2012/11/01

11月の事務所便り

改正高年法施行後も継続雇用しなくてよい労働者とは?


 ◆来年4月1日に改正法が施行
 8月29日に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」(改正高年齢者雇用安定法)が成立し、来年4月1日から施行されます。
 改正の大きな柱は、「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組み」の廃止、つまり、原則として「希望者全員を継続雇用制度の対象者とすること」の義務付けです。

 ◆「例外」の内容(案)
 しかし、上記の「原則」には「例外」が認められることとなっており、その「例外」の案が、厚生労働省から示されました。その内容は次の通りです。

 ・「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること」、「勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと」等、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。
 ・就業規則に定める解雇事由または退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。
 ・また、当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な実施のため、労使が協定を締結することができる。
 ・なお、解雇事由または退職事由とは異なる運営基準を設けることは改正法の趣旨を没却するお それがあることに留意する。
 ・ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。

 ◆11月以降に正式決定の予定
上記の案は、今年11月以降に正式決定される予定です。
 企業としては、来年4月以降に定年を迎える個々の労働者について、継続雇用(再雇用)の対象とするのかしないのか、継続雇用(再雇用)する場合の処遇(賃金等)をどのようにするのか等について、あらかじめ検討しておかなければなりません。


最近の労働裁判から(飲酒運転で退職金不支給、能力不足で解雇)

 ◆飲酒運転による事故での退職金全額不支給は適法
 京都市の中学校の元教頭(52歳)が2010年4月に自宅で飲酒した後に自家用車で外出し、さらに車内でも飲酒し、物損事故(車に追突)を起こしました。
 その後、この元教頭は懲戒免職処分を受け、「退職金全額不支給処分」となりましたが、不支給処分の取消しを求めて訴訟を提起しました。一審(京都地裁)では、原告側が勝訴(全額不支給処分は取消し)となりました。
 この訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、原告側勝訴となった上記の一審判決を取り消し、元教頭の請求を棄却しました(平成24年8月24日判決)。
  請求棄却の理由として、大阪高裁の裁判長は、「飲酒運転の内容は極めて悪質・危険であり、これに対する非難は大きく、公教育全体に対する信頼を失墜させた」とし、さらに「学校教育に貢献して勤務状況が良好だったことを考えたとしても、処分に裁量権の乱用があったとはいえない」と判断しました。

 ◆外資系企業における能力不足による解雇は無効
 アメリカの金融・経済情報サービス会社に勤務する日本人男性(50歳)は、2005年11月に中途採用され、2009年12月以降、独自記事の執筆、同社の「業績改善プラン」への取組みなどを命じられました。
 その後、記事本数の少なさ・記事の質の低さ(能力不足)を理由として、男性は2010年8月に解雇されましたが、「能力不足を理由として解雇されたのは不当である」と主張し、同社に対して「地位確認」および「賃金支払い」を求めて訴訟を提起しました。
 この訴訟の判決において、東京地裁の裁判官は、解雇を無効とし、男性の請求を全面的に認めました(平成24年10月5日)。
 裁判官は、「労働契約の継続を期待できないほどに重大だったとはいえず、会社が記者と問題意識を共有したうえで改善を図ったとも認められない」とし、「解雇理由に客観的な合理性はない」と判断しました。
 男性側の弁護人によれば、外資系企業を中心に、無理な課題を設定する「業績改善プラン」の未達成を理由とした退職強要が相次いでおり、上記判決はこの手法による解雇を無効と判断した初めてのケースだそうです。
 今後の他の外資系企業への影響が気になるところです。


新入社員が「働きたい職場」「重視する人間関係」「感じる厳しさ」

 ◆「働きたい職場」とは?
 株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「2012年新入社員意識調査」(今年3~4月に実施。696名が回答)の結果によると、「自分が働きたい職場の特徴」の上位5つは、次の通りとなったそうです。
 貴社では、上位5つのうちいくつ当てはまりますか?

(1)お互いに助け合う職場(49%)
(2)アットホームな職場(44%)
(3)遠慮をせずに意見を言い合える職場(42%)
(4)活気がある職場(41%)
(5)皆が1つの目標を共有している職場(35%)

 ◆「上司・先輩」よりも「同期」を重視!
 レジェンダ・コーポレーション株式会社が実施した「新社会人の意識/実態調査」(484名が回答)では、「会社の中で上司・先輩・同期のどの関係を重視したいか」を尋ねたところ、「同期」が49.4%、「先輩」が32.9%、「上司」が17.8%との結果となり、上司や先輩との関係よりも、同期との関係を重視する人が多いことがわかりました。
 この調査は今年の4月に実施されたものですが、時間が経過し、仕事を覚え始めるにつれ、このような考え方が変わってくる(上司や先輩を重視するようになる)のかもしれません。

◆新入社員の7割近くが「社会人は厳しい!」
 また、株式会社マイナビからは、今年4月入社の新入社員を対象に実施した「2012年マイナビ新入社員意識調査 ~3カ月後の現状~」(7月に実施。788名が回答)の結果が発表されています。
 この調査は、新入社員に「仕事環境」「キャリア」「自分の将来」「能力向上」などについてアンケートを行ったものですが、「社会人になってどう感じたか」を尋ねたところ、「厳しかった」と答えた割合は68.2%(想像していたよりも厳しかった25.4%、想像していた通り厳しかった42.8%)、「厳しくなかった」と答えた割合は30.7%(想像していたよりも厳しくなかった29.4%、想像していた通り厳しくなかった1.3%)でした。
 多くの新入社員が、様々な厳しい場面に直面しているようです。


最近増えている「ソーハラ」の実態とセルフチェック

 ◆前月比20%超の増加率を見せるフェイスブックのユーザー数
インターネット関連サービス会社セレージャテクノロジーの10月9日付け発表によると、2012年10月時点の日本国内におけるフェイスブックユーザーは推定1,621万人(前月比221万人増)と、アジア圏内で5番目にユーザー数が多い国となっています(1位インド、2位インドネシア、3位フィリピン、4位タイ)。

 ◆フェイスブックユーザーが悩む「ソーハラ」とは?
 企業の採用活動においても活用されることが増えてきたフェイスブック(以下、「FB」)ですが、利用マナーをめぐる問題も増えてきています。
 「ソーハラ」とは、「ソーシャルメディア・ハラスメント」の略称で、ソーシャルメディア上におけるハラスメント行為を指しますが、主に、上司の部下に対する「『友達』承認」の強要や、上司の書込みに対する「いいね!」反応の強要などを指すものとして使われています。
 ソーハラ被害にあったユーザーの中には「上司からの友達申請を承認したが、プライベートの友人とのやり取りまで知られるのがイヤでFBへの書込みをやめてしまった」という人もいるようですが、加害者となっている上司は、自身のハラスメント行為についての認識が低いようです。

◆こんなユーザーは嫌われる!
 FBには、閲覧者が「いいね!」ボタンをクリックすると投稿者に自分が共感したことを伝えられる機能がありますが、記事を投稿する度に「いいね!」を押されると、「監視されているみたいだ」と感じる人が多いようです。
 また、FB上での人脈拡大は「友達申請」と「承認」から始まりますが、若いビジネスパーソンの多くは、上司からの友達申請は好ましく思っていないようです。さらに、FB上のプライベートな書込みについて、「あれどうなったの?」などと職場で話題にされることは嫌だと感じる人が多いようです。
 上記のような行動が見られるユーザーは嫌われる傾向にあるようですから、すでにFBユーザーの方もこれから始める方も、節度を守って楽しむことが求められると言えるでしょう。


中小企業の経営を左右する「金融モラトリアム法」の行方

 ◆「金融モラトリアム法」とは?
 いわゆる「金融モラトリアム法」、中小企業金融円滑化法は、リーマンショックで経営がひっ迫した中小企業の倒産を防ごうと、当時の亀井静香金融相の鶴の一声を受けて整備されました。
 この法律により、金融機関は、借金返済に困っている中小企業などの借り手から返済計画の変更(返済負担軽減)を申し込まれた際には、できる限り適切に応じるよう努力義務が課されました。
 本来2011年3月末までの時限立法として成立したものでしたが、景気回復が思わしくないことから2012年3月末まで1年間延長され、さらに2013年3月末までの再延長が決定しています。

 ◆迫る期限切れと中小企業を取り巻く厳しい環境
  再延長された期限も約半年後に迫っていますが、依然として中小企業をめぐる経営環境が厳しいことから、現在、さらなる延長がなされるのか、それとも予定通り終了してしまうのかに注目が集まっています。
 この法律による中小企業に対する支援は285万件超、約40万社に及び、総額79兆円にも上るそうですが、すでに適用を受けていた企業であっても倒産するところが現れる等しており、今後、期限切れによる「倒産ラッシュ」が始まるのではないかと懸念されています。

◆再延長の代わりに別の救済策?
 第3次野田内閣の発足を受けて初めて行われた閣議後の記者会見において、中塚一宏金融相は、「本法の再々延長はしない」旨を明言しています。
 代わりに検討されているのが、5%と上限を定めている銀行出資比率の緩和による救済案です。これは、銀行が過度に経営干渉をしないように設けられていたものですが、銀行による再生支援としての資金供給を促すため、来年の通常国会への関連法案の提出を目指しているそうです。
 しかし、専門家からは効果を疑問視する声も上がっており、また、関連する行政庁との交渉も難航が見込まれることから、今後の行方は不透明です。


これからの「仕事と介護の両立」に備えるには?

◆「仕事と介護の両立セミナー」が増えている
 法律の改正(「育児・介護休業法」:中小企業についても平成24年7月1日から全面的に適用されています)などもあり、従業員の育児支援に積極的な企業は増えてきていますが、「介護休業」については、まだまだ理解が進んでいないようです。
 ただ、最近の動向として、「仕事と介護の両立」をテーマにした社内セミナーを行う企業が増えており、社員からの反響も大きいようです。

 ◆社員の不安は?
 介護に関しては、社員としては、「社内の人には相談しにくい」といった気持ちがあるのが一般的でしょう。また、公的な支援についての情報が不足していたり、情報の入手先さえよくわからなかったりというのが実態のようです。
 「親の介護が必要になったときにどうすればよいのか、事前に知っていればもっと慌てずに準備できたのに」というのが、経験者が異口同音に語ることだそうです。

 ◆会社の不安は?
 仕事をしながら介護を行う可能性の高い年代は40~50代です。管理職として仕事上の重要なポストにあることが多い世代であり、しかもちょうど現在、世代別の人口自体が少ない世代に重なっています。
 団塊世代の大量退職に伴い、社員が将来的に仕事と介護を両立しなければならない可能性は急速に高まっていくと予測されています。
 また、日常の業務に忙しい担当者に、社員からの相談にすべて応えられるような介護に関する知識を持たせるのも、なかなか難しいものです。

 ◆社内向けの情報提供の必要性
 「介護を担う必要がある」という理由だけで貴重な人材を失ってしまうのは、会社としても大きな損失ではないでしょうか。
 そうした損失が、社内制度の見直しや社員向けの情報提供によって、少しでも防げるとすれば、従業員も安心して業務に就けることでしょう。
 定年退職を控えた社員向けにはライフプランセミナーを実施する企業があり、節目の年齢(35歳、45歳、58歳)には年金についての詳しい案内が届くように、多くの社員が直面する介護と仕事の両立についても、機会をとらえて社内セミナーを開いてみてはいかがでしょうか?
 このような情報提供の機会があれば、社員からの相談もしやすくなり、より一層、社内の“風通し”の良さにもつながるでしょう。


「BYOD」ってご存知ですか?

 ◆「BYOD」とは?
 最近、スマートフォン、高性能ノートパソコン、タブレット等の業務利用が増えてきているようです。特に、私物のモバイル機器を業務に利用することを「BYOD」というそうです。「BYOD」は、“Bring Your Own Device”の略で、「私物モバイルの業務利用」という意味です。

 ◆企業のメリット
 2005年の個人情報保護法の施行以来、個人のモバイル機器の利用については「原則禁止」とする企業が大半でした。しかし、すでに世の中の状況は変化しており、個人所有の機器を利用することによる企業のメリットもあります。

(1)企業支給のものより個人所有のもののほうが高性能であることが増えた
(2)自宅や外出先でも、「クラウド型サービス」が利用可能なことが多くなり、端末の種類を問わず利用できるようになった
(3)モバイル勤務環境を構築しやすくなったため、緊急時の事業継続性が確保できる
(4)セキュリティー技術、管理ツール・サービスの発達により、利便性を損なわず安全にBYODを導入出来る環境が整ってきた

使い慣れた機器を利用することで、従業員の業務効率やモチベーションのアップにもつながります。

◆企業のリスク・課題
 しかし、利用にあたっては、企業検討すべき課題も当然ながらありますし、導入にあたっては、従業員に対する情報管理教育の実施や内部規程の整備が前提となります。

(1)個人情報・機密情報等の情報漏洩、ウイルス感染等のセキュリティー対策
(2)「いつでも」「どこでも」業務活動ができる状況についての勤怠管理
(3)利用する機器内にある従業員のプライバシー情報の取扱い
(4)端末購入費や通信費に対しての補助が必要か
(5)IT管理者の知識向上、機器のアップデート等のコスト

 ◆真剣に検討すべきとき
 日常生活や諸官庁の届出まで、IT化は加速度的に進展しています。いつまでも「リスクが、リスクが…」と言って敬遠しているわけにもいかないのが実情のようです。そうした逃げの姿勢では、会社の事業活動は萎縮するばかりだからです。便利で業務効率を上げくれるBYODですが、「リスク」と「メリット」のバランスを慎重に検討しましょう。


職場のコミュニケーションは円滑ですか?

◆約9割が仕事で「自分の考えがうまく伝わらない」
 学校法人産業能率大学が2011年にビジネスパーソンを対象に実施した、ビジネスシーン、職場におけるコミュニケーションの意識などを尋ねた調査「ビジネスパーソンのコミュニケーション感覚調査」(対象:20代~50代のビジネスパーソン337人)によると、仕事のコミュニケーションとして「自分の考えがうまく伝わらない」と考えている割合が約9割にも上ることがわかりました。
 その理由として、「自信をもって自分の考えを主張できないから」「自分の考えに論理性や合理性がないから」など、自分に原因があるという回答が5割を超える一方、「相手に聞く姿勢がないから」など、相手に原因があるとする回答も52.7%と半数を超えました。

 ◆6割強が「職場で孤独を感じる」と回答
 職場で「ギスギスした雰囲気があるか」という質問には、36.2%が「ある」と回答しました。
 また、「職場で孤独を感じるか」との問いには、6割強が「ある」と回答し、その理由について、「自分のことしか考えていない人が多いから」(34.8%)、「メンバー同士の関係性が希薄だから」(34.3%)、「世代のギャップがあるから」(33.8%)、「仕事が縦割りでお互いの状況がよくわからないから」(32.4%)が挙げられています。
 また、「IT化で対話が減少した」(11.1%)という回答もありました。

 ◆「職場のコミュニケーション活性化」が労務トラブルも予防する
 職場のコミュニケーションがうまく図れていないと、業務に支障をきたすだけではなく、昨今問題となっている職場のパワーハラスメント等にも発展しかねません。
 厚生労働省は今年10月1日から「みんなでなくそう!職場のパワーハラスメント あかるい職場応援団」というサイトを開設しており、その中で職場におけるコミュニケーション環境を向上するための連載を取り上げたり、パワーハラスメントと職場のコミュニケーションの関係について触れたりしています。
 職場でコミュニケーションに特化した社員研修を取り入れたり、1人ひとりが適切かつ積極的な声掛けを行ったりすることで、パワーハラスメントをはじめとした労務トラブルの予防につながることでしょう。


自分の貯蓄額は多い?少ない? 気になる貯蓄額の実態

 ◆平均貯蓄額は338万円
 株式会社インテリジェンスが運営する転職サービス「DODA(デューダ)」が22~34歳のビジネスパーソン(5,000人)を対象に行った貯蓄額の実態調査によると、平均貯蓄額は338万円で、3年連続増加したそうです。
 増加の要因として、「給料やボーナスが増えた」、「株式投資やFXなどの運用がうまくいった」などといった景気回復によるものが目立った一方で、「貯蓄に回す金額を増やした」、会社の積立制度に加入した」といった理由も多く、将来に不安を抱える人が意識的に消費より貯蓄を選択する傾向にあるようです。

 ◆貯蓄額の分布
 貯蓄額の分布を見ると、次の通りとなっています。

・50万円未満…23%
・100~200万円未満…18%
・50~100万円未満…14%
 半数以上の人は貯蓄額が200万円未満という結果でしたが、「500~1,000万円未満」(12%)、「1,000万円以上」(7%)という高額貯蓄者も2割近くいることもわかりました。

 ◆都道府県別の貯蓄額
 平均貯蓄額が最も多い都道府県は、「岐阜県」(451万円)で、貯蓄額分布を見ると、「500~1,000万円未満」と「1,000万円以上」の合計が29%で、他県に比べ高額貯蓄者が多い傾向が見られました。貯蓄方法については、「定期的に貯金するように心がけている」「無駄遣いしない」など、堅実に貯蓄を増やしている人が多かったようです。
 一方、貯蓄額が最も少ない都道府県は「大分県」(94万円)で、貯蓄が増えない理由について、「車を購入した」「自動車の維持費にかかる」といった車に関するものが他県に比べて多かったようです。
 地域ごとに見てみると、東海・北信越・関西など、日本の中央に位置する地域は貯蓄が多い一方、九州・沖縄や北海道・東北など、日本の端に位置する地域は貯蓄が比較的少ない傾向が見受けられたということです。


資格があれば転職に有利なのか?

 ◆中途採用では「資格」より「経験」を重視
 株式会社インテリジェンスが、転職と資格の関係について行った調査(1万5,000件を対象)によると、採用条件として「資格」が求められる求人に関して、「資格が必須」の求人は全体の15%、「資格があると尚可」は8%、「資格の有無を問わない」は77%となったそうです。
 一方、何らかの「職務経験」が求められる求人割合をみると、全体の85%は「1年以上の経験」が必須で、「経験不問」の求人はわずか15%に留まっており、中途採用においては資格より経験が重視されていることがわかりました。

 ◆職種によっては「資格重視」
 ただし、職種によっては資格が重視される場合もあり、「資格が必須」の求人が多い職種は、上位から「医療系の専門職」(37%)、「建築/土木系の技術職」(36%)、「営業系」(33%)でした。
 また、「資格があると尚可」の求人についても、「建築/土木系」(34%)をはじめ、「金融系」(19%)、「不動産/士業系」(17%)など専門職系が多い結果となっています。

 ◆歓迎される「宅建」「簿記2級」
 実際に「資格が必須」の求人内容を見てみると、最も多くの求人で必須条件とされる資格は「普通自動車免許第一種」で、1万5,000件の求人のうち約1割(1,568件)で必須となっているようです。
 特に、顧客を訪問する「営業職」や、建設現場に足を運ぶことの多い「建築/土木系」は、自動車免許を必須とする傾向があるようです。その他、「薬剤師」(2位、239件)、「建築士一級」(4位、80件)など、医療系や建築系の資格が上位に並んでいます。
 一方、「あると尚可」とされている資格は、「宅地建物取引主任者」(129件)がトップで、不動産業界においては、営業職はもちろん技術職や事務職など、幅広い職種において資格保持者が歓迎されているようです。
 中途採用においては、「資格」よりも「経験」が重視されるようですが、昨今の厳しい転職事情では、資格取得にかかわらず、常に勉強はしておいたほうが良さそうです。