2013/06/01

6月の事務所便り


今年度限定の奨励金!「若者チャレンジ奨励金」のポイント

◆厚労省が始めた3つの事業
 厚生労働省は、今年度から、若年者・非正規雇用労働者の雇用支援策として、次の3つの事業を新たにスタートさせました。

(1)「若者チャレンジ奨励金」
(2)「若者応援企業宣言事業」
(3)「キャリアアップ助成金」
 ここでは、多くの企業が活用できる可能性のある「若者チャレンジ奨励金」についてご紹介します。

◆奨励金の概要
 この「若者チャレンジ奨励金」は、事業主が、35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(OFF-JT)を組み合わせた訓練(若者チャレンジ訓練)を実施した場合に、「訓練奨励金」として受講者1人1月当たり15万円〔最大2年間〕が支給されます。
 さらに、上記の訓練終了後に、訓練受講者を正社員として雇用した場合には、「正社員雇用奨励金」として1年経過時に1人当たり50万円、2年経過時に1人当たり50万円〔合計100万円〕が支給されます。

◆要件の確認が必要
 この奨励金の要件である「35歳未満の若者」「若者チャレンジ訓練」の詳細については、厚生労働省のホームページでご確認ください、
 なお、ここでいう「座学(OFF-JT)」については、自社の従業員が講師を務めても良いこととされている点は、費用の面から見ても大きなメリットと言えます。

◆早めに手続きを行うことが重要
 この奨励金は「平成25年度末(平成26年3月末)」までの時限措置となっています。また、政府の予算の範囲内で支給されるものですので、予算額に達した場合には申請の受付が終了してしまいます。
 申請を検討されている場合は、早めに手続きを行うことが重要です。


今話題となっている「解雇の金銭解決制度」とは?

◆これから議論が本格化?
 最近、「解雇の金銭解決制度」(従業員が解雇されたときに企業が和解金を支払って解決する仕組み)が大きな話題となっています。数年前から議論さていましたが、今年2月の規制改革会議で委員の1人から具体的な提案がなされて以降、議論が活発化してきました。
 政府の産業競争力会議が6月にまとめる予定の「成長戦略」に盛り込まれることは見送られたようですが、今夏に行われる参院選終了後に議論が本格化するとも言われており、企業にとっては注目しておきたいトピックです。

◆ハードルの高い「解雇」
 解雇については、法律で、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」(労働契約法16条)とされています。
 また、判例では、解雇(整理解雇)を行う場合には4つの要件(人員削減の必要性、解雇回避努力の履行、被解雇選定者の合理性、手続きの妥当性)が必要であるとされ、解雇の実施は企業にとって非常にハードルの高いものとなっています。

◆賛成側・反対側の意見
 整理解雇のトラブルが裁判所に持ち込まれ、元従業員が勝訴した(解雇が不当であると認定された)場合、職場復帰が原則となりますが、元の職場に戻るのは現実的には難しいものです。
 そのような場合、「和解金を支払うことでトラブルを解決する(職場復帰させない)のが妥当である」「和解金の相場がわかればトラブルの早期解決につながる」などというのが、制度導入に賛成する側の意見です。
 一方、導入を反対する側の意見には、「『解雇が違法である』と裁判所が認めたのに職場復帰できないのはおかしい」「企業が『お金を払えば解雇できる』と安易に考えやすくなる」などといったものがあります。

◆制度実現には労使双方の合意が不可欠
 この制度の実現には、労働組合や中小企業経営者との調整が焦点となると言われています。どのような制度が企業側・労働者側の双方にとってよいものなのか、ある程度の合意が見られなければ制度の導入は難しいと言えるでしょう。


「マイナンバー法」による会社実務への影響

◆概要と施行後の利用イメージ
 5月9日の衆議院本会議で可決し、翌日より参議院本会議で審議入りしたことから、「マイナンバー法」が今国会で成立する見通しとなっています。
 同法施行後は、国民1人ひとりに「マイナンバー」(以下、「番号」という)が割り当てられ、各種手続きや申請の場面で利用されることとなり、事務の効率化が図られる…というイメージはすでに多くの方がお持ちだと思いますが、実は、すぐにすべての場面で利用されるわけではありません。
 政府・与党の社会保障改革検討本部では、フェーズ1から3まで、段階的に利用範囲を拡大する構想を持っており、フェーズ1では社会保障および税の分野での利用、フェーズ2では幅広い行政分野での利用、フェーズ3では国民が自ら同意した場合の民間サービス等での利用、となっています。

◆給与計算、労働・社会保険に与える影響
 では、給与計算や労働・社会保険の手続実務は、どのように変わるのでしょうか?
 まず、番号は各人に対して居住する市町村から通知されます。施行に伴い各種申請書等には番号を記載する欄が設けられますので、企業は従業員から番号の提供を受け、税務上はその番号を源泉徴収票等の記載欄に記載し、支払調書等提出することとなります。
 なお、企業経営者には経営者個人の番号と法人に割り当てられる番号を紐付けすることにより、課税強化がなされることを心配する声がありますが、このような取扱いは法律で禁じられているため、個人の番号と法人の番号が紐付けされることはありません。
 同様に、労働・社会保険の手続きにおいても申請書等に番号を記載しますが、厚生労働省の資料(「マイナンバー法案に係る厚生労働省関係の業務について」)によれば、傷病手当金支給申請者の所得確認や労災年金支給申請者の他給付の受給状況の確認、未支給となっている失業等給付や年金給付に関する手続き、国民年金保険料の免除申請等、様々な分野での利用が見込まれるだけでなく、添付書類の省略等も予定されています。

◆個人情報保護への影響
 現行の個人情報保護法では、取扱件数が5,000件以下の事業者については個人情報取扱事業者に該当しませんが、マイナンバー法施行後は、これらの事業者についても個人情報取扱事業者と同様の安全管理措置等が求められることとなります。
 そのため、番号をどう管理するか、取扱いができる部署や担当者をどのように制限するか等の社内規程の整備とそれに伴う手続きの制定、また、従業員に対する教育も必要となります。


今年の「年度更新」「算定・月変」の実務上留意すべきこと

◆大臣が定める現物給与の価額の一部改正
 社会保険の保険料は、被保険者の報酬月額および賞与額に基づいて、労働保険の保険料は、労働者の賃金総額に基づいて決定されますが、報酬、賞与または賃金(以下、「報酬等」という)の全部または一部が通貨以外のもので支払われる場合には、その現物給与の価額について、厚生労働大臣がその地方の時価によって定めることとされています
 従来、支店等に勤務する被保険者の現物給付について、本社所在地の価額が適用されていましたが、生活実態に即した価額が望ましいことから、2013年2月4日に平成25年厚生労働省告示第17号が発出され、4月1日以降、実際の勤務地の都道府県価額が適用されています(関連通達として同日発基労徴発0204第2号、保保発0204第1号、年管管発0204第1号「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」参照)。
 この改正による現物給与額の変更は、固定的賃金の変更があったものとみなされますので、「月額変更届」の提出が必要となる場合があり、自社の算定・月変の手続きを行うにあたり注意を要します。
 具体的な現物給与の額は、日本年金機構のリーフレットで「厚生労働大臣が定める現物給与の額」として、2013年4月1日現在のものが掲載されています。

◆年度更新に係る改正点(その1)一般拠出金への充当手続の簡素化
 労働保険料の額が申告済概算保険料額を下回る場合に、次年度の概算保険料や一般拠出金の納付分に保険料を回すことができ、これを「充当」といいます。
 充当には(1)労働保険料のみの充当、(2)一般拠出金のみの充当、(3)労働保険料及び一般拠出金への充当の3パターンがあり、昨年度までは、一般拠出金に充当する場合には、別途還付請求書を管轄の労働局・労基署へ提出しなければなりませんでした。
 この点につき、改正により、「労働保険 概算・増加概算・確定保険料 石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」に充当意思欄が設けられ、当該欄に番号を記載することで還付が受けられるようになり、実務が簡素化されています。

◆年度更新に係る改正点(その2)還付請求書様式のOCR
 労働保険の確定保険料の額が申告済概算保険料の額を下回る場合、労働保険料の還付請求を行うことができますが、請求を受けるには、労働局や労基署に「労働保険 労働保険料 石綿健康被害救済法 一般拠出金還付請求書」を提出する必要があります。
 この還付請求書の様式がOCR化され、従来の様式は使うことができなくなっていますので、還付請求を行う際は注意が必要です。


これからの「介護休業」見直しの重要性

◆「WLB」の意味合いが変化
 これまで“ワークライフバランス”というと、「育児休業を取る人のための…」「私生活を重視したい人のための…」といったイメージで捉えられていたようですが、最近は「介護」についての重要性が強くなってきたようです。
 たしかに、育児・介護休業法が改正された当時(平成21年改正、平成22年施行。平成24年7月から常時100人以下の労働者を雇用する中小企業についても完全施行)、子を持つ社員の休業や子の看護休暇については注目され、企業は規程の変更等に追われました。
 しかし、近年、少子高齢化社会の著しい進展に伴い、親の介護のために休職を余儀なくされる方が増えてきています。そして、団塊世代の高齢化により、2017年には介護を必要とする高齢者数が過去最高になると予測されています。

◆企業の課題は?
 企業としては、育児と介護の大きな違いが、考えなければならない課題の1つになります。大きな違い、それは「介護については終わりが定かでない」という点にあります。子育てについては一定年齢での目処がつきますが、介護については、始まりも終わりもそれぞれの状況により千差万別です。
 製薬大手のアステラス製薬が、ガンなどで余命6カ月以内の宣告を受けた家族を持つ社員に、最長で1年間の休職を認める制度を導入したそうです。休職期間は、1週間~6カ月間で、最大で1年間まで延長できるそうです。
 こうした取組みが今後、他の企業でも注目されるようになるかもしれません。

◆人事制度の見直しも必要に
 こうした介護休業を必要とする社員の増加が見込まれる中、これまでの休業に関する規定を見直すとともに、業務の進め方や人事制度そのものも見直す必要が出てくるでしょう。
 さらに現在、政府で検討している「限定正社員」などの勤務形態の多様化への対応とも併せ、企業は具体的な検討を始める時期に来ているのかもしれません。


今年度から「キャリアアップ助成金」が創設

 ◆有期契約労働者等のキャリアアップを促進
 キャリアアップ助成金は、有期契約労働者等(有期契約労働者および正規雇用の労働者以外の無期契約労働者。短時間労働者、派遣労働者を含む)の企業内でのキャリアアップを支援する事業主を対象として支給される助成金です。
 実施は平成25年度の予算成立後となりますが、重点分野等(健康、環境、農林漁業等)の事業主が実施する人材育成についての助成のみ、前倒しで平成25年1月から実施されています。

◆事業主の業種・規模、対象労働者の年齢は制限なし
 有期契約労働者等(年齢不問)の正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など、事業主(業種不問、事業規模の制限なし)の行う施策ごとにコースが分かれています。
 コースの概要は下記の通りですが、この他にも、対象労働者の状況や企業の行う施策によって助成額が加算・上乗せされる場合もありますので、十分な検討が必要です。

◆コースの内容
 下記の助成額は中小企業のもので、(  )内が大企業のものです。

【正規雇用・無期雇用転換コース】
 …転換の内容により、1人当たり20万円(15万円)~40万円(30万円)

【人材育成コース】
 …Off-JT(1人当たり):賃金助成1時間当たり800円(500円)、経費助成上限20万円(15万円)
 …OJT(1人当たり):実施助成1時間当たり700円(700円)

【処遇改善コース】
 …1人当たり1万円(7,500円)

【健康管理コース】
 …1事業所当たり40万円(30万円)

【短時間正社員コース】
 …1人当たり20万円(15万円)

【パート労働時間延長コース】
 …1人当たり10万円(7.5万円)

◆「人材育成」「雇用管理」見直しのチャンス
 計画的な人材育成は、企業の成長にとって不可欠です。この機会に助成金を活用し、人材育成・雇用管理の見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。


女性の就労支援に一役!
「株式会社の認可保育所参入」が全面解禁

◆成長戦略のための方策
 日本経済の再生に向け、政府は、女性の就労や子育て支援を成長戦略の中核に据えています。この方針を踏まえ、厚生労働省は、認可保育所への株式会社の参入を今月内にも全面解禁する方針を固めました。
 子ども・子育て支援の関連3法が2015年に施行されると、認可権限を持つ都道府県や政令指定都市などは、基準を満たした株式会社の参入を拒否できなくなりますが、同省は、法律の施行前でも株式会社の参入を妨げないよう求める通知を出す予定です。

◆働く女性には朗報
 同省の調査によると、保育所に入所できない待機児童の数は、2012年4月時点で、全国で約2万5,000人にも上ります。
 現在、子どもを預けても働き続けたいと希望する女性が増加傾向にあり、高齢社会で労働力が減ることから女性の労働力が求められているにもかかわらず、子どもを預けることができないために就労のチャンスを失う女性が多いというのが現実です。
 認可保育所への株式会社の参入の全面解禁は、子育てをしながら働き続けたいと考えている女性にとっては、保育の受け皿が増えるという点で、朗報と言えるでしょう。

◆懸念事項に対する取組みも求められる
 とはいえ、セットで検討しなくてはならないテーマもあります。
 株式会社の参入自体は2000年から認められていますが、現在、株式会社が経営する保育所の数は、全体の1.6%にとどまっています。これは、企業の経営状況により保育所の存廃が左右されかねないというリスクに加え、保育の質に対する懸念も根強くあるために、認可に慎重な自治体が多かったためです。
 今後、「待機児童ゼロ」が近づくにつれて顕在化すると考えられる定員割れにより事業者が撤退した場合に、通園していた園児を救済する仕組みの構築、さらに、保育の量と質を両立させるための取組みが求められます。


進まない「がん経験者の就労支援」
今後求められる取組みは?

◆がんの治療と仕事「両立困難」
 2013年1月の内閣府「がん対策に関する世論調査」で、「がんの治療と仕事の両立は難しい」(がんの治療や検査のため2週間に1回程度通院する必要があるとした場合に、働き続けられる環境にない)と感じる人が約7割いるという調査結果が出ました。
 2012年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」では、働く世代への支援を柱の1つとしていますが、いまだに不安を持つ人が多いという実態が浮き彫りになっています。

◆治療と仕事の両立を阻害する要因
 治療と仕事を両立するためには、職場の理解と協力が不可欠です。しかし、必ずしも、がんに対して理解がある職場ばかりではありません。
 治療と仕事をめぐってよくある事例として、「治療が必要である場合には企業が復職を認めない」というものがあります。外来で治療を行う場合には、人によっては、治療時間を確保できれば仕事を続けることが可能ですが、企業側にこの点の理解がないと、労働者は仕事を続けたいのにできないということになってしまいます。また、職場への復帰イコール完治、とみなされて、多大な業務負荷を課され、苦労する場合もあります。
 一方、企業側としても、「具体的にどんな配慮をすればよいかわからない」などといった事情があります。

◆両立実現に向けた支援の取組み
 多くの場合、必要な情報を得ることができれば、企業側も支援策を講じることができ、両立に向けての取組みを行うことができます。例えば、治療方法や治療期間、予想される状態や副作用、禁忌事項などの情報を、労働者から伝えてもらいます。
 また、一部の企業では、治療時間を確保するために有給休暇の取得方法を半日単位、時間単位にしたり、取得可能上限日数を増やしたりする対応もすでに行っています。
 2人に1人ががんに罹患し、働く世代の罹患率も高くなっている現在、がん罹患後も必要な治療を受けながら安心して働き続けることのできる仕組みの整備が望まれます。


企業における「Facebook」活用の実態

Facebookの活用法とその効果
 企業が簡単に導入することができるFacebookですが、実際にどのように活用しているのか、利用して効果があったのか、気になるところです。
 そこで、実際に仕事でFacebookを利用したことがある方を対象に、以下の調査が行われました。

◆約半数が「キャンペーンとして活用」
 株式会社SALが実施した「ビジネスに関するFacebook活用調査」(2059歳の全国の男女300人が対象)によると、「Facebookをどんな内容で活用しているか」という問いに対し、「キャンペーンとして活用」との回答が約半数(49.7%)を占めたことがわかりました。
 次いで、「お知らせを配信」(38.7%)、さらには「社員、スタッフのブログとして活用」(20.3%)、「新サービスの告知」(19.3%)と続いています。

◆うまく活用できたのは約半数
 キャンペーンや新サービスの告知のためにFacebookを利用した方に、「それらを使ったキャンペーンや告知は成功したか」と聞いたところ、「成功した」が55.4%で、「失敗した」(44.5%)を僅かに上回りました。そんなに簡単には成功といかないようです。

◆成功しなかった要因は?
 次に、「成功しなかった要因」について尋ねたところ、「『いいね』を集めることができず、情報拡散ができなった」が56.8%を占め、「運用が片手間になってしまった」(39.2%)、「スマートフォンユーザーを取り込めなかった」(14.9%)と続きました。
 Facebookは、「いいね」を集めることにより情報がユーザーに拡散されていく仕組みですので、「いいね」を集められなかったということは、企業が伝えたい情報が効果的に拡散できなかったと言えます。
 勢いで始めたものの運用にかける時間がなくなり片手間になってしまったことや、ユーザーがスマートフォンであるためにうまくやりとりが出来なかったことを要因に挙げる方も多くいました。
 FacebookをはじめとしたSNSによる情報発信は、ただ利用するだけではなかなか効果は得られず、上手な活用法を探し出すことが重要なのかもしれません。


大学医学部が職場のメンタルへルス対策を支援

◆精神科医・臨床心理士が職場復帰をサポート
 慶応大学医学部が、今年6月をめどに事業・研究拠点となる「ストレス研究センター」を設置し、契約した企業のメンタルヘルス対策を支援するとの報道がありました。
 精神科医とチームを組む臨床心理士が企業に常駐し、様々なサービスを提供するとのことです。

◆企業におけるメンタルへルス不調者の実態
 厚生労働省が実施した平成 23年「労働安全衛生基本調査」の結果によると、メンタルヘルス不調が原因で1カ月以上休職や退職した労働者のうち職場復帰できた労働者は53.8%となっています。
 なお、労働者や管理監督者への教育研修・情報提供などのメンタルへルスケアに取り組んでいる事業所の割合については43.6%となっています。
 ケアに取り組んでいない理由としては、「必要性を感じない」(48.4%)が最も多く、「専門スタッフがいない」(22.1%)、「取り組み方がわからない」(20.1%)と続いています。

◆職場復帰に向けた具体的な対策が必要
 この調査結果を見ても、職場のメンタルへルス不調者に対して具体的な対策を行っていない企業は多いようです。
 同大医学部は、企業に精神科医2名と臨床心理士3名のチームを派遣し、精神科医2名は週2回ずつ企業で勤務し、臨床心理士は常駐させるなどして、休職した社員の職場復帰を支援するそうです。
 具体的には、休職中の社員と面談し、仕事に復帰できる状態かどうかを判断したり、復帰する社員に合わせた勤務時間や業務内容などの就業プログラムを作成したりするとのことです。

◆相互のメリットも
 同大医学部では、すでに2009年度から大手電機メーカー1社と契約しており、拠点設置で事業を広げるそうです。企業は精神科医らの手厚い支援を受けることで社員の早期職場復帰やうつ病対応が期待でき、大学側は企業の了解を得てメンタルヘルスに関するデータを集め、うつ病の治療や予防の研究に役立てることができるため、お互いにとってメリットがあるとのことです。