2011/06/29

7月の事務所便り

新入社員の緊張・疲れの状況と会社が期待すること

 ◆約1割の新入社員は「仕事を辞めたい」
 長期化する不況の影響を受けた就職氷河期の中、今年の大学卒業予定者の内定率は過去最低水準となっています。
 そんな中、マーケティングリサーチなどを行う株式会社メディアインタラクティブでは、今年4月に入社した人を対象に「若手社会人の5月病に関する意識調査」(20代の272人が回答)を行い、その結果を発表しています。

 ◆新入社員の心境・体調の変化は?
 この調査は今年5月11日~18日に行われましたが、「入社して1カ月ほど経って心境・体調に変化はありますか?」との質問に対しては、「疲れがたまってきた」(47.1%)、「まだ緊張している」(40.1%)、「社会人としての自覚ができてきた」(31.6%)との回答が上位を占めました。
 そして約1割(9.9%)の人は「正直、仕事を辞めたいと思う」と回答しています。

 ◆5月病を感じる新入社員は3割近く
 次に、「5月病と感じることはありますか?」との質問に対しては、49.7%の人が「感じない・どちらかといえば感じない」と回答し、28.7%の人が「感じる・どちらかといえば感じる」と回答しており、約3割の人が何かしらの疲れや不調を感じているようです。

 ◆会社が新入社員に期待することは?
 会社側は今年の新入社員をどのように見ているのでしょうか。
ライフネット生命保険株式会社では、「今年の新人に関する調査」(20歳~49歳の有職者1,002名が回答)を行いましたが、「今年の新人に期待すること」との問いに対して、次のような回答結果となりました。

(1)「素直」(38.2%)
(2)「明るさ」(37.6%)
(3)「協調性」(32.5%)
(4)「努力」(29.7%)
(5)「謙虚」(29.5%)

 会社側では、素直で明るく、職場に溶け込む柔軟性・協調性のある社員を求めているようですが、皆様の会社ではいかがでしょうか?


 正社員はパート・アルバイトよりモチベーションが低い!?

 ◆社会人のモチベーションは高いのか?
 働くうえで「モチベーション」(日本語では「動機づけ」と訳される)は非常に大きな要素ですが、株式会社JTBモチベーションズでは、「2010年モチベーション白書」を発表しています。
 これを読むと現代の社会人がどのような意識・モチベーションを持って仕事をしているのかがある程度見えてきます。

 ◆100点満点中「69.7点」
 モチベーションの高さを100点満点として数値化してみると69.7点であることがわかり、2004年の結果(69.0点)からは微増となっています。
 モチベーションが「80点以上」(高領域)に属する人は28.1%、「50~80点未満」(標準領域)に属する人は61.8%、「30~50点未満」(低領域)に属する人は8.4%、「30点未満」(危険領域)に属する人は1.7%となっています。

 ◆雇用形態別に見るとどうか
 雇用形態別に見てみると、「正社員」が69.3点で最も低く、「契約社員」は73.1点、「派遣スタッフ・パート・アルバイト」が77.3点で最も高くなっています。
 自分に合った仕事を行い、家族などにも理解され、私生活が充実し、個性を発揮し、環境に適応しているという気持ちが、派遣スタッフ・パート・アルバイトのモチベーションの高さにつながっていると分析されています。

 ◆職種別・業種別に見るとどうか
 職種別では、上位から「営業・販売系」が73.1点、「管理・企画系」が67.8点、「開発・製造系」が66.8点となっています。
 この結果については、自分に合った仕事を行い、課題や目標を達成しているという気持ちが、営業・販売系のモチベーションを他よりも高いものにしていると分析されています。
 業種別では、「小売・流通業界」が73.7点、「人材派遣業界」が72.4点と高い結果となっています。


労使トラブルに「合同労組」が関与するケースが増加

 ◆「合同労組」関与の事件割合が過去最高
 近年、労使トラブルに「合同労組」「ユニオン」などと呼ばれる団体が関与するケースが増えていると言われていますが、そのことがデータ上からも明らかになりました。
 先日、中央労働員会から、「平成22年 全国の労使紛争取扱件数まとめ」が発表されましたが、「合同労組」が関与した集団的労使紛争事件の割合が69.8%(前年比3.1%増)となり、過去最高となったことがわかりました。

 ◆「合同労組」の特徴
 この「合同労組」には、“柔軟路線”をとる組合、イデオロギー性の強い“労使対立路線”をとる組合など、その性格は様々です。また、“労使対立路線”の組合の中にあっても、冷静に落としどころを考える組合、逆にあまり考えない組合もあるようです。
 さらに、組合の交渉担当者によって会社への対応が変わってくるケースもあります。また最近では、小規模な「地域労組」(コミュニティ・ユニオン)と言われる団体も増加しており、組合としての統制が本当にとれているのか、疑問の生じるケースもあるようです。
 
 ◆駆け込み訴え事件の増加
 労働者が、労使トラブルの解決のため合同労組に加入し、その合同労組が使用者に団体交渉を申し入れてくる例も多くあります。
 先ほどの中央労働委員会のまとめでは、懲戒や解雇などの処分を受けた後に労働者が加入した組合から調整の申請があった「駆け込み訴え事件」の占める割合は36.8%(前年比横ばい)で、過去最高となっています。

 ◆対応として重要なことは?
 これら「合同労組」「ユニオン」などから団体交渉の申入れがなされた場合、初めにとるべき対応が重要となります。安易に団体交渉の申入れに応じてはいけませんし、組合側が求めてくる「労働協約」の締結要求にも注意が必要です。
 団体交渉の申入れがあった場合には、専門家に相談する等しながら、しっかりと事前準備を行うことが重要です。


若手社員は喫煙する上司をどうみているか

 ◆「喫煙に関する意識調査」の結果
 5月31日は、世界保健機関(WHO)が定める「世界禁煙デー」でしたが、禁煙補助剤等を販売しているジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社では、今年2月に、就職を控えている20~25歳の男女(516名)を対象に「喫煙に関する意識調査」を実施しました。
 これから社会人になろうとする若者は、「タバコ」や「喫煙」に対してどのような意識を持っているのでしょうか。

 ◆喫煙者はわずか7%
 調査対象者のうち、「現在習慣的に喫煙している」と回答した人は7.0%、「習慣ではないが喫煙する時もある」と回答した人は4.7%でした。
 また、喫煙者のうち80.0%の人は「禁煙しようと思っている」と回答しています。

 ◆タバコを吸わない上司が好かれる!?
 次に、「上司は喫煙者と非喫煙者のどちらがいいか」について質問したところ、「ノンスモーカー」と回答した人が67.0%、「どちらでも良い」と回答した人が29.7%、「スモーカー」と回答した人が3.3%となっています。
 特に女性では73.6%が「ノンスモーカー」と回答しており、喫煙者にとっては厳しい結果となっています。

 ◆職場での喫煙環境について
 職場における喫煙環境についての希望に関する質問では、次の通りの結果となりました。

(1)「喫煙所を設けてそこでのみ喫煙可能」(55.6%)
(2)「職場全面で禁煙」(30.6%)
(3)「勤務時間中はどこにいても禁煙」(8.7%)
(4)「職場内で分煙」(4.7%)
(5)「職場全面で喫煙可能」(0.4%)

 受動喫煙に対する意識の高まりからか、「職場内分煙」だけでなく、「全面禁煙」までを希望する人が増えているようです。


「主婦年金問題」で救済案が明らかに

 ◆3年間の時限措置
 新聞報道によると、年金資格の変更を届け出ずに保険料が未納になっていた主婦についての救済案がまとまったようです。
 保険料の未納分について過去10年分の追加納付を認めて将来もらう年金を増やせるようにし、また、年金が過払いになっている受給者には過去5年分の返還を求めることとし、公平性に配慮した内容となっています。
 なお、この案は3年間の時限措置として実施されるようです。

 ◆「主婦年金問題」とは?
 会社員などを夫に持つ専業主婦は、国民年金保険料を納める必要がありません。しかし、夫が退職したり、主婦が働いたりした場合、保険料の納付義務が生じるにもかかわらず、その手続きを行っていなかった主婦が約97万人いるとされています。これが「主婦年金問題」です。
 厚生労働省では昨年12月に未納期間を納付済みにするとの特例(いわゆる「運用3号通知」)を出しましたが、批判が噴出し、厚生労働大臣がこの特例を撤回しました。

 ◆救済策の基本方針は?
 救済策の基本方針は、「保険料の追納を認める」、「未納期間をカラ期間(年金受給資格が得られる加入期間)として算入する」です。
 未納分については過去10年分に限って保険料を追加納付することが認められますが、現役世代では直近10年間、すでに年金を受給している高齢者については50~60歳の10年間で生じた未納期間分を追納の対象としています。

 ◆今後必要な対策とは?
 年金の被保険者資格の変更は本人の届出によるため、どうしても漏れがちになります。不整合期間の再発防止のため、救済案では第3号被保険者の種別変更を進めるための対策を講じる必要があるとの指摘もされており、今後の動きが注目されます。


社会保障改革案の「安心3本柱」とは?

◆「安心3本柱」の内容
 政府から、「安心3本柱」を中心とした社会保障改革案の内容が発表されました。
 この「安心3本柱」とは、(1)パートなどの非正規労働者への社会保険の適用拡大、(2)幼稚園や保育園の垣根をなくす「幼保一体化」の推進等による子育て基盤の強化、(3)医療・介護などを中心に自己負担の合計額に上限を設定する「合算上限制度」の導入です。
 以下では、主な年金制度改革案について見ていきます。

 ◆年金制度の改革案
 年金制度改革案の具体策は、パートなどの非正規労働者の厚生年金の加入条件を、現在の「週30時間以上勤務」から「週20時間以上勤務」に緩和すること、また、現在は育児休業中だけとしている厚生年金保険料の免除期間について産前・産後の休業期間まで広げるということです。
 一方、高所得の会社員については保険料の負担増を求める方向です。厚生年金保険料は報酬に応じて決まる仕組みになっていますが、改革案では上限額を引き上げる考えです。
 
 ◆60歳代前半の就労促進
 この他、60~64歳で働きながら厚生年金を受け取る場合、年金と給与の合計額が月額28万円を超えると、28万円を超えた分の半分だけ受け取る年金が減り、46万円超では給与の増加分だけ年金がカットされます。
 現在、この仕組みで約120万人が総額1兆円程度を減額されていますが、厚生労働省では、給与と年金の合計額が46万円を超えるまで年金を減額しない制度に変更し、年金の減額幅を縮小することにより高齢者の就労を促す考えです。

 ◆しかし問題は山積…
 いろいろと改革案が出されていますが、非正規労働者への厚生年金加入拡大は保険料の半分を負担する企業の反発が必至な状況であるなど、問題は山積しています。


自転車で楽しみながらメタボを改善

 ◆中高年のメタボ対策として
 中高年になるとおなかがポッコリと出てきて、「メタボリック症候群」と診断される人も増えてきます。ダイエットはなかなか難しいものですが、体にあまり負担をかけずに楽しみながら減量できる方法として注目を集めているのが「自転車」です。
 メタボ改善やストレス解消に繋がる自転車ですが、通勤で利用する場合には事故のリスクも高いため、注意が必要です。

 ◆体重・腹囲が減少、血圧にも好影響
 大阪にある「自転車博物館サイクルセンター」が行ったモニタリング調査では、心拍数を測るサイクルメーターという小型計測器を自転車に装着し、参加者は内臓脂肪を効率よく燃焼させる有酸素運動の心拍数をモニタリングしながら走り、体重・腹囲・走行距離・走行時間・食事内容を記録しました。
 各自週3日以上、1日合計30分以上を目標に走ったところ、3カ月後には全員の体重が減少し、腹囲は9人中8人が減少し、血圧にも改善が見られました。

 ◆1kg痩せるには…
 では、体重を1kg落とすには、どの程度自転車に乗ればよいのでしょうか。
 1kgの脂肪を燃焼させるのに必要な消費カロリーは7,200キロカロリーだそうです。体重70㎏の人が時速15kmで1時間走ったときの消費カロリーは350キロカロリーとなるため、通勤で1日15kmを往復していれば、10日程度で体重が1㎏減る計算になります。

 ◆自転車通勤にはルールが必要
 自転車通勤は、風を切って走る爽快感から、長く続けられるメリットがあります。しかし、公共交通機関を使うよりも事故のリスクが高まるため、会社としては一定のルール作りが必要です。
 会社としては、自転車通勤を許可制として、対人・対物の賠償保険加入を義務付けるなどの対策をとり、また、乗る側の社員も、十分に安全点検を行ったうえで交通ルールを守り、安全運転を心掛ける必要があるでしょう。


社員による「ソーシャルメディア」利用への対応

 ◆トラブルの未然防止が必要
 ネット上で気軽に情報を共有できるソーシャル・ネットワーキング・サービスの利用が急増するなか、社員の個人的な書込みについて、企業が具体的なガイドラインを策定する動きが広がっています。
 書込みをめぐって職場がギクシャクしたり、企業の重要情報が漏洩したりして、トラブルに発展するケースも出てきており、未然に防ぐための対策が必要です。

 ◆急増するソーシャルメディアの利用
 ツイッターやフェイスブックなどは「ソーシャルメディア」と呼ばれ、手軽に多くの人と情報をやり取りすることができるため、利用者が急増しています。
 しかし、不特定多数の人が見ることを意識せず、不用意に仕事関連の情報を書き込むと問題が生じることも多くなります。しかし、会社として、社員の個人的なソーシャルメディア利用を禁止することは難しいでしょう。
 
 ◆ガイドライン等の整備でリスクを回避
 利用自体を禁止できないとしても、不用意な書込みにより「情報漏洩」や「名誉棄損」などで社員や企業が訴えられる危険性もあるため、企業では、ガイドラインや社内規定を整備することが有効です。
 この場合、「自社にとっての営業秘密は何か」などの基準を明確に示し、役員・正社員からパート・アルバイトまでに徹底することが求められます。

 ◆具体的に企業はどう対応しているか
 例えば、ソーシャルメディアの「利用マニュアル」を用意し、書いてはいけない文例を数多く提示している企業や、従来の法令遵守の行動規範に加え「会社の公式見解のように書いてはいけない」といった事項を明記し、「会社にダメージを与えた場合は懲戒対象となることもある」と定める企業もあるようです。


障害者に関する就職・雇用の状況は

 ◆就職件数は過去最高に
 厚生労働省は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づき、同省による再三にわたる指導にもかかわらず障害者の雇用状況改善が見込まれない6社について、企業名の公表を行いました。
 しかし、改善が見られず公表される企業がある一方で、平成22年度におけるハローワークを通じた障害者の就職件数は5万件を超えて過去最高となっています。

 ◆「法定雇用率」とは?
 障害者雇用促進法では、身体障害者や知的障害者の雇用を促進するため、事業主に対し、常時雇用している従業員の一定割合(法定雇用率、民間企業の場合は1.8%)以上の障害者を雇うよう義務付けています。

 ◆法定雇用率を達成しないと…
 法定雇用率を達成していない企業には、厚生労働大臣が「障害者雇入れ計画」を作成するよう命令し、計画を適正に実施するよう勧告できます。勧告に従わない場合は、企業名を公表できるようになっています。
 今回、企業名を公表された会社は法定雇用率が未達成で、同省が雇用率の達成に向けた指導や計画の適正実施の勧告を行ってきたにもかかわらず、改善が遅れている90社のうちの6社です。

 ◆対前年比17%増の就職件数
 企業名を公表される企業がある一方で、平成22年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は5万件を突破し、全体的にみれば障害者の雇用状況は改善されているようです。
 厳しい雇用情勢の中、障害者の就職件数が平成21年度(45,257件)から対前年度比17%増と大きく伸びたのは、精神障害者の就職や、医療・福祉分野での就職が増加したためのようです。


使用電力削減・節電に対応した働き方を考える

 ◆厚生労働省による対応
 今夏、東日本を中心に、平日の9時から20時までの間に電力が不足するおそれが指摘されています。
 そこで、厚生労働省では、夏場の電力不足への対策として「労働時間の短縮」や「始業・終業時刻の変更」などを実施する企業(東京電力・東北電力の管内)の相談に対応するための窓口を、労働基準監督署などに設置する方針を発表しました。
 また、新聞報道によれば、「変形労働時間制」の導入企業が年度途中でもスケジュールを変更できるよう、同省が特例を認める考えも示しています。

 ◆使用電力削減・節電の具体策
 帝国データバンクが発表した「夏季の企業活動に関する意識調査」の結果によれば、71.4%の企業が今夏に「節電を実施する」としています。「節電は実施しない予定」の企業は9.6%でした。
 企業の使用電力削減・節電への取組みの例として、「労働時間の短縮」「始業・終業時刻の変更」の他、「所定休日の変更」、「連続休業・休暇の活用」などが考えられます。
 これらのことを実施する際には、就業規則の変更・届出が必要となってくる場合がありますので注意が必要です。

 ◆社員への配慮も必要
 制度変更を行う際には、家庭で育児・介護等が必要な社員など、始業・終業時刻や所定休日の変更への対応が困難な事情を抱える社員についての配慮が必要です。
 業務や家庭の事情などを勘案したうえで、「フレックスタイム制」や「在宅勤務制度」などを活用することも考えられます。

 ◆日々の意識が大切
 使用電力削減・節電への取組みについては、普段からの心がけも大切です。
 個人と会社で行うことのできる対策には異なる点はありますが、使用しない家電製品のコンセントを抜いておく、天候に合わせて照明を点ける時間を調整するなど、改めて普段の生活を見直してみることもよいのではないでしょうか。

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