「解雇権濫用」「名ばかり管理職」に関する裁判例
◆メーカーが多数の労働組合員を解雇
神戸市にある鋼管メーカーを解雇された従業員(22人)が地位確認などを求める訴えを提起していましたが、神戸地裁は「解雇権濫用のため無効である」として、会社に対して未払賃金の支払いを命じる判決を下しました(2月27日)。
この会社は、事業縮小を理由として2011年6月に工場勤務の従業員(28人)を解雇しましたが、28人のうち26人は労働組合員だったそうです。
裁判官は判決で「他部署への配転を検討するなど、解雇を避ける努力を尽くしていない」と指摘し、また、解雇された従業員の大半が労働組合に加入していたことが「明らかに不自然である」としました。
原告の男性の1人は、「会社は判決を重く受け止め、早く職場に戻してほしい」と話しているとのことです。
◆大学が財務課長を管理職扱い
広島県にある私立大学の元財務課長(57歳)が、実態は管理職ではないにもかかわらず管理職として扱われて残業代が支払われなかったとして、大学側に対して未払賃金等(約630万円)の支払いを求めて訴えを提起していましたが、広島地裁は「時間外手当の支給対象外となる管理監督者には該当しない」として、学校側に対して約520万円の支払いを命じました(2月27日)。
訴えていた男性は、2008年4月から2011年3月まで財務課長を務めており、最も多い月の残業時間は103時間30分だったそうです。
裁判官は判決で「原告の上司として法人事務局長などが置かれ、業務の大部分で上司の決裁が必要であり、権限は限定的だった」としました。また、出退勤時間等に関する裁量が限られていたことなども考慮され、「権限や責任が経営者と一体というのは困難である」とされました。
大学側はこの判決に不服のため、控訴を検討しているとのことです。
原付使用バイク便事業者の労災保険特別加入の要件緩和
◆総排気量125cc以下の原付を使用する場合も加入対象に
2013年3月1日付けで発出された通達(基発0301第1号)により、総排気量125cc以下の原動機付自転車(原付)を使用して貨物運送事業を行う者(以下、「バイク便事業者」)も、労災保険の特別加入対象者となることとなりました。
これは、厚生労働省が2011年に実施したバイク便事業者の災害発生状況等の実態調査の結果により、総排気量が125cc以上か以下かによって業務内容や災害発生状況に大きな違いが見られなかったことから、今般、対象に含めることとなったものです。
それぞれ手続きの方法が異なりますので、都道府県労働局や労働基準監督署に確認のうえ、手続きをする必要があるでしょう。
◆労災保険の特別加入制度とは?
労災保険は、労働基準法に基づく事業主の災害補償責任を担保することを基本とする制度であるため、労働基準法上の労働者でない者については対象外とされています。
そこで、特別加入制度においては、「業務の実態」や「災害の発生状況」等からみて労働者に準じて保護することが適当である者について労働者とみなし、業務災害および通勤災害について保険給付等を行う制度です。
対象者としては、(1)中小事業主およびその者が行う事業に従事する者、(2)労働者を使用しないで事業を行う一人親方その他自営業者およびその者が行う事業に従事する者、(3)特定業従事者、(4)海外派遣者が挙げられます。
今般対象となったバイク便事業者は、(2)に該当する者ですから、委託契約を締結しているバイクライダーであっても、総合的に判断して労働者と認められる実態にあるものは対象となりませんので、注意が必要です。
また、当該離職者が定年後の継続雇用を希望していたにもかかわらず離職に至った経緯について、「a 就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当したため…、b 平成25年3月31日以前に労使協定により定めた継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため、c その他…」のいずれに該当するかを記載することとされています。
しかしながら、旧様式には上記のように離職に至った詳しい理由を記載する欄がありませんので、事業主が「具体的事情記載欄(事業主用)」に記載する必要があります。
具体的には、離職理由欄の「2 定年、労働契約期間満了等によるもの(1)定年による離職(定年 歳)の横に○を付し、カッコ内に定年年齢を記載したうえで、「定年退職(本人は継続雇用を希望したが、就業規則に定める解雇・退職事由に該当した)」のように記載することとなります。
また、事業縮小等により契約更新することなく期間満了により離職するときも同じように記載します。
なお、これらの場合に提出する雇用保険被保険者資格喪失届の「5 喪失原因」は「2」を選択し、事業主の都合による離職以外の離職となります。
この幅が「標準報酬月額等級」として、健康保険では47等級に、厚生年金保険では30等級に分かれています。これらの保険料は労使折半ですので、事業主の負担が過重とならないよう保険料に上限が設定されていますが、高額所得者でも上限等級以上の保険料負担はしませんので、「高額所得者優遇」にならないよう、政令で、最高等級の上に等級を追加することができることとされています。
新入社員等は(1)によって決定されますが、7月1日現在その会社に在籍している従業員については(2)により、4~6月に支払われる給与等や賞与の賃金総額の月平均賃金額を基準に標準報酬月額にあてはめて、その年の9月から翌年8月までの1年間の標準報酬月額が決まります。
一部の事業所では当月分の給与を翌月中に支払うこともあるので、そうした企業においては3~5月分までの賃金総額によって決まることとなります。
特に、厚生年金保険料は平成16年の制度改正によって平成29年9月まで毎年0.354%ずつ引き上げられることとなっているため、昇給等によらなくても保険料の負担は年々増していきます。
不必要な残業を控えたり、業務の進め方を見直したり、昇給月を変更したりする等、対策を社会保険労務士に相談してみるのもよいでしょう。
対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなします。労働時間だけでは成果を評価しにくい働き方に対応するために設けられた制度です。
裁量労働制には、「専門業務型」と「企画業務型」の2種類があります。それぞれ対象となる業務が定められており、導入には労使での合意、労働基準監督署への労使協定等の届出、就業規則等の整備など、慎重な検討が必要です。また、企画業務型の場合は、導入に必要な事項を協議する「労使委員会」の設置や定期的な状況報告等が必要になります。
なお、一部に誤解があるようですが、裁量労働制を採用していても、働いたこととみなす時間(みなし労働時間)が法定労働時間を超えている部分については残業代が発生します。また、深夜勤務や休日勤務を行ったりすれば割増賃金が発生します。
その結果、長時間労働を助長し、うつ病の発症等のメンタルヘルス不全につながっているという指摘もあります。裁量労働制を導入していても労働者への健康配慮は会社の義務ですので、会社は出社・退社の時間などを管理しておく必要があるでしょう。
いまどき!?「飲酒強要」は時代遅れ
一審の東京地裁判決では、元上司の別の行為についてパワハラに該当するとして70万円の慰謝料が認められましたが、飲酒強要の部分については「上司の立場を逸脱し、許容範囲を超えていたとは言い難い」として訴えが退けられていました。
仕事上の悩みは今も昔も「人間関係」に尽きるようですが、パワハラ訴訟などは、経営上まったく無用なコストです。日頃の労務管理で防止できれば、こんなによいことはありません。
事業戦略の厳しさに比べれば、パワハラは経営トップの強い決意と社内への会社目標の十分な浸透があれば、事件に発展する確率は限りなく低くできるものだと思います。
これからの季節、新入社員や異動で新しく配属になった社員を交えたアルコールの入る場面も多くなります。今年は若者に交じって超低アルコール飲料の新しい味わいを楽しんでみると、新人との会話も弾むかもしれませんよ。
会社の管理責任云々以前に、「酔って乱れず」の先輩社員はカッコイイと思いませんか?
経営者はどのように経営情報を収集・活用しているか?
その割合もほぼ同様(約40%~55%)で、特定の場所で情報収集をするという傾向は見られなかったようです。
普段の業務を通して、身近な人から情報を得るという経営者が多いことがわかります。
従来型のメディアがまだ上位を占めていることがわかりますが、「ホームページ」の利用が増えているなど、中小企業でもインターネットの活用は進んでいることがわかります。
◆活用が増えたメディアは?
現在活用が増えているメディアとして、「ホームページ」の役割は大きいようです。高年齢経営者の間でも活用意欲が高まっており、幅広い年齢層を取り込むメディアとして今後さらなる成長が期待されます。また、新しいメディアの代表例としていま注目されているfacebook 、twitterなどは、30代を中心とした若い経営者の間でも、その活用は10%ほどでした。ビジネスにおける活用はまだ成長途中というところでしょう。
具体的には、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金のように類似する制度を統合して新設するもの(「雇用調整助成金」に一本化)、中小企業定年引上げ等奨励金など、平成24年度末で廃止となるものなどがあります。
(1)助成率の変更
・大企業:3分の2(4分の3)→2分の1・中小企業:5分の4(10分の9)→3分の2
※( )内の「労働者の解雇等を行わない場合、障害者の場合」も同様の助成率となる。
(2)教育訓練(事業所外訓練)の助成額の変更
・大企業:4,000円→2,000円・中小企業:6,000円→3,000円
(3)円高の影響を受けた事業主に対する生産量要件緩和特例の廃止
・正規雇用労働者育成支援奨励金
・非正規雇用労働者育成支援奨励金・海外進出支援奨励金(留学)
・海外進出支援奨励金(送り出し)
・被災地復興建設労働者育成支援奨励金
今後、非正規労働者のキャリアアップ支援、若年層の安定雇用の確保、高齢者の就労促進などを目的とする新しい助成金も設けられる予定ですので、動向を注視したいところです。
「叱られること」についての若手社員の意識
調査では、若手社員に「上司・先輩に叱られることがあるか」を尋ねたところ、ほぼ半数(49.6%)が叱られたことがある(「よくある」+「時々ある」)と回答しました。
性別でみると、叱られたことがある割合は、男性55.4%、女性40.4%となり、男性のほうが女性より叱られている傾向が見られたようです。
ただ、「正当な理由があれば、叱られたいと思うか」という質問において、「叱られなければ伸びない」や「ある程度叱られることは期待の裏返しだと思う」といった、肯定的な意見が目立った一方、「正当な理由があっても、叱られ方によっては受け入れたくない」といった、叱られることに慣れていない若手社員の繊細な一面も見てとれたようです。
「帰宅困難者対策条例」への企業の対応
行政機関では、東京都が帰宅困難者をその場にとどめるため、水や食料の備蓄を企業などに求める帰宅困難者対策条例を来月から施行します。
施行を前に、水や食料を備蓄する動きが本格化しているようです。
(1)従業員の一斉帰宅の抑制(施設の安全確認と3日分の食料等備蓄)
(2)従業員との連絡手段の確保などの事前準備(従業員との連絡手段確保と、従業員に対して家族との連絡手段の複数確保の周知)(3)事業所防災計画の策定
一方、条例施行後に企業として懸念する点として、「待機させた従業員がその後の余震などで被災した場合の会社の責任」や、「帰宅させた従業員が帰宅途中で被災した場合の会社の責任」などの従業員に対する企業の責任に関する懸念が上位を占めました。
また、通行人や被災者を受け入れる際の備蓄品の不足など、社外の者の受入れに対する関する懸念や、通行人を社屋に入れ設備を毀損した場合の責任に関する懸念なども挙げられました。
東日本大震災から2年が経った今、企業として備えておくべきことを再確認してみてはいかがでしょうか。