年次有給休暇の取得日数・取得率は?
◆労働者30人以上の企業が回答
厚生労働省は、平成23 年「就労条件総合調査」の結果を10月下旬に公表しました。 この調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的としています。
調査対象は常用労働者30 人以上の企業であり、平成23 年1月1日現在の労働時間制度、賃金制度などの状況について4,296 企業が有効な回答を行いました。
◆年次有給休暇の取得状況
1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く)は、労働者1人平均17.9日(前年17.9日)であり、そのうち労働者が取得した日数は8.6日(同8.5日)となっています。取得率は48.1%(同47.1%)です。
企業規模別に取得率をみると次のようになっており、規模別では取得日数・取得率ともに前年をわずかに上回ったケースが多いですが、まだまだ低水準だと言えます。
・1,000人以上…55.3%(前年53.5%)
・300~999人…46.0%(前年44.9%)
・100~299 人…44.7%(前年45.0%)
・30~99人が…41.8%(前年41.0%)
◆「仕事優先」か「プライベート優先か」
株式会社毎日コミュニケーションズが2011年4月入社の新入社員を対象に実施した意識調査の中で、「仕事とプライベートどちらを優先した生活を送りたいか」をたずねたところ、4月実施調査の同設問と比較して、「仕事優先」が21.7ポイント減少、「プライベート優先」が22.5ポイント増加したそうです。
企業規模や業種業態などにより年次有給休暇を取得できる環境は様々でしょうが、社員のプライベートも大切にしながら、効率よく仕事を行い、積極的に休暇を取らせる仕組みづくりも大切だと言えるでしょう。
外国人留学生の日本企業に対する評価は?
◆60カ国・地域の留学生が回答
東京大学国際センター(国際センター相談室)では、今年3月に実施した「留学生の就職・進路に関するアンケート調査」の結果を発表しました。調査対象者は東京大学の学部・大学院の留学生(2,872人)で、そのうち60カ国・地域の467人が回答しています。
日本の企業は外国人留学生からどのように見られているのでしょうか。
◆日本企業のイメージは?
留学生が回答した日本企業の主なイメージ(複数回答)は、次の通りでした。
・「残業が多い」…60%
・「集団主義的」…46%
・「男女差別がある」…28%
・「若いうちから仕事を任せてもらえる」…14%
・「業績評価が透明」…11%
◆日本での就職を希望するか?
外国人留学生のうち、日本企業に就職を希望する人は50%でした。日本で働きたい年数は「2~5年」が57%で最も多く、「6年以上」(18%)、「10年以上」(11%)、「定年まで」(11%)が続いています。
◆外国人留学生の活用を視野に
日本における外国人留学生の数は、次の通り推移しています。
・平成17年…121,812人
・平成19年…118,498人
・平成20年…123,829人
・平成21年…132,720人
日本における労働力人口が減少していくことが予想される中、中小企業でも外国人留学生の活用を視野に入れるべき必要があるのかもしれません。
雇用・労働をめぐる最近の裁判例
◆「雇止め」をめぐる裁判例
地方自治体の非常勤職員だった女性(55歳)が、長年勤務していたにもかかわらず、一方的に雇止めをされたのは不当であるとして、自治体を相手取り地位確認や慰謝料(900万円)の支払いなどを東京地裁に求めていました。
同地裁は、「任用を突然打ち切り、女性の期待を裏切ったものである」として慰謝料(150万円)の支払いを認めましたが、地位確認については認めませんでした。
この女性は、主にレセプトの点検業務を行っており、1年ごとの再任用の繰り返しにより約21年間勤務していたそうです。(11月9日判決)
◆「過労死」をめぐる裁判例
外資系携帯電話端末会社の日本法人に勤務し、地方の事務所長を務めていた男性(当時56歳)が、接待の最中にくも膜下出血で倒れて死亡した事案で、男性の妻が「夫が死亡したのは過労が原因である」として、労災と認めず遺族補償年金を支給しなかった労働基準監督署の処分を取り消すよう大阪地裁に求めていました。
同地裁は、会社での会議後に行われた取引先の接待について「技術的な議論が交わされており業務の延長であった」と判断し、男性の過労死を認めました。
この男性は、お酒が飲めなかったにもかかわらず、週5回程度の接待(会社が費用を負担)に参加していたそうです。(10月26日判決)
◆「震災口実の解雇」をめぐる労働審判申立て
仙台市の複合娯楽施設2店舗で働いていたアルバイトの男女(11人)が、「東日本大震災」を口実とした解雇は無効であるとして、施設の運営会社を相手に地位確認などを求めて労働審判を申し立てました。
同社から解雇されたのは今回申立てを行った計11人を含め568人もおり、約100人が同様の申立てを検討しているとのことです。
アルバイト側の代理人弁護士は「震災を口実とした便乗解雇であり、許されない」とコメントしており、今後の審判の行方が注目されます。(10月25日申立て)
応募者のアルバイト経験を企業はどう判断するか
◆アルバイトに関する調査結果
株式会社インテリジェンスが運営する「an」(求人情報サービス)は、20~40代の男女を対象として、「就活でアピールできそうなアルバイト」について調査を実施し、その結果を発表しました。この調査では13,418人が回答しています。
◆就活で何をアピールするか?
「就職活動の際にアピールできそうなアルバイト」との質問に対する回答ベスト3は次の通りでした。
(1)事務・オフィスワーク系…19.5%
(2)営業系…18.4%
(3)販売系…14.3%
理由としては、1位の「事務・オフィスワーク系」では、PCスキルや書類作成スキルなど仕事での実務に直結した能力を身に付けられるという、就活での経験談が数多くみられました。
2位の「営業系」では、社会人としてのビジネスマナーを学生のうちから身に付けられることにメリットを感じる意見が多くみられました。
◆明確な「採用方針」が重要
採用企業側としては、アルバイト経験なども含め、筆記試験・面接などを通じて応募者の様々な側面を見ていく必要があります。
しかし、採用活動を始める前に重要なことは、「自社がどのような会社なのか?」「自社はどのような方針の下に経営を行っているのか?」を改めて確認し、そして「自社にとってふさわしい人材」「自社の戦力になる人材」「自社が求めている人材」がどのような人なのかを明確にしておくことです。
そのような方針もなしに闇雲に採用活動を続けてもうまくいかないでしょう。
「高額療養費制度」の見直し案
◆厚労省が見直し案を示す
新聞報道によると、厚生労働省は、所得などに応じて医療費の患者負担分に上限を定める「高額療養費制度」の見直し案を社会保障審議会に示したそうです。
これまでの月額上限に加え、年額上限の設定も検討されているようです。
◆「高額療養費制度」とは?
医療費は患者の「3割負担」が原則ですが、医療費が月100万円を超えるようなこともあるため、一定額以上は保険給付でまかなう「高額療養費制度」があります。
医療費の自己負担が一定額を超えた場合に超過分を払い戻す仕組みです。
◆課税世帯を3分割
厚生労働省の見直し案では、800万円以下の課税世帯を3分割し、所得に対して医療費が重いとされる世帯の負担を軽減します。
月8万100円の上限を、「年収300万円以下」の世帯で4万4,000円に、「年収300万円超~600万円未満」の世帯で6万2,000円に、「年収600万円以上」の世帯で8万円とします。
また、月額上限とは別に、年額上限を設ける案も示しています。
◆年額上限の内容は?
年額上限は、最も負担が重い上位所得者の場合が99万6,000円、一般所得者で「年収300万円超」の場合が50万1,000円、「年収300万円以下」の場合が37万8,000円、住民税非課税世帯の場合が25万9,000円となっています。
これらの見直しを実施すると、医療給付費が2015年度時点で約3,600億円増えると試算されているため、厚生労働省は、外来患者から1回100円(低所得者は1回50円)とする窓口での追加負担を新たに徴収することで、財源を生み出す考えです。
しかし、日本医師会などが強く反発しており、見直し案の実現には曲折も予想されます。また、高額療養費が増え続けた場合、保険料の引上げにもつながりかねません。
今後も増加が予想される医療費をどのように見直していくのか、政府の対応に注目が集まっています。
地域での子育て支援に積極的な高齢男性が増加
◆定年後の活動として
近頃、「イクメン」と呼ばれる育児に熱心な父親が注目される中、地域の子育て支援に積極的な高齢男性も増えているようです。
定年後、「地域活動に貢献したい」と考えている男性にとって、彼らの取組みは参考になりそうです。
◆育児支援の会員組織が増加
これらの高齢男性は「イクジイ」などとも呼ばれ、子育て中の親の支援や孫世代の育成に力を注いでおり、保育園の迎えや子どもの一時預かりなどを頼みたい親と、これらを支援したい人を結ぶ会員組織も増えています。
会員は、会員組織から依頼があれば、時間の許す限り育児支援に関わっていきます。残業などで帰りが遅くなる親に代わって、保育園や学童保育施設に子どもを迎えに行き、親が引取りに来るまで自宅で預かったり、塾や習い事の場所まで送り届けたりしているそうです。
◆講座や講演会も実施
上記のような事業を支援する東京の財団法人によると、2010年度の男性会員は3,535人で、2005年度に比べ約1,900人増えているそうです。提供会員に占める男性の比率は3.0%から4.2%に上がっています。
あるNPO法人が開いた、孫との接し方や良い絵本の選び方・読み方などを専門家が指導する講座・講演会には200人以上の中高年男性が参加したそうです。
◆シニア世代の87%が「支援に意欲」
調査会社が実施した「子育てをめぐる世代間関係調査」の中で、地域の子育て支援への参加意向を50~70代の男女780人に尋ねたところ、87%は何らかの支援意思があると回答したそうです。
ただし、希望する誰もが「イクジイ」になれるわけではありません。活動には根気が必要であり、子どもが好きでないと務まりません。自分が向いているのかを確かめたうえで、除々に活動範囲を広げていくことが必要なようです。
「個人賠償責任保険」に加入していますか?
◆日常生活で思わぬことが…
日々の暮らしの中で、思わぬ形で人にケガをさせたり、物を壊してしまったりした場合に、「個人賠償責任保険」に加入していれば、保険金により相手方に与えた損害を賠償することができます。
以下では、主な補償の例や加入時の注意点をまとめました。
◆補償の対象となるケースは?
この保険の補償の対象となる主なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
・自転車で人をはねケガをさせた
・子どもが友達と喧嘩をしてケガをさせた
・飼い犬が通行人に噛みついた
・マンションで階下に水漏れを起こした
・買物中の店で高価な商品を壊した
上記のような過失による事故は補償の対象となりますが、同居の親族に対する損害賠償や他人から借りた物を壊した場合の損害賠償、故意に起こした事故などは対象外です。
また、通勤途中の事故はカバーされますが、仕事中の事故はカバーされません。
◆「個人賠償責任保険」の特徴
この「個人賠償責任保険」は、契約者本人だけでなく、配偶者や同居の親族、1人暮らしの学生など生計を同じくする別居の未婚の子もカバーできるのが特徴です。
加入方法は、損害保険会社の販売する「自動車保険」「火災保険」「傷害保険」のいずれかに加入したうえで、特約として上乗せを行うのが一般的なようです。
◆加入時のチェックポイント
チェックポイントとして、以下のことが挙げられます。
(1)示談交渉代行サービスが付いているか
(2)重複契約になっていないか
(3)自動車の売却や引越しなどで保険が途切れていないか
(4)海外で賠償責任を負った場合でも補償されるか
特約の保険料は、最大保険金額1億円(または無制限)であっても、年額1,000円~2,000円程度で済むようです。
企業も苦慮する「待機児童対策」
◆厚生労働省の調査
認可保育園への入園を希望しながら、定員がいっぱいで入れない待機児童が全国で2万5,566人(2011年4月1日時点)に上ることが、厚生労働省の調査で明らかになりました。
預け先が決まらなければ職場への復帰もままならず、待機児童対策に企業も苦慮しているようです。
◆事業所内に託児所を設置
待機児童数は4年ぶりに減少したとはいえ、相変わらず高い水準となっており、企業は対策に追われています。
某大手企業では、本社に隣接する事業所内託児所を開設したそうです。朝7時半から夜8時まで、0歳から小学校入学までの乳幼児を最大で19人預かることができます。
この企業では、育児休業取得者に調査を行ったところ、約23%の社員が保育園に入れないなどの理由で育児休業期間を延長しており、復帰してくるはずの社員が復帰できず、職場全体の人員異動計画を練り直さざるを得ないケースもあったようです。
◆入園のコツを社員に助言
某都市銀行が育児休業中の女性社員を対象に開講した復帰サポート講座は、育児休業取得者が円滑に職場復帰できるよう、会社の状況などを伝える目的で始まりましたが、最近では、保育園への入園指導も重要な役割となっているそうです。
状況を個別に聞き取り、入園へのコツを助言しているそうです。
◆子育てをしやすい社会の実現へ
待機児童の状況は毎年変わり、年度内や翌年4月に新設される認可保育園もあるため、自治体の保育窓口で地域の実情を知ることが対策の第一歩です。
また、希望する認可保育園に入れなかったとき、他にどのような保育サービスを利用できるかを事前に調べておけば慌てずに済みます。
仕事と子育てを両立できる環境を作ることは企業の責任ですが、「待機児童対策」は本来、企業の役割ではありません。しかし、行政に任せるだけでなく、企業もその役割を果たしていかなければ、子育てをしやすい社会は実現しないのではないでしょうか。
どうなる?「専業主婦」の年金制度見直し
◆2012年にも見直しを実施
厚生労働省は、2012年にも専業主婦の年金制度を見直す方針を示しています。
具体的には、会社員の厚生年金と公務員の共済年金に関して、夫の保険料の半額を妻が負担したとみなし、夫と妻で年金を2等分して給付します。
ただ、夫婦合算の保険料負担や年金受取額は変わらないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担することは変わらないようです。
◆「不公平」との批判に対応
会社員や公務員を夫に持つ専業主婦は「第3号被保険者」と呼ばれ、保険料を支払わなくても基礎年金を受け取ることができます。このため、保険料を支払っている自営業者の妻などから「不公平だ」との批判を受けています。
今回の見直し案は、婚姻期間中に夫が支払った保険料は夫婦が一緒に支払ったとみなし、主婦も保険料を納付したと位置付けることで不公平感を和らげるのがねらいで、他にも主婦に別途の保険料負担を求める、夫が追加で保険料を支払うなどの案も出ています。
◆加入者全体で専業主婦の分を負担
専業主婦が基礎年金を受け取ることができるのは、夫の他に、働く女性や単身者など厚生年金加入者全体で専業主婦の分を負担しているためです。
今回の見直し案では、負担と給付の総額を変えないため、厚生年金の加入者全体で専業主婦の分を負担する実態は変わらないようです。
◆遺族年金はどうなるか
現行制度においては、妻は夫が死亡した場合に「遺族年金」を受け取ることができますが、見直し案の導入後は自分の分だけしか受け取れなくなり、給付額は夫が生きていた場合の50%になってしまうそうです。
夫は妻の分の保険料を支払っていますが、妻が先に死亡した場合、給付額は自分の分だけになり、実質的に減ってしまう可能性があります。
いま流行の「朝活」って何?
◆出勤前に勉強会などへ参加
会社への出勤前に勉強会などに参加する「朝活」が若い世代を中心に広がっているようです。
インターネット交流サイト(SNS)などを利用して業種や世代を超えた参加者と出会って人脈を作る「朝活」は、一種の自己投資として注目されています。
◆「SNS」が出会いの場
インターネット交流サイト(SNS)は2000年代の中頃から普及し、人脈を広げたいビジネスパーソンなどに活用されています。
大手交流サイトには、「朝活」で検索できるコミュニティが約150もあり、呼びかけ人が場所・時間・活動内容などを掲示し、希望者が参加意思を書き込む仕組みで、最も大きいコミュニティには2,000人以上が参加しているとのことです。
◆人脈作りやスキルアップに効果的
ある人材コンサルタントは「時間の投資計画に敏感になることがキャリアアップの秘訣」と話しています。
バブル期までは、接待や社内飲み会が全盛で、ビジネスパーソンの多くは「夜型」でしたが、バブル崩壊後は宴席が減り、どちらかというと「朝方」に変化していきました。
また、不況で人員削減が進み、ビジネスパーソンの間で自己を守るための「自己投資」が本格化してきました。
さらに、「SNS」の普及により、同じ志を持つ人々が「朝活」に集う環境が整いつつあるようです。
◆幅広い「朝活」のテーマ
この「朝活」の効能は「気持ちがいい、楽しい、ためになる」の3つだと言われており、交流系、学習系、健康系、趣味系、仕事系、情報収集系、奉仕系に分類されます。
現在、自分の定年まで会社が存続するのかどうかも不透明な時代です。常に必要とされる人材であり続け、何かあったときには助け合える人間関係を作るため、この「朝活」を始める人も多いようです。