2005/03/01

平成17年3月号

平成17年4月より雇用保険率が変わります

雇用保険率が平成17年4月1日より「1000分の2」引き上げられます。同時に、今まで使用されていた「一般保険料額表」が廃止されることになります。毎月の給与計算等で「一般保険料額表」を使用されていた事業場は、平成17年4月以降は、それぞれ被保険者の方の賃金総額に雇用保険の被保険者負担率を乗じて計算した額を控除することになりますので、ご注意ください。
【平成17年4月以降の雇用保険率】
事業区分  雇用保険料率 事業主負担 被保険者負担
一般事業  19.5/1000   11.5/1000  8.0/1000
建設の事業 22.5/1000   13.5/1000  9.0/1000
農林水産清
酒製造の事業 21.5/1000   12.5/1000 9.0/1000

◆雇用保険料の納付方法
雇用保険の保険料は、労災保険と合わせて労働保険料として年に一度年度更新を行い、毎年4月1日から5月20日までに1年分を納付することになります。労働保険事務組合に委託している場合や、一定の額を超えた場合には分割して納付することもできます。
◆原則として、代表者や取締役は加入できません
法人の代表者や取締役は原則として雇用保険に加入できません。ただし、取締役であっても、同時に部長や工場長など労働者としての役割が強く、雇用関係が認められる場合に加入できることもあります。
また、労災保険についても中小企業の事業主等は特別加入できる場合があります。
◆高年齢者保険料免除とは
4月1日において満64歳以上の労働者については、一般保険料のうち雇用保険に相当する保険料が事業主負担、被保険者負担ともに免除されます。4月1日には社員の年齢を確認し、対象者が在籍している場合には、雇用保険分は控除しないようにしなければなりません。

3月より介護保険料率が変わります

政府管掌健康保険の介護保険料率は、平成17年3月分保険料(平成17年5月2日納付期限分)から、1.25%(現在は1.11%)となります。【労使折半となります。】
給与計算等におきましては、通常4月分より変更になります。尚、同月控除をされている事業所様は注意してください。
これにより、40歳から64歳までの政府管掌健康保険料率は、健康保険の保険料率(8.2%)と合わせて、9.45%(現在は9.31%)となります。
なお、厚生年金保険にかかる保険料率には変更はありません。

2007年問題

「2007年問題」とは、日本の経済成長を支えてきた団塊世代が定年退職を迎えることで、人材・オフィス・税収・退職金支払・消費など日本経済に様々な形で大きな影響を与えるとされている問題のことです。その中でも特に、近年の不況で新規採用を抑えるなどして行ってきた雇用調整により、技術やノウハウを継承すべき人材が育っていないという点について、経済産業省も対策を検討しています。
◆団塊世代とは
厳密には1947年から1949年の3年間に生まれた人たちのことを指します。国勢調査では、この3年間に生まれた人たちだけで600万人を超え、全人口の5.4%を占めています。
財務省の報告によると、団塊世代を含む1945年から1950年生まれが定年により順次退職した場合、2010年に最大110万人の労働力人口が失われ、実質GDP(国内総生産)で最大16兆円のマイナスになるとしています。
◆「人材投資促進税制」が導入
団塊世代の定年退職による人材の激減は、雇用の需給バランスを一転させます。それに今後一段と進む少子化も含めて、社員の確保そのものに加え、いかに優秀な人材に育て上げるかが2007年以降の重要な課題となります。
そこで、人材の確保・育成を図り、人材の国際競争力をつけるための対策として、2005年度より「人材投資促進税制」が導入されることになりました。
◆「人材投資促進税制」とは
2005年度から3年間の時限措置として導入されるもので、企業が社員の研修に要した費用の一部を法人税から控除するというものです。
具体的には、05年度の教育訓練費が過去2年間の平均教育訓練費を超えた場合に、その25%(法人税の10%が上限)が法人税額より控除されることになるもので、中小企業には別途、特例制度が設けられています。
教育訓練費として対象となるものは、講師・指導員等の経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費、研修委託費などです。社員の教育・育成を行いながら、法人税が控除されることにより、結果的には増加した教育訓練費より控除額の方が上回ることも可能となります。
企業としては、2007年問題を視野に入れ、人材投資促進税制を有効に活用して、若手社員の育成、熟練従業員による技術・知識のマニュアル化、中途社員の即戦力化に向けた取り組み等をこの機会に行い、各人材に対して各々の仕事の効率を高めさせる必要があると思われます。