2006/03/31

平成18年3月号

無断欠勤の社員を解雇できる?

社員が無断欠勤を続けており、自宅にも戻っていないようで、連絡も取れない状況となってしまいました。また、ご家族も連絡がとれないようです。この社員は、これまでも何度か無断欠勤をしたことがあり、その都度注意していましたが、会社として社員を解雇したい場合、どのような手続きが必要でしょうか。
◆解雇するには
行方不明の社員を解雇するには、民法97条の2の「公示送達」によって、解雇の意思表示を行わなければなりません。具体的には、社員の最後の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てを行い、裁判所の掲示板に掲示するほか、掲示したことについて官報および新聞に少なくとも1回掲載し、最後に掲載した日から2週間が経過すれば、社員に会社の解雇の意思表示が到達したものとみなされます。
◆解雇予告手当は
公示送達によって解雇する場合にも、所轄の労働基準監督署長から解雇予告の除外認定を受けない場合には、社員に解雇の意思表示が到達したとみなされる日(この場合、官報および新聞に最後に掲載した日から2週間が経過した日)の翌日から起算して30日目の日を解雇日と指定するか、30日分の解雇予告手当を供託するか、どちらかの手続きが必要です。
◆労働契約の自然終了
また、就業規則、労働協約、労働契約のいずれかで無断欠勤が連続して一定期間に及び、連絡不能である場合において自然退職とする旨の定めがある場合には、労働契約の自然終了として雇用契約を終了させることができます。
ただし、無断欠勤の期間が短すぎる場合や無断欠勤をして連絡が取れなくなったことについて客観的な正当性がある場合には、規定の適用が認められないケースも考えられますので注意が必要です。

公益通報者保護法が4月に施行

不正を内部告発した社員に対して、会社が解雇その他の不利益な取扱いを行うことを禁止する公益通報者保護法が2006年4月に施行されます。内部告発のルールを明確にし、内部告発者を守ることで企業に法令を遵守させることが目的です。
◆保護の対象となるのは
内部告発者として保護されるのは、正社員、派遣労働者、アルバイト、パートタイマーなどで、退職者も含まれます。自ら不正を是正する立場にあり、株主総会で選任・解任される取締役や監査役は保護の対象外となっています。
内部告発者を保護するために、具体的には内部告発を理由とした解雇や減給、降格、派遣労働者の交代要求、退職金の没収・減額などが禁じられています。
◆通報先と保護要件は
通報先は、事業者内部、処分等の権限を有する行政機関、報道機関や消費者団体などの事業者外部ですが、それぞれに保護の要件が定められています。
事業者内部については通報が金品の要求などの「不正の目的」でないこと、行政機関についてはそれに加え、通報内容が真実であるという相当の理由があることなどです。
◆外部への告発は
報道機関や消費者団体などの外部へ告発する場合には、さらに以下のいずれかに該当するケースに限るなど要件が厳しくなっています。
1、不利益な取扱いを受ける恐れがある
2、証拠隠滅の恐れがある
3、公益通報をしないことを正当な理由なく要求された
4、企業に告発したのに20日以上たっても調査が開始されない
5、個人の生命、身体に危機が生じる切迫した危険がある
◆もし公益通報を受けたら
公益通報を受けた事業者は、公益通報の是正措置等について、公益通報者に通知するように努めなければなりません。また、行政機関が公益通報を受けた場合は、必要な調査や適切な措置を取らなければなりません。

【トピック】
●初任給調査結果 東京労働局
今年の3月卒業予定者の初任給の平均値(東京都)は、大学が20万2,000円(前年比0.7%増)、短大が18万3,100円(同1.3%増)、専修学校が18万3,000円(同1.7%増)、高校が16万5,000円(前年同)だった。東京労働局が都内ハローワークで受理した求人内容をもとにまとめた。

●管理職以外も「残業代なし」へ?
厚労省の研究会で、管理監督者や裁量労働制で働く人でなくても、一定以上の収入や権限がある労働者を労働時間規制から外す方向が示された。その条件として、1.業務の進行について指示を受けず、成果で賃金が決まる 2.一定以上の収入があり、本人が同意している 3.会社が過労を防ぐための健康確保措置を講じている 4.導入を労使で協議し、合意に至っている などをあげている。同省は、審議会の議論を経て07年上程予定の労基法の改正案に盛り込むことを目指す。

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