2005/10/01

平成17年10月号

接待ゴルフも仕事のうち?

最近では不況の影響で接待ゴルフも減っているといわれますが、週末の接待ゴルフは休日が
つぶれる上に、得意先とのプレーは気を遣うことも多く大変のようです。会社が代休や休日出勤手当の対象としてくれるならいいのですが、社員が要求した場合に認められるでしょうか?
◆休日の接待ゴルフは労働時間ではない
休日の接待ゴルフは、原則として労働時間とはなりません。接待ゴルフの参加が業務の遂行に必要な行為であっても、それはあくまでも付随的なものであり、業務遂行そのものではないため、休日労働と認められることはまずないでしょう。これは、相手に招待された場合だけでなく、業務命令で参加した場合や、会社がゴルフの費用や旅費を負担して休日にゴルフコンペを開催した場合も同様です。
◆例外的に認められる場合もある
接待ゴルフが勤務として認められるためには、いくつかの条件が必要となります。上司の特別な命令があり、そこで具体的で重要な商談を行うなどの業務を伴い、プレー代も会社が負担する場合です。取引先との価格の折衝など重要な交渉の細部を詰めながらプレーするといった場合に勤務となり得る場合があります。
また、ゴルフコンペの準備、進行、接待、送迎など幹事役を上司の業務命令で行った場合は、それが主たる業務である場合は休日労働扱いとなり、会社が休日割増賃金を支払うことが必要となることもあります。
◆ゴルフ後の宴会は?
ゴルフ後の宴会も通常は、勤務とは認定されないでしょう。ゴルフが実際には重要な交渉で、その後の宴会が事実上の「会議」となるというような特別な事情がない限り、ゴルフの後の宴会も業務と認められることはないでしょう。


社員旅行に行かなければ積立金は?

社員の交流を図ったり、結束を強めたりする目的で、毎年、社員旅行に出かける会社も多いと思います。社員旅行のために、月々の給料から天引きで積立てをしている会社もあるでしょうが、もし社員旅行に行かなかった社員から積立金の返還を求められた場合、積立金は返さなければならないのでしょうか?
◆請求があれば返金すべき
労働基準法に社内預金に関する規定があり、利用目的を旅行に限定している場合でも、会社が社員から徴収し、管理する資金という点では、社員旅行の積立金も社内預金の一種と見られています。そのため、社員から要求があった場合、会社は遅滞なく返金する必要があります。
ただし、直前のキャンセルなどで宿泊施設のキャンセル料が発生した場合などは、その社員に現金で請求することができます。
◆給料から天引きする場合
積立金を給料から天引きする場合には、会社には労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結する必要があります。もし、労使協定なしに天引きすれば、違法な社内預金となるため、法定利率を付け、社員の不利益にならないように返金しなければなりません。
◆親睦会費の積立金は
親睦会費などの名目で積立てをしている場合、あらかじめ規約で「旅行に参加しなかった場合、積立金は返還しない」旨を定めておけば、原則返金する必要はありません。規約に定めていない場合には、旅行の準備などの活動経費を差し引いた分を欠席した社員に返却しないと民法上の不当利得に当たる可能性もあるので注意が必要です。
親睦会費か社内預金かは、名称ではなく実態に即して判断されます。親睦会費と称していても会の実態がなかったり、親睦会は存在していても活動の実態がなく社員旅行目的の積立てを行っていたりすれば社内預金と解され、返還の請求があれば返金しなければなりません。


【トピック】
●製造業への派遣事業所を集団指導/大阪労働局
 大阪労働局は29日、派遣・業務請負の適正化に向け、製造業務への労働者派遣を行う191の事業所に対して集団指導を行った結果を発表した。83の事業所で問題点が発見され、改善を指導。製造業務への労働者派遣と業務請負の両方を行っている28の事業所で、契約上は請負としながら、実際には指揮命令を伴う労働者派遣を行っていた。

●労災未加入事業主の罰則強化
 厚生労働省は11月から、業務上のけがや病気を補償する労災保険に未加入の事業主に対し、罰則を強化する。労働基準監督署の加入指導を受けても保険料を払わない事業所で労災が起きた場合、労働者への保険給付額の4割を強制徴収していたものを全額徴収に改めるほか、指導を受けていなくても、一定期間以上、加入手続きをしなければ強制徴収の対象とする。厚労省は未加入事業所は全国で約54万に上るとみており、罰則強化で減少を狙う。