2014/10/01

10月の事務所便り


経済産業省が推奨する「おもてなし経営」とは?

 

◆ビジネスモデルの1

経済産業省は、91日から「平成26 年度おもてなし経営企業選」の募集を開始すると発表しました。

同省では、下記(1)~(3)の取組みや活動を実践している企業経営のことを「おもてなし経営」と定義し、地域のサービス事業者が目指すビジネスモデルの1つとして推奨しています。

(1)社員の意欲と能力を最大限引き出す取組み

(2)顧客のニーズに合致したサービスを継続的に提供するための取組み

(3)地域・社会との関わりを大切にする活動

 

◆五輪招致で話題に

東京オリンピック招致の際のプレゼンテーションの影響により大きな話題となった日本の「おもてなし」ですが、経済産業省では2年前から「おもてなし経営企業選」の事業をスタートさせ、平成24年度は50社、平成25年度は28社の企業が選ばれています。

今年度における募集期間は9 1 日から10 24 日までであり、応募のあった企業について、「書類選考」(11 月)、「経営者ヒアリング」(121 月)、「企業訪問」(2 月)を実施し、選考委員会等を経て、他の企業の参考となるような経営事例を30 社程度選出するとのことです。

選考のポイントは、上記(1)~(3)の取組みや活動がどのようにサービスの差別化・高付加価値化の実現に繋がっているのか、という点だそうです。

 

◆選出による効果は大

過去の選出企業のコメントを見ると、「選出をきっかけに異業種からの見学依頼が増え、社員のモチベーションが非常に高まっている」(自動車教習所)、「患者さんや地域の方、そして他の医療機関にも選出を知ってもらい、当院にかかりたいという方が増えてきた」(病院)など、プラスの面が大きいようです。




改正安衛法で義務付けられた「ストレスチェック」に関するQ&A

 

84の「QA

先の通常国会で成立した改正法の1つに「改正労働安全衛生法」(6/25公布)がありますが、これに関連して、厚生労働省から「改正労働安全衛生法Q&A集」が公開されました。

改正項目のうち最も影響の大きいものは「ストレスチェック制度の創設」だと言われており、上記「Q&A集」でも84のうちの36(約43%)を占めています。

 

◆ストレスチェックに関するQ&A

以下では、Q&A(抜粋)をいくつか見てみましょう。

【全ての事業場が対象となるのでしょうか?】

→ストレスチェックの実施が義務とされるのは、従業員数 50 人以上の事業場とされており、50 人未満の事業場については、当分の間、実施が努力義務とされています。

【全ての労働者が対象となるのでしょうか?】

→ストレスチェックの対象労働者は、一般健康診断の対象労働者と同じく、常時使用する労働者とする予定です。なお、派遣労働者については、派遣元事業主において実施していただくことになります。

【どれくらいの頻度で実施すれば良いのでしょうか?】

→今後、労使や専門家のご意見を聴きつつ省令で定めていくことにしていますが、健康診断と同様に、1年以内ごとに1回以上実施していただくことを想定しています。

【健康診断のように、実施を外部機関に委託しても問題ありませんか?】

→問題ありません。委託により実施する際には、ストレチェックの結果を実施者から直接労働者に通知する必要があり、労働者の同意なく事業者に通知してはならないことなどの点に注意してください。

【ストレスチェックは面談形式で行うものですか?】

→労働者の心理的な負担の程度を把握するため、労働者自身が該当する項目を選択するチェックシート方式で行う検査です。面談形式に限ることは想定していません。

【健康診断のように、ストレチェックを実施した旨の報告を監督署に行う必要があるのでしょか?】

→ストレチェックの 実施状況を把握するため、事業者には、労働基準監督署にその実施状況について報告していただく仕組みを設けること考えています。

 

◆施行予定は来年12月?

今後は、平成272月~3月頃に省令・指針等が策定され、平成2712月までに改正法(ストレスチェックの部分)が施行される予定です。




従業員の「デング熱感染」に備えて知っておきたいこと

 

◆「デング熱」ってどんな病気?

現在感染者が拡大しているデング熱は、ヒトスジシマカという蚊によってウイルスが媒介される感染症で、ヒトからヒトへと感染することはありません。

ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南に生息しているため、日本のほとんどの地域で感染するおそれがあると言えますが、感染しても発症しないこともあります。

 

◆デング熱にかかるとどんな症状が出る?

感染すると、37日後に突然38度以上の高熱が出て、頭痛のほか、目の奥の痛み・筋肉痛・関節痛を伴うことが多くあります。

また、発熱後34日で胸やお腹に赤い痛みを伴う発疹が出て、次第に手足や顔面に広がります。

通常は1週間ほどで熱が下がり回復へと向かいますが、まれに出血症状が起こり、重症化することがあります。この場合、適切な治療を受けないと死亡に至る可能性もあります。

現在、デングウイルス特有の治療薬はなく、対症療法が基本となりますが、解熱剤としてはアセトアミノフェンを用いるのが一般的であり、出血傾向を増強するおそれがあるアスピリンの使用は避けます。

 

◆従業員が感染したら?

デング熱は、インフルエンザのようなヒトからヒトへの感染はなく、デングウイルスに感染したヒトスジシマカを介して感染します。

そのため、社内で感染者が出たからと言って職場封鎖のような対策をとる必要はありませんが、感染者が蚊に刺されると他の人へと感染が拡大するおそれがありますので、蚊に刺されないようにする必要があります。

予防に取り組む場合は、肌の露出を避けた服装をしたり虫よけスプレーなどを用いたりして刺されないようにするとともに、不要な水たまりをなくしてボウフラの発生そのものを抑え込むことが有効です。




正社員とパート社員の諸手当の格差はどのぐらい?

 

◆企業はどんな手当を設けている?

厚生労働省の「平成22年就労条件総合踏査」の結果によると、支給企業数が多い順に通勤手当、役付手当、家族手当、技能・技術(資格)手当、住宅手当となっています。

規模に応じて設ける手当の傾向が分かれており、小規模企業では精皆勤手当・出勤手当が多く、大規模企業では住宅手当、調整手当、特殊勤務手当、単身赴任手当、別居手当、地域(勤務地)手当、特殊作業手当を設けるところが多くなっています。

 

◆正社員とパート社員では付く手当が異なる

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査」の結果によると、正社員とパート社員では付ける手当に違いが見られます。

どちらも通勤手当と役付手当が上位2つですが、正社員では次いで家族手当、技能手当・技術(資格)手当、住宅手当が多いのに対し、パート社員では業績手当(個人、部門、グループ等)、技能手当・技術(資格)手当、精皆勤手当・出勤手当が多くなっています。

 

◆通勤手当の額はどのぐらいか?

上記の調査結果によれば、通勤手当の1人当たり支給額(月単位)は、正社員12,477円、パート社員7,710円となっています。

支給額について、39.3%の企業が上限額を設けており、その平均額は34,260円ですが、上限額に関する規定は大規模企業ほど設けているところが多いという特徴が見られます。

なお、正社員に通勤手当を支給する企業の割合が89.8%なのに対し、パート社員では76.4%と差が見られますが、この理由については、(1)交通費がかからない者を採用している(30.2%)、(2)交通費は基本給に含めて支給している(25.8%)、(3)自転車通勤のため算定困難(14.3%)となっています。

来春施行の改正パート労働法では、短時間労働者であることを理由とする不合理な差別的取扱いが禁止されることとなり、通勤手当についても違いを設ける場合には合理的な理由が必要となります。

自社の規定がどうなっているか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。




『業務マニュアル』作成・活用のススメ

 

◆今だからこそ必要な『業務マニュアル』

“ゆとり教育の弊害”による新入社員の能力低下、社員の退職・人事異動の場面でのノウハウの断絶、効率的な手順が確立されていないことによる社員間の業務成績のバラツキなど、近年、「技術承継」が大きな問題となっています。

このような問題の解決に役立つのが、業務上のノウハウを集約し、マニュアル化した、『業務マニュアル』です。

しかし実際には、そもそも作成されていなかったり、あっても活用されていなかったり、内容の見直しがされていないため現在の職場の方針と合わなくなってしまったりしている――そんな企業も多いようです。

活用できるマニュアルの作成(見直し)が求められています。

 

◆『業務マニュアル』の目的を明確に

『業務マニュアル』が活用されていないのは、その目的が不明確であり、仕事の成果を高める役割を果たすことができていないからではないでしょうか。

『業務マニュアル』の作成の目的は、一般に次のように言われています。

(1)会社や職場の目的・目標を達成する

(2)情報や知恵を活用する

(3)仕事の効率化、質の向上を図る

(4)顧客サービスの向上を図る

「こうした目的を達成するために求められる内容とは何か」を明確にすることができれば、新しく作成する場合も、既存のマニュアルを活用できる形に見直す場合も、以降の作業が楽に進みます。

 

◆“使われる”マニュアルにするために

『業務マニュアル』の作成・見直しにあたっては、使用される状況を把握することも大切です。

「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」使用するのかを明確にイメージして作成すれば、現場で役立つマニュアルとなります。

そのような観点で、作成・見直しを行ってみましょう。




雇用保険の教育訓練給付金が拡充!

「専門実践教育訓練給付金」について

 

◆「専門実践教育訓練給付金」創設

雇用保険の教育訓練給付金が拡充され、10月から新たに、専門性の高い資格取得について、「専門実践教育訓練給付金」が創設されます(2018年度末までの期間限定)。

対象は、厚生労働大臣が指定する、業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする資格取得講座、中長期的なキャリア形成を支援する講座(企業などとの連携により最新の実務知識等を身につけられるよう教育課程が編成されている専門学校の職業実践専門課程、キャリアアップを目的とした専門職大学院)で、対象講座は今後も増える見通しとなっており、支給対象となる社員等も出てくるのではないかと思われます。

要件を満たせば、給付率が従来の「一般教育訓練給付金」(費用の20%、上限10万円)よりも大幅にアップしますので、制度の紹介をすれば喜ばれるのではないでしょうか。

 

◆支給対象者は?

雇用保険に原則10年以上加入している方が利用できます。

 

◆給付の内容は?

最長3年間にわたって支給され、給付率は費用の40%(上限:1年で32万円)です。

講座修了後に資格や学位を取得して就職すると、費用の原則20%が追加支給され、合計で費用の60%分が支給されることとなります(上限:1年で48万円)。

 

◆申請手続は?

専門家のキャリア・コンサルティングを受け、受講前にハローワークで手続きを行います。

給付金の申請は半年ごとに行い、その都度、講座実施期間が発行する受講証明書等を提出する必要があります。




経営者と社員のギャップ解消には社史を使った社員研修が効果的!?

 

◆経営者の思いが伝わらない

“経営者の想いがなかなか社員に伝わらない”“経営者と社員の意識にギャップがある”

このような悩みを抱えた会社は多いのではないでしょうか。そんな悩みを解消するには、社史を使った研修が解決に役立つようです。

 

◆社史から学べること

社史を知ることで、経営理念がどのような背景のもとで誕生したのか、経営者が企業を発展させるために行ってきた決断や苦労話など、社員は今まで知らなかった事実や経営者の想いなど、会社の足跡を知ることができます。

また、自社をとりまく業界の歴史も一緒に学ぶことができます。

 

◆社員研修の例

社史を使った研修として、新人研修があります。社史は、会社の歴史、理解を深めてもらう格好の材料となります。

また、幹部研修で社史を改めて学ぶことで、組織をどの方向に導いていけばよいのか等、様々な決断を下さなければならない状況において判断の目安となります。

このように、社史を通じて、経営者と社員とのギャップが解消され、会社が目指すべき方針に社員も共有しやすくなり、経営理念に沿った行動ができるようです。

 

◆社史の今昔

かつての社史は、自社に都合の良いことだけを載せるものも少なくなかったようですが、20年くらい前から、社史編纂に社外の人間が加わるようになったことで、より客観的な内容へと変化してきているそうです。

また、社史というと“分厚い本”というイメージがありますが、今は文庫本サイズのものや、DVDやホームページなど書籍以外の体裁をとるものも出てきています。

より身近に、より手軽になってきている社史を、社員研修に利用してみてはいかがでしょうか。




会社に求められる「LGBT」の従業員への配慮

 

◆「LGBT」とは?

LGBTは、性的マイノリティー(同性愛者など)の人たちのことで、日本でも全体の役5%いるといわれています。

自分がLGBTであることをカミングアウトしていない人も多いようです。

 

◆セクハラは異性間だけでない

今年の7月に男女雇用機会均等法のセクシュアル・ハラスメントに関する指針が見直され、「セクハラには同性に対するものも含まれる」と明示されました。

今後はLGBTの人たちに対する差別的な言葉や行動もセクハラとなります。

 

◆会社に求められることは?

会社は当然、LGBTの人への配慮が必要となります。例えば、LGBTをからかう言葉(ホモ、おかま等)を使う、存在を否定する、「彼氏(彼女)いないの?」などとしつこく聞く、性的指向と仕事の能力を結びつけるなどは、しないようにしなければなりません。

自社の社員にはいないと思っていても、本人が隠しているだけかもしれません。社員が皆働きやすい職場を作っていくことが必要です。

 

◆社内制度の見直しも

LGBTの人たちへの対応に積極的に乗り出す会社も増えてきていうようです。

例えば、福利厚生制度の見直しです。社内規定を改定し、事実婚やパートナーとの同居を届け出る「パートナー届け制度」を設けるなどがその一例です。

法律婚の夫婦と同じく、結婚、育児、介護などの特別休暇や家族手当、慶弔見舞金の対象とするというものです。  

会社の理解があれば、本人のモチベーションアップにもつながりますね。




労災のない職場づくりを目指す「あんぜんプロジェクト」

 

◆「あんぜんプロジェクト」とは?

「あんぜんプロジェクト」は、労働災害のない日本を目指して労働者の安全に一生懸命に取り組み、「働く人」、「企業」、「家族」が元気になる職場を創るため、厚生労働省が行っているプロジェクトです。

同省では、今年で4回目を迎える同プロジェクトの一環として、今月16日から労働災害防止に向けた企業の取組事例を募集・公開し、投票により優良事例を選ぶ、平成26年度「『見える』安全活動コンクール」を実施します。

応募期間は、916日から1114日までで、応募事例は「あんぜんプロジェクト」のホームページ(http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/)に掲載され、3月上旬に優良事例を発表する予定です。

 

◆プロジェクトの趣旨と目的

平成26年に入り労災発生状況は増加傾向を示すなど厳しい状況にあったため、厚生労働省は先月、「労働災害のない職場づくりに向けた緊急要請」を行い、産業界全体に企業の安全衛生活動の総点検を呼びかけました。

職場に潜む危険性を可視化することは、職場の安全活動を活性化させるうえで効果的な手段であるため、同省では平成23年度から安全活動に熱心に取り組んでいる企業が国民や取引先に注目される運動「あんぜんプロジェクト」の積極的な展開を図っています。

この取組みの一環として実施している「『見える』安全活動コンクール」では、職場の安全活動の中で、危険の認識や作業上の注意喚起をわかりやすく周知でき、また、一般の労働者も参加しやすい活動である安全活動の「見える」化について、取組事例を募集、公開し、広く国民から投票を募り、優良事例を決定します。

 

◆安全活動の創意工夫事例を参考に

このコンクールに応募された取組事例は、現場の安全活動の取組みに活用できるよう、「あんぜんプロジェクト」ホームページ上で継続的に公開されています。

今年度は、陸上貨物運送事業、第三次産業等の業種における災害が増加傾向にあることや、昨年度の応募状況を踏まえ、「女性、高齢者、未熟練労働者の労働災害を防止するための見える化」や「転倒災害を防止するための見える化」、「IT技術を利用した見える化」など類型別に募集を行うようです。

同ページでは、「見える」安全活動の例として過去の優良事例が公開されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。


中小企業における賃上げ等の取組み状況

 

◆6割強の企業が何らかの賃上げを実施

経済産業省が中小企業の雇用状況に関する調査、地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組みに関する調査の結果を発表しました。

平成26年度にベースアップや賞与・一時金の増額等、何らかの賃上げ(正社員1人当たり平均賃金の引上げ)を行った企業の割合は64.5%(前年度比7.7ポイント増)でした。

ベースアップに相当する賃上げを行った企業の割合は36.2%で、賞与・一時金の増額を行った企業の割合は48.0%でした。

 

◆賃上げを行った理由は?

賃上げを行った理由としては、「従業員の定着・確保」と回答した企業が最も多く75.7%、「業績回復の還元」が28.9%、「消費税率の引上げ」が21.3%で続いています。

ちなみに、賃上げを行わなかった企業にその理由を聞いてみると、「業績の低迷」が71.7%で最も多く、次いで「賃金より従業員の雇用維持を優先」が33.1%、「原油・原材料価格の高騰」が33.0%となりました。

上記の結果から、人手不足により賃上げせざるを得ない状況や、業績の低迷が賃上げを妨げていること、雇用維持への努力やコストアップの影響が見てとれます。

また、地域別で見ると、賃上げを行った企業は、昨年度に比べ全国的に増加し、地域間の格差も少なくなっており、地方へ「経済の好循環」が着実に波及しつつある状況も見られたようです。

 

◆非正規社員の処遇改善の取組み例

同調査では、企業収益の改善を、ベースアップや初任給の引上げ等の賃金改善によって従業員に還元している事例はもとより、非正規社員の正規社員への転換や、子育て支援等の福利厚生の充実等、全国各地で各社が工夫して従業員の処遇改善に取り組んでいる事例も紹介されています。

非正規社員の処遇改善への取組例として、賃金改善(パート社員を今以上に戦力化するため時給を約10%引上げ、優秀な人材の確保を目的にパート社員について310%程度賃上げ、他社の賃金動向を勘案し正社員を上回る1,500円のベースアップを実施)や、正規雇用への転換(会社側から積極的に働きかけて非正規社員を正規雇用へ転換)が挙げられています。

賃金以外の処遇改善の取組み例としては、働きやすい職場づくり(介護が必要な家族がいる社員のために介護休業や介護休暇を法定の期間より大幅に拡充、女性を積極的に登用するため短時間勤務制度を導入、出産祝い金を2万円から10万円に増額)や、社員への慰労(売上好調等による労をねぎらうため、46日のハワイ旅行を実施)が挙げられています。

2014/08/29

9月の事務所便り


深刻な「後継者不在」問題と制度改正の動向

 

28万社超の企業を分析

4人に1人が高齢者という時代。企業の経営者も約3割が65歳を超えているそうです。

このほど帝国データバンクから、「事業承継」や「社長の高齢化」などの後継者問題に関する調査の結果が発表されました。

この調査は、同社が有する企業概要データベース(145万社収録)および信用調査報告書ファイル(160万社収録)を分析したものですが、このうち、2012年度以降の後継者の実態について分析可能な企業は284,412社だったそうです。

 

◆深刻な後継者不在の状況

調査結果によると、国内企業の65.4%が後継者不在とのことです。社長の年齢が「60歳代」の企業では53.9%が後継者不在であり、「70歳代」では42.6%、「80歳以上」では34.2%が同様の状況でした。

後継者のいる企業における後継者の属性は、「子供」(38.4%)が最多で、「親族」(19.9%)、「配偶者」(10.9%)と合わせると同族が約7割(69.2%)となっています。

 

◆業種別の状況

業種別に見ると、後継者不在の企業割合が全体の平均(65.4%)以上だったのは次の業種でした。

(1)サービス業(70.4%)

(2)建設業(70.0%)

(3)不動産業(67.8%)

(4)小売業(66.1%)

 

◆制度改正の動向

なお、経済産業省の調査結果では、親族に後継者がおらず第三者が後を継ぐ中小・零細企業の割合は約4割とのことです。

現在の法制度は親族が引き継ぐことを前提としていることから、同省では法務省とも連携し、事業承継しやすい制度づくりを進める考えを示しています。

後継者不在の問題に悩む企業は、制度改正の動向にも目を向ける必要がありそうです。




大人気!「キャリアアップ助成金」の概要

 

◆大人気の助成金

平成25年度から始まった「キャリアアップ助成金」ですが、受給の要件となる「キャリアアップ計画」の作成・認定企業数が厚生労働省の予想を大幅に超えているそうです。

ここでは、どのような助成金なのかを簡単に見ていきます。

 

◆助成金の概要(6つのコース)

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、「正規雇用への転換」、「人材育成」、「処遇改善」等の取組みを実施した事業主に対して支給されるもので、次の6コースがあります。

(1)正規雇用等転換コース

(2)人材育成コース

(3)処遇改善コース

(4)健康管理コース

(5)短時間正社員コース

(6)短時間労働者の週所定労働時間延長コース

なお、コースによっては、平成26年3月1日から平成28年3月31日までの間は、支給額の増額、要件の緩和の措置がとられています。

 

◆「キャリアアップ計画」とは?

受給にあたりまず必要となるのが「キャリアアップ計画」の作成ですが、この「キャリアアップ計画」とは、有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取組みを計画的に進めるため、おおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取組み)をあらかじめ記載するものです。

 

◆様々な要件、書類が必要

「キャリアアップ計画」の作成・提出後にはコースごとに様々な要件があり、書類の提出も必要となります。厚生労働省ホームページにも詳しい内容が記載されています(「キャリアアップ助成金」で検索)。

 





8月1日より失業給付の支給額が変わりました

 

2013年より若干の引下げ

離職者に支給される雇用保険の失業手当の額は、毎年、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって毎年8月1日にその額が変更されますが、2014年度は、2013年度の平均定期給与額が前年比で約0.2%減少したことから、全体に若干の引下げとなりました。

 

◆変更後の支給額

失業手当の日額は年齢に応じて上限額が定められており、下限額は全年齢共通で定められています。

上限額は、29歳以下の方は6,390円(15円減額)、3044歳の方は7,100円(15円減額)、4559歳の方は7,805円(25円減額)、6064歳の方は6,709円(14円減額)となっています。

下限額は、1,840円(8円減額)です。

なお、実際に支給される日額は、離職時の賃金日額に5080%の給付率を掛けて算出されます。

失業手当は、失業認定期間(28日)中に自己の労働による収入がある場合、収入を得た日については減額支給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額)と、引き下げられています。

 

◆就業促進手当の上限額も引下げ

再就職手当・常用就職支度手当の算定における失業手当の日額の上限額は、59歳以下の方は5,825円(15円減額)、6064歳の方は4,720円(9円減額)となります。

就業手当の1日当たり支給額の上限額は、59歳以下の方は1,747円(5円減額)、6064歳の方は1,416円(2円減額)となります。

 

◆高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額も引下げ

高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金の15%相当額、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて各月の賃金の15%相当額未満の額となり、支給限度額を超えて賃金が支給された場合には支給されません。

この支給限度額が、340,761円(781円減額)となっています。




意外な盲点? 職場で気をつけたい同性間のセクハラ問題

 

◆指針改正により同性間の行為もセクハラの対象に

セクハラ行為の禁止は、男女雇用機会均等法(以下、「均等法」という)の1997年改正で関連規定が設けられました。その後、改正によりセクハラ対策の強化や男女差別の範囲の見直しなどが図られていますが、今年7月1日より施行規則と指針が改正されました。

改正項目は多岐にわたりますが、企業においてトラブルに発展するケースが多いセクハラについて、新たに同性間の行為が対象に含まれることとなりました。

以下、この「同性間のセクハラ行為」について、例を挙げるとともに、企業における対策について考えてみたいと思います。

 

◆同性間におけるセクハラの具体例

例えば、いわゆる「女子会」に限らず、男性だけの席でも「恋バナ」や結婚生活が話題になったときに、「最近彼氏(彼女)とどう?」とか「お子さんの予定は?」といった質問を耳にしたことはないでしょうか?

こうした質問は、いかにも性的な言動や要求ではないことからセクハラに当たると認識していない方もいらっしゃると思いますが、言われた本人が不快に感じれば「セクハラを受けた」としてトラブルになりかねないリスクを孕んでいます。

さらに、男性にありがちなケースとして、何人かで風俗店へ行こうとなったときに行きたがらない人も強引に誘うことが同性間のセクハラに当たると、指摘されています。

 

◆企業がとるべき対策は?

均等法で「性別を理由とする差別」や「セクハラ行為」等が禁止されていることは、すでに多くの方が認識されていることでしょう。

しかしながら、改正等により新たに禁止の対象とされたことについては、個々の従業員が自ら把握することは難しく、研修等の場で具体例を示されて初めて理解することのほうが多いのではないでしょうか。

企業においては、一旦トラブルが発生すれば当事者間の問題にとどまらず使用者責任を問われかねないリスクがあることを踏まえ、トラブルの未然防止の観点からも、関連規定の見直しや社内研修、万が一トラブルが発生した場合の相談体制のチェック等を実施しておくべきでしょう。




人手不足の業界には光明? 外国人労働者活用

 

◆外国人労働者活用への期待が高まる

労働力人口の減少を補うため、現在、外国人労働者活用への期待が高まっています。

外国人活用をめぐっては、これまで研究者や経営者など、高度人材を中心に受入れ体制が整えられてきましたが、比較的単純な労働分野でも外国人の就労を進めていく方向で議論が進んでおり、建設、農業・製造業、家事支援、介護など人材不足が進む分野での外国人の活用が期待されています。

また、技能実習制度の拡大も検討されています。

 

◆受入れの際の留意点

今後、多くの企業で外国人労働者を活用することが考えられますが、外国人の雇用には難しさもあります。

外国人を雇用する目的・必要性を十分に検討し、担当させる業務を決めていく必要がありますが、これらは、経営戦略・事業運営方針にも大きく関わる部分です。

また、外国人特有の制度や諸官庁への手続き等もあり、遺漏のない取扱いのために注意が必要です。

 

◆トラブル防止に必要な知識

トラブルを防ぐためには、次のような知識も得ておくとよいでしょう。

(1)入管法(出入国管理及び難民認定法)

(2)労働関係法

(3)日常の労務管理

 ・文化、宗教

 ・生活様式、生活慣習

(4)コミュニケーション

 ・語学

 ・ビジネス慣習




新入社員、いきいきと働いていますか?

研修の振り返りのススメ

 

◆重要な新入社員研修

現在、人員を絞っているという企業も少なくないと思われますが、このような場合には、少ない人数で業績を上げるために、社員の成長が欠かせません。

そのため、多くの企業では、研修を実施して、社員教育を行っています。中でも重要なのが、企業の文化に触れ、大きく成長してもらうための基礎となる「新入社員研修」です。

 

◆「振り返り」が必要

もし、今年新入社員が入り、研修を行ったのでしたら、その成果が十分に出ているか、研修について振り返ってみましょう。

やりっぱなしにするのではなく、振り返ってみて良かった点、反省点を洗い出すことで、次に活かすことができます。

 

◆「成果の出る新入社員研修」のポイント

例えば、次の点についてチェックしてみてください。

(1)教育方針・内容が明確になっているか?

「誰が」、「どんな項目」を、「どのように教える」のかが明確になっていれば、ポイントを外すことなく研修を行うことが可能です。

講師側も、何を伝えればいいのかがわかるので、的確な準備ができます。

(2)配属先の上司も研修内容を知っているか?

これは特に新入社員研修ならではのポイントです。現場での仕事に際しても、研修内容と関連付けた対応が可能となります。

(3)研修の成果について確認ができているか?

「研修を受けて終わり」ではなく、その後のフォローがあれば、その内容がより身につきます。




ご存知ですか? 「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」

 

◆人手不足の企業にお勧め!

昨今、人手不足に頭を悩ませているという企業も多いのではないでしょうか。

人を採るために仕方なく時給を上げざるを得ないという場合もあるでしょう。そんなときにお勧めの助成金をご紹介します。

 

◆中小企業最低賃金引き上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)

この助成金は、中小企業・小規模事業者を支援する目的で設けられているもので、下記の2条件を満たした場合に助成金が支給されます。

【支給要件】

(1)最低賃金の引上げに先行して事業場内で最も低い賃金で40円以上引き上げる賃金引上計画を策定し、引上げを実施すること(ただし、助成金申請時に800円未満の時間給等の労働者を使用している必要あり)。

(2)労働者の意見を聴取のうえ、賃金制度の整備、就業規則の作成・改正、労働能率の増進に資する設備・器具の導入、研修等の業務改善を実施すること。

【助成額】

業務改善の経費の2分の1(企業規模30人以下の小規模事業者は4分の3)

※下限5万円、上限100万円

 

◆平成25年度の地域別最低賃金 (参考)

地域別最低賃金で時給800円を超えている都道府県は、東京都(869円)、神奈川県(868円)、大阪府(819円)の3都道府県しかありません。

他の都道府県では、例えば、北海道734円、宮城県696円、埼玉県785円、千葉県777円、新潟県701円、愛知県780円、広島県733円、高知県664円、福岡県712円、沖縄県664円となっています。

 

◆該当企業は多い?

本助成金の支給要件の1つに「800円未満の時間給等の労働者を使用している」とあります。上記地域別最低賃金からわかるように、支給要件に該当する企業も多いと思われます。ぜひ申請を検討してみてはいかがでしょうか?




厚生年金未加入企業への指導が強化されます!

 

◆「加入逃れ」の防止

政府は、厚生年金保険の加入逃れを防ぐため、国税庁が持つ企業の納付情報から未加入企業を割り出し、指導を強化することを決めました。来春にも着手するとしています。

もし、加入指導されたにもかかわらず、これに応じない場合は、法的措置により強制的に加入となることもあるようです。

 

◆厚生年金の未加入問題とは?

厚生年金は、正社員や一定以上の労働時間(正社員の労働時間の概ね4分の3以上)があるパート従業員やアルバイトが強制加入となり、事業主は加入を義務付けられています。

しかし、従業員と折半となる保険料の負担を逃れようと届出をしない企業があり、問題となっているのです。

特に、パート・アルバイトを多く使用している企業の場合は、ルール通りに加入させると保険料負担が過大なものとなり、企業経営を圧迫するという事情があります。

ただ、企業が厚生年金に未加入の場合、従業員は保険料が全額自己負担の国民年金に加入するほかなく、厚生年金と比べ将来もらえる年金額も減ってしまいます。

 

◆これまでの調査と何が違うの?

“国税庁が保有するデータを使って、未加入企業を割り出す”ということです。

これまで、厚生労働省は法人登記されている約449万社の中から未加入企業の調査をすすめていましたが、中には倒産していたり、休眠状態だったりする例も多くあることから、特定作業はスムーズにいきませんでした。

しかし、国税庁が保有するデータは「税金を納めている=実際に企業活動をしている」ということになり、特定作業が容易になるのです。




「労働災害のない職場づくり」に向けた緊急対策

 

◆増加する労災死亡事故

厚生労働省が「平成26年上半期の労働災害発生状況」を発表し、死亡者数が437人(対前年比71人、19.4%増)、休業4日以上の死傷者数が4万7,288人(同1,625人、3.6%増)となり、昨年から大幅に増加したことが明らかになりました。

同省では死亡者の大幅増加を受け、「労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策」を実施するようです。

 

◆「緊急対策」の内容

緊急対策の柱としては、以下の2点となります。

(1)業界団体などに対する労災防止に向けた緊急要請

・産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検の要請

…経済活動の一層の活発化が見込まれる中で労災の増加が懸念されることから、産業界全体(約250団体)に対し、企業の安全衛生活動の総点検と労使・関係者が一体となった労災防止活動の実施を要請。

・労災が増加傾向にある業種に対する具体的な取組みの要請 

…特に労災が増加している業種(製造業、建設業、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店)に対しては、労災防止のための具体的な取組内容を示し、その確実な実施を要請。

(2)都道府県労働局、労働基準監督署による指導の内容

都道府県労働局と労働基準監督署において、労働災害防止団体などと連携した安全パトロールを実施するほか、事業場が自ら実施した安全点検の結果などを踏まえた指導などを実施。

 

◆ 労災発生状況のポイント

全産業における死亡者数(437人)を業種別に見ると、建設業(159人)、第三次産業(92人)、製造業(82人)、陸上貨物運送事業(55人)の順で災害が多発していたそうです。

建設業では、屋根、足場、はしご・脚立などからの「墜落・転落」と、建設機械などに「はさまれ・巻き込まれ」による死亡者が大幅に増加し、陸上貨物運送事業では、荷積み、荷下ろし時のトラックからの墜落をはじめとした「墜落・転落」の死傷災害が増加、第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店)では、転倒や無理な動作による腰痛などが増加していたようです。

これらの増加要因として、同省は「景気回復で企業活動が活発になる中、人手不足で現場に経験の浅い労働者が増え、事故につながっている」としています。

今後、対象の業種には、自主点検票の送付や研修会の開催などの取組みの強化がなされていくようです。




人手不足の影響? 変わりつつある転職の常識

 

◆転職成功者の平均年齢が過去最高に

株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、同社のサービスを利用したビジネスパーソン約7万人に対し、「転職をした年齢」について行った調査によると、2014年上期の転職成功者の平均年齢は31.7歳(前期比0.6歳増)で、調査を開始した2007年以来、過去最高を更新したとのことです。

また、転職成功者の年齢割合では、「3540歳」(13.9%)、「40歳以上」(11.2%)がそれぞれ上昇傾向にあり、35歳以上の転職成功者の割合は初めて25%を超えたようです。

 

◆転職経験の多い人の成功者が増加

また、同社が2013年度に「DODA(デューダ)」を通じて転職をした人の転職回数を調べた調査結果によると、「初めて」の人が53.0%で最多となり、次いで「2回目」(24.3%)、「3回目」(12.7%)の順になったようです。

年齢別に転職した人の割合を見ると、34歳以下では、転職経験が「初めて」で転職に成功した人が最多となっていますが、35歳以上では、2007年から2012年までは「2回目」が最多となり、2013年には「4回以上」が最多となったようです。

30歳以上で「3回目」「4回目以上」の割合が大きく増加しており、かつての「転職回数が多いと不利」という転職の常識が変わりつつあるようです。

 

◆転職回数の多さ、年齢の高さは厭わない

上記の調査結果を受け同社は、転職市場の活性化に伴い、企業は必要な人材の確保に頭を痛めており、経験や実績が合致していれば転職回数を問わないというケースが多くなっている、としています。

また、業績の好調を受け、事業課題を解決できる人材を採用したいと考える企業では、即戦力として期待される35歳以上の採用ニーズが高まりを見せているようで、これまでは転職回数が多い人の採用を敬遠する企業もありましたが、転職回数が多くとも、その在籍企業で出した成果がわかれば、「変化に柔軟で環境が変わっても成果が出せる」「自社でも同様に成果をあげてくれるのでは」という期待に繋がり採用に至っている、としています。