2013/01/01

平成25年 1月の事務所便り


厚生年金基金に関する改正動向と企業年金に対する考え方

◆気になる動向
 AIJ投資顧問事件の発覚以降、厚生年金基金の今後の改正動向が話題となっていますが、11月上旬に厚生労働省(社会保障審議会)の専門委員会が開かれ、「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」が発表されました。

この試案は、厚生年金基金の今後のあり方についての議論のたたき台として同省がとりまとめたものであり、今後、法律改正案のベースとなります。同省では、来年の通常国会での改正法案提出を目指しています。

 ◆「試案」の内容
 この「試案」の内容は、大きく3つの項目に分かれています。

(1)特例解散制度の見直しによる「代行割れ問題」への対応
(2)企業年金の持続可能性を高めるための施策の推進
(3)代行制度の見直し
 
 
 
 このうち、(3)の中で「代行制度の段階的縮小・廃止」について述べられています。その内容は、積立不足を抱えている基金については5年以内に解散させ、10年かけて制度を廃止するというものです。
 この試案については、その後開かれた専門委員会において、大半の委員が賛成しましたが、財政が健全な基金まで廃止することについては反対意見も出たようです。

 ◆今後の企業年金をどうするか?
 最近になって、約36万社が加入し、約324万人の加入者がいる中小企業退職金共済制度(中退共)についても、厚生年金制度と同様の状況(深刻な積立不足等)にあるとの報道がありました。
 日本経済新聞社が行ったアンケート(有力企業197社が回答)では、「企業年金が業績や財務に与える影響が重くなっている」と回答した企業が71%、「年金・退職金について給付水準の引下げを検討している」と回答した企業が21%となっています。
 今後の企業年金に関する改正動向を踏まえ、中小企業においても「企業年金をどうするか?」というテーマを真剣に考えなければならない時期に来ているようです。


「組合との賞与交渉における資料不提出は法違反」との判断

◆賞与交渉における会社の対応
 売上・利益・査定資料・組合員の査定結果の提出について労働協約を締結していたにもかかわらず、労働組合との団体交渉(賞与交渉)において会社がこれらの資料を提出しなかった事件の再審査で、中央労働委員会は、不当労働行為に当たるとの判断を示しました(1023日)。

 ◆事件の概要
 会社は、労働組合と、(1)賞与・昇給の支給以前に団体交渉を行うこと、(2)賞与総額の根拠を示す資料(売上・利益、査定資料および組合員の査定結果)を提出することを内容とする労働協約を締結していました。
 しかし、平成21年冬季賞与に関する団体交渉の場で、組合員の査定結果(人事考課表)を除く資料を提出せず、さらに、平成22年1月の昇給については団体交渉を行いませんでした。
 今回、このような会社の対応は、当該労働協約・合意事項に反する不誠実なものであり、労働組合法(第7条第2号)に違反するとの判断がなされたのです。

 ◆労働協約の遵守は重要
 この事件では、会社は、「冬季賞与の賞与総額の根拠を示す資料」、「売上・利益、査定資料および組合員の人事考課表」を提示して説明を行うことを労働組合と合意していたにもかかわらず、この合意を守りませんでした。
 上記の通り、このような会社の対応は「不誠実」と指摘され、法違反を問われる可能性がありますので、注意が必要です。


「定年後再雇用拒否」をめぐり最高裁で初判断

 ◆事件の概要
 定年後再雇用を拒否された労働者が会社に対して地位確認などを求めた訴訟の上告審判決が1129日、最高裁(第1小法廷)であり、継続雇用の基準を満たす労働者は定年後も雇用の継続を期待する合理的理由があるとして、解雇法理を類推適用して雇用関係の存続を認め、会社側の上告を棄却し、雇用の存続と賃金の支払いを命じました。
 平成18年4月改正による高年齢者雇用安定法(高年法)下の再雇用拒否事件で、初めて最高裁による判断が示されたことになります。
 この事件では、JMIU(全日本金属情報機器労組)津田電気計器支部(大阪府箕面市)の書記長を含む全組合員3人だけが再雇用を拒否されたため、社員としての地位確認と賃金の支払いを求めていたもので、2010年9月の大阪地裁、2011年3月の大阪高裁のいずれも労働者側の主張を認める判決が出されていました。

 ◆会社による恣意的な再雇用基準の運用は認められない
 本件では、労働者側は雇用の継続を希望したものの、会社側は仕事ぶりを点数化して評価する社内基準を満たしていないとして、61歳を迎えた2009年1月以降の再雇用を拒否していました。
 裁判所は、この会社の対応について、「男性は社内の基準を満たしており、再雇用しないのは合理的な理由を欠く」と述べ、不当に低い評価をして再雇用を拒否したのは違法だとの判断を示しました。

 ◆再雇用拒否をめぐる労使トラブルの今後
 2013年4月より改正高年法が施行されると、一定年齢以上の者については、従来通り労使協定等に定める再雇用基準に照らして継続雇用の対象とするかどうかを会社が判断することができますが、それ以外の者については、原則として、希望者全員を雇用確保措置の対象とすることが義務付けられます。
 今後は、企業が不当に労働者の継続雇用申入れを拒否した場合や、再雇用後の雇止め理由が合理的でない場合等に、労働者から地位確認および賃金の支払いを求めて訴訟提起される可能性があると言えます。

 
「勤務間インターバル規制」導入の検討に関する調査結果

 ◆調査結果の概要
 この調査結果は、参議院調査室の調査情報誌に掲載されたもので、総務省が5年ごとに実施する「社会生活基本調査」に基づき、長時間労働の実情に着目しながら働く人の平均的な1日の時間の過ごし方を概観し、現行の労働時間規制の概略および新たな規制(勤務間インターバル規制)の導入可能性についての検討等が行われたたものです。
 それによると、男性で「平日に11時間以上働く者」の割合は、平成13年の21.5%が平成18年には24.2%、平成23年には24.9%へと上昇しています。これに「1011時間未満」を加えると平成23年は40.2%と、平成13年の35.1%から5%ほど上昇しています。
 また、女性で11時間以上働く者は、平成13年の4.7%から平成18年は6.5%へと上昇し、平成23年も高止まりという傾向を示しています。

 ◆長時間労働者の時間の使い方の特徴
 男女共通の特徴として、長時間労働者は週40時間程度働く者に比べて睡眠時間が短く、男性6時間37分、女性6時間32分と、男性で33分、女性で21分ほど短くなっており、食事や家事、余暇に充てる時間も短くなっています。
 一方、週60時間以上労働する長時間労働者について、男性の平均仕事時間が11時間41分、女性は10時間30分と男性のほうが長く、また、男性は家事などに充てる時間が20分前後であるのに対し女性は約1時間である等、男女による違いも見られました。

 ◆「勤務間インターバル規制」導入に向けた検討
 本調査結果では、「法定労働時間を超える時間外・休日労働は、労使協定…の締結と行政官庁への届出を要件として、比較的容易に認められている」、「現行法制では極めて長い時間外労働を抑制することができず、労働者の健康・安全面についての十分な歯止めが掛けられていない事案が生じている」としたうえで、「現行の長時間労働規制では不十分との判断の下、労働安全衛生の観点を踏まえた取組が労使間に見られつつある。…勤務間インターバル規制の導入に向けた取組である」としています。
 さらに、今後の見通しについて、昨年10月の参議院厚生労働委員会での牧厚生労働副大臣の答弁を引用しつつ、「勤務間インターバル規制を広く導入していく環境が十分に整っているとは言い難い…しかし、…情報通信分野のように、長時間労働であり、勤務形態が不規則であるような分野においては、…勤務間インターバル規制の導入の必要性は今後高まっていくものと考えられる」と結論付けています。


喫煙者は採用に不利な時代に!?

 ◆「喫煙者は採用いたしておりません」
 総合リゾート運営会社の星野リゾートの採用ページが話題になっています。社長メッセージとして、社員の喫煙が作業効率や施設効率を低下させ、職場環境を悪化させるものであり、企業の競争力を弱めることになるので、喫煙者を採用しない旨を宣言しています。
 これは、「企業が厳しい競争環境の中で生き残っていこうとしているときに、わざわざ組織にとってマイナスとなるような人材は採らない」という社長の強いメッセージです。

 ◆喫煙率低下の大きな流れ
 「平成23 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によれば、現在習慣的に喫煙している人の割合は、20.1%(男性32.4%、女性9.7%)で、前年度より微増したとのことです。しかし、「平成24 全国たばこ喫煙者率調査」(JT)によると、平成24年の成人喫煙率は、成人男性は32.7%で、ピーク時(昭和41年)より55ポイントも減少しています。成人女性については10.4%で、ほぼ横ばいだそうです。タイミングとしては、タバコの規制を実施しやすい時期にあるのかもしれません。
 ただ、職場でのタバコを禁止する・しないのいずれにしても会社の姿勢が定まっていなくては、喫煙する社員、しない社員双方にとって不満のタネとなるでしょう。

 ◆喫煙の管理=企業のリスク管理
 こうした流れは今後も続くのでしょうか。アメリカでは喫煙の有無や肥満度などが昇進に影響すると言われています。我が国でそこまで積極的に評価の対象にすることは少ないとは思いますが、「自身の健康管理ができていない」という印象を評価者に与えるようであれば、関係ないとも言い切れません。
 また、昨今取り沙汰されている、長時間労働・過重労働に関連して、これらが喫煙とセットになった場合、脳・心臓疾患が重症化したり死亡率がアップしたりすることが知られています。喫煙自体は個人の自由だとしても、それが長時間労働等に絡んでくると企業の安全配慮義務が問われるリスクにつながるのです。
 よって、「社員の健康管理=企業のリスク管理」という面からも、喫煙の管理は重要課題となってくるのではないでしょうか。

 ◆採用時の確認
 なお、星野リゾートでは、現在喫煙者でも、入社時にタバコを断つことを誓約すれば採用選考に進むことはできるそうです。誓約書のようなものを提出させるのでしょうか。喫煙者に何らかのペナルティを与えるにしても、入社時にきちんと確認する必要があるでしょう。重要な事項を確認するときは書類で残すことが重要です。


精神障害者の雇用を検討する企業が増加

 ◆障害者の法定雇用率が引上げに
 企業が達成しなければならない障害者の法定雇用率(従業員に占める障害者の割合)は、一般企業については現在「1.8%」ですが、これが平成254月から「2.0%」へ引き上げられます。未達成企業は、不足する1人分当たり5万円を国に納付しなければなりません。
 また、すでに障害者を雇用する企業については、障害者の雇用に関する状況の報告が毎年1回必要ですが、その義務が課される企業規模も変更されます。現行の労働者数「56人以上」から「50人以上」となりますので、該当する企業は注意が必要です。

 ◆精神障害者の雇用義務付けも検討
 また、厚生労働省では「精神障害者の雇用義務付け」についての議論が行われています。
 現行の法定雇用率は、身体障害者と知的障害者だけを算定の根拠にしていますが、新たに精神障害者の雇用義務付けがなされると算定の仕方が変わり、雇用率が引き上げられる可能性もあります。

 ◆障害者雇用を経営に生かす
 こうした制度改正への対応も含めて、障害者を積極的に雇用し、経営に生かそうとする動きも出てきています。スーパーでは開店前の清掃や品出し等で働いてもらったり、資本のある企業では、特例子会社を設立したりするところもあるそうです。
 現在、人材紹介会社には求人依頼が殺到しており、対応の早い企業では、優秀な技能を持つ精神障害者を獲得しようと動き出しています。
 精神障害には様々な種類や症状の程度があります。「精神障害者」といっても、接客のような仕事には向かないけれども、コンピュータのプログラミング能力が非常に優れているなど、企業が適材適所で雇用すれば貴重な戦力となる方も多くいるのが事実です。

 ◆社内体制の整備が不可欠
 急速な高齢化の進む中、今後の雇用戦略を考えるうえでは、こうした積極的な障害者雇用も検討してみる必要があるようです。ただ、精神障害者の約40%が採用後6カ月未満で退職しているという厚生労働省の調査結果もあります。障害者の採用と労務管理については、企業の体制整備が不可欠でしょう。


新入社員の入社後の意識の変化を読み取ろう!

 ◆「今の会社に一生勤めようと思っている」が大幅減
 春に新入社員が入社してから半年以上が経ちました。新入社員には働くうえで意識の変化があったのでしょうか。
 公益財団法人日本生産性本部が、2012年度新入社員(340人)に実施した「2012年度新入社員秋の意識調査」(調査期間201210月~201211月)によると、「今の会社に一生勤めようと思っている」とする回答が30.6%で、同年春の調査結果(60.1%)から29.5ポイントの減少となり、この落差は1997以来過去最大となったそうです。

 ◆「仕事を通じてかなえたい『夢』がある」も減少
 また、「自分には仕事を通じてかなえたい『夢』がある」という質問に対して、「そう思う」と回答した人の割合は50.7%で、同年春の調査結果(70.5%)から19.8ポイント減となりました。
 これらの意識の変化は、入社前の「理想」と、実際に働きはじめてからの「現実」とのギャップを感じ始めていることを示していると言えそうです。

 ◆「人間関係の良さ」も企業選びには重要?
 また、「今の会社に一生勤めようと思っている」と回答した人がその理由として、給料・福利厚生等の良さの他に、「教育担当の先輩が熱心に指導してくれて、頑張らなければならないと感じている」、「先輩や上司が優しく働きやすい」など、人間関係の良さを挙げている傾向も見られました。
 入社直後は先輩・上司から指導を受けることが多く、その際に、誰にどのような指導を受けたかが、会社のイメージを左右するといっても過言ではありません。その意味で、新入社員の指導法等について検討することは、社員定着のためにも有効だと言えるでしょう。


仕事への「エンゲイジメント」に関する意識は?

 ◆8割以上が「仕事への『エンゲイジメント』の向上は組織に必要」
 人事労務の役職者と一般のビジネスパーソンに対して、株式会社アドバンテッジリスクマネジメントが今年10月に実施した「仕事へのエンゲイジメントに関する調査」によると、人事・労務役職者、ビジネスパーソンともに8割以上が、「『エンゲイジメント』の向上は組織にとって必要だ」と答えていることがわかりました。

 ◆『エンゲイジメント』とは?
 この『エンゲイジメント』とは「ワーク・エンゲイジメント」といい、従業員の心の健康度を示す概念の1つで、「個人がポジティブな感情を持って、仕事に対して自主的・精力的に取り組んでいる状態」と定義されています。
 オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授によって、「バーンアウト」(燃え尽き症候群)の対概念として提唱されたもので、ワーク・エンゲイジメントの高い人は、「意欲と活力にあふれ、仕事に積極的に取り組む」という特徴を示すそうです。従業員に高い生産性を求める企業側としては、そのような従業員の増加を望むことでしょう。

 ◆ワーク・エンゲイジメント向上のために重視する点
 同調査において、従業員のワーク・エンゲイジメント向上に重要だと思う項目について、人事・労務役職者、ビジネスパーソン両者の回答の上位は、次の通りでした。(人事・労務役職者=人、ビジネスパーソン=ビ)

◎上司、部下、同僚間での信頼関係が構築されている…(人62.8%/ビ50.8%)
◎コミュニケーションがとりやすい、円滑である…(人60.2%/ビ46.0%)
◎会社の方針(ビジョン・事業内容)が共有されている…(人53.4%/ビ34.6%)
◎仕事の成果を、正当に評価してもらえる…(人37.5%/ビ40.1%)
◎雇用の安定性がある…(人28.8%/ビ27.2%)
◎メンタルヘルス対策に取り組んでいる…(人22.7%/ビ21.4%)

両者間でいくつかのギャップが見られますが、従業員が重視する項目を適切に捉えたうえで企業の人事・労務体制を整備していくことが、必要になってくるでしょう。

 
「副業」を検討している人はどの程度いるか?

 ◆4割以上が「副業を開始」「副業を検討」
 給料やボーナスの伸び悩みで、副収入を得たいと考えている人が増加しているようです。日本経済新聞社の「日経生活モニター」に登録した読者へのアンケート調査で、副業を始めた人と検討している人が合わせて43%に達したことがわかりました。

 ◆1割の人は「すでに始めている」
 約1,000人が回答した「今冬のボーナスと副収入」をテーマに実施された上記の調査によると、「始めるべきか考えることがある」が18%、「始めたいが条件に合う仕事が見つからない」が12%、「すでに始めている」が10%、「近く始めるつもりだ」が3%となり、合計すると43%が副業を始めている、あるいは副業を行う意欲を持っているとの結果が出ています。

 ◆副業を考える理由は?
副業を考える理由については、次のような回答結果となりました。

・「生活費を稼ぐ」(48%)
・「生活に余裕が欲しい」(41%)
・「自分の小遣いを捻出する」(34%)
・「老後資金を貯蓄したい」(33%)

「年金だけでは老後の家計を維持できない不安がある」、「自由に使えるお金が減ったため、その補填が目的」など、老後への備えや生活の維持などの理由が目立っています。
 希望する収入額は「5万円未満」が54%で、希望する副業は「単発のアルバイト」、「家庭教師、コンサルタント」などが多かったようですが、反面、「会社に知られたくない」人も多く、本業の勤め先で「会社で副業が禁止されている」との回答は47%に達しました。
 また、今冬のボーナスについては、支給額が「減りそう」との回答が昨冬に比べ7ポイント上昇して48%になり、「耐久消費財などの買い物」、「旅行・レジャー費用」を抑える一方、「貯蓄」、「生活費の補填など」に回す傾向が強まっていることもわかりました。

 ◆誰もが手を出せるわけではない
 収入が減っているにもかかわらず、「子どもの教育資金」、「住宅ローンの返済」、「老後資金の準備」など、家計の負担は増える一方のため、副業への関心は高まりつつあるようです。ただ、副業は誰もが手を出せるわけではなく、就業規則などと板挟みになって悩む人も多いようです。

 
65歳までの継続雇用」に賛成? 反対?

 ◆賛成派36.6%、反対派30.6
 株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が、65歳までの継続雇用への賛否等に関して行った意識調査(2539歳のビジネスパーソン5,000人が対象)によると、「望ましい」と回答した人が36.6%、「望ましくない」と回答した人が30.6%となったそうです。

 ◆賛成・反対それぞれの理由は?
 賛成派・反対派の主な理由は、次の通りでした。

【賛成派の理由】
・仕事が好き…60歳はまだまだ元気に働ける、働くことで毎日が充実する。
・収入源が確保できる…年金受給開始年齢の引上げによる無収入期間の発生や、晩婚化による60歳以降も必要となる養育費など、金銭面の不安を解消できる。
・高齢者も戦力になる…ベテランの知識や労働力を高く評価し、社会や企業で活かすべき。

【反対派の理由】
・高齢者の雇用を確保することで、若者の雇用・待遇に影響が出る。
・高齢者の雇用を確保すれば、若年層の雇用や給料が減少する。
・上のポストが詰まることで、若手が昇進・成長する機会が減り、次世代を担う人材が育ちにくくなる。

 ◆何歳まで働きたいか?
 また、「何歳まで働きたいか」という質問について、最も多かった回答は「60歳」の33.1%、次いで「65歳」(26.7%)でした。
 「60歳」と回答した人の理由は、「体が健康なうちに、趣味やボランティアなど幅広い活動をしてみたい」、「家族で過ごす時間をなるべく多く持ちたい」、「60歳を超えて働くのは体力的・能力的に厳しく、若い世代にも迷惑がかかる」などでした。
 一方、「65歳」と回答した人の理由は、「住宅ローンや養育費等で65歳までは働く必要がある」、「年金受給年齢までは収入源をなくすわけにいかない」、「仕事が好きなので生涯現役で頑張りたい、なるべく長く社会と関わり、社会貢献することで生き甲斐を感じたい」などでした。
 この調査結果から、60歳以上の働き方や仕事内容については、個々の健康状態や能力、家庭事情に合わせた希望等に応じて選択できることが望まれていると言えそうです。