◆日本経済の大きな課題
帝国データバンクでは、「事業承継」に関する企業の見解に関する調査(調査対象:22,750 社、有効回答企業数:10,157社)を実施し、その結果を発表しました。「経営者の高齢化」や「後継者難」は深刻な問題であり、事業承継により企業を存続・発展させていくことは今後の日本経済の発展のためにも必要不可欠です。政府の「成長戦略」においても円滑な事業承継について取り組む方針が打ち出されています。
◆多くの企業が事業承継を“経営問題”と認識
まず、「経営を行うなかで事業承継をどのように考えているか」を尋ねたところ、「経営問題のひとつと認識している」と回答した企業は63.0%でした。そして、「最優先の経営問題と認識している」企業は23.3%で、両者を合計すると86.3%の企業が事業承継を“経営問題”として捉えていることがわかりました。
なお、「経営問題として認識していない」企業は9.1%でした。
◆3割の企業には事業承継の計画がない
次に、「自社に事業承継を進めるための計画があるかどうか」を尋ねたところ、「計画があり、進めている」と回答した企業が27.6%、「計画はあるが、まだ進めていない」と回答した企業が32.4%で、「計画はない」と回答した企業は30.0%でした。
◆事業承継の計画がない理由は?
事業承継について「計画はあるが、まだ進めていない」または「計画はない」と回答した企業の理由(複数回答)の上位5つは、次の通りです。
(1)まだ事業を譲る予定がない(46.8%)
(2)事業の将来性に不安がある(28.6%)(3)任せられる人がいない(25.3%)
(4)借入に際しての個人保証がある(24.2%)
(5)自社株など個人資産の取扱い(17.0%)
「社員研修」実施の現状と企業が抱える問題点
◆社員研修の現状と課題に関する調査
株式会社ディスコでは、企業の社員研修・教育担当者を対象に、自社で実施している社員研修についての現状等を調査しました。それによると、新入社員を含めた若手社員への研修は非常に手厚いものの、管理者以上の研修は比較的手薄であることがわかったそうです。
◆社員研修の対象層は?
企業における社員研修の対象層(複数回答)は、次の通りでした。
(1)新入社員研修(95.9%)
(2)若手社員研修(81.1%)(3)管理職研修(62.1%)
(4)管理職前研修(55.6%)
(5)次世代経営層研修(22.6%)
(6)経営者研修(11.5%)
◆社員研修の問題点は?
社員研修の問題点として、一般的に以下のようなことが挙げられます。
・「通常業務で忙しく社員研修に充てる時間がない」
・「社員研修の予算が低く効果的に実施できない」・「社内に教育・指導を行うことのできる人材がいない」
・「会社全体として計画的に社員研修ができていない」
・「社員研修を実施したとしても効果が見られない」
◆「時間・予算」は限られている
上記のような問題点を克服し、いかにして効果的な社員研修を実施できるかどうかが、社内人材の育成、ひいては会社の成長に影響してきます。限られた「時間・予算」の中で、どのような研修を実施することができるのかを一度考えてみることも必要でしょう。
アルバイトの非行増加! 万が一に備えて就業規則をチェック
◆飲食店や小売店で被害が続出
コンビニのアルバイト店員がアイス用の冷凍庫の中に入っているところを写真に撮ってSNSに掲載した事件を皮切りに、最近、飲食店や小売店で類似の事件が相次いで起こっています。中には事件をきっかけに閉店することとなった店舗もあることから、経営者がこの問題を軽く考えてアルバイトに対する教育や労務管理をおざなりにすることは、経営の存続をも危うくする大きなリスクをはらんでいると言うことができます。
◆被害を未然に防止するには?
こうした非行を未然に防止するためには、就業時間中は業務に集中することとして携帯電話(スマホ)の操作やSNS等へのアクセスを禁じたり、休憩時間中や就業時間外であっても勤務先の不利益につながるような行為は厳に慎むべきことを教育したりする必要があります。さらに、これらのことを職場におけるルールとして徹底するとともに、就業規則や店舗に備付けの業務マニュアル等にも明記しておく必要があるでしょう。
◆万が一に備えて就業規則等を確認
就業規則は、労働基準法により常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられているものですが、正社員用の就業規則だけでアルバイト用のものは作成されていなかったり、アルバイト用の就業規則はあるが規定内容に不備があったりするケースもあります。また、使用する労働者数が10人未満であることを理由として、そもそも就業規則が作成されていないこともあります。
就業規則が作成されていない、または規定内容に不備があるという場合、万が一従業員に非行があってもそれを事由とする懲戒処分に付したり懲戒解雇にしたりすることができなくなるおそれがあります。
こうした問題を抱える会社では、自社の就業規則をチェックし、作成の仕方や見直しの要否等について検討してみると良いでしょう。
「社会保障制度改革」で医療費負担が大きく変わる?
◆混合診療に関する規制緩和の動向
政府の「規制改革会議」では様々な分野における規制緩和について検討がなされていますが、医療分野については、現在は原則禁止されている混合診療についての見直しが最優先課題として挙げられています。これは、医療・介護分野の成長による経済活性化を図るため、診療報酬や介護費用などが公定価格で縛られている結果として競争が生じにくく生産性が低くとどまっている現状の打開策として検討が進められています。
◆「混合診療」とは?
私たちが病院で受ける診療には医療保険の適用対象となるものとならないものがあり、適用対象となるものが「保険診療」、ならないものが「自由診療」で、両方を同時に受けることを「混合診療」と言います。現在、日本では一部の先進医療を除き原則として混合診療は禁止されており、その理由として、所得の多寡によって受けられる医療に格差が生じてしまう等のおそれがあることが挙げられていました。
◆混合診療解禁と医療費の取扱いへの影響
混合診療が解禁されると、自由診療の部分は全額自己負担となりますので、その部分にかかる医療費控除や高額療養費の取扱いがどうなるかについて、関心が高まっています。医療費控除は、病院に支払う診療代のほか薬局で購入した薬代や通院に要した交通費等の額等の一定部分が確定申告により所得から控除されるというもので、自由診療扱いの先進医療や国内未承認の抗がん剤治療等に要した費用も、対象となります。
高額療養費については、政府が8月21日に閣議決定した「社会保障制度改革」に関するプログラム法案に見直しが明記されています。その方向性については、2014年度以降、70歳未満と70~74歳の世代で、所得の高い人の月々の上限額を引き上げて負担を増やすこと、上限額の目安となる所得の区分をより細かくして所得に応じた負担を求めることなどが示されています。
「社会保険の適用拡大」に伴う企業と労働者の対応は?
◆調査の内容
社会保険の適用拡大が短時間労働者の雇用管理に及ぼす影響や、適用拡大が実施された場合の短時間労働者の対応の意向に関する調査の結果が公表されました。この調査は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が、常用労働者5人以上の事業所(1万5,000社)に対するアンケート調査と、短時間労働者が多いとされる業種の企業および労働組合にインタビュー調査を行ったものです。
企業・従業員はどのような対応を取るつもりなのでしょうか?
◆企業の意向は?
◎短時間労働者の雇用管理について見直す(と思う)企業が半数超・「所定労働時間の長時間化を図る事業所」…約3割
「短時間労働者の人材を厳選し、一人ひとりにもっと長時間働いてもらい雇用数を抑制」するという企業が30.5%ありました。
・「所定労働時間の短時間化を図る事業所」…約3割
「適用拡大要件にできるだけ該当しないよう所定労働時間を短くし、その分より多くの短時間労働者を雇用」するという企業が32.6%ありました。
◆従業員の意向は?
社会保険が適用拡大されたら働き方を「変えると思う」短時間労働者は約6割おり、具体的には、次のような意向が多くなっています(無回答:36.3%)。
・「適用されるよう、かつ手取り収入が増えるよう働く時間を増やす」…26.7%
・「適用されるよう働く時間を増やすが、手取り収入が減らない程度の時間増に抑える」…15.6%・「適用にならないよう働く時間を減らす」…14.5%
・「正社員として働く」…8.7%
社会保険適用を希望しているが、会社から労働時間の短時間化を求められた場合の対応として、「他の会社を探す」「分からない・何とも言えない」「受け容れる」がそれぞれ約3割となっています。
◆短時間労働者の二極化
社会保険の適用拡大に伴い、「短時間労働者」という雇用形態では、“長時間化する層”と“短時間化する層”への二極化が進むと予測されます。また、基幹となる短時間労働者については、業務上の高度な役割を担う割合が高くなってくるでしょう。その際、処遇や労働条件を適切に確保しなければ、貴重な人材の流出につながる可能性が高まります。自社の状況を踏まえながら、今後の対応を検討してみてはいかがでしょうか。
「健康管理体制」に関する行政の監督指導の強化
◆「過労死等発生事業場」への監督指導結果
東京労働局から、平成24年度に実施された、過労死・過労自殺など過重労働による健康障害を発生させ労災申請が行われた事業場に対する監督指導結果の概要が公表されました。対象となった93事業場の業種は、「交通運輸業」が最も多く、次いで「ソフトウェア・情報処理業」、「建設業」、「卸・小売業」の順で多くなっています。
また、企業規模としては、「10~49 人」が最も多く、次いで「100~299 人」、「10 人未満」、「300~999 人」の順となっています。
◆法違反の割合が90%
今回の結果から、過労死等を発生させた事業場では「労働関係法令違反」の割合が 90%と高く、被災労働者に対する健康管理体制の不備のある事業場も高い割合であることがわかりました。違反の状況としては、不適切な労働時間管理(労働時間の違反、未払残業など)によるものが多くなっており、特に「三六協定」の取扱いが厳しく監督指導されているようです。
また、違反のあった事業場のうち半数以上で、1カ月の時間外労働が100 時間を超えるか、2カ月~6カ月の時間外労働が平均して月80時間を超えると認められたとのことです。
◆健康管理体制についての指導を強化
近年では、過重労働による健康障害を防止するためとして、衛生管理体制の不備についても重点的に指導が行われています。内容は、健康診断の受診、有所見者への対応(医師等からの意見聴取、勤務軽減措置、保健指導)や、時間外・休日労働が多い労働者に対する医師による面接指導です。
これらの中には努力義務のものもありますが、適切に取り組んでいない場合、いざ過労死や精神疾患の発症等が起きた際には、訴訟等において企業は不利な立場に置かれることになります。
◆「ブラック企業」への取締りも
その他、社員が過重労働により亡くなってしまったり精神疾患等で業務に就けなくなったりすれば、その影響は社員の家族や他の社員に多大な負担を強いることになります。ひいては企業の社会的評価が低下するなど、経営自体にマイナスとなります。また、いわゆる「ブラック企業」に対する集中的な指導監督も進められていますので、今後も行政による指導監督は強化されていくことと思われます。この機会に、健康的に働くことができ、会社経営にもプラスとなる労働時間管理について検討してみてはいかがでしょうか。
「音」や「映像」も商標登録が可能に!
◆「新しい商標」が導入される?!
政府は、企業が「CMで流すイメージ音や映像」や「色」などを商標登録できるようにする方針を固めました。
現在の商標法では、「文字」「図形」「記号」や「立体的な形状」など、形が定まったものしか登録ができません。しかし、欧米では商標を広範囲にわたって認めており、TPPが妥結されれば商標制度を国際基準に合わせるように求められる可能性もあります。
先行して法改正に道筋をつけるため、こうした「新しい商標」について、早ければ今秋の臨時国会に改正商標法案が提出されることが見込まれます。
◆商標登録の可否
現在の「米国」、「EU」、「日本」の商標登録の可否は次の通りです。・動き…米国:○、EU:○、日本:×
・ホログラム…米国:○、EU:○、日本:×
・色…米国:○、EU:○、日本:×
・位置…米国:○、EU:○、日本:×
・音…米国:○、EU:○、日本:×
・におい…米国:○、EU:×、日本:×
・触覚…米国:×、EU:×、日本:×
・味…米国:×、EU:×、日本:×
◆今後の動きに要注目
こうした新たな商標権のタイプは、言葉の壁を越えて企業ブランドを商品・サービスに盛り込めるほか、コピー商品を排除する抑止力としても有効に機能するものです。大企業だけでなく、中小企業にも商標活用による大きな効果が生じることが想定されますので、今後の動向に注目していきたいものです。
話題の「成年後見制度」 現在の状況と課題
◆需要高まる「成年後見」
高齢化社会の進展とともに、「成年後見」の需要が高まっているようです。「成年後見制度」は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人(本人)について、その行為能力を制限するとともに、本人の能力を後見的立場から補完することによってその権利を守るためのものです。
「成年後見人」の選任対象は、親族や弁護士、司法書士、社会保険労務士などで、仕事は法律行為に関するものに限られ、本人に代わって財産を管理したり必要な契約を結んだりします。
◆後見人による不正も問題に
需要が高まっている一方で、成年後見制度の利用が増えるに伴い、後見人による不正も問題となっています。最高裁判所の報告によると、成年後見人の起こした不正は、2010年6月から2012年12月末までに1,058件、被害金額は94億円超にも上っています。うち、親族後見人による不正が1,032件を占めています。
◆専門職の選任割合が増加
こうした背景を踏まえ、また、適切な財産管理を行うという観点から、後見人として、親族ではなく弁護士や司法書士、社会保険労務士などの専門職を選任するケースが増えています。
専門職の選任割合は、2012年に51.5%となり、2000年の後見制度開始以来、初めて半数を超えました。
ただし、専門職であっても、知見等に濃淡があるのは事実です。今後は、裁判所等が後見人の業務を適切に監督する体制づくり等も求められると考えられます。
会社版「国勢調査」の結果からわかったこと
◆「経済センサス・活動調査」の結果が発表
総務省と経済産業省は、会社版「国勢調査」とも言える「経済センサス・活動調査」(2012年)の確報を発表しました。今年1月に速報値を公表していましたが、今回の確報では、細かい業種や市町村別の従業員数、事業所数、付加価値額などを示しています。
◆従業員数が多い業種
従業員数が多かった業種は次の通りです。
(1)「老人福祉・介護」…179万1,324人
(2)「病院」…175万9,677人(3)「専門料理店」…145万4,268人
8位には「一般診療所・開業医」(91万5,145人)が入り、医療・介護分野が上位に並んでいます。
ただ、従業員が多い割に売上規模は小さく、1位の「老人福祉・介護」は売上高でみると全業種の54位、2位の「病院」は23位にとどまっています。
こうした背景には、診療報酬や介護費用などが公定価格で縛られている結果として競争が生じにくく、経営効率も低くなっていることがあるようです。
◆付加価値額の大きい業種
会社が1年間に稼ぎだした儲けを示す「付加価値額」の上位は次の通りです。
(1)「病院」…8兆1,699億円
(2)「銀行」…7兆2,304億円(3)「一般貨物自動車運送」…5兆4,589億円
こちらも6位には「一般診療所」が、9位には「老人福祉・介護」が入り、従業員数の調査と同じく医療・介護分野が上位に並んでいます。
しかし、従業員1人あたりの付加価値(外国企業を除く)は、「病院」が517万円、「介護・福祉」が293万にとどまっているのに対し、「銀行」は1,656万円、「生命保険」は1,235万円となっています。
◆課題残る成長分野の医療・介護業界
成長分野と期待される「医療・介護」分野が上位に並びましたが、従業員数に応じた売上高の上昇、生産性のアップがこれから求められるでしょう。最近の「会社帰りの飲み会」事情
◆最近3カ月で「外飲み」した人は約7割
株式会社インテージが今年8月に実施した「仕事帰りの外飲み事情2013」(ビジネスパーソン意識調査)の結果が発表されましたが、これによれば、最近3カ月で仕事帰りに飲みに行った人は、全体の約7割だったそうです。20代の男性が78.0%で最も多く、飲みに「行っていない」と回答したのは50代の女性が41.0%で最も多く、次いで40代の男性が38.0%となりました。
◆仕事帰りは誰と飲みに行く?
仕事帰りの飲酒の相手で最も多かったのは、「職場の同僚(同性、異性問わず)」が55.9%で、すべての性別・年代において共通でした。性別・年代別では、20~30代の男性は「職場の上司」、50代の男性では「職場の同僚(同性のみ)」と職場関係の割合が高いのに対し、女性は「会社、職場以外の友人・知人(同性のみ)」の割合が男性よりも高かったようです。
◆飲みに行く目的は?
飲みに行く目的・理由で最も多かったのは「コミュニケーションをとりたかったから」(50.6%)で、「付き合いで、誘われたから」(44.9%)、「会話、話を楽しみたかったから」(36.8%)と続きました。性別・年代別でみると、20代男性が「ストレスを解消したかったから」が39.7%で最多となり、20代女性では「コミュニケーションをとりたかったから」が63.5%で最多でした。
20代~40代の女性は、「会話、話を楽しみたかったから」が多く、飲酒の相手と同様に、男性と意識に差があるようです。
◆1回の飲み代はいくら?
1回の飲み代の平均予算は「3000円程度」(38.2%)が最も多く、次いで「4000円程度」(27.7%)、「5000円程度」(17.8%)となっています。
性別・年代別でみると、最も飲み代の予算が高かったのは50代の男性でした。飲み代の平均予算については、過去の調査と比較してもあまり変化は見られませんでした。