2014/07/01

7月の事務所便り

「改正労働者派遣法」が成立したらどんな影響が?

 

◆審議は遅れ気味

現在開会中の通常国会(会期末は622日)では、「改正雇用保険法」「改正パート労働法」などが成立しました。

各方面から注目を浴びている「改正労働者派遣法案」については現時点で審議は遅れ気味であり、今国会での成立が危うい状況ですが、成立した場合にはどのような影響が考えられるのでしょうか?

【改正法案の内容】

(1)特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別の廃止(すべて許可制に)

(2)専門26業務の廃止

(3)派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)の創設

(4)派遣元事業主に対し派遣労働者へ新たな派遣先を提供すること等の義務付け

(5)派遣労働者の均衡待遇の確保・キャリアアップの推進

 

◆人材会社が受ける影響

株式会社アイ・アム&インターワークスでは、人材会社および派遣労働者を対象に、改正労働者派遣法に関するインターネット調査を実施し、その結果が発表されました。

改正内容のうち最も影響を受けるものについて人材会社の回答は次の通りでした。

(1)派遣期間の上限が「1業務あたり3年」から「1人あたり3年」に変更されること(64.5%)

(2)専門26業務と自由化業務の区分がなくなること(13.6%)

(3)雇用期間が終了する派遣社員に次の就業先を紹介すること(9.1%)

 

◆派遣社員が受ける影響

同様の質問に対する派遣社員の回答のトップも人材会社と同様でした。

(1)派遣期間の上限が「1業務あたり3年」から「1人あたり3年」に変更されること(33.3%)

(2)派遣という働き方から抜け出す機会を失ってしまう気がする(28.7%)

(3)専門26業務と自由化業務の区分がなくなること(14.0%)

 

◆非正規労働者をどのように活用するか

今回の派遣法改正は、派遣労働者の非正規労働者としての処遇改善と雇用の安定化につながるとの見方もあり、当然に派遣先にも大きな影響を与えます。

自社において派遣労働者を含めた非正規労働者を今後どのように活用していくのかを検討しなければなりません。

 

「働きやすい・働きがいのある職場」にするための取組み

 

◆高まる“人手不足感”

雇用情勢が良くなりつつある現在、人手不足感が高まってきています。特に建設業や介護事業、飲食業、サービス業等においてこの傾向は顕著です。

企業にとって近年の死活問題とも言える「人材確保」や「採用後の職場定着」を図るためには、働きがいのある職場づくりが重要です。

そんな中、厚生労働省が設置したプロジェクト企画委員会では、「働きやすい・働きがいのある職場づくり」を促進するため、中小企業が活用できる各種ツールを作成しました。

 

◆「ツール」の内容

同委員会が作成したツールの内容は、下記の3つです。

(1)ポータルサイト「働きやすい・働きがいのある職場づくりサイト」

…中小企業の取組み事例、中小企業事業主向けの支援策や調査報告書の概要を掲載したポータルサイト

(2)「働きやすい・働きがいのある職場づくり事例集」

…「評価・処遇」「人材育成」「業務管理・組織管理」「人間関係管理」に取り組む中小企業の事例を業種別・取組み別に紹介した事例集

(3)「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」

…雇用管理制度などの取組み状況と「働きやすさ」「働きがい」との関係などについて、中小企業の人事担当者と中小企業で働く従業員を対象に調査した報告書

 

◆ポータルサイトにおける事例紹介

上記(1)のポータルサイトでは、「働きやすい・働きがいのある職場づくり」の事例が紹介されています。自社の参考にしてみてはいかがでしょうか。

・入社半年後の新入社員を対象として「新入社員フォローアップ懇談会」を実施し、社員の定着を図っている。(製造業)

・社員間の情報共有システムを構築し、各職場における仕事や課題の状況を全社員で共有できるようにして職場での問題対応に活用している。(情報通信業)

・メンター制度を核にした育成・評価制度の導入によって従業員の働きがいや働きやすさを追求している。(サービス業)

・目標管理面談や毎月の面談を通じて職員の希望や提案を吸い上げ、ジョブ・ローテーションや業務改善に活用している。(福祉関連業)

・数年前から導入した新たな評価処遇制度のもとで、多面的評価・評価結果のフィードバック・給与等との連動を実施している。(建設業)

 

「改正パートタイム労働法」省令や指針に注意!

 

◆改正パートタイム労働法の概要

4月23日に公布された改正パートタイム労働法(以下、「改正法」)では、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇の面で正社員との差別的取扱いが禁止されるパート労働者の範囲の拡大、また、待遇の決定についてパート労働者の納得性を高めるために行う雇入れ時の説明義務等が規定されましたが、これらの具体的な取扱いは省令や指針に規定されます。

現在、厚生労働省(労働政策審議会雇用均等分科会)において、省令や指針の見直しの議論が進められており、実務への影響が大きいことからその行方が関心を集めています。

 

◆「一律○円」による通勤手当の支給は要注意?

改正法101項は、正社員との均衡確保の努力義務の対象となる賃金について「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く」と規定していますが、「職務に密接に関連して支払われるもの」については均衡確保の努力義務の対象となるよう、省令が見直される予定です。

雇用均等分科会の資料では、「距離や実際かかっている経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っているような場合については、職務関連として整理されるのではないか」とされており、7月下旬に公布される予定の改正省令でどのように規定されるか、注意を要します。

 

◆苦情等相談窓口の設置および周知について

改正法では、上記の通り、雇入れ時の事業主による説明義務が規定されるとともに、16条で、パート労働者からの相談に応じるための体制の整備を義務付けています。

これにより設置される相談窓口が、改正省令では雇入れ時に文書交付等により明示すべき事項に追加される見通しですので、体制の整備だけでなくその周知も行わなければならないこととなります。



7月から協会けんぽの申請書・届出書が新しくなります

 

◆加入者・事業主等の利便性に配慮

 健康保険給付の支給を申請する際、各種申請書・届出書を提出して行いますが、7月1日より、協会けんぽのこれらの様式がOCR様式への刷新に伴いフォーマットが大きく変更されます。

申請書には加入者が記入する欄だけでなく事業主や医師等が記入する欄も設けられていますが、それらが従来よりも明確に区別されたり、誤記入を防ぐため特に注意すべき点を目立たせた「記入の手引き」が用意されたりするなど、加入者・事業主等の利便性が考慮されています。

 

◆新しくなる様式は29種類

申請書・届出書には健康保険給付に関するものの他、保険証再交付等に関するもの、任意継続に関するもの、健診に関するものがありますが、これらのうち29種類の様式が新しくなります。

対象となる様式について、主なものは協会けんぽのホームページで確認することができます。

 

◆負傷による給付申請の際は「負傷原因届」を提出

従来、負傷(けが)を理由として健康保険給付を申請する場合は、「傷病手当金支給申請書」や「高額療養費支給申請書」の「負傷原因記入欄」に記入することとされていましたが、新様式にはその欄が設けられていません。新様式に移行した後は、添付書類として「負傷原因届」に記入して提出することとなりますので、注意が必要です。

なお、「傷病手当金支給申請書」は全4ページに変更となります(1~2ページ目が申請者情報・申請内容、3ページ目が事業主の証明、4ページ目が療養担当者の意見書)。

 

◆新様式の入手方法等

7月1日以降、協会けんぽの窓口に置いてある様式やホームページからダウンロードできる様式は、新しいものに切り替えられます。また、ユーザー登録をすれば全国のセブンイレブンの「ネットプリント」(有料)サービスでも入手することができます。

なお、7月1日以降すぐに旧様式が使えなくなるわけではありませんが、協会けんぽではスムーズな手続きができるよう新様式への切替えについて協力を呼びかけています。




平成26年版「パートタイマー白書」にみる人材の過不足感

 

◆人材の過不足感に関する調査

「パートタイマー白書」は、株式会社アイデムにより平成9年度から刊行されている調査報告書です。

この中に、人材の過不足感に関する調査結果があります。この調査は、正社員と非正規雇用の従業員(パート・アルバイト、契約社員、派遣社員)を雇用している企業に対して実施しています。

 

◆若年層の正社員が不足

自社の従業員に対する過不足感を雇用形態別・年代別に問うと、いずれの形態においても、若い年代で不足感が高いようです。特に、正社員においてその傾向は顕著で、20代正社員が「不足」とした企業は56.3%となっていますし、30代正社員では47.3%と半数近くに上ります。

他の年代の正社員に対する不足感が40代:22.0%、50代:8.3%、60代以上:4.2%となっているのと比較すると、若年層の不足感よくわかります。

また、業種別では、「建設業」「運輸業」の約6~7割の企業で、20代・30代の正社員が「不足」していると回答しており、若手人材の獲得は大変なようです。

 

◆パート・アルバイトの年代別過不足感

パート・アルバイトでも、若い年代のほうが、不足感が強い(20代:25.2%、30代:20.5%)ですが、正社員の不足感のほうがより強いようです。

業種別に見ると、「飲食店、宿泊業」「生活関連サービス・娯楽業」では、20代パート・アルバイトが「不足」していると回答した企業が約5割に上り、他の業種よりも割合が高くなっています。

 

◆契約社員・嘱託社員/派遣社員の年代別過不足感

契約社員・嘱託社員については、どの年代に対しても「ちょうどよい」という回答が8割を超えています。派遣社員についても約9割の企業が「ちょうどよい」との回答でした。

非正規労働者を正社員化する企業が多くなってきていますが、人材不足への対応として、特に若年層の囲い込み競争は今後さらに激化しそうです。



個別労働紛争解決制度」の利用状況発表 トラブルの特徴は?

 

◆平成25年度の実施状況は?

厚生労働省から「平成25年度個別労働紛争解決制度」の施行状況が公表されました。

「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルの未然防止や早期解決を支援する制度で、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

 

◆パワハラが2年連続最多に

平成25年度は、前年度に比べていずれの方法でも件数が減少しました。

ただし、総合労働相談の件数は前年度比1.6%減となったものの、6年連続で100万件を超え、高止まりしています。助言・指導申出件数は、約1万件(同3.3%減)、あっせん申請件数は約5,700件(同5.5%減)となっています。

また、総合労働相談のうち、民事上の個別労働紛争の相談内容で、いわゆるパワハラにあたる「いじめ・嫌がらせ」が5万9,197件と2年連続で最多となっていることが注目されます。

相談内容の内訳として、パワハラの次に多いものは、順に「解雇」(4万3,956件)、「自己都合退職」(3万3,049件)となっています。

 

◆正社員が当事者になる割合は減少傾向

紛争の当事者である労働者の就労形態としては、総合労働相談については、「正社員」9万7,573件(39.7%)、「パート・アルバイト」4万604件(16.5%)、「期間契約社員」2万6,696件(10.9%)、「派遣労働者」1万31件(4.1%)となっています。

過去10年の推移で就労形態別の当事者の属性を見ると、正社員は減少傾向にあり、期間契約社員が増加傾向、パート・アルバイトや派遣社員については横ばいという状況です。これは、他の「助言・指導」「あっせん」の方法でも、同様の傾向のようです。

助言・指導は1カ月以内に96.8%が、あっせんは2カ月以内に94.5%が手続きを終了するなど、“簡易・迅速・無料”という特徴をアピールしている制度ですが、できれば利用する必要がないよう、日頃から適切な労務管理を心がけたいですね。



「効果的な社内研修」を実施できていますか?

 

◆なかなか効果が出ない現実…

従業員の能力アップや成長を図るために、社内研修を行う企業は多くあります。しかし、その効果が上がっているかと問われると、疑問符がつくケースも多いところです。

「何から手をつけたらよいのかわからない」、「研修にかけられる予算はあまりない」、「社内に研修を行うことができる人材がいない」、「時間をかけた割には成果が現れない」など、悩むことも少なくありません。

 

◆研修の成果を上げる取組み

しかし、ちょっとした工夫で、効果的な社内研修を行うことは十分可能です。

例えば、公益財団法人日本生産性本部では、研修の成果を上げている会社のポイントとして、次の5点を挙げており、非常に参考になります。

(1)目的やゴールを明確にしてプログラム化する

(2)研修テーマを絞り参加者にも事前に周知する

(3)研修のステータスを上げる(研修を日常業務に優先する重要なものと位置付ける)

(4)研修と実務の結び付きを強める

(5)階層間をつなげた教育研修を行う

意識・意欲を高めるために受講者に参加費を自己負担させたり、より現実の必要性に即した研修とするために一般社員に研修を企画させたりするといった取組みを行っている企業もあるようです。

 

◆継続した取組みが肝要

なかなか効果が出ないと研修にかける意欲も失われがちですが、企業の成長には従業員の能力アップや成長が不可欠であることは間違いありません。

長期的な視点で、継続して取り組み続けることが大切です。

まずは上記に挙げた5点ができているか、社内研修のやり方を見直してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。



改めて確認しておきたい「クレーム対応」の基本

 

◆増えているクレーム

クレームに関しては、「顧客が苦情を企業に伝えるのは26件中1件」という測定結果(1984年)が有名で、この数字がいわばクレーム対応を行う上での常識ともなっています。

しかし、現在、クレームの発生率は確実に上昇しており、あるリサーチによると、「4.63回に1回」(2012年)という結果も出ています。クレーム発生率が跳ね上がっている昨今、無用のトラブルを防ぐためには、今一度クレーム対応のやり方について見直しておく必要があります。

こうした状況を反映してか、クレーム対応をテーマとしたセミナー等も増えており、また、会社顧問として外部の実力のある苦情処理専門家を置く企業も急増しています。

 

◆「当たり前のことを当たり前にやる」ことが大切

クレーム対応では、初期対応が最も大切です。そこで、「当たり前のことを当たり前にできる」体制づくりが一番効果的なクレーム対応策となります。

例えば、次のこと等を社員の間で徹底しておきましょう。

・後回しは確実にクレームを悪化させるため、クレーム対応は最優先で行う

・応対する者により返答が異ならないようにクレーム対応方法の標準化(一元化)を行う

・引継ぎの際に確実な情報連携を行い、何度も同じことを聞かずに済むようにする

・クレームの原因究明を行うことができる場を設ける

また、受けたクレームを記録に残し、情報を共有できるようにすることも効果的です。

このような体制を確立するためには、電話応対など、研修で教育することが必要となることもあります。

 

◆状況に応じた対応を

もちろん、中にはいわゆる「モンスター・クレーマー」のような、対応に苦慮するクレームもあります。社内で対応が困難なハードクレームについては、弁護士や警察に解決を任せる必要があるものもあります。

適宜、状況に応じた対応ができるようになれば、クレーム対応は万全と言えるでしょう。



人手不足産業でも採用できた事業所とできなかった事業所の違い

 

◆医療・福祉、建設業における人手不足が深刻

厚生労働省が発表した「人手不足産業における高卒求人の充足状況」によると、平成25年度の高卒者向け求人は、製造業、医療・福祉、建設業、卸売・小売業などで多かったですが、これらの産業の充足率をみると、医療・福祉で31.3%、建設業で34.2%と低く、人手不足の深刻化による充足率の向上が課題となっています。

 

◆採用できた事業所・できなかった事業所の差は?

充足率が低かった医療・福祉と建設業において、高卒求人票を用いて採用できた事業所とできなかった事業所の違いをみると、医療・福祉では、早期(平成25年7月末まで)に求人を出した事業所の割合が、採用できた事業所で77.2%、採用できなかった事業所で 58.7%となり、差が見られました。

また、求人票に「採用・離職状況」の記載があった事業所の割合は、採用できた事業所で73.6%、採用できなかった事業所で60.4%となっています。

建設業でも、早期に求人を提出した事業所の割合については、採用できた事業所(69.2%)が採用できなかった事業所(45.1%)を大きく上回りました。

これらのことから、「早期の求人提出」、「求人票における積極的な情報提供」が充足に大きな影響を与えている要因と考えられます。

 

◆なぜ人が集まらないのか?

高校の進路指導担当教諭に対して、充足率の向上が課題となっている3産業(建設業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業)に生徒が応募しない理由を聞いたところ、宿泊業・飲食サービス業では、「休日が少ない・労働時間が長い・勤務時間が不規則等、労働時間の問題」、建設業と医療・福祉では、「仕事がきつそう・面白くなさそう等、仕事内容(職種)の問題」という回答割合が高かったようです。

 

◆充足率向上のために必要な改善点

必要な改善点について、高校の進路指導担当教諭からの意見をまとめると、「医療・福祉」では、給与・休日・労働時間等労働条件を改善し、社会的評価・イメージを向上させる取組み、日勤・夜勤といった就業規則が不規則でも生活のリズムが崩れない配慮、OJTの充実と資格取得までの制度や支援の充実などが挙げられました。

「建設業」では、将来性やスキルアップのビジョンを示すことや、3Kのイメージを払拭する取組み、労働条件の改善、「宿泊業・飲食サービス業」では、長時間拘束される労働条件改善のための交代制シフトの導入や正社員としての仕事内容とキャリアアップの将来像を示すことなどが挙げられました。




不当な差別は勧告の対象に! 障害者雇用に関する動向

 

◆「障害者への差別禁止」と「職場環境の配慮」を義務化

昨年成立した改正障害者雇用促進法により、再来年の2016年4月から、企業が障害者を雇用する際の差別禁止や、職場環境の配慮が義務化されます。

これらに違反した企業は指導や勧告の対象になるようです。同省は労使の意見も踏まえ、2015年3月末までに指針を策定する予定です。

 

◆差別の禁止に関する指針のポイント

厚生労働省が発表した報告書によると、対象となる障害者の範囲は障害者雇用促進法に規定する障害者、対象となる事業主の範囲はすべての事業主です。

募集・採用、賃金、配置、昇進などの各項目に沿って禁止される差別を整理する必要があるとし、各項目について、障害者であることを理由にその対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることが差別に該当するとしています。

また、障害者を有利に取り扱うことや、合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果として異なる取扱いを行うことなどは、差別に当たらないとしています。

 

◆合理的配慮の提供に関する指針のポイント

障害者、事業主の範囲は「差別の禁止に関する指針」と同じです。募集・採用時には、障害者から事業主に対し、支障となっている事情などを事前に申し出、採用後には、事業主から障害者に対し、職場で支障となっている事情の有無についての確認などが必要になってくるようです。

また、事業主は合理的配慮に関する措置を障害者と話し合い、合理的配慮に関する措置を確定した際には、内容と理由を障害者に説明するなどの対応が必要になってくるようです。

合理的配慮の具体的な例としては、募集および採用時におけるものとして、視覚障害の方に対する募集内容の音声等での提供や、聴覚・言語障害の方に対する筆談等による面接などが挙げられています。

採用後におけるものとして、肢体不自由な方に対しては、机の高さを調節すること等、作業を可能にする工夫を行うことや、精神障害の方に対しては、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮することが挙げられています。

 

◆今後の行政による取組み

同省は、指針の策定に加え、行政による様々な取組みが重要であるとし、事業主や労働者に対する障害の特性などに関するパンフレットの配布、セミナーの実施などの啓発活動や、合理的配慮の適切な提供に向け、具体的な事例の収集・情報提供やジョブコーチ(障害者が職場に適応するための援助者)の質的な充実などの対策を講じていくようです

2014/06/01

6月の事務所便り


「待機時間」の扱いはどうすればよい?

 

◆ドライバーの待機時間に関する争い

賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間(手待ち時間)について、「荷物管理を要求されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは相当でない」として、労働時間に該当するとする判決が出ました(424日横浜地裁相模原支部)。

会社側は、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には該当しない」と主張していましたが、裁判所はこれを認めず、従業員・元従業員計4人に対する未払い賃金約4,289万円と、これと同額の付加金の支払いを会社に命じました。

会社側の弁護士は「判決を精査したうえで今後の対応を考えたい」としており、今度控訴する可能性もあります。

 

◆「休憩時間」とは?

実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。

厚生労働省の通達では、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと」とされています。

 

◆ホームページ上のQ&A

また、同省のホームページでは、「私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?」という問いに対し、「休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待ち時間は休憩に含まれません。ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。」と回答しています。

 

◆「規定化」がトラブル防止に

特定の時間帯が労働時間に該当するか休憩時間に該当するかについて曖昧になっているケースは多く、非常にトラブルが生じやすい問題ですが、「労働時間に該当する時間」、「休憩時間に該当する時間」を社内ではっきりさせておき、労使双方が納得したうえで規定化しておくことがトラブルを防止するための1つのポイントと言えるでしょう。



「ストレスチェック」の内容と職場ストレスに関する最近の傾向

 

◆「ストレスチェック」の具体的内容

現在、国会で審議中の改正労働安全衛生法案に「ストレスチェック制度の義務付け」(従業員50人以上の企業が対象)が盛り込まれているのはご承知のことと思います。

このストレスチェックの内容は、下記の9項目について直近1カ月間の状態が「ほとんどなかった」「ときどきあった」「しばしばあった」「ほとんどいつもあった」のいずれに該当するかを労働者が回答し、その回答から判断される方法がベースになるようですが、今後、項目の変更や追加の可能性もあります。

(1)ひどく疲れた

(2)へとへとだ

(3)だるい

(4)気が張りつめている

(5)不安だ

(6)落ち着かない

(7)ゆううつだ

(8)何をするのも面倒だ

(9)気分が晴れない

 

◆これだけで本当にチェック可能!?

これらの質問に答えるだけでメンタル不調に該当するか否かを判断できるのか、甚だ疑問ではありますが、この9項目は旧労働省の委託研究を経て公開されたものであり、現在すでに使用されている「職業性ストレス簡易調査票」の一部に該当するものです。

 

◆職場のストレスの傾向は?

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントによるメンタルヘルス対策プログラム(アドバンテッジEAP)の利用実績データ(2013年に約24万人が利用)の分析結果によると、職場のストレスについて、下記の傾向が明らかになったそうです。

・高ストレス者の割合は3年連続で増加

・年代別では「2529歳」で高ストレス者の割合が高い

・男性のストレス要因は「心理的サポート不足」「仕事の量・質」

・女性のストレス要因は「意見尊重の風土」がトップ

改正法案の成立後、今以上にきめ細かなメンタルヘルス対策が求められることになりますので、これらの傾向も参考にしながら、自社における課題を明らかにしておく必要があるでしょう。



「自動車運転死傷行為処罰法」が520日より施行されます

 

◆飲酒や薬物の影響で事故を起こした場合の罰則強化

「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」という)は、昨年11月に成立し、「通行禁止道路の高速走行」やアルコールや薬物の摂取、特定の病気の影響で「正常な運転に支障が出るおそれのある状態」で運転し人を死亡させた場合に懲役15年以下、人を負傷させた場合に懲役12年以下とする規定が盛り込まれています。

現行刑法の「危険運転致死傷罪」の適用範囲が狭すぎるとして批判があったことを受け、刑法から自動車事故に関連する規定を分離して成立しました。

 

◆重罰化されるケースとは?

本法制定のきっかけは、栃木県鹿沼市の運転手がてんかん発作を起こし、登校中の小学生6人を死亡させた事故(2011年)や、京都府亀岡市の無免許運転により小学生等計10人がはねられて3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故(2012年)です。

本法における「特定の病気」には統合失調症や双極性障害(躁うつ病)、てんかん、低血糖症、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害等が含まれ、運転に必要な能力を欠いている場合や意識障害、運動障害を再発するおそれがある場合に適用されることとなっています。

また、「通行禁止道路の高速走行」としては、車両通行止め道路、歩行者専用道路、自転車および歩行者専用道路、一方通行道路の逆走、高速道路の逆走等が対象です。

さらに、アルコールや薬物の摂取により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転したケース、アルコールや薬物の影響で死傷事故を起こした場合にその影響をごまかすために事後にアルコールや薬物をさらに摂取したり現場を離れてアルコール濃度などを減少させたりしたケースも処罰の対象となります。

 

◆企業における対応

企業においては、従業員に対し新法の施行について周知するだけでなく、特定の病気に罹患している従業員の有無の確認や、該当者がいた場合の対応のほか、就業規則、自動車通勤や社用車運転に関する社内規程等の見直しを検討する必要があります。



「労働時間法制の見直し」をめぐる最近の動向

 

◆「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入?

安倍政権が成長戦略の策定や改革実現のために設置した日本経済再生本部の下に設けられた「産業競争力会議」では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(以下、「WE」という)の導入が検討されています。

WEについては、2006年に規制緩和策の中に盛り込まれ、2007年に法案提出の動きがありましたが、与党内でも導入を懸念する声があり見送られたという経緯があります。

現在、6月に改訂する予定の安倍政権の成長戦略に盛り込むことが検討されていますが、長時間労働を助長させるものとして反対する声も多くあり、先行きは不透明です。

 

◆中小企業の残業代割増率が引き上げられる?

2010年4月に施行された改正労働基準法により、従業員数300名以上の企業の1カ月の時間外労働時間が60時間を超えた場合の割増賃金の割増率は50%以上とされていますが、中小企業については適用を猶予し、3年をめどに改めて適否を議論することとされていました。

このほど、政府は中小企業についても割増率を引き上げる検討に入り、2015年の通常国会に労働基準法の改正案を提出し、2016年4月からの施行を目指すとの報道がなされました。

割増率が引き上げられれば、企業の人件費負担が増す可能性がありますが、運送業のように残業時間を減らしにくい業種については、助成金等の措置も検討するとされています。

 

◆「働き過ぎ対策」の検討

上記の産業競争力会議では、WEのほかに「解雇規制の見直し」や「配偶者控除の廃止」等、企業や従業員の生活に大きな影響を及ぼす事項が検討されていますが、またこの他に、「法令の主旨を尊重しない企業の取締りの強化」も検討されています。

具体的には、ハローワークの求人票に従業員の定着率や残業時間数の記載を求めたり、労働基準監督署の人員を増強したりすること等が挙げられています。

企業としては、今後もこれらの動きに注意を払っておく必要があるでしょう。

 

従業員のメンタルヘルスと企業業績との関係

 

◆メンタルヘルスの状況は?

「企業における従業員のメンタルヘルスの状況と企業業績-企業パネルデータを用いた検証-」という調査研究の結果が、経済産業研究所から公表されました。

この調査研究は、従業員のメンタルヘルスの状況を明らかにするとともに、メンタル不調を理由に休職する従業員がどのような要因で増加しやすいのか、また、従業員のメンタル不調によって企業業績が悪化することはあるのか、といった点を検証しています。

分析結果からは、「従業員数300999人規模の企業」、「情報通信業」、「週労働時間が長い企業」でメンタルヘルス不調が多く見られることがわかりました。

また、メンタル休職者比率の平均は0.4%程度で、年齢層別では2030歳代の若年層で目立っています。メンタル退職者比率では、規模の小さい企業でその比率が高くなっています。これは企業における病気休暇制度の普及度合いが密接に関係しているのでしょう。

 

◆どのような要因で増加しやすいのか?

労働時間が短いほど退職者比率が高いようです。これは、企業が把握している労働時間と、労働者の実労働時間との間に乖離がある可能性を示しています。

一般的に、企業規模が小さくなるほど総労働時間は長く、さらにサービス残業も多い傾向にある一方で、病気休暇制度は十分に整っていないと考えられます。このため、企業が把握する労働時間は短いが、サービス残業のために実労働時間は長くなっている労働者が多いと予想される中小企業では、メンタルヘルス不全に陥ると退職につながる割合が高い可能性があるということです。

 

◆メンタル不調によって企業業績が悪化する

メンタルの不調が企業業績に与える影響では、メンタル休職者比率は2年程度のラグを伴って、売上高利益率に負の影響を与える可能性が示されました。

休職者比率が労働慣行や職場管理の悪さを測る指標になっていると解釈すれば、メンタルヘルスの問題が企業経営にとって無視できないものとなっていると言えるでしょう。

 

◆何が有効な対策なのか?

メンタルヘルスの悪化要因や、職場の対策として何が有効であるのか、悪化の程度と企業業績への影響の関係など、職場のメンタルヘルスについては、まだ明らかになっていない部分も多いと言われています。企業が経営戦略としてメンタルヘルス対策に乗り出すのは、まだまだ暗中模索の状況なのかもしれません。

しかし、長時間労働の問題などは、後々の労使紛争の種ともなる問題ですので、企業は対策を検討する必要があります。

 

「休職後~職場復帰後の退職」に関する調査結果

 

◆休職者の42.3%が退職

うつ病などのメンタルヘルス不調により会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果が公表されました。

この調査は、独立行政法人労働政策研究・研修機構まとめたもので(201211月実施、5,904社が回答)、メンタルヘルスやがん、脳疾患、糖尿病等について、休職制度の有無や期間、退職・復職の状況などを調べる内容です。

 

◆退職率が高いのは30代以下

この調査結果によれば、過去3年間にメンタル不調を理由に休職制度を利用した社員の退職率は、全疾病平均(37.8%)を4.5ポイント上回っています。

最も退職率が高いのはがんの42.7%ですが、その中心は50代以上で、定年など病気以外の理由による退職も多数含まれているようです。

 

◆上限期間が短い企業ほど高い退職率

また、メンタル不調者の退職率は休職制度の上限期間が短い企業ほど高い傾向があり、上限が3カ月までの場合、59.3%が離職という結果になっています。2年6カ月超3年までの企業では29.8%となっており、約2倍の差があります。

復職後に短時間勤務などの試し出勤や、産業医による面談などのフォローアップを行っていない企業の退職率も、それらを実施している企業より高くなっています。

 

◆企業の対策は?

企業が最も対策を重視している疾病として挙げた割合が高いのは、メンタルヘルスが21.9%で、生活習慣病(8.9%)やがん(5.4%)を大きく上回っています。

次のような対策を実施することで、メンタル不調の発生を防いだり、復職に関する対策をとったりすることが主流となっていますので、検討してみてはいかがでしょうか。

・相談対応窓口の開設

・管理監督者および労働者への教育研修・情報提供

・衛生委員会等でのメンタル対策審議

・メンタルヘルスケア実務担当者の選任

・職場復帰における支援

・医療機関や他の外部機関等の活用

・産業保健スタッフの雇用や情報提供

・職場環境等の評価および改善

 

「介護」と「仕事」を両立させるために企業ができることは?

 

◆職場環境の整備が重要な課題に

近年、親や家族などの介護を理由として仕事を辞める「介護離職」が増加し、大きな問題となっています。

総務省の平成25年発表によると、介護離職する方は年間10万人以上。この中には、企業内で中核的な人材として活躍する方も少なくなく、こうした人材の離職を防止するために、労働者が「介護」と「仕事」を両立できる職場環境の整備が、企業にとって重要な課題となっています。

 

◆政府の対応

団塊世代が70歳代に突入する2017年前後からは介護離職者のさらなる増加が予測されるため、厚生労働省では、介護と仕事を両立できる職場モデルの普及に着手し、労働者の継続就業を促進しています。

具体的には、民間企業100社に報奨金を出し、同省が委託するコンサルティング会社が両立支援の制度化に向けた助言を行ってその結果を普及・啓発に活かすこと、また、介護離職防止のシンボルマークを制定して取組みの普及・推進を図ることなどが進められています。

 

◆企業ができること

このような動きの中、企業側も、介護と仕事の両立への支援を始めています。

例えば、介護情報をまとめたハンドブックの作成・配布、セミナーの開催、両立のモデルケースの情報発信……。

介護は、いつ誰が直面するかわからないからこそ、企業側から早めに働きかけ、情報を提供し、社員との間で問題意識の共有を図ることが重要な取組みとなると言えます。

社員にいざ介護の問題が発生した場合に慌てずに適切な対応をとることができるよう、取組みを始めるべき時期にきていると言えるでしょう。

 

近年注目の「アウトプレートメント・サービス」とは?

 

◆企業が行う「再就職支援」

近年注目を浴びるようになり、様々なメディアでも取り上げられている「アウトプレースメント(再就職支援)」。

年々業界の拡大が進み、最近の市場規模は500億円程度とも見られています。

 

◆定義とその効果は?

アウトプレースメント・サービスは、もともと米国で広く使われている制度で、企業側の都合で離職せざるを得ない従業員のために、企業側が費用を負担して第三者である民間の会社に委託して、再就職支援のためのコンサルティングやウンセリング、研修等といった、ケアやサポートを提供するものです。

サービスを利用することにより、従業員の再就職先の確保だけでなく、企業が「できる限りのことをしている」という姿勢を効果的に伝えることができるため、退職者の不満を取り除き、紛争の芽を摘むことができるという効果があります。

 

◆日本ではネガティブな印象も?

一時期、「追出し部屋」が問題となりましたが、日本では、アウトプレースメント・サービスも、「正社員のリストラを支援するもの」としてネガティブにとらえられがちなもののようです。

また、その利用費用は決して安いものではなく(対象者1人当たり1年のサービスで100万円前後が相場とされている)、利用が大企業に限られてしまうこと、再就職を保証するものではなく、雇用状況が安定しているときは受入れ企業の数が少なくなるためマッチングが難航することもあることなどといった問題点もあり、アウトプレースメント会社の利用率は、求職者全体から見れば、まだ高いものではありません。

 

◆利用前の検討が肝要

とはいえ、アウトプレースメント・サービスを実施することにより得られる効果は大きいものであり、利用を考える価値はあります。

企業規模、削減人数、削減予定者の年齢構成、紛争となった場合のリスク等を勘案して、利用を検討してみてはいかがでしょうか。



理想と現実には大きな差が!若手社員の残業の実態

 

◆若手社員の残業時間は?

いわゆる「ブラック企業」が世間を賑わせている昨今、多くの企業が長時間労働に対して何らかの対策を講じなければならないと感じていることと思います。

レジェンダコーポレーション株式会社が入社4年目までの社員に行った「残業に対する意識・実態調査」の結果によると、若手社員の実際の月間残業時間数は平均約36時間だったことがわかりました。

実際の月間残業時間がどのくらいかを聞いたところ、「1~20時間」が28.4%、「2140時間」が28.0%となり、残業時間が「40時間」未満という回答が約半数を占めました。

また、男女別に見ると、女性では「1~20時間」(410%)、男性では、「2140時間」(30.4%)が最も割合が高い結果となりました。

 

◆理想的な残業時間は?

次に、理想的な月間残業時間について聞いたところ平均約24時間となり、実際の残業時間との差が平均約12時間あることがわかりました。

男女とも「40時間以下」を希望する割合が高く、男性は87.4%、女性は95.4%でした。

 

◆ワークライフバランスがとれていない残業時間は?

「ワークライフバランスがとれているか」という質問に対しては、実際の月間残業時間数が「4160時間」と回答した層の約45%がとれていないと感じていました。

 

◆残業理由の1位は?

残業をする理由について尋ねたところ、「自身に任される仕事が多い」(61.6%)という回答が男女ともにトップで、「残業時間帯に会議や準備等をしないと仕事が進まない」(31.2%)、「仕事の難易度が高い」(25.1%)が続いています。

その他、「社内の雰囲気だから」や「賃金を少しでも増やしたいから」といった回答もありました。




深刻化する中小企業の「事業承継」「廃業」

 

◆「起業希望者」が急激に減少

政府が閣議決定した中小企業白書(2014年度版)で、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化している状況が明らかになりました。

また、近年、起業を希望する人を示す「起業希望者」の数が160万人台から80万人台に半減し、急激に減少している一方、起業家数は大きく変化しておらず、毎年2030万人の起業家が誕生していることがわかりました。

 

◆高齢経営者の約半数が「事業承継の準備不十分」

事業承継の形態は、内部昇格や外部からの招聘等、親族以外の第三者への承継割合が増加しているようです。

後継者の育成期間には「3年以上必要」と考えている経営者は8割以上に上りましたが、「経営者の年齢別事業承継の準備状況」を見ると、60代で約6割、70代で約5割、80代で約4割が、後継者がいないなど事業を引き継ぐ準備ができていないことがわかりました。

 

◆増加する休廃業・解散の原因

近年、休廃業・解散の件数も増加していますが、廃業を決断した理由として最も多かったのが、「経営者の高齢化、健康(体力・気力)の問題」(48.3%)であり、以下、「事業の先行きに対する不安」(12.5%)、「主要な販売先との取引終了(相手方の倒産、移転のケース含む)」(7.8%)が続いています。

 

◆第三者への承継支援策と廃業対策

これらの結果を受けて、政府は、第三者への承継支援策と廃業対策を進めていくとしています。

第三者への承継の支援策としては、外部に後継者を求める中小企業・小規模事業者に配慮し、高い事業意欲のある人材を確保し、後継者ニーズのある企業とマッチングさせるとともに、長期的にフォローアップしていくとしています。

廃業対策としては、(1)廃業に関する基本的な情報提供、(2)匿名性に配慮した専門家支援(電話相談)、(3)小規模企業共済制度のさらなる普及・拡大を図るとしています。