震災発生後に外国人労働者の不足が深刻に
◆幅広い分野で影響が
新聞報道によると、東日本大震災発生の影響を受け、外食産業や農業など幅広い分野で人手不足が問題になっているようです。これは、原発事故等を不安視するなどした外国人の帰国が増えているためです。
状況が多少落ち着き、再び日本に戻ってくるケースも出ているようですが、外国人労働者に依存していた企業では、対策が求められています。
◆原発事故を不安視して帰国する外国人
法務省によれば、日本における外国人登録者数は約218万人(2009年末)です。中でも約68万人で最も多い中国人は重要な労働力として役割が高まっています。
原発事故発生後、帰国者が増加し、中国政府は航空便を増やすなどして約9,300人を自国に戻したとされます。
この影響をまともに受けたのは、接客スタッフなど多くの外国人を雇う外食産業です。外食産業では営業時間が深夜に及ぶなど、労働条件の厳しさが目立つため、慢性的な人手不足に悩まされていますが、それ支えていたのが外国人の労働力なのです。
◆農業分野でも人手不足が問題に
外国人の帰国問題は農業分野でも影響が出ています。外食産業と同様、重要な労働の担い手であった外国人が帰国してしまったために、「出荷間近で人手がほしい」などの声があがっているそうです。
残された日本人が長時間働くしかないのが現状ですが、被災して生産を続けることができない生産者たちを募集して受け入れる仕組み作りなども政府に期待されています。
◆暮らしやすく働きやすい日本に
余震と原発の不安がおさまらない中、外国人が戻ってくることはあまり期待できず、企業には何らかの対応策が迫られます。
今後、外国人が暮らしやすく、働きやすい日本に戻ることを願わずにはいられません。
政府が打ち出した「震災税制特例法」の内容
◆阪神・淡路大震災以上の内容に
東日本大震災の被災者や被災企業を支援するための、いわゆる「震災税制特例法」が可決・成立しました。国・地方税を合わせて41項目の特例措置が設けられ、税金の減免や過去に納めた税金の還付などが実施されます。
1995年に発生した阪神・淡路大震災に比べて支援内容が拡充されており、地方法人税の減免や被災した自動車にかかる税金の免税・還付など、新たな特例措置は16項目に上ります。
◆企業向けの支援税制
企業向けでは、過去に納めた法人税額から、大震災による損失額に相当する額が2年間までさかのぼって還付されます。震災が発生した日から1年の間に終了する事業年度中に発生した損失が還付の対象となります。
最終的には地方自治体の条例の定めによることとなりますが、阪神・淡路大震災の際には支援税制に盛り込まれなかった地方法人税(法人事業税・法人住民税)にも減免措置が設けられます。
◆個人向けの支援税制
個人向けでは、居住が条件である住宅ローン減税を、大震災で損壊して住めなくなった住宅について適用が継続されるようになります。
所得税については阪神・淡路大震災でも同様の措置がとられましたが、今回は住民税にも広げ軽減措置がとられます。
その他、自宅を建て替える際に親から資金の贈与を受けた場合の贈与税の減免、津波で大きな被害を受けた土地や家屋の固定資産税や都市計画税の免除などがあります。
さらに、住宅や家財の損害額を「雑損控除」として所得から差し引くことができる所得税の減税措置が前倒しで適用されます。
◆その他の内容
この他、津波などで被害を受けた自動車の買替えを支援する税負担の軽減、大震災関連の寄付を促すための優遇税制も盛り込まれています。
今後は被災者や被災企業に対する税金の減免や還付以外にも、被災地の復興を支援する税制の検討などが期待されています。
原発事故の風評被害を受ける輸出企業への支援策
◆輸出企業への支援策
政府は、福島第一原子力発電所の事故をめぐる風評被害を踏まえ、輸出企業への支援策を発表しました。輸入を拒否された際に「貿易保険」から保険金を支払うほか、輸出品が放射線量の検査を受ける際に必要な費用についても補助金を支給します。
また、企業の支援とともに、海外への正確な情報提供にも力を入れるようです。
◆「貿易保険」とは
企業の輸出入や海外投資などの対外取引に伴うリスクを軽減するための保険で、1950年に創設されています。保険でカバーする内容は、戦争・内乱、テロ行為、相手方による輸入制限・禁止などの「非常危険」と、相手方の破産や輸出契約の一方的破棄などの「信用危険」に大別されます。
◆損害のほぼ全額を補償の方針
原発事故を受け、放射能汚染とは直接関係のない地域の商品や工業品までもが輸入を拒否されるケースも出ているようです。そこで、風評による輸入拒否で損害を受けた企業に対し、保険金で損害額のほぼ全額を補償することとしました。
今後は、輸出先が原発事故後に検査を強化するなどして商品が売れなくなった場合にも保険金を支払う方向だそうです。また、中小企業に対しては放射線量の検査費用を補助することも検討されています。
◆誇張報道の訂正を要求
政府は、原発事故に関する誤った情報や誇張された情報が海外に広がっていることが、風評被害の拡大につながっているとして、海外のメディアに対して報道の訂正などを求めています。
また、放射線量の状況などについて、各国の大使館を通じて外国政府や企業に正確な情報を積極的に伝えることにより、風評被害を食い止めようとしています。
「ねんきんネット」で年金加入記録を確認しよう
◆2月末に運用スタート
日本年金機構では、公的年金記録を確認できるインターネットサービス「ねんきんネット」(以下、「ネット」)の運用を2月末から始めました。
従来の「ねんきん定期便」(以下、「定期便」)よりも情報が新しく、かつ情報量も多いため、わかりやすく簡単に自分の記録を確認することができます。
◆ネットの特徴
特徴は、加入開始時から直近(原則として約1カ月前)までの自分の加入記録のすべてをいつでも確認できることです。
定期便では、毎年の誕生日前に送付されるだけで、記録も2010年度分からで、35歳、45歳、58歳以外の加入者については、誕生月の直近1年間分に限定されていました。
制度ごとの加入記録や加入期間の合計についても、ネットのほうが情報は豊富です。国民年金保険料の納付状況のほか、厚生年金では勤務先名称や標準報酬月額などが月単位で表示されます。
◆ID・パスワードをすぐに取得可能
ネットは、2011年度分の定期便に記載された固有のアクセスキーを入力すれば、即時にID・パスワードを取得でき、自分の年金記録に随時アクセスできます。
今年度の定期便が届いていない人であっても、インターネットを通じて登録すれば5日程度でID・パスワードを取得できるそうです。
◆上手に活用して年金制度を理解
年金制度はとても複雑な仕組みですが、このネットをうまく活用することで、年金制度への理解が進むことが期待されています。
みなさんも一度ご自分の記録を確認してみてはいかがでしょうか。
「自律訓練法」の活用でストレス解消
◆メンタルケアの手法の1つ
ストレスが原因とされる心身の不調を改善するために効果があると言われるのが、「自律訓練法」と呼ばれる心理療法です。
職場や学校で、メンタルケアの手法の1つとして使われることも多く、1人で習得することも可能だそうです。
◆「自律訓練法」とは?
この自律訓練法は、ドイツの精神科医が開発した心身の自己調整法で、古くから日本にも紹介され、オリンピック選手のメンタルトレーニングに使われたこともあるそうです。
心療内科や精神科などにおいても使われる一種の自己催眠法であり、全身をリラックスさせることができ、心身の疲れがとれるとされ、簡単に言えばリラクゼーション法の1つです。
◆「自律訓練法」の効果
実施による主な効果は、次の通りです。
(1)蓄積された疲労を回復できる。
(2)イライラせずに穏やかな気持ちになれる。
(3)自己統制力が増して衝動的な行動が少なくなる。
(4)仕事や勉強の効率がアップする。
(5)身体的痛み・精神的苦痛が緩和される。
(6)内省力がついて自己向上性が増す。
◆実施の手順
静かな落ち着けるところで行います。ゆったりした服装で、椅子やソファに深く腰掛けるか仰向けに寝て、両腕・両脚を少し開いた状態で目を閉じ、気持ちを静めるため「気持ちが落ち着いている」(基礎公式)と心の中で唱えます。
次に、腕や脚に「重み」を感じることを練習します。「第1公式」と呼ばれる言葉(右手が重たい・左手が重たい・右脚が重たい・左脚が重たい、の順)を唱え、腕や脚に「重み」を感じることを練習し、続く「第2公式」では、血液循環が良くなり手足の腕や脚に「温かさ」を感じる練習をします。
以下、「心臓が静かに規則正しく打っている」(第3公式)、「楽に呼吸をしている」(第4公式)、「おなかが温かい」(第5公式)、「額が心地よく涼しい」(第6公式)と続きます。
パート社員から正社員への登用の現状と今後
◆パート社員として仕事に復帰
結婚・出産などを理由に仕事を辞めて一旦家庭に入ったものの、パート社員として仕事に復帰し、その後正社員に登用されて活躍する女性が増えています。
労働力人口が減っていく中、柔軟な働き方の実現は企業の人材確保には欠かせません。
◆優秀な人材確保の一手段
パート社員の正社員登用により、優秀な人材を確保できます。その半面、正社員になると雇用調整が難しく、一般的に人件費も高まります。
そのため、登用制度を有する企業では、パート社員を正社員に登用する選考過程において能力を厳しく見極める傾向にあります。
その結果、パート社員から登用された正社員は即戦力と評価されることが多く、新卒採用と中途採用に加えて、新たな採用ルートとして確立しつつあります。
◆正社員への登用の現状
昨今は、パート社員が正社員並みに企業内で基幹的な役割を担うケースも増え、仕事内容と雇用条件との間にギャップも見られます。
2008年に「改正パートタイム労働法」が施行され、正社員と均衡のとれた待遇の確保や正社員への転換推進措置などが企業に義務付けられました。
しかし、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の「短時間労働者実態調査」(2010年)によると、正社員への転換推進措置をとっている企業は約5割にとどまっています。
◆結婚・子育て後のやる気を活用
パート社員のさらなる待遇改善に向けて、厚生労働省は今年2月に「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」を立ち上げ、今夏に報告書をまとめる予定です。
すべてのパート社員が正社員への登用を望んでいるわけではありませんが、やる気と能力のあるパート社員を正社員に登用し、活躍の場を提供することは、企業にとっても様々な利点があるのではないでしょうか。
「ボランティア休暇」導入企業が増加中
◆企業CSRの要請と従業員からの要望
東日本大震災の発生をきっかけとして、企業が、従業員のボランティア活動を目的とした特別休暇(ボランティア休暇)を認め、制度として導入するケースが大手を中心に増えているようです。
これは、「企業は社会的責任(CSR)を果たすべき」という要請と同時に、従業員からの要望も増えていることが背景にあるようです。
◆具体的な導入事例
制度を導入したと報道された企業は、SMBC日興証券(最大3日間。有給休暇との組合せで最大16日間)、さわやか信用金庫(最大5日間)、トリンプ・インターナショナル・ジャパン(9月末までに最大14日間)、ワコール(8月末までに最大連続20日間)などです。
なお、厚生労働省の調査(2007年実施)によれば、ボランティア休暇制度を導入している企業(従業員1,000人以上)の割合は、17.7%だそうです。
◆法的な問題点も
企業が「ボランティア休暇」を制度化することは可能です。しかし、様々な法的な問題も考えられます。
例えば、会社が認めたボランティア休暇中に従業員が怪我をした場合、労災と認められるのでしょうか。「業務起因性」が認められるかどうかは微妙な問題です。また、企業の安全配慮義務が問われるケースも過去にあったようです。
◆導入には慎重な判断が必要
上記のことから、特別休暇である「ボランティア休暇」の導入には、慎重な判断が求められると言えるでしょう。
夏場の「電力不足・節電」に向けた企業の対応
◆政府要請への対応
政府による、福島第一原発での事故に伴う最大使用電力の削減要請、浜岡原発の運転停止などを受け、企業では、電力が不足するとされる夏場において、いかに「電力不足・節電」に対応するかが課題となっています。
◆夏季休暇の取り方などに工夫
大手企業では、「電力不足・節電」への対応として、すでに夏季休暇の取り方などについての方針を発表しているところもあります。主な内容は以下の通りです。
(1)期間の延長・拡大(ニコン、ゼリア新薬工業など)
(2)まとめての取得(NTT、文化シャッターなど)
(3)取得時期の分散(NEC、東芝など)
(4)在宅勤務制度の導入(KDDI、帝人など)
(5)サマータイム制の導入(ソニー、東京証券取引所など)
◆節電の具体策
企業ができる節電のための具体策としては、次のようなことが考えられます。
(1)照明関係…看板・ショーウインドーの消灯、LED電球への切替え
(2)設備関係…エレベーターの運転削減、パソコンの小まめな電源停止
(3)エアコン・空調…冷房温度の引上げ、クールビズの強化
(4)その他…自家発電機の導入など
◆中小企業へ「節電サポーター」派遣
また、経済産業省では、東京電力・東北電力管内の中小企業やビルなど約20万カ所に、節電方法の助言などを行う「節電サポーター」を派遣すると発表しています。
5~6月にかけて、中小・零細企業を中心に、電気主任技術者などの専門家を2,000~3,000人程度派遣するとのことです。
今年の新入社員は何を重視? 理想の上司像は?
◆「良好な人間関係」を最も重視
株式会社毎日コミュニケーションズから、今年4月入社の新入社員を対象に実施した「2011年マイコミ新入社員意識調査」(984名が回答)の結果が発表されました。
この中で、「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うこと」(複数回答)について聞いたところ、回答の上位ベスト3は次の通りでした。
(1)良好な人間関係(69.8%)
(2)挑戦(46.2%)
(3)楽しさ(43.8%)
◆理想の上司は「指示・指導が的確」
上記と同じ意識調査の「理想の上司像」(複数回答)に関する質問では、次の通りの結果となりました。
(1)指示・指導が的確である(67.8%)
(2)よくアドバイスをくれる(47.8%)
(3)相談に乗ってくれる(45.4%)
◆新社会人の多くは「上司に本音を語れない」
また、レジェンダ・コーポレーション株式会社では、今年4月に新社会人となった入社1年目と入社2年目の社員を対象に行った意識調査(665名が回答)の結果を発表しました。
その中で、「目上の人に対して仕事上の本音の話ができるか」を尋ねたところ、入社1年目の人のうち63.8%が「本音を語れない」(「ためらう」が57.9%、「できない」が5.9%)と回答しました。これが入社2年目の人になると57.2%に下がります。
◆20代の若者は「伝える力」が低い!?
逆に、先輩社員は20代の後輩社員をどのように見ているのでしょうか。株式会社電通では、首都圏の会社員800名を対象に「伝える力」に関するアンケート調査を行いました。
その結果によれば、30~50代の会社員のうち、52.5%の人が「新入社員をはじめ20代前半の若者の『伝える力』は低くなっている」(「低くなっていると思う」および「どちらかと言えば低くなっていると思う」の合計)と回答したそうです。
就職活動に「ツイッター」「フェイスブック」を活用
◆約4割が「就活に活用」
就職活動において「ツイッター」や「フェイスブック」などのソーシャルメディアを活用する学生が増えているようです。
株式会社マクロミルが実施した調査(関東圏で就職活動中の大学3年生・大学院1年生300人が対象)の結果によると、37.7%の人が「活用している」、19.0%の人が「今後活用したい」と回答しています。
◆「ソーシャルメディア」とは?
ソーシャルメディアは、一般に、ユーザーが情報を発信することによって形成されていくメディアのことを言い、個人が発信した情報が不特定多数に広まり、ユーザー同士のつながりが広がっていくことが特徴とされています。
その代表的なものは、「ブログ」や「ツイッター」、「フェイスブック」などです。
◆ソーシャルメディアを活用する理由
上記の調査において、就職活動にソーシャルメディアを活用する理由(複数回答)として、以下の項目が挙げられています。
(1)他人の状況が気になる(54.9%)
(2)最新の情報がある(51.3%)
(3)同業界を志望する学生と知り合える(41.6%)
(4)建前ではない会社の実情がわかる(34.5%)
(5)悩み相談やストレス解消ができる(23.9%)
◆企業が活用するケースも
また、最近では企業の人事担当者が「ツイッター」でつぶやいたり、「フェイスブック」に採用情報を掲載したりするケースもあるようです。
今後、就職活動・採用活動において、これらソーシャルメディアはますます活用されていくことでしょう。
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