2013/10/01

10月の事務所便り

企業は「事業承継問題」をどう捉えているのか?

◆日本経済の大きな課題
 帝国データバンクでは、「事業承継」に関する企業の見解に関する調査(調査対象:22,750 社、有効回答企業数:10,157社)を実施し、その結果を発表しました。
「経営者の高齢化」や「後継者難」は深刻な問題であり、事業承継により企業を存続・発展させていくことは今後の日本経済の発展のためにも必要不可欠です。政府の「成長戦略」においても円滑な事業承継について取り組む方針が打ち出されています。

◆多くの企業が事業承継を“経営問題”と認識
 まず、「経営を行うなかで事業承継をどのように考えているか」を尋ねたところ、「経営問題のひとつと認識している」と回答した企業は63.0%でした。
 そして、「最優先の経営問題と認識している」企業は23.3%で、両者を合計すると86.3%の企業が事業承継を“経営問題”として捉えていることがわかりました。
 なお、「経営問題として認識していない」企業は9.1%でした。

◆3割の企業には事業承継の計画がない
 次に、「自社に事業承継を進めるための計画があるかどうか」を尋ねたところ、「計画があり、進めている」と回答した企業が27.6%、「計画はあるが、まだ進めていない」と回答した企業が32.4%で、「計画はない」と回答した企業は30.0%でした。

◆事業承継の計画がない理由は?
 事業承継について「計画はあるが、まだ進めていない」または「計画はない」と回答した企業の理由(複数回答)の上位5つは、次の通りです。

(1)まだ事業を譲る予定がない(46.8%)
(2)事業の将来性に不安がある(28.6%)
(3)任せられる人がいない(25.3%)
(4)借入に際しての個人保証がある(24.2%)
(5)自社株など個人資産の取扱い(17.0%)


「社員研修」実施の現状と企業が抱える問題点

◆社員研修の現状と課題に関する調査
 株式会社ディスコでは、企業の社員研修・教育担当者を対象に、自社で実施している社員研修についての現状等を調査しました。
 それによると、新入社員を含めた若手社員への研修は非常に手厚いものの、管理者以上の研修は比較的手薄であることがわかったそうです。

◆社員研修の対象層は?
 企業における社員研修の対象層(複数回答)は、次の通りでした。

(1)新入社員研修(95.9%)
(2)若手社員研修(81.1%)
(3)管理職研修(62.1%)
(4)管理職前研修(55.6%)
(5)次世代経営層研修(22.6%)
(6)経営者研修(11.5%)

◆社員研修の問題点は?
 社員研修の問題点として、一般的に以下のようなことが挙げられます。

・「通常業務で忙しく社員研修に充てる時間がない」
・「社員研修の予算が低く効果的に実施できない」
・「社内に教育・指導を行うことのできる人材がいない」
・「会社全体として計画的に社員研修ができていない」
・「社員研修を実施したとしても効果が見られない」

◆「時間・予算」は限られている
 上記のような問題点を克服し、いかにして効果的な社員研修を実施できるかどうかが、社内人材の育成、ひいては会社の成長に影響してきます。
 限られた「時間・予算」の中で、どのような研修を実施することができるのかを一度考えてみることも必要でしょう。


アルバイトの非行増加! 万が一に備えて就業規則をチェック

◆飲食店や小売店で被害が続出
 コンビニのアルバイト店員がアイス用の冷凍庫の中に入っているところを写真に撮ってSNSに掲載した事件を皮切りに、最近、飲食店や小売店で類似の事件が相次いで起こっています。
 中には事件をきっかけに閉店することとなった店舗もあることから、経営者がこの問題を軽く考えてアルバイトに対する教育や労務管理をおざなりにすることは、経営の存続をも危うくする大きなリスクをはらんでいると言うことができます。

◆被害を未然に防止するには?
 こうした非行を未然に防止するためには、就業時間中は業務に集中することとして携帯電話(スマホ)の操作やSNS等へのアクセスを禁じたり、休憩時間中や就業時間外であっても勤務先の不利益につながるような行為は厳に慎むべきことを教育したりする必要があります。
 さらに、これらのことを職場におけるルールとして徹底するとともに、就業規則や店舗に備付けの業務マニュアル等にも明記しておく必要があるでしょう。

◆万が一に備えて就業規則等を確認
 就業規則は、労働基準法により常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられているものですが、正社員用の就業規則だけでアルバイト用のものは作成されていなかったり、アルバイト用の就業規則はあるが規定内容に不備があったりするケースもあります。
 また、使用する労働者数が10人未満であることを理由として、そもそも就業規則が作成されていないこともあります。
 就業規則が作成されていない、または規定内容に不備があるという場合、万が一従業員に非行があってもそれを事由とする懲戒処分に付したり懲戒解雇にしたりすることができなくなるおそれがあります。
 こうした問題を抱える会社では、自社の就業規則をチェックし、作成の仕方や見直しの要否等について検討してみると良いでしょう。


「社会保障制度改革」で医療費負担が大きく変わる?

◆混合診療に関する規制緩和の動向
 政府の「規制改革会議」では様々な分野における規制緩和について検討がなされていますが、医療分野については、現在は原則禁止されている混合診療についての見直しが最優先課題として挙げられています。
 これは、医療・介護分野の成長による経済活性化を図るため、診療報酬や介護費用などが公定価格で縛られている結果として競争が生じにくく生産性が低くとどまっている現状の打開策として検討が進められています。

◆「混合診療」とは?
 私たちが病院で受ける診療には医療保険の適用対象となるものとならないものがあり、適用対象となるものが「保険診療」、ならないものが「自由診療」で、両方を同時に受けることを「混合診療」と言います。
 現在、日本では一部の先進医療を除き原則として混合診療は禁止されており、その理由として、所得の多寡によって受けられる医療に格差が生じてしまう等のおそれがあることが挙げられていました。

◆混合診療解禁と医療費の取扱いへの影響
 混合診療が解禁されると、自由診療の部分は全額自己負担となりますので、その部分にかかる医療費控除や高額療養費の取扱いがどうなるかについて、関心が高まっています。
 医療費控除は、病院に支払う診療代のほか薬局で購入した薬代や通院に要した交通費等の額等の一定部分が確定申告により所得から控除されるというもので、自由診療扱いの先進医療や国内未承認の抗がん剤治療等に要した費用も、対象となります。
 高額療養費については、政府が8月21日に閣議決定した「社会保障制度改革」に関するプログラム法案に見直しが明記されています。その方向性については、2014年度以降、70歳未満と7074歳の世代で、所得の高い人の月々の上限額を引き上げて負担を増やすこと、上限額の目安となる所得の区分をより細かくして所得に応じた負担を求めることなどが示されています。


「社会保険の適用拡大」に伴う企業と労働者の対応は?

◆調査の内容
 社会保険の適用拡大が短時間労働者の雇用管理に及ぼす影響や、適用拡大が実施された場合の短時間労働者の対応の意向に関する調査の結果が公表されました。
 この調査は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が、常用労働者5人以上の事業所(1万5,000社)に対するアンケート調査と、短時間労働者が多いとされる業種の企業および労働組合にインタビュー調査を行ったものです。
 企業・従業員はどのような対応を取るつもりなのでしょうか?

◆企業の意向は?
◎短時間労働者の雇用管理について見直す(と思う)企業が半数超
・「所定労働時間の長時間化を図る事業所」…約3割
 「短時間労働者の人材を厳選し、一人ひとりにもっと長時間働いてもらい雇用数を抑制」するという企業が30.5%ありました。
・「所定労働時間の短時間化を図る事業所」…約3割
 「適用拡大要件にできるだけ該当しないよう所定労働時間を短くし、その分より多くの短時間労働者を雇用」するという企業が32.6%ありました。

◆従業員の意向は?
 社会保険が適用拡大されたら働き方を「変えると思う」短時間労働者は約6割おり、具体的には、次のような意向が多くなっています(無回答:36.3%)。

・「適用されるよう、かつ手取り収入が増えるよう働く時間を増やす」…26.7
・「適用されるよう働く時間を増やすが、手取り収入が減らない程度の時間増に抑える」…15.6
・「適用にならないよう働く時間を減らす」…14.5
・「正社員として働く」…8.7

社会保険適用を希望しているが、会社から労働時間の短時間化を求められた場合の対応として、「他の会社を探す」「分からない・何とも言えない」「受け容れる」がそれぞれ約3割となっています。

◆短時間労働者の二極化
 社会保険の適用拡大に伴い、「短時間労働者」という雇用形態では、“長時間化する層”と“短時間化する層”への二極化が進むと予測されます。また、基幹となる短時間労働者については、業務上の高度な役割を担う割合が高くなってくるでしょう。
 その際、処遇や労働条件を適切に確保しなければ、貴重な人材の流出につながる可能性が高まります。自社の状況を踏まえながら、今後の対応を検討してみてはいかがでしょうか。


「健康管理体制」に関する行政の監督指導の強化

◆「過労死等発生事業場」への監督指導結果
 東京労働局から、平成24年度に実施された、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させ労災申請が行われた事業場に対する監督指導結果の概要が公表されました。
 対象となった93事業場の業種は、「交通運輸業」が最も多く、次いで「ソフトウェア・情報処理業」、「建設業」、「卸・小売業」の順で多くなっています。
 また、企業規模としては、「1049 人」が最も多く、次いで「100299 人」、「10 人未満」、「300999 人」の順となっています。

◆法違反の割合が90
 今回の結果から、過労死等を発生させた事業場では「労働関係法令違反」の割合が 90%と高く、被災労働者に対する健康管理体制の不備のある事業場も高い割合であることがわかりました。
 違反の状況としては、不適切な労働時間管理(労働時間の違反、未払残業など)によるものが多くなっており、特に「三六協定」の取扱いが厳しく監督指導されているようです。
 また、違反のあった事業場のうち半数以上で、1カ月の時間外労働が100 時間を超えるか、2カ月~6カ月の時間外労働が平均して月80時間を超えると認められたとのことです。

◆健康管理体制についての指導を強化
 近年では、過重労働による健康障害を防止するためとして、衛生管理体制の不備についても重点的に指導が行われています。
 内容は、健康診断の受診、有所見者への対応(医師等からの意見聴取、勤務軽減措置、保健指導)や、時間外・休日労働が多い労働者に対する医師による面接指導です。
 これらの中には努力義務のものもありますが、適切に取り組んでいない場合、いざ過労死や精神疾患の発症等が起きた際には、訴訟等において企業は不利な立場に置かれることになります。

◆「ブラック企業」への取締りも
 その他、社員が過重労働により亡くなってしまったり精神疾患等で業務に就けなくなったりすれば、その影響は社員の家族や他の社員に多大な負担を強いることになります。ひいては企業の社会的評価が低下するなど、経営自体にマイナスとなります。
 また、いわゆる「ブラック企業」に対する集中的な指導監督も進められていますので、今後も行政による指導監督は強化されていくことと思われます。この機会に、健康的に働くことができ、会社経営にもプラスとなる労働時間管理について検討してみてはいかがでしょうか。


「音」や「映像」も商標登録が可能に!

◆「新しい商標」が導入される?!
 政府は、企業が「CMで流すイメージ音や映像」や「色」などを商標登録できるようにする方針を固めました。
 現在の商標法では、「文字」「図形」「記号」や「立体的な形状」など、形が定まったものしか登録ができません。しかし、欧米では商標を広範囲にわたって認めており、TPPが妥結されれば商標制度を国際基準に合わせるように求められる可能性もあります。
 先行して法改正に道筋をつけるため、こうした「新しい商標」について、早ければ今秋の臨時国会に改正商標法案が提出されることが見込まれます。

◆商標登録の可否
現在の「米国」、「EU」、「日本」の商標登録の可否は次の通りです。

・動き…米国:○、EU:○、日本:×
・ホログラム…米国:○、EU:○、日本:×
・色…米国:○、EU:○、日本:×
・位置…米国:○、EU:○、日本:×
・音…米国:○、EU:○、日本:×
・におい…米国:○、EU:×、日本:×
・触覚…米国:×、EU:×、日本:×
・味…米国:×、EU:×、日本:×

◆今後の動きに要注目
 こうした新たな商標権のタイプは、言葉の壁を越えて企業ブランドを商品・サービスに盛り込めるほか、コピー商品を排除する抑止力としても有効に機能するものです。
 大企業だけでなく、中小企業にも商標活用による大きな効果が生じることが想定されますので、今後の動向に注目していきたいものです。


話題の「成年後見制度」 現在の状況と課題

◆需要高まる「成年後見」
 高齢化社会の進展とともに、「成年後見」の需要が高まっているようです。
 「成年後見制度」は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人(本人)について、その行為能力を制限するとともに、本人の能力を後見的立場から補完することによってその権利を守るためのものです。
 「成年後見人」の選任対象は、親族や弁護士、司法書士、社会保険労務士などで、仕事は法律行為に関するものに限られ、本人に代わって財産を管理したり必要な契約を結んだりします。

◆後見人による不正も問題に
 需要が高まっている一方で、成年後見制度の利用が増えるに伴い、後見人による不正も問題となっています。
 最高裁判所の報告によると、成年後見人の起こした不正は、2010年6月から201212月末までに1,058件、被害金額は94億円超にも上っています。うち、親族後見人による不正が1,032件を占めています。

◆専門職の選任割合が増加
 こうした背景を踏まえ、また、適切な財産管理を行うという観点から、後見人として、親族ではなく弁護士や司法書士、社会保険労務士などの専門職を選任するケースが増えています。
 専門職の選任割合は、2012年に51.5%となり、2000年の後見制度開始以来、初めて半数を超えました。
 ただし、専門職であっても、知見等に濃淡があるのは事実です。今後は、裁判所等が後見人の業務を適切に監督する体制づくり等も求められると考えられます。


会社版「国勢調査」の結果からわかったこと

◆「経済センサス・活動調査」の結果が発表
 総務省と経済産業省は、会社版「国勢調査」とも言える「経済センサス・活動調査」(2012年)の確報を発表しました。
 今年1月に速報値を公表していましたが、今回の確報では、細かい業種や市町村別の従業員数、事業所数、付加価値額などを示しています。

◆従業員数が多い業種
 従業員数が多かった業種は次の通りです。

(1)「老人福祉・介護」…1791,324
(2)「病院」…1759,677
(3)「専門料理店」…1454,268
 8位には「一般診療所・開業医」(915,145人)が入り、医療・介護分野が上位に並んでいます。
 ただ、従業員が多い割に売上規模は小さく、1位の「老人福祉・介護」は売上高でみると全業種の54位、2位の「病院」は23位にとどまっています。
 こうした背景には、診療報酬や介護費用などが公定価格で縛られている結果として競争が生じにくく、経営効率も低くなっていることがあるようです。

◆付加価値額の大きい業種
 会社が1年間に稼ぎだした儲けを示す「付加価値額」の上位は次の通りです。

(1)「病院」…8兆1,699億円
(2)「銀行」…7兆2,304億円
(3)「一般貨物自動車運送」…5兆4,589億円
 こちらも6位には「一般診療所」が、9位には「老人福祉・介護」が入り、従業員数の調査と同じく医療・介護分野が上位に並んでいます。
 しかし、従業員1人あたりの付加価値(外国企業を除く)は、「病院」が517万円、「介護・福祉」が293万にとどまっているのに対し、「銀行」は1,656万円、「生命保険」は1,235万円となっています。

◆課題残る成長分野の医療・介護業界
 成長分野と期待される「医療・介護」分野が上位に並びましたが、従業員数に応じた売上高の上昇、生産性のアップがこれから求められるでしょう。


最近の「会社帰りの飲み会」事情

◆最近3カ月で「外飲み」した人は約7割
 株式会社インテージが今年8月に実施した「仕事帰りの外飲み事情2013」(ビジネスパーソン意識調査)の結果が発表されましたが、これによれば、最近3カ月で仕事帰りに飲みに行った人は、全体の約7割だったそうです。
 20代の男性が78.0%で最も多く、飲みに「行っていない」と回答したのは50代の女性が41.0%で最も多く、次いで40代の男性が38.0%となりました。

◆仕事帰りは誰と飲みに行く?
 仕事帰りの飲酒の相手で最も多かったのは、「職場の同僚(同性、異性問わず)」が55.9%で、すべての性別・年代において共通でした。
 性別・年代別では、2030代の男性は「職場の上司」、50代の男性では「職場の同僚(同性のみ)」と職場関係の割合が高いのに対し、女性は「会社、職場以外の友人・知人(同性のみ)」の割合が男性よりも高かったようです。

◆飲みに行く目的は?
 飲みに行く目的・理由で最も多かったのは「コミュニケーションをとりたかったから」(50.6%)で、「付き合いで、誘われたから」(44.9%)、「会話、話を楽しみたかったから」(36.8%)と続きました。
 性別・年代別でみると、20代男性が「ストレスを解消したかったから」が39.7%で最多となり、20代女性では「コミュニケーションをとりたかったから」が63.5%で最多でした。
 20代~40代の女性は、「会話、話を楽しみたかったから」が多く、飲酒の相手と同様に、男性と意識に差があるようです。

◆1回の飲み代はいくら?
 1回の飲み代の平均予算は「3000円程度」(38.2%)が最も多く、次いで「4000円程度」(27.7%)、「5000円程度」(17.8%)となっています。
 性別・年代別でみると、最も飲み代の予算が高かったのは50代の男性でした。飲み代の平均予算については、過去の調査と比較してもあまり変化は見られませんでした。

2013/09/01

9月の事務所便り


転職者は転職に際して何を重視している?

 ◆人材確保のためには何が必要?
 アベノミクス効果などにより景気が上向きつつある現在、転職を希望する人も徐々に増えてきているようです。
 企業が「優秀な人材」「望む人材」「欲しい人材」を獲得するためには、転職者に「この会社に行きたい」と思ってもらわなければなりません。
 それでは、転職者は何を求めて(何を理由に「この会社に行きたい」と思って)転職をするのでしょか?

 ◆調査結果から
 日本経済新聞社とNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションが共同で、転職に関する意識調査を実施しましたが、その結果によると、「転職の条件で重視するもの」(3つまで回答)の回答の上位7つは以下の通りだったそうです。

(1)給与水準
(2)会社の将来性
(3)福利厚生
(4)職場の人間関係
(5)スキルやキャリアを磨ける可能性
(6)職務やポスト
(7)会社の社会的貢献度

 ◆「給与以外」で重要な要素
 やはり1位はダントツで「給与水準」(82.2%)でした。「どうせ仕事をするなら、できるだけ高い給与が欲しい」と考えるのは、会社員にとって当然のことかもしれません。
 しかし、給与はもちろん重要な要素ですが、「仕事は大変でもやりがいがある」、「仕事を通じて自分の成長を実感できる」「仕事を通じて社会の役に立てる」などと感じてもらえる職場や業務を提供することが、とても大切なのではないでしょうか。
 今後、少子高齢化の進展により人材が不足することが確実視されていますが、会社の発展のために、どのような仕事を従業員に提供できるかがより重要になってくることでしょう。


女性は「仕事と家庭の両立」についてどう考えているか?

 ◆「育休3年化」には賛否
 政府の「成長戦略」の1つとして“女性の活躍”が前面に打ち出され、具体的な施策として「育児休業期間の3年化」が挙げられています。
 この施策について、メディケア生命保険株式会社の調査によれば、未就学児の母親(2049歳)のうち71.2%の人が「賛成」(「賛成する」と「どちらかといえば賛成する」の合計)と回答しています。
 しかし、好意的な意見もある一方、「育休取得後の職場での活躍を困難にする」(88.8%)、「不当な解雇が増える」(81.2%)といった不安の声も挙がっています。

 ◆両立のために必要なことは?
 仕事と家庭を両立させるために必要な要素は何でしょうか?

株式会社ビースタイルが運営する「しゅふ活研究室」(http://www.b-style.net/research/)が、主に働く意欲のある主婦層を対象に実施した「仕事と家庭の両立」についてのアンケート調査によれば、「仕事と家庭を両立できている」とする人は51.4%でしたが、そのうち65.8%が「不満がある」としています。

そして、「仕事と家庭を両立させる上で必要なこと」(複数回答)については、「条件に合う仕事」(86.0%)、「職場の理解」(83.7%)、「家族の理解・協力」(82.0%)が上位となっています。

 ◆“昇進意欲”がある人の割合は?
 また、公益財団法人21世紀職業財団が、従業員300人以上の企業に勤務する子どものいる正社員女性を対象に実施した「育児をしながら働く女性の昇進意欲やモチベーションに関する調査」によると、「あなたの昇進へ希望を教えてください」という問いに対して、「昇進したい」と回答した女性は全回答者(2,500人)のうち908名(36.3%)、「昇進したくない」と回答した女性は813名(32.5%)でした。
 「昇進はしたいけど家庭との両立ができなくなる」「家庭を犠牲にしてまで昇進したくない」と考える女性が多いのでしょうか。


「受動喫煙防止対策」の義務化と企業のコスト

 ◆受動喫煙防止対策の義務化
 平成2310月に召集された臨時国会(第179回国会)に提出されたたものの、審査未了となっている労働安全衛生法の改正案が、再び国会に提出されそうです。
 この改正案の一部に「受動喫煙防止対策」があります。
 これは、労働者の受動喫煙を防止するため、原則、職場の「全面禁煙」または「空間分煙」による措置を企業に対して義務付けるものです。
 ただし、当分の間は、飲食店その他の当該措置が困難な事業場については、受動喫煙の程度を低減させるため、一定の濃度または換気の基準を守ることを義務付けるとしています。

 ◆企業にかかるコストは?
 企業が受動喫煙防止対策に取り組む場合、喫煙室設置などの分煙対策や、換気改善などに多額の費用がかかるため、国では「受動喫煙防止対策助成金」を用意しています。
 しかし、企業にかかるコストはそれ以外にもあるようです。
 オハイオ州立大学(アメリカ)のチームは、会社は、タバコを吸う社員に対して、社員1人あたり年間6,000ドル(約59万円)も余計なコストを負担しているとの試算結果を発表しました。
 このコストの内訳は、「タバコ休憩による生産性の損失」「ニコチン中毒による仕事効率のダウン」「保険料のアップ」などです。
 例えば、従業員が勤務時間中に1日2本(1本あたり15分)タバコを吸った場合、1年間で企業にとって3,077ドル(約30万円)の損失が生じるとのことです。

 ◆企業も何らかの手を
 上記のように、タバコによる損失・デメリットには、様々なものがあります。
 タバコに対して世の中の視線が非常に厳しくなっている今、法改正の有無にかかわらず、企業としても何らかの手を打たなければならない時期に来ているようです。


「労働者派遣制度」見直しに関する最新動向

 ◆制度見直しの“3つの視点”
 厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(以下、「研究会」)は、8月6日に開催された会合で報告書素案を公表し、今後、労働政策審議会で行われる見直しの議論のための方向性や論点を示しました。
 この報告書素案では、これからの制度検討の基本的視点として、(1)派遣労働者の保護と雇用の安定、(2)派遣労働者のキャリアアップ推進、(3)労働者派遣制度を労使双方にとってわかりやすいものとすること、が挙げられています。

 ◆気になる「26業務」や「派遣期間」の行方は?
 現行、正規社員の雇用を脅かすおそれがないとして、ソフトウェア開発や通訳、アナウンサーの業務等の26の業務(以下、「26業務」)については、派遣期間の上限が設けられていません。
 これらについては、専門業務の枠組みをすべて廃止したうえで、期間に上限を設けるかどうかは派遣労働者と派遣元との間で締結される雇用契約によって変えられるようにし、有期雇用についてはすべての業務で派遣期間を「最長3年」とすることが適当とする案が示されました。
 そして、派遣期間については、現在、派遣先の業務単位で制限が設けられており、同一業務での派遣の受入れは最長3年とされていますが、これを労働者個人ごとの期間制限とし、前任者の有無にかかわらず同じ部署で最長3年まで働けることとする案が示されました。

 ◆来年の通常国会に改正法案提出予定
 今後は、公表された報告書素案をもとに2013年8月中に報告書を作成し、労働政策審議 で労働者派遣法の改正についての詳細を検討したうえで、2014年の通常国会に改正法案を提出することが予定されています。
 派遣労働者を利用している事業所にとっては、労働者派遣制度をめぐる法規制が大きく変更される可能性がありますので、今後の動向に注目する必要があるでしょう。


「社会保障制度改革国民会議」が示した改革の方向性

 ◆1年に及ぶ議論を経て報告書提出
 2012年に成立した「社会保障制度改革推進法」により内閣に設置されていた社会保障制度改革国民会議は、8月5日に報告書を公表、翌6日、安倍首相に提出しました。
 報告書では、各種給付を「全世代型」の給付に見直すことが示されました。これまで高齢者に対し特に手厚い制度となっていたものを、若い世代向けの出産や育児に関する保障を厚くし、高齢者でも高所得者については相応の負担を求め、現役世代に限らず幅広い世代で負担を分かち合う方向に転換するというものです。
 また、超高齢化社会に対応するため、来年4月から予定通り消費税率を引き上げ、引上げ分を財源として医療や介護の充実を図ることを提言しています。
 以下、その主な内容を紹介します。

 ◆医療保険・介護保険関連
 負担に関する見直しとして、(1)7074歳の医療費について、新たに70歳となる人から2割負担とすること、(2)高所得者の介護保険の利用者負担の引上げ、(3)健康保険料の上限引上げ、(4)75歳以上の後期高齢者向け医療費の支援金に「総報酬割」を全面導入すること等が挙げられます。

 ◆年金関連
 話題になっていた抜本改革は見送られ、給付開始年齢の引下げについても中長期的な議論として引き続き検討を求めるにとどまりましたが、(1)非正規労働者への適用拡大、(2)高所得者に対する年金減額、(3)デフレ下においても給付増を抑制する機能が働くようにすること等が盛り込まれました。

 ◆少子化対策関連
 他の項目に比べると具体策に乏しい印象ですが、(1)雇用保険の育児休業給付の引上げ(厚生労働省は5割→6割を検討)、(2)消費税引上げ分を財源とした待機児童解消策の実施等が盛り込まれました。


「最低賃金」と「定額残業代」

 ◆平均で14円の引上げに
 最低賃金が引き上げられます。政府は、今年10月頃に予定している平成25年度改定に合わせて、最低賃金の額の引上げ方針を固めました。
 引上げ幅は全国平均で「14円」が目安とされています。現在の最低賃金(時給)は、全国平均で749円ですので、763円への引上げになります。今後はこれを目安に、都道府県ごとの最低賃金が決定されます。
 賃金の引上げに向けて、政府は企業の内部留保が投資や賃金に回るような誘導策を導入する方針です。一方、負担の大きい中小企業に対しては、経営を過度に圧迫しない対応も慎重に検討していくとしています。

 ◆最低賃金に関する注意点
 パートやアルバイトの従業員がいない企業でも、最低賃金には要注意です。
 月給制の場合でも、基本給+固定的手当の総額を時間単価に直した場合、その額が最低賃金を下回ると法違反となり罰金が科される可能性があります。さすがにこの基準自体はクリアしていることが多いと思いますが、消費税引上げを見据えて最低賃金引上げの圧力は強いようです。

 ◆「定額残業代」の最近の傾向
 給与制度にはいろいろなものがありますが、導入している企業も多い「定額残業代制度」には問題点もあるようです。
 定額残業代の支払方法には、(1)手当として支払う方式、(2)基本給などに組み込んで支払う方式などがあります。ここ数年で日常茶飯事となった感のある未払残業代訴訟では、これらの支払方法によって、会社側の主張が認められにくくなる場合があります。
 (1)については、就業規則や雇用契約書に定めがあれば、裁判でも定額残業代が認められやすい傾向にあります。しかし(2)については特に問題が多く、裁判で否定されることが多いようです。

 ◆これから定額残業代を導入する場合
 新たに定額残業代制度を導入しようとする場合、その多くは労働条件の不利益変更に該当することになります。その場合は、書面による従業員との明確な合意が必要です。また、同意を得る前に、従業員に対する説明会や個別面談を行うなど、導入には周到な準備が必要です。加えて、就業規則や雇用契約書などの書式類、残業管理方法の見直しについて準備しておきましょう。


「年上部下」への人事評価に対する“抵抗感”

 ◆「年上部下」に対する評価行動の実態と課題
 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構から、60歳以上の部下を持つ管理職の評価行動の実態等に関する調査の結果が公表されました。
 この調査は、60歳以上の社員(正社員・継続雇用者)を部下に持つ管理職(30歳~59 歳)の評価行動の実態と課題を明らかにするために行われました。

 ◆調査結果のポイント

60歳以上の部下の平均年齢……63歳弱
◇人事評価の実施率……9割弱
◇継続雇用者の部下に対する人事評価結果の活用……「契約の更新」(82.7%)、「ボーナス」(62.8%)、「昇進」(60.2%)
◇人事評価のための面接……7割程度が実施 (正社員69.2%、継続雇用者69.2%)
◇目標管理……6割強が実施
◇元上司が60歳以降に部下になることについて……6割弱が「抵抗感がある」

 ◆元上司が部下になることのプラス面・マイナス面
 元上司が部下になることに関連して、「年上部下」を活用するときの

【プラス面】は、次のように評価されています(正社員/継続雇用者)。
・「経験を活かしたアドバイスがもらえる」(81.7%/81.8%)
・「面倒見がよい」(71.1%/68.6%)
・「人脈を持っている」(69.4%/62.6%)

また、【マイナス面】については、次のように評価されています。
・「柔軟性にかける」(61.7%/64.0%)
・「過去の経験に固執している」(57.9%/57.2%)
・「事務的な仕事を自分でやろうとしない」(45.4%/46.7%)

 ◆高齢者の戦力化のために
 高齢者の戦力化を図り、労務管理がうまくいくためには、高齢者向けの人事制度に加え、評価制度も整備することが求められます。
 評価を行う管理職には、高齢者のいまの状態を知って評価し、評価面談を有効に活用する力が必要です。他方で、高齢者も自らの強みや弱みを考えることが求められます。これからの時代に対応した組織運営にはこうしたことも必要とされているようです。


「女性の管理職登用」 様々な措置が始まっています

 ◆成長戦略の柱―女性の管理職登用
 2011年の厚生労働省調査によると、日本企業において、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は6.8%。軒並み30%を超える欧米諸国に比べ、極めて低いのが現状です。
 政府は、成長戦略の柱として、「2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を30%程度とする」、「上場企業は女性役員を1人以上置く」等の具体的な目標数値を決め、優遇措置も掲げています。

 ◆現状を「見える化」
 現状を「見える化」し、企業の取組みを促すために、政府は、上場企業を対象に、各企業の女性登用状況(従業員・管理職・役員の女性比率、女性の平均勤続年数など)の一覧を、来年度から国のホームページで公開する方針を固めました。
 公開した内容については、市場関係者や消費者、学生らに、投資先・就職先を選択する際の情報として利用されることが見込まれています。
 こうした情報の開示が進むことで、取組みの遅れている企業への刺激となることも期待されます。

 ◆女性登用は株式評価へも影響を与える?
 また、東京証券取引所は、女性活用の先行企業17社を「なでしこ銘柄」として選定しました。今後も、個人投資家を市場に呼び込むプロジェクトの一環として、続けていく方針です。
 女性の登用は、株式市場の評価まで左右する、企業にとって重要なものとなってきていると言えます。


厚労省が「ブラック企業」の取締りを強化へ

 ◆いよいよ「ブラック企業」の本格取締りがスタート
 厚生労働省は、若年労働者等の使い捨てが疑われる企業(いわゆる「ブラック企業」)が社会問題となっていることを受けて、9月に集中的な監督指導を行うことを発表しました。
 具体的には、以下の3つを柱として対策を行っていくとのことです。

 ◆(1)長時間労働抑制に向けた集中的な取組みの実施
 9月を「過重労働重点監督月間」と定め、過重労働が行われている疑いのある約4,000事業所について、重点的に指導・監督を実施します。
 主な重点確認事項については、時間外・休日労働が36協定の範囲内であるかの確認やサービス残業の有無についての確認があり、これらについて法違反が認められた場合は是正指導が行われます。また、長時間労働者に対しては、医師による面接指導などの健康確保措置が確実に講じられるよう指導も行っていくようです。
 過労死等事案を起こした、または、脳・心臓疾患等に係る労災請求が行われたなどの企業等については、再発防止の取組を徹底させるため、法違反の是正確認後もフォローアップのための監督指導が実施されるようです。
 監督指導の結果、法違反の是正が行われない場合は、是正が認められるまで、ハローワークにおける職業紹介の対象から外すことも決定しており、重大・悪質な違反が確認された企業については、送検、公表するとしています。

 ◆(2)しっかりとした相談対応
 9月1日には、全国一斉の電話相談を実施し、過重労働が疑われる企業などに関する相談を踏まえ、法違反が疑われる企業に監督・指導を行います。9月2日以後も、「総合労働相談コーナー」、「労働基準関係情報メール窓口」で相談や情報を受け付けします。
 新卒応援ハローワークでも、情報・相談を受け付け、労働基準法などの違反が疑われる企業に関しては労働基準監督署に情報を提供するとしています。

 ◆(3)職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進
 ポータルサイト「あかるい職場応援団」(http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/)を通じ、パワハラに関する裁判例を解説したり、パワハラ対策に取り組んでいる企業を紹介したりします。
 また、パワハラ対策の必要性等をわかりやすく説明したポスター、リーフレット等を作成し、全国の行政機関等で掲示・配布するとのことです。


世代によって大きく違う? “働き方”に対する意識調査

 3040代の約半数が「仕事にやりがいなし」
 日本能率協会が同協会研究所のリサーチモニター(1869歳の有職者1,000人)を対象に、第1回「ビジネスパーソン1,000 人調査」を実施し、働き方に関する意識を調べた調査結果を発表しました。
 それによると、30代~40代の約半数が「仕事にやりがいなし」「能力発揮できていない」と考えていたことがわかりました。
 現在の仕事に関するやりがいについて聞いたところ、全体ではやりがいを「感じている」「やや感じている」の合計が58.4%と半数以上を占めましたが、比率が高かったのは60代(70.2%)や50代(61.9%)といった高齢者で、30代(53.5%)や40代(54.9%)については低かったようです。
 

 ◆勤務先への愛着は?
 同様に、現在の勤務先に対する愛着について聞いたところ、全体では58.7%が「愛着を感じている」と回答し、「愛着を感じていない」(41.3%)を上回りましたが、ここでも40代が53.9%、30代も54.6%にすぎなかったのに対し、60代が76.7%、50代が62.4%と高く、世代によって違いがみられました。

 ◆自己の能力を発揮できているか?
 次に、「現在の仕事は自己の能力を発揮できていると思うか」という設問には、全体では「発揮できている」(55.2%)が「発揮できていない」(44.8%)を上回ったものの、30代(46.2%)、40代(51.5%)が「発揮できていない」と答え、上記の設問と同じような傾向となりました。

 ◆“疲弊するミドル層”への対策
 この調査結果から、働き盛りの30代~40代は、上の世代に比べ、「仕事に対するやりがい」、「勤務先への愛着」、「能力発揮の実感」が低かったことが明らかになりました。
 同協会では、「組織の中核たるミドルの疲弊として危機感を持って受け止めるべきだ」と提言しています。