2006/07/27

平成18年7月号

社員旅行には参加しなくてもよいか

◆社員旅行への「参加義務」
会社の社員旅行は、半ば強制参加である場合が多いかもしれませんが、予定が合わない場合やどうしても参加したくない場合もあると思います。社員には、社員旅行に参加する「義務」があるのでしょうか。
◆業務命令か否か
社員旅行に参加する義務があるかどうかは、その旅行が雇用契約上の「業務命令」に該当するかどうかによります。その社員旅行の目的が、単に親睦を深めるためだけにある場合は業務命令には該当しないこととなり、参加しなくても問題はありません。
しかし、例えばその旅行中に、業務上必要な研修や会議などが含まれる場合は、会社が業務命令として参加を強制することができるため、参加しなければならないこととなります。
◆業務命令に該当する場合とは
業務命令に該当する社員旅行の場合、参加している時間は勤務時間となり、費用もすべて会社負担となります。また、社員旅行が休日に設定された場合は、「時間外勤務」もしくは「休日勤務」となり、割増賃金が支払われることとなります。
この観点からすると、業務命令であっても通常の勤務時間に当たるため、有給休暇を取得することも可能です。ただし、有給休暇の取得が事業の妨げになる場合には、会社は時季変更権を行使して休暇の取得を拒否することもできます。
◆旅費の取扱いは
会社によって違いはありますが、労働基準法の規定では、労働組合との協定がある場合などは、月給などの賃金から天引きすることも可能です。この場合の積立金は、会社に返還義務があります。
一方、社員が自主的に親睦会費として積み立て、社内規約で返還しないことを定めている場合は返金されないこともあります。

勤務時間中の株取引は処分の対象となるか

◆就業中の株取引
最近、株取引を始める人が増えてきているようですが、一般的な株取引の時間は会社の就業時間と重なります。会社員が就業中に持ち株の値動きが気になってしまい、職場のパソコンや携帯電話を利用して株価をチェックした場合、処分の対象とすることはできるでしょうか。
◆就業規則で禁止する
就業中の株取引は、労働契約に基づく「職務専念義務」に違反する可能性が高いといえます。企業は、就業規則に定めれば、社員が勤務時間中に株取引を行うことを禁止することができます。他にも、私用メールなど、私的行為と判断できる行為については就業規則に定めて禁止するのが一般的となっています。
会社によって私的行為の許容範囲は異なりますが、繰り返し違反する場合には労働義務を果たしていないとして、解雇の要件に触れる場合もあります。株価のチェックや売買は、この私的行為に該当するといえます。
◆休憩時間の株取引は許されるか
では、休憩時間の株取引は認められるのでしょうか。
休憩時間は、自由利用の原則から、株価のチェックや売買も認められるように思えますが、職場のパソコンなどを仕事以外に用いることは会社の許可がないとできないという見方もあります。
最近では社員1人に1台のパソコンを貸し与える会社も多くなり、個々の従業員がパソコンを私的に利用しやすい状況にありますが、会社から貸し出されたパソコンを私的に使用する場合は会社の許可を必要とするとするのが望ましいでしょう。
◆会社側のチェック
会社が従業員のパソコンの通信履歴を見る際には、人格権などに配慮する必要があり、「目的に応じて社会的に相当な理由がいる」とされています。パソコンの私的利用などを未然に防止するためには、ネットへの接続状況をチェックできるように社内規程で定めておくなどしておくことが望ましいでしょう。

【トピック】
●国民年金保険料未納者への差押え件数が急増
国民年金保険料の未納者に対する財産差押えの執行件数は、2005年度は1,051件(昨年度22件)だったことが、東京社会保険事務局のまとめでわかった。未納者からの徴収強化の方針をとったことによるもので、昨年度から急増した。強制徴収を前提とした最終催告状を57,890件(昨年度3,029件)送付し、それでも未納だった人へは督促状を16,548件(昨年度1,560件)送付したが、今年2月末における納付率は60.3%にとどまっており、同事務局は「2006年度も徴収にさらに努力する」としている。