2007/02/27

平成19年3月号

派遣社員の事前面接が可能になる?

◆「事前面接」解禁を検討
厚生労働省は、派遣社員の雇用ルールである労働者派遣法を改正し、派遣会社から人材を受け入れる際に企業が候補者を選別する「事前面接」を解禁する方向で検討に入ったようです。
もし実現すれば、企業にとっては候補者の能力や人柄を見極めたうえで派遣社員の受け入れを決められるようになり、雇用の自由度が高まります。派遣会社が選んだ候補者の受け入れを企業が拒否でき、新たな人材を求めることができるようになるのです。

◆現行制度では「事前面接」禁止
現行の労働者派遣法では、派遣社員の定義は「企業から仕事や技能の希望を聞いた派遣会社が人を選び、企業に派遣する雇用形態」とされており、一時的に発生した仕事を片付けてもらう臨時雇用という発想が前提となっています。
しかし、企業が経費削減のために安易に正社員を派遣社員に代えることのないよう、事前面接など派遣労働者を選ぶ行為を禁じています。

◆背景には雇用形態の多様化
ここ数年で雇用形態が多様になり、派遣社員の待遇も改善し正社員との区別がつきにくくなってきたことが、事前面接解禁検討の背景にあります。企業側が「職場の調和を重視するうえでも、どんな人が派遣されるのかわからないのはおかしい」と主張していることも大きな理由の1つです。

◆派遣社員にもメリット
現在でも「顔合わせ会」、「職場見学会」などと称して派遣候補者に事前接触するケースもあるようですが、非公式なため、派遣会社が示した候補者を断りにくいのが実状のようです。
事前面接が認められるようになれば、派遣候補者も職場環境や雇用条件などを具体的にチェックできるといったメリットがあります。しかし、企業が人材を選別する結果、「年齢が高い」、「性格が合わない」などといった勝手な理由で仕事に就けなくなる派遣希望者が出てくる可能性があり、「企業が派遣社員の採用を増やし、正社員採用を減らす」と懸念する声もあります。



1年変形制における年休取得日 通常賃金の計算方法?
◆年休取得日の賃金は?
1年単位の変形労働時間制を導入し、1日の所定労働時間が異なる場合は、年休取得日の賃金として、その日に予定された時間分を支払わなければならないのでしょうか。

◆年次有給休暇に対する賃金の支払方法
年次有給休暇に対する賃金の支払方法としては、次の3種類があります。
1.平均賃金
2.通常の賃金
3.健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額
このうち、どの支払方法によるかは当事者の自由とされています。しかし、あるときは上記1.の方法をとり、別のときは2.の方法をとるなど、社員が年次有給休暇を取得する都度、使用者が恣意的に選択することは認められません。
1.または2.の支払方法をとる場合は、採用した支払方法を就業規則その他これに準ずるものにあらかじめ定める必要があります。また、3.の支払方法をとる場合には、三六協定の場合と同様に過半数労働組合(ない場合には労働者の過半数代表者)と書面協定を結んで、就業規則に定めておく必要があります。

◆「通常の賃金」による支払いの場合
パートタイム労働者などの時間給制による労働者の通常の賃金の計算方法については、「時間によって定められた賃金は、その金額にその日の所定労働時間を乗じた金額」であることが定められています。
また、1年単位の変形労働時間制の場合で、時間給制による労働者の年次有給休暇の賃金を通常の賃金の方法によって支払う場合については、「各日の所定労働時間に応じて算定される」とされています。
したがって、パートタイム労働者が、年次有給休暇を取得した日に4時間の所定労働時間が設定されていれば4時間分の賃金を、6時間の所定労働時間が設定されていれば6時間分の賃金を支払わなければなりません。
一方、正社員のような完全月給制の労働者に対して1年単位の変形労働時間制が実施されているケースでは、年次有給休暇取得日に通常の賃金を支給する場合は、年次有給休暇取得日の所定労働時間が長い場合も短い場合も月給額をそのまま支払うことになります。



「毎月勤労統計調査」2006年分の結果は?
◆賃金について
2006年の1人当たりの平均月間現金給与総額は、規模5人以上の事業場で前年比0.2%増の33万5,522円となりました。
現金給与総額のうち、所定内給与は0.3%減の25万2,810円、所定外給与は2.5%増の1万9,790円、特別に支払われた給与は1.1%増の6万2,922円となっています。物価変動の影響を除いた実質賃金指数は0.6%減と2年ぶりに減少しており、企業業績の好転が賃金上昇に結び付いていない実態を裏付けた格好になりました。
企業規模別にみると、従業員数30人以上の企業が0.8%増となった一方、5~29人では1.1%減となり、小規模企業ほど賃金が抑えられています。

◆労働時間について
2006年の1人当たりの平均月間総実労働時間は、規模5人以上で前年比0.5%増の151.0時間でした。
総実労働時間のうち、所定内労働時間は0.3%増の140.3時間、所定外労働時間は2.6%増の10.7時間となっています。
総実労働時間を就業形態別にみると、一般労働者は0.7%増の170.1時間となり、パートタイム労働者は0.3%減の94.8時間となりました。

◆雇用について
2006年の常用雇用の動きをみると、全体では事業所規模5人以上の事業場で前年比1.0%増え、3年連続の増加となりました。一般労働者は0.9%増、パートタイム労働者は1.4%増です。
パートタイム労働者は残業時間が1.8%増に留まる半面、所定外給与は6.6%伸びています。労働需給のひっぱくにより、時給が上昇傾向にあるためとみられています。
主な産業別にみると、製造業1.0%増、卸売・小売業0.4%増、サービス業1.6%増となっています。