2005/12/01

平成17年12月号

派遣?請負?

書類上、形式的には請負(委託)契約であるにもかかわらず、実態は労働者派遣であるものを「偽装請負」と言い、違法です。
その理由は、労働者派遣法等に定められた派遣元(受託者)・派遣先(発注者)の様々な責任が曖昧になり、労働者の雇用や安全衛生面など基本的な労働条件が十分に確保されないという事が起こりがちだからです。
請負とは、「労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法)」ですが、派遣との違いは、発注者と受託者の労働者との間に指揮命令関係が生じないということがポイントです。自分の使用者からではなく、発注者から直接、業務の指示や命令をされるといった場合には、偽装請負である可能性が高いと言えます。
偽装請負の代表的なパターンは、「代表型」、「形式だけ責任者型」、「使用者不明型」、「一人請負型」の4つです。
「代表型」とは、請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしています。これが最も多いパターンです。
「形式だけ責任者型」とは、現場に形式的に責任者を置いていますが、その責任者は、発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけで、発注者が指示をしているのと実態は同じです。単純な業務に多いパターンです。
「使用者不明型」とは、業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bは別の業者Cに請けた仕事をそのまま出します。Cに雇用されている労働者がAの現場に行って、AやBの指示によって仕事をします。つまり、労働者が誰に雇われているのか良く分からないというパターンです。
「一人請負型」とは、実態として、業者Aから業者Bで働くように労働者を斡旋します。ところが、Bはその労働者と労働契約を結ばず、個人事業主として請負契約を結び業務の指示、命令をして働かせるというパターンです。
請負で働かせる場合、雇用形態について疑問を持ったときは、私共社会保険労務士にご相談ください。

名刺大の小冊子でできること

名刺大の小冊子に、経営理念をまとめている会社があります。毎年1月1日に発行して、社員全員胸ポケットに入れています。取引先や出入り業者の方にお配りすることもあります。
小冊子は、社長の思いに始まり、社長の使命宣言、経営理念、経営ビジョン(我が社のあるべき姿・我が社の目標)、会社の使命・目的、信条(クレド)、事業領域、価値観、教育理念(職業観・人生観・人間観)、人事理念、会社の行動指針、日常の心構え、営業の心得、今年の合言葉で終わります。
社長の思いでは、社長の事業に賭ける思いを率直に綴っています。以下に引用します。
「私は28歳で職業として○○に出会い、今年で15年になります。この15年間、1つの○○で数多くの人々と出逢いをもちました。1つの○○を通じて、お付き合いをいただき、なおかつ学ばせていただけることに感謝の気持ちでいっぱいであります。」「私は、○○を伝統文化の一つととらえ、社会に広めてゆきたいと思います。」
社長の使命宣言は5つありますが、3番目に「適正な利益をいただき、社員の豊かさと、より良い商品開発・設備投資にむけ、お客様に還元します。」を挙げ、売上至上主義ではなく適正利益第一主義を宣言しています。
経営理念は、「CREAN&HEART 信頼と真心をおとどけしよう」です。社長の思いを凝縮したものです。
事業領域では、「私たちは、○○地区を事業展開地域と考えています。私たちは、毎日・または週3便お届けする新鮮な○○とともに、お店で必要な外食産業用資材を多品種・小ロットで必要な分量のみお届けします・弊社がお店のバックヤードとなります。私たちのネットワークが、お客様をきめ細かくサポートできることを目指します。」と、営業地域・業務内容を明確にしています。この事業領域で、従業員が目指すべきこと、判断基準を具体化しています。
価値観の冒頭では、「私たちは、法令・倫理を犯してまで、利益を追求することはいたしません。」と法令遵守を強調しています。
今年の合言葉は、「守る」です。以下に引用します。
「やらなければならないことは必ずやる。そして、必ずやらせる。やってはいけないことは、絶対やってはいけない。絶対やらせてはいけない。」
名刺大の小冊子でできることは、成果主義賃金制度やコンピテンシーよりも、ずっと大きいかもしれません。

【トピック】
●時間単位の有休 制度化へ
有給休暇を時間単位で取得できるようにするための改正法が2007年の通常国会に上程され、2008年にも導入されることになりそうだ。時間単位の取得日数に上限を設けるなどして、1日単位での取得ができなくなることのないよう検討する。なお、国家公務員は現在すでに時間単位での有休休暇制度を導入している。

●短時間労働者の残業に割増賃金
厚労省は、短時間労働者が契約時間を超えて労働した場合、それが法定時間以内でも割増賃金(5?10%程度)を支払わなければならないとする仕組みを導入する方針だ。労働契約法の制定とあわせ、2007年通常国会への上程を目指す。ただし、今後経営者側の反発は必至。