2006/06/13

平成18年6月号

新入社員⇔上司に求めることとは何か?

◆新入社員を迎えて
今年もまた、各社が新入社員を迎えました。仕事のマナーや働く際の心がけなど、上司が新入社員に気をつけてもらいたいこと、仕事面・精神面など、新入社員が先輩や上司に求めることはどんなことでしょうか。

◆上司が新入社員に求めること
・「ホウ・レン・ソウ」の徹底
一般的に、「ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)」と呼ばれる基本的なマナーが重要だと言われています。あるアンケートの結果によると、上司は、まだ仕事に慣れていない新入社員に対して、「わからないことや悩んだことがあれば相談してほしい」と思っており、また、「挨拶をきちんとしてほしい」、「嘘をつかないでほしい」などと考えているようです。
・自分なりの考えを持つことも大切
「ホウ・レン・ソウ」の徹底を求める一方で、「わからないことはすぐに質問するのではなく、自分なりに考えてから聞くようにしてほしい」、「一度聞いたことを何度も聞き直さないでほしい」、「時には上司の誘いを断るくらいの勇気も必要」などと、社会人としての自覚も求めているようです。

◆新入社員が上司に求めること
逆に、新入社員は上司に対して、「的確なアドバイスをしてほしい」、「指示ははっきりとしてほしい」、「説明するときには全体的な流れから説明してほしい」などと考えています。また、「間違っていてもなぜそう考えたのか理由を聞いてほしい」、「部下の教育を放棄しないでほしい」とも思っているようです。

◆コミュニケーションが重要
双方の意見の基本となっているのが、「コミュニケーション」の大切さです。上司はコミュニケーションを通じ、部下に仕事に対する責任感とその大切さを伝えること、また、部下がどのように考えているかを聞くことが重要だといえるでしょう。

支給日前に退職する者への賞与不支給は可能か

◆賞与の支給に関する問題点
賞与の支給について、1?6月を算定対象期間として7月末に支給するようなケースで、賞与の支給算定対象期間のすべてに勤務していた社員が支給日より前に退職する場合に賞与を不支給としても、問題はないのでしょうか。

◆賞与不支給が可能な場合
次の?、?のいずれかに該当する場合には賞与を支給しないことが可能といえます。
?賞与支給日に在籍していることを賞与の支給条件としており、就業規則、労働協約、労働契約に定めている、あるいはそのような労使慣行がある場合
?退職日までに賞与の支給額や算定方法が決定していない場合

◆支給日在籍要件とは
上記は?は、「支給日在籍要件」と呼ばれるもので、賞与の受給権の取得につき当該支給日に在籍することを要件とする慣行は、その内容において不合理なものということはできず、従業員がその存在を認識してこれに従う意思を有していたかどうかにかかわらず、事実たる慣習として社員に対しても効力を有するものというべきものである、といった裁判例があります。
したがって、?のような場合には算定対象期間の全部または一部勤務した社員であっても、賞与の支給日より前に退職する者には賞与を支給しないことが認められると考えられます。ただし、例年より支給日が遅れたために、例年の支給日には在籍していたが実際の支給日前に退職した者には、「支給日在籍要件」は適用されません。

◆支給日在籍要件がない場合
では、「支給日在要件」がない場合はどうなるのでしょうか。この場合には、上記?に該当するか否かが問題となります。賞与の請求権について、査定などを経て、使用者が具体的な支給額またはその計算方法が決定した時点、あるいはこの点について労使の合意が成立した時点以降から生ずる、とする考え方が有力だからです。
この解釈によると、支給額またはその計算方法が決定される日までの間は、社員には賞与の請求権がないことになりますので、たとえ、賞与の算定対象期間の全部に勤務していても、決定日前に退職する者には賞与を支給しないという取扱いが可能となります。

平成18年5月号

健康保険・厚生年金保険の報酬の支払基礎日数が変更されます

◆平成18年7月1日から健康保険・厚生年金保険の報酬支払の基礎となる日数が、平成18年7月1日より、「20日以上」から「17日以上」に変わります。

◆平成18年度以降の定時決定は?
平成18年度以降の定時決定(算定基礎届)については、4月・5月・6月の報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月がある場合には、その月を除いて決定されます。

◆平成18年7月以降の随時改定は?
平成18年7月以降に行われる随時改定(月額変更届)については、昇(降)給等により固定的賃金の変動のあった月以降(平成18年4月以降)継続した3カ月間のいずれの月も報酬支払の基礎となった日数が17日以上必要となります。

◆用語の解説
?「報酬支払基礎日数」
報酬の額を決定するときにその計算の基礎となった日数のことです。だいたい、月給制の場合は暦日数になり、時給制や日給制の場合は出勤日数になります。
?「定時決定」
原則として毎年7月1日現在被保険者資格を有する人について、その年の9月からの標準報酬月額(保険料算出の基準となるもの)を決定することで、4月・5月・6月に受けた報酬額とその報酬支払基礎日数をもとに決定されます。(「被保険者報酬月額算定基礎届」によります)
?「随時改定」
固定的賃金の変動または給与体系の変更により報酬がすでに決定されている標準報酬月額と比較して著しく高低が生じたときに改定が行われます。(「被保険者報酬月額変更届」によります)

生活保護と国民年金

◆生活保護の支給額削減へ
現在、厚生労働省は生活保護の支給額削減を検討しています。国民年金は少子高齢化に伴って中長期的に減額となる可能性が高く、「このままでは保険料を払わず老後を安易に生活保護に頼る人が増える」との指摘があるように、年金保険料を長年払い続けてきた人より、保険料を払わないで生活保護を受ける人の所得が多いケースがあるためです。2007年度から、段階的に国民年金(基礎年金)の支給額以下に引き下げる方針です。

◆生活保護とは
生活保護は、生活、教育、医療、介護など8種類の扶助があります。医療扶助および介護扶助は、医療機関等に委託して行う現物給付が原則であり、それ以外は金銭給付が原則です。
厚生労働大臣が定める基準で測定される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用され、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
収入としては、就労による収入、年金等社会保障の給付、親族による援助、交通事故の補償等のほか預貯金、保険の払戻金、不動産等の資産の売却収入等も認定されるため、これらを使い尽くした後に初めて保護適用となります。

◆生活保護世帯数の増加
生活保護を受けている世帯数は、2004年度は月平均で99万8,887世帯でした。1995年度は平均60万1,925世帯であったことから、ほぼ10年で約1.6倍にまで増えたこととなります。
生活保護を受ける世帯は高齢者世帯が多く、その背景には、年金保険料未納など、年金制度の空洞化問題があります。

◆それぞれの支給額は?
それぞれの支給額はどうなっているのでしょう。国民年金では、40年間保険料を払い続けた人で月額約6万6,000円であるのに対し、生活保護の支給額は年齢や地域によってそれぞれ異なりますが、生活扶助分のみで8万円を超え、さらに家賃を払っている場合に上限が約1万円の住宅扶助が加算されるケースもあります。