2012/12/01

12月の事務所便り


最近の労働裁判からピックアップ

◆たばこの煙で安全配慮義務違反?
 仕事中の受動喫煙が原因で病気になったとして、岩手県の職員男性が同県に対して損害賠償(約890万円)などを求めて訴訟を起こしていましたが、盛岡地裁は請求を棄却しました(10月5日判決)。
  この男性は2008年1月ごろ公用車を運転した際、車内におけるたばこの煙が原因となって、鼻の痛みや呼吸困難が発生し、同年4月に「化学物質過敏症」と診断され、その後、2009年7月までの約1年間休職となりました。
 裁判では、県が「公用車の少なくとも1台を禁煙車にしなかったこと」が、安全配慮義務違反となるかどうかが争点だったようですが、裁判長は「男性が呼吸困難を発症した2008年当時、残留たばこ煙にさらされないようにすべきだとの認識は一般的ではなかった」とし、安全配慮義務違反には該当しないと判断しました。

◆エンジニアの死亡は過労によるものか?
 システム開発会社(本社:東京都)のエンジニアだった女性が死亡した原因は過労にあったとして、女性の両親が元勤務先に対して損害賠償(約8,200万円)を求めていましたが、福岡地裁は過労死と認め、約6,820万円を支払うよう命じました(10月11日判決)。
 この女性は1998年に入社して福岡事業所に勤務し、2006年からシステム改修のプロジェクトに携わり、午前9時から翌日の午前5時まで働くこともあったそうです。2007年3月に自殺を図った後に職場復帰をしましたが、同年4月、出張先のホテルで致死性不整脈のため死亡しました。
 裁判長は、2007年2月の時間外労働時間が127時間を超え、プログラム完成などの精神的緊張もあったとして、死亡と業務との因果関係を認めました。

◆契約更新拒否は解雇権の濫用か?
 空調機器会社(大阪市)の元期間従業員4人が、有期雇用契約に上限を定めて契約更新を拒否されたのは解雇権の濫用であるとして、元勤務先に対して地位確認などを求めていましたが、大阪地裁はこの請求を棄却しました(11月1日判決)。
 当初、4人は請負社員として勤務(6~18年間)していました。大阪労働局が2007年12月に「偽装請負」であるとして是正指導を行い、会社は2008年3月に4人を正社員として雇用(期限付き)しましたが、2010年8月末以降の契約を更新しませんでした。
 裁判長は「解雇の手続きを踏まずに期間満了によって契約が終了する点に着目して有期雇用契約を申し込んだにすぎず、解雇権濫用とはいえない」と判断しました。


高年齢者雇用の状況と改正法施行後の高齢従業員の処遇

◆希望者全員が65歳以上まで働ける企業は5割弱
 厚生労働省は、2012年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)の集計結果を10月中旬に公表しました。
 これによれば、高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は97.3%(前年比1.6ポイント上昇)で、大企業で99.4%(同0.4ポイント上昇)、中小企業で97.0%(同1.7ポイント上昇)でした。
 また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は48.8%(同0.9ポイント上昇)で、大企業で24.3%(同0.5ポイント上昇)、中小企業で51.7%(同1.0ポイント上昇)との結果となりました。

◆約4分の1は継続雇用を「希望しない」
 また、定年到達者の継続雇用の状況についてですが、過去1年間に定年年齢に到達した人(43万36人)のうち、「継続雇用された人」は73.6%(31万6,714人)、「継続雇用を希望しなかった人」は24.8%(10万6,470人)、「継続雇用の基準に該当しないこと等により離職した人」は1.6%(6,852人)でした。
 約4分の1の人は継続雇用されること自体を望んでいないようです。

◆継続雇用者の処遇はどのように決める?
 高年齢者雇用安定法の改正(2013年4月1日施行)により、労働者が希望すれば、企業は65歳までの雇用確保措置(継続雇用等)が義務付けられます(例外あり)。その際に問題となるのが、継続雇用者の「処遇」です。
 日本経団連が行った「2012年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」の結果によれば、法改正に伴って必要となる対応について、44.2%の企業が「高齢従業員の貢献度を定期的に評価し、処遇へ反映する」と回答しています。
 高齢従業員の業務内容や貢献度に応じて、処遇を決定しようとしている企業が多いようです。


動き始めた「厚生年金基金制度」の改革

◆制度改革に向けた大きな一歩
 厚生労働省は、11月2日に「厚生年金基金制度に関する専門委員会」の第1回会合を開き、「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」を示しました。
 同省では、この試案をベースとして、「厚生年金基金制度改革」を行いたい意向であり、今後の動向が注目されます。

◆示された「試案」の内容
 上記委員会で示された厚生年金基金制度(以下、「基金」)の見直しに関する「試案」の主な内容は、次の通りです。

(1)特例解散制度の見直しによる「代行割れ問題」への対応
 基金の「代行割れ問題」については、従来は「特例解散制度」により、分割納付の特例や厚生年金本体への納付額の特例が設けられてきました(時限措置)。しかし、母体企業の負担能力が著しく低下している基金では、特例措置を用いても解散できない状況です。
 そこで、現行の特例解散制度の基本的な考え方・枠組みを維持しつつ、一定の見直しを行うとしています。見直し後の特例解散制度は5年間の時限措置とするようです。

(2)企業年金の持続可能性を高めるための施策の推進
 日本の経済基調が低成長に変化し、金融市場の変動幅が拡大する中、持続可能な企業年金を普及させるため、企業年金の選択肢の多様化を進めるとしています。
 また、中小企業の企業年金を維持する観点から、基金から他の企業年金への移行を支援するための特例措置を設けるとしています。

(3)代行制度の見直し
 代行部分の債務(最低責任準備金)の計算方法について、有識者の指摘等を踏まえ、厚生年金本体との財政中立の範囲内で適正化を図り、代行制度の今後の持続可能性に関する検証や厚生年金本体の財政に与える影響等を踏まえ、10 年間の移行期間を置いたうえで、代行制度を段階的に縮小・廃止していくとしています。
 また、移行期間中の制度運営にあたって、解散認可基準等の見直しも行うようです。

◆来年の通常国会に関連法案提出か
 AIJ問題に端を発した厚生年金基金の問題ですが、今後、改革に向けた動きが加速していく可能性もあり、厚生労働省では、関連法律の改正案を来年の通常国会に提出する予定です。


「職場の飲みニケーションは必要」は古い考え!?

◆約6割が「職場の飲み会は必要」
 「飲みニケーションは必要だ!」という考えも今や昔の話とも思われがちですが、まだまだ健在のようです。
 株式会社インテージが今年8月に実施した「仕事帰りの外飲み事情2012」(ビジネスパーソン意識調査)の結果が発表されましたが、この調査によれば、約6割の人が「職場の飲み会は必要」と思っていることが明らかになりました。

◆仕事帰りの飲みの相手は誰?
 最近3カ月の仕事帰りの外飲み(職場以外の人との飲みも含む)の状況ですが、67.1%の人が飲みに行っており、男性20代で81.0%、女性20代で75.0%でした。32.9%の人が飲みに「行っていない」と回答しましたが、特に女性30~50代の割合が高いようです。
 仕事帰りに飲む相手の上位は、「職場の同僚(同性、異性問わず)」が最多(56.1%)であり、「職場の同僚(同性のみ)」(33.3%)、「職場の上司」(32.6%)が続いています。
 やはり、仕事の延長で職場の人と飲みに行く人が多いようです。

◆職場の飲み会は必要or不要?
 職場の飲み会については、約6割(58.9%)の人が「必要だと思う」と回答し、男性のすべての年代と女性の20代では6割以上が「必要」と回答しているのに対し、女性の30~50代では5割以上の人が「必要だと思わない」と回答しています。
 職場のコミュニケーションを図る1つの方法として「職場の飲み会」は有効なようですが、20代男女の3割以上は「上司からの誘いを断ることができない」と思っている状況もまた、あるようです。


スマホ等の「ブルーライト」が眼の健康に及ぼす影響

◆「ブルーライト」って何?
 パソコンやスマートフォン、携帯用ゲーム機やタブレットの液晶ディスプレイ、またLED照明などから発せられる光のうち、可視光線で最も強い青色光を「ブルーライト」といい、他の色の光のように眼の角膜や水晶体で吸収されず、網膜まで達します。
 青色光よりさらに強い紫外線については、長時間浴びると角膜炎等の眼病を生じることが明らかになっていますが、青色光も、眼の中で光を散乱させ、眩しさを感じる原因となることがわかっています。

◆目の健康にどのような影響を与える?
 青色光は眩しさを感じる原因であることから、長時間青色光を発する光源を見続けると、眼精疲労を引き起こす可能性が指摘されています。
 また、人間は青色光を見ると「今は活動時間である」と感じ取り、脳が覚醒することから、夜遅くに青色光を見続けることで体内時計が狂ったり、睡眠障害を引き起こしたりする可能性が指摘され、研究が進められています。

◆ブルーライト保護商品の効果は?
 青色光を50%カットする効果のあるメガネが、あるチェーン店では発売開始から1年ほどで75万本超を売り上げ、パソコンやスマートフォンの液晶保護フィルムも人気を集めています。
 眼科医や大学教授らで立ち上げたブルーライト研究会では、保護メガネの使用が眼精疲労や睡眠に及ぼす影響に関する調査結果を発表していますが、いずれも一定の効果があったそうです。
 ところが、人の水晶体には元々青色光をブロックする仕組みがあること、自然光にも青色光が含まれること、また、目を酷使することが眼精疲労の原因となることから、まだ青色光が有害とは言い切れないとする見方もあるようです。

◆ブルーライト保護商品に頼らずに眼の疲れを軽減するには?
 オフィスにおける眼精疲労の原因には、何と言ってもパソコンの長時間使用が挙げられますが、モニタの明るさを落としたり画面の背景色を変えたりするだけでも、疲労感を軽くすることができるそうです。
 VDT作業については、厚生労働省も従事者の心身の負担を軽減するためのガイドライン等を設けています。肩こりや眼精疲労に悩む社員がたくさんいるという企業では、これらを参考に作業環境を見直してみるのもよいでしょう。


最新調査結果にみる残業代支払いと有休消化率の現状

◆所定外労働時間に関する調査結果
 連合総合生活開発研究所(以下、「連合総研」)が、20~64歳の民間企業雇用者(2,000名)に対して2012年10月1~6日の間に行った調査によると、2012年9月中に所定外労働を行った人は39.1%で、平均所定外労働時間は38.2時間でした。
 特に、男性の所定外労働時間を行った割合は55.2%と多く、平均所定外労働時間は43.0時間でした。

◆残業代支払いに関する調査結果
 所定外労働を行った人のうち「残業手当の未申告がある」と回答した人の割合は35.3%で、未申告分の時間の平均は21.3時間でした。
 未申告ありと回答した割合は、男女の正社員・非正社員を合わせた全体の約4割ですが、特に男性正社員に多く見られ、未申告分の時間は平均24.8時間でした。未申告の理由については、「働いた時間通り申告しづらい雰囲気」が36.3%、「残業代に限度がある」が24.2%でした。
 残業手当の全額が支払われた人の割合は46.9%で、「4割以上6割未満が未申告」だった人が5.5%、「2割以上4割未満未申告」だった人が5.3%でしたが、まったく支払われていない人も6.3%に上ったそうです。

◆有休消化率に関する調査結果
 上記調査において、2011年度に支給された有給休暇の消化率について尋ねたところ、「概ね消化できた」と回答した人の割合は、非正社員で約4割、正社員で約2割にとどまることがわかりました。
 厚生労働省が2012年11月1日に公表した「就労条件総合調査」においても、2011年における正社員の有休取得率は49.3%で、前年比で1.2ポイント上昇して2年連続上昇したものの、「2020年に70%」との目標には遠く及ばない結果となっています。

◆賃金収入も回復の兆しなし
 さらに、同調査において1年前と比べた賃金の増減について質問したところ、「減った」と回答した人が31.6%で、「増えた」と回答した人の23.7%を上回る結果となりました。


「中途採用」を成功させるためには何が必要?

◆求める人材像は明確ですか?
 株式会社アイデムの研究部門「アイデム人と仕事研究所」が、正社員の中途採用に関する実態調査を行いました。この調査は、直近1年間に正社員の中途採用面接を行った企業を対象に行われ、1,010社が回答しています。
 調査では、自社内の採用ビジョンについて、「求める人材像が確立されている」(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)が60.1%あった一方で、37%が「確立されていない」と回答しています。
 また、求める人材像が確立されている企業において、採用に関わる社員の間でその人材像が「共有されている」と回答したのは25.2%、「どちらかといえば共有されている」と回答したのは57.2%でした。
 さらに、面接で「自社の求める人材を見抜けている」と回答した企業は55.8%で、見抜けている企業ほど「求める人材像」も明確であったという比例関係があることがわかったそうです。

◆人材像の「確立」と「共有」に必要なこと
 求める人材像があやふやであったり、採用担当者に共有されていなかったりすれば、自社の求める人材は採用できません。求める人材像が確立されていない、あるいは確立されていても共有できていない原因はどこにあるのでしょうか?
 この原因を考えていくと、「『経営戦略』が明確になっているか」につながっていると考えられます。つまり、(1)経営戦略が明確になっている、(2)人材の評価方針(人事考課制度)が明確である、(3)その評価方針が社員間で共有・合意されている(規定化・研修による理解)、といったものが充分に遂行されて初めて、会社としてのビジョンが定まり、共有され、会社が求める人材像が明確になるのです。

◆良い人材は良い経営戦略とその管理から
 良い人材を採用するためには、まず、自社の戦略を明確にすること。そして会社がその戦略を実行するには、その進捗を管理する人事制度の構築が不可欠です。
 面接テクニックを提供する会社なども多くあり、担当者のスキルアップ自体も重要ではありますが、「良い人材が入ってこない」と思い当たる場合には、一度、人事制度について考えてみてはいかがでしょうか。


今後重視される安全衛生分野における取組み

◆「第12次労働災害防止計画」の策定に向け審議中
 「第12次労働災害防止計画」とは、労働安全衛生に関して、平成25年から平成29年度までの5年の間に、国(厚生労働省)が計画的・重点的に対策を行う内容を定めるものです。現在厚生労働省労働政策審議会安全衛生部会に骨子案が示され、審議中ですが、この内容から、今後の安全衛生分野の国の方針がわかります。

◆高年齢労働者増加への対応
 まず特徴的なのは、高齢化や改正高年齢者雇用安定法の施行により、今後も増えるとされる高年齢労働者に対する取組みです。
 骨子案では、次の事項が指摘され、対策を強化する必要があるとしています。

(1)60歳以上の高年齢労働者数
平成14年(約400万人)→ 平成19年(約550万人)に増加

(2)労働災害に占める60歳以上の割合
平成19年(16.3%)→ 平成23年(20.5%)に増加

(3)平成22年の労働災害発生率

〔死傷災害〕
全年齢平均(2.14/千人当たり)
60歳以上(3.08/千人当たり)

〔死亡災害〕
全年齢平均(0.22/1万人当たり)
60歳以上(0.47/1万人当たり)…非常に高い数値

◆改正労働安全衛生法とメンタルヘルス対策
 労働安全衛生法の改正(改正法案は今国会では廃案になりましたが)では、健康診断時のストレスチェック制度や受動喫煙対策の推進も明記され、労働者数50人以上の会社についての重点的な対策が検討されていたようです。昨今のメンタルヘルスに関する状況を見ていると、今後も労働者の安全・健康管理に対する国の施策が進められていくのは確実なようです。

◆対策が強化される業種は?
 労働災害防止対策を重点的に進める業種として、「建設業」「貨物運送業」「第3次産業(小売業)」「介護事業(社会福祉施設)」等が挙げられています。これらの業種では、業務に伴う発生率の高い災害を防止するとしています。
 なお、恒常的な長時間労働などは、行政による是正指導・是正勧告、そして様々な労使トラブル(合同労組・ユニオン等からの団交要求、多額の損害賠償請求、無用な裁判費用、新たな労災・メンタル不全の発生…etc)の元凶となりますので、早めの取組みが大切です。


多くのビジネスパーソンが「睡眠不足」で仕事に支障

◆社会人の睡眠傾向の実態
 朝夕の通勤電車等で、ぐっすり眠っている人をよく見かけますが、ピースマインド・イープ株式会社がビジネスパーソン(701名)を対象に行った睡眠傾向の実態調査によると、約6割が「睡眠不足で仕事に支障が出ている」と回答したそうです。
 また、眠れない夜に考える人物の上位は「同僚や部下」「上司」等、仕事に関連する人であるというデータも確認されています。

◆平均睡眠時間5~6時間台が7割超
 NHKが実施した2010年度版「国民生活調査」によると、日本人の平均睡眠時間は7時間14分だったそうです。
 しかし、前記調査の回答者であるビジネスパーソンの平均睡眠時間は、「5~6時間台」が71%(501人)と大部分を占めています。一般的に心身ともに最適な睡眠時間は7~8時間とされている中で、「7~8時間台」と回答した人は15%にとどまりました。

◆約6割の社員が睡眠不足で仕事に支障
 「睡眠不足で仕事に支障が出ていますか?」との質問には、「毎日のように出ている」「ときどき出ている」と回答した人が合わせて56%に上り、職場での睡眠不足による影響が明らかとなりました。
 また、「眠れないとき誰のことを考えていますか?」という質問では、1位が「仕事関連の人・こと」(21%)、2位が「家族」(18%)という結果になりました。
 なお、「仕事関連の人」の内訳では「同僚や部下」が最多で、「上司」「取引先担当者」などが続いています。

◆良質の睡眠が仕事効率アップにつながる
 慢性的な睡眠不足は、うつ病、脳・心臓疾患、生活習慣病の悪化につながる一因となり得るとの報告もなされています。
 より良い睡眠を得ることは、ビジネスパーソンの健康増進や業務の生産性向上につながりますので、良質な睡眠環境を整え十分な睡眠を確保することが、個人のみならず、組織にとっても重要な課題だと言えます。


企業におけるメンタルヘルスに関する取組みの実態

◆上場企業を対象に実施した調査の結果
 公益財団法人日本生産性本部の「メンタル・ヘルス研究所」は、全国の上場企業(2,140社)を対象に実施した「メンタルヘルスの取組み」に関するアンケートの調査結果を発表しました。
 この調査で、最近3年間における心の病が「増加傾向」と回答した企業は37.6%で、前回調査(2010年)の44.6%から減少し、「横ばい」と回答した企業は51.4%で、前回調査の45.4%から増加したことがわかりました。

◆30~40代の「心の病」の割合
 メンタルヘルスへの企業の取組みが成果をあげている一方で、依然として企業は「心の病」を有する従業員を数多く抱えています。
 今回の調査では、これまで最も「心の病」が多い年齢層であった「30代」の割合が58.2%から34.9%に減少する一方、40代の割合が22.3%から36.2%に増加しています。

◆「早期発見・早期対応」の効果は?
 不調者の「早期発見・早期対応」(二次予防)は企業が最も力を入れ、期待もしている取組みであり、管理職のメンタルヘルス対応としても最も期待が高いものです。
 これらの効果が出ている(「十分効果が出ている」と「まずまず効果が出ている」の合計)企業は51.4%でした。「あまり効果が出ていない」「効果が感じられない」「どちらともいえない」を合わせると47.2%で、半数近くの企業では十分な効果を感じていないようです。

◆職場における変化は?
 また、最近の「職場や働き方の変化」に関する質問では、次の3つが上位を占めました。 

(1)職場に人を育てる余裕がなくなってきている(76.1%)
(2)管理職の目が一人一人に届きにくくなってきている(69.7%)
(3)仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなってきている(68.3%)

 組織のタテ・ヨコの結束性や、組織の継続性に大きな影響を与えうる変化が多くの企業で起きているようです。
 健康でイキイキした職場づくりのため、メンタルヘルスに関する企業努力を継続していくことが非常に重要だと言えそうです。