2011/06/29

7月の事務所便り

新入社員の緊張・疲れの状況と会社が期待すること

 ◆約1割の新入社員は「仕事を辞めたい」
 長期化する不況の影響を受けた就職氷河期の中、今年の大学卒業予定者の内定率は過去最低水準となっています。
 そんな中、マーケティングリサーチなどを行う株式会社メディアインタラクティブでは、今年4月に入社した人を対象に「若手社会人の5月病に関する意識調査」(20代の272人が回答)を行い、その結果を発表しています。

 ◆新入社員の心境・体調の変化は?
 この調査は今年5月11日~18日に行われましたが、「入社して1カ月ほど経って心境・体調に変化はありますか?」との質問に対しては、「疲れがたまってきた」(47.1%)、「まだ緊張している」(40.1%)、「社会人としての自覚ができてきた」(31.6%)との回答が上位を占めました。
 そして約1割(9.9%)の人は「正直、仕事を辞めたいと思う」と回答しています。

 ◆5月病を感じる新入社員は3割近く
 次に、「5月病と感じることはありますか?」との質問に対しては、49.7%の人が「感じない・どちらかといえば感じない」と回答し、28.7%の人が「感じる・どちらかといえば感じる」と回答しており、約3割の人が何かしらの疲れや不調を感じているようです。

 ◆会社が新入社員に期待することは?
 会社側は今年の新入社員をどのように見ているのでしょうか。
ライフネット生命保険株式会社では、「今年の新人に関する調査」(20歳~49歳の有職者1,002名が回答)を行いましたが、「今年の新人に期待すること」との問いに対して、次のような回答結果となりました。

(1)「素直」(38.2%)
(2)「明るさ」(37.6%)
(3)「協調性」(32.5%)
(4)「努力」(29.7%)
(5)「謙虚」(29.5%)

 会社側では、素直で明るく、職場に溶け込む柔軟性・協調性のある社員を求めているようですが、皆様の会社ではいかがでしょうか?


 正社員はパート・アルバイトよりモチベーションが低い!?

 ◆社会人のモチベーションは高いのか?
 働くうえで「モチベーション」(日本語では「動機づけ」と訳される)は非常に大きな要素ですが、株式会社JTBモチベーションズでは、「2010年モチベーション白書」を発表しています。
 これを読むと現代の社会人がどのような意識・モチベーションを持って仕事をしているのかがある程度見えてきます。

 ◆100点満点中「69.7点」
 モチベーションの高さを100点満点として数値化してみると69.7点であることがわかり、2004年の結果(69.0点)からは微増となっています。
 モチベーションが「80点以上」(高領域)に属する人は28.1%、「50~80点未満」(標準領域)に属する人は61.8%、「30~50点未満」(低領域)に属する人は8.4%、「30点未満」(危険領域)に属する人は1.7%となっています。

 ◆雇用形態別に見るとどうか
 雇用形態別に見てみると、「正社員」が69.3点で最も低く、「契約社員」は73.1点、「派遣スタッフ・パート・アルバイト」が77.3点で最も高くなっています。
 自分に合った仕事を行い、家族などにも理解され、私生活が充実し、個性を発揮し、環境に適応しているという気持ちが、派遣スタッフ・パート・アルバイトのモチベーションの高さにつながっていると分析されています。

 ◆職種別・業種別に見るとどうか
 職種別では、上位から「営業・販売系」が73.1点、「管理・企画系」が67.8点、「開発・製造系」が66.8点となっています。
 この結果については、自分に合った仕事を行い、課題や目標を達成しているという気持ちが、営業・販売系のモチベーションを他よりも高いものにしていると分析されています。
 業種別では、「小売・流通業界」が73.7点、「人材派遣業界」が72.4点と高い結果となっています。


労使トラブルに「合同労組」が関与するケースが増加

 ◆「合同労組」関与の事件割合が過去最高
 近年、労使トラブルに「合同労組」「ユニオン」などと呼ばれる団体が関与するケースが増えていると言われていますが、そのことがデータ上からも明らかになりました。
 先日、中央労働員会から、「平成22年 全国の労使紛争取扱件数まとめ」が発表されましたが、「合同労組」が関与した集団的労使紛争事件の割合が69.8%(前年比3.1%増)となり、過去最高となったことがわかりました。

 ◆「合同労組」の特徴
 この「合同労組」には、“柔軟路線”をとる組合、イデオロギー性の強い“労使対立路線”をとる組合など、その性格は様々です。また、“労使対立路線”の組合の中にあっても、冷静に落としどころを考える組合、逆にあまり考えない組合もあるようです。
 さらに、組合の交渉担当者によって会社への対応が変わってくるケースもあります。また最近では、小規模な「地域労組」(コミュニティ・ユニオン)と言われる団体も増加しており、組合としての統制が本当にとれているのか、疑問の生じるケースもあるようです。
 
 ◆駆け込み訴え事件の増加
 労働者が、労使トラブルの解決のため合同労組に加入し、その合同労組が使用者に団体交渉を申し入れてくる例も多くあります。
 先ほどの中央労働委員会のまとめでは、懲戒や解雇などの処分を受けた後に労働者が加入した組合から調整の申請があった「駆け込み訴え事件」の占める割合は36.8%(前年比横ばい)で、過去最高となっています。

 ◆対応として重要なことは?
 これら「合同労組」「ユニオン」などから団体交渉の申入れがなされた場合、初めにとるべき対応が重要となります。安易に団体交渉の申入れに応じてはいけませんし、組合側が求めてくる「労働協約」の締結要求にも注意が必要です。
 団体交渉の申入れがあった場合には、専門家に相談する等しながら、しっかりと事前準備を行うことが重要です。


若手社員は喫煙する上司をどうみているか

 ◆「喫煙に関する意識調査」の結果
 5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」でしたが、禁煙補助剤等を販売しているジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社では、今年2月に、就職を控えている20~25歳の男女(516名)を対象に「喫煙に関する意識調査」を実施しました。
 これから社会人になろうとする若者は、「タバコ」や「喫煙」に対してどのような意識を持っているのでしょうか。

 ◆喫煙者はわずか7%
 調査対象者のうち、「現在習慣的に喫煙している」と回答した人は7.0%、「習慣ではないが喫煙する時もある」と回答した人は4.7%でした。
 また、喫煙者のうち80.0%の人は「禁煙しようと思っている」と回答しています。

 ◆タバコを吸わない上司が好かれる!?
 次に、「上司は喫煙者と非喫煙者のどちらがいいか」について質問したところ、「ノンスモーカー」と回答した人が67.0%、「どちらでも良い」と回答した人が29.7%、「スモーカー」と回答した人が3.3%となっています。
 特に女性では73.6%が「ノンスモーカー」と回答しており、喫煙者にとっては厳しい結果となっています。

 ◆職場での喫煙環境について
 職場における喫煙環境についての希望に関する質問では、次の通りの結果となりました。

(1)「喫煙所を設けてそこでのみ喫煙可能」(55.6%)
(2)「職場全面で禁煙」(30.6%)
(3)「勤務時間中はどこにいても禁煙」(8.7%)
(4)「職場内で分煙」(4.7%)
(5)「職場全面で喫煙可能」(0.4%)

 受動喫煙に対する意識の高まりからか、「職場内分煙」だけでなく、「全面禁煙」までを希望する人が増えているようです。


「主婦年金問題」で救済案が明らかに

 ◆3年間の時限措置
 新聞報道によると、年金資格の変更を届け出ずに保険料が未納になっていた主婦についての救済案がまとまったようです。
 保険料の未納分について過去10年分の追加納付を認めて将来もらう年金を増やせるようにし、また、年金が過払いになっている受給者には過去5年分の返還を求めることとし、公平性に配慮した内容となっています。
 なお、この案は3年間の時限措置として実施されるようです。

 ◆「主婦年金問題」とは?
 会社員などを夫に持つ専業主婦は、国民年金保険料を納める必要がありません。しかし、夫が退職したり、主婦が働いたりした場合、保険料の納付義務が生じるにもかかわらず、その手続きを行っていなかった主婦が約97万人いるとされています。これが「主婦年金問題」です。
 厚生労働省では昨年12月に未納期間を納付済みにするとの特例(いわゆる「運用3号通知」)を出しましたが、批判が噴出し、厚生労働大臣がこの特例を撤回しました。

 ◆救済策の基本方針は?
 救済策の基本方針は、「保険料の追納を認める」、「未納期間をカラ期間(年金受給資格が得られる加入期間)として算入する」です。
 未納分については過去10年分に限って保険料を追加納付することが認められますが、現役世代では直近10年間、すでに年金を受給している高齢者については50~60歳の10年間で生じた未納期間分を追納の対象としています。

 ◆今後必要な対策とは?
 年金の被保険者資格の変更は本人の届出によるため、どうしても漏れがちになります。不整合期間の再発防止のため、救済案では第3号被保険者の種別変更を進めるための対策を講じる必要があるとの指摘もされており、今後の動きが注目されます。


社会保障改革案の「安心3本柱」とは?

◆「安心3本柱」の内容
 政府から、「安心3本柱」を中心とした社会保障改革案の内容が発表されました。
 この「安心3本柱」とは、(1)パートなどの非正規労働者への社会保険の適用拡大、(2)幼稚園や保育園の垣根をなくす「幼保一体化」の推進等による子育て基盤の強化、(3)医療・介護などを中心に自己負担の合計額に上限を設定する「合算上限制度」の導入です。
 以下では、主な年金制度改革案について見ていきます。

 ◆年金制度の改革案
 年金制度改革案の具体策は、パートなどの非正規労働者の厚生年金の加入条件を、現在の「週30時間以上勤務」から「週20時間以上勤務」に緩和すること、また、現在は育児休業中だけとしている厚生年金保険料の免除期間について産前・産後の休業期間まで広げるということです。
 一方、高所得の会社員については保険料の負担増を求める方向です。厚生年金保険料は報酬に応じて決まる仕組みになっていますが、改革案では上限額を引き上げる考えです。
 
 ◆60歳代前半の就労促進
 この他、60~64歳で働きながら厚生年金を受け取る場合、年金と給与の合計額が月額28万円を超えると、28万円を超えた分の半分だけ受け取る年金が減り、46万円超では給与の増加分だけ年金がカットされます。
 現在、この仕組みで約120万人が総額1兆円程度を減額されていますが、厚生労働省では、給与と年金の合計額が46万円を超えるまで年金を減額しない制度に変更し、年金の減額幅を縮小することにより高齢者の就労を促す考えです。

 ◆しかし問題は山積…
 いろいろと改革案が出されていますが、非正規労働者への厚生年金加入拡大は保険料の半分を負担する企業の反発が必至な状況であるなど、問題は山積しています。


自転車で楽しみながらメタボを改善

 ◆中高年のメタボ対策として
 中高年になるとおなかがポッコリと出てきて、「メタボリック症候群」と診断される人も増えてきます。ダイエットはなかなか難しいものですが、体にあまり負担をかけずに楽しみながら減量できる方法として注目を集めているのが「自転車」です。
 メタボ改善やストレス解消に繋がる自転車ですが、通勤で利用する場合には事故のリスクも高いため、注意が必要です。

 ◆体重・腹囲が減少、血圧にも好影響
 大阪にある「自転車博物館サイクルセンター」が行ったモニタリング調査では、心拍数を測るサイクルメーターという小型計測器を自転車に装着し、参加者は内臓脂肪を効率よく燃焼させる有酸素運動の心拍数をモニタリングしながら走り、体重・腹囲・走行距離・走行時間・食事内容を記録しました。
 各自週3日以上、1日合計30分以上を目標に走ったところ、3カ月後には全員の体重が減少し、腹囲は9人中8人が減少し、血圧にも改善が見られました。

 ◆1kg痩せるには…
 では、体重を1kg落とすには、どの程度自転車に乗ればよいのでしょうか。
 1kgの脂肪を燃焼させるのに必要な消費カロリーは7,200キロカロリーだそうです。体重70㎏の人が時速15kmで1時間走ったときの消費カロリーは350キロカロリーとなるため、通勤で1日15kmを往復していれば、10日程度で体重が1㎏減る計算になります。

 ◆自転車通勤にはルールが必要
 自転車通勤は、風を切って走る爽快感から、長く続けられるメリットがあります。しかし、公共交通機関を使うよりも事故のリスクが高まるため、会社としては一定のルール作りが必要です。
 会社としては、自転車通勤を許可制として、対人・対物の賠償保険加入を義務付けるなどの対策をとり、また、乗る側の社員も、十分に安全点検を行ったうえで交通ルールを守り、安全運転を心掛ける必要があるでしょう。


社員による「ソーシャルメディア」利用への対応

 ◆トラブルの未然防止が必要
 ネット上で気軽に情報を共有できるソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用が急増するなか、社員の個人的な書込みについて、企業が具体的なガイドラインを策定する動きが広がっています。
 書込みをめぐって職場がギクシャクしたり、企業の重要情報が漏洩したりして、トラブルに発展するケースも出てきており、未然に防ぐための対策が必要です。

 ◆急増するソーシャルメディアの利用
 ツイッターやフェイスブックなどは「ソーシャルメディア」と呼ばれ、手軽に多くの人と情報をやり取りすることができるため、利用者が急増しています。
 しかし、不特定多数の人が見ることを意識せず、不用意に仕事関連の情報を書き込むと問題が生じることも多くなります。しかし、会社として、社員の個人的なソーシャルメディア利用を禁止することは難しいでしょう。
 
 ◆ガイドライン等の整備でリスクを回避
 利用自体を禁止できないとしても、不用意な書込みにより「情報漏洩」や「名誉棄損」などで社員や企業が訴えられる危険性もあるため、企業では、ガイドラインや社内規定を整備することが有効です。
 この場合、「自社にとっての営業秘密は何か」などの基準を明確に示し、役員・正社員からパート・アルバイトまでに徹底することが求められます。

 ◆具体的に企業はどう対応しているか
 例えば、ソーシャルメディアの「利用マニュアル」を用意し、書いてはいけない文例を数多く提示している企業や、従来の法令遵守の行動規範に加え「会社の公式見解のように書いてはいけない」といった事項を明記し、「会社にダメージを与えた場合は懲戒対象となることもある」と定める企業もあるようです。


障害者に関する就職・雇用の状況は

 ◆就職件数は過去最高に
 厚生労働省は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づき、同省による再三にわたる指導にもかかわらず障害者の雇用状況改善が見込まれない6社について、企業名の公表を行いました。
 しかし、改善が見られず公表される企業がある一方で、平成22年度におけるハローワークを通じた障害者の就職件数は5万件を超えて過去最高となっています。

 ◆「法定雇用率」とは?
 障害者雇用促進法では、身体障害者や知的障害者の雇用を促進するため、事業主に対し、常時雇用している従業員の一定割合(法定雇用率、民間企業の場合は1.8%)以上の障害者を雇うよう義務付けています。

 ◆法定雇用率を達成しないと…
 法定雇用率を達成していない企業には、厚生労働大臣が「障害者雇入れ計画」を作成するよう命令し、計画を適正に実施するよう勧告できます。勧告に従わない場合は、企業名を公表できるようになっています。
 今回、企業名を公表された会社は法定雇用率が未達成で、同省が雇用率の達成に向けた指導や計画の適正実施の勧告を行ってきたにもかかわらず、改善が遅れている90社のうちの6社です。

 ◆対前年比17%増の就職件数
 企業名を公表される企業がある一方で、平成22年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は5万件を突破し、全体的にみれば障害者の雇用状況は改善されているようです。
 厳しい雇用情勢の中、障害者の就職件数が平成21年度(45,257件)から対前年度比17%増と大きく伸びたのは、精神障害者の就職や、医療・福祉分野での就職が増加したためのようです。


使用電力削減・節電に対応した働き方を考える

 ◆厚生労働省による対応
 今夏、東日本を中心に、平日の9時から20時までの間に電力が不足するおそれが指摘されています。
 そこで、厚生労働省では、夏場の電力不足への対策として「労働時間の短縮」や「始業・終業時刻の変更」などを実施する企業(東京電力・東北電力の管内)の相談に対応するための窓口を、労働基準監督署などに設置する方針を発表しました。
 また、新聞報道によれば、「変形労働時間制」の導入企業が年度途中でもスケジュールを変更できるよう、同省が特例を認める考えも示しています。

 ◆使用電力削減・節電の具体策
 帝国データバンクが発表した「夏季の企業活動に関する意識調査」の結果によれば、71.4%の企業が今夏に「節電を実施する」としています。「節電は実施しない予定」の企業は9.6%でした。
 企業の使用電力削減・節電への取組みの例として、「労働時間の短縮」「始業・終業時刻の変更」の他、「所定休日の変更」、「連続休業・休暇の活用」などが考えられます。
 これらのことを実施する際には、就業規則の変更・届出が必要となってくる場合がありますので注意が必要です。

 ◆社員への配慮も必要
 制度変更を行う際には、家庭で育児・介護等が必要な社員など、始業・終業時刻や所定休日の変更への対応が困難な事情を抱える社員についての配慮が必要です。
 業務や家庭の事情などを勘案したうえで、「フレックスタイム制」や「在宅勤務制度」などを活用することも考えられます。

 ◆日々の意識が大切
 使用電力削減・節電への取組みについては、普段からの心がけも大切です。
 個人と会社で行うことのできる対策には異なる点はありますが、使用しない家電製品のコンセントを抜いておく、天候に合わせて照明を点ける時間を調整するなど、改めて普段の生活を見直してみることもよいのではないでしょうか。

2011/06/01

6月の事務所便り

震災発生後に外国人労働者の不足が深刻に

 ◆幅広い分野で影響が
  新聞報道によると、東日本大震災発生の影響を受け、外食産業や農業など幅広い分野で人手不足が問題になっているようです。これは、原発事故等を不安視するなどした外国人の帰国が増えているためです。
状況が多少落ち着き、再び日本に戻ってくるケースも出ているようですが、外国人労働者に依存していた企業では、対策が求められています。

 ◆原発事故を不安視して帰国する外国人
  法務省によれば、日本における外国人登録者数は約218万人(2009年末)です。中でも約68万人で最も多い中国人は重要な労働力として役割が高まっています。
  原発事故発生後、帰国者が増加し、中国政府は航空便を増やすなどして約9,300人を自国に戻したとされます。
  この影響をまともに受けたのは、接客スタッフなど多くの外国人を雇う外食産業です。外食産業では営業時間が深夜に及ぶなど、労働条件の厳しさが目立つため、慢性的な人手不足に悩まされていますが、それ支えていたのが外国人の労働力なのです。

  ◆農業分野でも人手不足が問題に
  外国人の帰国問題は農業分野でも影響が出ています。外食産業と同様、重要な労働の担い手であった外国人が帰国してしまったために、「出荷間近で人手がほしい」などの声があがっているそうです。
  残された日本人が長時間働くしかないのが現状ですが、被災して生産を続けることができない生産者たちを募集して受け入れる仕組み作りなども政府に期待されています。

  ◆暮らしやすく働きやすい日本に
  余震と原発の不安がおさまらない中、外国人が戻ってくることはあまり期待できず、企業には何らかの対応策が迫られます。
  今後、外国人が暮らしやすく、働きやすい日本に戻ることを願わずにはいられません。


  政府が打ち出した「震災税制特例法」の内容

  ◆阪神・淡路大震災以上の内容に
  東日本大震災の被災者や被災企業を支援するための、いわゆる「震災税制特例法」が可決・成立しました。国・地方税を合わせて41項目の特例措置が設けられ、税金の減免や過去に納めた税金の還付などが実施されます。
  1995年に発生した阪神・淡路大震災に比べて支援内容が拡充されており、地方法人税の減免や被災した自動車にかかる税金の免税・還付など、新たな特例措置は16項目に上ります。

  ◆企業向けの支援税制
  企業向けでは、過去に納めた法人税額から、大震災による損失額に相当する額が2年間までさかのぼって還付されます。震災が発生した日から1年の間に終了する事業年度中に発生した損失が還付の対象となります。
  最終的には地方自治体の条例の定めによることとなりますが、阪神・淡路大震災の際には支援税制に盛り込まれなかった地方法人税(法人事業税・法人住民税)にも減免措置が設けられます。

 ◆個人向けの支援税制
  個人向けでは、居住が条件である住宅ローン減税を、大震災で損壊して住めなくなった住宅について適用が継続されるようになります。
  所得税については阪神・淡路大震災でも同様の措置がとられましたが、今回は住民税にも広げ軽減措置がとられます。
  その他、自宅を建て替える際に親から資金の贈与を受けた場合の贈与税の減免、津波で大きな被害を受けた土地や家屋の固定資産税や都市計画税の免除などがあります。
  さらに、住宅や家財の損害額を「雑損控除」として所得から差し引くことができる所得税の減税措置が前倒しで適用されます。

  ◆その他の内容
  この他、津波などで被害を受けた自動車の買替えを支援する税負担の軽減、大震災関連の寄付を促すための優遇税制も盛り込まれています。
  今後は被災者や被災企業に対する税金の減免や還付以外にも、被災地の復興を支援する税制の検討などが期待されています。


原発事故の風評被害を受ける輸出企業への支援策

  ◆輸出企業への支援策
  政府は、福島第一原子力発電所の事故をめぐる風評被害を踏まえ、輸出企業への支援策を発表しました。輸入を拒否された際に「貿易保険」から保険金を支払うほか、輸出品が放射線量の検査を受ける際に必要な費用についても補助金を支給します。
  また、企業の支援とともに、海外への正確な情報提供にも力を入れるようです。

  ◆「貿易保険」とは
  企業の輸出入や海外投資などの対外取引に伴うリスクを軽減するための保険で、1950年に創設されています。保険でカバーする内容は、戦争・内乱、テロ行為、相手方による輸入制限・禁止などの「非常危険」と、相手方の破産や輸出契約の一方的破棄などの「信用危険」に大別されます。

  ◆損害のほぼ全額を補償の方針
  原発事故を受け、放射能汚染とは直接関係のない地域の商品や工業品までもが輸入を拒否されるケースも出ているようです。そこで、風評による輸入拒否で損害を受けた企業に対し、保険金で損害額のほぼ全額を補償することとしました。
  今後は、輸出先が原発事故後に検査を強化するなどして商品が売れなくなった場合にも保険金を支払う方向だそうです。また、中小企業に対しては放射線量の検査費用を補助することも検討されています。

  ◆誇張報道の訂正を要求
  政府は、原発事故に関する誤った情報や誇張された情報が海外に広がっていることが、風評被害の拡大につながっているとして、海外のメディアに対して報道の訂正などを求めています。
  また、放射線量の状況などについて、各国の大使館を通じて外国政府や企業に正確な情報を積極的に伝えることにより、風評被害を食い止めようとしています。


  「ねんきんネット」で年金加入記録を確認しよう

  ◆2月末に運用スタート
  日本年金機構では、公的年金記録を確認できるインターネットサービス「ねんきんネット」(以下、「ネット」)の運用を2月末から始めました。
  従来の「ねんきん定期便」(以下、「定期便」)よりも情報が新しく、かつ情報量も多いため、わかりやすく簡単に自分の記録を確認することができます。

  ◆ネットの特徴
  特徴は、加入開始時から直近(原則として約1カ月前)までの自分の加入記録のすべてをいつでも確認できることです。
  定期便では、毎年の誕生日前に送付されるだけで、記録も2010年度分からで、35歳、45歳、58歳以外の加入者については、誕生月の直近1年間分に限定されていました。
  制度ごとの加入記録や加入期間の合計についても、ネットのほうが情報は豊富です。国民年金保険料の納付状況のほか、厚生年金では勤務先名称や標準報酬月額などが月単位で表示されます。

  ◆ID・パスワードをすぐに取得可能
  ネットは、2011年度分の定期便に記載された固有のアクセスキーを入力すれば、即時にID・パスワードを取得でき、自分の年金記録に随時アクセスできます。
  今年度の定期便が届いていない人であっても、インターネットを通じて登録すれば5日程度でID・パスワードを取得できるそうです。

  ◆上手に活用して年金制度を理解
  年金制度はとても複雑な仕組みですが、このネットをうまく活用することで、年金制度への理解が進むことが期待されています。
  みなさんも一度ご自分の記録を確認してみてはいかがでしょうか。


  「自律訓練法」の活用でストレス解消

  ◆メンタルケアの手法の1つ
  ストレスが原因とされる心身の不調を改善するために効果があると言われるのが、「自律訓練法」と呼ばれる心理療法です。
  職場や学校で、メンタルケアの手法の1つとして使われることも多く、1人で習得することも可能だそうです。
 
 ◆「自律訓練法」とは?
  この自律訓練法は、ドイツの精神科医が開発した心身の自己調整法で、古くから日本にも紹介され、オリンピック選手のメンタルトレーニングに使われたこともあるそうです。
  心療内科や精神科などにおいても使われる一種の自己催眠法であり、全身をリラックスさせることができ、心身の疲れがとれるとされ、簡単に言えばリラクゼーション法の1つです。

  ◆「自律訓練法」の効果
 実施による主な効果は、次の通りです。
 (1)蓄積された疲労を回復できる。
 (2)イライラせずに穏やかな気持ちになれる。
 (3)自己統制力が増して衝動的な行動が少なくなる。
 (4)仕事や勉強の効率がアップする。
 (5)身体的痛み・精神的苦痛が緩和される。
 (6)内省力がついて自己向上性が増す。

  ◆実施の手順
  静かな落ち着けるところで行います。ゆったりした服装で、椅子やソファに深く腰掛けるか仰向けに寝て、両腕・両脚を少し開いた状態で目を閉じ、気持ちを静めるため「気持ちが落ち着いている」(基礎公式)と心の中で唱えます。
  次に、腕や脚に「重み」を感じることを練習します。「第1公式」と呼ばれる言葉(右手が重たい・左手が重たい・右脚が重たい・左脚が重たい、の順)を唱え、腕や脚に「重み」を感じることを練習し、続く「第2公式」では、血液循環が良くなり手足の腕や脚に「温かさ」を感じる練習をします。
  以下、「心臓が静かに規則正しく打っている」(第3公式)、「楽に呼吸をしている」(第4公式)、「おなかが温かい」(第5公式)、「額が心地よく涼しい」(第6公式)と続きます。


  パート社員から正社員への登用の現状と今後

  ◆パート社員として仕事に復帰
  結婚・出産などを理由に仕事を辞めて一旦家庭に入ったものの、パート社員として仕事に復帰し、その後正社員に登用されて活躍する女性が増えています。
  労働力人口が減っていく中、柔軟な働き方の実現は企業の人材確保には欠かせません。

  ◆優秀な人材確保の一手段
  パート社員の正社員登用により、優秀な人材を確保できます。その半面、正社員になると雇用調整が難しく、一般的に人件費も高まります。
  そのため、登用制度を有する企業では、パート社員を正社員に登用する選考過程において能力を厳しく見極める傾向にあります。
  その結果、パート社員から登用された正社員は即戦力と評価されることが多く、新卒採用と中途採用に加えて、新たな採用ルートとして確立しつつあります。

  ◆正社員への登用の現状
  昨今は、パート社員が正社員並みに企業内で基幹的な役割を担うケースも増え、仕事内容と雇用条件との間にギャップも見られます。
  2008年に「改正パートタイム労働法」が施行され、正社員と均衡のとれた待遇の確保や正社員への転換推進措置などが企業に義務付けられました。
  しかし、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の「短時間労働者実態調査」(2010年)によると、正社員への転換推進措置をとっている企業は約5割にとどまっています。

  ◆結婚・子育て後のやる気を活用
  パート社員のさらなる待遇改善に向けて、厚生労働省は今年2月に「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」を立ち上げ、今夏に報告書をまとめる予定です。
  すべてのパート社員が正社員への登用を望んでいるわけではありませんが、やる気と能力のあるパート社員を正社員に登用し、活躍の場を提供することは、企業にとっても様々な利点があるのではないでしょうか。


  「ボランティア休暇」導入企業が増加中

  ◆企業CSRの要請と従業員からの要望
  東日本大震災の発生をきっかけとして、企業が、従業員のボランティア活動を目的とした特別休暇(ボランティア休暇)を認め、制度として導入するケースが大手を中心に増えているようです。
  これは、「企業は社会的責任(CSR)を果たすべき」という要請と同時に、従業員からの要望も増えていることが背景にあるようです。
 
 ◆具体的な導入事例
  制度を導入したと報道された企業は、SMBC日興証券(最大3日間。有給休暇との組合せで最大16日間)、さわやか信用金庫(最大5日間)、トリンプ・インターナショナル・ジャパン(9月末までに最大14日間)、ワコール(8月末までに最大連続20日間)などです。
  なお、厚生労働省の調査(2007年実施)によれば、ボランティア休暇制度を導入している企業(従業員1,000人以上)の割合は、17.7%だそうです。

  ◆法的な問題点も
  企業が「ボランティア休暇」を制度化することは可能です。しかし、様々な法的な問題も考えられます。
  例えば、会社が認めたボランティア休暇中に従業員が怪我をした場合、労災と認められるのでしょうか。「業務起因性」が認められるかどうかは微妙な問題です。また、企業の安全配慮義務が問われるケースも過去にあったようです。

  ◆導入には慎重な判断が必要
  上記のことから、特別休暇である「ボランティア休暇」の導入には、慎重な判断が求められると言えるでしょう。


  夏場の「電力不足・節電」に向けた企業の対応

  ◆政府要請への対応
  政府による、福島第一原発での事故に伴う最大使用電力の削減要請、浜岡原発の運転停止などを受け、企業では、電力が不足するとされる夏場において、いかに「電力不足・節電」に対応するかが課題となっています。

  ◆夏季休暇の取り方などに工夫
  大手企業では、「電力不足・節電」への対応として、すでに夏季休暇の取り方などについての方針を発表しているところもあります。主な内容は以下の通りです。

 (1)期間の延長・拡大(ニコン、ゼリア新薬工業など)
 (2)まとめての取得(NTT、文化シャッターなど)
 (3)取得時期の分散(NEC、東芝など)
 (4)在宅勤務制度の導入(KDDI、帝人など)
 (5)サマータイム制の導入(ソニー、東京証券取引所など)

 ◆節電の具体策
 企業ができる節電のための具体策としては、次のようなことが考えられます。

 (1)照明関係…看板・ショーウインドーの消灯、LED電球への切替え
 (2)設備関係…エレベーターの運転削減、パソコンの小まめな電源停止
 (3)エアコン・空調…冷房温度の引上げ、クールビズの強化
 (4)その他…自家発電機の導入など

 ◆中小企業へ「節電サポーター」派遣
 また、経済産業省では、東京電力・東北電力管内の中小企業やビルなど約20万カ所に、節電方法の助言などを行う「節電サポーター」を派遣すると発表しています。
 5~6月にかけて、中小・零細企業を中心に、電気主任技術者などの専門家を2,000~3,000人程度派遣するとのことです。


 今年の新入社員は何を重視? 理想の上司像は?

 ◆「良好な人間関係」を最も重視
 株式会社毎日コミュニケーションズから、今年4月入社の新入社員を対象に実施した「2011年マイコミ新入社員意識調査」(984名が回答)の結果が発表されました。
 この中で、「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うこと」(複数回答)について聞いたところ、回答の上位ベスト3は次の通りでした。

 (1)良好な人間関係(69.8%)
 (2)挑戦(46.2%)
 (3)楽しさ(43.8%)

 ◆理想の上司は「指示・指導が的確」
 上記と同じ意識調査の「理想の上司像」(複数回答)に関する質問では、次の通りの結果となりました。

 (1)指示・指導が的確である(67.8%)
 (2)よくアドバイスをくれる(47.8%)
 (3)相談に乗ってくれる(45.4%)

 ◆新社会人の多くは「上司に本音を語れない」
 また、レジェンダ・コーポレーション株式会社では、今年4月に新社会人となった入社1年目と入社2年目の社員を対象に行った意識調査(665名が回答)の結果を発表しました。
 その中で、「目上の人に対して仕事上の本音の話ができるか」を尋ねたところ、入社1年目の人のうち63.8%が「本音を語れない」(「ためらう」が57.9%、「できない」が5.9%)と回答しました。これが入社2年目の人になると57.2%に下がります。

 ◆20代の若者は「伝える力」が低い!?
 逆に、先輩社員は20代の後輩社員をどのように見ているのでしょうか。株式会社電通では、首都圏の会社員800名を対象に「伝える力」に関するアンケート調査を行いました。
 その結果によれば、30~50代の会社員のうち、52.5%の人が「新入社員をはじめ20代前半の若者の『伝える力』は低くなっている」(「低くなっていると思う」および「どちらかと言えば低くなっていると思う」の合計)と回答したそうです。


 就職活動に「ツイッター」「フェイスブック」を活用

 ◆約4割が「就活に活用」
 就職活動において「ツイッター」や「フェイスブック」などのソーシャルメディアを活用する学生が増えているようです。
 株式会社マクロミルが実施した調査(関東圏で就職活動中の大学3年生・大学院1年生300人が対象)の結果によると、37.7%の人が「活用している」、19.0%の人が「今後活用したい」と回答しています。

 ◆「ソーシャルメディア」とは?
 ソーシャルメディアは、一般に、ユーザーが情報を発信することによって形成されていくメディアのことを言い、個人が発信した情報が不特定多数に広まり、ユーザー同士のつながりが広がっていくことが特徴とされています。
 その代表的なものは、「ブログ」や「ツイッター」、「フェイスブック」などです。
 
 ◆ソーシャルメディアを活用する理由
 上記の調査において、就職活動にソーシャルメディアを活用する理由(複数回答)として、以下の項目が挙げられています。

 (1)他人の状況が気になる(54.9%)
 (2)最新の情報がある(51.3%)
 (3)同業界を志望する学生と知り合える(41.6%)
 (4)建前ではない会社の実情がわかる(34.5%)
 (5)悩み相談やストレス解消ができる(23.9%)

 ◆企業が活用するケースも
 また、最近では企業の人事担当者が「ツイッター」でつぶやいたり、「フェイスブック」に採用情報を掲載したりするケースもあるようです。
 今後、就職活動・採用活動において、これらソーシャルメディアはますます活用されていくことでしょう。