2013/05/01

5月の事務所便り

「改正高年齢者雇用安定法」施行に伴う企業への指導内容

 ◆役所はどのような指導を行うのか?
 改正高年齢者雇用安定法の施行(4月1日)に伴い、厚生労働省は、同日付けで「高年齢者雇用対策の推進について」という通達を出しました。この通達は、厚生労働省が各都道府県労働局長宛に出したものであり、労働局は、今後この通達に基づいて改正法を運用していくものと思われます。
 通達の内容は、「Ⅰ 高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について」、「Ⅱ 高年齢者等の再就職の促進援助等について」の2つが柱となっていますが、ここでは「Ⅰ」の内容について見ていきます。

 ◆「60歳未満の定年の定めをしている企業」に対する指導
 通達では、「指導の対象となる企業の事業主に対しては、(中略)60 歳を下回る定年は民事上無効であり、事業主は当該定年を根拠に労働者を退職させることはできないと解されるものであることを内容とする文書を必要に応じて発出するとともに、企業を訪問する等により、早急に定年引上げの取組みを図るよう強力な指導をすること。なお、改善が図られるまでは、状況を確実に把握し、継続して指導を実施すること」としています。

 ◆「高年齢者雇用確保措置の実施」に係る指導
 次に、「すべての企業において高年齢者雇用確保措置が講じられるよう、周知の徹底や企業の実情に応じた指導等の積極的な取組とあわせて、企業が賃金・人事処遇制度の見直し等を行う場合において高年齢者雇用アドバイザーが専門的・技術的支援を有効に行えるよう、公共職業安定所は、適切な役割分担の下、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構と密接な連携を図ることとしており、こうした方針に基づき、高年齢者雇用確保措置に係る指導等を行うこととする」としています。

 ◆「法違反をしている企業」に対する指導
 また、「法の規定に違反している企業については、個別指導を行うことを原則とする。高年齢者雇用確保措置が未実施となっている 31 人以上規模企業に対しては、これまでの指導等の状況も踏まえつつ、個別指導を実施する」とし、「 30 人以下規模の小規模企業に対する指導は、 原則として、公共職業安定所が行う各種説明会等の場を活用した集団指導や、事業主団体の実施する会合等企業が広く集まる場を捉えることによる周知等を実施するとともに、参加した企業からの疑義や要請に対して、必要な指導・援助を行う」などとしています。


高年齢者雇用に関連した助成金の変更内容

 ◆法改正にあわせた変更
 改正高年齢者雇用安定法の施行にあわせて、高年齢者雇用に関連した助成金の制度も変わっています。まだ不確定な部分もありますので、今後の動向に注目です。

 ◆法改正を機に廃止された助成金
 従来の「中小企業定年引上げ等奨励金」「高年齢者職域拡大等助成金」は平成25年3月31日をもって終了となりました。
 なお、「中小企業定年引上げ等奨励金」については、平成25年3月31日までに、「65歳以上への定年引上げ」、「定年制の廃止」、「希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度」などの導入を行った中小企業事業主については、支給の対象となります
 また、「高年齢者職域拡大等助成金」についても、平成25年3月31日までに「職域拡大等計画書」を申請した事業主については、支給の対象となります。

 ◆法改正後も引き続き支給される助成金
 「特定求職者雇用開発助成金」は、新たにハローワーク等の紹介により60歳以上65歳未満の者を継続して雇用する労働者として雇い入れた場合等に支給されるものですが、この助成金については、引き続き存在しています。

 ◆新設される予定の助成金
 なお、「高年齢者労働移動受入企業助成金」(定年を控えた高年齢者で、その知識や経験を活かすことができる他の企業への雇用を希望する者を、職業紹介事業者の紹介により失業を経ることなく雇い入れた場合に支給)については、新しい助成金に移行する予定であり、今後、厚生労働省などから周知されるとのことです。


「職務内容」「労働時間」「勤務場所」を限定した正社員は可能か?

◆有識者会議による報告書
 先日、内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」から、「人材の育成・活用」や「働き方の見直し」に関する提言(報告書)が発表されました。
 この会議のメンバーは大学教授を中心に構成されており、「経済社会に関する基本認識、政策、制度、規範等の在り方について、有識者の意見を聴取し、経済財政政策の企画及び立案並びに総合調整に資すること」を目的として、平成23年8月に設置されています。

◆「正規」「非正規」二元的な雇用の打破
 今回の報告書では、「経済社会の成長の最大の源泉は、人的資源である」と位置づけ、様々な提言がなされました。
 この報告書の中で注目すべきは、「職務内容、労働時間、勤務場所などを限定した正社員」を認めていこうではないか、と提言している点です。
 近年は非正規雇用社員の比率が増大し、人的資源の形成・活用に問題が生じてきている状況の中、今後は「雇用の安定化」の仕組みを整備していく必要があるとし、「正規雇用」「非正規雇用」といった二元的な雇用機会だけではなく、より多元的な働き方も提供していくことが望ましいとしています。
 そして、「正社員としての雇用の安定性を一定程度確保しつつワークライフバランスが確保できるような、残業なしの働き方や短時間正社員、職種限定正社員など、多元的な無期雇用形態を個人の選択により可能にすること」などが必要だと結論づけています。

 ◆「職務」「時間」「場所」を限定した働き方
 現行では、何らかの理由で「職務内容」、「労働時間」、「勤務場所」を限定して働きたい社員の多くは非正規社員となっているケースが多く、「限定的に働きたい」という人が正社員として働くことは難しくなっています。
 しかし、これらのニーズに社会全体で応えていくことにより、多様な人材が安定的に働くことができるようになり、結果として企業に利益をもたらすことが、理想的な雇用のあり方と言えるのではないでしょうか。


今年の就職企業人気ランキングは?

◆約18,000人の大学生が回答
 株式会社マイナビから、1978年から実施している「大学生就職企業人気ランキング」(有効回答数:17,725名)の上位100社が発表されました。
 今年の特徴として、文系では、旅行会社・航空会社などの人気が不動である他、金融業界が全体的に上昇しました。理系では、大学での専攻を活かせる企業を選ぶ傾向が見られました。

 ◆文系のベスト10

 文系の上位10社は次の通りです。
なお、【 】は前年の順位です。

(1)JTBグループ【1】
(2)全日本空輸(ANA)【2】
(3)エイチ・アイ・エス【6】
(4)電通【4】
(5)三菱東京UFJ銀行【5】
(6)オリエンタルランド【3】
(7)JR東日本【10
(8)日本航空(JAL)【ランク外】
(9)Plan・Do・See【18
10)東京海上日動火災保険【20

◆理系のベスト10

(1)JR東日本【7】
(2)カゴメ【3】
(3)旭化成グループ【8】
(4)資生堂【5】
(5)明治グループ【1】
(6)味の素【8】
(7)トヨタ自動車【6】
(8)三菱重工業【12
(9)東芝【2】
10)NTTデータ【22

 ◆就職企業を選択する理由
 これらの企業を選んだ理由としては、上位から「やりたい仕事ができそう」「安定している」「業界上位である」「社風が良い」「給与・待遇が良い」となっています。


4月1日から失業認定の手続きが変わっています

 ◆基本手当の不正受給の実態
 雇用保険の基本手当は、労働の意欲および能力を有しながら働くことができずに、求職活動を行っている方の生活の安定と早期再就職を促進するための給付ですが、いわゆる「不正受給」に当たるケースがあることが確認されています。
 厚生労働省の発表によると、2005年から2009年までの間に4万件超の不正が確認されていますが、氷山の一角に過ぎないとも言われています。
 基本手当等の給付は、被保険者等が負担する保険料によって賄われているものですので、当然、同省もこのようなケースを見過ごすことはできず、法改正等の対応により対策を講じており、件数が減少する傾向になっていましたが、リーマンショックの影響があった2009年度は前年度比で20%近く件数が増えています。

 ◆不正受給対策の内容
 不正受給で多いケースは、基本手当を受給しているにもかかわらず、求人に応募したりハローワークの職業相談を利用したりするといった求職活動の実態がないケース、求職活動の結果、再就職できたにもかかわらず、その報告をしないで基本手当を受給し続けるというケースが大半を占めます。
 そのため、ハローワークでは失業認定申告書に具体的な求職活動の内容を記載させたり、申告書に書かれた企業等に実際に応募があったかどうかの確認をとったりして、求職活動の実態を調査しています。
 また、不正受給が発覚した場合には「2倍返し」「3倍返し」させる等の厳しいルールを設けることで、不正受給を抑止する効果をねらっています。

 ◆本人確認の徹底
 さらに、基本手当の受給を申請するときには、離職票のほか、本人確認書類(運転免許証や写真付き住民基本台帳カード等)や本人名義の通帳等を持参して受給資格の決定を受けた後、受給説明会等を経て、指定した口座に給付が振り込まれることとなります。
 この本人確認について、今年4月1日より雇用保険法施行規則が改正され、受給資格決定時だけでなく、受給資格決定後においても、本人確認書類の提出を求めることができることとされました。

 
「健康保険被扶養者資格」の再確認について

 ◆健康保険の「被扶養者」とは?
 協会けんぽホームページによれば、被扶養者の範囲は次の通りとされています。

1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の(1)~(3)の人

(1)被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
(2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
(3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子

 ◆被扶養者認定の留意点
 ところが、上記の要件を満たさない者を被扶養者として申告してしまっていることにより、結果として本来保険給付を受けるべきでない人が保険給付を受けてしまい、被保険者の保険料負担増の一因となってしまっていることがあります。
 具体的には、生計維持関係のない両親等を被扶養者に含めていたり、共働き夫婦の夫と妻の両方が子どもを被扶養者として申告していたりする等です。
 中には、社会保険の被扶養者要件と税法上の被扶養者要件とが違っている点がわからずに誤った申告をしてしまっているケースもありますので、注意が必要です。

 ◆被扶養者資格の再確認の実施について
 協会けんぽでは、5月末から7月末までの間、被扶養者資格の再確認を実施しており、今年度も5月末から順次、被扶養者のリストが事業主宛てに送られてきます。
 再確認の対象となるのは、被扶養者のうち、「2013年4月1日において18歳未満の被扶養者」と「2013年4月1日以降に被扶養者認定を受けた被扶養者」を除く人です。
 リストが送られてきたら(1)該当被扶養者が現在も健康保険の被扶養者の条件を満たしているか確認のうえ、被扶養者状況リスト(2枚目は事業主控)に必要事項を記入し、事業主印を押し、(2)確認の結果、削除となる被扶養者については、同封の被扶養者調書兼異動届を記入し、該当被扶養者の被保険者証を添付し、(3)(1)および(2)を同封の返信用封筒にて提出します。
 すると、協会けんぽで確認のうえ年金事務所へ回送され、年金事務所で扶養者調書兼異動届の内容審査および削除処理が行われ、被扶養者(異動)届の「控」が事業主宛てに送られてくることとなります。


精神障害者の雇用義務付け法案を国会提出へ

 ◆法定雇用率の引上げに続き、新たな法律改正へ
 企業に義務付けられている障害者の法定雇用率(従業員に占める障害者の割合)が、4月より、従来の「1.8%」から「2.0%」へ引き上げられました。また、障害者の雇用状況の報告が義務付けられる企業規模も、現行の労働者数「56人以上」から「50人以上」へ変更となりました。
 そして、これに続き、「雇用の分野における障害者の差別の禁止」と「精神障害者の雇用義務付け」を主な内容とする法律案(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案)が今国会で議論されることになりました。

 ◆雇用義務付けの実施時期
 法案では、差別に関係する部分は平成282016)年4月から、精神障害者の雇用義務付けに関係する部分は平成302018)年4月から施行することとされています。
 精神障害者の雇用が義務付けされると、この4月から上がった法定雇用率がさらに引き上げられることとなるでしょう。引上げ幅については、法律の施行から5年間は、実際の雇用状況等を勘案して緩和されたものになる可能性もあります。
 なお、現在、精神障害者については、雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。

 ◆障害者雇用で業務改善
 3年後や5年後というとまだまだ先のようにも感じられますが、社内の体制を変更するには十分な時間とも言い切れないと思います。
 現在、障害者雇用率未達成の一定規模以上の企業は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて「障害者雇用納付金」(原則として、不足1人につき月額5万円)を納付しなければならないこととされています。現在、この制度の対象は、常時雇用する労働者が201人以上の企業ですが、平成272015)年4月からは「101人以上」の企業にまで拡大されることが決定しています。
 障害者の雇用については、各種助成金や障害者派遣を行う企業なども利用して、導入に成功している事例が各種メディア等で取り上げられています。そうした企業では、導入時に業務全体を見直したために業績が向上した例もあるそうですので、自社で導入できるかどうか検討することも1つの参考になるかもしれません。


自転車通勤に駐輪場の確保を義務付け

 ◆東京都が条例を採択
 東京都は、自転車通勤を認めている企業に対して従業員が駐輪場を確保していることの確認を義務付け、自転車販売店に対して道交法に違反する自転車の販売を規制することなどを内容とする条例を採択しました。
 こうした条例は全国で初めて、7月1日から施行されます。ただし、罰則は設けられていません。今後、このような動きが他の自治体にも広がる可能性があります。

 ◆就業規則に明示がない場合も対象に
 また、就業規則で自転車利用を禁止していない企業に対しては、通勤で利用する従業員用の駐輪スペースを確保することも義務付けています。
 自転車通勤を積極的に禁止していないと、この条例が規定する内容に抵触する可能性があるようです。

 ◆事故により使用者責任を問われるリスクも
 健康への関心の高まりなどから自転車通勤をする人が多くなっていますが、自転車通勤の実施には、従業員にも会社にも次のようなリスク・負担を伴います。
(1)交通法規や交通規制に対するリスク
(2)交通事故を引き起こしたり,事故に巻き込まれたりするリスク
(3)駐輪場の確保などの物理的な負担
 企業としては、まずは自転車通勤を認めるかどうかについての検討が必要ですし、認める場合にはルールを作っておかないと、従業員が起こした事故により使用者責任を問われる可能性もあります。また、通勤手当の取扱いについても検討する必要があるでしょう。
 現在、自転車通勤を黙認しているような会社では、ひとたび事故が発生してしまった際には、会社にとっても従業員にとっても不幸な結果となってしまいます。就業規則の見直しと併せて、保険への加入等も考える必要がありそうです。


今年度の新入社員の特徴は「○○型」?

 ◆平成25年4月入社の新入社員
 公益財団法人日本生産性本部の「職業のあり方研究会」では、平成25年4月入社の新入社員の特徴をまとめました。
 この研究会では、その年の新入社員の特徴をネーミングすることが恒例となっています。

◆今年の新入社員は『ロボット掃除機型』
 過去には、「過保護で栄養分は高いが、魚らしくピチピチしていない」といった特徴から名付けられた『養殖ハマチ型』(昭和63年)、「その場で瞬時に情報を取り込み発信するセンスや処理能力を持ち、機能も豊富だが、経験や知識がなかなか蓄積されず、中高年者にとって使いこなしきれない」という側面がある『カメラ付ケータイ型』(平成15年)といったネーミングがありましたが、今年の新入社員のタイプは、『ロボット掃除機型』とのことです。
 同研究会では、この由来については、「一見どれも均一的で区別がつきにくいが、部屋の隅々まで効率的に動き回り家事など時間の短縮に役立つ(就職活動期間が2カ月短縮された中で、効率よく会社訪問をすることが求められた)。しかし段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要」と説明しています。

 ◆今年入社の新入社員の特徴
 今年の新入社員は、採用活動の早期化傾向に対する社会的批判を受け、就職活動期間(企業採用のための広報活動の解禁日)が大学3年次の10月1日から12月1日へと2カ月遅くなった「時間短縮型就活」の第一期生に該当します。
 期間が2カ月短縮されたことで、業界研究に十分な時間が費やせなかったり、スケジュールが慌ただしくなったりなどのマイナス面が懸念されました。そういった中で効率よく就職活動をした姿が、部屋を効率的に動きまわり掃除をする『ロボット掃除機』を連想させるため、このようなネーミングとなったようです。


全国初!自治体が中小企業向けパワハラ対策マニュアルを作成

◆神奈川県がマニュアルを作成
 職場のパワーハラスメント(パワハラ)問題への関心が高まる中、神奈川県では、昨年11月に知事メッセージ「ハラスメントのない職場づくりを神奈川から」を発信するなど、取組みを強化しています。
 その一環として、県内の事業所におけるパワハラ対策の取組み状況等に関する実態調査を行い、その結果を踏まえた「中小企業向けパワハラ対策マニュアル」を全国で初めて作成しました。また、労働者のための啓発リーフレットも併せて作成しています。
 このマニュアルを企業に提供するなど、パワハラ撲滅に向けた取組みの一層の強化を図っていくとのことです。

◆パワハラの実態調査の概要
 同県では、平成24年7月から9月にかけて県内1,500事業所を対象にアンケート調査を行い、県内事業所の実態を明らかにしました。以下が主な調査結果です。

・過去1年以内にパワハラの相談・苦情があった中小企業事業所は約3割(28.6%)。
・中小企業事業所の8割以上(84.5%)がパワハラ対策を経営上重要と認識しているが、3割以上(35.7%)が何も取り組んでいない。
・取組内容は、「会議や朝礼での注意喚起」がトップ(28.2%)で、「相談窓口の設置」は約2割(21.0%)、「研修・講習会の実施」は1割台(13.9%)。

◆マニュアルの概要
 マニュアルには、パワハラの定義、企業の責任、取組実態、予防策などについて書かれており、次のような特徴があります

・厚生労働省、神奈川県経営者協会、連合神奈川などからのメッセージを紹介し、パワハラは労使を挙げて取り組むべき問題であるという姿勢を示す。
・中小企業で活用できるよう、企業に求められる取組みをわかりやすく具体的に解説するとともに、企業や事業所の実情に応じたステップバイステップの取組方法を解説。
・実態調査を踏まえ、社員研修の実施方法や相談窓口の開設、運営について丁寧に解説。
・パワハラ対策の趣旨やポイントをまとめた小冊子「ダイジェスト版」の作成。

◆その他の対応
 かながわ労働センターでは、パワハラを含めた職場のトラブルについて直通電話で相談できる「労働相談110番」を開設するなどして、適切に対応できる体制の整備をしているとのことです。

2013/04/01

4月の事務所便り


「解雇権濫用」「名ばかり管理職」に関する裁判例

 ◆メーカーが多数の労働組合員を解雇
 神戸市にある鋼管メーカーを解雇された従業員(22人)が地位確認などを求める訴えを提起していましたが、神戸地裁は「解雇権濫用のため無効である」として、会社に対して未払賃金の支払いを命じる判決を下しました(2月27日)。
 この会社は、事業縮小を理由として2011年6月に工場勤務の従業員(28人)を解雇しましたが、28人のうち26人は労働組合員だったそうです。
 裁判官は判決で「他部署への配転を検討するなど、解雇を避ける努力を尽くしていない」と指摘し、また、解雇された従業員の大半が労働組合に加入していたことが「明らかに不自然である」としました。
 原告の男性の1人は、「会社は判決を重く受け止め、早く職場に戻してほしい」と話しているとのことです。

 ◆大学が財務課長を管理職扱い
 広島県にある私立大学の元財務課長(57歳)が、実態は管理職ではないにもかかわらず管理職として扱われて残業代が支払われなかったとして、大学側に対して未払賃金等(約630万円)の支払いを求めて訴えを提起していましたが、広島地裁は「時間外手当の支給対象外となる管理監督者には該当しない」として、学校側に対して約520万円の支払いを命じました(2月27日)。
 訴えていた男性は、2008年4月から2011年3月まで財務課長を務めており、最も多い月の残業時間は103時間30分だったそうです。
 裁判官は判決で「原告の上司として法人事務局長などが置かれ、業務の大部分で上司の決裁が必要であり、権限は限定的だった」としました。また、出退勤時間等に関する裁量が限られていたことなども考慮され、「権限や責任が経営者と一体というのは困難である」とされました。
 大学側はこの判決に不服のため、控訴を検討しているとのことです。


 原付使用バイク便事業者の労災保険特別加入の要件緩和

 ◆総排気量125cc以下の原付を使用する場合も加入対象に
 2013年3月1日付けで発出された通達(基発0301第1号)により、総排気量125cc以下の原動機付自転車(原付)を使用して貨物運送事業を行う者(以下、「バイク便事業者」)も、労災保険の特別加入対象者となることとなりました。
 これは、厚生労働省が2011年に実施したバイク便事業者の災害発生状況等の実態調査の結果により、総排気量が125cc以上か以下かによって業務内容や災害発生状況に大きな違いが見られなかったことから、今般、対象に含めることとなったものです。

  ◆特別加入手続の流れ
 新たにバイク便事業者が労災保険に特別加入する方法として、(1)既存の特別加入団体を通じて加入する、(2)新規に特別加入団体を設立して加入する、の2つの方法があります。
 それぞれ手続きの方法が異なりますので、都道府県労働局や労働基準監督署に確認のうえ、手続きをする必要があるでしょう。

 ◆労災保険の特別加入制度とは?
 労災保険は、労働基準法に基づく事業主の災害補償責任を担保することを基本とする制度であるため、労働基準法上の労働者でない者については対象外とされています。
 そこで、特別加入制度においては、「業務の実態」や「災害の発生状況」等からみて労働者に準じて保護することが適当である者について労働者とみなし、業務災害および通勤災害について保険給付等を行う制度です。
 対象者としては、()中小事業主およびその者が行う事業に従事する者、(2)労働者を使用しないで事業を行う一人親方その他自営業者およびその者が行う事業に従事する者、(3)特定業従事者、(4)海外派遣者が挙げられます。
 今般対象となったバイク便事業者は、(2)に該当する者ですから、委託契約を締結しているバイクライダーであっても、総合的に判断して労働者と認められる実態にあるものは対象となりませんので、注意が必要です。

 
4月1日から「雇用保険被保険者離職証明書」の様式が変更

 ◆様式改正の内容
 2013年4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行されるのに伴い、離職理由の欄を見直し、定年により離職する者について、定年後の継続雇用に関する希望の有無等を記載する項目が新たに設けられる等、所要の変更が行われます。
 また、当該離職者が定年後の継続雇用を希望していたにもかかわらず離職に至った経緯について、「a 就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当したため…、b 平成25年3月31日以前に労使協定により定めた継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため、c その他…」のいずれに該当するかを記載することとされています。

 ◆様式改正後の旧様式の取扱い
 新様式には、右下に「25.04‐新」と印字されており、それ以外の者は旧様式となりますが、当面の間は旧様式も使用することができます。
 しかしながら、旧様式には上記のように離職に至った詳しい理由を記載する欄がありませんので、事業主が「具体的事情記載欄(事業主用)」に記載する必要があります。
 具体的には、離職理由欄の「2 定年、労働契約期間満了等によるもの(1)定年による離職(定年 歳)の横に○を付し、カッコ内に定年年齢を記載したうえで、「定年退職(本人は継続雇用を希望したが、就業規則に定める解雇・退職事由に該当した)」のように記載することとなります。

 ◆契約期間満了による離職のケースにおける取扱い
 例えば、60歳定年の会社で65歳まで1年ごとの契約更新で65歳までの再雇用制度が設けられていた場合で、更新基準を満たさないために期間満了で離職するときには「3 労働契約期間満了等によるもの(2)労働契約期間満了による離職」に○を付し、契約期間や更新回数、雇止め通知の有無等の必要事項を記載することとなります。
 また、事業縮小等により契約更新することなく期間満了により離職するときも同じように記載します。
 なお、これらの場合に提出する雇用保険被保険者資格喪失届の「5 喪失原因」は「2」を選択し、事業主の都合による離職以外の離職となります。

 
1年間に負担する社会保険料はどのように決まる?

 ◆社会保険料の額を決める「標準報酬月額」とは
 健康保険や厚生年金保険の保険料は、従業員の個々の給与の額ではなく、区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」に基づいて算出されます。
 この幅が「標準報酬月額等級」として、健康保険では47等級に、厚生年金保険では30等級に分かれています。これらの保険料は労使折半ですので、事業主の負担が過重とならないよう保険料に上限が設定されていますが、高額所得者でも上限等級以上の保険料負担はしませんので、「高額所得者優遇」にならないよう、政令で、最高等級の上に等級を追加することができることとされています。

 ◆標準報酬月額はどうやって決まる?
 標準報酬月額が決まる方法として、(1)資格取得時決定、(2)定時決定、(3)随時改定の3つがあります。
 新入社員等は(1)によって決定されますが、7月1日現在その会社に在籍している従業員については(2)により、4~6月に支払われる給与等や賞与の賃金総額の月平均賃金額を基準に標準報酬月額にあてはめて、その年の9月から翌年8月までの1年間の標準報酬月額が決まります。
 一部の事業所では当月分の給与を翌月中に支払うこともあるので、そうした企業においては3~5月分までの賃金総額によって決まることとなります。

 ◆残業量の調整や昇給のタイミングに注意
 定時決定によってその年の9月から翌年8月まで適用する標準報酬月額が決定されることから、算定期間中に多くの残業が発生し、平均賃金額が他の時期よりも高くなる会社や、算定期間中に昇給がある企業においては、負担する社会保険料の額に影響を生じる可能性があります。
 特に、厚生年金保険料は平成16年の制度改正によって平成29年9月まで毎年0.354%ずつ引き上げられることとなっているため、昇給等によらなくても保険料の負担は年々増していきます。
 不必要な残業を控えたり、業務の進め方を見直したり、昇給月を変更したりする等、対策を社会保険労務士に相談してみるのもよいでしょう。

 
「裁量労働制」の採用増加と規制改革会議の動向

 ◆裁量労働制の協定届出数が過去最多
 厚生労働省のまとめによると、「裁量労働制」の届出数が過去最多(2011年)となったそうです。届出数は年々増加しており、「専門業務型」は過去10年間で約3倍となり、「企画業務型」は適用要件が緩和された2004年以降は約2倍となったそうです。

 ◆「裁量労働制」とは?
 裁量労働制は、業務の性質上、その遂行手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務として厚生労働省が定める、一部の業務について限定して適用できる制度です。
 対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなします。労働時間だけでは成果を評価しにくい働き方に対応するために設けられた制度です。
 裁量労働制には、「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。それぞれ対象となる業務が定められており、導入には労使での合意、労働基準監督署への労使協定等の届出、就業規則等の整備など、慎重な検討が必要です。また、企画業務型の場合は、導入に必要な事項を協議する「労使委員会」の設置や定期的な状況報告等が必要になります。
 なお、一部に誤解があるようですが、裁量労働制を採用していても、働いたこととみなす時間(みなし労働時間)が法定労働時間を超えている部分については残業代が発生します。また、深夜勤務や休日勤務を行ったりすれば割増賃金が発生します。

 ◆メンタルヘルス不全誘発の一因にも
 専門業務型裁量労働制は、特にSE(システムエンジニア)のような業務で最も多く導入されています。中には裁量労働制の持つ「仕事の手順や時間配分を労働者に任せる」という特徴を、企業に時間管理の責任がないというように誤解したうえ、本来対象とならないような労働者まで裁量労働としている例もあるようです。
 その結果、長時間労働を助長し、うつ病の発症等のメンタルヘルス不全につながっているという指摘もあります。裁量労働制を導入していても労働者への健康配慮は会社の義務ですので、会社は出社・退社の時間などを管理しておく必要があるでしょう。

 ◆規制改革会議での議論
 政府の規制改革会議の議論では、企画業務型裁量労働制の適用拡大等についても取り上げられることになっています。いわゆる「ホワイトカラーエグゼンプション」(一定以上の年収のホワイトカラーを労働基準法で定めた労働時間の規制から外す制度)が導入されることになるのかどうか、今後の動向に注目です。

 
いまどき!?「飲酒強要」は時代遅れ

 ◆飲酒強要を「パワハラ」と認定
 飲酒強要などのパワハラを受けたとして、ホテル運営会社の元社員が会社と元上司に対して損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁が飲酒強要を不法行為と認定し、150万円の支払いを命じたとのことです。
 一審の東京地裁判決では、元上司の別の行為についてパワハラに該当するとして70万円の慰謝料が認められましたが、飲酒強要の部分については「上司の立場を逸脱し、許容範囲を超えていたとは言い難い」として訴えが退けられていました。

 ◆「パワハラ防止規程」を策定していますか?
 近年、パワハラを契機として会社や上司が訴えられる事件がテレビ等で取り上げられる機会も多く、会社側も本格的にパワハラ防止規程の策定に取り組んでいるようです。
 仕事上の悩みは今も昔も「人間関係」に尽きるようですが、パワハラ訴訟などは、経営上まったく無用なコストです。日頃の労務管理で防止できれば、こんなによいことはありません。
 事業戦略の厳しさに比べれば、パワハラは経営トップの強い決意と社内への会社目標の十分な浸透があれば、事件に発展する確率は限りなく低くできるものだと思います。

 ◆今年の歓迎会は低アルコール飲料で乾杯!?
 最近は酒類全体の販売量が低下してきている中で、若い世代では低アルコールの飲料を好むような傾向があります。さらには“超低アルコール飲料”(アルコール度数3%以下)の商品が目立つようになり、世代の移り変わりを実感します。
 これからの季節、新入社員や異動で新しく配属になった社員を交えたアルコールの入る場面も多くなります。今年は若者に交じって超低アルコール飲料の新しい味わいを楽しんでみると、新人との会話も弾むかもしれませんよ。
 会社の管理責任云々以前に、「酔って乱れず」の先輩社員はカッコイイと思いませんか? 


経営者はどのように経営情報を収集・活用しているか?

 ◆情報収集の場所は特定の場所に集中していない
 独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した、中小企業経営者を対象にした「経営に役立つ情報・施策の活用に関するアンケート調査」(有効回答数702件)によると、経営者が経営に役立つ情報を得ている「場所」としては、「講演/セミナー/勉強会」「自社内」「オフタイムの会合」「展示会/商談会」の4項目の回答が上位でした。
 その割合もほぼ同様(約40%~55%)で、特定の場所で情報収集をするという傾向は見られなかったようです。

 ◆情報提供者は「同業者」など業務で接点のある人が中心
 「経営に役立つ情報を誰から提供されることが多いか」という質問に対しては、「同業者/交流参加者」(62.2%)が最も多く、次いで「取引先担当者」(52.9%)、「顧客」(44.9%)と続いています。
 普段の業務を通して、身近な人から情報を得るという経営者が多いことがわかります。

 ◆「新聞」「テレビ」「雑誌」の活用が多い
 対人的な関係ではなく、メディアを介した情報収集先として、「普段どのようなメディアを通じて、経営に役立つ情報を入手しているか」という質問については、「新聞」(82.0%)が最も多く、次に「テレビ」(62.0%)「雑誌」(45.7%)「ホームページ」(43.3%)の順になっています。
 従来型のメディアがまだ上位を占めていることがわかりますが、「ホームページ」の利用が増えているなど、中小企業でもインターネットの活用は進んでいることがわかります。

◆活用が増えたメディアは?
 現在活用が増えているメディアとして、「ホームページ」の役割は大きいようです。高年齢経営者の間でも活用意欲が高まっており、幅広い年齢層を取り込むメディアとして今後さらなる成長が期待されます。
 また、新しいメディアの代表例としていま注目されているfacebook twitterなどは、30代を中心とした若い経営者の間でも、その活用は10%ほどでした。ビジネスにおける活用はまだ成長途中というところでしょう。

 
4月以降の「雇用関係助成金」の改正と新設・統廃合

 ◆平成25年度から新体系に
 厚生労働省は、4月から雇用関係助成金制度の一部について、既存の助成金で類似するものを統廃合するなどして、わかりやすく、活用しやすい制度体系に変更することを発表しました。
 具体的には、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金のように類似する制度を統合して新設するもの(「雇用調整助成金」に一本化)、中小企業定年引上げ等奨励金など、平成24年度末で廃止となるものなどがあります。

 ◆雇用調整助成金の改正点
 雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金が統合されて雇用調整助成金に一本化されますが、4月1日以降、以下のように一部内容を変更することが発表されています。

(1)助成率の変更
   ・大企業:3分の2(4分の3)→2分の1
   ・中小企業:5分の4(10分の9)→3分の2
※( )内の「労働者の解雇等を行わない場合、障害者の場合」も同様の助成率となる。

(2)教育訓練(事業所外訓練)の助成額の変更
   ・大企業:4,000円→2,000
   ・中小企業:6,000円→3,000

(3)円高の影響を受けた事業主に対する生産量要件緩和特例の廃止

 ◆日本再生人材育成支援事業奨励金の新設
 また、4月以降も継続されるものとして、すでに1月より、重点分野(健康・環境・農林漁業分野等)において、有期契約労働者等も含めた労働者に対して、一定の職業訓練を実施した事業主や、被災地復興のために必要な建設関係の人材育成を行った事業主に向けて、以下のような助成金が実施されています。

・正規雇用労働者育成支援奨励金
・非正規雇用労働者育成支援奨励金
・海外進出支援奨励金(留学)
・海外進出支援奨励金(送り出し)
・被災地復興建設労働者育成支援奨励金
 今後、非正規労働者のキャリアアップ支援、若年層の安定雇用の確保、高齢者の就労促進などを目的とする新しい助成金も設けられる予定ですので、動向を注視したいところです。

 

 

「叱られること」についての若手社員の意識

 ◆若手社員の約5割が上司・先輩に叱られた経験
 人事総合ソリューション企業のレジェンダ・コーポレーション株式会社が、入社3年目までの若手社員を対象に行った意識調査の結果を発表しました。
 調査では、若手社員に「上司・先輩に叱られることがあるか」を尋ねたところ、ほぼ半数(49.6%)が叱られたことがある(「よくある」+「時々ある」)と回答しました。
 性別でみると、叱られたことがある割合は、男性55.4%、女性40.4%となり、男性のほうが女性より叱られている傾向が見られたようです。

 ◆「正当な理由があれば、上司・先輩に叱られたい」8割弱
 正当な理由があれば、上司・先輩に叱られたいか尋ねたところ、「叱られたい」(「とても思う」+「やや思う」)と回答した割合は78.5%で、特に、3人に1人は“叱られたい”と強く感じていることがわかりました。

 ◆叱られることは自身の成長に必要
 叱られることは自身の成長に必要かを尋ねたところ、「必要」(「必要」+「どちらかと言えば必要」)と回答した割合は87.7%となり、必要と感じている割合は、男性89.3%、女性が85.1%で、性別を問わず、叱られることは成長に必要と考えていることがわかりました。

 ◆「叱り方」にも工夫が必要
 昨今、世間を騒がせている体罰問題やパワハラ・セクハラによる訴訟問題によって、上司が部下に対して「叱る」という行為に慎重になっている傾向にあるようです。しかし、今回の調査で、「正当な理由があれば叱られたい」と8割弱の若手社員が回答しており、社会に出るまでにあまり叱られた経験がない若手社員が本当は「叱られたい」と思っていることがわかりました。
 ただ、「正当な理由があれば、叱られたいと思うか」という質問において、「叱られなければ伸びない」や「ある程度叱られることは期待の裏返しだと思う」といった、肯定的な意見が目立った一方、「正当な理由があっても、叱られ方によっては受け入れたくない」といった、叱られることに慣れていない若手社員の繊細な一面も見てとれたようです。


「帰宅困難者対策条例」への企業の対応

 ◆帰宅困難者の受入れに向けた準備が本格化
 東日本大震災で500万人を超える帰宅困難者が出た首都圏では、震災から2年が経ち、駅周辺の施設を中心に帰宅困難者を受け入れるスペースを設ける動きが広がっているほか、企業が協力して帰宅困難者を受け入れる訓練も次々に行われています。
 行政機関では、東京都が帰宅困難者をその場にとどめるため、水や食料の備蓄を企業などに求める帰宅困難者対策条例を来月から施行します。
 施行を前に、水や食料を備蓄する動きが本格化しているようです。

 ◆「東京都帰宅困難者対策条例」とは?
 大規模災害が発生し、鉄道等が復旧しない中、多くの人が帰宅を開始すると、救助・救援活動等に支障が生じる可能性があります。こうした事態をできるだけ軽減するための対策として都、住民、企業の役割などを東京都が条例として定めたもので、2013年4月1日施行予定で、企業には次のような取組みを求めています。

(1)従業員の一斉帰宅の抑制(施設の安全確認と3日分の食料等備蓄)
(2)従業員との連絡手段の確保などの事前準備(従業員との連絡手段確保と、従業員に対して家族との連絡手段の複数確保の周知)
(3)事業所防災計画の策定

 ◆条例に対する企業の懸念事項
 東京経営者協会が行った「東京都帰宅困難者対策条例への企業の対応に関するアンケート」の結果によると、「一斉帰宅抑制方針」を定めている企業は57.0%で、何らかの「備蓄をしている」企業は93.0%、企業の帰宅困難者対策に関する意識は高いことが伺えます。
 一方、条例施行後に企業として懸念する点として、「待機させた従業員がその後の余震などで被災した場合の会社の責任」や、「帰宅させた従業員が帰宅途中で被災した場合の会社の責任」などの従業員に対する企業の責任に関する懸念が上位を占めました。
 また、通行人や被災者を受け入れる際の備蓄品の不足など、社外の者の受入れに対する関する懸念や、通行人を社屋に入れ設備を毀損した場合の責任に関する懸念なども挙げられました。

 ◆「もしもの場合」に備えて対策を
 今後、巨大な地震が起こる確率は首都圏に限らず全国的に高いと言われており、企業の防災対策は必然と言っても過言ではありません。
 東日本大震災から2年が経った今、企業として備えておくべきことを再確認してみてはいかがでしょうか。