2006/01/05

平成18年1月号

2007年問題 技能継承に助成金

「団塊の世代」が定年退職を迎えることで、製造業を中心に熟練した技術・技能やノウハウの喪失が懸念される、いわゆる「2007年問題」の対策として、厚生労働省は中小企業の技能継承の取組みに対し、助成金を導入する方針を固めました。中小企業労働力確保法を改正し、取組みにかかる企業の経費の半分を負担するほか、訓練期間中の社員の賃金の半分についても負担するということです。
◆団塊の世代の技術などを次の世代にどう伝えるのか
昭和22年から昭和24年に生まれた「団塊の世代」は約670万人とされ、平成19年から60歳の定年退職を迎えます。各企業の生産現場では、労働力減少のほか、団塊の世代が持つ高度な技術力やノウハウを、どう次の世代に伝えていくかが課題となっています。
特に全企業の9割以上を占める中小企業の経営者からは「企業体力に限界があり、技能継承に向けた行政の支援は重要」などの声が強くなっています。
◆助成金制度を活用
厚生労働省はこうした要請を踏まえ、中小企業労働力確保法に基づく中小企業雇用創出等能力開発助成金制度を活用し、現在は技能の高度化や新分野進出への取組みに限られ支給している助成金の対象範囲を拡大し、技能継承に取組む企業にも支給できるように制度を改めるということです。
助成金を受けたい中小企業の事業主か業界団体は、まず都道府県に技能継承に関する取組みの計画書を提出します。認定されれば、企業が講師を招いて社員の教育を実施したり、職業訓練学校など外部訓練施設を活用して技能継承を図ったりした際、かかった費用の原則半分が助成金として支給されます。

労災保険加入制度の強化

厚生労働省は平成17年11月1日から、労災保険未加入の事業主に対する費用徴収制度を強化することにしました。労災保険は、労働者を1人でも(パート・アルバイト含む)雇用している事業主には加入手続きを行う義務があります。もし、労災保険に加入していない時に労災事故が発生した場合、遡って保険料を納めなくてなりません。また、労災保険料を納めるだけでなく、ペナルティの保険料を課せられることとなれば、それだけで事業主にとってかなりの経済的負担となります。労使ともに安心して働ける職場環境のため、また労災事故が起こって慌てないためにも、労災保険の加入は事業主にとって必要不可欠なものです。
◆適用事業所
労災保険は労働者単位で適用される雇用保険とは違い、事業所単位で適用されます。適用されない事業および労働者は1、国の直営事業2、官公署の事業(地方公務員には一部適用)3、船員保険に加入している労働者だけで、これ以外の事業および労働者には適用されます。労災保険率は業種によって異なりますが1,000分の5から1,000分の129となっています。また、中小企業の場合は、労働者だけでなく事業主等が労災保険に加入できる「特別加入」という制度があり、労働保険事務組合に事務委託をしている場合に加入できます。
◆費用徴収のポイント
労災保険未加入時に、費用徴収の対象となる場合は次の2通りです。1、労災保険の加入手続について行政機関から指導等を受けたにもかかわらず、未加入期間に労災事故が発生した場合。2、行政機関からは指導は受けてはいないが、労災保険の加入手続を1年以上怠っていたときに労災事故が発生した場合。1、の場合、事業主が故意に手続きを行わなかったものとして、発生した労災事故に関して支給された保険給付額の全額が徴収されます。2、の場合、事業主が重大な過失により手続きを行わなかったものとして、発生した労災事故に関して支給された保険給付額の40%が徴収されます。徴収される金額は、療養を開始してから3年間に支給されるものに限ります。また、療養(補償)給付・介護(補償)給付は除外されます。いずれにせよ、労災保険適用の事業所となった時点から加入しておけば、徴収されずにすむ金額であることに違いはないです。

【トピック】
●医療改革大綱決定
医療制度改革大綱が決まった。高齢者の医療費の負担割合は、70歳以上の高所得者について現行の2割から3割へ(06年10月から)、70歳以上75歳未満の中低所得者について1割から2割へ(08年度から)引き上げることとなった。 また、現在特例で3歳未満は2割負担とされているが、これを義務教育就学前とすることとなった。

●高額療養費未請求分を通知
社保庁は、高額療養費の払戻し対象となっていながら貰い損ねている政管健保加入者に対し、その旨の通知を始める。年内のサービス開始を目指し、通知のタイミングなどの調整を図るとしている。
高額療養費の還付については、多くの健保組合ですでに自動還付システムが確立しており、政管健保も一部の社保事務所では通知サービスを行っていたが、サービスの均一化を求める声を受け、今般の措置となった。

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