2010/06/02

6月の事務所便り

 上司と若手社員の考え方のギャップ

 ◆若手社員のモチベーションが低下
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が、20~50代のサラリーマンを対象に昨夏に「仕事に関する意識調査」を行いました。このアンケートの中に「現在の仕事へのモチベーション」という項目がありましたが、全体的にモチベーションの低下傾向が見られた中、特に20代社員の低下が著しい結果となりました。
「現在の仕事にやる気がある」と答えた社員の割合は、2008年調査と2009年調査を比較すると、20代では57.3%→50.0%(7.3ポイント減)、30代では50.5%→50.3%(0.2ポイント減)、40代では49.2%→54.4%(5.2ポイント増)、50代では55.0%→52.0%(3.0ポイント減)との結果でした。
同社では、20代の若手社員のモチベーションが低下した原因として、「会社の将来性への不安」「人材育成の機会の不十分さ」などを挙げています。40代では会社の将来性への不安を抱きつつも、それがモチベーションの低下には繋がっていない結果となっており、ここに若手社員とのギャップが見られます。

 ◆上司は若手社員の「困難克服力」に期待
また、JTBモチベーションズ(JTBグループの人事コンサルティング会社)では、今年の2月に若手社員の成長などに関する調査の結果を発表しました。約40%の上司は部下の「困難を克服する力」に大きな期待をかけている一方で、このような「困難克服力」を伸ばしたいと考えている若手社員(入社1年目から3年目まで)は約20%しかいないという結果となりました。
ここでも、「上司の求めるもの」と「若手社員の意識」の大きなギャップが見られる結果となりました。

 ◆いかに考え方のギャップを小さくするか
「上司と若手社員の考え方のギャップ」、これはいつの時代においても存在する永遠のテーマなのかもしれません。しかし、初めから「ギャップがあるのはしょうがない」言って諦めてはいけません。
この不景気の時代、会社が一丸となって業務を進めていくためには、上司と部下、年配者と若者のギャップをいかに小さくしていくかを考えなければなりません。世代間ギャップを埋めることを社員個人に頼るのではなく、「ギャップを小さくするために会社として何かできることはないか」を考える必要があるのではないでしょうか。


 健康診断で「うつ病検査」を義務化へ

 ◆うつ病などの労災請求・認定件数
2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件(3年で41.3%増)、認定件数は269件(3年で111.8%増)となっており、増加傾向にあります。
そこで、厚生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの精神疾患に関する検査を義務付ける方針を明らかにしました。
2011年度からの実施を目指すとしており、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今後まとめる報告書に盛り込まれる予定で、労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正)により対応していくものと思われます。

 ◆高い自殺率の背景にうつ病などの精神疾患
日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、人口10万人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、欧米の先進諸国と比較して突出して高い水準にあります。
また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。これらうつ病をはじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の背景にあると言われているため、自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急務とされていました。

 ◆一体となった取組みが必要
健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少につながることが期待されていますが、政府・厚生労働省の対策に頼るだけでなく、職場・地域・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが期待されるところです。


 年金記録の回復がより早く!~新たな回復基準~

 ◆年金記録確認第三者委員会の役割
世間を騒がせた「消えた年金」や「宙に浮いた年金」を救済するため、昨年6月に総務省に「年金記録確認第三者委員会」(第三者委員会)が設置されました。
この第三者委員会は、年金記録の確認について、国(厚生労働省)に記録が残っていなく、本人も領収書等の物的な証拠を持っていないといったケースについて、国民の立場に立ち、申立てを十分に汲み取り、様々な関連資料を検討したうえで、記録訂正に関し公正な判断を示すことが任務とされています。

 ◆新たな年金記録救済策
このほど(5月6日)、日本年金機構では、年金記録救済策をさらに手厚くするため、上記の第三者委員会で審議することなしに年金事務所(旧社会保険事務所)の調査だけで年金記録を回復できる基準を示しました。その内容は次の通りです。
(1)厚生年金(標準報酬月額の改ざんの疑い)
・6カ月以上さかのぼって標準報酬月額が大きく引き下げられている記録が事実に反していると疑われるなどの条件を満たす場合
(2)厚生年金(脱退手当金の誤った支給記録)
・昭和49年まで発行されていた厚生年金の被保険者証に、脱退手当金を支給した表示がないなどの条件を満たす場合
・脱退手当金の支給日より前にその計算基礎にされていない厚生年金の期間があるなどの条件を満たす場合
(3)国民年金(2年以下の記録漏れ)
・保険料納付記録が漏れていると思われる期間が2年以下であって、その他の期間は納付済みであるなどの一定の条件を満たす場合

 ◆その他の年金記録回復の基準
上記以外にも、確定申告書の控えが残っている場合や、勤めていた事業所が廃止された後に厚生年金の加入記録がさかのぼって変更されている場合などの回復基準があります。


 起業を目指す若者が減っている!?

 ◆「1万人アンケート」の結果から
野村総合研究所では、昨年末に「生活者1万人アンケートにみる日本人の価値観・消費行動の変化」を発表しました。これは、15~69歳の約1万人を対象に行ったアンケートをまとめたもので、1997年から3年ごとに実施されています。
このアンケートで、「会社を立ち上げて経営者になる」、つまり「起業家を目指す」人が減っていることが明らかになりました。

 ◆減少する「起業家志向」
「一流企業に勤めるよりも、自分で事業をおこしたいか」との質問に対して、肯定的な意見(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人)は「35%」で、1997年の「49%」から14ポイントも低下しています。世代別でみると、30代の起業家志向が39%と最も高く、10代では27%と最も低い結果となりました。

 ◆不景気下でより安定志向へ
景気の低迷により、2009年の新興企業向け市場の東証マザーズの新規上場数は4社でした。ピーク時(2004年)の57社から大幅減少しています。
また、上記のアンケートで、仕事をしている人のうち59%(前回調査から3ポイント増)の人が「転職は考えていない」と答えるなど、不景気の中、より安定的な生活を希望する人が増えている傾向が鮮明に表れる結果となりました。


 「ワークルールチェッカー」の診断結果

 ◆15万アクセス突破
連合は、今年2月に開設した、労働条件簡易診断Webサイトの「ワークルールチェッカー」(http://www.work-check.jp/)のアクセス数が15万件(4月13日時点)に達したと発表しました。診断結果が「ひとまず安心」(チェック項目がゼロ)だったのは全体の約2割で、雇用形態を問わず、法令違反の可能性が示唆される結果が目立っているそうです。

 ◆寄せられた回答の多くに労働法令違反の可能性
この「ワークルールチェッカー」は、Webサイトにパソコンや携帯電話からアクセスし、9つの設問(派遣労働者は14問)の中から該当する項目にチェックを入れることで、職場の法令遵守度合いを点検できる仕組みです。
9つの設問は次の通りです。
(1)労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない。
(2)給与明細に「厚生年金保険料」「健康保険料」が載っていない。
(3)給与明細に「雇用保険料」が載っていない。
(4)残業したのに、残業代が全部または一部支払われない。
(5)有給休暇がもらえない、あっても取りづらい。
(6)会社で健康診断を受ける機会がないか、自腹で健康診断をしている。
(7)仕事上の病気・ケガをしたら、会社から「自分で治せ」と言われた。
(8)会社の都合で仕事が休みになったのに、賃金補償がない。
(9)仕事中にミスをしたら、罰金をとられる。

 ◆有給休暇や残業、労働条件の書面明示などに問題が
設問ごとにみると、利用者の約半数が「有給休暇がもらえない、あっても取りづらい」にチェックしており、次いで「残業したのに、残業代が全部または一部支払われない」、「労働時間・休日・賃金・業務内容などの労働条件を書面でもらっていない」がともに約35%となっています。
派遣労働者のみの設問では、「『打合せ』、『見学』の名目で派遣先と事前に会ったことがある」をチェックした人の割合が約53%で一番高かったようです。
設問の内容は基本的なものが中心ですが、チェック項目がゼロの「ひとまず安心」が全体の2割ほどしかなかったということを考えると、労使トラブルが発生する可能性がある企業の割合は高く、その対策が急がれます。


 残業時間の削減を進めるには?

 ◆長時間労働の短縮に向けて
過去に「働きバチ」と揶揄されたこともある日本人の残業時間は、以前よりは短くなっているものの、国際的にみるとまだまだ長いと言われています。
1人あたりの平均年間総実労働時間は減少傾向にあるものの、正社員については、今も2,000時間前後で推移しています。働き盛りの30~40代男性では、フルタイム勤務者のうち週60時間以上働く人が全体の2割を超えています
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現させるためにも長時間労働の短縮は必要不可欠ですし、また、この4月からは改正労働基準法が施行され、月60時間を超える残業に支払う賃金割増率が25%から50%以上へと引き上げられており(中小企業は猶予期間あり)、人件費抑制の対策としても労働時間の短縮が急務と言えます。

 ◆残業時間削減への各社の取組み
残業時間削減に向けて、ある企業では、会議で使用するディスプレー上に、社員1秒あたりの平均賃金と会議時間を基に算出した「会議コスト」を秒刻みで表示しているそうです。一人ひとりにコストを意識させ、会議を効率的に進めることが狙いです。この企業では、全スタッフが1日の予定をパソコンに入力し、共有できる仕組みも導入したことにより、月間の平均残業時間が2年前に比べ半分以下となったそうです。
また、他の企業では、1日の予定を管理職に報告させることに加え、全員の時間の使い方を分析することで、長時間労働の原因を分析し、残業削減に取り組んでいるそうです。

 ◆個人でもできる残業削減
残業時間を減らすには、社員の協力も必要不可欠です。仕事を効率的に終わらせるスキルを身につけることができれば、個人でも残業の削減は可能です。
まずは、日常業務を徹底的に見直し、始業から就業までの間にどんな仕事をするのか、スケジュールを書き出すことから始めます。このとき、例えば「13時~17時:資料作成」などと大まかに計画しがちですが、資料作成といっても「データ収集」「情報分析」「入力作業」などいくつもの作業に分かれます。業務を細分化し、事前に準備しておく事項や人に任せられる事項を明確にしておけば、時間を効率的に使えるようになります。
残業時間の削減は労使双方にとって大きなメリットがあります。まずは、会議や打合せ、資料作成などの身近なムダを排除することから始める必要がありそうです。


 「主婦パート」の仕事に対する考え方

 ◆平成22年版を発表
株式会社アイデムの「人と仕事研究所」は、平成22年版の「パートタイマー白書」を発表しました。いわゆる「主婦パート」の実態と労働力としての今後の可能性について書かれていますが、とても興味深い内容となっています。

 ◆「主婦パート」の半数は就労調整せず
主婦パート本人に対して収入について質問したところ、自身の収入に「上限を設けている」と回答した人は約半数(50.5%)で、このうち、いわゆる「103万円の壁」、つまり所得税の非課税限度額や配偶者控除を意識している人は約4割(41.0%)、主婦パート全体の2割に過ぎない結果です。
一方で、一部の企業には「主婦パート=103万円以内で働く人たち」との認識も見受けられ、約半数が収入に上限を設けていないという実態とのギャップが浮き彫りになりました。

 ◆子育てが主婦パートの働き方に影響
主婦パートの多くが「正社員」になりたがっているかといえばそうでもなく、その就労意向は3割程度にとどまっています。ところが、同じ正社員でも勤務時間の短い「短時間正社員」としての就労意向は約6割となっています。
労働時間の長さがネックとなっている背景には、家庭環境、とりわけ「子育て」がありました。例えば「今後の働き方」について、「(税金・社会保険関連の制度が変わり) 収入を制限する必要がなくなった場合」、「子供が成長した場合」、「親の介護・看護の必要がなくなった場合」についてそれぞれ聞くと、特に「子供が成長した場合」に、労働時間を増やして正社員になりたいとの意欲が、強く表れる結果となりました。
主婦の社会進出を阻む要因の大きな1つに税制や社会保険制度があると言われていますが、子育ても、主婦の働き方を決定付ける大きな要因となっているようです。

 ◆労働力としての今後の可能性
上記アンケートでは、企業に「今後、主婦パートが正社員の仕事を担っていくことは可能か」について聞いていますが、「どちらかといえば可能だと思う」も含めれば47.4%の企業が肯定的に考えており、主婦パートが正社員の代替労働力になり得る可能性を示しています。
子育ての問題が解決されれば、主婦パートの一層の活躍が期待でき、仕事の範囲も大きくなってくるはずです。企業も主婦パートの置かれている現状を知ることにより、さらなる活用の道が開けるのではないでしょうか。


 「雇用」や「賃金」に対する企業の考え方

 ◆「企業経営と賃金に関する調査」
独立行政法人労働政策研究・研修機構では、平成20年12月に「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」として、全国の従業員50人以上を有する企業約15,000社(有効回答2,734社)を対象として大規模な調査を行い、その結果をまとめました。
調査内容としては、賃金の構成要素や賃金制度のあり方、制度見直しの方向で、経営環境や雇用に対する考え方についても含まれています。

 ◆雇用・賃金体系に対する考え方
雇用に対する考え方としては、できるだけ多くの社員について「長期安定雇用」を維持したいと回答した企業は約7割に上り、「従業員の生活を保障するのは企業の務め」と回答した企業は9割近くとなっています。
賃金体系については、過去5年程は年齢・勤続・学歴を重視する「個人属性重視型」が40.5%で最多でしたが、今後は職務遂行能力を重視する「職能重視型」が33.2%と最も多くなっており、成果主義賃金の典型である「短期成果重視型」は8.6%にとどまっています。
賃金制度を見直すにあたって重視する点については、以前・今後のいずれも「個々の職務遂行能力」、「個々の成果」を把握して賃金に反映させることがそれぞれ6割強となっています。

 ◆「職務遂行能力」を重視へ
ここ数年の不景気下で、非正社員だけでなく、正社員でも「雇用の安定」を求めにくい状況となっていますが、企業サイドとしては、以前同様「長期安定雇用」を目指していることがうかがえます。
しかし、その際に重視するのは、以前は「従業員の年齢や学歴」が中心となっていましたが、今後は「職務遂行にあたっての能力」であるということがこの調査により明確になっています。
今後は、職務遂行能力を向上させるための教育制度やその補助に関する充実がより求められるのではないでしょうか。


 職業生活上のピークは何歳?

 ◆30代前半がピーク?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「成人キャリア発達に関する調査研究」によれば、現在50代の人は、自らの職業生活を「30代前半がピーク、40代後半が底であった」と振り返っているという結果になりました。
この調査は、2009年1月時点で50~59歳の常勤労働者を対象として行われたものです。

 ◆自分の能力や努力で決まる満足感
「現在の年収」および「勤務先の従業員数」(勤務先全体の従業員数でパート・アルバイトを除くおおよその数)と満足感の関係からみると、年収が高い人ほど、また、勤務先の従業員数が多いほど、これまでの職業生活やキャリアに対する満足感が高い人が多いことがわかりました。
また、「学校での知識が役立っている」と思う人や、「特定の分野で1つの仕事をしてきた」と思う人ほど、仕事への満足感が高くなっています。

 ◆重要だった出来事は何か?
10代から50代の各年代で一番重要だった出来事を質問したところ、10代では「大学への進学」、「正社員として就職」、「学校卒業」、20代では「正社員として就職」、30代では「昇進・昇格」、「転職」、「仕事内容の変更」、40代では「管理職になる」、「昇進・昇格」、「仕事内容の変更」、50代では「仕事内容の変更」、「管理職になる」、「配属先の変更」という結果になりました。
また、学校卒業から現在に至るまでの「職業生活の浮き沈み」を曲線で描いてもらうと、男性は30代前半をピークに40代後半で底を打ち、50代で再び上昇するS字曲線を描く傾向にありました。これに対し、女性は30代~40代では平板な曲線になりますが、50代からの上昇が著しくなっています。

 ◆職業生活上の危機はいつだったか?
過去の自分の職業生活上の危機があった時期は40代が中心となっており、危機の内容としては、会社の仕事面が中心ですが、倒産や転職、上司との人間関係なども挙げられました。
これは、調査対象者のキャリアの大部分について、「雇用情勢悪化期が労働市場参入時期に当たること」や、バブル期を経験後、30代前半~40代前半時以降に経済環境の激変の中で雇用・失業情勢の急激な悪化、40代以降の中期キャリアで経済社会の変革を経験し続けているためと推測されています。


 新規株式上場に関する意向調査

 ◆新規株式上場意向に関する調査結果
帝国データバンクでは、「新規株式上場意向に関するアンケート調査」の結果を発表しました。今年で13回目の調査実施となっています。
調査対象は、調査開始時点で未上場であり、前回までの調査等において新規株式上場の意向を示していた企業4,473社です。この中で回答のあった企業は1,621社で、このうち具体的な上場予定・計画のある「予定企業」および具体化はしていないが上場の希望がある「企業希望」を合わせた631社を「株式上場予備軍企業」と位置付け、具体的な上場計画等のデータを集計しています。

 ◆調査結果の概要
株式上場予備軍企業のうち、上場予定時期は2013年が14.4%(91社)と最も多く、次いで2015年が11.3%(71社)となっています。「未定」と回答した企業は45.5%(287社)で、予備軍企業の約半数を占めています。
上場予定市場としては、複数回答の結果、大証ヘラクレス、JASDAQ、ジャスダックNEOの3市場が今年10月に統合して誕生する予定の「新JASDAQ」が266社と最多で、次いで「東証マザーズ」が245社となっています。
上場に際し希望する株価水準(日経平均)については、「具体的に希望を持たない」あるいは「わからない」と回答した企業が49.6%(313社)でした。具体的な株価水準を回答した企業では「15,000円台」とした企業の12.7%(80社)が最多です。
株式上場を目指す理由(複数回答)としては、「知名度や信用度の向上」が470社、「資金調達力の向上」が365社となっています。

 ◆短期的な予測
景気は「回復の兆し」と言われていますが、株式市況や企業業績の回復には長い時間を要するとみている企業が多いということがわかります。 また、大半の企業では上場の理由として「資金調達力の向上」を挙げていますが、株価低迷で十分な資金調達が望めないことが予想されます。
以上の状況から、上場の希望がありながらも実際に上場する企業は低い数字にとどまるのではないかと予測されます。株式上場傾向が高まるには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。


 国会に提出されている「年金改善法案」の内容

 ◆年金制度全体の改善に向けて
現在、年金に関するいくつかの法案(総称して「年金改善法案」)が国会に提出されています。
高齢期の所得を確保する観点から、国民年金保険料の納付可能期間の延長や、企業型確定拠出年金の加入資格年齢の引上げ・加入者による掛金拠出の認容などが主な内容です。

 ◆国民年金法の一部改正
(1)国民年金保険料の納付可能期間を延長(2年→10年)し、本人の希望により保険料を納付することで、その後の年金受給につなげることができるようにする。
(2)第3号被保険者期間に重複する第2号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂正された場合に、それに引き続く第3号被保険者期間を未届期間とする取扱いを改め、保険料納付済期間のままとして取り扱い、年金を支給することとする。
(3)国民年金の任意加入者(加入期間を増やすため60歳~65歳までの間に任意加入した者)について国民年金基金への加入を可能とし、受給額の充実を図る。

 ◆確定拠出年金法の一部改正
(1)加入資格年齢を引き上げ(60歳→65歳)、企業の雇用状況に応じた柔軟な制度運営を可能とする。
(2)従業員拠出(マッチング拠出)を可能とし所得控除の対象とすること、事業主による従業員に対する継続的投資教育の実施義務を明文化することにより、老後所得の確保に向けた従業員の自主努力を支援する。
(3)企業年金の未請求者対策を推進するため、住基ネットから加入者の住所情報の取得を可能とすることにより、住所不明者の解消を図る。