通達の内容は、「Ⅰ 高年齢者雇用確保措置の推進等に係る指導について」、「Ⅱ 高年齢者等の再就職の促進援助等について」の2つが柱となっていますが、ここでは「Ⅰ」の内容について見ていきます。
高年齢者雇用に関連した助成金の変更内容
なお、「中小企業定年引上げ等奨励金」については、平成25年3月31日までに、「65歳以上への定年引上げ」、「定年制の廃止」、「希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度」などの導入を行った中小企業事業主については、支給の対象となります
また、「高年齢者職域拡大等助成金」についても、平成25年3月31日までに「職域拡大等計画書」を申請した事業主については、支給の対象となります。
「職務内容」「労働時間」「勤務場所」を限定した正社員は可能か?
◆有識者会議による報告書
先日、内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」から、「人材の育成・活用」や「働き方の見直し」に関する提言(報告書)が発表されました。この会議のメンバーは大学教授を中心に構成されており、「経済社会に関する基本認識、政策、制度、規範等の在り方について、有識者の意見を聴取し、経済財政政策の企画及び立案並びに総合調整に資すること」を目的として、平成23年8月に設置されています。
◆「正規」「非正規」二元的な雇用の打破
今回の報告書では、「経済社会の成長の最大の源泉は、人的資源である」と位置づけ、様々な提言がなされました。
この報告書の中で注目すべきは、「職務内容、労働時間、勤務場所などを限定した正社員」を認めていこうではないか、と提言している点です。
近年は非正規雇用社員の比率が増大し、人的資源の形成・活用に問題が生じてきている状況の中、今後は「雇用の安定化」の仕組みを整備していく必要があるとし、「正規雇用」「非正規雇用」といった二元的な雇用機会だけではなく、より多元的な働き方も提供していくことが望ましいとしています。
そして、「正社員としての雇用の安定性を一定程度確保しつつワークライフバランスが確保できるような、残業なしの働き方や短時間正社員、職種限定正社員など、多元的な無期雇用形態を個人の選択により可能にすること」などが必要だと結論づけています。
しかし、これらのニーズに社会全体で応えていくことにより、多様な人材が安定的に働くことができるようになり、結果として企業に利益をもたらすことが、理想的な雇用のあり方と言えるのではないでしょうか。
今年の就職企業人気ランキングは?
◆約1万8,000人の大学生が回答
株式会社マイナビから、1978年から実施している「大学生就職企業人気ランキング」(有効回答数:17,725名)の上位100社が発表されました。今年の特徴として、文系では、旅行会社・航空会社などの人気が不動である他、金融業界が全体的に上昇しました。理系では、大学での専攻を活かせる企業を選ぶ傾向が見られました。
文系の上位10社は次の通りです。
なお、【 】は前年の順位です。
(1)JTBグループ【1】
(2)全日本空輸(ANA)【2】
(3)エイチ・アイ・エス【6】
(4)電通【4】
(5)三菱東京UFJ銀行【5】
(6)オリエンタルランド【3】
(7)JR東日本【10】
(8)日本航空(JAL)【ランク外】
(9)Plan・Do・See【18】
(10)東京海上日動火災保険【20】
◆理系のベスト10
(1)JR東日本【7】
(2)カゴメ【3】(3)旭化成グループ【8】
(4)資生堂【5】
(5)明治グループ【1】
(6)味の素【8】
(7)トヨタ自動車【6】
(8)三菱重工業【12】
(9)東芝【2】
(10)NTTデータ【22】
4月1日から失業認定の手続きが変わっています
厚生労働省の発表によると、2005年から2009年までの間に4万件超の不正が確認されていますが、氷山の一角に過ぎないとも言われています。
基本手当等の給付は、被保険者等が負担する保険料によって賄われているものですので、当然、同省もこのようなケースを見過ごすことはできず、法改正等の対応により対策を講じており、件数が減少する傾向になっていましたが、リーマンショックの影響があった2009年度は前年度比で20%近く件数が増えています。
そのため、ハローワークでは失業認定申告書に具体的な求職活動の内容を記載させたり、申告書に書かれた企業等に実際に応募があったかどうかの確認をとったりして、求職活動の実態を調査しています。
また、不正受給が発覚した場合には「2倍返し」「3倍返し」させる等の厳しいルールを設けることで、不正受給を抑止する効果をねらっています。
この本人確認について、今年4月1日より雇用保険法施行規則が改正され、受給資格決定時だけでなく、受給資格決定後においても、本人確認書類の提出を求めることができることとされました。
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、弟妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
2.被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の(1)~(3)の人
(1)被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
(2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子(3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子
具体的には、生計維持関係のない両親等を被扶養者に含めていたり、共働き夫婦の夫と妻の両方が子どもを被扶養者として申告していたりする等です。
中には、社会保険の被扶養者要件と税法上の被扶養者要件とが違っている点がわからずに誤った申告をしてしまっているケースもありますので、注意が必要です。
再確認の対象となるのは、被扶養者のうち、「2013年4月1日において18歳未満の被扶養者」と「2013年4月1日以降に被扶養者認定を受けた被扶養者」を除く人です。
リストが送られてきたら(1)該当被扶養者が現在も健康保険の被扶養者の条件を満たしているか確認のうえ、被扶養者状況リスト(2枚目は事業主控)に必要事項を記入し、事業主印を押し、(2)確認の結果、削除となる被扶養者については、同封の被扶養者調書兼異動届を記入し、該当被扶養者の被保険者証を添付し、(3)(1)および(2)を同封の返信用封筒にて提出します。
すると、協会けんぽで確認のうえ年金事務所へ回送され、年金事務所で扶養者調書兼異動届の内容審査および削除処理が行われ、被扶養者(異動)届の「控」が事業主宛てに送られてくることとなります。
精神障害者の雇用義務付け法案を国会提出へ
そして、これに続き、「雇用の分野における障害者の差別の禁止」と「精神障害者の雇用義務付け」を主な内容とする法律案(障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案)が今国会で議論されることになりました。
精神障害者の雇用が義務付けされると、この4月から上がった法定雇用率がさらに引き上げられることとなるでしょう。引上げ幅については、法律の施行から5年間は、実際の雇用状況等を勘案して緩和されたものになる可能性もあります。
なお、現在、精神障害者については、雇用義務はありませんが、雇用した場合は身体障害者・知的障害者を雇用したものとみなされます。
現在、障害者雇用率未達成の一定規模以上の企業は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて「障害者雇用納付金」(原則として、不足1人につき月額5万円)を納付しなければならないこととされています。現在、この制度の対象は、常時雇用する労働者が201人以上の企業ですが、平成27(2015)年4月からは「101人以上」の企業にまで拡大されることが決定しています。
障害者の雇用については、各種助成金や障害者派遣を行う企業なども利用して、導入に成功している事例が各種メディア等で取り上げられています。そうした企業では、導入時に業務全体を見直したために業績が向上した例もあるそうですので、自社で導入できるかどうか検討することも1つの参考になるかもしれません。
自転車通勤に駐輪場の確保を義務付け
こうした条例は全国で初めて、7月1日から施行されます。ただし、罰則は設けられていません。今後、このような動きが他の自治体にも広がる可能性があります。
自転車通勤を積極的に禁止していないと、この条例が規定する内容に抵触する可能性があるようです。
(1)交通法規や交通規制に対するリスク
(2)交通事故を引き起こしたり,事故に巻き込まれたりするリスク
(3)駐輪場の確保などの物理的な負担
企業としては、まずは自転車通勤を認めるかどうかについての検討が必要ですし、認める場合にはルールを作っておかないと、従業員が起こした事故により使用者責任を問われる可能性もあります。また、通勤手当の取扱いについても検討する必要があるでしょう。
現在、自転車通勤を黙認しているような会社では、ひとたび事故が発生してしまった際には、会社にとっても従業員にとっても不幸な結果となってしまいます。就業規則の見直しと併せて、保険への加入等も考える必要がありそうです。
今年度の新入社員の特徴は「○○型」?
この研究会では、その年の新入社員の特徴をネーミングすることが恒例となっています。
◆今年の新入社員は『ロボット掃除機型』
過去には、「過保護で栄養分は高いが、魚らしくピチピチしていない」といった特徴から名付けられた『養殖ハマチ型』(昭和63年)、「その場で瞬時に情報を取り込み発信するセンスや処理能力を持ち、機能も豊富だが、経験や知識がなかなか蓄積されず、中高年者にとって使いこなしきれない」という側面がある『カメラ付ケータイ型』(平成15年)といったネーミングがありましたが、今年の新入社員のタイプは、『ロボット掃除機型』とのことです。同研究会では、この由来については、「一見どれも均一的で区別がつきにくいが、部屋の隅々まで効率的に動き回り家事など時間の短縮に役立つ(就職活動期間が2カ月短縮された中で、効率よく会社訪問をすることが求められた)。しかし段差(プレッシャー)に弱く、たまに行方不明になったり、裏返しになってもがき続けたりすることもある。能力を発揮させるには環境整備(職場のフォローや丁寧な育成)が必要」と説明しています。
期間が2カ月短縮されたことで、業界研究に十分な時間が費やせなかったり、スケジュールが慌ただしくなったりなどのマイナス面が懸念されました。そういった中で効率よく就職活動をした姿が、部屋を効率的に動きまわり掃除をする『ロボット掃除機』を連想させるため、このようなネーミングとなったようです。
全国初!自治体が中小企業向けパワハラ対策マニュアルを作成
◆神奈川県がマニュアルを作成
職場のパワーハラスメント(パワハラ)問題への関心が高まる中、神奈川県では、昨年11月に知事メッセージ「ハラスメントのない職場づくりを神奈川から」を発信するなど、取組みを強化しています。その一環として、県内の事業所におけるパワハラ対策の取組み状況等に関する実態調査を行い、その結果を踏まえた「中小企業向けパワハラ対策マニュアル」を全国で初めて作成しました。また、労働者のための啓発リーフレットも併せて作成しています。
このマニュアルを企業に提供するなど、パワハラ撲滅に向けた取組みの一層の強化を図っていくとのことです。
◆パワハラの実態調査の概要
同県では、平成24年7月から9月にかけて県内1,500事業所を対象にアンケート調査を行い、県内事業所の実態を明らかにしました。以下が主な調査結果です。
・過去1年以内にパワハラの相談・苦情があった中小企業事業所は約3割(28.6%)。
・中小企業事業所の8割以上(84.5%)がパワハラ対策を経営上重要と認識しているが、3割以上(35.7%)が何も取り組んでいない。・取組内容は、「会議や朝礼での注意喚起」がトップ(28.2%)で、「相談窓口の設置」は約2割(21.0%)、「研修・講習会の実施」は1割台(13.9%)。
◆マニュアルの概要
マニュアルには、パワハラの定義、企業の責任、取組実態、予防策などについて書かれており、次のような特徴があります
・厚生労働省、神奈川県経営者協会、連合神奈川などからのメッセージを紹介し、パワハラは労使を挙げて取り組むべき問題であるという姿勢を示す。
・中小企業で活用できるよう、企業に求められる取組みをわかりやすく具体的に解説するとともに、企業や事業所の実情に応じたステップバイステップの取組方法を解説。・実態調査を踏まえ、社員研修の実施方法や相談窓口の開設、運営について丁寧に解説。
・パワハラ対策の趣旨やポイントをまとめた小冊子「ダイジェスト版」の作成。
◆その他の対応
かながわ労働センターでは、パワハラを含めた職場のトラブルについて直通電話で相談できる「労働相談110番」を開設するなどして、適切に対応できる体制の整備をしているとのことです。