した巨大津波にも耐えて生き残った松のことであり、復興に向けて多くの人に勇気を与えていると話題になりました。
研究会では、「大卒予定者の就職内定率が過去3番目に低い(80.5%)という厳しい状況の中、就職戦線を乗り越えてきた若者たちの頑張りを賞賛したい」と、ネーミングの理由を説明しています。
◆過去のネーミングは?
なお、平成18年~23年のネーミングは以下の通りです。
・平成18年『ブログ型』…ネット上での交流で、他者に自己認知や共感を求めたがる一方で、他人の評価で萎縮しやすい傾向もあり、暖かい眼差しと共感が育成のカギ。
・平成19年『デイトレーダー型』…景気回復での大量採用は売り手市場を形成し、就職しても細かい損得勘定でネットを活用して銘柄(会社)を物色し続け、売買を繰り返す(転職)おそれあり。
・平成20年『カーリング型』…働きやすい環境作りとばかりにブラシでこすり続けねば、止まったり方向違いとなったりのおそれあり。楽勝就職の一方で先行き不安の試合展開は本人の意志(石)次第。
・平成21年『エコバック型』…環境問題(エコ)に関心が強く、節約志向(エコ)で無駄を嫌う傾向があり、折り目正しい。小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある。
・平成22年『ETC型』…性急に関係を築こうとすると直前まで心のバーが開かないので、スピードの出し過ぎに注意。IT 活用には長けているが、人との直接的な対話がなくなるのが心配。
・平成23年『はやぶさ型』…東日本大震災の発生により発表は見送り。
課長と一般社員の考えのギャップをどう埋める!?
◆意識の違いはどこから生じる?
公益財団法人日本生産性本部では、管理職層と一般社員層(2011年6月以降における同法人主催の公開セミナー等の受講者)を対象にアンケートを実施し、先日その結果が発表されました。
管理職層の回答の中から「課長職」のみの回答(478件)を、一般社員層の回答の中から「入社2年目社員から係長・主任・職場リーダークラスまで」の回答(381件)を抽出し、比較分析が行われています。
多くの項目で、両者の意識にギャップが生じていることがわかりました。
◆コミュニケーションが取れているか?
まず、「部下または後輩とのコミュニケーション」について、「取れていると思う」と回答した課長は79.9%でした。逆に、「上司とのコミュニケーション」について、「取れていると思う」と回答した一般社員は68.8%でした
課長自身が「部下・後輩とはコミュニケーションが取れている!」と勘違い(?)されているケースがあるようです。
◆職場での情報共有がされているか?
次に、「職場での有益な情報共有」について、課長のうち68.0%の人が「共有されていると思う」と回答したのに対し、一般社員のうち53.8%の人が「共有されていない」と回答しました。
情報共有ができていると思っている割合は課長のほうが高くなっており、ここにもまたギャップが生じています。
◆部下の話をじっくり聴いているか?
また、課長のうち85.6%の人が「部下の話をじっくり聴いている」と思っていますが、一般社員の30.4%は「自分の上司は話をあまり聴かない」と感じているようです。
上司の側は部下の話を聞いているつもりであっても、部下の側はそのように感じていないことも多いようです。
学生は「大企業」「中堅中小企業」どちらを選ぶ?
◆インターネット調査の結果から
株式会社ディスコから、2013年3月卒業予定の大学生(主に現大学3年生)を対象に行った就職活動に関するインターネット調査(回答者数1,290人)の結果が発表されました。
これによると、大手企業を中心に就職活動をしている学生は「40.2%」、中堅中小企業を中心に活動している学生は「14.0%」でした。
しかし、3年前のアンケートでは、活動の中心が大手企業の学生は「51.9%」、中堅中小企業が中心の学生は「5.9%」であり、ここ数年で、中堅中小企業も志望する学生は着実に増えています。
◆中堅中小でやりがいのある仕事を
また、株式会社マイナビが実施した「2013年卒マイナビ大学生就職意識調査」でも、『中堅・中小企業志向』(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」「中堅・中小企業がよい」との回答割合)が2001年卒以降で最高の59.2%となっており、『大手企業志向』(「絶対に大手企業がよい」「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」との回答割合)の減少傾向が続いています。
不透明な経済情勢が続くなか、大企業よりも、比較的若いうちから中心的な仕事を任される可能性が高い中堅中小企業の志望者が増えているようです。
◆転職理由のベスト3
大手企業・中堅中小企業のどちらへの就職であっても、企業側が気になるのは、採用した社員の転職です。
株式会社インテリジェンスが発表した「転職理由調査2012年版」の結果によれば、転職理由のベスト3は次の通りとなっています。
(1)「会社の将来性が不安」(14.2%)
(2)「他にやりたい仕事がある」(13.2%)
(3)「給与に不満がある」(8.5%)と続きました。
時間とお金をかけて採用・育成した社員をいかに定着させるかが、企業には問われるところです。
「有期労働契約」が変わる? 労働契約法改正の動向
◆改正案が閣議決定
先日、「労働契約法改正案」が閣議決定されました。
国会の状況により流動的ではありますが、厚生労働省は来春施行を目指すとしており、成立した場合は企業への影響も大きいと思われますので、今から注目しておきましょう。
◆改正案のポイント
この改正案のポイントは、次の通りです。
(1)5年を超えて反復更新された有期労働契約について、労働者からの申込みがあれば期間の定めのない労働契約へ転換させる仕組みの導入
(2)「雇止め法理」の法制化
(3)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
◆具体的な内容
まず(1)については、反復更新により有機の労働契約が5年を超える場合が対象ですが、原則6カ月以上の空白期間(クーリング期間)がある場合には、前の契約期間と通算されないため、該当しないこととなります。
次に(2)の「雇止め法理」は、有期労働契約を繰り返し更新することにより期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている(あるいは有期労働契約の期間満了後にも雇用が継続されている)等により、有期雇用労働者の雇用関係継続への合理的な期待が認められるときに、雇止めを行う際には合理的な理由が必要となることです。また、雇止めが無効と判断された場合には、従前の労働契約が更新されたものとみなされることになります。
また、(3)は、期間の定めがあることによって、有期契約労働者の労働条件が無期契約労働者の労働条件と相違する場合に、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮し、不合理と認められるものであってはならないというものです。
パート労働者へ社会保険適用を拡大へ
◆重要度を増すパート労働者
企業内におけるパート労働者の役割は年々重要度を増しており、正社員並みの中核業務を任せる企業も多くなっています。
正社員並みの中核業務を担当させるような企業においては、仕事が同じ正社員とパート労働者の賃金水準を同等にしたり、就業環境の整備を行ったりしています。
◆セーフティネットの強化
このような状況下において、国は、被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられないパート労働者などの非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における格差を是正したいと考えました。
そこで、政府は、パート労働者への社会保険の適用拡大を検討しています。2016年4月から、「週勤務時間20時間以上」「年収94万円(月収7万8,000円)以上」「勤務期間1年以上」で「従業員501人以上の企業で勤務」の人を社会保険適用の対象にするとし、さらに3年以内に対象の拡大を行うというものです。
加入が進めばパートの将来への安心感は増しますが、企業の負担は大きくなるため(約800億円と推計)、反発の声があがっています。
◆負担軽減措置も検討
今回の適用拡大をめぐり、厚生労働省では、高齢者医療費の拠出金などについて負担を軽減する特例措置の導入を検討しています。
パート労働者が多い業界(外食、流通業など)を対象に、負担増の部分について健康保険組合の加入者が肩代わりするというものです。
企業にとっては、今後の動きから目が離せません。
若年層雇用の問題点と対策
◆課題が山積!
大学や専門学校を卒業して就職してもすぐに会社を辞めたり、就職できずにアルバイトや無職となってしまったりという人が多くなっています。
それ以外にも、若年層の雇用対策については課題が山積しています。
◆新卒者等の就職内定率
文部科学省・厚生労働省の集計によれば、今春卒業した大学生の就職内定率(2月1日時点)は過去3番目に低い80.5%でした。
現時点でもまだ多くの学生が就職できずに就職活動を続けており、新卒者の就職環境は依然として厳しいようです。
◆「高年齢フリーター」の存在
さらに、バブル崩壊後の就職氷河期(1993年以降)に卒業し、アルバイトなどを続けてきた人は現在40歳前後になっています。
その影響で、いわゆる「高年齢フリーター」(35~44歳のフリーター)は過去最高の約50万人に上っています。なお、この世代に占めるフリーターの割合は2002年時点で1.6%でしたが、2011年には2.8%となっています。
今後も、学卒で就職することができずに、フリーターとなる人の割合は高まっていくことが予想されます。
◆政府の雇用対策
政府は、「トライアル雇用制度」や、「ジョブカフェ」など、若年層向けの雇用対策を進めていますが、「高年齢フリーター」等に対する支援は十分ではありません。
新卒で就職後、3年以内に離職する人の割合は3割を超えているようです。「高年齢フリーター」を含めた若年層の雇用についてはさらなる対策が求められます。
厚生年金基金の現状と問題点
◆半数以上の基金が赤字!
世間を騒がせているAIJ投資顧問による「年金消失問題」を受け、厚生労働省が行った厚生年金基金(以下、「基金」)に関する調査によると、全578基金のうち314基金において、年間の給付額が掛金(保険料)を上回ったということです(2011年3月期)。
また、将来の年金支給に必要な積立金が10年未満になくなってしまうおそれのある基金が16もあり、今後、積立不足による企業の倒産なども出かねない状況です。
◆積立不足の要因は?
積立不足の背景には、団塊世代の大量退職による年金受給者の増加があります。
また、現役社員が年々減少傾向にあり、支給総額から掛金総額を引いた差額は約1,300億円(2010年度)にも上っており、今後はさらに拡大することが考えられます。
◆運用利回り設定の問題点
将来の年金給付原資を確保するために必要な運用利回りについて、大企業においては一般的に「2~3%程度」となっているようですが、中小企業が中心の基金では、約9割が「5.5%」といった高水準に設定されているようです。
こうした基金の中には、業績低迷により掛金を増やせない状態にあるケースが多くなっています。
◆運用難をどう乗り切るか
約4割の基金では、積立金について企業年金分がまったくないうえに、公的年金分(代行部分)も不足しているとのことです。
財政悪化に対処するために退職者が受給している企業年金の減額を行うことも考えられますが、受給者の「3分の2以上の同意」が必要となるなど手続き難しくなっています。
そこで、厚生労働省では、企業年金の減額を認める要件を「過半数の同意」に下げる案を検討しており、現役世代への過度の負担を防止することを考えています。
厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の結果から
◆継続調査の9回目
厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」は、同省が2002年10月末時点において20~34歳の男女を対象に毎年継続して実施しているもので、今回で9回目です。
以下では、主な調査結果を見ていきます。
◆第2子の生まれた割合
子のいる夫婦について、今回調査までの8年間に新たな子供が生まれた割合をみると、夫の休日における家事・育児時間が「6時間以上」の家庭では、「なし」の場合の6.8倍(67.4%)にも達しています。
同省では、「子供とのふれいあいが楽しいと感じると、新たに子供が欲しくなるのでは」と分析しています。
◆正規雇用・非正規雇用の結婚への影響
また、初めての就職が非正規雇用の場合、男女ともに正規雇用と比べて結婚する割合が低いこともわかりました。
初職が非正規雇用だったの男性のうち、今回調査までに結婚経験がある人は40.5%で、正規雇用の場合(66.7%)よりもかなり低くなっています。
女性についても、非正規雇用者の結婚経験は59.4%で、正規雇用者(74.7%)より低くなっています。
◆女性の仕事の継続
次に、女性の結婚後の就業状況ですが、結婚前に仕事に就いていて、当時の仕事を「結婚後も続ける」と考えていた人のうち72%が、同じ仕事を継続しています。
この傾向は出産後も同様であり、出産した後も現在の仕事を続けると考えていた場合、正規では85.6%が同じ仕事を継続しています。
2012/04/01
4月の事務所便り
転職者は転職活動の際にどんなサービスを利用するか?
◆400人を対象に調査を実施
ソフトバンクヒューマンキャピタル株式会社が「人材紹介サービスに関する調査」(調査対象:25~39歳の正社員・契約社員・派遣社員400人)を実施し、その結果が発表されています。
転職活動の際にどのようなサービス(媒体)を利用したか等についての実態が明らかになっています。
◆何を使って転職活動を行っている?
過去1年以内に転職活動をした人に、転職活動で利用している(実際に利用した)サービスを尋ねたところ、次のような結果となりました(複数回答)。
(1)「転職サイト」67.3%
(2)「ハローワーク」63.5%
(3)「転職情報誌」38.0%
(4)「人材紹介会社」29.5%
(5)「会社ホームページ内の採用情報」23.8%
転職者のうち約3分の2の人が、「転職サイト」と「ハローワーク」を活用しているようです。
◆転職サイトの利用は「複数」
上記質問の回答でトップとなった「転職サイト」を利用している(実際に利用した)人269名に、転職サイトをいくつ利用したかを尋ねたところ、「1つ」が27.9%、「2つ」が33.8%、「3つ以上」が38.3%となっており、多くの人(7割以上)が複数の転職サイトを利用していることがわかりました。
◆どのようにして転職が決まったか
転職先の決定状況について尋ねたところ、転職サイトを利用している(実際に利用した)人のうち、「転職サイトを利用して転職先が決まった」人の割合は21.6%、「転職サイト以外のサービスを利用して決まった」人の割合は24.9%、「決まっていない/現在、転職活動中」の人の割合は53.5%でした。
そして、人材紹介会社を利用している(実際に利用した)人のうち、「人材紹介会社を利用して転職先が決まった」人の割合は24.6%、「人材紹介会社以外のサービスを利用して決まった」人の割合は34.7%、「決まっていない/現在、転職活動中」の人の割合は40.7%でした。
学生が考える「社会人に関する意識」
◆1,200名以上が回答
レジェンダ・コーポレーション株式会社では、2012年4月入社を希望する新卒の大学生・大学院生を対象として、「社会人に関する意識調査」(調査対象者16,440名のうち1,227名が回答)を実施し、その結果が発表されました。
◆早く社会人になりたい? まだ学生でいたい?
まず、「現在の気持ち」について尋ねたところ、「早く社会人になりたい」と回答した人の割合は、男性41.3%、女性24.0%で、男性が女性よりも17.3ポイント高い結果となりました。
一方、「もっと学生でいたい」と回答した割合は男性32.3%、女性49.5%でした。
◆女性のほうが、不安が大きい
社会人になるに際して、期待と不安のどちらが大きいかについて尋ねたところ、期待が大きい(「期待が大きい」「やや期待の方が大きい」の合計)と回答した人の割合は、男性が57.0%、女性が40.8%でした。
一方、「不安が大きい」(「やや不安の方が大きい」「不安が大きい」の合計)と回答した人の割合は、男性が43.0%、女性が59.2%でした。男性よりも女性のほうが、不安が大きいようです。
◆やりたいこと、不安なこと
次に、社会人になってからやってみたいこと、不安なことについて尋ねたところ、やってみたいこととしては、「海外を飛び回りたい」「広い視野を持ちたい」等の回答が多く挙げられました。
不安なこととしては、「仕事ができるようになるか不安」「人間関係が上手に築けるか」等の回答が多く挙げられました。
3月末までの時限措置!「若年者等正規雇用化特別奨励金」
◆奨励金の概要
この奨励金は、「年長フリーターおよび30代後半の不安定就労者」または「採用内定を取り消されて就職先が未定の学生等」を、平成23年度末(今年3月31日まで)までに正規雇用した事業主が、その後も引き続き正規雇用を行っている場合に、一定期間ごとに支給されるものです。
◆奨励金の4類型
それぞれの類型について対象年齢等の要件がありますので、ご注意ください。
(1)「トライアル雇用活用」型
ハローワークの紹介でトライアル雇用として雇い入れ、トライアル雇用終了後、引き続き同一事業所で正規雇用する場合です。
(2)「直接雇用」型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介で正規雇用する場合です。
(3)「有期実習型訓練修了者雇用」型
「有期実習型訓練修了者」を正規雇用する場合です。
(4)「内定取消し雇用」型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介により、採用内定を取り消されて就職先が未定の新規学校卒業者を正規雇用する場合です。
◆奨励金の支給額
支給額は次の通りです。
(1)第1期:25万円(中小企業は 50万円)
正規雇用開始日から6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
(2)第2期:12万5,000円(中小企業は 25万円)
正規雇用開始日から1年6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
(3)第3期:12万5,000円(中小企業は 25万円)
正規雇用開始日から2年6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
◆申請をご検討の場合はお早めに
冒頭に記載した通り、この奨励金には「平成23年度末(今年3月31日まで)までに正規雇用した事業主が、その後も引き続き正規雇用を行っている場合」との要件がありますので、申請をご検討の場合はお早めにご連絡ください。
「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の新特例
◆新特例の概要
東日本大震災の影響を受けた事業主に対して、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」に関する新しい特例が設けられました。
震災後において徐々に生産量などが回復していた場合でも、震災前と比較すると依然として「10%以上」低い水準の場合には、本助成金を利用することができます。
◆特例対象事業主
(1)被災地事業主
青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の災害救助法適用地域に所在する事業所の事業主です。
(2)被災地関連事業主
上記(1)の事業所と一定規模以上(助成金を受けようとする事業主の総事業量の3分の1以上)の経済的関係を有する事業所の事業主です。
(3)2次下請等事業主
上記(2)の事業主と一定規模以上(助成金を受けようとする事業主の総事業量の2分の1以上)の経済的関係を有する事業所の事業主です。
◆特例の具体的内容
生産量または売上高の減少の確認について、最近3カ月の平均値と、(1)その直前の3カ月、または(2)前年同期との比較に加えて、(3)前々年同期との比較も可能です。
これらは、平成24年3月11日から平成25年3月10日までに特例の利用を開始する場合に適用されます。
◆その他の注意点
なお、震災の影響を受けた事業主などへの特例のうち、生産量または売上高の確認期間を「最近3カ月」から「最近1カ月」とする特例措置は、平成24年3月10日で終了しました。
ただし、円高の影響を受けている事業主は、生産量などの確認期間を「最近3カ月」から「最近1カ月」とする特例を引き続き利用することができます。
労務問題をめぐる最近の裁判例から
◆派遣社員への慰謝料支払いを命令(2月10日判決)
大手電機メーカーの子会社(愛知県)で働いていた元派遣社員の2人(別の会社から派遣)が「派遣切り」にあったとして、直接雇用と慰謝料の支払いを求めていた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は一審判決(計約130万円の支払いを命令)を支持する判決を下しました。
一審(名古屋地裁)では、「賃金の高さなどを理由に突然の派遣切りを行っており、著しく信義にもとる対応である」として、会社側の不法行為を認めた一方、派遣社員と同社の間に直接の雇用契約があったとは認めていませんでした。
◆コンサル会社社員の長時間労働による精神疾患を認定(2月15日判決)
精神疾患を発症したのは長時間労働が原因であるとして、建設コンサル会社(東京都)の社員が会社に対して損害賠償(総額約660万円)などを求めていた訴訟の判決があり、大阪地裁は男性側の主張を認め、会社側に440万円の支払いを命じました。
この男性は、遅くとも2002年12月に精神疾患を発症しましたが、2002年の時間外労働時間が月平均約135時間となっていました。
裁判長は、「上司らは長時間労働や健康状態の悪化を認識しながら、負担を軽減させる措置をとっておらず、安全配慮義務違反である」としました。
◆個人業者を「労働者」と認定(2月21日判決)
音響機器メーカーの子会社(神奈川県)が、機器修理を行う個人業者(会社と業務委託契約を締結)の労働組合との団体交渉を拒否したことが「不当労働行為」と認定されたため、認定を行った中央労働委員会の救済命令取消しを求めていた訴訟の上告審判決があり、最高裁(第3小法廷)は、「業務実態から業者は労働基準法上の労働者に該当する」との判断を下しました。
上記の労働組合は、2005年1月に最低保障賃金を月30万円とすることなどを求めていましたが、子会社側は「会社が雇用している労働者の組合ではない」として団体交渉に応じませんでした。
しかし、最高裁は「子会社の指定する方法に従って指揮監督を受けて労務を提供し、時間的にも拘束されている」、「個人業者が基本的には労働者に該当するとの前提で、なお独立の事業者の実態があると認められる特段の事情があるか否かを再審理すべき」としました。
「65歳まで再雇用義務付け」法案を国会に提出へ
◆政府が閣議決定
希望者全員を65歳まで再雇用する制度の導入を企業に義務付ける「高年齢者雇用安定法改正案」が、3月9日に国会に提出されました。
来年4月の施行に向けて、今国会での成立を目指すとされていますが、成立した場合は、企業にとって大きな負担となります。
◆改正法案の概要
改正法案の概要は、次の通りです。
(1)継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
継続雇用制度の対象となる高年齢者を、事業主が労使協定で定める基準によって限定できる仕組みを廃止します。
(2)継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みを設けます。
(3)義務違反の企業に対する公表規定の導入
高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設けます。
(4)「高年齢者等職業安定対策基本方針」の見直し
雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者を65歳以上にまで拡大します。
◆経過措置の内容
企業にとっては人件費の負担が大きくなるため、改正法案においては、経過措置が設けられています。
すなわち、男性の年金支給開始年齢が61歳となる2013年度から、最終的に65歳になる2025年度まで「12年間」をかけて、段階的に企業への義務付けを進めるとしています。
企業としては、改正法施行を見据え、対策を考えていく必要があります。
高年齢期の「働く意欲」と「活躍の場」
◆高年齢期における働く意欲
厚生労働省が「第6回 中高年者縦断調査」の結果を発表し、60~64歳の人のうち、5割超の人が「65歳以降も仕事を続けたい」と考えていることがわかりました。
また、70歳以降でも3割近くの人が仕事をしたいと望んでおり、働く意欲は高年齢期となってもかなり高いようです。
働く目的は、「年金以外に収入が必要である」、「健康を維持したい」、「社会とのつながりを求めたい」など多様になっています。
◆「中高年者縦断調査」とは?
この調査は、毎年同じ人を追跡し、「健康」「就業」「社会活動」などの変化の過程について継続的に調査するもので、2005年11月に第1回目が実施されました。
今回は、50代をどのように過ごせば高年齢期に充実した生活を営むことができるか、特に団塊世代を含む60歳以上(60~64歳)の男女に焦点を当てて、就業意識、就業実態、健康状態について分析しています。
◆実際に収入を伴う仕事をしているか
また、株式会社インテージでは、「団塊世代の男性のライフスタイル」に関する調査を実施しました。62~64 才の団塊世代の男性800名が回答しています。
まず、団塊世代の男性に現在の就労状況を尋ねたところ、下記の通りの結果となっており、収入を伴う仕事をしている人は61.0%で、そのうち約8割の人が「週に4~5日以上働いている」こととなっています。
(1)働いていない…39.0%
(2)働いている(ほぼ毎日)…27.1%
(3)働いている(週に4~5日)…22.1%
(4)働いている(週に2~3日)…8.1%
(5)働いている(週に1日程度)…1.8%
(6)働いている(それ以下)…1.9%
◆活躍する「場」の提供
健康で働く意欲が高い高年齢者に対して「活躍の場」を提供することは、少子高齢化により労働力不足が進行しつつある日本にとって、ますます重要になってくるでしょう。
4月からスタートする新しい「在宅介護」
◆床ずれ対処や血圧チェックも
この4月から「24時間体制」の介護訪問サービスがスタートすることとなり、在宅介護のいわば「切り札」として注目されています。
新設される「定期巡回・随時対応サービス」は、住み慣れた地域で暮らし続けることができる在宅ケアサービスとして国が推進しているものです。
生活支援(食事、服薬確認、排泄介助など)のほか、床ずれ対処や血圧チェックなどを、まさに「24時間体制」で提供するものです。
◆従来との違いは何か?
従来の訪問介護との大きな違いは、訪問の回数と時間です。
従来の訪問介護では1日1~2回で、1回あたりの訪問時間は「30分~1時間」程度でした。しかし、新サービスでの訪問時間は「10~15分」程度と短くなっています。ただし、自分の生活リズムに合わせて夜間や早朝でもサービスを受けることができます。
利用者の自己負担は定額制で、原則として1日何度利用しても負担額は変わりません。
◆導入に伴う問題点は何か?
1つ目は「事業所の採算」の問題です。新サービスでは、訪問回数にかかわらず報酬が1カ月単位で決定するため、訪問先ごとの移動距離が長くなると効率が悪くなり、ガソリン代などの負担も重くなります。
2つ目は、「担い手の確保」の問題です。人が集まりにくのが介護業界の実情であり、これまでは採算が取れていた場合でも、利用制限がなくなってしまうと、ヘルパーの負担が増えることが懸念されています。
「ディベート」の技術を仕事にも役立てる
◆「ディベート」のメリットとは?
ディベートは、ルールに則り、あるテーマに対して肯定側と否定側に分かれ、相手を論破するものです。
(1)自らの主張を明らかにする「立論」、(2)相手の主張に対する「質問」、(3)相手の主張に対する「反論」で構成されており、この技術を手に入れることができれば仕事にも役立つことでしょう。
一度、社内でも実施されてみてはいかがでしょうか?
◆準備が大切
まず、「立論」では資料を集めて読み込み、原稿を作成します。周りから高い評価を得るためには、決められた持ち時間の中で、相手の主張をよく理解し、かみあった「質問」や「反論」をしなければなりませんので、様々な能力が問われます。
切り返しが必要な議論は苦手と感じる人もいますが、「アドリブが上手ということよりも、しっかりと調べ、学習をして、主張や想定できる反論をよく練るなど、準備することが大切」だと言われています。
◆半年間は継続する
ディベートの専門家は、「ディベートは1回経験するだけでも効果はあるが、本来は実践を繰り返し行って反省や改善をしていくものであるから、半年は継続してほしい」と言っています。
ディベートは自分の意見を述べるだけでなく、異なる立場の人の考えをしっかり聞くのにも役立つものです。社内でも、社内以外でも良いですから、一度経験してみる価値があるのではないでしょうか。
男女間の賃金格差が過去最小に その要因は?
◆上昇する女性の平均賃金
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、2011年の一般労働者(パートを除く)の平均賃金において、男女間の賃金格差が過去最小となったそうです。
男性が前年と同じ32万8,300円、女性は前年比1.9%増の23万1,900円でした。女性の賃金は2000年以降おおむね増え続けています。
◆女性の賃金上昇の要因(1)
女性の賃金上昇の背景には、成長分野である「サービス業」で働く人の増加があるようです。
例えば、「教育・学習支援業」では30万7,400円(前年比2.6%増)、「医療・福祉」では24万7,000円(同1.5%増)となりました。
◆女性の賃金上昇の要因(2)
男性正社員の賃金は40代前後で前年より減る一方、女性正社員の賃金は60歳未満のすべての年齢層で前年比0.1~2.9%増加しています。
女性が企業の主要ポストに就くケースが増えたことも、賃金上昇につながっているようです。
◆女性社員の育成に関して
また、公益財団法人日本生産性本部から「第3回 コア人材としての女性社員育成に関する調査」の結果が発表されていますが、役員と課長(相当職)の女性の割合が、前年に引き続き増加したそうです。ただし、部長(相当職)の割合は若干減少しています。
また、3年以内に課長(相当職)になる可能性のある職位の女性の割合は、2年前と比べ大幅に増加しています。
◆女性育成の課題は?
上記の調査では、女性育成の推進上の課題としては、「女性社員の意識」が7割以上と最も高くなっていますが、「経営者、管理職、男性社員の理解・関心が薄い」の割合も前年より増加しています。
また、効果のあった施策としては、「女性社員への教育・研修参加機会の拡大」が前年から大きく増加したほか、「女性社員だけを対象にした研修」「管理職候補の女性を対象にした意識喚起のための研修」に取り組む企業も増えているようです。
◆400人を対象に調査を実施
ソフトバンクヒューマンキャピタル株式会社が「人材紹介サービスに関する調査」(調査対象:25~39歳の正社員・契約社員・派遣社員400人)を実施し、その結果が発表されています。
転職活動の際にどのようなサービス(媒体)を利用したか等についての実態が明らかになっています。
◆何を使って転職活動を行っている?
過去1年以内に転職活動をした人に、転職活動で利用している(実際に利用した)サービスを尋ねたところ、次のような結果となりました(複数回答)。
(1)「転職サイト」67.3%
(2)「ハローワーク」63.5%
(3)「転職情報誌」38.0%
(4)「人材紹介会社」29.5%
(5)「会社ホームページ内の採用情報」23.8%
転職者のうち約3分の2の人が、「転職サイト」と「ハローワーク」を活用しているようです。
◆転職サイトの利用は「複数」
上記質問の回答でトップとなった「転職サイト」を利用している(実際に利用した)人269名に、転職サイトをいくつ利用したかを尋ねたところ、「1つ」が27.9%、「2つ」が33.8%、「3つ以上」が38.3%となっており、多くの人(7割以上)が複数の転職サイトを利用していることがわかりました。
◆どのようにして転職が決まったか
転職先の決定状況について尋ねたところ、転職サイトを利用している(実際に利用した)人のうち、「転職サイトを利用して転職先が決まった」人の割合は21.6%、「転職サイト以外のサービスを利用して決まった」人の割合は24.9%、「決まっていない/現在、転職活動中」の人の割合は53.5%でした。
そして、人材紹介会社を利用している(実際に利用した)人のうち、「人材紹介会社を利用して転職先が決まった」人の割合は24.6%、「人材紹介会社以外のサービスを利用して決まった」人の割合は34.7%、「決まっていない/現在、転職活動中」の人の割合は40.7%でした。
学生が考える「社会人に関する意識」
◆1,200名以上が回答
レジェンダ・コーポレーション株式会社では、2012年4月入社を希望する新卒の大学生・大学院生を対象として、「社会人に関する意識調査」(調査対象者16,440名のうち1,227名が回答)を実施し、その結果が発表されました。
◆早く社会人になりたい? まだ学生でいたい?
まず、「現在の気持ち」について尋ねたところ、「早く社会人になりたい」と回答した人の割合は、男性41.3%、女性24.0%で、男性が女性よりも17.3ポイント高い結果となりました。
一方、「もっと学生でいたい」と回答した割合は男性32.3%、女性49.5%でした。
◆女性のほうが、不安が大きい
社会人になるに際して、期待と不安のどちらが大きいかについて尋ねたところ、期待が大きい(「期待が大きい」「やや期待の方が大きい」の合計)と回答した人の割合は、男性が57.0%、女性が40.8%でした。
一方、「不安が大きい」(「やや不安の方が大きい」「不安が大きい」の合計)と回答した人の割合は、男性が43.0%、女性が59.2%でした。男性よりも女性のほうが、不安が大きいようです。
◆やりたいこと、不安なこと
次に、社会人になってからやってみたいこと、不安なことについて尋ねたところ、やってみたいこととしては、「海外を飛び回りたい」「広い視野を持ちたい」等の回答が多く挙げられました。
不安なこととしては、「仕事ができるようになるか不安」「人間関係が上手に築けるか」等の回答が多く挙げられました。
3月末までの時限措置!「若年者等正規雇用化特別奨励金」
◆奨励金の概要
この奨励金は、「年長フリーターおよび30代後半の不安定就労者」または「採用内定を取り消されて就職先が未定の学生等」を、平成23年度末(今年3月31日まで)までに正規雇用した事業主が、その後も引き続き正規雇用を行っている場合に、一定期間ごとに支給されるものです。
◆奨励金の4類型
それぞれの類型について対象年齢等の要件がありますので、ご注意ください。
(1)「トライアル雇用活用」型
ハローワークの紹介でトライアル雇用として雇い入れ、トライアル雇用終了後、引き続き同一事業所で正規雇用する場合です。
(2)「直接雇用」型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介で正規雇用する場合です。
(3)「有期実習型訓練修了者雇用」型
「有期実習型訓練修了者」を正規雇用する場合です。
(4)「内定取消し雇用」型
ハローワークに奨励金の対象となる求人を提出し、ハローワークの紹介により、採用内定を取り消されて就職先が未定の新規学校卒業者を正規雇用する場合です。
◆奨励金の支給額
支給額は次の通りです。
(1)第1期:25万円(中小企業は 50万円)
正規雇用開始日から6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
(2)第2期:12万5,000円(中小企業は 25万円)
正規雇用開始日から1年6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
(3)第3期:12万5,000円(中小企業は 25万円)
正規雇用開始日から2年6カ月経過後、1カ月以内に申請を行います。
◆申請をご検討の場合はお早めに
冒頭に記載した通り、この奨励金には「平成23年度末(今年3月31日まで)までに正規雇用した事業主が、その後も引き続き正規雇用を行っている場合」との要件がありますので、申請をご検討の場合はお早めにご連絡ください。
「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」の新特例
◆新特例の概要
東日本大震災の影響を受けた事業主に対して、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」に関する新しい特例が設けられました。
震災後において徐々に生産量などが回復していた場合でも、震災前と比較すると依然として「10%以上」低い水準の場合には、本助成金を利用することができます。
◆特例対象事業主
(1)被災地事業主
青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野の災害救助法適用地域に所在する事業所の事業主です。
(2)被災地関連事業主
上記(1)の事業所と一定規模以上(助成金を受けようとする事業主の総事業量の3分の1以上)の経済的関係を有する事業所の事業主です。
(3)2次下請等事業主
上記(2)の事業主と一定規模以上(助成金を受けようとする事業主の総事業量の2分の1以上)の経済的関係を有する事業所の事業主です。
◆特例の具体的内容
生産量または売上高の減少の確認について、最近3カ月の平均値と、(1)その直前の3カ月、または(2)前年同期との比較に加えて、(3)前々年同期との比較も可能です。
これらは、平成24年3月11日から平成25年3月10日までに特例の利用を開始する場合に適用されます。
◆その他の注意点
なお、震災の影響を受けた事業主などへの特例のうち、生産量または売上高の確認期間を「最近3カ月」から「最近1カ月」とする特例措置は、平成24年3月10日で終了しました。
ただし、円高の影響を受けている事業主は、生産量などの確認期間を「最近3カ月」から「最近1カ月」とする特例を引き続き利用することができます。
労務問題をめぐる最近の裁判例から
◆派遣社員への慰謝料支払いを命令(2月10日判決)
大手電機メーカーの子会社(愛知県)で働いていた元派遣社員の2人(別の会社から派遣)が「派遣切り」にあったとして、直接雇用と慰謝料の支払いを求めていた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は一審判決(計約130万円の支払いを命令)を支持する判決を下しました。
一審(名古屋地裁)では、「賃金の高さなどを理由に突然の派遣切りを行っており、著しく信義にもとる対応である」として、会社側の不法行為を認めた一方、派遣社員と同社の間に直接の雇用契約があったとは認めていませんでした。
◆コンサル会社社員の長時間労働による精神疾患を認定(2月15日判決)
精神疾患を発症したのは長時間労働が原因であるとして、建設コンサル会社(東京都)の社員が会社に対して損害賠償(総額約660万円)などを求めていた訴訟の判決があり、大阪地裁は男性側の主張を認め、会社側に440万円の支払いを命じました。
この男性は、遅くとも2002年12月に精神疾患を発症しましたが、2002年の時間外労働時間が月平均約135時間となっていました。
裁判長は、「上司らは長時間労働や健康状態の悪化を認識しながら、負担を軽減させる措置をとっておらず、安全配慮義務違反である」としました。
◆個人業者を「労働者」と認定(2月21日判決)
音響機器メーカーの子会社(神奈川県)が、機器修理を行う個人業者(会社と業務委託契約を締結)の労働組合との団体交渉を拒否したことが「不当労働行為」と認定されたため、認定を行った中央労働委員会の救済命令取消しを求めていた訴訟の上告審判決があり、最高裁(第3小法廷)は、「業務実態から業者は労働基準法上の労働者に該当する」との判断を下しました。
上記の労働組合は、2005年1月に最低保障賃金を月30万円とすることなどを求めていましたが、子会社側は「会社が雇用している労働者の組合ではない」として団体交渉に応じませんでした。
しかし、最高裁は「子会社の指定する方法に従って指揮監督を受けて労務を提供し、時間的にも拘束されている」、「個人業者が基本的には労働者に該当するとの前提で、なお独立の事業者の実態があると認められる特段の事情があるか否かを再審理すべき」としました。
「65歳まで再雇用義務付け」法案を国会に提出へ
◆政府が閣議決定
希望者全員を65歳まで再雇用する制度の導入を企業に義務付ける「高年齢者雇用安定法改正案」が、3月9日に国会に提出されました。
来年4月の施行に向けて、今国会での成立を目指すとされていますが、成立した場合は、企業にとって大きな負担となります。
◆改正法案の概要
改正法案の概要は、次の通りです。
(1)継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止
継続雇用制度の対象となる高年齢者を、事業主が労使協定で定める基準によって限定できる仕組みを廃止します。
(2)継続雇用制度の対象者が雇用される企業の範囲の拡大
継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲を、グループ企業にまで拡大する仕組みを設けます。
(3)義務違反の企業に対する公表規定の導入
高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定を設けます。
(4)「高年齢者等職業安定対策基本方針」の見直し
雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者を65歳以上にまで拡大します。
◆経過措置の内容
企業にとっては人件費の負担が大きくなるため、改正法案においては、経過措置が設けられています。
すなわち、男性の年金支給開始年齢が61歳となる2013年度から、最終的に65歳になる2025年度まで「12年間」をかけて、段階的に企業への義務付けを進めるとしています。
企業としては、改正法施行を見据え、対策を考えていく必要があります。
高年齢期の「働く意欲」と「活躍の場」
◆高年齢期における働く意欲
厚生労働省が「第6回 中高年者縦断調査」の結果を発表し、60~64歳の人のうち、5割超の人が「65歳以降も仕事を続けたい」と考えていることがわかりました。
また、70歳以降でも3割近くの人が仕事をしたいと望んでおり、働く意欲は高年齢期となってもかなり高いようです。
働く目的は、「年金以外に収入が必要である」、「健康を維持したい」、「社会とのつながりを求めたい」など多様になっています。
◆「中高年者縦断調査」とは?
この調査は、毎年同じ人を追跡し、「健康」「就業」「社会活動」などの変化の過程について継続的に調査するもので、2005年11月に第1回目が実施されました。
今回は、50代をどのように過ごせば高年齢期に充実した生活を営むことができるか、特に団塊世代を含む60歳以上(60~64歳)の男女に焦点を当てて、就業意識、就業実態、健康状態について分析しています。
◆実際に収入を伴う仕事をしているか
また、株式会社インテージでは、「団塊世代の男性のライフスタイル」に関する調査を実施しました。62~64 才の団塊世代の男性800名が回答しています。
まず、団塊世代の男性に現在の就労状況を尋ねたところ、下記の通りの結果となっており、収入を伴う仕事をしている人は61.0%で、そのうち約8割の人が「週に4~5日以上働いている」こととなっています。
(1)働いていない…39.0%
(2)働いている(ほぼ毎日)…27.1%
(3)働いている(週に4~5日)…22.1%
(4)働いている(週に2~3日)…8.1%
(5)働いている(週に1日程度)…1.8%
(6)働いている(それ以下)…1.9%
◆活躍する「場」の提供
健康で働く意欲が高い高年齢者に対して「活躍の場」を提供することは、少子高齢化により労働力不足が進行しつつある日本にとって、ますます重要になってくるでしょう。
4月からスタートする新しい「在宅介護」
◆床ずれ対処や血圧チェックも
この4月から「24時間体制」の介護訪問サービスがスタートすることとなり、在宅介護のいわば「切り札」として注目されています。
新設される「定期巡回・随時対応サービス」は、住み慣れた地域で暮らし続けることができる在宅ケアサービスとして国が推進しているものです。
生活支援(食事、服薬確認、排泄介助など)のほか、床ずれ対処や血圧チェックなどを、まさに「24時間体制」で提供するものです。
◆従来との違いは何か?
従来の訪問介護との大きな違いは、訪問の回数と時間です。
従来の訪問介護では1日1~2回で、1回あたりの訪問時間は「30分~1時間」程度でした。しかし、新サービスでの訪問時間は「10~15分」程度と短くなっています。ただし、自分の生活リズムに合わせて夜間や早朝でもサービスを受けることができます。
利用者の自己負担は定額制で、原則として1日何度利用しても負担額は変わりません。
◆導入に伴う問題点は何か?
1つ目は「事業所の採算」の問題です。新サービスでは、訪問回数にかかわらず報酬が1カ月単位で決定するため、訪問先ごとの移動距離が長くなると効率が悪くなり、ガソリン代などの負担も重くなります。
2つ目は、「担い手の確保」の問題です。人が集まりにくのが介護業界の実情であり、これまでは採算が取れていた場合でも、利用制限がなくなってしまうと、ヘルパーの負担が増えることが懸念されています。
「ディベート」の技術を仕事にも役立てる
◆「ディベート」のメリットとは?
ディベートは、ルールに則り、あるテーマに対して肯定側と否定側に分かれ、相手を論破するものです。
(1)自らの主張を明らかにする「立論」、(2)相手の主張に対する「質問」、(3)相手の主張に対する「反論」で構成されており、この技術を手に入れることができれば仕事にも役立つことでしょう。
一度、社内でも実施されてみてはいかがでしょうか?
◆準備が大切
まず、「立論」では資料を集めて読み込み、原稿を作成します。周りから高い評価を得るためには、決められた持ち時間の中で、相手の主張をよく理解し、かみあった「質問」や「反論」をしなければなりませんので、様々な能力が問われます。
切り返しが必要な議論は苦手と感じる人もいますが、「アドリブが上手ということよりも、しっかりと調べ、学習をして、主張や想定できる反論をよく練るなど、準備することが大切」だと言われています。
◆半年間は継続する
ディベートの専門家は、「ディベートは1回経験するだけでも効果はあるが、本来は実践を繰り返し行って反省や改善をしていくものであるから、半年は継続してほしい」と言っています。
ディベートは自分の意見を述べるだけでなく、異なる立場の人の考えをしっかり聞くのにも役立つものです。社内でも、社内以外でも良いですから、一度経験してみる価値があるのではないでしょうか。
男女間の賃金格差が過去最小に その要因は?
◆上昇する女性の平均賃金
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によれば、2011年の一般労働者(パートを除く)の平均賃金において、男女間の賃金格差が過去最小となったそうです。
男性が前年と同じ32万8,300円、女性は前年比1.9%増の23万1,900円でした。女性の賃金は2000年以降おおむね増え続けています。
◆女性の賃金上昇の要因(1)
女性の賃金上昇の背景には、成長分野である「サービス業」で働く人の増加があるようです。
例えば、「教育・学習支援業」では30万7,400円(前年比2.6%増)、「医療・福祉」では24万7,000円(同1.5%増)となりました。
◆女性の賃金上昇の要因(2)
男性正社員の賃金は40代前後で前年より減る一方、女性正社員の賃金は60歳未満のすべての年齢層で前年比0.1~2.9%増加しています。
女性が企業の主要ポストに就くケースが増えたことも、賃金上昇につながっているようです。
◆女性社員の育成に関して
また、公益財団法人日本生産性本部から「第3回 コア人材としての女性社員育成に関する調査」の結果が発表されていますが、役員と課長(相当職)の女性の割合が、前年に引き続き増加したそうです。ただし、部長(相当職)の割合は若干減少しています。
また、3年以内に課長(相当職)になる可能性のある職位の女性の割合は、2年前と比べ大幅に増加しています。
◆女性育成の課題は?
上記の調査では、女性育成の推進上の課題としては、「女性社員の意識」が7割以上と最も高くなっていますが、「経営者、管理職、男性社員の理解・関心が薄い」の割合も前年より増加しています。
また、効果のあった施策としては、「女性社員への教育・研修参加機会の拡大」が前年から大きく増加したほか、「女性社員だけを対象にした研修」「管理職候補の女性を対象にした意識喚起のための研修」に取り組む企業も増えているようです。
2012/03/01
3月の事務所便り
最近の労働関係の裁判例から
◆「期間満了を理由とする雇止め」をめぐる裁判例
京都市にある大学が、期間満了を理由として雇用契約を更新しなかったのは不当であるとして、元助手の女性が雇用の継続などを求めていた訴訟は、大学がこの女性を今年4月から新たに1年間雇用する(契約更新なし)との内容で、京都地裁で和解が行われました。(2011年12月22日)
この女性は、2007年4月から「契約期間3年」で勤務していましたが、2010年3月末に雇止めされました。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新される」との説明を受けていたことから、提訴していたものです。
女性は「教員の使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが多くの教員は泣き寝入りしている」と話しており、大学側は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」と話しているそうです。
◆「過労死」をめぐる裁判例
新聞社の記者だった男性が糖尿病の悪化により死亡したのは過労が原因だったとして、この男性の父親が労災と認定しなかった国の処分の取消しを求めていた訴訟(控訴審)で、東京高裁は、一審の東京地裁判決(請求棄却)を支持し、控訴を棄却しました。(2012年1月25日)
裁判長は、業務内容を「精神的・身体的に著しく負担が大きかった」と認定しましたが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」とし、業務と死亡との因果関係を否定しました。
この男性は1984年に入社し、1997年6月に糖尿病の合併症が原因で死亡しました。直前の同年5月までの半年間の時間外労働は、月平均約134時間だったそうです。
◆「育休に伴う解雇」をめぐる裁判例
育児休業の取得を理由に解雇されたのは違法であるとして、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が解雇無効の確認などを求めていた訴訟で、さいたま地裁は、同会が請求を認める「認諾」を表明して審理が終結しました。職場復帰と同会および同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったそうです。(2012年2月2日)
原告側の代理人弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話しているそうです。
この女性は2005年8月に事務職として入社し、2009年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休みましたが、同年11月以降、同会役員らに退職を勧められました。2010年4月から産休と育休を取得し、2011年5月18日に復帰すると、そのまま解雇されていました。
「企業の採用基準」と「学生のアピールポイント」
◆求人企業と学生を対象に調査
求人情報サイトを運営しているエン・ジャパン株式会社では、求人企業(635社が回答)と2013年3月に卒業予定の学生(2,221人が回答)を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しました。
企業側が考えている採用基準と学生側のアピールポイントには、わずかにギャップが見られるようです。
◆企業はどのように考えているか?
企業による「自社の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(71.0%)
(2)他者と協調することができる(36.7%)
(3)チャレンジ精神がある(30.1%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(26.3%)
(5)ストレス耐性が高い(17.6%)
◆学生はどのように考えているか?
学生が想像する「企業の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(37.7%)
(2)チャレンジ精神がある(10.9%)
(3)他者と協調することができる(10.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(7.3%)
(5)礼儀やマナーがしっかりしている(6.6%)
◆学生のアピールポイント
そして、学生が考えている「選考で最もアピールしたいポイント」ベスト5は次の通りでした。
(1)他者と協調することができる(20.5%)
(2)継続性がある(14.6%)
(3)主体的・積極的に行動できる(11.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(10.1%)
(5)目標達成への意識が高い(9.0%)
中小企業の「後継者不在」の状況は?
◆約3分の2が「後継者不在」
株式会社帝国データバンクでは、後継者の実態について分析可能な信用調査報告書(2008年以降)のある約41万社を対象に国内の後継者不在企業の実態を分析し、その結果が発表されました。
国内企業の約3分の2に相当する企業(65.9%)が「後継者不在」となっているそうです。
◆地域別に見るとどうか?
この調査によれば、調査対象企業(40万8,954社)のうち、後継者不在企業は26万9,488社です。
地域別に見てみると、「後継者不在率」の高い地域は、上位から「北海道」(71.8%)、「中国」(71.3%)、「近畿」(68.6%)、「関東」(67.9%)、「中部」(65.6%)となっています。
なお、沖縄県では実に81.4%となっており、都道府県別で唯一、8割を超える結果となっています。
◆業種別に見るとどうか?
また、別に見てみると、「後継者不在率」の高い業種の上位5つは、「サービス業」(72.1%)、「建設業」(69.6%)、「林業・狩猟業」(69.1%)、「不動産業」(68.0%)、「卸売・小売業、飲食店」(64.8%)となっています。
◆後継者不在の原因は?
中小企業における「後継者不在」の原因としては、主に次のことが挙げられます。
(1)「後を継ぐ子がいない」
…少子化により、多くの企業には後継する子自体がいないことが原因にあります。
(2)「子が後を継がない」
…子が「厳しい経営環境にあえて飛び込む必要はない」と考えていることが原因にあります。
(3)「子が後を継げない」
…子が会社を継ごうとしても「経営能力」が備わっていないことが原因にあります。
「『競業他社への転職禁止』の契約は無効」との判決
◆非常に大きなインパクト
今年1月上旬、外資系の大手生命保険会社が同社の執行役員と交わした契約条項(退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない)の有効性が争われた訴訟の判決がありました。
この判決内容は非常にインパクトのあるものであり、新聞紙上等でも大きく報道されました。
◆退職金3,000万円の支払いを命じる
東京地裁は、次のように判断し、元執行役員男性の請求通りに、会社に対して退職金(約3,000万)の支払いを命じました。
(1)「情報の流出を防ぐ目的で競合他社へ転職を禁じるのは過大」
(2)「職業選択の自由を不当に害している」
(3)「契約条項は公序良俗に反して無効」
原告側弁護士によれば、外資系企業では上記のような条項を交わすケースが多く、「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断」としています。
◆判断のポイントは?
一般的に、上記のような「競業他社への転職禁止」の契約は、優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に締結されます。
過去にも、競合他社への転職について争われた裁判例があります。それらの判断のポイントは、次の通りとされています。
(1)競業他社への転職を希望する者の会社内での地位が高ければ高いほど、転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
(2)転職先の競業会社の内容・場所も考慮されており、それらが近ければ近いほど転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
競業他社への転職禁止に関する契約を従業員と締結する場合、上記のことを考慮すべきだと言えるでしょう。
新入社員の意識を探る調査の結果
◆入社後半年の意識は?
日本生産性本部は、2011年度の新入社員に対し、入社半年後の意識をたずねた調査の結果を発表しました(今年1月11日)。
◆7割以上の男性が「育休を取得したい」
今回の調査から新設された「子どもが生まれたときには、育児休業を取得したい」とする質問に「そう思う」と回答した割合は、男性で72.8%、女性で95.8%、全体で79.9%でした。
◆「若いうちはフリーターでも良い」が増加
「若いうちならフリーアルバイターの生活を送るのも悪くない」とする設問に「そう思う」との回答は、2004 年以来ほぼ減少傾向にありましたが、前年比11.3 ポイント増加して35.9%になりました。
◆転職に関する意識は?
「条件の良い会社があれば、さっさと移るほうが得だ」に対し、「そう思う」とする回答が前年の秋の調査より12.4 ポイント増加して40.7%となりました。
また、転職に関して自身の考えを選択する4者択一の設問では、「転職しないにこしたことはない」と回答する割合は28.5%で、同調査より2.7 ポイント増加しました。
◆震災の影響は?
自身の気持ちについて近いものを選択する設問で、「3 月11 日の東日本大震災が起きたことによって、あなたのキャリアプランに影響はありましたか」に対し、「そう思う」とする回答が12.6%で、「そう思わない」とする回答が87.4%でした。
「職場におけるパワハラ行為」の定義を明確化
◆初めて「パワハラ」の定義を明確化
厚生労働省のワーキンググループは、職場におけるパワー・ハラスメント(パワハラ)に該当する可能性のある行為を6つに類型化した報告書をまとめました。
この報告書では、パワハラの定義が初めて明確化されるとともに、企業が取り組むべき対策についても紹介しています。
◆パワハラとはどのような行為か?
パワハラは、一般的に「職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を悪化させたりする行為」とされています。
上司から部下への「いじめ」や「嫌がらせ」を指して使われる場合が多いのですが、人間関係や専門知識などで優位な立場にある同僚や部下から受ける嫌がらせなども含まれるとされています。
◆パワハラに該当しうる行為(6分類)
今回の報告書では、職場のパワハラに該当しうる行為について、次の6つに分類しています。
(1)暴行・傷害などの「身体的な攻撃」
(2)侮辱や暴言などの「精神的な攻撃」
(3)無視などの「人間関係からの切り離し」
(4)遂行不可能なことへの強制や仕事の妨害などの「過大な要求」
(5)能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることなどの「過小な要求」
(6)私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」
ただ、職場におけるパワハラは「業務上の指導との線引きが難しい」との意見もあり、報告書では(4)~(6)については「業務の適正な範囲内」であれば本人が不満に感じたとしてもパワハラには該当しないとしています。
◆予防と解決のために積極的な取組みを
企業におけるパワハラの予防と解決には、組織トップによるメッセージや、就業規則での規定化、予防・解決のためのガイドラインの作成、教育研修の実施、企業内外における相談窓口の設置等が効果的です。
パワハラ被害を受けた従業員が、人格を傷つけられたこと等により心の健康を悪化させ、休職・退職に至るケースや、周囲の人たちの意欲が低下し、職場全体の生産性に悪影響を及ぼすケースもあり、パワハラが企業にもたらす損失は非常に大きいと言えます。
そのため、パワハラ問題への取組みを企業が積極的に進めることが求められます。
病気なのに無理して出勤するとどんな影響があるか?
◆風邪をひいても休まない?休めない?
ある気象情報会社の調査によれば、平均的な日本人は1年に2回以上風邪をひくものの、熱が38度以上まで上がらないと会社や学校を休まないとのことです。
風邪で休まない人の割合は年齢が上がるとともに高くなり、40歳代では35.9%にも達するそうです。
◆出勤は「美徳」なのか?
上記のことについて、人事管理に詳しい専門家は「結果重視の成果主義が主流になってきたとはいえ、日本人が持つ“多少のことがあっても出勤することが美徳だ”という考えの影響が大きく残っている」と言います。
多くの企業において、「プロセスにおける貢献度」や「チーム全体での成果」を重視する人事評価制度が導入されているため、突発的な休みが言い出しにくい環境になっていることも影響しているようです。
◆マイナス面に注目する動き
最近では、新型インフルエンザの流行などをきっかけに、無理をして病気の社員を働かせるマイナス面にも注目される動きが出てきました。
社員だけではなく、扶養家族にも無料でインフルエンザの予防接種を実施したり、短時間だけ会社を抜けて病院に行くことのできる制度を導入したりする企業もあるようです。
◆「プレゼンティズム」の導入
出社したとしても体調が悪くて普段と同様の成果が上げられず、企業に損害を与えてしまうという考え方は、経営学で「プレゼンティズム」と呼ばれているそうです。
例えば、花粉症であれば4.1%、風邪であれば4.7%も仕事の効率が落ちるそうです。企業では、組織全体の損害をいかに抑えるかが課題となります。
◆生産性を維持しつつリスクヘッジも
約8割の家庭が常備しているといわれる総合感冒薬(風邪薬)の売上は年々縮小していますが、これは、頭痛や発熱など風邪の初期症状が表れると、すぐに病院に駆け込む人が増えたことが影響しているそうです。
日本のビジネスパーソンには、「初期症状で病院に行く」という考え方が浸透しており、今後は、生産性を維持しながらリスクヘッジにも役立つ「プレゼンティズム」を検討する企業も増えていきそうです。
「フリーアドレス制」導入目的の変化
◆オフィスの省スペース化の手段として
オフィスに個人用の席を設けず、仕事に応じて座る席を決める「フリーアドレス制」は、オフィスの省スペース化の手段として広がってきました。
しかし、最近では、社員間のコミュニケーションを活発化させる仕組みとしても注目され始めているようです。
◆コミュニケーション活発化を目指して
これまで、「フリーアドレス制」導入の主目的は、オフィス賃料の削減にあり、外出が多い営業部門などで席数を減らしていました。しかし、昨今は事情が異なってきており、社員間のコミュニケーションを促すために導入する企業が増えているようです。
ある大学が、20~50歳代の社会人に対して職場の雰囲気について聞いたところ、「社員同士で情報を共有し合う雰囲気がある」(約12%)、「人を育てようとする雰囲気がある」(約9%)などの回答がいずれも低水準にとどまっていました。
そこで、このような状況を改善する手段の1つとして、改めて「フリーアドレス制」が注目されているのです。
◆社員の管理に難しさも
この「フリーアドレス制」導入成功の鍵は、「中間管理職」にあると言われています。
ある企業の部長職の男性は「数多くいる部下と毎日顔を合わせないので、正直把握しきれない」と言います。また、別の企業では20~30歳代の社員が固まって座ってしまうため、若手社員の指導ができないことが問題になっているそうです。
こういった企業では、日常的なコミュニケーションに支障が出ないよう、部署ごとに範囲を決め、その中で席を自由にする「半」フリーアドレス制を導入したり、最低1日1回は朝礼の時に顔を揃えて仕事を確認し合ったりするなど、対面コミュニケーションを取れる工夫を行っています。
◆残業削減にも大きな効果
フリーアドレス制には、コスト削減やコミュニケーション活発化の他にも、自分で管理する書類などの削減につながる、仕事環境を変えることにより生産性が向上するといったメリットもあります。
また、席を選ぶ際にその日の仕事の内容が明確になるため、仕事の効率が上がって残業が減ったなどのケースもあるようです。
7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行
◆100人以下の事業主にも適用
男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方の実現を目指し、2009年に「育児・介護休業法」が改正されました。
これまで、従業員100人以下の事業主には、下記の制度の適用が猶予されていましたが、7月1日よりすべての事業主に適用されますので、注意が必要です。
◆短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
(1)事業主は、3歳に満たない子を養育する社員について、本人が希望すれば利用することのできる「短時間勤務制度」を設けなければなりません。
(2)「短時間勤務制度」は、就業規則に規定しているなど制度化されている必要があり、運用されているだけでは不十分です。
(3)「短時間勤務制度」は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含めなければなりません。なお、1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務を選択することができる制度を設けたうえで、その他、例えば1日の所定労働時間を7時間や5時間とする措置や、隔日勤務で所定労働日数を短縮する措置などを併せて設けることも可能です。
◆所定外労働の制限
(1)3歳に満たない子を養育する社員が申し出た場合、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は従業員の請求を拒むことができます。
(2)所定外労働の制限の申出は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日までの1カ月前までに事業主に申し出る必要があります。また、この申出は何回でもすることができます。
◆介護休暇について
要介護状態(負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態)にある家族の介護や世話を行う社員は、事業主に申し出ることによって、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
◆近づく全面施行を前に
いずれの制度についても、新たに対象となる事業主はあらかじめ制度を導入したうえで、就業規則などに記載し、従業員に周知する必要があります。
また、適用除外とできる社員の要件などにも注意が必要です。全面施行が近づいていますので、早急に導入に向けた準備が必要です。
派遣社員による育児休業取得の実態
◆大手派遣会社などによる支援
派遣社員が育児休業(育休)を取得する動きが少しずつ広がっているようです。大手派遣会社などが、優秀な人材を確保するために様々な支援を始めたことが背景にあります。
しかしながら、育休明けに派遣先が決まらないことが多いなど、課題も多くあります。派遣社員の出産・育児を後押しする環境づくりが、少子化対策の観点からも求められています。
◆支援の具体的内容
派遣社員などの有期雇用者は、2005年の育児・介護休業法の改正により、一定の条件を満たせば、育休を取得できるようになりました。
当初は、派遣会社の対応が遅れて利用は進んでいませんでしたが、ここ数年で徐々に増加し、利用者が大幅に増えた大手派遣会社もあるようです。
中小の派遣会社では対応にばらつきがありますが、大手では、専門担当者を配置し、育休期間中も含めて相談に応じる体制を整えたり、復帰前に支援セミナーを開いたりするなど、積極的な支援を行うようになってきています。
◆派遣先での理解も必要
しかし、派遣会社が支援に力を入れたとしても、復帰後の派遣先が決まらなければ意味がありません。厚生労働省の調査によると、2010年度において育児休業給付金を受給した人(約20万6,000人)のうち、有期雇用者は7,375人に過ぎませんでした。
また、同省が2009年にまとめた調査で、派遣先約500社の管理職のうち、派遣社員でも育休を取得できることを知っていた人は約半数しかいないことからも、「派遣社員の育休取得」への理解は低いことがわかります。
◆課題の解決に向けて
また、保育園の入園選考で、派遣先未定の派遣社員を「仕事をしている」とみなすか、「仕事がなくて求職中」とみなすかの明確な基準がなく、後者とみなして優先順位を下げる自治体もあるようです。
派遣社員は、雇用主である派遣会社の他に、派遣先や行政の支援や理解が欠かせず、大きな課題となっており、今後の施策が期待されます。
◆「期間満了を理由とする雇止め」をめぐる裁判例
京都市にある大学が、期間満了を理由として雇用契約を更新しなかったのは不当であるとして、元助手の女性が雇用の継続などを求めていた訴訟は、大学がこの女性を今年4月から新たに1年間雇用する(契約更新なし)との内容で、京都地裁で和解が行われました。(2011年12月22日)
この女性は、2007年4月から「契約期間3年」で勤務していましたが、2010年3月末に雇止めされました。採用時に「よほどの不祥事がなければ1回は契約更新される」との説明を受けていたことから、提訴していたものです。
女性は「教員の使い捨てに異議を申し立てたかった。非正規教員の問題は全国で広がっているが多くの教員は泣き寝入りしている」と話しており、大学側は「裁判の長期化は望ましくないと判断した」と話しているそうです。
◆「過労死」をめぐる裁判例
新聞社の記者だった男性が糖尿病の悪化により死亡したのは過労が原因だったとして、この男性の父親が労災と認定しなかった国の処分の取消しを求めていた訴訟(控訴審)で、東京高裁は、一審の東京地裁判決(請求棄却)を支持し、控訴を棄却しました。(2012年1月25日)
裁判長は、業務内容を「精神的・身体的に著しく負担が大きかった」と認定しましたが、ストレスと糖尿病悪化の関係は「医学的知見が定まっていない」とし、業務と死亡との因果関係を否定しました。
この男性は1984年に入社し、1997年6月に糖尿病の合併症が原因で死亡しました。直前の同年5月までの半年間の時間外労働は、月平均約134時間だったそうです。
◆「育休に伴う解雇」をめぐる裁判例
育児休業の取得を理由に解雇されたのは違法であるとして、埼玉土地家屋調査士会の元社員の女性が解雇無効の確認などを求めていた訴訟で、さいたま地裁は、同会が請求を認める「認諾」を表明して審理が終結しました。職場復帰と同会および同会会長が慰謝料165万円を女性に支払うことが決まったそうです。(2012年2月2日)
原告側の代理人弁護士は「泣き寝入りせずに闘った結果。より働きやすい職場になってもらいたい」と話しているそうです。
この女性は2005年8月に事務職として入社し、2009年9月に妊娠後、切迫流産の危険があったため数日間休みましたが、同年11月以降、同会役員らに退職を勧められました。2010年4月から産休と育休を取得し、2011年5月18日に復帰すると、そのまま解雇されていました。
「企業の採用基準」と「学生のアピールポイント」
◆求人企業と学生を対象に調査
求人情報サイトを運営しているエン・ジャパン株式会社では、求人企業(635社が回答)と2013年3月に卒業予定の学生(2,221人が回答)を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しました。
企業側が考えている採用基準と学生側のアピールポイントには、わずかにギャップが見られるようです。
◆企業はどのように考えているか?
企業による「自社の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(71.0%)
(2)他者と協調することができる(36.7%)
(3)チャレンジ精神がある(30.1%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(26.3%)
(5)ストレス耐性が高い(17.6%)
◆学生はどのように考えているか?
学生が想像する「企業の採用基準」ベスト5は次の通りでした。
(1)主体的・積極的に行動できる(37.7%)
(2)チャレンジ精神がある(10.9%)
(3)他者と協調することができる(10.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(7.3%)
(5)礼儀やマナーがしっかりしている(6.6%)
◆学生のアピールポイント
そして、学生が考えている「選考で最もアピールしたいポイント」ベスト5は次の通りでした。
(1)他者と協調することができる(20.5%)
(2)継続性がある(14.6%)
(3)主体的・積極的に行動できる(11.4%)
(4)明るく感じの良い振る舞いができる(10.1%)
(5)目標達成への意識が高い(9.0%)
中小企業の「後継者不在」の状況は?
◆約3分の2が「後継者不在」
株式会社帝国データバンクでは、後継者の実態について分析可能な信用調査報告書(2008年以降)のある約41万社を対象に国内の後継者不在企業の実態を分析し、その結果が発表されました。
国内企業の約3分の2に相当する企業(65.9%)が「後継者不在」となっているそうです。
◆地域別に見るとどうか?
この調査によれば、調査対象企業(40万8,954社)のうち、後継者不在企業は26万9,488社です。
地域別に見てみると、「後継者不在率」の高い地域は、上位から「北海道」(71.8%)、「中国」(71.3%)、「近畿」(68.6%)、「関東」(67.9%)、「中部」(65.6%)となっています。
なお、沖縄県では実に81.4%となっており、都道府県別で唯一、8割を超える結果となっています。
◆業種別に見るとどうか?
また、別に見てみると、「後継者不在率」の高い業種の上位5つは、「サービス業」(72.1%)、「建設業」(69.6%)、「林業・狩猟業」(69.1%)、「不動産業」(68.0%)、「卸売・小売業、飲食店」(64.8%)となっています。
◆後継者不在の原因は?
中小企業における「後継者不在」の原因としては、主に次のことが挙げられます。
(1)「後を継ぐ子がいない」
…少子化により、多くの企業には後継する子自体がいないことが原因にあります。
(2)「子が後を継がない」
…子が「厳しい経営環境にあえて飛び込む必要はない」と考えていることが原因にあります。
(3)「子が後を継げない」
…子が会社を継ごうとしても「経営能力」が備わっていないことが原因にあります。
「『競業他社への転職禁止』の契約は無効」との判決
◆非常に大きなインパクト
今年1月上旬、外資系の大手生命保険会社が同社の執行役員と交わした契約条項(退職後2年以内に競合他社に就業するのを禁止し、違反した場合は退職金を支給しない)の有効性が争われた訴訟の判決がありました。
この判決内容は非常にインパクトのあるものであり、新聞紙上等でも大きく報道されました。
◆退職金3,000万円の支払いを命じる
東京地裁は、次のように判断し、元執行役員男性の請求通りに、会社に対して退職金(約3,000万)の支払いを命じました。
(1)「情報の流出を防ぐ目的で競合他社へ転職を禁じるのは過大」
(2)「職業選択の自由を不当に害している」
(3)「契約条項は公序良俗に反して無効」
原告側弁護士によれば、外資系企業では上記のような条項を交わすケースが多く、「名ばかり管理職とされる執行役員の転職を安易に禁じることに警鐘を鳴らす判断」としています。
◆判断のポイントは?
一般的に、上記のような「競業他社への転職禁止」の契約は、優秀な人材とノウハウの流出防止を目的に締結されます。
過去にも、競合他社への転職について争われた裁判例があります。それらの判断のポイントは、次の通りとされています。
(1)競業他社への転職を希望する者の会社内での地位が高ければ高いほど、転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
(2)転職先の競業会社の内容・場所も考慮されており、それらが近ければ近いほど転職が認められない(競業避止義務を負う)傾向にある。
競業他社への転職禁止に関する契約を従業員と締結する場合、上記のことを考慮すべきだと言えるでしょう。
新入社員の意識を探る調査の結果
◆入社後半年の意識は?
日本生産性本部は、2011年度の新入社員に対し、入社半年後の意識をたずねた調査の結果を発表しました(今年1月11日)。
◆7割以上の男性が「育休を取得したい」
今回の調査から新設された「子どもが生まれたときには、育児休業を取得したい」とする質問に「そう思う」と回答した割合は、男性で72.8%、女性で95.8%、全体で79.9%でした。
◆「若いうちはフリーターでも良い」が増加
「若いうちならフリーアルバイターの生活を送るのも悪くない」とする設問に「そう思う」との回答は、2004 年以来ほぼ減少傾向にありましたが、前年比11.3 ポイント増加して35.9%になりました。
◆転職に関する意識は?
「条件の良い会社があれば、さっさと移るほうが得だ」に対し、「そう思う」とする回答が前年の秋の調査より12.4 ポイント増加して40.7%となりました。
また、転職に関して自身の考えを選択する4者択一の設問では、「転職しないにこしたことはない」と回答する割合は28.5%で、同調査より2.7 ポイント増加しました。
◆震災の影響は?
自身の気持ちについて近いものを選択する設問で、「3 月11 日の東日本大震災が起きたことによって、あなたのキャリアプランに影響はありましたか」に対し、「そう思う」とする回答が12.6%で、「そう思わない」とする回答が87.4%でした。
「職場におけるパワハラ行為」の定義を明確化
◆初めて「パワハラ」の定義を明確化
厚生労働省のワーキンググループは、職場におけるパワー・ハラスメント(パワハラ)に該当する可能性のある行為を6つに類型化した報告書をまとめました。
この報告書では、パワハラの定義が初めて明確化されるとともに、企業が取り組むべき対策についても紹介しています。
◆パワハラとはどのような行為か?
パワハラは、一般的に「職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を悪化させたりする行為」とされています。
上司から部下への「いじめ」や「嫌がらせ」を指して使われる場合が多いのですが、人間関係や専門知識などで優位な立場にある同僚や部下から受ける嫌がらせなども含まれるとされています。
◆パワハラに該当しうる行為(6分類)
今回の報告書では、職場のパワハラに該当しうる行為について、次の6つに分類しています。
(1)暴行・傷害などの「身体的な攻撃」
(2)侮辱や暴言などの「精神的な攻撃」
(3)無視などの「人間関係からの切り離し」
(4)遂行不可能なことへの強制や仕事の妨害などの「過大な要求」
(5)能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることなどの「過小な要求」
(6)私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」
ただ、職場におけるパワハラは「業務上の指導との線引きが難しい」との意見もあり、報告書では(4)~(6)については「業務の適正な範囲内」であれば本人が不満に感じたとしてもパワハラには該当しないとしています。
◆予防と解決のために積極的な取組みを
企業におけるパワハラの予防と解決には、組織トップによるメッセージや、就業規則での規定化、予防・解決のためのガイドラインの作成、教育研修の実施、企業内外における相談窓口の設置等が効果的です。
パワハラ被害を受けた従業員が、人格を傷つけられたこと等により心の健康を悪化させ、休職・退職に至るケースや、周囲の人たちの意欲が低下し、職場全体の生産性に悪影響を及ぼすケースもあり、パワハラが企業にもたらす損失は非常に大きいと言えます。
そのため、パワハラ問題への取組みを企業が積極的に進めることが求められます。
病気なのに無理して出勤するとどんな影響があるか?
◆風邪をひいても休まない?休めない?
ある気象情報会社の調査によれば、平均的な日本人は1年に2回以上風邪をひくものの、熱が38度以上まで上がらないと会社や学校を休まないとのことです。
風邪で休まない人の割合は年齢が上がるとともに高くなり、40歳代では35.9%にも達するそうです。
◆出勤は「美徳」なのか?
上記のことについて、人事管理に詳しい専門家は「結果重視の成果主義が主流になってきたとはいえ、日本人が持つ“多少のことがあっても出勤することが美徳だ”という考えの影響が大きく残っている」と言います。
多くの企業において、「プロセスにおける貢献度」や「チーム全体での成果」を重視する人事評価制度が導入されているため、突発的な休みが言い出しにくい環境になっていることも影響しているようです。
◆マイナス面に注目する動き
最近では、新型インフルエンザの流行などをきっかけに、無理をして病気の社員を働かせるマイナス面にも注目される動きが出てきました。
社員だけではなく、扶養家族にも無料でインフルエンザの予防接種を実施したり、短時間だけ会社を抜けて病院に行くことのできる制度を導入したりする企業もあるようです。
◆「プレゼンティズム」の導入
出社したとしても体調が悪くて普段と同様の成果が上げられず、企業に損害を与えてしまうという考え方は、経営学で「プレゼンティズム」と呼ばれているそうです。
例えば、花粉症であれば4.1%、風邪であれば4.7%も仕事の効率が落ちるそうです。企業では、組織全体の損害をいかに抑えるかが課題となります。
◆生産性を維持しつつリスクヘッジも
約8割の家庭が常備しているといわれる総合感冒薬(風邪薬)の売上は年々縮小していますが、これは、頭痛や発熱など風邪の初期症状が表れると、すぐに病院に駆け込む人が増えたことが影響しているそうです。
日本のビジネスパーソンには、「初期症状で病院に行く」という考え方が浸透しており、今後は、生産性を維持しながらリスクヘッジにも役立つ「プレゼンティズム」を検討する企業も増えていきそうです。
「フリーアドレス制」導入目的の変化
◆オフィスの省スペース化の手段として
オフィスに個人用の席を設けず、仕事に応じて座る席を決める「フリーアドレス制」は、オフィスの省スペース化の手段として広がってきました。
しかし、最近では、社員間のコミュニケーションを活発化させる仕組みとしても注目され始めているようです。
◆コミュニケーション活発化を目指して
これまで、「フリーアドレス制」導入の主目的は、オフィス賃料の削減にあり、外出が多い営業部門などで席数を減らしていました。しかし、昨今は事情が異なってきており、社員間のコミュニケーションを促すために導入する企業が増えているようです。
ある大学が、20~50歳代の社会人に対して職場の雰囲気について聞いたところ、「社員同士で情報を共有し合う雰囲気がある」(約12%)、「人を育てようとする雰囲気がある」(約9%)などの回答がいずれも低水準にとどまっていました。
そこで、このような状況を改善する手段の1つとして、改めて「フリーアドレス制」が注目されているのです。
◆社員の管理に難しさも
この「フリーアドレス制」導入成功の鍵は、「中間管理職」にあると言われています。
ある企業の部長職の男性は「数多くいる部下と毎日顔を合わせないので、正直把握しきれない」と言います。また、別の企業では20~30歳代の社員が固まって座ってしまうため、若手社員の指導ができないことが問題になっているそうです。
こういった企業では、日常的なコミュニケーションに支障が出ないよう、部署ごとに範囲を決め、その中で席を自由にする「半」フリーアドレス制を導入したり、最低1日1回は朝礼の時に顔を揃えて仕事を確認し合ったりするなど、対面コミュニケーションを取れる工夫を行っています。
◆残業削減にも大きな効果
フリーアドレス制には、コスト削減やコミュニケーション活発化の他にも、自分で管理する書類などの削減につながる、仕事環境を変えることにより生産性が向上するといったメリットもあります。
また、席を選ぶ際にその日の仕事の内容が明確になるため、仕事の効率が上がって残業が減ったなどのケースもあるようです。
7月1日から「改正育児・介護休業法」が全面施行
◆100人以下の事業主にも適用
男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方の実現を目指し、2009年に「育児・介護休業法」が改正されました。
これまで、従業員100人以下の事業主には、下記の制度の適用が猶予されていましたが、7月1日よりすべての事業主に適用されますので、注意が必要です。
◆短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
(1)事業主は、3歳に満たない子を養育する社員について、本人が希望すれば利用することのできる「短時間勤務制度」を設けなければなりません。
(2)「短時間勤務制度」は、就業規則に規定しているなど制度化されている必要があり、運用されているだけでは不十分です。
(3)「短時間勤務制度」は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含めなければなりません。なお、1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務を選択することができる制度を設けたうえで、その他、例えば1日の所定労働時間を7時間や5時間とする措置や、隔日勤務で所定労働日数を短縮する措置などを併せて設けることも可能です。
◆所定外労働の制限
(1)3歳に満たない子を養育する社員が申し出た場合、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は従業員の請求を拒むことができます。
(2)所定外労働の制限の申出は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、開始予定日と終了予定日等を明らかにして、開始予定日までの1カ月前までに事業主に申し出る必要があります。また、この申出は何回でもすることができます。
◆介護休暇について
要介護状態(負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態)にある家族の介護や世話を行う社員は、事業主に申し出ることによって、介護する家族が1人ならば年に5日、2人以上ならば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
◆近づく全面施行を前に
いずれの制度についても、新たに対象となる事業主はあらかじめ制度を導入したうえで、就業規則などに記載し、従業員に周知する必要があります。
また、適用除外とできる社員の要件などにも注意が必要です。全面施行が近づいていますので、早急に導入に向けた準備が必要です。
派遣社員による育児休業取得の実態
◆大手派遣会社などによる支援
派遣社員が育児休業(育休)を取得する動きが少しずつ広がっているようです。大手派遣会社などが、優秀な人材を確保するために様々な支援を始めたことが背景にあります。
しかしながら、育休明けに派遣先が決まらないことが多いなど、課題も多くあります。派遣社員の出産・育児を後押しする環境づくりが、少子化対策の観点からも求められています。
◆支援の具体的内容
派遣社員などの有期雇用者は、2005年の育児・介護休業法の改正により、一定の条件を満たせば、育休を取得できるようになりました。
当初は、派遣会社の対応が遅れて利用は進んでいませんでしたが、ここ数年で徐々に増加し、利用者が大幅に増えた大手派遣会社もあるようです。
中小の派遣会社では対応にばらつきがありますが、大手では、専門担当者を配置し、育休期間中も含めて相談に応じる体制を整えたり、復帰前に支援セミナーを開いたりするなど、積極的な支援を行うようになってきています。
◆派遣先での理解も必要
しかし、派遣会社が支援に力を入れたとしても、復帰後の派遣先が決まらなければ意味がありません。厚生労働省の調査によると、2010年度において育児休業給付金を受給した人(約20万6,000人)のうち、有期雇用者は7,375人に過ぎませんでした。
また、同省が2009年にまとめた調査で、派遣先約500社の管理職のうち、派遣社員でも育休を取得できることを知っていた人は約半数しかいないことからも、「派遣社員の育休取得」への理解は低いことがわかります。
◆課題の解決に向けて
また、保育園の入園選考で、派遣先未定の派遣社員を「仕事をしている」とみなすか、「仕事がなくて求職中」とみなすかの明確な基準がなく、後者とみなして優先順位を下げる自治体もあるようです。
派遣社員は、雇用主である派遣会社の他に、派遣先や行政の支援や理解が欠かせず、大きな課題となっており、今後の施策が期待されます。
2012/02/01
2月の事務所便り
「労働時間削減」に関する各企業の取組事例
◆ワークライフバランスの実現に向けて
近年、企業にとって「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の実現が大きな課題となっていますが、厚生労働省では、昨年12月に「仕事と生活の調和の実現に向けた取組事例」と題する、「所定外労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」などに関する企業(主に中小企業)の取組事例を公表しました。
ここでは、この取組事例の中から、所定外労働時間の削減に関する事例をご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
◆所定外労働時間の削減の事例
(1)所定の曜日を「ノー残業デー」とし、所定終業時刻の30分後に強制的に施錠するなど、取組を徹底した。(建設業)
(2)管理者・従業員双方による業務計画等の見直しを行い、時間外労働の必要性の有無の確認、事前の時間外労働申請の徹底を周知した。(建設業)
(3)業務改善に伴う超過勤務時間の減少による賃金の低下に対処するため、賃金の改定を行うとともに、一定の限度時間を超えた超過勤務があった従業員に対して、上司とともに「超過原因」を分析し、「改善方法」を考えさせるようにした。(製造業)
(4)業務に必要な知識を電子掲示板で可視化することで、業務に関する情報の共有化を図り、業務分担による情報の偏りをなくし、所定外労働の削減に努めた。(情報通信業)
(5)終業時刻の前後にまたがって開催していた定例の会議の所要時間を2時間から1時間半に短縮し、開始時刻も繰り上げ、終業時刻内に会議が終了するよう改善したほか、子育て中の従業員に時間外労働をさせないために午後4時から勤務する短時間勤務者を採用した。(卸売・小売業)
(6)所定外労働時間の状況と削減目標について、社長以下管理職のミーティングや朝礼にて報告を行い、部署ごとに上長から従業員に伝えるようにした。(卸売・小売業)
(7)各従業員の業務量を平準化させるため、業務量の多い従業員に対して、他の従業員を応援に向かわせるなどして、業務分担や人員配置の両面から所定外労働を必要としない業務体制になるように改善し、残業時間削減に結びつけた。(医療・福祉)
(8)残業を行う場合、所属長の承認をもらう申請書提出制度を導入したところ、時間外労働の集中部署、職種等が明確になり、業務配分や要員の見直しを的確に行うことができ、時間外労働の削減へとつながった。(医療・福祉)
「うつ病」をめぐる最近の裁判例
◆建設会社社員の躁うつ病発症(11月9日広島地裁判決)
建設会社勤務の男性は、1995年10月に、勤務する会社が他の建設会社と共同で受注した発電所の桟橋工事の工事事務所長に就任しましたが、仕事のストレスから、1997年に2度にわたり自殺(未遂)を図りました。その後、躁うつ病と診断されました。
この男性は、労働基準監督署が休業補償給付を支給しなかったのは不当であるとして、不支給処分の取消しを広島地裁に求めていました。
判決で裁判長は「それまでに精神科への受診歴もないことを考えると、病気と業務との因果関係を肯定できる」とし、男性の主張を認め、国に処分の取消しを命じました。
◆通信会社社員のうつ病による自殺(12月14日名古屋地裁判決)
音響機器メーカーから出向して通信会社の業務に従事していた男性社員は、1994年11月頃にうつ病を発症しました。そして、2001年4月に関連会社に移籍して物流部門に異動した直後(2002年12月)に自殺しました。
この男性の妻は、夫が自殺したのは過労が原因で労災であるとして、遺族補償年金の不支給処分取消しを名古屋地裁に求めていました。
判決で裁判長は、専門知識のない携帯電話の基地局開局業務で月100時間以上の時間外労働をしたとして「質的にも量的にも大きな負担で、うつ病を発症させる危険性を十分有していた」とし、業務上のストレスが続き、約8年間うつ病は一度も治癒することなく、症状の悪化を繰り返し次第に慢性化したと判断して、男性の妻の主張を全面的に認め、国の処分を取り消しました。
◆小学校教諭のうつ病による自殺(12月15日静岡地裁判決)
静岡県内にある市立小学校教諭だった女性は、2004年に教員として採用され担任を受け持っていましたが、児童の問題行動(授業中に暴れる等)に悩み、約2カ月でうつ病を発症しました。そして、同年の9月下旬に自殺しました。
この女性の両親は、娘が自殺したのは仕事上のストレスによるうつ病が原因であると主張し、「公務災害ではない」との判断を下した地方公務員災害補償基金(静岡支部)の認定を取り消すよう静岡地裁に求めていました。
判決で裁判長は、「採用直後に担任したクラスで児童の問題行動が相次ぎ、強い心理的負荷を受けた」と指摘し、同僚からの適切な支援も得られず精神状態を悪化させたのが自殺の原因であると判断し、両親の訴えを認めて基金の認定を取り消しました。
若手社会人の「節約」に関する意識は?
◆「節約」をどのように考えているか?
株式会社マイナビでは、昨年11月に「若手社会人の消費活動調査」を初めて実施し、その結果を発表しました。最近の若手の社会人が「節約」についてどのように考えているのか、興味深い内容となっています。
なお、調査対象は、同社のポータルサイト(マイナビニュース)の会員となっている入社1~5年目の社会人548人(男性:230人、女性:318人)です。
◆給料をどのように使う?
まず、給料の使い方に関して、「計画的にお金を使う方」であるか「思いつきでお金を使う方」であるか、自分がどちらに当てはまるかを尋ねたところ、65.5%の人が「計画的にお金を使う」と回答しました。
そして、「普段から心がけて節約をしていますか?」との質問に対しては、69.5%の人が「節約している」と回答し、比較的堅実な若手社会人が多いことがわかりました。
◆どのようにして出費を抑えている?
どのように出費を抑えているかという質問(複数回答)に対しては、次の通りの結果となっています。
男性では、「食費」(79.5%)がトップで、「飲み会などの交際費」(38.4%)、「洋服や小物などのオシャレ費」(32.2%)、「水道・光熱費」(32.2%)と続き、女性では、同じく「食費」(76.6%)がトップで、「洋服や小物などのオシャレ費」(51.9%)、「飲み会などの交際費」(33.6%)の順となっています。
◆毎月いくら貯金している?
毎月の貯金額については「5~6万円未満」(12.2%)という回答が最も多く、以下、「2~3万円未満」(10.8%)、「4~5万円未満」(10.6%)、「1~2万円未満」(10.6%)と続いています。
なお、「毎月貯金はしていない」という回答は5.7%ありました。
「希望者全員の65歳までの雇用」義務化に向けた動き
◆非常に注目すべき内容
年明けの1月6日に、厚生労働省の労働政策審議会から、「今後の高年齢者雇用対策について」と題する、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等を求める内容の文書が発表されました。
今後、わが国の高齢者雇用対策はどのように動いていくのか、非常に注目すべき内容が含まれています。
◆高年齢者雇用の状況
厚生労働省が昨年10月に発表した「平成 23 年 高年齢者の雇用状況集計結果」によれば、現在の法律で定めている、高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置(「定年の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれか)を「実施済み」の企業の割合は95.7%(前年比0.9ポイント減)となっています。
また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%(同1.7ポイント増)、同じく70歳まで働ける企業の割合は17.6%(同0.5ポイント増)となっています。
◆「無年金・無収入」となる者の防止
現行の年金制度に基づき、平成25年以降は、公的年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることが決まっていることから、現状の高年齢者雇用確保措置のままでは、「無年金・無収入」となる者が生じる可能性があります。
そこで、昨年9月から、厚生労働省内に設置された専門部会において、「雇用」と「年金」が確実に接続するよう、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等について検討がなされており、今回の文書発表となりました。
◆2013年度から施行となるか?
この文書中に含まれる「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」が実施されるとなると、企業にとっては非常に大きな負担となります。
早ければ、今年の通常国会に改正法案が提出され、2013年度から施行されるとも報道されています。中小企業には猶予期間が設けられるとも言われていますが、いずれにしても、今後の動きに注目しておく必要があるでしょう。
元本割れが急増する「確定拠出年金」の問題点
◆2年半ぶりの高水準
確定拠出年金の加入者のうち、元本割れとなっている人の割合が約6割(2011年9月末時点)に上ることが明らかになりました。
半年前の約4割から急増しており、半期ベースでは2年半ぶりの高水準となっています。
◆確定拠出年金の仕組みは?
確定拠出年金は、毎月一定金額を個人ごとの口座に積み立て、その元本と運用益が老後の年金原資となる制度であり、「企業型」と「個人型」とがあります。
企業型の場合は、企業が毎月決まった拠出額を従業員の口座に振り込み、従業員自らがその運用方法を決定します。なお、2012年1月からは「マッチング拠出」の導入により、従業員による拠出も可能となっています。
個人型の場合は、自営業者や勤務先に企業年金制度がない会社員が個人で加入して掛金を拠出し、運用を行います。
◆世界的な株安が大きく影響
元本割れに陥る人が急増している背景には、世界的な株安の問題があります。
格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を手掛ける金融機関3社の協力を得て、加入期間半年以上の加入者(3社合計で約140万人。国内の加入者数全体の3割強)の運用実態を調べたところ、通算利回り(年率換算)がマイナスとなり元本割れの人は全体の57.8%となりました。
◆将来の受給額減少につながる
確定拠出年金は、確定給付年金とは異なり、企業が不足分の補填を行わないため、運用低迷が加入者の将来の受給額減少に直結します。
確定拠出年金を導入している企業では、運用利回り平均2.2%を目標として掲げていますが、マイナス1.9%(昨年9月末時点)にとどまっています。
とは言っても、税制優遇などの点でメリットが大きいこともあり、確定拠出年金に代わる有効な手段がないのも現実です。
今後についても運用低迷が予想されるため、新興国株を運用商品に追加したり、年金運用研修を強化したりするなどの対策が必要だと言われています。
うつ病などの精神障害に関する労災認定の新基準
◆迅速な審査の必要性
近年、精神障害による労災請求件数が増加し、各事案の審査に平均約8.6カ月を要していたことから、迅速な審査を行う必要性が指摘されていました。
厚生労働省では、平成22年10月から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、昨年12月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を発表しました。
◆新しい認定基準のポイントは?
この新しい認定基準のポイントは、次の通りです。
(1)わかりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
(2)いじめやセクハラのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
(3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
厚生労働省では、今後はこの新しい基準に基づいて審査の迅速化を図り、精神障害の労災請求事案については「6カ月以内」の決定を目指すとしています。
また、わかりやすくなった新基準を周知することにより、業務によって精神障害を発病した人の認定の促進も図るとしています。
◆セクハラ事案について
なお、セクハラが原因で精神障害を発病したとして労災請求がなされた場合の心理的負荷の評価については、次の事項に留意するとしています。
(1)セクハラ被害者は、「勤務を継続したい」とか、「セクハラ行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたい」との心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にはならない。
(2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申し立てていないことが、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。
通勤手当の非課税限度額の見直し
◆特例の廃止
給与所得者で、通勤距離が片道15キロメートル以上の人が自動車などを使用して通勤している場合に受ける通勤手当について、距離比例額にかかわらず運賃相当額(最高限度:月額10万円)まで非課税扱いとする特例が、廃止されました。
◆非課税限度額
自動車などで通勤している人の1カ月当たりの非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて次のように定められています。
2キロメートル未満は「全額課税」、2キロメートル以上10キロメートル未満は「4,100円」、10キロメートル以上15キロメートル未満は「6,500円」、15キロメートル以上25キロメートル未満は「11,300円」、25キロメートル以上35キロメートル未満は「16,100円」、35キロメートル以上45キロメートル未満は「20,900円」、45キロメートル以上は「24,500円」です。
◆見直しの内容
これまで、通勤距離が片道15キロメートル以上で自動車などを使用している人の距離比例額よりも、交通機関を利用した場合の1カ月当たりの合理的な運賃等の額に相当する金額(運賃相当額)が高額の場合には、特例により運賃相当額を非課税扱いとされてきました。
しかし、バランス等の観点から、平成24年1月1日以後に支払われた給与については、距離比例額までが非課税扱いとなり、運賃相当額と距離比例額の差額については給与所得として源泉所得税の課税対象となりました。
◆適用は平成24年1月支給の給与分から
今回の改正は、平成24年1月1日以降に支給する給与分から適用されますので、マイカー通勤をしているにもかかわらず運賃相当額の支給を続けた場合には、年末に不足分を徴収しなくてはならなくなる可能性があります。
給与計算事務を行う方は、対象者の通勤方法や手当がどのようになっているのかを再度確認し、間違いのないように気を付ける必要があります。
再就職氷河期! 転職活動で苦戦する40代の現状
◆「バブル入社組」の40代の現実
不景気が続く中、リストラを余儀なくされた方々は、再就職活動で苦戦を強いられているようです。特に「バブル入社組」と言われる40代は、「再就職氷河期」に戸惑っているようです。
◆広がるリストラの対象年齢
総務省発表の「2010年労働力調査」によれば、「会社倒産・事業所閉鎖」「人員整理・勧奨退職」により離職した人の数は、30代で約16万人、40代で約18万人、50代で約18万人となっています。
2000年頃までは、リストラ対象の中心は50代でしたが、最近は、20~30代にまで対象年齢が広がっているため、特に40代の方々は苦戦しているようです。
40代が転職市場で特に苦戦する理由として、次のことが挙げられています。
(1)ポスト不足により管理職への昇格が遅れがちであった。
(2)「バブル入社」でキャリアが十分に身に付いていない場合がある。
(3)体力面や環境適応能力面で20~30代の若手に負けてしまう。
◆どのぐらいで再就職が決まっているか
40代は、子供の教育費などがかさむことが多いため、「とにかく早く再就職先を決めたい」という思いが強いようです。
しかし、離職後「半年以内」に再就職先が決まる人はわずか3割程度で、「1年以内」に決まる人が9割程度といった状況のようです。
◆再就職活動中に必要な心構え
就職活動が長期化すると、家庭内・夫婦仲が険悪になるケースが多く、厚生労働省の機関である人材銀行の専門員は、「家族も心配しているのですから、求職活動の状況を隠さずに話すなど、コミュニケーションを大切にしたほうがよいでしょう。平日はいつでも面接に応じられるように準備を行い、週末はすべてを忘れて過ごすなどのリズムも大切です」と助言しています。
また、別の専門家は、「グローバル化などの環境変化にもアンテナを張りめぐらしつつ、自分のキャリアを微調整し、必要な能力を高めていくような仕事習慣や生活習慣を維持していけば、リストラに強くなれます」と話しています。
「人材への投資」を「企業の収益」に
◆好業績企業の秘訣は?
長引く不況や円高など、企業を取り巻く環境が非常に厳しい中、好業績を維持している企業の秘訣は「人材の育成」や「人材の上手な活用」にあるようです。
新聞報道によれば、2012年3月期まで5期連続(5期以上も含む)で経常増益を予想する3月期決算の上場企業を調査したところ、小売業やネット関連事業など、内需型企業を中心に32社が並んだそうです。
事業が国内中心であるため海外景気の影響を受けにくいメリットもありますが、それだけではなく、これら好業績企業の多くが、「待遇」や「人づくり」の面で独自の手法を確立し、人材活性化を果たしているようです。
◆パート社員の戦力化を果たしたスーパー
関東を中心に営業展開する食品スーパーでは、1万人以上いるパート社員の戦力化を図ったことが、企業成長の原動力となったそうです。
例えば、従来は正社員が行っていた業務(価格設定、商品発注など)をパート社員に移管し、また、地域トップ水準の給料を確保してパート社員の士気を高めたそうです。これにより、店舗に常駐する正社員を削減することができたとのことです。
なお、上記の連続増益が見込まれる32社の過去5年の人件費をみると、毎年平均で2.9%増加しており、全上場企業の平均で0.8%減っているのとは対照的に、人材投資・待遇確保に意欲的であることがわかりました。
◆企業にとっての課題は?
人材への投資を企業の収益に繋げる仕組みは企業によって様々ですが、ある専門家は「仕事を通じて自らが成長できる道筋を企業が示すことが人材活性化には不可欠である」と語っています。
不景気による市場の縮小を乗り切るため、人件費削減で利益を確保するケースもありますが、収入増を伴わなければ持続的な成長を望むことはできません。
限られた経営資源をもとに人材に投資し、次の収益拡大に繋げられるかが、これからの企業にとっての課題となっているようです。
◆ワークライフバランスの実現に向けて
近年、企業にとって「ワークライフバランス」(仕事と生活の調和)の実現が大きな課題となっていますが、厚生労働省では、昨年12月に「仕事と生活の調和の実現に向けた取組事例」と題する、「所定外労働時間の削減」や「年次有給休暇の取得促進」などに関する企業(主に中小企業)の取組事例を公表しました。
ここでは、この取組事例の中から、所定外労働時間の削減に関する事例をご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
◆所定外労働時間の削減の事例
(1)所定の曜日を「ノー残業デー」とし、所定終業時刻の30分後に強制的に施錠するなど、取組を徹底した。(建設業)
(2)管理者・従業員双方による業務計画等の見直しを行い、時間外労働の必要性の有無の確認、事前の時間外労働申請の徹底を周知した。(建設業)
(3)業務改善に伴う超過勤務時間の減少による賃金の低下に対処するため、賃金の改定を行うとともに、一定の限度時間を超えた超過勤務があった従業員に対して、上司とともに「超過原因」を分析し、「改善方法」を考えさせるようにした。(製造業)
(4)業務に必要な知識を電子掲示板で可視化することで、業務に関する情報の共有化を図り、業務分担による情報の偏りをなくし、所定外労働の削減に努めた。(情報通信業)
(5)終業時刻の前後にまたがって開催していた定例の会議の所要時間を2時間から1時間半に短縮し、開始時刻も繰り上げ、終業時刻内に会議が終了するよう改善したほか、子育て中の従業員に時間外労働をさせないために午後4時から勤務する短時間勤務者を採用した。(卸売・小売業)
(6)所定外労働時間の状況と削減目標について、社長以下管理職のミーティングや朝礼にて報告を行い、部署ごとに上長から従業員に伝えるようにした。(卸売・小売業)
(7)各従業員の業務量を平準化させるため、業務量の多い従業員に対して、他の従業員を応援に向かわせるなどして、業務分担や人員配置の両面から所定外労働を必要としない業務体制になるように改善し、残業時間削減に結びつけた。(医療・福祉)
(8)残業を行う場合、所属長の承認をもらう申請書提出制度を導入したところ、時間外労働の集中部署、職種等が明確になり、業務配分や要員の見直しを的確に行うことができ、時間外労働の削減へとつながった。(医療・福祉)
「うつ病」をめぐる最近の裁判例
◆建設会社社員の躁うつ病発症(11月9日広島地裁判決)
建設会社勤務の男性は、1995年10月に、勤務する会社が他の建設会社と共同で受注した発電所の桟橋工事の工事事務所長に就任しましたが、仕事のストレスから、1997年に2度にわたり自殺(未遂)を図りました。その後、躁うつ病と診断されました。
この男性は、労働基準監督署が休業補償給付を支給しなかったのは不当であるとして、不支給処分の取消しを広島地裁に求めていました。
判決で裁判長は「それまでに精神科への受診歴もないことを考えると、病気と業務との因果関係を肯定できる」とし、男性の主張を認め、国に処分の取消しを命じました。
◆通信会社社員のうつ病による自殺(12月14日名古屋地裁判決)
音響機器メーカーから出向して通信会社の業務に従事していた男性社員は、1994年11月頃にうつ病を発症しました。そして、2001年4月に関連会社に移籍して物流部門に異動した直後(2002年12月)に自殺しました。
この男性の妻は、夫が自殺したのは過労が原因で労災であるとして、遺族補償年金の不支給処分取消しを名古屋地裁に求めていました。
判決で裁判長は、専門知識のない携帯電話の基地局開局業務で月100時間以上の時間外労働をしたとして「質的にも量的にも大きな負担で、うつ病を発症させる危険性を十分有していた」とし、業務上のストレスが続き、約8年間うつ病は一度も治癒することなく、症状の悪化を繰り返し次第に慢性化したと判断して、男性の妻の主張を全面的に認め、国の処分を取り消しました。
◆小学校教諭のうつ病による自殺(12月15日静岡地裁判決)
静岡県内にある市立小学校教諭だった女性は、2004年に教員として採用され担任を受け持っていましたが、児童の問題行動(授業中に暴れる等)に悩み、約2カ月でうつ病を発症しました。そして、同年の9月下旬に自殺しました。
この女性の両親は、娘が自殺したのは仕事上のストレスによるうつ病が原因であると主張し、「公務災害ではない」との判断を下した地方公務員災害補償基金(静岡支部)の認定を取り消すよう静岡地裁に求めていました。
判決で裁判長は、「採用直後に担任したクラスで児童の問題行動が相次ぎ、強い心理的負荷を受けた」と指摘し、同僚からの適切な支援も得られず精神状態を悪化させたのが自殺の原因であると判断し、両親の訴えを認めて基金の認定を取り消しました。
若手社会人の「節約」に関する意識は?
◆「節約」をどのように考えているか?
株式会社マイナビでは、昨年11月に「若手社会人の消費活動調査」を初めて実施し、その結果を発表しました。最近の若手の社会人が「節約」についてどのように考えているのか、興味深い内容となっています。
なお、調査対象は、同社のポータルサイト(マイナビニュース)の会員となっている入社1~5年目の社会人548人(男性:230人、女性:318人)です。
◆給料をどのように使う?
まず、給料の使い方に関して、「計画的にお金を使う方」であるか「思いつきでお金を使う方」であるか、自分がどちらに当てはまるかを尋ねたところ、65.5%の人が「計画的にお金を使う」と回答しました。
そして、「普段から心がけて節約をしていますか?」との質問に対しては、69.5%の人が「節約している」と回答し、比較的堅実な若手社会人が多いことがわかりました。
◆どのようにして出費を抑えている?
どのように出費を抑えているかという質問(複数回答)に対しては、次の通りの結果となっています。
男性では、「食費」(79.5%)がトップで、「飲み会などの交際費」(38.4%)、「洋服や小物などのオシャレ費」(32.2%)、「水道・光熱費」(32.2%)と続き、女性では、同じく「食費」(76.6%)がトップで、「洋服や小物などのオシャレ費」(51.9%)、「飲み会などの交際費」(33.6%)の順となっています。
◆毎月いくら貯金している?
毎月の貯金額については「5~6万円未満」(12.2%)という回答が最も多く、以下、「2~3万円未満」(10.8%)、「4~5万円未満」(10.6%)、「1~2万円未満」(10.6%)と続いています。
なお、「毎月貯金はしていない」という回答は5.7%ありました。
「希望者全員の65歳までの雇用」義務化に向けた動き
◆非常に注目すべき内容
年明けの1月6日に、厚生労働省の労働政策審議会から、「今後の高年齢者雇用対策について」と題する、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等を求める内容の文書が発表されました。
今後、わが国の高齢者雇用対策はどのように動いていくのか、非常に注目すべき内容が含まれています。
◆高年齢者雇用の状況
厚生労働省が昨年10月に発表した「平成 23 年 高年齢者の雇用状況集計結果」によれば、現在の法律で定めている、高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置(「定年の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれか)を「実施済み」の企業の割合は95.7%(前年比0.9ポイント減)となっています。
また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%(同1.7ポイント増)、同じく70歳まで働ける企業の割合は17.6%(同0.5ポイント増)となっています。
◆「無年金・無収入」となる者の防止
現行の年金制度に基づき、平成25年以降は、公的年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることが決まっていることから、現状の高年齢者雇用確保措置のままでは、「無年金・無収入」となる者が生じる可能性があります。
そこで、昨年9月から、厚生労働省内に設置された専門部会において、「雇用」と「年金」が確実に接続するよう、希望者全員の65歳までの雇用確保措置等について検討がなされており、今回の文書発表となりました。
◆2013年度から施行となるか?
この文書中に含まれる「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」が実施されるとなると、企業にとっては非常に大きな負担となります。
早ければ、今年の通常国会に改正法案が提出され、2013年度から施行されるとも報道されています。中小企業には猶予期間が設けられるとも言われていますが、いずれにしても、今後の動きに注目しておく必要があるでしょう。
元本割れが急増する「確定拠出年金」の問題点
◆2年半ぶりの高水準
確定拠出年金の加入者のうち、元本割れとなっている人の割合が約6割(2011年9月末時点)に上ることが明らかになりました。
半年前の約4割から急増しており、半期ベースでは2年半ぶりの高水準となっています。
◆確定拠出年金の仕組みは?
確定拠出年金は、毎月一定金額を個人ごとの口座に積み立て、その元本と運用益が老後の年金原資となる制度であり、「企業型」と「個人型」とがあります。
企業型の場合は、企業が毎月決まった拠出額を従業員の口座に振り込み、従業員自らがその運用方法を決定します。なお、2012年1月からは「マッチング拠出」の導入により、従業員による拠出も可能となっています。
個人型の場合は、自営業者や勤務先に企業年金制度がない会社員が個人で加入して掛金を拠出し、運用を行います。
◆世界的な株安が大きく影響
元本割れに陥る人が急増している背景には、世界的な株安の問題があります。
格付投資情報センター(R&I)が、確定拠出年金の運営管理を手掛ける金融機関3社の協力を得て、加入期間半年以上の加入者(3社合計で約140万人。国内の加入者数全体の3割強)の運用実態を調べたところ、通算利回り(年率換算)がマイナスとなり元本割れの人は全体の57.8%となりました。
◆将来の受給額減少につながる
確定拠出年金は、確定給付年金とは異なり、企業が不足分の補填を行わないため、運用低迷が加入者の将来の受給額減少に直結します。
確定拠出年金を導入している企業では、運用利回り平均2.2%を目標として掲げていますが、マイナス1.9%(昨年9月末時点)にとどまっています。
とは言っても、税制優遇などの点でメリットが大きいこともあり、確定拠出年金に代わる有効な手段がないのも現実です。
今後についても運用低迷が予想されるため、新興国株を運用商品に追加したり、年金運用研修を強化したりするなどの対策が必要だと言われています。
うつ病などの精神障害に関する労災認定の新基準
◆迅速な審査の必要性
近年、精神障害による労災請求件数が増加し、各事案の審査に平均約8.6カ月を要していたことから、迅速な審査を行う必要性が指摘されていました。
厚生労働省では、平成22年10月から「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催し、昨年12月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を発表しました。
◆新しい認定基準のポイントは?
この新しい認定基準のポイントは、次の通りです。
(1)わかりやすい心理的負荷評価表(ストレスの強度の評価表)を定めた。
(2)いじめやセクハラのように出来事が繰り返されるものについては、その開始時からのすべての行為を対象として心理的負荷を評価することにした。
(3)これまですべての事案について必要としていた精神科医の合議による判定を、判断が難しい事案のみに限定した。
厚生労働省では、今後はこの新しい基準に基づいて審査の迅速化を図り、精神障害の労災請求事案については「6カ月以内」の決定を目指すとしています。
また、わかりやすくなった新基準を周知することにより、業務によって精神障害を発病した人の認定の促進も図るとしています。
◆セクハラ事案について
なお、セクハラが原因で精神障害を発病したとして労災請求がなされた場合の心理的負荷の評価については、次の事項に留意するとしています。
(1)セクハラ被害者は、「勤務を継続したい」とか、「セクハラ行為者からのセクハラの被害をできるだけ軽くしたい」との心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクハラを受けたことを単純に否定する理由にはならない。
(2)被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(3)被害者は、医療機関でもセクハラを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクハラの事実を申し立てていないことが、心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない。
(4)行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。
通勤手当の非課税限度額の見直し
◆特例の廃止
給与所得者で、通勤距離が片道15キロメートル以上の人が自動車などを使用して通勤している場合に受ける通勤手当について、距離比例額にかかわらず運賃相当額(最高限度:月額10万円)まで非課税扱いとする特例が、廃止されました。
◆非課税限度額
自動車などで通勤している人の1カ月当たりの非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて次のように定められています。
2キロメートル未満は「全額課税」、2キロメートル以上10キロメートル未満は「4,100円」、10キロメートル以上15キロメートル未満は「6,500円」、15キロメートル以上25キロメートル未満は「11,300円」、25キロメートル以上35キロメートル未満は「16,100円」、35キロメートル以上45キロメートル未満は「20,900円」、45キロメートル以上は「24,500円」です。
◆見直しの内容
これまで、通勤距離が片道15キロメートル以上で自動車などを使用している人の距離比例額よりも、交通機関を利用した場合の1カ月当たりの合理的な運賃等の額に相当する金額(運賃相当額)が高額の場合には、特例により運賃相当額を非課税扱いとされてきました。
しかし、バランス等の観点から、平成24年1月1日以後に支払われた給与については、距離比例額までが非課税扱いとなり、運賃相当額と距離比例額の差額については給与所得として源泉所得税の課税対象となりました。
◆適用は平成24年1月支給の給与分から
今回の改正は、平成24年1月1日以降に支給する給与分から適用されますので、マイカー通勤をしているにもかかわらず運賃相当額の支給を続けた場合には、年末に不足分を徴収しなくてはならなくなる可能性があります。
給与計算事務を行う方は、対象者の通勤方法や手当がどのようになっているのかを再度確認し、間違いのないように気を付ける必要があります。
再就職氷河期! 転職活動で苦戦する40代の現状
◆「バブル入社組」の40代の現実
不景気が続く中、リストラを余儀なくされた方々は、再就職活動で苦戦を強いられているようです。特に「バブル入社組」と言われる40代は、「再就職氷河期」に戸惑っているようです。
◆広がるリストラの対象年齢
総務省発表の「2010年労働力調査」によれば、「会社倒産・事業所閉鎖」「人員整理・勧奨退職」により離職した人の数は、30代で約16万人、40代で約18万人、50代で約18万人となっています。
2000年頃までは、リストラ対象の中心は50代でしたが、最近は、20~30代にまで対象年齢が広がっているため、特に40代の方々は苦戦しているようです。
40代が転職市場で特に苦戦する理由として、次のことが挙げられています。
(1)ポスト不足により管理職への昇格が遅れがちであった。
(2)「バブル入社」でキャリアが十分に身に付いていない場合がある。
(3)体力面や環境適応能力面で20~30代の若手に負けてしまう。
◆どのぐらいで再就職が決まっているか
40代は、子供の教育費などがかさむことが多いため、「とにかく早く再就職先を決めたい」という思いが強いようです。
しかし、離職後「半年以内」に再就職先が決まる人はわずか3割程度で、「1年以内」に決まる人が9割程度といった状況のようです。
◆再就職活動中に必要な心構え
就職活動が長期化すると、家庭内・夫婦仲が険悪になるケースが多く、厚生労働省の機関である人材銀行の専門員は、「家族も心配しているのですから、求職活動の状況を隠さずに話すなど、コミュニケーションを大切にしたほうがよいでしょう。平日はいつでも面接に応じられるように準備を行い、週末はすべてを忘れて過ごすなどのリズムも大切です」と助言しています。
また、別の専門家は、「グローバル化などの環境変化にもアンテナを張りめぐらしつつ、自分のキャリアを微調整し、必要な能力を高めていくような仕事習慣や生活習慣を維持していけば、リストラに強くなれます」と話しています。
「人材への投資」を「企業の収益」に
◆好業績企業の秘訣は?
長引く不況や円高など、企業を取り巻く環境が非常に厳しい中、好業績を維持している企業の秘訣は「人材の育成」や「人材の上手な活用」にあるようです。
新聞報道によれば、2012年3月期まで5期連続(5期以上も含む)で経常増益を予想する3月期決算の上場企業を調査したところ、小売業やネット関連事業など、内需型企業を中心に32社が並んだそうです。
事業が国内中心であるため海外景気の影響を受けにくいメリットもありますが、それだけではなく、これら好業績企業の多くが、「待遇」や「人づくり」の面で独自の手法を確立し、人材活性化を果たしているようです。
◆パート社員の戦力化を果たしたスーパー
関東を中心に営業展開する食品スーパーでは、1万人以上いるパート社員の戦力化を図ったことが、企業成長の原動力となったそうです。
例えば、従来は正社員が行っていた業務(価格設定、商品発注など)をパート社員に移管し、また、地域トップ水準の給料を確保してパート社員の士気を高めたそうです。これにより、店舗に常駐する正社員を削減することができたとのことです。
なお、上記の連続増益が見込まれる32社の過去5年の人件費をみると、毎年平均で2.9%増加しており、全上場企業の平均で0.8%減っているのとは対照的に、人材投資・待遇確保に意欲的であることがわかりました。
◆企業にとっての課題は?
人材への投資を企業の収益に繋げる仕組みは企業によって様々ですが、ある専門家は「仕事を通じて自らが成長できる道筋を企業が示すことが人材活性化には不可欠である」と語っています。
不景気による市場の縮小を乗り切るため、人件費削減で利益を確保するケースもありますが、収入増を伴わなければ持続的な成長を望むことはできません。
限られた経営資源をもとに人材に投資し、次の収益拡大に繋げられるかが、これからの企業にとっての課題となっているようです。
2012/01/01
平成24年1月の事務所便り
「過労死」をめぐる労災認定事例・裁判例
◆過労死の理学療法士について労災認定
昨年10月に急性心不全で亡くなった私立病院勤務の理学療法士の男性(当時23歳)について、横浜西労働基準監督署が過労死の労災認定の決定を行いました(10月4日付)。
遺族側代理人の弁護士によれば、この男性は2010年4月から病院で働き始め、患者の治療計画作成・治療・リハビリなどの業務を担当していましたが、担当患者が増えたことに加えて、研究発表の準備等も行っていたことから、同年9月以降は非常に多忙となっていました。
男性は、早朝・深夜の時間帯に自宅等で研究発表のための準備を行っていましたが、病院側は「勤務ではなく自己研鑽」であるとして、その時間分の残業代は支払っていなかったそうです。
労基署では、研究発表の準備を労働時間として算定はしませんでしたが、これらの時間が男性の重い負担になったと判断し、労災認定を行いました。
◆過労死で労災認定を受けた従業員の企業名公表
大阪地裁は、過労死などにより従業員が労災認定を受けた企業の名称を公開しないとした大阪労働局の決定の適否が争われた行政訴訟において、労働局の決定を取り消す判決を下しました(11月10日)。
同地裁は、「企業名を公開したとしても、社員のプライバシーや企業の信用を失うおそれはなく、不開示は違法である」と判断したものです。
原告側代理人の弁護団によれば、企業名の情報開示を認めた判決は初めてであり、「企業側が社会的監視にさらされることにより、過労死をなくす努力をより強く求められることになる。健康管理態勢の改善につながる画期的な判決である」として、高く評価しているようです。
敗訴した労働局側では、「労災を発生させたことを広く知られるのを恐れた企業側が、就労実態調査に協力的でなくなる」としていましたが、その主張は退けられました。
未払い残業代をめぐる裁判例と未払い残業の現状
◆裁量労働制と未払い残業代
コンピューター会社でSEとして働いていた男性が、裁量労働制を適用されていたものの、実際には裁量外の労働を行っていたとして、勤務していた会社に対して未払い残業代など(約1,600万円)を求め、京都地裁に提訴していましたが、同地裁は、会社側に約1,140万円の支払いを命じる判決を下しました(10月31日)。
判決理由で裁判官は、裁量労働制が適用されるSEであったが、ほとんど裁量が認められないプログラミングや営業活動等に従事していたと判断して、「裁量労働制の要件を満たしているとは認められない」としました。
なお、この男性は2002年にこのコンピューター会社に就職し、2009年3月に退職しましたが、退職前の5カ月間は、月に約80~140時間の残業をしていたそうです。
◆双方代理人弁護士のコメント
男性側の代理人弁護士は「裁量労働制を採用していたのに適用せず、残業が認められたのは珍しいケース」とし、会社側の代理人弁護士は「システムエンジニアの職務の実態を裁判所が理解していない。主張が受け入れられず残念」としています。
◆割増賃金の不払い状況
厚生労働省から、全国の労働基準監督署が取りまとめた割増賃金の不払いに関する状況が発表されました。
平成22年4月から平成23年3月までの1年間の間に、残業に対する割増賃金が不払いになっているとして労働基準法違反で是正指導を行った事案のうち、1企業当たり100万円以上の割増賃金が支払われた事案をまとめたものです。
◆1社で3億円超の支払いも
この取りまとめによれば、是正企業数は1,386企業(前年度比 165企業増)、支払われた割増賃金合計額は123億2,358万円(同7億2,060万円増)、対象労働者数は11万5,231人(同3,342人増)と、いずれも増加しています。
なお、支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり889万円(労働者1人当たり11万円)で、1企業での支払額については、上位から、3億9,409万円(旅館業)、3億8,546万円(卸売業)、3億5,700万円(電気通信工事業)となっています。
2011年の仕事観を表す漢字は「耐」に決定
◆1,000人の会社員が回答
株式会社インテリジェンスから、「2011年の仕事観を表す漢字」に関する調査(25~39歳のビジネスパーソン1,000人が回答)の結果が発表されました。
以下の結果をご覧になって、皆さんも同じように感じられるでしょうか?
◆「学」「変」「考」が新たにランクイン
上記アンケートによるベスト10は、次の通りの結果となりました。なお、カッコ内の順位は前年のものです。
1位「耐」(4位)
2位「楽」(1位)
3位「忍」(2位)
4位「苦」(3位)
5位「忙」(7位)
6位「生」(5位)
7位「学」(圏外)
8位「変」(圏外)
9位「努」(10位)
10位「考」(圏外)
どちらかと言えばマイナスイメージである「耐」が前年の4位から1位に、「忙」が前年の7位から5位に上昇しました。また、「学」「変」「考」が圏外から新たにランクインしています。
◆メーカーは「忙」、建設・不動産は「楽」
業種別に見てみると、メーカーでの1位は「忙」であり、「震災、節電、円高、タイ洪水など、情勢の変化に合わせて自身の仕事も変化したため、忙しい1年だった」といった声が多かったそうです。
建設・不動産での1位は「楽」であり、「不況で仕事が少なく楽だった」という意見が目立ったそうです。しかし、「今後は被災地復興のために、建設業では仕事が増えそう」といった声も見られたようです。
会社員の「転職意識」はどうなっている?
◆意識調査の結果から
株式会社日経HR(日本経済新聞社の子会社)では、10月に「転職意識」に関するアンケート調査(1,442 人が回答)を実施し、先日、その結果が発表されました。
転職したい理由、転職で重視することなどが明らかになっており、企業にとっても興味深い結果となっています。
◆転職を考えた理由
まず、「なぜ転職したいと思ったのですか?」との質問に対しての回答では、「年収を上げたい」(39%)がトップとなりました。
別の調査(株式会社インテリジェンス)によれば、転職希望者の年収は、前年比で5万円減(平均449万円)となったとのデータもあります。減少は4年連続とのことです。
なお、以下、「会社の先行きが厳しく不安なため」(37%)、「会社の体質が自分に合わない」(32%)、「上司、同僚など人間関係の問題」(14%)、「職種を変えたい」(13%)、「業種を変えたい」(12%)が続いています。
◆転職時の最優先項目
「転職先を選ぶ際の最優先項目はどれですか?」との質問に対しては、「仕事内容」(55%)がダントツの1位となり、以下、「年収」(13%)、「勤務地」(9%)、「自身の成長」(7%)と続いています。
◆転職時の不安・転職時に知りたいこと
「転職するにあたり、不安なこと・知りたいことはありますか?」との質問に対しては、「自分の年齢に合った求人があるか」(66%)、「自分の経験が生かせる求人があるか」(63%)との回答が多く寄せられました。
以下では、「自分の経験が一般と比較して十分なものか」(33%)、「自分の年齢に合った年収がいくらか」(33%)、「キャリアアップが可能か」(29%)が続いています。
国民年金制度に関する変更点
◆第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合の取扱い
最近、世間を騒がせている「専業主婦の年金」の問題ですが、今年8月10日から、第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合の取扱いが変更されています。
この取扱い変更の対象者は、「第3号被保険者として記録されている期間について別の年金記録が判明した方」です。
これまで、第3号被保険者期間中に第3号被保険者以外の期間が判明した場合に、その後の第3号被保険者期間は、改めて届けが必要とされ、届出が遅れると、届出日以降に第3号被保険者期間とされ、年金が受取れない場合や減額される場合がありました。
この8月10日からの変更では、これらの方について、改めて新たに届けを行うことにより、本来の年金を受け取ることができるようになりました。
◆国民年金の後納保険料の納付
平成24年の秋頃から、「国民年金の後納保険料の納付」がスタートする予定です。
これまで、納め忘れた国民年金保険料を遡って支払うことのできる期間(納付可能期間)は過去「2年間」でしたが、後納保険料の納付では過去「10年間」に延長されます。
なお、後納保険料の納付ができる期間は、後納保険料の納付ができるようになってから3年間の予定とされています。
後納保険料の納付には、事前の申込みが必要となります。後納保険料の納付がスタートしたら、お近くの年金事務所に申し込む必要があります。
なお、申出日の属する年度から起算して3年度を越える期間の保険料を納付する際には、保険料額に「加算金」がかかりますので、ご注意ください。
二国間で締結する「社会保障協定」とは?
◆日本とブラジルが協定締結
先日、日本政府とブラジル政府が、「社会保障協定」を締結し、来年3月1日に発効させることで合意(公文を交換)したとの報道がありました。
ブラジルの在留邦人数(平成22年10月1日現在)は5万8,374名であり、多くの人に影響を与えると言われていますが、この「社会保障協定」とは、どのようなものなのでしょうか。
◆社会保障協定の目的は?
この社会保障協定の目的は、「二重加入の防止」と「保険料掛捨ての防止(年金加入期間の通算)」です。
近年、日本の事業所から海外にある支店や駐在員事務所などに派遣される日本人が増加していますが、このような海外に派遣される人については、年金制度をはじめとする日本の社会保険制度と就労地である外国の社会保険制度にそれぞれ加入し、両国の制度の保険料を負担しなければならないことがあります。これが「二重加入」の問題です。
また、派遣期間が比較的短い場合、外国の年金制度の加入期間が短いことから、年金が受けられないなど、外国で納めた保険料が結果的に掛け捨てになってしまうこともあります。これが「保険料掛捨ての問題」です。
上記のような問題を解決するため、二国間で社会保障協定を締結することにより、年金制度等の二重加入を防止するとともに、外国の年金制度の加入期間を取り入れ、年金が受けられるようにするものです。
◆ブラジルで13カ国目
現在、日本と社会保障協定を締結し、すでに発効済みの国は、ドイツ、英国、韓国、米国、ベルギー、フランス、カナダ、豪州、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランドの12カ国で、ブラジルが13カ国目になります。
なお、多くの日本人が駐在している中国とは、現時点で協定を締結しておらず、今後は保険料の二重払いの状態が生じることになりそうです。
日本政府は、協定締結に向けて10月中旬に中国政府と交渉を開始したそうです。
社員の「世代間ギャップ」をどう埋める?
◆世代間コミュニケーション調査
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、今年1月に「世代間コミュニケーション」についての企業調査を行い、先頃その結果が発表されました。
対象を3世代に分類し、それぞれ世代の入社時点での印象を企業に尋ねたところ、キャリア意識などの面で違いが見られました。
◆世代間ギャップの要因は?
バブル期までに採用された世代は、企業から、「組織が求める役割を果たそうとする意識が強い」「失敗や困難があってもやり遂げようとする意思が強い」などと見られているようです。
逆に、1990~2000年代に採用された世代では、それらの印象が弱くなり、「自分の取り組みたい仕事へのこだわりが強い」「失敗したり困難な仕事に直面したりすると自信を失う」などと見られています。
入社時の資質がそのまま残るとは限りませんが、上の世代は自分が若かった時と比べがちであり、それが世代間ギャップの一因ともなっているようです。
◆働く目的は何か?
高度経済成長で豊かになった時代に生まれ育った団塊ジュニア世代以降は、「食べるために働く」意識が希薄だと言われます。働く目的は「自分の能力や個性を生かすため」であり、「給料をもらうために辛抱しろ」といった考えは通用しません。
しかし、下の世代からみれば、会社への依存体質が強くありがちな今の40代に対して不満があるようです。
◆部下・後輩に歩み寄ることも必要
若手社員は「自己成長」には強い関心があるため、先輩・上司はその特質を知り、どのように接すれば良いパフォーマンスを引き出せるかを考える必要があるようです。
職場環境は常に変化し、不景気で人員も少ない中で効率を上げることが求められており、コミュニケーションに割ける時間は確実に減少しています。管理職には、自分から部下・後輩に歩み寄り、彼らに合わせる役割も求められています。
女性管理職を育成する「メンター制度」の活用
◆今注目される「メンター制度」
相談できる目上の人がいるかどうかは、長い会社員人生にとって大きな影響を与えます。
この相談役のことを「メンター」と呼びますが、このメンターを活用した制度が、女性管理職育成のために改めて注目されているようです。
◆どのような制度なのか?
メンターとは、相談者に対して自分の人生経験をもとにキャリア形成の助言を行い、精神的な支柱となる人を指します。人事評価を行う直接の上司とは異なり、「斜め上」の立場から支援を行います。
一般的に、相談者の希望を聞きながら会社の人事部等がメンターの紹介を行い、面談は月1回1時間ほど、半年から1年で区切るといったケースが多いようです。
メンター制度は1990年代後半から米国系企業を中心に広まりましたが、ここ数年においては、女性社員の育成に力を入れる日本の企業が注目しているようです。
◆いかに相談相手を見つけるか
日本の企業では、経営幹部の中心が男性であることが多く、女性管理職が社内で心を許せる相談相手を見つけることは難しいという事情があります。
ある大手企業では、男性役員から女性管理職、女性管理職から女性総合職といったような「メンターチェーン制」というものを採用しているそうです。
男性役員からは、取引先との接し方などを教えられ、「目標が高まり今後のキャリアプランが見えてきた」と話す女性管理職もいるとのことです。
◆運用には難しさも
一方、「メンター制度」の運用には難しさもあります。
「女性の課題を理解する男性メンターは限られる」「相談側の問題意識が明確でないと続かない」といった声が人事担当者から挙がっています。また、「単なる悩み相談で終わらないように、キャリア相談か昇進支援かといった目的を明確にする必要がある」という指摘もあります
上記のような点が、今後の課題と言えるでしょう。
「受動喫煙防止対策助成金」の創設
◆喫煙室の設置等に対する助成金
今年10月1日から、旅館や飲食店等の中小企業事業主が実施する受動喫煙対策の取組み(喫煙室の設置等)に対しての助成金が創設されています。
この助成金は、一般の事業場と同様に、旅館や飲食店等においても換気等の措置だけでなく受動喫煙防止対策としてより効果的と考えられる喫煙室の設置による空間分煙の促進を図るため創設されたものです。
◆支給対象となる事業主は?
以下のすべての要件を満たす事業主が対象となります。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。
(2)旅館、料理店または飲食店を営む以下の中小企業事業主であること。
・旅館業:常時雇用する労働者100人以下または資本金の規模が5,000万円以下
・料理店または飲食店:常時雇用する労働者が50人以下または資本金の規模が5,000万円以下
(3)(4)に規定する措置を記載した計画を作成し、当該計画を都道府県労働局長に届け出ていること。
(4)室内またはこれに準ずる環境において、客が喫煙できることを含めたサービスの提供をする場合、(3)の計画に基づき、一定の基準を満たす喫煙室を設置するなどの措置を講じたこと。
(5)(4)に規定する措置の実施の状況を明らかにする書類を整備していること。
◆助成内容は?
助成額は、工事、設備費、備品費および機械設置費等、喫煙室の設置等に係る費用の4分の1(上限200万円)で、支給単位は事業場単位、1事業場当たり1回のみです。
助成金を受けようとする中小企業事業主は、「受動喫煙防止対策助成金関係工事計画」を策定し、これを事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出し、あらかじめ認定を受ける必要があります。
受動喫煙による健康への悪影響から非喫煙者を守るルールは、今後より一層強化されることが予想されます。対象となる企業では、この機会に助成金を活用し、分煙体制の整備を検討してみてはいかがでしょうか。
中国における外国企業・外国人からの社会保険料徴収
◆二重払いとなる日本企業
中国で新たな社会保険法が施行され、中国で働く外国企業・外国人を対象とした社会保険料の強制加入手続が一部で始まっているようです。
駐在員1人当たりの負担は年間約80万円と試算されており、日本国内でも社会保険料を支払っている日本企業は二重払いを余儀なくされます。
◆中国の社会保険の種類
中国の社会保険制度は「5険」と言われ、「養老保険」「医療保険」「失業保険」「労災保険」「出産保険」があり、毎月の収入をベースに保険料が算定されます。
日本からの駐在員が多い北京市の場合、40%台前半(会社・個人負担の合計)の保険料率になるようです。
◆徴収の対象と上限
ビザを所有する外国人で、営業をしていない駐在員事務所も含まれます。収入に対する負担率で徴収額が決まりますが、基準となる収入の定義は「日本での支給分を含めた給与の合計」とされます。
◆対応にバラつきも
中国では、徴収主体が地方政府にあるため、市によって負担が異なります。日系企業が多く集まる上海市、広州市、重慶市などが静観するなか、企業優遇策を撤廃する方向の大連市などでは、負担が重くなるようです。
このように地域によって対応にバラつきがあることから、今後は、負担の軽い地域を駐在先として選択することも考えられます。
◆望まれる社会保障協定の早期締結
日本政府は、保険料の二重払いを回避するため、中国政府との社会保障協定締結交渉を始めています。
協定が締結されれば、駐在期間が短い場合には駐在国における社会保険料を負担しなくても済むなど、負担減となります。
しかし、交渉妥結には数年かかるとも言われており、この間は二重払いの状態となります。