2005/02/01

平成17年2月号

65歳までの雇用確保義務付け

昨年6月に高年齢者雇用安定法が改正され、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに合わせて、雇用と年金の間に収入の空白期間が生じないよう、定年の引き上げや継続雇用制度の導入により、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられることになりました。この改正法は平成18年4月1日より施行されるため、現在50歳代の社員を雇用している企業は、早急に対策をとる必要があります。
◆改正高年齢者雇用安定法の概要
(1)高齢者の雇用確保については、以下の1~3のいずれかの措置をとる義務があります。
1 65歳までの定年の引き上げ
2 継続雇用制度の導入
3 定年制の廃止
(2)高年齢者等の再就職の促進
1 募集および採用についての理由の提示
2 求職活動支援書の作成
3 シルバー人材センター等の業務の特例
◆定年の段階的引き上げ
概要の(1)の1定年の引き上げ、2継続雇用制度の導入にかかる年齢については、企業の負担を抑える意味で、以下のように段階的に引き上げられます。
期      間
定年年齢
平成18年4月?平成19年3月 62歳以上
平成19年4月?平成22年3月 63歳以上
平成22年4月?平成25年3月 64歳以上
平成25年4月?   65歳以上
◆65歳までの雇用確保の検討
概要の(1)の1?3のうち、どの措置をとればいいのかについては、各企業や社員の規模、雇用している高年齢の社員の人数によっても変わってきます。1や3については就業規則で定めることができますが、それまでの雇用契約が継続することになるため、賃金などの労働条件の変更が難しくなります。
また、2については60歳定年を残すことが可能で、対象者の基準を労使協定で合意するため、臨機応変に労働条件を見直すことができます。

育児・介護休業法が改正

育児・介護休業法の改正案が昨年12月1日に成立し、平成17年4月1日より施行となります。
主な改正点として、現行1年までの育児休業期間を最長1年半までに延長することや、子供の看護休暇が社員の権利として盛り込まれました。
また、現行では対象外となっているアルバイトや契約社員などの有期の社員に対しても、一定の要件を満たした場合には育児休業および介護休業を取得できるようになりました。
子を持ち、働く女性にとっては朗報ですが、その一方、働きたくても子供を預ける保育所が不足しているという現状があります。育児休業を半年間延長することだけでは十分とは言えず、本改正においてもなお多くの課題が残されています。
◆育児休業期間の延長
子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合にあっては、子が1歳6カ月に達するまでの休業が可能となりました。
現行の育児休業を取得し、子が1歳の時点で、「保育所に入れない」等の特別な事情がある場合に改めて1歳6カ月を限度として育児休業を取得することができるもので、1歳を超えての育児休業については再度、2週間前までに休業申出の手続きを行う必要があります。
◆子の看護休暇の義務化
現行では努力義務でしかなかった“子の看護休暇”が社員の権利として認められることとなり、要件を充たした社員からの請求があれば、経営者は拒むことができません(アルバイトや契約社員などの有期雇用者も対象となります)。
・対象となる子→小学校就学の始期に達するまでの子
・取得日数→一年度につき5日まで
◆有期雇用者への育児・介護休業の適用
アルバイトやパート、契約社員などの有期雇用者でも、以下のいずれかの要件を充たす場合には育児休業、介護休業の適用対象に加えられることとなりました。
・申出の時点で、1年以上継続して雇用されていること
・子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること(ただし、子が1歳に達する日からさらに1年を経過する日までに雇用関係が終了することが、申出の時点で明らかである者を除く)