2011/05/12

5月の事務所便り

 企業における「手当」支給の実態

 ◆厳しい経済状況下における「手当」の扱い
みずほ総合研究所から、「社員の手当」に関するアンケート調査の結果が発表されました。このアンケートでは、厳しい経済状況下において、多くの企業で「社員の手当」にシビアになっている様子がうかがえます。
この調査は、同社の会員企業に所属する役職員24,015 名を対象に実施され、779 人が回答を行いました。

 ◆多くの企業に「手当」が存在
まずは、各手当の存在についてですが、「自社に制度として存在する」と回答した人の割合は、次の通りでした。
・「通勤手当」…96.8%
・「役付手当」…83.2%
・「出張手当」…82.7%
・「家族手当」…72.1%

 ◆「厳格化・削減等」の割合は?
次に、最近3年以内における各手当の支給条件について尋ねたところ、「厳格化・削減等」を実施した割合は次の通りでした。
・「出張手当」…14.1%
・「役付手当」…6.6%
・「家族手当」…5.5%
・「通勤手当」…5.1%
削減の理由としては、上位から、「経費削減の一環」「社員の処遇の平等化」「給与への一本化」「賞与への反映」「支給対象者の増加」などとなっています

 ◆各企業が何を重視していくか
上記4つの手当以外に、ここ3年で廃止・縮小された手当は、上位から「資格手当」「営業手当」「住宅手当」「単身赴任手当」「特殊勤務手当」「皆勤・精勤手当」「地域手当」「国内赴任手当」「灯油手当」「技能手当」「海外赴任手当」「地方手当」などとなっています。
今後も、多くの企業において、仕事・業務とは無関係な手当についてはさらに廃止・削減の方向に向かうかもしれませんが、各企業が何を重視するか良く考え、社員のモチベーションアップにつながるような手当支給の仕方が必要なのではないでしょうか。


 最も多い転職理由は「会社の将来性が不安」

 ◆3年連続で「会社の将来性が不安」が最多
株式会社インテリジェンスから、「転職理由調査(2011年上期版)」(転職希望者16,914人が回答)の結果が3月上旬に発表されました。
転職理由として「会社の将来性が不安」が3年連続で最多となりましたが、業種によって転職理由に特徴があるようです。

 ◆転職理由のトップ10
全体の転職理由トップ10は、次の通りです。
(1)会社の将来性が不安(12.8%)
(2)他にやりたい仕事がある(11.4%)
(3)給与に不満がある(8.0%)
(4)専門知識・技術を習得したい(5.9%)
(5)残業が多い・休日が少ない(5.0%)
(6)倒産・リストラ・契約期間満了(4.7%)
(7)業界の先行きが不安(4.2%)
(8)幅広い経験・知識を積みたい(4.1%)
(9)市場価値を上げたい(2.9%)
(10)U・Iターンしたい(2.6%)

 ◆割合が増えている転職理由は?
前述の通り、トップは3年連続で「会社の将来性が不安」でしたが、前回調査に比べ1.9ポイント減少しています。
逆に、「他にやりたい仕事がある」「給与に不満がある」「残業が多い・休日が少ない」「業界の先行きが不安」と回答した人の割合は増えています。

 ◆業種別に見るとどうか
業種別に見てみると、「IT・通信・インターネット」では、「専門知識・技術を習得したい」が、全体の平均値を2.6ポイント上回る8.5%でした。また、「幅広い経験を積みたい」や「市場価値を上げたい」なども高い割合の回答率です。つまり、他の業種に比べて、スキルアップを志向する社員の方が多いようです。
また、「メーカー」では、「U・Iターンしたい」が他業種に比べ多くありました。これは、「都心から離れた工場勤務の人が多いためではないか」と分析されています。
そして、「メディカル」では、「業界の先行きが不安」、「金融」では「顧客のためになる仕事がしたい」、「メディア」では「残業が多い・休日が少ない」と回答した割合が他業種に比べて多くなっています。


 健康寿命を延ばすための
 「スマート・ライフ・プロジェクト」とは?

 ◆今年2月にスタート
厚生労働省は、今年2月に、「Smart Life Project(スマート・ライフ・プロジェクト)」を開始すると発表しました。
このプロジェクトは、「より多くの国民の生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすこと」を目的としているそうです。果たしてどのようなプロジェクトなのでしょうか。

 ◆プロジェクト開始の背景
厚生労働省によれば、「世界有数の長寿国となったわが国が、今後めざすべき方向は、単なる長寿ではなく『健康寿命(=日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間)』を延ばすことにある」とのことです。
そこで、政策の重点を「予防」へと移し、国民の健康寿命を延ばすため、主に生活習慣病の予防を目的とした「すこやか生活習慣国民運動」を平成20年度から実施し、「適度な運動」「適切な食生活」「禁煙」を推進してきました。

 ◆プロジェクトの概要
上記の「すこやか生活習慣国民運動」をさらに普及、発展させるため、 幅広い企業連携を主体とした取組みとして立ち上げられたのが、この「スマート・ライフ・プロジェクト」なのです。
厚生労働省では、本プロジェクトにおいて「適度な運動」「適切な食生活」「禁煙」の取組みを推進するため、プロジェクトのネーミングとロゴを作成し、今後、企業・団体と連携しながら、統一したメッセージを発信していくとしています。

 ◆具体的な活動内容は?
具体的な活動としては、公式WEBサイト(http://www.smartlife.go.jp)がすでに開設され、プロジェクトの趣旨に賛同する企業・団体に、その社員や職員の健康意識向上につながる啓発活動を行ってもらい、また、企業活動を通じて、より多くの人々の健康づくりの意識を高め、行動を変えるよう働きかけてもらうそうです。
すでに、100を超える民間企業・団体(社団法人、財団法人、NPO法人、健康保険組合等)・社労士事務所などが登録を行っているようです。積極的に「社員の健康づくり」に取り組みたいという企業の方は、ぜひ登録してみてはいかがでしょうか。


 これからどうなる?
 年金の「第3号被保険者不整合記録問題」

 ◆問題発生の経緯
サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である「第3号被保険者」(専業主婦など)について、本来必要とされる「第1号被保険者」への変更届出を行わなかったために、自分の年金記録と実態との間に“不整合”を生じている方が非常に多く(数十万人、場合によっては数百万人)発生している可能性があると推計されています。
これらの方への対応については、いったんは厚生労働省から「運用3号」と言われる特例通知が出されましたが、マスコミ報道でも大きく取り上げられた通り、「不公平である」「正直者がバカを見る」と批判され、この通知は廃止されました。

 ◆厚生労働省に特別部会設置
この問題を抜本的に解決するため、厚生労働省に特別部会が設けられ、現在、解決の方策が話し合われています。
果たして、国民が納得するような“抜本的な解決”を図ることができるのか、まだまだ不透明だと言えますが、現在、法律改正(国民年金法の改正)を目指す方向で動いているようです。

 ◆法改正案の内容は?
 現在検討されている法改正案の主な内容は、次の通りです。
(1)受給資格期間の特例創設(いわゆる「カラ期間」の導入)
(2)カラ期間となった期間への特例追納の実施
(3)特例追納における分割納付、追納保険料の設定

 ◆納得できる制度改正を
 ただでさえ「難しい」「複雑すぎる」と言われる年金制度ですが、保険料をきちんと支払った人が納得できるような制度改正が行われることが望まれています。


 個人事業主と「労働組合法における労働者」

 ◆相次いで出された判決
先日、「労働組合法における労働者」に該当するか否かをめぐる注目すべき判決が相次いで出されましたので、以下にご紹介します。

 ◆業務委託契約・出演契約の性質
1つは、「住宅設備のメンテナンス会社と業務委託契約を結ぶ個人事業主」に関するもの、もう1つは「劇場側と出演契約を結ぶ音楽家」に関するものでしたが、最高裁判所は、個人として働く人の権利を重視して、いずれについても「労働者に該当する」との判断を示しました。
いずれの訴訟でも、一審・二審では、「労働組合法における労働者」とは認められていませんでした。

 ◆「労働組合法における労働者」とは?
一般に、「労働組合法における労働者」とは、賃金・給料等の収入を得て生活する人のことを言います。
そして、「労働組合法における労働者」であると認められれば、憲法で保障する「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」の3つの権利が認められ、非常に大きな意味を持ちます。 
例えば、「団体交渉権」が認められれば、労働組合が使用者と交渉することができ、使用者が正当な理由なく労働組合代表者との交渉を拒んでしまえば、いわゆる「不当労働行為」に該当することとされてしまいます。

 ◆今後、企業が注意すべき点は?
企業が経費削減等の理由から外注化を進めていることにより、個人事業主が増えている状況において、今回の判決が、上記のような個人事業主と音楽家が「労働組合法における労働者」に該当すると認めたことには、大きな意味を持ちます。
もちろん、裁判となった事件にはそれぞれ異なる背景・経緯がありますが、今後、同様の働き方をしている人、会社と業務委託契約を結んで働いている技術者やドライバーなどが「労働組合法における労働者」と認められる可能性はあると言えます。
今後、企業においては、業務委託契約を結ぶ等する際には、上記の裁判例を参考に、慎重を期する必要があると言えるでしょう。


 4月からの社会保険関係の制度改正

 ◆「協会けんぽの保険料率」の改定
協会けんぽにおける保険料率が、平成23年4月給与天引き分から、全国平均で9.50%(従来は9.34%)に引き上げられています。
保険料率の高い順にならべると次の通りです。最も高いのは、北海道、佐賀県の「9.60%」、最も低いのは「長野県」の9.39%となっています。
・9.60%:北海道、佐賀県
・9.58%:福岡県
・9.57%:香川県、大分県
・9.56%:大阪府、徳島県
・9.55%:岡山県、高知県、熊本県
・9.54%:秋田県、山口県
・9.53%:広島県、長崎県
・9.52%:石川県、兵庫県、奈良県
・9.51%:青森県、和歌山県、島根県、愛媛県、鹿児島県
・9.50%:宮城県、福井県、岐阜県、京都府、宮崎県
・9.49%:神奈川県、沖縄県
・9.48%:東京都、愛知県、三重県、滋賀県、鳥取県
・9.47%:福島県、栃木県、群馬県
・9.46%:山梨県
・9.45%:岩手県、山形県、埼玉県
・9.44%:茨城県、千葉県、富山県
・9.43%:新潟県、静岡県
・9.39%:長野県

 ◆「出産育児一時金制度」の見直し
出産育児一時金の支給額は、引き続き「原則42万円」となっていますが、直接支払制度を継続したうえで、小規模施設などでは「受取代理」(妊婦などが、加入する健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行う際、出産する医療機関等にその受け取りを委任することにより、医療機関等へ直接出産育児一時金が支給される)が制度化され、窓口での負担軽減が図られています。

 ◆在職老齢年金の支給停止基準額の改定
在職老齢年金の支給停止の基準額について、「47万円」が「46万円」に改定されました。
なお、支給停止の基準額は、賃金の変動などに応じて自動的に改定される仕組みとなっており、平成23年度については、平成22年の名目賃金の下落(マイナス2.0%)により、「47万円」が「46万円」に引き下げられました。


 大震災発生に伴う人事・労務への影響

 ◆東京経営者協会による緊急調査
東京経営者協会では、東日本大震災などの発生を受け、3月23日~28日に「東北地方太平洋沖地震による人事・労務への影響に関する緊急アンケート」(同協会の会員企業110社が回答)を実施し、3月31日にその結果が発表しました。
企業の人事・労務においても、多大なる影響が出ています。

 ◆ほとんどの企業が「影響あり」
まず、今回の大震災で「影響を受けた」と回答した企業は94.5%に上りました。
影響を受けた内容としては、多い順に「直接の被災または間接的な原因のため操業・営業時間の短縮、または操業・営業規模の縮小」(57.7%)、「直接の被災または間接的な原因のため操業・営業停止」(28.8%)、「直接の被災により操業・営業が不能」(19.2%)となりました。
なお、上記の「間接的な原因」とは、取引先・納入先の被災、計画停電等のことを指しています。

 ◆勤務体制への影響
次に、従業員に対し勤務体制等何らかの措置を「講じた」と回答した企業は93.3%でした。そのうち、77.3%が「時差通勤(遅い出勤、早帰り)を認めた」、75.3%が「自宅待機をさせた」としています。
そして、「自宅待機をさせた」企業のうち80.8%が、「給与を減額せず100パーセント支給した」としています。

 ◆直接的・間接的な影響
その他、入社式の縮小・延期・中止や、採用活動の延期などのニュースも新聞・テレビ等で報じられています。また、震災の影響は、人事・労務の分野にとどまりません。
被災された地域の企業等においては、「影響を受けた」というレベルで語れる状況でないことは言うまでもありませんが、間接的な影響を受けた企業も非常に多いことが、上記の調査結果からも明らかになったと言えます。


 被災者の就労支援・雇用創出と雇用調整助成金

 ◆プロジェクト第1段階
東日本大震災などの発生を受け、政府が設置した「被災者等 就労支援・雇用創出推進会議」は、被災者の就労支援、雇用創出を促進するため、「『日本はひとつ』しごとプロジェクト」第1段階(フェーズ1)を発表しました。
まずは、復旧事業などによる被災者への就労機会の創出や被災地企業・資財の活用、希望する被災者が被災地以外の地域で就労可能とすることなどを実施する考えです。

 ◆主な施策内容
(1)ハローワークを活用した被災者向けの求人確保ときめ細かな就職支援
(2)雇用調整助成金制度の拡充
(3)3年以内の既卒者を採用する企業への奨励金(被災地に居住する方を採用した場合120万円を支給(従来は100万円))をはじめとする助成金の拡充
(4)震災被害者への失業手当の特例支給
(5)地域障害者職業センターにおける障害者の雇用継続のための特別相談の実施等

 ◆雇用調整助成金の拡充
上記(2)の雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を一時的に休業などさせた場合に、休業手当相当額の一部(中小企業で原則8割)を助成する制度です。
震災被害に伴う経済上の理由により事業活動が縮小した場合、この雇用調整助成金が利用でき、さらに、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、長野県、新潟県の9県のうち、災害救助法適用地域にある事業所については、次の(A)~(C)の通り、支給要件が緩和されます。
(A)今回の地震に伴う「経済上の理由」により、最近1か月の生産量、売上高などがその直前の1か月、または前年同期と比べ5%以上減少していれば対象となる。
(B)平成23年6月16日までの間については、災害後1か月の生産量、売上高などがその直前の1か月、または前年同期と比べ5%以上減少する見込みである事業所も対象となる。
(C)平成23年6月16日までの間に提出された「計画届」については、事前に届け出たものとして取り扱う。

 ◆その他の特例適用
なお、「9県の特例対象地域に所在する事業所などと総事業量の3分の1以上の経済的関係(取引関係)がある事業所の事業主」と「計画停電の実施地域に所在し、計画停電により事業活動が縮小した事業主」については、上記の(A)(B)が適用されます。


 国民健康保険加入者の高齢者割合が上昇

 ◆厚生労働省の調査結果
厚生労働省の調査によると、自営業者や退職後の年金生活者などが加入する「国民健康保険」の加入者のうち、高齢者(65~74歳)の割合が2020年度に37%と4割に迫る見通しだそうです。
2009年度は31%でしたが、1947~1949年生まれのいわゆる「団塊の世代」の加入が相次ぎ、高齢者の占める割合が過去最高となるようです。

 ◆国民健康保険とは?
国民健康保険は、市町村が運営する健康保険制度で、加入者は約3,600万人です。もともとは自営業者や農家のための健康保険でしたが、最近では年金生活者やフリーターなどの無職者の加入割合が4割近くとなっています。
2008年4月に「後期高齢者医療制度」(75歳以上が加入)が導入され、75歳以上の国民健康保険加入者がそちらに移ったため、医療費の支出が減り、国保の財政は一時的に好転しました。
しかし、今後は団塊世代の加入で再び財政悪化が心配されています。

 ◆約5割の国民健康保険は赤字
健康保険制度には、65~74歳の人の加入が集中することにより国民健康保険の財政が悪化することを防止するため、健康保険組合など他の健康保険と医療費の負担を調整する仕組みがあります。
ただし、所得が少ない高齢者の割合が増えれば、国民健康保険の保険料収入が目減りし、財政は次第に厳しくなる可能性が高まります。

 ◆苦境に陥る市町村
厚生労働省では、国民健康保険の運営が厳しくなると考え、改善策を検討しています。その1つが2014年3月以降に予定されている、新しい高齢者医療制度の導入です。運営主体を市町村から都道府県に広げることで、財政基盤の安定化を狙っています。
もう1つが70~74歳が病院窓口で支払う医療費の負担割合を、「原則1割」から2013年度以降は段階的に「原則2割」に引き上げるというものです。
財政運営が行き詰る市町村が続出する心配が増える中、政府は早急に抜本的改革に取り組む必要があります。


 災害発生時に活用できる公的支援制度

 ◆生活を支え、暮らしを立て直すために
今回のような大震災・大災害が発生した場合、被災者の生活を支え、少しでも早く暮らしを立て直すために、様々な公的支援制度を活用することが考えられます。
公的支援を受けるためには申請が必要となるため、知らないと活用できないままになってしまいます。被災地以外の方も、いざというときのために頭に入れておきたいものです。

 ◆「生活資金」と「住宅再建」
被災してまず困ることとして、生活資金の工面が挙げられますが、生活資金を国が無利子で貸してくれる「生活福祉資金(緊急小口資金)」を利用することができます。
本来は低所得者向けの制度ですが、今回の大震災に伴う特例で、被災者は、所得に関係なく原則として10万円以内(世帯内に死亡者や要介護者がいる場合等は20万円)まで融資が受けられるようになりました。
また、災害が起こった際に重要な問題となるのは住宅再建です。阪神・淡路大震災を契機に作られた「被災者生活再建支援制度」では、住宅の被害状況や再建方法に応じて、最大で300万円まで支給されます。

 ◆社会保険制度の活用も
その他、社会保険制度の活用も重要です。健康保険では、怪我などで働けない場合に最長1年6カ月間、傷病手当金として収入の3分の2が支給されます。地震に伴う怪我なども対象となり、また、要件を満たせば遺族年金や障害年金などの支給対象にもなります。
業務中・通勤中の怪我などが対象の労災保険は、原則として自己負担なしで治療が受け続けられるなど、補償が手厚い制度です。ただし、業務との因果関係が必要なため、「地震が原因であれば対象外」と思われがちですが、仕事中に地震による建物倒壊などで被災した場合も、仕事の環境がもともと危険だったとして労災が適用された事例が過去に多くあります。

 ◆労災保険に関するQ&A
厚生労働省は、「仕事中に地震や津波に遭い、ケガをされた(死亡された)場合には、通常、業務災害として労災保険給付を受けることができます」などとする労災保険に関するQ&A(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000169r3.html)を発表し、また、労災認定を行う都道府県の労働局に対し「天変地異による災害なら業務起因性がないといった予断をもたないように」といった注意を促しています。
公的支援制度も、被災直後の当事者は考える余地がないことが多いので、周りの方が制度を理解したうえで、アドバイスしてあげることも必要です。